JPH11123329A - 血栓形成性物質の吸着剤および体外循環カラム - Google Patents

血栓形成性物質の吸着剤および体外循環カラム

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JPH11123329A
JPH11123329A JP9290055A JP29005597A JPH11123329A JP H11123329 A JPH11123329 A JP H11123329A JP 9290055 A JP9290055 A JP 9290055A JP 29005597 A JP29005597 A JP 29005597A JP H11123329 A JPH11123329 A JP H11123329A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】一般的に普及可能であり、体液中から低比重リ
ポ蛋白質、リポプロテインa、トリグリセライド、フィ
ブリノーゲンなどを高い効率で選択的に吸着し、かつ、
安全性が高い血栓形成性物質の吸着剤を提供する。 【解決手段】水不溶性重合体に、N−アルキル基が炭素
数4以上であるN−アルキル化ポリアルキレンイミンを
グラフト結合させたものからなる血栓形成性物質の吸着
剤であり、N−アルキル化率が1%以上、炭素数/窒素
数比が2.3〜26であるN−アルキル化ポリアルキレ
ンイミンを用いることが好ましく、この吸着剤は、これ
を体外循環用カラムに充填して用いることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、コレステロール、
リポ蛋白質およびフィブリノーゲンなどの血液中に過剰
に存在すれば血栓の形成が誘導される物質を除去するた
めの血栓形成性物質の吸着剤、およびその吸着剤を充填
してなる体外循環カラムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、血液中の低比重リポ蛋白質、リポ
プロテインaおよびトリグリセライド等の脂質成分が動
脈硬化を引き起こすことが明らかになってきた。また、
フィブリノーゲンは、止血作用をもつ重要な血液成分で
あるが、多すぎる場合には動脈硬化の危険因子となる。
動脈硬化が進むと、心筋梗塞や脳梗塞などの循環器系の
重篤な症状に陥る可能性が非常に高くなり、死亡率も高
い。そこで、血液や血漿などの体液成分から低比重リポ
蛋白質、リポプロテインa、トリグリセライドおよびフ
ィブリノーゲンなどを選択的に吸着除去することができ
れば、上記のごとき疾患の進行を防止したり、症状を軽
くしたり、さらに治癒を早めたりすることが期待され
る。
【0003】従来、上記目的のための脂質成分等の吸着
剤としては、デキストラン硫酸をセルロースゲルに固定
化したもの(特開平1−280469号公報)、ヘパリ
ンをアガロースゲルに固定化したもの(Lupien, P-J, e
t.al. Lancet, 2:1261-1264, 1976)、スルホン酸基を
もつビニル重合体(特公平8−8928号公報)などが
知られているが、これらスルホン酸基をもつ吸着剤は、
血液中のカリクレインを活性化し、ブラジキニンの放出
を誘導して、血圧を下げるため、使いにくく、また、こ
れらは粒状であるため、表面積が小さく、したがって吸
着容量が小さく、さらにこれらは膨潤性の大きな含水ゲ
ルであるため、通液抵抗が大きいという課題があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、一般
的に普及可能であり、体液中から低比重リポ蛋白質、リ
ポプロテインa、トリグリセライド、フィブリノーゲン
などを高い効率で選択的に吸着し、かつ、安全性が高い
血栓形成性物質吸着剤を提供することにある。
【0005】本発明の他の目的は、上記の血栓形成性物
質吸着剤を充填してなる体外循環カラムを提供すること
にある。
【0006】
【課題を解決するための手段】このような目的を達成す
るため、本発明は、以下の構成を有する。
【0007】すなわち、本発明の血栓形成性物質の吸着
剤は、N−アルキル基が炭素数4以上であるN−アルキ
ル化ポリアルキレンイミンを、グラフト結合した水不溶
性重合体からなることを特徴とするものである。
【0008】そして、本発明の血栓形成性物質の吸着剤
は、さらに次の好ましい態様を包含している。
【0009】(1) 前記N−アルキル化ポリアルキレンイ
ミンのN−アルキル化率が1%以上であり、かつ、炭素
数/窒素数比が2.3〜26であること。
【0010】(2) 前記N−アルキル化ポリアルキレンイ
ミンが、重合度10以上10,000以下のエチレンイ
ミン重合体のN−アルキル化体であること。
【0011】(3) 前記水不溶性重合体がアミン結合性基
を有するポリスルホンであること。
【0012】(4) 前記水不溶性重合体がアミン結合性基
を有するポリ(ビニル芳香族化合物)であること。
【0013】(5) 前記水不溶性重合体がポリイミドであ
ること。
【0014】(6) 前記水不溶性重合体を膜、繊維、中空
糸、粒状物またはこれらを用いた組み立て品等に成形し
てなること。
【0015】(7) 前記水不溶性重合体を、膜、繊維、中
空糸または粒状物等の成形品の表面に塗布してなるこ
と。
【0016】(8) ヘパリンを吸着させてなること。
【0017】また、本発明の体外循環カラムは上記の血
栓形成性物質の吸着剤を充填したものである。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、本発明についてさらに詳細
に説明する。
【0019】本発明でいう血栓形成性物質の吸着剤は、
水不溶性重合体にN−アルキル化ポリアルキレンイミン
を、好適には、アミノ基量が0.1〜10ミリモル/g
になるようにグラフト結合したものなら何でもよく、特
に制限はない。
【0020】ここでいう水不溶性重合体とは、水に不溶
で、かつ、N−アルキル化ポリアルキレンイミンを共有
結合で固定化できるものであれば何でもよく、特に制限
はない。水不溶性重合体の具体例としては、ポリスチレ
ンで代表される芳香族ポリビニル化合物、ポリ(p−フ
ェニレンエーテルスルホン):−{(p−C6 4 )−
SO2 −(p−C6 4 )−O−}n−やユーデル・ポ
リスルホン:−{(p−C6 4 )−SO2 −(p−C
6 4 )−O−(p−C6 4 )−C(CH32
(p−C6 4 )−O}n−のほか、−{(p−C6
4 )−SO2 −(p−C6 4 )−O−(p−C
6 4 )−O}n−、−{(p−C6 4 )−SO2
(p−C6 4 )−S−(p−C6 4 )−O}n−、
−{(p−C6 4 )−SO2 −(p−C6 4 )−O
−(p−C6 4 )−C(CF3 2 −(p−C
6 4 )−O}n−などで代表されるポリスルホン、ポ
リエーテルイミド、ポリアミド、ポリイミド、ポリエー
テル、ポリフェニレンサルファイドなどで、かつ、N−
アルキル化ポリアルキレンイミンを共有結合で固定化で
きる反応性官能基をもつものがあげられる。
【0021】反応性官能基としては、ハロメチル基、ハ
ロアセチル基、ハロアセトアミドメチル基、ハロゲン化
アルキル基などの活性ハロゲン基、エポキサイド基、カ
ルボキシル基、イソシアン酸基、チオイソシアン酸基お
よび酸無水物基などをあげることができるが、とりわ
け、活性ハロゲン基は、製造が容易な上に、反応性が高
く、固定化反応を温和な条件で遂行できると共に、この
際生じる共有結合が化学的に安定なので、本発明では好
ましく用いられる。
【0022】さらに反応性官能基をもつ水不溶性重合体
の具体的な例としては、クロルアセトアミドメチルポリ
スチレン、クロルアセトアミドメチル化したユーデル・
ポリスルホン、クロルアセトアミドメチル化したポリエ
ーテルイミドなどがあげられる。さらに、これらの重合
体は有機溶媒に対し可溶性であると成形しやすので、特
に好ましい。
【0023】水不溶性重合体および共重合体の分子量
は、成形できるものであればよく、特に制限はないが、
通常、5000以上100万以下、とりわけ、1万以上
20万以下のものが好ましく用いられる。
【0024】本発明でいう、N−アルキル化ポリアルキ
レンイミンは、ポリエチレンイミン、ポリヘキサメチレ
ンイミンおよぴポリ(エチレンイミン・デカメチレンイ
ミン)共重合体などで代表されるポリアルキレンイミン
の窒素原子の一部を、n−ヘキシルブロマイド、n−デ
カニルブロマイド、n−ステアリルブロマイドなどで代
表されるハロゲン化炭化水素の単独または混合物でアル
キル化したものを意味する。かかるN−アルキル化ポリ
アルキレンイミンは、主鎖のアルキレン基の長さとN−
アルキル基のアルキル炭素数、および、N−アルキル化
率に依存して吸着性能や加工し易さが変化する。
【0025】そのパラメターとして、本発明では、N−
アルキル基がアルキル炭素数4以上のN−アルキル化ポ
リアルキレンイミンを使用する。炭素数が少ないと、コ
レステロール吸着性が低くなる欠点がある。また、アル
キル炭素数20以上の長いアルキル基のもののハロゲン
化物は一般的に高価であり、大きすぎると、N−アルキ
ル化ポリアルキレンイミンの溶媒に溶けにくくなり、当
該イミン固定化ポリマーの精製が難しくなるので、通常
は18以下のものが使用される。
【0026】また、分子全体としての窒素原子数に対す
る炭素数の比(以下C/N比と略称)と、N−アルキル
化率を用いると、C/N比が小さすぎるときは、親水性
が高くなりすぎ、加工がしにくく、逆に、大きすぎる
と、吸着能が下がるので、C/N比が2.3〜26好ま
しく、とりわけ、2.5〜14が好ましい。また、N−
アルキル化率が小さすぎるときは吸着能が下がるので、
N−アルキル化率は好ましくは1%以上、とりわけ、1
0%以上であることが好ましい。
【0027】さらに、N−アルキル化ポリアルキレンイ
ミンの重合度(n)は、大きい方が高分子量物質に対す
る吸着性能が大きくなるが、重合度が大きすぎると、グ
ラフト鎖を延ばした形での固定化が難しくなって、吸着
性能が下がってしまうので、n=10〜10,0000
が好ましく、とりわけ、20〜300が好ましい。さら
に、N−アルキル化ポリアルキレンイミンの主鎖部分の
アルキレン部の一部がシクロヘキサン環やベンゼン環な
どに置換されていてもよく、また、アミド基、エーテル
基およびスルホン基などに置換されていてもよい。
【0028】本発明におけるN−アルキル化ポリアルキ
レンイミン基の固定化の密度は、N−アルキル化ポリア
ルキレンイミンのC/N比およびnの大きさや幹となる
水不溶性重合体の化学構造および用途により異なるが、
固定化の密度が少なすぎると、その機能が発現されず、
一方、多すぎると、固定化後の重合体の成型性が悪くな
り、血液処理剤としての機能も下がってしまうので、そ
の密度は、水不溶性重合体の繰り返し単位あたり好まし
くは0.0001〜0.5、より好ましくは0.001
〜0.1モルである。
【0029】本発明で用いられるN−アルキル化ポリア
ルキレンイミンの調製は、ポリアルキレンイミンの溶液
に、室温ないし100℃以下の温度で、臭化アルキルの
ようなハロゲン化炭化水素を混合することにより容易に
行なうことができる。この反応は、エチルアルコール、
テトラヒドロフランおよびジメチルホルムアミドのよう
な極性溶媒中では、室温でも定量的に進む。ポリアルキ
レンイミンの分子量が大きく、かつ、N−アルキル化率
が高くなると、N−アルキル化ポリアルキレンイミンは
溶媒に溶けにくくなるので、低アルキル化率のものを水
不溶性重合体と反応させた後、さらに、この反応系に前
記の臭化アルキルを添加して、目標のアルキル化率のN
−アルキル化ポリアルキレンイミンを得る方法が便利で
ある。
【0030】本発明の血栓形成性物質の吸着剤を製造す
るには、水不溶性重合体とN−アルキル化ポリアルキレ
ンイミンを溶液にして反応させる均一系反応の方法と、
水不溶性重合体の成形品に、N−アルキル化ポリアルキ
レンイミン溶液を接触させる不均一系反応の方法とがあ
る。
【0031】均一系反応による方法の一例を述べると、
クロルアセトアミドメチル化ポリスルホンの溶液中に対
応したポリアミンを加えて、0〜100℃の温度で反応
させることにより、容易に合成、製造できる。ポリアミ
ンの量は特に制限はないが、可溶性の重合体を得るため
には、ハロアセトアミドメチル基に対し1倍モル以上用
いることが望ましい。とりわけ、分岐のあるポリアミン
の場合は、可溶性の重合体を得るためにはポリアミンを
大過剰量用いることが好ましい。
【0032】また、均一系で反応させる場合の反応溶媒
としては、テトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシ
ド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチル
アセトアミドおよびN−メチルピロリドンなどが好まし
く用いらる。
【0033】また、本発明では成形品を表面処理する方
法も可能で、そのためには水、メタノール、エタノール
などのポリスルホンを溶かさず、ポリアミンを溶かす溶
媒が好ましく用いられる。
【0034】不均一系反応の方法の一例としては、クロ
ルアセトアミドメチル化ポリスルホンの繊維または中空
糸などの成形品を、N−アルキル化ポリアルキレンイミ
ンのイソプロパノール溶液中に浸し、0〜100℃の温
度で反応させることにより、容易に製造することができ
る。
【0035】本発明の吸着剤は、これを直接、繊維状や
膜状等に成形して用いることができる。また、本発明の
吸着剤を、ナイロン繊維などの成形品の表面にコーティ
ング等によって塗布すると、簡単に表面積の大きな高次
の成形品が得られるので、本発明においては実用上好ま
しい実施態様である。
【0036】コーティングは、本発明の吸着剤を塩化メ
チレンやテトラヒドロフランなどの低沸点溶媒に溶かし
た溶液等に、ナイロン繊維等からなる編み地や織物を浸
した後、溶媒を蒸発させることにより容易に行なうこと
ができる。また、N,N−ジメチルホルムアミドなどの
溶媒に溶かしたものを水などに入れる湿式コーティング
法も利用できる。
【0037】コーティングされる成形品は、ポリアミ
ド、ポリウレタン、ポリイミド、ポリスルホン、ポリ塩
化ビニル、ポリエステルなどからなる、本発明の吸着剤
との接着性のよいものであれば何でもよく、その種類に
は特に制限はないが、本発明の吸着剤は、特にナイロ
ン、ポリエーテルイミドなどのアミド系の重合体との接
着性にすぐれているので、これらの重合体が好ましく用
いられる。
【0038】本発明の吸着剤は、それを体外循環系に用
いることができる。体外循環系に用いる場合、抗凝固剤
のヘパリンで処理して用いると、血液適合性が向上する
と共に、LDLに対する吸着能が向上するので、好まし
い。特に、C/N比が高い場合、吸着剤が疎水性になる
が、ヘパリン処理すると、吸着剤が親水化して吸着能が
上がるので好ましい。
【0039】本発明の吸着剤は、血液中のコレステロー
ル、リン脂質、中性脂肪、LDL、リポプロティンAお
よびフィブリノーゲンなどの血栓形成性物質の除去の目
的で、体外循環カラム等に充填し、体外循環治療に用い
ることができる。また、輸血用血液、血清、血漿からの
脂肪成分の除去の目的にも用いることができる。
【0040】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに具体的に
説明する。
【0041】なお、本実施例中の血液中の成分の分析
は、以下の評価方法に従った。
【0042】1.総コレステロール(TC)とリン脂質
(PL)成分は酵素法で求めた。
【0043】2.中性脂肪(TG)は酵素法(遊離グリ
セロール消去法)で求めた。
【0044】3.β−リポ蛋白(LDL)はセルロース
アセテート膜電気泳動法で求めた。
【0045】4.アルブミンはBCG法で求めた。
【0046】5.HDL−CはヘパリンCa2+、Ni2+
沈殿法で求めた。
【0047】[実施例1]ニトロベンゼン8mLと硫酸
16mLの混合溶液を0℃に冷却後、2.1gのN−メ
チロール−α−クロルアセトアミドを加えて溶解し、こ
れを、10℃のユーデルポリスルホンP3500の3L
のニトロベンゼン溶液(300g/3L)に、よく撹拌
しながら加えた。さらに、これを室温で3時間撹拌し
た。その後、反応混合物を大過剰の冷メタノール中に入
れ、ポリマーを沈殿させた。沈殿物をメタノールでよく
洗った後、乾燥して、300gのα−クロルアセトアミ
ドメチル化ポリスルホン(置換率:0.024;重合体
−A)を得た。
【0048】また上記とは別に、N−メチロール−α−
クロルアセトアミドの仕込み比を増やし、同様に処理し
て、置換率10%のα−クロルアセトアミドメチル化ポ
リスルホン(置換率:0.1;重合体−B)を得た。
【0049】次に、ポリエチレンイミン(平均分子量1
0000:和光純薬)43gを200mLのイソプロパ
ノールに溶かした溶液に、臭化ラウリル149g(0.
6モル)を加え、室温で1時間撹拌した後、2時間灌流
加熱した。これに、24gの水酸化ナトリウムを含むイ
ソプロパノール溶液を加えた。ここで生じた臭化ナトリ
ウムの結晶を濾過し、濾液を減圧濃縮して、ラウリル化
率60%のN−ラウリル化ポリエチレンイミン(C/N
比9.2)を調製した。またこれとは別に、アルキル基
の種類およびアルキル化率の異なる、その他のN−アル
キル化ポリアルキレンイミンも同様に調製した。
【0050】次いで、20gの重合体−AまたはBを含
む200mLのテトラヒドロフラン溶液のそれぞれに、
20gのN−アルキル化ポリアルキレンイミン含む20
0mLのテトラヒドロフラン溶液を加え、2時間灌流加
熱した。反応混合物を大過剰のイソプロパノールに加
え、沈殿したポリマーを濾取した。得られたポリマーを
真空乾燥して、本発明の吸着剤であるN−アルキル化ポ
リアルキレンイミン固定化ポリスルホンを調製した。
【0051】次に、これらのポリマーの20%ジメチル
アセトアミド溶液をガラス板上に塗布し、これを水の中
に入れて100μmの厚みに成膜した。これを直径4.
2cmの円盤状にくりぬいて使用した。ヘパリン化サン
プルは、この膜を0.5mg/mLヘパリン・PBS溶液4
0mL中、60℃で20時間処理した後、生理食塩水で洗
浄して調製した。
【0052】円盤状の膜2枚(表面積55.4cm2
をヒト血清4mL中に入れ、37℃で4時間振盪した。
吸着結果を表1に示す。
【0053】ただし、本発明試料1は、重合体−Aにラ
ウリル化率10%のラウリル化ポリエチレンイミン(ポ
リエチレンイミンの分子量1万)を固定化したポリスル
ホン(C/N比3.2)の膜であり、本発明試料2は、
重合体−Bにラウリル化率60%のラウリル化ポリエチ
レンイミン(ポリエチレンイミンの分子量1万)を固定
化したポリスルホン(C/N比9.2)の膜であり、比
較試料1は、分子量1万のポリエチレンイミンを重合体
−Aに固定化したポリスルホンの膜であり、比較試料2
は、ポリスルホン膜(20%ポリスルホンと2%K30
−ポリビニルピロリドンを含むジメチルアセトアミド溶
液をガラス板上に塗り、水中に入れて成膜したもの)で
あり、比較試料3は、重合体−Bにラウリル化率100
%のラウリル化テトラエチレンペンタミンを固定化した
ポリスルホン(C/N比13.6)の膜であり、比較試
料4は、重合体−Aにエチル化率100%のエチル化ポ
リエチレンイミン(ポリエチレンイミンの分子量7万)
を固定化したポリスルホン(C/N比4.0)の膜であ
る。
【0054】
【表1】 表1から明らかなように、本発明試料1、2が脂質をよ
く吸着すること、C/N比が高いときはヘパリン化する
と、脂質吸着性が向上することが分かる。また、N−ア
ルキル基が低級のエチル基では吸着能が低いこと、C/
N比が低いと、吸着能が低いこと、ポリアルキレンイミ
ンの重合度の低いテトラエチレンペンタミンでは吸着能
が低いこと分かる。
【0055】[実施例2]ニトロベンゼン16mLと硫
酸32mLの混合溶液を0℃に冷却後、4.2gのN−
メチロール−α−クロルアセトアミドを加えて溶解し、
これを、10℃のユーデルポリスルホンP3500の3
Lのニトロベンゼン溶液(300g/3L)に、よく撹
拌しながら加えた。さらに、室温で3時間撹拌した。そ
の後、反応混合物を大過剰の冷メタノール中に入れ、ポ
リマーを沈殿させた。沈殿物をメタノールでよく洗った
後、乾燥し、さらに、ジメチルホルムアミド/メタノー
ルから再沈殿して、303gのα−クロルアセトアミド
メチル化ポリスルホン(置換率:0.05;重合体−
C)を得た。
【0056】次に、ポリエチレンイミン(平均分子量1
0000:和光純薬)60gを300mLのジメチルホ
ルムアミドに溶かした溶液に、臭化ラウリル33mL
(0.1倍モル)を加え、60℃で6時間加熱した後、
30gの上記重合体−Cを含む300mLのジメチルホ
ルムアミド溶液と混合し、室温で24時間撹拌した。こ
れに160mL(0.5倍モル)の臭化ラウリルを加
え、さらに室温で48時間撹拌した。反応混合物を大過
剰のメタノールに加え、沈殿したポリマーを濾取した。
得られたポリマーを乾燥し、さらに、ジメチルホルムア
ミド/メタノールから再沈殿して、27gのN−アルキ
ル化ポリアルキレンイミン固定化ポリスルホン(本発明
吸着剤)を調製した。
【0057】上記の本発明吸着剤5gを含む塩化メチレ
ン250mlの溶液に、単糸繊度1デニールのナイロン
66繊維の綿20gを浸漬し、20時間後にその綿を取
り出し、絞液後に風乾し、23gのコーティング綿を得
た。
【0058】次に、このコーティング綿0.18gをヘ
パリンで処理した後、4mlのヒト血清で吸着能の評価
(37℃4時間)をしたところ、表2の結果が得られ
た。
【0059】
【表2】 また、比較資料として、デキストランサルフェートビー
ズ(リポソーバ)0.7mL使用したものを表2に示し
た。表2から本発明試料が脂質成分をよく吸着すること
が分かる。 [実施例3]実施例2で得られたN−アルキル化ポリア
ルキレンイミン固定化ポリスルホン(本発明吸着剤)5
gを、塩化メチレン250mlに溶かした溶液に、1.
35デニールのナイロン6繊維からなる筒編み地44g
を浸漬し、20時間後に筒編み地を取り出し、絞液した
後に風乾し、25gのコーティング編み地を得た。
【0060】上記コーティング編み地7gを25mLの
カラムに詰め、KHCウサギ(体重3.1kg)をネン
ブタール麻酔下、ヘパリンを使用して、16ml/分の
流量で2時間、全血体外循環(DHP)した。結果を表
3に示す。
【0061】
【表3】 高脂血症ウサギのコレステロールを低下せしめた。カラ
ムの前後でコレステロールの濃度差があることから吸着
していることが分かる。
【0062】[実施例4]ポリプロピレン(三井“ノー
ブレン”J3HG)50部を島成分とし、ポリスチレン
(“スタンロン”666)46部とポリプロピレン(住
友“ノーブレン”WF−727−F)4部の混合物を海
成分とする多芯海島型複合繊維(島数16、単糸繊度
2.6デニール、引張り強度2.9g/d、伸度50%、
フィラメント数42)100gを、N−メチロール−α
−クロルアセトアミド100g、ニトロベンゼン800
g、硫酸800gおよびパラホルムアルデヒド1.70
gからなる混合溶液中に入れ、20℃で1時間反応させ
た。繊維を反応液から取り出し、0℃の氷水中に投じ
て、反応停止させた後、水で洗浄し、次に、繊維に付着
しているニトロベンゼンをメタノールで抽出除去した。
この繊維を、50℃で真空乾燥して、クロルアセトアミ
ドメチル化繊維(繊維Aとする)140gを得た。
【0063】ラウリル化率10%のラウリル化ポリエチ
レンイミン(ポリエチレンイミンの分子量1万:C/N
比3.2)40gを250mLのDMFに溶かした溶液
に、予めDMFで十分に膨潤させた繊維A16gと25
0mLのDMFの混合物と混ぜ、80℃で4時間反応さ
せた。繊維をテトラヒドロフランおよびイソプロパノー
ルでよく洗浄したのち、乾燥して、20gの本発明の繊
維状吸着剤を得た。
【0064】この繊維状吸着剤0.2gを、ヒト血清4
mL中に入れ、37℃で4時間振盪したところ、総コレ
ステロールが122から73mg/dlに、中性脂肪が
58から34mg/dlに、LDLが245から140
mg/dlに低下した。脂肪成分をよく吸着することが
確かめられた。
【0065】
【発明の効果】本発明の吸着剤は、水不溶性重合体に、
N−アルキル基が炭素数4以上であるN−アルキル化ポ
リアルキレンイミンをグラフト結合させたものであるこ
とを最大の特徴とするものであり、中空糸等の繊維や膜
状に加工して、あるいは、繊維等成形品の表面に塗布し
たものとして用いることができる。これらは血栓形成性
物質の吸着剤として、優れた特性を示し、高脂血症ウサ
ギの治療実験でその効果が確認された。本発明の吸着剤
を充填した体外循環用カラムは、冠動脈に閉塞性疾患を
有する患者の治療に有用である。

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 N−アルキル基が炭素数4以上であるN
    −アルキル化ポリアルキレンイミンをグラフト結合した
    水不溶性重合体からなることを特徴とする血栓形成性物
    質の吸着剤。
  2. 【請求項2】 前記N−アルキル化ポリアルキレンイミ
    ンのN−アルキル化率が1%以上であり、かつ、炭素数
    /窒素数比が2.3〜26であることを特徴とする請求
    項1記載の血栓形成性物質の吸着剤。
  3. 【請求項3】 前記N−アルキル化ポリアルキレンイミ
    ンが、重合度10以上10,000以下のエチレンイミ
    ン重合体のN−アルキル化体であることを特徴とする請
    求項1または2記載の血栓形成性物質の吸着剤。
  4. 【請求項4】 前記水不溶性重合体がアミン結合性基を
    有するポリスルホンであることを特徴とする請求項1〜
    3のいずれかに記載の血栓形成性物質の吸着剤。
  5. 【請求項5】 前記水不溶性重合体が、アミン結合性基
    を有するポリ(ビニル芳香族化合物)であることを特徴
    とする請求項1〜3のいずれかに記載の血栓形成性物質
    の吸着剤。
  6. 【請求項6】 前記水不溶性重合体がポリイミドである
    ことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の血栓
    形成性物質の吸着剤。
  7. 【請求項7】 前記水不溶性重合体を成形してなること
    を特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の血栓形成
    性物質の吸着剤。
  8. 【請求項8】 前記水不溶性重合体を、成形品の表面に
    塗布してなることを特徴とする請求項1〜6のいずれか
    に記載の血栓形成性物質の吸着剤。
  9. 【請求項9】 ヘパリンを吸着させたことを特徴とする
    請求項1〜8のいずれかに記載の血栓形成性物質吸着
    剤。
  10. 【請求項10】 請求項1〜9のいずれかに記載の血栓
    形成性物質の吸着剤を充填した体外循環カラム。
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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002035117A (ja) * 2000-07-26 2002-02-05 Toray Ind Inc 炎症性疾患治療用カラム
JP2002102339A (ja) * 2000-09-29 2002-04-09 Toray Ind Inc 過酸化脂質吸着材
JP2002102692A (ja) * 2000-09-29 2002-04-09 Toray Ind Inc 過酸化脂質吸着材の製造方法
JP2002102340A (ja) * 2000-09-29 2002-04-09 Toray Ind Inc 過酸化脂質吸着材
JP2010513644A (ja) * 2006-12-22 2010-04-30 ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア 移染防止剤としての疎水性に変性されたポリアルキレンイミン

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