JPH11131213A - 表面光輝製品の製造方法 - Google Patents

表面光輝製品の製造方法

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JPH11131213A
JPH11131213A JP29684197A JP29684197A JPH11131213A JP H11131213 A JPH11131213 A JP H11131213A JP 29684197 A JP29684197 A JP 29684197A JP 29684197 A JP29684197 A JP 29684197A JP H11131213 A JPH11131213 A JP H11131213A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 表面光輝製品の製造に際し、湿式プロセスの
ような煩雑な処理を別途に必要とすることなく、真空金
属化処理工程にわずかの工夫を加えるだけで、容易かつ
簡便に金属微粒子薄膜層を所望の島状構造とする。 【解決手段】 金属光輝層用の金属材料として、熱膨張
係数が製品基材よりも小さい金属を用い、金属微粒子の
薄膜層を形成後、製品基材の温度を上昇させ、基材全体
の体積を熱膨張させることによって、被覆した金属微粒
子層に微細な溝状クラックを発生させ、この状態で、製
品基材の表面に透明な液状トップコートを塗布し、製品
基材表面の金属微粒子層の全面を覆うと共に、この液状
トップコートを溝状クラック内に浸透させて製品基材の
表面と接触させることにより、独立した多数の島状構造
の金属微粒子を包み込みつつ、製品基材の表面に強固に
固着したトップコート層を形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、表面光輝製品の製造方
法に関し、特に真空金属化処理を利用して表面光輝製品
を製造する場合に、湿式プロセスのような煩雑な処理を
必要とすることなしに、容易かつ簡便に金属微粒子薄膜
層を島状構造として、外力が作用した場合であっても金
属微粒子薄膜層に亀裂を生じ難くし、またたとえ亀裂が
生じたとしても錆の発生を極力抑制して、錆の拡大ひい
ては薄膜層や保護層の剥離を効果的に防止することによ
り、美麗な光輝化表面の安定した維持を可能ならしめよ
うとするものである。
【0002】
【従来の技術】最近、自動車のフロントグリルやサイド
モール、オーナメント、さらにはウインドーの周縁部に
装着される合成樹脂製のモールディング材として、ある
いはアルミニウム合金やスチール製のホイール材とし
て、一部または全面を真空金属化処理によって光輝化し
た、表面光輝製品と呼ばれるものが使用されている。
【0003】この種の材料は、通常、所定の形状に成形
した合成樹脂製や金属製の基材の表面に、必要に応じて
ベースコート層を被覆したのち、スパッタリング等の真
空金属化処理によって金属薄膜を被成し、その上にさら
に透光性のトップコート層を形成することによって製造
されている。
【0004】しかしながら、上記のようにして得られた
表面光輝製品は、金属薄膜層が連続して形成されている
が故に、以下に述べるような問題があった。すなわち、
表面に光輝化処理が施された成形品を車体等に取り付け
て使用する場合、外部から外力を受けて撓んだり変形す
ることがあり、このような場合に金属薄膜層には亀裂が
生じ易い。また、ある種の用途においては、何らかの外
力を受けた場合に、製品自身が撓んだり変形したりして
その力を吸収する機能が必要とされるが、ベースコート
層やトップコート層はその復元能力を有するものの、金
属薄膜層はその変形に追従できないため、やはり部分的
に亀裂が発生するおそれが大きい。
【0005】金属薄膜層に、上記したような亀裂が発生
すると、かかる亀裂から水等が浸入し、金属薄膜層に錆
が発生する、しかもかような錆の発生領域が拡大する
と、金属薄膜層やトップコート層で剥離が生じる。この
ように、金属薄膜層に錆や剥離が生じた成形品は、その
本来の機能を全うできず、成形品自体の装飾性が損なわ
れることは言うまでもない。
【0006】上記の問題を解決するものとして、特開昭
64-47853号公報において、製品基材の表面に真空金属化
処理によって被覆した金属微粒子薄膜層を、この金属を
溶解し得る溶剤の中に浸して溶解エッチングを施すこと
により、金属微粒子間の溝部の残留物を溶解除去し、そ
の後にトップコートを被覆する方法が開発された。上記
の方法によれば、金属微粒子間の溝部にトップコートが
浸透し、金属微粒子を包み込みつつ、トップコートとベ
ースコートが強固に結合することから、外力により撓み
や変形が生じたとしても金属微粒子薄膜層に亀裂が発生
し難く、たとえ亀裂が発生したとしても個々の金属微粒
子が独立しているので、錆の発生・拡大ひいては薄膜層
やトップコート層の剥離を効果的に防止することができ
る。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
方法には、以下に述べるような問題を残していた。 (1) 島状構造の金属微粒子を得るのに、溶剤中に浸して
溶解させるという、湿式プロセスを別途必要とする。 (2) 真空金属化処理は乾式プロセスであるのに対し、島
状金属微粒子間の溝部の残留物を除去する処理は湿式プ
ロセスであることから、両者が一貫した連続プロセスと
することが難しい。 (3) 溶剤中に浸して溶解エッチングした後、その溶剤が
酸性であればアルカリにより、一方アルカリであれば酸
により中和処理し、さらに数度の水洗処理を必要とする
ので、処理が煩雑なだけでなく、大型の処理設備を必要
とする(なお、溶剤の酸やアルカリが残存すると徐々に
ではあるが経時的に金属微粒子は溶解または腐食してい
くので、かような酸やアルカリは完全に除去する必要が
ある)。 (4) 溶剤の濃度や浸漬時間など、溶解エッチング条件を
厳密に管理する必要がある(例えば、浸漬時間が長けれ
ば過剰に溶解し、短ければ溶解不足となり、いずれの場
合にも所望の島状構造を安定的に形成するのが難し
い)。
【0008】本発明は、上記の問題を有利に解決するも
ので、湿式プロセスのような煩雑な処理を別途に必要と
することなく、真空金属化処理工程にわずかの工夫を加
えるだけで、容易かつ簡便に金属微粒子薄膜層を所望の
島状構造とすることができる表面光輝製品の有利な製造
方法を提案することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明の要旨
構成は次のとおりである。 1.製品基材の表面に、真空金属化処理によって、熱膨
張係数が製品基材よりも小さい金属の微粒子からなる薄
膜層を形成し、ついで、この金属微粒子の薄膜層を被覆
した製品基材の温度を上昇させ、基材全体の体積を熱膨
張させることによって、被覆した金属微粒子層に微細な
溝状クラックを発生させ、該金属微粒子薄膜層がマクロ
的には一体に連続した光輝表面にみえるものの、ミクロ
的にはこの溝状クラックにより互いに分離された多数の
独立した島状構造とし、この状態で、製品基材の表面に
透明な液状トップコートを塗布し、製品基材表面の金属
微粒子層の全面を覆うと共に、この液状トップコートを
溝状クラック内に浸透させて製品基材の表面と接触させ
ることにより、独立した多数の島状構造の金属微粒子を
包み込みつつ、製品基材の表面に強固に固着したトップ
コート層を形成する、ことを特徴とする表面光輝製品の
製造方法。
【0010】2.製品基材が、その表面に予め合成樹脂
製のベースコート層をそなえるものである、上記1記載
の表面光輝製品の製造方法。
【0011】3.製品基材が、金属成形品である、上記
1または2記載の表面光輝製品の製造方法。 4.製品基材が、非金属成形品である、上記1または2
記載の表面光輝製品の製造方法。 5.製品基材が、合成樹脂成形品である、上記4記載の
表面光輝製品の製造方法。
【0012】6.合成樹脂成形品が、ゴム状の弾性を呈
する合成樹脂からなる、上記5記載の表面光輝製品の製
造方法。 7.ゴム状の弾性を呈する合成樹脂が、熱可塑性エラス
トマー樹脂である、上記6記載の表面光輝製品の製造方
法。 8.熱可塑性エラストマー樹脂が、ウレタン系樹脂、オ
レフィン系樹脂またはスチレン系樹脂である、上記7記
載の表面光輝製品の製造方法。
【0013】9.真空金属化処理に際し、製品基材を、
常温を下回る低温に保持してなる、上記1〜8のいずれ
かの項に記載の表面光輝製品の製造方法。
【0014】10.液状トップコートの塗布時に、製品基
材を、常温を超える高温に保持してなる、上記1〜9の
いずれかの項に記載の表面光輝製品の製造方法。
【0015】11.真空金属化処理が、スパッタリング
法、抵抗加熱蒸着法、エレクトロンビーム加熱蒸着法お
よびイオンプレーティング法のうちから選んだいずれか
の方法である、上記1〜10のいずれかの項に記載の表面
光輝製品の製造方法。
【0016】12.真空金属化処理に使用する金属材料
が、クロム、ニッケル、アルミニウム、インジウム、
鉛、チタン、鉄、金および銀のうちから選んだいずれか
の金属、またはこれらの合金である、上記1〜11のいず
れかの項に記載の表面光輝製品の製造方法。
【0017】13. 金属微粒子薄膜層の厚みが10〜100 nm
である、上記1〜12のいずれかの項に記載の表面光輝製
品の製造方法。
【0018】14. 島状構造の金属微粒子の平均粒径が10
〜500 nmである、上記1〜13のいずれかの項に記載の表
面光輝製品の製造方法。 15. 島状構造の金属微粒子を離間する溝状クラックの平
均溝幅が5〜100 nmである、上記1〜14のいずれかの項
に記載の表面光輝製品の製造方法。
【0019】16. 製品基材と金属微粒子薄膜層との熱膨
張係数差が0.15×10-4/K以上である、 上記1〜15のいずれかの項に記載の表面光輝製品の製造
方法。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、本発明を図面に基づき具体
的に説明する。図1〜図7に、本発明に従う表面光輝製
品の製造要領を図解する。図1において、番号1は製品
基材である。この製品基材1の材質については、金属お
よび非金属とくに合成樹脂が有利に適合するが、その後
に真空下で金属化処理を施すので、スポンジ状の多孔質
材料は好ましくない。また、製品基材の機械的特性とし
て、温度上昇に伴う熱膨張力が、後述する金属微粒子の
薄膜層の面方向の引張り力よりも大となるような形状に
する必要がある。
【0021】製品基材1は、その表面が平滑であれば、
そのまま次工程の真空金属化処理に供することができる
が、かかる真空金属化処理に先立ち、図2に示すような
弾性伸縮可能な合成樹脂のベースコート層2を予め形成
しておくことが有利である。というのは、かようなベー
スコート層2を形成すると、基材表面が一層平滑になる
だけでなく、次工程の真空金属化処理の際に金属微粒子
との密着性が向上し、さらにはトップコート層との密着
性の向上にも有効に寄与するからである。
【0022】ついで、好ましくはベースコート層を被覆
した製品基材の表面に、真空金属化処理により、図3に
示すような、金属微粒子からなる薄膜層3を形成する。
ここに、真空金属化処理としては、微量なアルゴンガス
の存在下でのスパッタリング法、抵抗加熱蒸着法および
エレクトロンビーム加熱蒸着法等が有利に適合するが、
かような方法によって薄膜層を形成した場合には、図3
および図4に示すように、ミクロ的には個々の金属微粒
子4の周りが谷5で囲まれたような形状の被膜が形成さ
れる(ただし、谷部5には、僅かながらも金属微粒子が
残存していて、必ずしも基材表面またはベースコート表
面まで到達していない)。
【0023】従来は、上記のような形状の被膜につい
て、各谷部を基材またはベースコート表面まで到達させ
て、各金属微粒子を島状に独立させるために、溶剤中に
浸して溶解させるという、湿式プロセスを別途必要とし
たのである。しかしながら、かような湿式プロセスは、
種々の問題を包含していたのは前述したとおりである。
【0024】そこで、本発明では、上記のような湿式プ
ロセスを用いず、通常の真空金属化処理の際に若干の工
夫を加えることによって上記の問題を解決したのであ
る。すなわち、本発明では、まず、所定の温度たとえば
常温(15〜25℃)よりも低い低温で、真空金属化処理に
よって熱膨張係数が製品基材よりも小さい金属の微粒子
からなる薄膜層を形成する。この状態が、図3に示した
状態で、製品基材の寸法は、常温時の寸法Lよりもα
(片端当たり)だけ縮まっている。その後、この金属微
粒子の薄膜層3を形成した製品基材全体の温度を常温ま
で戻すと製品基材の寸法は常温時の寸法Lに戻り、さら
に温度を上昇させると、熱膨張により、製品基材の寸法
は常温時の寸法Lよりもβ(片端当たり)だけ拡大する
(図5参照のこと)。
【0025】このように、製品基材全体の体積を熱膨張
させた場合、製品基材またはベースコート層は熱膨張係
数が大きいために製品基材の寸法はかなり大きくなる
が、薄膜層を構成する金属微粒子の熱膨張係数は小さい
ので、金属微粒子層の内部には面方向の引っ張り応力が
発生し、特に谷部に応力が集中するため、図5および図
6に示すように、金属微粒子の周りの谷部に沿って基材
またはベースコート表面まで達する溝状のクラック6が
発生する。
【0026】そこで、本発明では、隣接する島状構造の
金属微粒子間に基材またはベースコート表面まで達する
クラック6が形成されている状態で、図7に示すよう
に、製品基材の表面に透明な合成樹脂製の液状トップコ
ートを塗布し、製品基材表面の金属微粒子層の全面を覆
うと共に、この液状トップコートを溝状クラック内に浸
透させて製品基材またはベースコートの表面と接触させ
ることにより、独立した多数の島状構造の金属微粒子を
包み込みつつ、製品基材の表面に強固に固着したトップ
コート層7を形成するのである。かくして、湿式プロセ
スのような煩雑な工程を別途に必要とすることなしに、
島状構造の金属微粒子を個々にトップコート層で包み込
んだ金属光輝層が形成されるのである。
【0027】かかる金属光輝層は、マクロ的には金属微
粒子層が一体に連続した光輝表面にみえるものの、ミク
ロ的には溝状クラックにより互いに分離された多数の独
立した島状構造になっていて、トップコート層が島状の
金属微粒子を包み込みつつ、トップコート層とベースコ
ート層が強固に結合していることから、外力により撓み
や変形が生じたとしても、大部分は溝状クラック部で吸
収されるため金属光輝層には亀裂が生じ難く、たとえ亀
裂が生じたとしても金属光輝層の発錆は目視されない極
めて微細な範囲に止まるので、錆の拡大ひいては金属光
輝層やトップコート層の剥離等が生じるおそれはない。
【0028】ここに、製品基材としては、金属材料の場
合、アルミニウム、マグネシウム、鉄、またはそれらの
各合金が、また非金属材料の場合、合成樹脂全般および
一部のセラミックスが有利に適合し、特に好適な合成樹
脂としては、硬質のものとして、ABS樹脂、PC樹
脂、PPE樹脂、PBT樹脂やこれらのポリマー・アロ
イ等が、また軟質のものとして、TPO(熱可塑性オレ
フィン系樹脂)やTPU(熱可塑性ウレタン系樹脂)等
の熱可塑性エラストマー樹脂が挙げられる。製品基材と
して金属材料を用いた場合には、基材とは異なる色調の
光輝表面が得られ、また非金属材料を用いた場合には、
基材表面とは異なる色の光輝色が得られる。また、製品
基材として合成樹脂、特にゴム状の弾性を呈するエラス
トマー樹脂を用いた場合は、通常の金属成形品と同等の
外観品質を保ちながら、例え変形しても元の形に容易に
復元させることができ、安全性の上でも有利である。加
えてエラストマー樹脂は、通常の硬質樹脂の場合と同様
に、射出成形などの加熱・圧縮成形が可能で、製品基材
の成形が容易なだけでなく、入手が容易という利点もあ
る。なお、製品基材として特に金属材料を用いる場合に
は、その後に被覆する金属微粒子薄膜層の金属微粒子よ
りも熱膨張係数が大きいものを選択使用することが肝要
である。
【0029】また、ベースコート材としては、液状の二
液ウレタン系塗料が特に有利に適合するが、その他、同
アクリル・ウレタン系塗料、同ポリエステル変性ウレタ
ン系塗料等も好適に使用できる。なお、ベースコート材
は液状で塗布されたのち、80℃, 30分間程度の乾燥・焼
き付け処理により、ベースコート層が形成される。ベー
スコート層の厚みは、乾燥時で5〜50μm 程度とするの
が好ましい。というのは、ベースコート層の厚みが5μ
m に満たないと平滑な表面が形成されないおそれがあ
り、一方50μm を超えると表面にタレが生じ易くなるか
らである。なお、通常ではベースコート層の形成・付着
が困難な製品基材たとえばPP(ポリプロピレン)樹脂
等のポリオレフィン系樹脂を使用する場合には、事前に
製品基材表面に酸素の存在下で低温プラズマ処理やコロ
ナ放電処理を施すか、塩素化ポリオレフィン系のプライ
マー層を形成しておくことが好ましい。
【0030】さらに、真空金属化処理としては、チャン
バー内の製品基材の温度が上昇する度合いが少なく、ま
た金属がエネルギーを持って製品基材表面に衝突し、基
材表面またはベースコート層表面に対する密着強度が高
い金属微粒子薄膜層の形成が可能なスパッタリング法が
とりわけ有利に適合するが、その他許容できる温度上昇
の範囲で抵抗加熱蒸着法、エレクトロンビーム加熱蒸着
法およびイオンプレーティング法などを用いることがで
き、それぞれ抵抗加熱蒸着法は真空金属化装置がコンパ
クトで処理が簡単、またエレクトロンビーム加熱蒸着法
は真空下で溶融温度が比較的高い金属でも適用可能とい
う利点がある。
【0031】また、真空金属化処理に使用する金属材料
としては、クロム、ニッケル、アルミニウム、インジウ
ム、鉛、チタン、鉄、金および銀のうちから選んだいず
れか、またはこれらの合金が有利に適合する。ここに、
使用する金属によっては、上述したような、基材または
ベースコート表面まで達する溝部が明瞭には形成されな
い、換言すると基材やベースコート表面が完全には露出
しない場合もあるが、後工程で塗布する液状のトップコ
ートがしみ込んで基材やベースコート表面に達するもの
であれば、同様の効果を得ることができる。
【0032】なお、金属微粒子層の膜厚が10nmに満たな
いと、製品基材表面またはベースコート層の色が透けて
見えるおそれがあり、一方 100nmを超えると目視したと
きに光輝面が白濁化する、換言すると光の反射率が低下
する不利が生じるので、膜厚は10〜100 nm程度とするの
が望ましい。また、金属微粒子の平均粒径は10〜500 nm
程度とするのが好ましい。というのは、粒径が10nmに満
たないと、相対的に溝部の面積が増大するため、美麗な
光輝色が得難く、一方 500nmを超えるとそれに伴って厚
みが増大する結果、やはり目視したときに白濁化して光
輝色が失われるからである。さらに、各金属微粒子を離
間する溝状クラックの平均溝幅は5〜100 nm程度とする
のが好ましい。というのは、溝幅が5nmに満たないと、
隣り合う各島が実質的につながってしまうため、溝部に
トップコート液が十分に浸透しなくなり、一方 100nmを
超えると、金属微粒子層の表面の白濁化を生じるからで
ある。なお、適正な溝幅が得られないときには、製品基
材の材質を、熱膨張係数が大または小の材料と組み合わ
せて合金化(樹脂の場合にはポリマー・アロイ化)した
り、ガラスファイバー等の補強材の添加の有無、添加量
の変更、材質の変更等で調整することができる。
【0033】次に、製品基材と金属微粒子薄膜層との熱
膨張係数差は0.15×10-4/K以上(好ましくは 0.5×10-4
/K以上)にすることが望ましい。というのは、熱膨張係
数差が0.15×10-4/Kに満たないと、製品基材が熱膨張す
るときに金属微粒子が追随してしまい、必要とするクラ
ックを形成できないおそれがあるからである。ここに、
代表的な製品基材材料と金属微粒子材料の熱膨張係数を
示すと次表1のとおりである。従って、これらの各材料
から熱膨張係数差が好適なものを組み合わせて使用する
ことが肝要である。
【0034】
【表1】
【0035】また、トップコート材としては、液状の二
液ウレタン系塗料や同アクリル・ウレタン系塗料に紫外
線吸収剤を混入した、無色透明塗料および着色透明塗料
等が有利に適合する。特に、着色透明塗料を使用する
と、多様な色を現出できる。例えば、クロムやニッケル
・クロム合金、インジウム等の金属薄膜の上に黄色の着
色透明トップコート層を形成すれば金色を呈し、また茶
色の着色透明トップコート層を形成すればチタン色を呈
するようになり、比較的コストの高い金属の使用を回避
する上でも有利である。なお、トップコート材は、ベー
スコート材の場合と同様に、乾燥、焼き付けされてトッ
プコート層が形成される。ここに、トップコート層の厚
みは、乾燥時で5〜50μm 程度(より好ましくは25μm
前後)とすることが望ましい。というのは、トップコー
ト層の厚みが5μm に満たないと、十分な耐候性および
耐摩耗性が得られず、一方50μm を超えるとベースコー
トの場合と同様に表面にタレが生じ易くなるからであ
る。
【0036】次に、真空金属化処理を、常温よりも低い
低温で行う場合の具体的な実施要領を、その実施に用い
て好適な装置と共に説明する。図8に、実施に用いて好
適な装置を示し、図中番号8が冷却チャンバーであり、
9は被処理材載置用のラック、10は台車、11は冷媒の供
給口、12は冷媒の排出口である。また、13が真空チャン
バーであり、14は該チャンバー内温度の低温保持を司
る、パイプ状の冷媒の蒸発器、15は蒸発器14への冷媒
(液体)の供給口、16は蒸発器14からの冷媒(気体)の
排出口、そして17が排気パイプである。
【0037】さて、前掲図1または図2に示したよう
な、製品基材または表面にベースコート層を被覆した製
品基材を、予め冷却チャンバー8内に装入し、常温より
も低い所定の温度まで冷却する。ついで、内部に製品基
材を装入したままの冷却チャンバー8を真空チャンバー
13に近づけ、冷却チャンバー8を上方に引き上げて外し
た後、製品基材をラック9に載置したまま台車10を速や
かに真空チャンバー13内に導き、その後直ちに真空ポン
プ(図示省略)により排気パイプ17を介して、該チャン
バー13内を真空に引く。ついで、チャンバー13内が所定
の真空度になった段階で真空金属化処理を施すわけであ
るが、該チャンバー13内では処理中に製品基材の温度が
上昇することはほとんどない。
【0038】この点について、いま少し具体的に説明す
ると、真空金属化処理の前に、製品基材を常温よりも低
い温度まで冷却しておき(例えば、液体窒素の中に浸漬
したり、または図8に示したように霧状の液体窒素で全
体を冷却する)、湿気を含む一般的な作業環境の常温の
大気中に曝すと、製品基材の表面には結露によって細か
い水滴が無数に付着する。また、摂氏零度以下まで冷却
した場合には、同様に無数の霜や氷が付着する。このよ
うに、水滴や霜、氷が付着したままの状態で、製品基材
を真空チャンバー内にセットし、チャンバー内の空気を
徐々に排出して内部を真空にすると、水滴等は容易に気
化して製品基材から気化熱(蒸発熱)を奪うので、チャ
ンバー内での製品基材の温度上昇を抑制することができ
る。また、真空度が高まるにつれて、熱の移動手段のう
ち対流、伝導が低くなり、外部(例えば真空チャンバー
の壁)からの製品基材に伝わる熱は輻写だけになるが、
該チャンバー13内は常に冷却されているので、この輻写
による温度上昇も効果的に抑制することができる。
【0039】一般的な真空金属化処理装置(チャンバー
内容積:10〜30m3)において、真空ポンプを駆動してチ
ャンバー内を真空金属化処理が可能な10-4〜10-5torr程
度まで真空化するには、通常10〜20分を要するが、この
時間内に製品基材の温度があまり上昇するのは好ましく
ない。この点、上述したように、事前に製品基材を冷却
しておいて、さらに製品基材の表面に水滴や霜、氷を付
着させておけば、かような温度上昇を効果的に抑制する
ことができる。なお、真空チャンバー内は常に冷却され
ているので、真空金属化処理として蒸着法を採用した場
合には、蒸発熱源からの放射熱を効果的に吸収すること
ができ、またスパッタリング法を採用した場合には、熱
源がないので温度上昇が少ないのに加え、基材表面への
金属微粒子の衝突に起因した発熱を効果的に吸収するこ
とができるので、これらの処理による製品基材の温度上
昇もほとんどない。
【0040】
【発明の効果】かくして、本発明によれば、表面光輝製
品の製造に際し、金属微粒子薄膜層を島状構造とするの
に、湿式プロセスのような煩雑な処理を必要としないの
で、真空金属化処理と金属微粒子薄膜層の島状化処理を
乾式で連続的に実施することができ、生産能率を格段に
向上させることができる。また、工程管理に、湿式プロ
セスのような厳密さを必要としないので、作業の簡便化
に併せ、高品質製品の安定生産が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】製品基材を示した図である。
【図2】製品基材の表面にベースコート層を形成した状
態を示す断面図である。
【図3】ベースコート層をそなえる製品基材の表面に金
属微粒子薄膜層を形成した状態を示す断面図である。
【図4】図3における矢印P方向から見た金属微粒子薄
膜層の平面図である。
【図5】製品基材全体を熱膨張させ、金属微粒子の周り
に溝状のクラックが発生した状態を示す断面図である。
【図6】図5における矢印Q方向から見た金属微粒子薄
膜層の平面図である。
【図7】溝状クラックが発生した金属微粒子薄膜層の上
にトップコート層を被覆した状態を示す断面図である。
【図8】真空金属化処理の実施に用いて好適な、冷却チ
ャンバーおよび真空チャンバーを示す模式図である。
【符号の説明】
1 製品基材 2 ベースコート層 3 金属微粒子 5 谷部 6 溝状クラック 7 トップコート層 8 冷却チャンバー 9 被処理材載置用のラック 10 台車 11 冷媒の供給口 12 冷媒の排出口 13 真空チャンバー 14 冷媒の蒸発器 15 冷媒の供給口 16 冷媒の排出口 17 排気パイプ

Claims (16)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】製品基材の表面に、真空金属化処理によっ
    て、熱膨張係数が製品基材よりも小さい金属の微粒子か
    らなる薄膜層を形成し、 ついで、この金属微粒子の薄膜層を被覆した製品基材の
    温度を上昇させ、基材全体の体積を熱膨張させることに
    よって、被覆した金属微粒子層に微細な溝状クラックを
    発生させ、該金属微粒子薄膜層がマクロ的には一体に連
    続した光輝表面にみえるものの、ミクロ的にはこの溝状
    クラックにより互いに分離された多数の独立した島状構
    造とし、 この状態で、製品基材の表面に透明な液状トップコート
    を塗布し、製品基材表面の金属微粒子層の全面を覆うと
    共に、この液状トップコートを溝状クラック内に浸透さ
    せて製品基材の表面と接触させることにより、独立した
    多数の島状構造の金属微粒子を包み込みつつ、製品基材
    の表面に強固に固着したトップコート層を形成する、こ
    とを特徴とする表面光輝製品の製造方法。
  2. 【請求項2】製品基材が、その表面に予め合成樹脂製の
    ベースコート層をそなえるものである、請求項1記載の
    表面光輝製品の製造方法。
  3. 【請求項3】製品基材が、金属成形品である、請求項1
    または2記載の表面光輝製品の製造方法。
  4. 【請求項4】製品基材が、非金属成形品である、請求項
    1または2記載の表面光輝製品の製造方法。
  5. 【請求項5】製品基材が、合成樹脂成形品である、請求
    項4記載の表面光輝製品の製造方法。
  6. 【請求項6】合成樹脂成形品が、ゴム状の弾性を呈する
    合成樹脂からなる、請求項5記載の表面光輝製品の製造
    方法。
  7. 【請求項7】ゴム状の弾性を呈する合成樹脂が、熱可塑
    性エラストマー樹脂である、請求項6記載の表面光輝製
    品の製造方法。
  8. 【請求項8】熱可塑性エラストマー樹脂が、ウレタン系
    樹脂、オレフィン系樹脂またはスチレン系樹脂である、
    請求項7記載の表面光輝製品の製造方法。
  9. 【請求項9】真空金属化処理に際し、製品基材を、常温
    を下回る低温に保持してなる、請求項1〜8のいずれか
    の項に記載の表面光輝製品の製造方法。
  10. 【請求項10】液状トップコートの塗布時に、製品基材
    を、常温を超える高温に保持してなる、請求項1〜9の
    いずれかの項に記載の表面光輝製品の製造方法。
  11. 【請求項11】真空金属化処理が、スパッタリング法、
    抵抗加熱蒸着法、エレクトロンビーム加熱蒸着法および
    イオンプレーティング法のうちから選んだいずれかの方
    法である、請求項1〜10のいずれかの項に記載の表面光
    輝製品の製造方法。
  12. 【請求項12】真空金属化処理に使用する金属材料が、
    クロム、ニッケル、アルミニウム、インジウム、鉛、チ
    タン、鉄、金および銀のうちから選んだいずれかの金
    属、またはこれらの合金である、請求項1〜11のいずれ
    かの項に記載の表面光輝製品の製造方法。
  13. 【請求項13】金属微粒子薄膜層の厚みが10〜100 nmで
    ある、請求項1〜12のいずれかの項に記載の表面光輝製
    品の製造方法。
  14. 【請求項14】島状構造の金属微粒子の平均粒径が10〜
    500 nmである、請求項1〜13のいずれかの項に記載の表
    面光輝製品の製造方法。
  15. 【請求項15】島状構造の金属微粒子を離間する溝状ク
    ラックの平均溝幅が5〜100 nmである、請求項1〜14の
    いずれかの項に記載の表面光輝製品の製造方法。
  16. 【請求項16】製品基材と金属微粒子薄膜層との熱膨張
    係数差が0.15×10-4/K以上である、請求項1〜15のいず
    れかの項に記載の表面光輝製品の製造方法。
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