JPH11135002A - 電子放出素子及びその製造方法、及びそれを用いた電子放出源並びに蛍光体発光装置 - Google Patents

電子放出素子及びその製造方法、及びそれを用いた電子放出源並びに蛍光体発光装置

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JPH11135002A
JPH11135002A JP29827297A JP29827297A JPH11135002A JP H11135002 A JPH11135002 A JP H11135002A JP 29827297 A JP29827297 A JP 29827297A JP 29827297 A JP29827297 A JP 29827297A JP H11135002 A JPH11135002 A JP H11135002A
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electron
diamond
emitting device
film
conductive layer
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JP29827297A
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English (en)
Inventor
Masahiro Deguchi
正洋 出口
Makoto Kitahata
真 北畠
Hideo Kurokawa
英雄 黒川
Tetsuya Shiratori
哲也 白鳥
Toshifumi Sato
利文 佐藤
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Panasonic Holdings Corp
Original Assignee
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 導電層上あるいは導電層間に電子放出部とな
る膜を配置させた構成であることにより、効率的でかつ
安定の高い電子放出素子を提供する。 【解決手段】 複数の電極部と、前記電極部が配置され
た導電層と、前記導電層上あるいは導電層間に電子放出
部となる膜を配置したことによって、効率良く電子放出
がなされると共に、安定性の高い電子放出を得ることが
可能となる。また電子放出部となるダイヤモンド膜ある
いはダイヤモンドを主成分とする膜の形成工程におい
て、平均粒径が0.2μm以下の粒子状ダイヤモンドを分
布させる工程と前記粒子状ダイヤモンド状にダイヤモン
ドを追成長させる工程とを備えることによって、電子放
出材料として非常に適したダイヤモンド膜を導電層上あ
るいは導電層間に再現性良く配置できるので、容易に高
効率な電子放出素子を形成することが可能となる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子線を放出する
電子放出素子に関し、特に電子放出部をダイヤモンド膜
あるいはダイヤモンドを主成分とする膜から構成する電
子放出素子及びその製造方法に関する。また本発明は、
高効率で安定の高い電子放出源及び蛍光体発光装置に関
する。
【0002】
【従来の技術】高精細な薄型ディスプレィ用の電子銃に
代わる電子線源や、高速動作が可能な微小真空デバイス
のエミッター部分として、ミクロンサイズの微小電子放
出素子が注目されている。このような電子放出素子のタ
イプとしては、電界放出型(FE型)、トンネル注入型
(MIM型、MIS型)、表面伝導型(SC型)などが知られて
いる。
【0003】FE型電子放出素子は、ゲート電極に電圧を
かけて電子放出部分に電界を印加することにより、シリ
コン(Si)やモリブデン(Mo)で作製されたコーン状の
突起部分から電子を放出させるものである。
【0004】またMIM型、MIS型素子は、金属、絶縁体
層、半導体層等の積層構造を形成することにより、金属
側より注入された電子の一部を電子放出部より外部に取
り出すものである。
【0005】またSC型は、基板上に形成された薄膜の面
内方向に電流を流すことにより、予め形成された電子放
出部より電子を取り出すもので、一般的に薄膜の通電領
域中に存在する微細な亀裂部分より電子放出するもので
ある。
【0006】これらの素子構造は、微細加工技術を用い
ることによって小型化、集積化を図ることができるなど
の特徴を有したものである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】一般的に電子放出素子
として要求される特性は、効率的な電子放出が可能であ
ると共に、得られる電子放出電流の安定性が良いことな
どが挙げられる。また電子放出特性の経時変化が小さい
ことも挙げられる。そのためには、用いる電子放出素子
の構成に加えて、電子放出部の構造や材質をうまく選択
する必要がある。しかしながら、従来得られている前記
電子放出素子の特性は、電子放出部の形状依存性や経時
変化が大きいといった課題があった。また再現性良く素
子を作製するという観点で、制御が非常に困難であると
いった課題があった。
【0008】以上のようにこれまで用いられてきた電子
放出素子自体の構成及び電子放出部の構造、材料は、要
求される特性を十分に満たすものではなかった。
【0009】そこで本発明は、従来技術における前記課
題を解決するため、電流が印加される導電層上あるいは
導電層間に電子放出部となる膜を配置することにより、
効率的に電子を放出し、かつ安定性の高い電子放出素子
を提供することを目的とする。
【0010】また本発明は、前記電子放出素子を複数個
配置した電子放出源を用いることにより、高効率な電子
放出源及び蛍光体発光装置を提供することを目的とす
る。
【0011】また本発明方法は、気相合成法によって電
子放出部となるダイヤモンド膜あるいはダイヤモンドを
主成分をする膜を形成する工程を備えることにより、安
定な電子放出部を有する電子放出素子を容易にかつ再現
性良く作製することができる方法を提供することを目的
とする。
【0012】また本発明方法は、電子放出素子において
電子放出部として用いられるダイヤモンド膜あるいはダ
イヤモンドを主成分をする膜に対する重要な作製プロセ
スを容易にかつ合理的に行なう方法を提供することを目
的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するた
め、本発明に係る電子放出素子の構成は、少なくとも、
複数の電極部と、前記電極部が配置された導電層と、前
記導電層上に電子放出部となる膜を配置したことを特徴
とする。
【0014】また前記目的を達成するため、本発明に係
る電子放出素子の構成は、少なくとも、複数の電極部
と、前記電極部が配置された複数の導電層と、前記導電
層間に電子放出部となる膜を配置したことを特徴とす
る。
【0015】また本発明は、前記素子構成において、膜
の膜厚が1μm以下であることが好ましい。さらに好ま
しくは、500nm以下である。
【0016】また本発明は、前記素子において、導電層
の面内方向に電流を印加することが好ましい。この印加
する電流量としては、導電層の膜厚や大きさ、電気抵抗
値などに依存するので特に限定するものではないが、一
般的には1〜100mAが好適である。
【0017】また本発明は、前記素子において、導電層
の面内方向に電流を印加しながら、導電層を加熱するこ
とが好ましい。この場合においても、印加電流量は前記
と同様である。また加熱温度については、導電層に用い
る材料等によって変化するので一概には指定できない
が、概ね300〜600℃が実用的である。この加熱について
は、外部より導電層を加熱する機構を備えても良いが、
導電層に通電すること自体によって発生するジュール熱
で加熱されても良い。
【0018】また本発明は、前記素子において、導電層
の面内方向に通電する電流量を制御することによって、
外部に取り出される電子放出量を変調することが好まし
い。
【0019】図1は、本発明に係る電子放出素子の基本
的な構造を示す模式的平面図(a)及び断面図(b)の一例で
ある。図1に示すように、本電子放出素子は、主な構成
部分として基材1と、電極部2、3と、導電層4と、導
電層上に積層された電子放出部となる膜5とからなる。
【0020】また図2は、図1の電子放出部となる膜5
付近を拡大したもので、本発明に係る電子放出素子から
の電子放出の概念を模式的に表した図である。その詳細
について以下に説明する。まず本電子放出素子の電極部
2、3間に所定の電圧を印加すると、導電層4に一定電
流が流れる。図2では、電圧印加によって導電層4内を
電子6が伝導している様子を示している。その際、導電
層4上に比較的電気抵抗値が低く、かつ電子が放出され
やすい層、すなわち電子放出部となる膜5を配置するこ
とによって、導電層4を伝導する電子の一部は電子放出
部となる膜5の内部及び表面層に伝達される。さらに電
子放出部となる膜5に伝達された電子6は、適度な電界
によって外部に取り出され、放出電子7となる。すなわ
ち、導電層4上に電子放出部となる膜5を配置すること
によって、導電層4に流れる電流を均一に外部に取り出
すことが可能となる。また図示してはいないが、基材1
と相対する位置に放出された電子流を制御するためのも
う一つの電極を配置することで、放出電子7の加速や軌
道の制御が可能となる。
【0021】通常、上記のように導電層4に通電するだ
けで放出電子7を得ることができるが、同時に導電層4
を加熱することにより、熱エネルギーを補助として、よ
り効率的な電子放出が実現される。
【0022】また放出電子量の制御は、電子放出部とな
る膜5に作用させる電界量を変化させることで制御でき
るが、導電層4に通電する電流量を変えることによって
も変調することが可能である。なお図1では、導電層4
を被覆するように電極部2、3が配置されているが、こ
の限りではなく、基材1上に電極部2、3を形成した後
にその上に導電層4の一部を積層する構成でも良い。ま
た導電層4の材質が金属の場合、電極部を導電層そのも
ので構成することもできる。また、導電層を流れる電子
の伝達効率を高めるために、電子放出部となる膜5を配
置する部分のみ、導電層4の膜厚を薄くしても良い。
【0023】また上記説明では、一組の電極部2、3に
対して一対の導電層4、電子放出部となる膜5を配置し
たが、図3に示した模式的平面図(a)の様に、一組の電
極部2、3に対して、複数対の導電層4、電子放出部5
となる膜を並列に配置しても良い。さらに図3(b)の模
式的平面図の様に、一組の電極部2、3に対して、並列
に形成された複数の導電層4と、それを覆うように電子
放出部となる膜5を配置しても良い。
【0024】また図4は、本発明に係る他の電子放出素
子の基本的な構造を示す模式的平面図(a)及び断面図(b)
の一例である。図1と同様に、本電子放出素子は、主な
構成部分として基材1と、電極部2、3と、導電層4
a、4bと、導電層間に積層された電子放出部となる膜
5とからなる。
【0025】また図5は、図4の電子放出部となる膜5
付近を拡大したもので、本発明に係る他の電子放出素子
からの電子放出の概念を模式的に表した図である。その
詳細について以下に説明する。この場合、本電子放出素
子の電極部2、3間に所定の電圧を印加すると、導電層
4a、b及び電子放出部となる膜5の材質等と適宜選択
してよることにより、導電層4a経由して電子放出部と
なる膜5にも一定電流が流れる。すなわち、導電層4
a、4bを伝導する電子は電子放出部となる膜5の内部
及び表面層に伝達され、その一部は適度な電界によって
外部に取り出され、放出電子7となる。すなわち、導電
層4a、4b間に電子放出部となる膜5を配置すること
によって、導電層4a、4b間に流れる電流の一部を均
一に外部に取り出すことが可能となる。また図示しては
いないが、基材1と相対する位置に放出された電子流を
制御するためのもう一つの電極を配置することで、放出
電子7の加速や軌道の制御が可能となる。通常、上記の
ように導電層間に通電するだけで放出電子7を得ること
ができるが、同時に導電層及び電子放出部となる膜5を
加熱することにより、熱エネルギーを補助として、より
効率的な電子放出が実現される。またこの場合において
も、放出電子量を導電層4a、4b間に通電する電流量
の制御により変調することが可能である。
【0026】また上記の第1の電子放出素子の構成と同
様に、図3(a)(b)に示したような一組の電極部2、3に
対して複数対の導電層、電子放出部となる膜を並列に配
置しても良い。
【0027】以上のような素子構成により電子放出は得
られるが、さらに、より効率的な電子放出特性を得るた
めには、用いる導電層の材質やサイズ、あるいは電子放
出部となる膜の材質や構造を考慮する必要がある。すな
わち、効率的な電子放出素子を得るためには好適な材料
や構造をうまく選択することが重要となる。
【0028】そこで本発明は、前記素子構成において、
電子放出部となる膜がダイヤモンドあるいはダイヤモン
ドを主成分とする材料から構成されることが好ましい。
【0029】また本発明は、前記素子構成において、電
子放出部となるダイヤモンド膜あるいはダイヤモンドを
主成分とする膜の最表面原子が、水素原子との結合によ
って終端された構造を含むことが好ましく、その結合水
素原子量が1平方センチメートル当たり1×1015個以上
であることが好ましい。さらに好ましくは、結合水素量
が2×1015個/cm2以上である。
【0030】また本発明は、前記素子構成において、電
子放出部となるダイヤモンド膜あるいはダイヤモンドを
主成分とする膜が結晶欠陥を有している層であることが
好ましく、その結晶欠陥密度が1立方センチメートル当
たり1×1018個以上であることが好ましい。さらに好ま
しくは、結晶欠陥密度が1×1020個/cm3以上である。
【0031】上記のように本発明の素子構成において、
電子放出部にダイヤモンド膜あるいはダイヤモンドを主
成分とする膜を用いるという好ましい例によれば、ダイ
ヤモンドは広禁制帯幅半導体(5.5eV)、高硬度、耐磨
耗性、高熱伝導率、化学的に不活性といった電子放出材
料として非常に適した性質を有するので、安定性の高い
電子放出部を構成することが可能となる。
【0032】さらにその表面状態を水素原子との結合に
よって終端された構造とすることにより、電子放出に対
してより安定な膜表面を維持することが可能となる。さ
らに水素終端されたダイヤモンド表面は負の電子親和力
状態であることから、電子放出源として非常に電子放出
をしやすい状態にすることが可能となる。この様な安定
表面を得るための結合水素原子量としては、ほぼ全ての
最表面炭素原子が水素原子と結合する1平方センチメー
トル当たり1×1015個以上、望ましくは2×1015個/cm2
上である。
【0033】またダイヤモンド膜あるいはダイヤモンド
を主成分とする膜に適当量の結晶欠陥が有していること
により、導電層より膜内部及び表面に伝達される電子量
を増加させることが可能となる。その結晶欠陥量として
は概ね1×1018個/cm3以上、望ましくは1×1020個/cm3
上である。
【0034】また本発明は、前記素子構成において、導
電層が金属あるいはn形の半導体から選ばれるいずれか
の材料で構成されることが好ましい。中でも金属として
はタングステン(W)、白金(Pt)、モリブデン(Mo)
等の高融点金属が好ましく、n形半導体としてはシリコ
ン系非晶質半導体(a-Si、a-SiCなど)や微結晶シリコ
ン(μc-Si)、多結晶シリコン(poly-Si)等が好まし
い。
【0035】また本発明は、前記素子構成において、導
電層の膜厚が100nm以下であることが好ましい。
【0036】上記のように本発明の素子構成において、
導電層が金属あるいはn形の半導体から選ばれるいずれ
かの材料で構成されるという好ましい例によれば、適度
な電流量を流すことが可能な導電層を作製することが可
能になる。一般に用いる導電層の電気抵抗率の範囲は、
導電層のサイズに依存するので一概には特定できない
が、10-6〜104Ω・cm程度である。
【0037】また導電層の膜厚が100nm以下であるとい
う好ましい例によれば、効率よく導電層内に流れる電子
を電子放出部となる膜に伝達することが可能となる。
【0038】また本発明は、前記素子構成において、電
子放出部となる膜と相対する位置に、もう一つの電極を
備えることが好ましい。
【0039】この好ましい例によれば、電子放出部とな
る膜と相対する位置に、放出された電子流を制御するた
めのもう一つの電極が配置されるので、放出電子の加速
や軌道の制御が可能となる。
【0040】また前記目的を達成するため、本発明に係
る電子放出源の構成は、入力信号に応じて個々の電子放
出量が制御可能な前記記載の電子放出素子を、平面基板
上に複数個配置したことを特徴とする。
【0041】本発明の電子放出源によれば、高効率電子
放出素子を多数有しているため、大きな電子放出電流を
得られると共に、電子放出領域の広域化が可能となる。
さらに入力信号に応じて個々の電子放出量を制御するた
め、任意の電子放出分布を得ることが可能となる。
【0042】また前記目的を達成するため、本発明に係
る蛍光体発光装置の構成は、少なくとも、封止された容
器と、前記容器の内部に配置された蛍光体層と、前記蛍
光体層に電子線を照射する電子放出源からなる蛍光体発
光装置であって、前記記載の電子放出源を用いることを
特徴とする。
【0043】本発明の蛍光体発光装置によれば、効率及
び安定性の高い本発明の電子放出源を配置しているの
で、制御性良く高輝度に蛍光体を発光させることが可能
となる。
【0044】また前記目的を達成するため、本発明に係
る電子放出素子の製造方法は、電極部と導電層部と電子
放出部となるダイヤモンド膜あるいはダイヤモンドを主
成分とする膜からなる電子放出素子の製造方法であっ
て、前記ダイヤモンド膜あるいはダイヤモンドを主成分
とする膜の形成工程が気相合成工程であることを特徴と
する。
【0045】また本発明は、前記製造方法において、ダ
イヤモンド膜あるいはダイヤモンドを主成分とする膜の
気相合成工程が、0.2μm以下の平均粒径を有する粒子
状ダイヤモンドを分布させる工程と、前記粒子状ダイヤ
モンド上にダイヤモンドあるいはダイヤモンドを主成分
とする材料を追成長させる工程とを備えることが好まし
い。
【0046】また本発明は、前記製造方法において、粒
子状ダイヤモンドを分布させる工程において、平均粒径
が0.2μm以下のダイヤモンド粒子を分散させた溶液を
用いて粒子状ダイヤモンドを分布させることが好まし
い。
【0047】上記のように本発明の製造方法において、
ダイヤモンド膜あるいはダイヤモンドを主成分とする膜
の形成工程が気相合成工程であるという好ましい例によ
れば、その作製条件を制御することで電子放出材料とし
て非常に適した高品質のダイヤモンド膜を導電層上ある
いは導電層間に再現性良く形成できるので、容易に高効
率な電子放出素子を形成することが可能となる。一般に
ダイヤモンド等の気相合成方法は、原料ガスに炭化水素
ガス(CH4、C2H6、C2H4、C2H2等)や有機化合物(CH3O
H、C2H5OH、CH3COCH3等)及び一酸化炭素(CO)などで
代表される炭素源を水素で希釈したものを用い、その原
料ガスを分解することによって行なうことができる。そ
の際、さらに原料ガスに適宜酸素や水等を添加すること
もできる。また本発明において、適用可能な気相合成法
は特に限定はされないが、マイクロ波プラズマCVD法
や熱フィラメント法が好適である。さらにダイヤモンド
膜あるいはダイヤモンドを主成分とする膜の気相合成工
程が0.2μm以下の平均粒径を有する粒子状ダイヤモン
ドを分布させる工程と、前記粒子状ダイヤモンド上にダ
イヤモンドあるいはダイヤモンドを主成分とする材料を
追成長させる工程とを備えるという好ましい例によれ
ば、気相合成時のダイヤモンドあるいはダイヤモンドを
主成分とする材料の核発生を制御できるため、容易に薄
膜状のダイヤモンドあるいはダイヤモンドを主成分とす
る材料を形成することができる。また、その粒子状ダイ
ヤモンドを分布させる工程において、平均粒径が0.2μ
m以下のダイヤモンド粒子を分散させた溶液を用いて粒
子状ダイヤモンドを分布させるという好ましい例によれ
ば、大きな面積に対しても均一にかつ制御性、再現性良
く成長核となる粒子状ダイヤモンドを配置させることが
可能となる。また、その分布方法を適宜選択することに
よって粒子状ダイヤモンドの分布位置の選択も可能であ
る。具体的なダイヤモンド粒子分散溶液を用いた分布方
法としては、1)導電層への分散溶液塗布、2)分散溶液中
での超音波振動処理、あるいは3)溶液溶液中での電圧印
加処理などが挙げられるが、この限りではない。また、
用いるダイヤモンド分散溶液中に分散させる粒子状ダイ
ヤモンドの量としては、溶剤1リットル当たり0.01〜20
g程度である。また分散溶液中に分散させた粒子状のダ
イヤモンドの数が、溶液1リットル当たり1×1016〜1
×1020個程度であることが適している。その際分散溶液
の溶剤としては、水あるいはアルコールを主成分とする
ことが適している。
【0048】また前記目的を達成するため、本発明に係
る電子放出素子の製造方法は、電極部と導電層と電子放
出部となるダイヤモンド膜あるいはダイヤモンドを主成
分とする膜からなる電子放出素子の製造方法であって、
前記ダイヤモンド膜あるいはダイヤモンドを主成分とす
る膜に結晶欠陥を導入する工程を備えることを特徴とす
る。
【0049】また本発明は、前記製造方法において、ダ
イヤモンド膜あるいはダイヤモンドを主成分とする膜に
結晶欠陥を設ける工程が加速した原子を照射する工程で
あることが好ましい。
【0050】上記のように本発明の製造方法において、
ダイヤモンド膜あるいはダイヤモンドを主成分とする膜
に結晶欠陥を導入する工程とを備えるという好ましい例
によれば、導電層上あるいは導電層間に配置したダイヤ
モンド膜あるいはダイヤモンドを主成分とする膜の電子
放出特性を向上させることができるので、さらに高効率
な電子放出素子形成が可能となる。その際、ダイヤモン
ド膜あるいはダイヤモンドを主成分とする膜に結晶欠陥
を設ける工程が加速した原子を照射する工程であるとい
う好ましい例によれば、電子放出特性を向上させる膜中
の結晶欠陥量を制御性良く形成することができる。
【0051】また前記目的を達成するため、本発明に係
る電子放出素子の製造方法は、電極部と導電層と電子放
出部となるダイヤモンド膜あるいはダイヤモンドを主成
分とする膜からなる電子放出素子の製造方法であって、
前記ダイヤモンド膜あるいはダイヤモンドを主成分とす
る膜の最表面原子に水素原子を結合させる工程を備える
ことを特徴とする。
【0052】また本発明は、前記製造方法において、ダ
イヤモンド膜あるいはダイヤモンドを主成分とする膜の
最表面原子に水素原子を結合させる工程が水素を含む雰
囲気中で600℃以上に加熱する工程あるいは波長が200nm
以下の紫外線光を照射する工程から選ばれることが好ま
しい。
【0053】上記のように本発明の製造方法において、
ダイヤモンド膜あるいはダイヤモンドを主成分とする膜
の最表面原子に水素原子を結合させる工程とを備えると
いう好ましい例によれば、導電層上に配置したダイヤモ
ンド膜あるいはダイヤモンドを主成分とする膜の電子放
出特性を向上させることができるので、さらに高効率な
電子放出素子形成が可能となる。その際、ダイヤモンド
膜あるいはダイヤモンドを主成分とする膜の最表面原子
に水素原子を結合させる工程が水素を含む雰囲気中で60
0℃以上に加熱する工程あるいは波長が200nm以下の紫外
線光を照射する工程であるという好ましい例によれば、
容易にダイヤモンドあるいはダイヤモンドを主成分とす
る膜表面に水素原子を結合させることができる。その結
果、容易に電子を放出し易い状態にすることが可能にな
る。
【0054】
【発明の実施の形態】以下、実施例を用いて本発明をさ
らに具体的に説明する。
【0055】<第1の実施の形態>図6のプロセスを用
いて、本発明に係る電子放出素子を作製した結果につい
て記す。本実施形態では、電子放出部となる膜として気
相合成ダイヤモンド膜を用いた。
【0056】まず基材61を準備する。この基材として用
いる材料は絶縁性であれば特に限定されるものではない
が、本実施例では石英ガラスを用いた(図6(a))。
【0057】次にこの石英ガラス基材上に導電層62とし
て、n形の微結晶シリコン(μc-Si)層を200nmの厚さ
で形成した。本実施例ではプラズマCVD法によってμ
c-Si層を堆積したが、この限りではない(図6(b))。
【0058】続いてμc-Si層を通常のフォトリソグラフ
ィ工程及びエッチング工程でパターニングした。パター
ンサイズは適宜選択されるが、本実施例では、幅(W)が
100μm、長さ(L)が10μmの矩形パターンを形成し
た(図6(c))。
【0059】そして素子表面にレジスト層63をコートし
た後、電子放出部となるダイヤモンド膜を形成する領域
を選択するために、再度フォトリソグラフィ工程を用い
て、導電層の中心に幅120μm、長さ5μmの窓を開け
た。(図6(d))そしてこの窓部分に、平均粒径が0.02
μmのダイヤモンド粒子を分散させた溶液を塗布した。
本実施の形態では、1リットルの純水に1gのダイヤモ
ンド粒子を分散した溶液を用いた。分散溶液の塗布は、
スピンコートの手法を用いた。塗布後、基材は赤外線ラ
ンプ光の照射によって乾燥された。このダイヤモンド粒
子が塗布された導電層62の表面を走査電子顕微鏡で観察
したところ、分散液に混合した微小ダイヤモンド粒が均
一に分布していることがわかった。また、その分布密度
は〜5×10 10個/cm2程度であった。
【0060】そこでさらに、微小ダイヤモンド粒子が分
布された導電層上に気相合成法によってダイヤモンド膜
64を形成した。ダイヤモンド膜の合成方法としては特に
限定はされないが、本実施例においてはマイクロ波プラ
ズマCVD法によって形成した。マイクロ波プラズマC
VD法は原料ガスにマイクロ波を印加することによって
プラズマ化し、ダイヤモンドの形成を行なう方法であ
る。具体的な条件としては、原料ガスに水素(H2)で1
〜10vol%に希釈された一酸化炭素(CO)ガスを用いた。
反応温度及び圧力はそれぞれ800〜900℃及び25〜40Torr
である。
【0061】以上のような方法で導電層上にダイヤモン
ド膜を形成した結果、ダイヤモンド粒子を分布させた領
域のみにダイヤモンド膜(厚さ:200nm)が成長してい
ることが確認された。(図6(e))さらに導電層62の両
端に電極部65となるアルミニウム層(Al)を形成した
(図6(f))。
【0062】以上のような方法で作製した電子放出素子
の特性を図8の測定評価装置を用いて調べた。まず電子
放出素子81を真空槽82の中に設置し、1×10-7Torr以下
の圧力まで真空排気した。そして、電子放出素子81から
1mmの距離に配置されたアノード電極83に対してアノー
ド電源84により1kVの電圧印加した状態で、電子放出素
子81の電極間に10V電圧を電源86により印加し、その時
に流れる素子電流と電子放出電流をそれぞれ電流計87、
85で測定した。その結果、電子放出素子81の導電層に10
0μA程度の素子電流が流れ、電子放出部より放出された
電子放出電流は1μAが検出された。すなわち、電子放
出素子81に配置されたダイヤモンド膜より電子が放出さ
れていることが確認された。また素子に印加する電圧を
1〜30Vの範囲で変化させた場合、導電層に流れる電流
量に応じて電子放出電流値が変化することが観測され
た。その際、素子に流れる電流に対して外部に取り出さ
れた電子放出電流の効率は約1%であった。
【0063】本実施形態のダイヤモンド膜形成工程にお
いて、粒子状ダイヤモンド分散溶液を用いずに粒子状ダ
イヤモンドを直接導電層上に散布したり、分散溶液を用
いた他の分布方法を用いて得られたダイヤモンド膜にお
いても、同様の結果が得られた。
【0064】さらに本実施形態において、電子放出部と
して電子が放出しやすい他材料、例えば粒子状の窒化ホ
ウ素(BN)などを用いた場合においても、同様の結果が
得られた。
【0065】さらに本発明者らは、電子放出素子81とア
ノード電極83の間に放出電子流の軌道を制御するための
制御用電極を設置し、この制御用電極に電圧を印加する
ことによって、放出される電子流の軌道を変えたり、集
束させたりすることが可能であることを確認した。
【0066】<比較例1>第1の実施の形態で作製した
電子放出素子に対して、電圧を印加しない状態、すなわ
ち導電層に電流が流れていない状態で同様のアノード電
圧を印加した時の電子放出を図8の装置を用いて確認し
たが、電子放出電流は検出されなかった。
【0067】<比較例2>第1の実施の形態と同じ素子
構成で、導電層上にダイヤモンド膜を形成せずに作製し
た比較試料の電極間に10Vの電圧を印加し、その時に流
れる素子電流と電子放出電流をそれぞれ測定した。その
結果、素子の導電層には第1の実施例と同様の素子電流
が流れたが、電子放出電流は検出されなかった。
【0068】<第2の実施の形態>第1の実施の形態と
同様に、石英ガラス基材上に形成された電子放出素子に
おいて導電層の材質を変えた場合の結果について記す。
【0069】用いる基材、及び電子放出部として用いる
ダイヤモンド膜及びその形成方法等は、前記第1の実施
の形態と同様である。本実施例では、導電層の材質とし
て電子ビーム蒸着法で形成したタングステン(W)層を
用いた。膜厚は100nmとした。先の実施形態と同様、W
層は通常のフォトリソグラフィ工程及びエッチング工程
でパターニングした。導電部のパターンサイズは、幅
(W)が10μm、長さ(L)が200μmの矩形パターンで
ある。なお本実施例では、導電層自体が金属であり、改
めて電極を形成する必要がないため、上記矩形パターン
の両端に電極部となる配線用パターン(□500μm)も
合わせた形のパターンを形成した。そしてこの導電層
(W層)の一部に、ダイヤモンド膜を形成した。
【0070】以上のような方法で作製した電子放出素子
の特性を図8の測定評価装置を用いて調べた。評価条件
は、第1の実施形態と同様である。その結果、電子放出
素子81の導電層に1Vの電圧を印加した時、40mA程度の
素子電流が流れ、電子放出部より放出された電子放出電
流は40μAが検出された。すなわち、電子放出素子81に
配置されたダイヤモンド膜より電子が放出されているこ
とが確認された。また素子に印加する電圧を変化させた
場合、導電層に流れる電流量に応じて電子放出電流値が
変化することが観測された。その際、素子に流れる電流
に対して外部に取り出された電子放出電流の効率は約0.
1%であった。
【0071】次にこのWからなる導電層を350℃まで加
熱した。その結果、熱エネルギーを補助として電子の放
出が容易となったため、放出効率は約0.5%まで向上し
た。
【0072】本実施形態において、粒子状ダイヤモンド
分散溶液を用いずに粒子状ダイヤモンドを直接導電層上
に散布したり、分散溶液を用いた他分布方法を用いてダ
イヤモンド膜を形成した場合においても、同様の結果が
得られた。
【0073】さらに本実施の形態において、電子放出部
として電子が放出しやすい他材料、例えば粒子状の窒化
ホウ素(BN)などを用いた場合においても、同様の結果
が得られた。
【0074】<第3の実施の形態>次に第1の実施の形
態において、形成したダイヤモンド膜に対して後処理を
施した場合の結果について記す。
【0075】用いる基材、導電層の材質及び電子放出部
として用いるダイヤモンド膜の形成方法等は前記第1の
実施の形態と同様である。そこで上記の実施形態と同様
の方法でダイヤモンド膜を形成した後に、ダイヤモンド
膜を水素雰囲気中600℃で3時間加熱処理した。
【0076】以上のような方法で得られた導電層上のダ
イヤモンド膜の表面は水素原子と結合した状態で終端し
ていることが確認された。その水素原子量は1.5×1015
個/cm 2程度であった。さらに導電層の両端に電極となる
アルミニウム層(Al)を形成した。
【0077】以上のような方法で作製した電子放出素子
の特性を図8の測定評価装置を用いて調べた。評価条件
は、第1の実施形態と同様である。その結果、電子放出
素子81の導電層に10Vの電圧を印加した時、100μA程度
の素子電流が流れ、電子放出部より放出された電子放出
電流は1.5μAが検出された。すなわち、第1の実施形態
よりもダイヤモンド膜の表面状態を制御することで効率
的に電子放出がなされることを確認された。
【0078】<第4の実施の形態>次に第1の実施の形
態において、形成したダイヤモンド膜に対して後処理を
施した場合の結果について記す。
【0079】用いる基材、導電層の材質及び電子放出部
として用いるダイヤモンド膜の形成方法等は前記第1の
実施の形態と同様である。そこで上記の実施形態と同様
の方法でダイヤモンド膜を形成した後に、ダイヤモンド
膜に対してイオン注入を行ない、ダイヤモンド層に結晶
欠陥を導入した。本実施例では、炭素(C)あるいはホ
ウ素(B)イオンを40〜200keVのエネルギーで1×1014
個/cm2程度照射した。
【0080】以上のような方法で得られた導電層上のダ
イヤモンド膜には1×1020個/cm3程度の結晶欠陥が導入
されていた。さらに導電層の両端に電極となるアルミニ
ウム層(Al)を形成した。
【0081】以上のような方法で作製した電子放出素子
の特性を図8の測定評価装置を用いて調べた。評価条件
は、第1の実施形態と同様である。その結果、電子放出
素子81の導電層に10Vの電圧を印加した時、100μA程度
の素子電流が流れ、電子放出部より放出された電子放出
電流は2μAが検出された。すなわち、第1の実施形態
よりもダイヤモンド膜の状態を制御することで効率的に
電子放出がなされることを確認された。
【0082】<第5の実施の形態>図7のプロセスを用
いて、本発明に係る他の電子放出素子を作製した結果に
ついて記す。本実施形態でも、電子放出部となる膜とし
て気相合成ダイヤモンド膜を用いた。
【0083】まず基材71を準備する。この基材として用
いる材料は絶縁性であれば特に限定されるものではない
が、本実施例では石英ガラスを用いた(図7(a))。
【0084】次にこの石英基材上に導電層72として、n
形の微結晶シリコン(μc-Si)層を200nmの厚さで形成
した(図7(b))。
【0085】続いてμc-Si層をパターニングし、幅(W)
が100μm、長さ(L)が5μmの矩形パターンを一対
形成した(図7(c))。
【0086】そして素子表面にレジスト層73コートした
後、電子放出部となるダイヤモンド膜を形成する領域を
選択するために、再度フォトリソグラフィ工程を用い
て、導電層間にまたがる様に、幅120μm、長さ5μm
の窓を開けた。(図7(d))そして、その領域に、平均
粒径が0.02μmのダイヤモンド粒子を分散させた溶液を
塗布した。本実施の形態では1リットルの純水に1gの
ダイヤモンド粒子を分散した溶液をスピンコートの手法
により塗布した。塗布後、基材は赤外線ランプ光の照射
によって乾燥された。このダイヤモンド粒子が塗布され
た導電層の表面を走査電子顕微鏡で観察したところ、分
散液に含まれた微小ダイヤモンド粒が均一に分布してい
ることがわかった。また、その分布密度は〜5×1010
/cm2程度であった。
【0087】そこでさらに、微小ダイヤモンド粒子が分
布された導電層上に気相合成法の一種であるマイクロ波
プラズマCVD法によってダイヤモンド膜74を形成し
た。具体的な形成条件は、上記第1の実施形態と同様で
ある。
【0088】以上のような方法で導電層上にダイヤモン
ド膜を形成した結果、ダイヤモンド粒子を分布させた領
域のみにダイヤモンド膜が成長し、一対の導電層間をダ
イヤモンド層で接続した素子構造が得られた。(図7
(e))さらに導電層の両端に電極層75となるアルミニウ
ム層(Al)を形成した(図7(f))。
【0089】以上のような方法で作製した他の電子放出
素子の特性を図8の測定評価装置を用いて調べた。評価
条件は、第1の実施形態と同様である。その結果、電子
放出素子81の導電層に10Vの電圧を印加した時、50μA
程度の素子電流が流れ、電子放出部より放出された電子
放出電流は2μAが検出された。すなわち、電子放出素
子81に配置されたダイヤモンド膜より電子が放出されて
いることが確認された。また素子に印加する電圧を1〜
30Vの範囲で変化させた場合、導電層に流れる電流量に
応じて電子放出電流値が変化することが観測された。そ
の際、素子に流れる電流に対して外部に取り出された電
子放出電流の効率は約3%であった。
【0090】本実施形態において、粒子状ダイヤモンド
分散溶液を用いずに粒子状ダイヤモンドを直接導電層上
に散布したり、分散溶液を用いた他の分布方法を用いて
ダイヤモンド膜を形成した場合においても、同様の結果
が得られた。
【0091】さらに本実施の形態において、電子放出部
として電子が放出しやすい他材料、例えば粒子状の窒化
ホウ素(BN)などを用いた場合においても、同様の結果
が得られた。
【0092】さらに本発明者らは、電子放出素子81とア
ノード電極83の間に放出電子流の軌道を制御するための
制御用電極を設置し、この制御用電極に電圧を印加する
ことによって、放出される電子流の軌道を変えたり、集
束させたりすることが可能であることを確認した。
【0093】<比較例3>第5の実施の形態で作製した
電子放出素子に対して、電圧を印加しない状態、すなわ
ち導電層及びダイヤモンド膜に電流が流れていない状態
で同様のアノード電圧を印加した時の電子放出を図8の
装置を用いて確認したが、電子放出電流は検出されなか
った。
【0094】<第6の実施の形態>上記第1の実施形態
で作製した試料を同一基材上の10×10個配列し、個々の
電極に与える電圧を入力信号として、トータルの電子放
出量を制御する電子放出源を作製した。その結果、入力
信号として電圧を与える素子の個数を変化させたり、素
子に与える電圧値を変えることによって電子放出量が変
調できると共に、従来と比較して、高効率的な電子放出
源であることを確認することができた。また電子放出量
の経時変化も小さかった。また縦10個、横10個の電子放
出素子配列に対して分布のある入力信号を与えた場合、
その信号分布に対応した電子放出分布が得られることも
確認した。
【0095】<第7の実施の形態>上記第6の実施形態
で作製した電子放出源を用いて、蛍光体を発光させる蛍
光体発光装置を作製した。その結果、従来と比較して高
効率的な電子放出源であるため、低消費電力で蛍光体を
発光させることが可能であることが確認された。またそ
の安定性(経時変化)も良好であった。
【0096】
【発明の効果】以上のように、本発明に係る電子放出素
子によれば、少なくとも複数の電極と、前記電極が配置
された導電層と、前記導電層上に電子放出部となる膜を
配置したことを特徴とするため、効率良く電子放出がな
されると共に、安定性の高い電子放出を得ることが可能
となる。
【0097】また本発明に係る電子放出素子によれば、
少なくとも複数の電極と、前記電極が配置された導電層
間に電子放出部となる膜を配置したことを特徴とするた
め、効率良く電子放出がなされると共に、安定性の高い
電子放出を得ることが可能となる。
【0098】また本発明の構成によれば、膜の膜厚が1
μm以下であることを特徴とするため、効率よく外部に
電子を取り出すことが可能となる。
【0099】また本発明の構成によれば、導電層の面内
方向に電流を印加すること、あるいは電流を印加しなが
ら、導電層を加熱することを特徴とするため、容易に電
子放出部に電子を伝達することができる。
【0100】また本発明の構成によれば、導電層の面内
方向に通電する電流量を制御することを特徴とするた
め、低い駆動電圧での信号変調が可能となる。
【0101】また本発明の構成によれば、電子放出部と
なる膜が、ダイヤモンドあるいはダイヤモンドを主成分
とする材料から構成されることを特徴とするため、安定
性の高い電子放出部を構成することが可能となる。
【0102】また本発明の構成によれば、電子放出部と
なるダイヤモンド膜あるいはダイヤモンドを主成分とす
る膜の最表面原子が水素原子との結合によって終端され
た構造を含み、好ましくはその結合水素原子量が1平方
センチメートル当たり1×101 5個以上であることを特徴
とするため、電子放出に対してより安定な表面を維持す
ることが可能となる。
【0103】また本発明の構成によれば、電子放出部と
なるダイヤモンド膜あるいはダイヤモンドを主成分とす
る膜が結晶欠陥を有している層であり、好ましくはその
結晶欠陥密度が1立方センチメートル当たり1×1018
以上であることを特徴とするため、導電層より膜の表面
に伝達される電子量を増加させることが可能となる。
【0104】また本発明の構成によれば、導電層が金属
あるいはn形の半導体から選ばれるいずれかの材料で構
成されることを特徴とするため、適度な電流量を流すこ
とが可能な導電層を作製することが可能になる。
【0105】また本発明の構成によれば、導電層の膜厚
が100nm以下であることを特徴とするため、効率よく
導電層内に流れる電子を電子放出部に伝達することが可
能となる。
【0106】また本発明の構成によれば、電子放出部と
なる膜と相対する位置にもう一つの電極とを備えたこと
を特徴とするため、放出電子流の軌道やビーム径を制御
することが可能となる。
【0107】また本発明に係る電子放出源によれば、入
力信号に応じて個々の電子放出量が制御可能な前記記載
の電子放出素子を、平面基板上に複数個配置したことを
特徴とするため、高効率電子放出素子による省電力化、
並びに電子放出領域の広域化が可能となる。さらに入力
信号に応じて個々の電子放出量を制御できるため、任意
の電子放出分布を得ることが可能となる。
【0108】また本発明に係る電子放出源によれば、少
なくとも封止された容器と、前記容器の内部に配置され
た蛍光体層と、前記蛍光体層に電子線を照射する電子放
出源からなる蛍光体発光装置であって、前記記載の電子
放出源を用いることを特徴とするため、制御性良く高輝
度に蛍光体を発光させることが可能となる。
【0109】また本発明に係る電子放出源の製造方法に
よれば、電極部と導電層部と電子放出部となるダイヤモ
ンド膜あるいはダイヤモンドを主成分とする膜からなる
電子放出素子の製造方法であって、前記ダイヤモンド膜
あるいはダイヤモンドを主成分とする膜の形成工程が気
相合成法であることを特徴とするため、容易に高品質な
ダイヤモンドからなる電子放出部を形成することができ
る。
【0110】また本発明によれば、ダイヤモンド膜ある
いはダイヤモンドを主成分とする膜の気相合成工程が、
粒子状ダイヤモンド上にダイヤモンドを追成長させる工
程とを備えることを特徴とするため、電子放出材料とし
て非常に適したダイヤモンドを容易に導電層上あるいは
導電層間に再現性良く配置できるので、容易に高効率な
電子放出素子を形成することが可能となる。
【0111】また本発明方法によれば、粒子状ダイヤモ
ンドを分布させる工程において、平均粒径が0.2μm以
下のダイヤモンド粒子を分散させた溶液を用いることを
特徴とするため、大きな面積に対しても均一にかつ制御
性、再現性良く粒子状ダイヤモンドを配置できるので、
容易に気相合成ダイヤモンドの薄膜化が可能となる。
【0112】また本発明方法によれば、ダイヤモンド膜
あるいはダイヤモンドを主成分とする膜に対して、水素
ガスを含む雰囲気中で600℃以上に加熱処理を行なう、
あるいは加速した粒子を照射することを特徴とするた
め、電子放出部として用いるダイヤモンドの電子放出特
性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)本発明に係る電子放出素子の基本的な構
造を示す模式的平面図 (b)本発明に係る電子放出素子の基本的な構造を示す
模式的断面図
【図2】本発明に係る電子放出素子の電子放出部となる
膜付近を拡大したもので、電子放出の概念を模式的に表
した図
【図3】本発明に係る電子放出素子を一対の電極部に対
して複数対並列に配置した場合の基本的な構造を示す模
式的平面図
【図4】(a)本発明に係る他の電子放出素子の基本的
な構造を示す模式的平面図 (b)本発明に係る他の電子放出素子の基本的な構造を
示す模式的断面図
【図5】本発明に係る他の電子放出素子の電子放出部と
なる膜付近を拡大したもので、電子放出の概念を模式的
に表した図
【図6】本発明に係る電子放出素子の形成プロセスを示
す模式図
【図7】本発明に係る他の電子放出素子の形成プロセス
を示す模式図
【図8】本発明に係る電子放出素子の電子放出特性を測
定評価した装置の概略図
【符号の説明】
1 基材 2,3 電極 4,4a,4b 導電層 5 電子放出部となる膜 6 電子 7 放出電子 61 基材(石英ガラス) 62 導電層(n形μc-Si) 63 レジスト層 64 電子放出部となる膜(ダイヤモンド膜) 65 電極部(Al) 71 基材(石英ガラス) 72 導電層(n形μc-Si) 73 レジスト層 74 電子放出部となる膜(ダイヤモンド膜) 75 電極部(Al) 81 電子放出素子 82 真空槽 83 アノード電極 84 アノード電源 85 電流計 86 電源 87 電流計
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 白鳥 哲也 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 (72)発明者 佐藤 利文 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内

Claims (23)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも、複数の電極部と、前記電極
    部が配置された導電層と、前記導電層上に電子放出部と
    なる膜を配置した電子放出素子。
  2. 【請求項2】 少なくとも、複数の電極部と、前記電極
    部が配置された複数の導電層と、前記導電層間に電子放
    出部となる膜を配置した電子放出素子。
  3. 【請求項3】 膜の膜厚が、1μm以下であることを特
    徴とする請求項1又は2に記載の電子放出素子。
  4. 【請求項4】 導電層の面内方向に電流を印加すること
    を特徴とする請求項1又は2に記載の電子放出素子。
  5. 【請求項5】 導電層の面内方向に電流を印加しなが
    ら、導電層を加熱することを特徴とする請求項1又は2
    に記載の電子放出素子。
  6. 【請求項6】 導電層の面内方向に通電する電流量を制
    御することによって、電子放出量を変調することを特徴
    とする請求項1又は2に記載の電子放出素子。
  7. 【請求項7】 電子放出部となる膜が、ダイヤモンドあ
    るいはダイヤモンドを主成分とする材料から構成される
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の電子放出素
    子。
  8. 【請求項8】 ダイヤモンドあるいはダイヤモンドを主
    成分とする膜の最表面原子が、水素原子との結合によっ
    て終端された構造を含むことを特徴とする請求項7に記
    載の電子放出素子。
  9. 【請求項9】 ダイヤモンドあるいはダイヤモンドを主
    成分とする膜の最表面原子と結合した水素原子量が、1
    平方センチメートル当たり1×1015個以上であることを
    特徴とする請求項8に記載の電子放出素子。
  10. 【請求項10】 ダイヤモンドあるいはダイヤモンドを
    主成分とする膜が、結晶欠陥を有していることを特徴と
    する請求項7に記載の電子放出素子。
  11. 【請求項11】 ダイヤモンドあるいはダイヤモンドを
    主成分とする膜の結晶欠陥密度が、1立方センチメート
    ル当たり1×1018個以上であることを特徴とする請求項1
    0に記載の電子放出素子。
  12. 【請求項12】 導電層が、金属あるいはn形の半導体
    から選ばれるいずれかの材料で構成されることを特徴と
    する請求項1、2いずれかに記載の電子放出素子。
  13. 【請求項13】 導電層の膜厚が、100nm以下であるこ
    とを特徴とする請求項1に記載の電子放出素子。
  14. 【請求項14】 電子放出部となる膜と相対する位置
    に、もう一つの電極を備えたことを特徴とする請求項1
    又は2に記載の電子放出素子。
  15. 【請求項15】 入力信号に応じて個々の電子放出量が
    制御可能な請求項1又は2に記載の電子放出素子を、平
    面基板上に複数個配置したことを特徴とする電子放出
    源。
  16. 【請求項16】 少なくとも、封止された容器と、前記
    容器の内部に配置された蛍光体層と、前記蛍光体層に電
    子線を照射する電子放出源からなる蛍光体発光装置であ
    って、電子放出源が請求項15に記載の構成であることを
    特徴とする蛍光体発光装置。
  17. 【請求項17】 電極部と導電層部と電子放出部となる
    ダイヤモンド膜あるいはダイヤモンドを主成分とする膜
    からなる電子放出素子の製造方法であって、前記ダイヤ
    モンド膜あるいはダイヤモンドを主成分とする膜の形成
    工程が、気相合成工程であることを特徴とする電子放出
    素子の製造方法。
  18. 【請求項18】 ダイヤモンド膜あるいはダイヤモンド
    を主成分をする膜の気相合成工程が、0.2μm以下の平
    均粒径を有する粒子状ダイヤモンドを分布させる工程
    と、前記粒子状ダイヤモンド上にダイヤモンドあるいは
    ダイヤモンドを主成分をする材料を追成長させる工程と
    を備えることを特徴とする請求項17記載の電子放出素子
    の製造方法。
  19. 【請求項19】 粒子状ダイヤモンドを分布させる工程
    において、平均粒径が0.2μm以下のダイヤモンド粒子
    を分散させた溶液を用いて粒子状ダイヤモンドを分布さ
    せることを特徴とする請求項18に記載の電子放出素子の
    製造方法。
  20. 【請求項20】 電極部と導電層と電子放出部となるダ
    イヤモンド膜あるいはダイヤモンドを主成分をする膜か
    らなる電子放出素子の製造方法であって、前記ダイヤモ
    ンド膜あるいはダイヤモンドを主成分をする膜に結晶欠
    陥を導入する工程を備えることを特徴とする電子放出素
    子の製造方法。
  21. 【請求項21】 ダイヤモンド膜あるいはダイヤモンド
    を主成分をする膜に結晶欠陥を導入する工程が、加速し
    た原子あるいは分子を照射する工程であることを特徴と
    する請求項20に記載の電子放出素子の製造方法。
  22. 【請求項22】 電極部と導電層と電子放出部となるダ
    イヤモンド膜あるいはダイヤモンドを主成分をする膜か
    らなる電子放出素子の製造方法であって、前記ダイヤモ
    ンド膜あるいはダイヤモンドを主成分をする膜の最表面
    原子に水素原子を結合させる工程を備えることを特徴と
    する電子放出素子の製造方法。
  23. 【請求項23】 ダイヤモンド膜あるいはダイヤモンド
    を主成分をする膜の最表面原子に水素原子を結合させる
    工程が、水素を含む雰囲気中で600℃以上に加熱する工
    程、あるいは波長が200nm以下の紫外線光を照射する工
    程から選ばれることを特徴とする請求項22に記載の電子
    放出素子の製造方法。
JP29827297A 1997-10-30 1997-10-30 電子放出素子及びその製造方法、及びそれを用いた電子放出源並びに蛍光体発光装置 Pending JPH11135002A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2005108637A (ja) * 2003-09-30 2005-04-21 Sumitomo Electric Ind Ltd 電子放出素子、電子線源及び電子放出制御方法
JP2009091234A (ja) * 2007-09-18 2009-04-30 Tokyo Univ Of Science 導電性ダイヤモンド膜が形成された基板及び導電性ダイヤモンド膜が形成された基板の製造方法

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