JPH11147829A - 疼痛を軽減し行動異常および知覚異常を治療するための 筋芽細胞導入療法 - Google Patents

疼痛を軽減し行動異常および知覚異常を治療するための 筋芽細胞導入療法

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JPH11147829A
JPH11147829A JP10227422A JP22742298A JPH11147829A JP H11147829 A JPH11147829 A JP H11147829A JP 10227422 A JP10227422 A JP 10227422A JP 22742298 A JP22742298 A JP 22742298A JP H11147829 A JPH11147829 A JP H11147829A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 異常知覚を伴う精神医学的状態(例えば、う
つ病、慢性不安症候群、パラノイア、アルコール中毒お
よび薬物嗜癖)、慢性疼痛、およびオピオイドニューロ
ンおよびサブスタンスP感受性ニューロンが何らかの役
割を果たしている他の疾患の治療方法、および該方法を
実施するための組成物の提供。 【解決手段】 オピオイド受容体に結合するか又はサブ
スタンスP受容体に対するサブスタンスPの結合を妨げる
ペプチドをin vivoで供給する方法であって、(a)筋原
性細胞が該ペプチドを発現するように、該ペプチドをコ
ードするDNAを該筋原性細胞に導入し、ついで(b)
該ペプチドがin vivoで産生されるように、該筋原性細
胞を患者に投与する工程を含んでなる方法;および該ペ
プチドをコードする異種DNAを含有する筋原性細胞と
医薬上許容される担体とを含んでなる組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、鎮痛活性を有する
ペプチドを長期にわたり連続的にin vivoで供給するた
めの筋芽細胞導入療法により、疼痛を軽減し行動異常お
よび知覚異常を治療するためのアプローチに関する。
【0002】
【従来の技術】現代の無痛覚理論は、モルヒネ様の下垂
体ペプチドが鍼無痛覚を媒介するというPomeranzら, Ex
p. Neurol. 54: 172 (1977)の提案により著しく進歩し
た。電気鍼は、麻酔されたネコにおいては、有毒な刺激
に対する脊髄ニューロンにおける応答を減少させ、覚醒
しているマウスにおいては、鳴き声を発する閾値を上昇
させることが見出された。観察された延長した時間経過
は、その応答のホルモン性メカニズムに影響を及ぼし
た。脊髄の処理、脳除去または下垂体切除はこの鍼の効
果を消失させ、モルヒネのアンタゴニストであるナロキ
ソンの静脈内注射もそれを著しく減少させた。
【0003】これらの結果は、電気鍼が、下垂体を活性
化する感覚神経を刺激して、侵害受容経路を通る伝達の
低下を延長させるモルヒネ様ホルモン(ペプチド)を放
出させることを示している。このメカニズムは、全身的
または局所的な無痛覚の主要なメディエーターであると
考えられる。
【0004】モルヒネ様ペプチドは既に同定されてお
り、モルヒネ様ペプチドおよび他のオピオイドペプチド
に対する受容体が、脳、腸、下垂体、膵臓および胎盤で
見出されている(Hughesら, Nature 258: 577 (1975);
Pertら, Science 179: 1011 (1979))。これらのペプチ
ドは現在、β−エンドルフィンおよびエンケファリンと
して公知である(Cooperら, THE BIOCHEMICAL BASIS OF
PHARMACOLOGY,第4版 (Oxford University Press, New
York 1982))。さらに、エンドルフィンなどのオピオ
イドペプチドによる脳ニューロンの刺激は、無痛覚を引
き起こす(Fieldsら, Ann. Rev. Physiol. 40: 217 (19
78))。この効果はナロキソンで逆転されうる。
【0005】オピオイドペプチド、特にβ−エンドルフ
ィンは、実質的には、拡散により全身の組織に到達する
神経ホルモンまたは伝達物質である。多数のエンドルフ
ィン受容体が間脳および大脳皮質の種々の領域に存在す
ることは、複合的なオピオイドペプチドが、痛覚の単な
るモジュレーターとしての役割以外に何らかの役割を無
痛覚において果たしていることを示唆している(Covena
sら, Neuropeptides 30: 261 (1996); Bernsteinら, Ne
urosci. Lett. 215: 33 (1996); Bianchiら, Brain Re
s. Bull. 40: 269 (1996))。実際に、脳脊髄液および
血漿のβ−エンドルフィン濃度の増加は、ストレス、精
神医学的障害、アルコール中毒、薬物嗜癖、肥満および
糖尿病に罹患した患者で見られる行動パターンをモジュ
レーションし最適化することが示されている(Ryuら, A
m. J. Chin. Med. 24: 193 (1996);Odagiriら, Int. J.
Sports Med. 17: 325 (1996); Dalayeunら, Biomed. P
harmacother. 47: 311 (1993); Gianoulakisら, J. Psy
chiatry Neurosci. 18: 148(1993))。また、これらの
増加は、ナチュラルキラー細胞に媒介される細胞傷害を
促進する(Jonsdottirら, Regul. Pept. 23: 113 (199
6); Sacerdoteら, Regul. Pept. 63: 79 (1996))。
【0006】また、無痛覚は、「サブスタンスP」と呼
ばれる疼痛メディエーターがその受容体に結合すること
により生じる。オピオイドニューロンの終末とサブスタ
ンスP感受性ニューロンの終末との間には多数の類似点
がある。例えば、どちらのタイプの終末も、脊髄におい
て痛覚を媒介する(Jesselら, Nature 268: 549 (197
7))。例えば、日本国特許公報JP3133998に示されてい
るとおり、サブスタンスP受容体は、サブスタンスPの活
性をマスクすることにより鎮痛薬として作用することが
示されている。PCT出願WO92/16547によると、NK-1受容
体は、サブスタンスPと優先的に結合し、疼痛、炎症性
疾患、精神病およびストレスの治療に使用することがで
きる。
【0007】ストレス、精神医学的障害、アルコール中
毒、薬物嗜癖、肥満、糖尿病などの症状に苦しむ患者の
場合、患者の血漿中の正常値を超える内因性オピオイド
ペプチド濃度から、何らかの軽減手段が得られるかもし
れない。これらの状態の症状の臨床的軽減は、オピオイ
ドペプチド受容体に対するオピオイドペプチドの結合と
関連しており、これは、患者の血漿および脳脊髄液中の
オピオイドペプチド濃度と直接的に相関する。また、サ
ブスタンスP受容体またはサブスタンスP類似体の濃度を
増加させることも、患者にとって有益かもしれない。WO
92/16547(前掲)およびPCT出願WO91/02745を参照され
たい。現在のところ、β−エンドルフィン、エンケファ
リンまたはサブスタンスP受容体の血漿または脳脊髄液
濃度の生理的な増加に有害な反応が伴っていたことはな
い。
【0008】オピオイドペプチドの産生および/または
分泌を増加させるために薬物を使用すると、一時的な軽
減が得られるかもしれないが、抑制できない薬物代謝お
よび粗雑な投薬のため、最終的には、「病的な」ニュー
ロンおよびその等価体を酷使することになる。さらに、
薬物の副作用が著しく、望ましくない。オピオイドペプ
チド自体およびオピオイドペプチド受容体が鎮静薬およ
び鎮痛薬として投与されているが(米国特許第4,123,52
3号を参照されたい)、そのような投与の効果は短期的
なものである。
【0009】β−エンドルフィンを分泌する異種腫瘍細
胞をラットの脊髄脳脊髄液腔内に移殖することにより、
鎮痛効果が得られている(Saitohら, Cell Trans. 4 (S
upp.1): S13-7 (1995))。移殖された細胞は1ヶ月間生
存すると報告されており、その細胞がβ−エンドルフィ
ンを1ヵ月間分泌することがin vitroでの研究で示され
ている。AtT-20細胞およびAtT-20/hENK細胞は、それぞ
れβ−エンドルフィンおよびエンケファリンを分泌す
る。疼痛に対する療法としてのそれらの用途を検討する
ために、これらの細胞がマウスの脊髄くも膜下腔内に移
殖された(Wuら, J. Neurosci. 14(8): 4806 (1994);
J. Neural Transplant. Plast. 4(1): 15(1993))。し
かしながら、これらの方法は、脳脊髄液または脊髄くも
膜下腔内への細胞の直接的な移殖を伴うため、非常に侵
襲性であり、したがって非常に危険である。また、非常
に限られた数の細胞しか移殖されないため、これらの方
法により得られるオピオイドペプチドの量が限定されて
しまう。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】したがって、オピオイ
ド受容体に結合しサブスタンスP受容体に対するサブス
タンスPの結合を妨げるペプチドを長期にわたりin vivo
で供給することによる長期的な鎮痛の方法が必要とされ
ている。そのような方法は、慢性疼痛、異常知覚を伴う
精神医学的状態(例えば、うつ病、慢性不安症候群、パ
ラノイア、アルコール中毒および薬物嗜癖)、およびオ
ピオイドニューロンおよびサブスタンスPの終末が何ら
かの役割を果たしている他の疾患の治療に有用であろ
う。
【0011】したがって、異常知覚を伴う精神医学的状
態(例えば、うつ病、慢性不安症候群、パラノイア、ア
ルコール中毒および薬物嗜癖)、慢性疼痛、およびオピ
オイドニューロンおよびサブスタンスP感受性ニューロ
ンが何らかの役割を果たしている他の疾患の治療方法を
提供することが本発明の目的である。また、この方法を
実施するための組成物を提供することも本発明の目的で
ある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明のこの目的および
他の目的に対処するために、オピオイド受容体に結合し
うるか又はサブスタンスP受容体に対するサブスタンスP
の結合を妨げうるペプチドを連続的にin vivoで供給す
る方法であって、(a)該ペプチドをコードするDNA
を筋原性細胞に導入し、(b)該細胞が該ペプチドを連
続的に産生するように、該導入化(transduced)筋原性
細胞を患者に投与する工程を含んでなる方法を提供す
る。1つの実施態様では、該鎮痛性ペプチドは、オピオ
イドペプチド、サブスタンスPに結合するポリペプチ
ド、およびサブスタンスP類似体よりなる群から選ばれ
る。1つの実施態様では、該筋原性細胞は、筋芽細胞、
筋管および筋細胞よりなる群から選ばれる。もう1つの
実施態様では、切断部位により隔てられたペプチドの多
コピー配列をコードするDNAを該細胞に導入する。も
う1つの実施態様では、該導入化細胞を患者のパラ脊髄
(paraspinal)筋内へ筋肉内注射により投与する。さら
にもう1つの実施態様では、該導入化筋原性細胞と共
に、大(large)コンドロイチン−6−硫酸プロテオグリ
カンまたはインスリンを投与する。また、いくつかの実
施態様においては、免疫抑制物質の共投与も好ましい。
【0013】また、本発明は、天然に生じる鎮痛性ペプ
チドを連続的にin vivoで供給する方法であって、(a)
該ペプチドをコードする内因性構造遺伝子のプロモータ
ーを含有するDNAを筋原性細胞に導入し、(b)該細
胞が該ペプチドを連続的に産生するように、該導入化筋
原性細胞を患者に投与する工程よりなる方法を提供す
る。
【0014】さらに、本発明は、オピオイド受容体に結
合するか又はサブスタンスP受容体に対するサブスタン
スPの結合を妨げるペプチドを連続的にin vivoで供給す
るための組成物であって、異種DNAを含有し該ペプチ
ドを発現する筋原性細胞と医薬上許容される担体とを含
んでなる組成物を提供する。1つの実施態様では、該異
種DNAは、該ペプチドをコードする遺伝子とプロモー
ターとを含む。もう1つの実施態様では、該異種DNA
は、該ペプチドをコードする内因性構造遺伝子のプロモ
ーターを含む。もう1つの実施態様では、該組成物はさ
らに、大コンドロイチン−6−硫酸プロテオグリカンま
たはインスリンを含む。
【0015】本発明のさらに別の目的および利点のう
ち、一部は以下の説明に記載されており、一部はその説
明から明らかであるか、あるいは本発明の実施により明
らかとなるであろう。
【0016】
【発明の実施の形態】遺伝的な導入を行なった筋原性細
胞を使用して、鎮痛活性を有するペプチドを長期にわた
り連続的に供給することができることを見出した。この
方法は、慢性疼痛ならびに異常知覚を伴う精神医学的状
態(例えば、うつ病、慢性不安症候群、パラノイア、ア
ルコール中毒および薬物嗜癖)、およびオピオイドに結
合するニューロンおよび/またはサブスタンスPに結合
するニューロンが何らかの役割を果たしている他の疾患
を治療するのに有用である。そのような状態を鎮痛性ペ
プチドの長期的なin vivo投与により治療することは、
これまでに行われていない。
【0017】本発明に適した鎮痛性ペプチドは、オピオ
イド受容体に結合するか又はサブスタンスPに対するサ
ブスタンスPの結合を妨げるペプチドである。これらの
ペプチドとしては、オピオイドペプチド、サブスタンス
Pに結合するポリペプチド、およびサブスタンスP類似体
であるペプチドが挙げられる。この場合、「サブスタン
スPに結合するポリペプチド」なる語句は、サブスタン
スPに対する親和性を有するペプチドまたはタンパク
質、例えば、サブスタンスP受容体タンパク質、または
この受容体に由来しサブスタンスPに対する結合能を保
有するペプチドもしくはペプチド類似体を意味する。そ
のようなペプチドおよびタンパク質は、サブスタンスP
に結合し、それによりサブスタンスP受容体に対するサ
ブスタンスPの結合を妨げる。当業者であれば、サブス
タンスPに対する結合をアッセイで試験することが可能
である。サブスタンスP類似体は、サブスタンスPとその
受容体との結合を妨げることにより鎮痛薬として作用す
る。例えば、PCT出願WO91/02745(前掲)は、サブスタ
ンスPの天然の活性を示さないがサブスタンスPの競合的
阻害物質として作用する類似体を開示している。
【0018】本発明では、ex vivoで筋原性細胞への導
入を行なって、前記で挙げたペプチドの少なくとも1つ
を該細胞が細胞培養中に又は分化後in vivoで発現する
ようにする。そのようなペプチドをコードする遺伝子が
導入された細胞を、例えば、患者の筋肉または脂肪組織
内に注射により、患者に投与する。該導入化細胞は、受
容組織内で生存し成長することができる。例えば、筋組
織内に注射された細胞は、筋管を形成し筋繊維に成熟す
ることができる。脂肪組織内に注射された細胞は、生存
可能であり、脂肪細胞に変換されうる。どちらの型の組
織に注射された導入化細胞も、所望の鎮痛性ペプチドを
連続的に発現することができる。発現されたペプチドは
該細胞から出て、血液を介して身体の他の領域(脊髄お
よび脳を含む)へ移行する。
【0019】筋芽細胞導入療法(MTT)は、筋肉の虚弱
および変性を治療するために利用されており、鎮痛性ペ
プチドを発現する細胞を投与するのに有用な方法であ
る。参考として本明細書に組入れる米国特許第5,130,14
1号を参照されたい。この方法では、遺伝的に正常な筋
原性細胞を、患者の筋障害性筋肉に投与し、それによ
り、筋肉の機能、運動パターンおよび呼吸機能を増強さ
せる。通常の筋芽細胞導入療法は、デュシェンヌ型筋ジ
ストロフィー患者において、欠損タンパク質であるジス
トロフィンを6年以上にわたり産生させることが示され
ている(Lawら, Cell Transplantation 6: 95-100 (199
7))。
【0020】初期の筋芽細胞導入研究では、受容組織と
して筋肉が使用されたが、他の組織を使用することも可
能である。例えば、Satohら, Transplantation Proceed
ings24: 3017-19 (1992)に記載されているとおり、筋芽
細胞は、脂肪組織内に注射または外科的に移殖された後
で成長することができる。
【0021】IX因子、エリトロポエチン(EPO)および
ヒト成長ホルモンならびにこれらのタンパク質の循環濃
度を増加させるFasリガンドの遺伝子が、筋芽細胞に導
入されている(Thompson, Thromb, and Haemost. 74
(1): 45 (1995); Hamamoriら, J. Clin. Invest. 95: 1
808 (1995)およびHuman Gene Therapy 5: 1349 (1994);
Barrら, Science 254: 1507 (1991); Dhawanら, Scienc
e 254: 1509 (1991); Lauら, Science 273: 109 (199
6))。これらの方法の成否は様々である。例えば、Thom
pson (1995)によれば、身体から摘出されたヒト筋芽細
胞は、培養内ではそれほど良く生存せず、IX因子を該細
胞が発現する能力が次第に失われていったことを、予備
データは示唆している。Lauら (1996)は、Fasリガンド
の発現は局所的であり、80日後に停止したようであると
報告している。一方、Hamamoriら (1994)は、安定で高
レベルのEPO産生筋細胞クローンのin vivo移殖により、
高い血清EPO濃度が3ヵ月間維持されたと報告してお
り、Dhawanら (1991)は、導入化筋芽細胞が、筋管に分
化した後でもhGHを分泌し続け、筋芽細胞と筋管との間
に分泌レベルの違いがなかったことを記載している。
【0022】しかしながら、鎮痛性ペプチドを連続的に
in vivoで供給するために、導入化筋芽細胞を使用する
ことは、これまでのところ行われていない。さらに、オ
ピオイドペプチドをin vivoで供給する手段として遺伝
子治療が研究されているが、導入化細胞は脊髄、脳脊髄
液または脊髄くも膜下腔内に直接注射されている(Sait
ohら, Cell Trans. 4 (Supp. 1): S13-7 (1995); Wuら,
J. Neurosci., 14(8): 4806 (1994); Wuら, J. Neural
Transplant. Plast. 4(1): 15 (1993))。前記のとお
り、これらの方法は非常に侵襲性であり、限られた数の
細胞しか移殖されず、導入化細胞はオピオイドペプチド
を1ヵ月間しか発現しない。これに対して、本発明で
は、導入化筋芽細胞を中枢神経系内には注射しない。さ
らに、通常の遺伝子治療で達成されるオピオイドペプチ
ドの短期間の発現とは異なり、本発明は、オピオイドペ
プチドを連続的に長期にわたり供給し、この供給は、例
えば、少なくとも6年まで続く。本発明のこれらの態様
は、これまでに認識されていなかった顕著な利点を代表
するものである。
【0023】本発明に適した筋原性細胞としては、筋芽
細胞、筋管、筋線維細胞などが挙げられる。本発明の1
つの実施態様においては、筋芽細胞が特に好ましい。筋
芽細胞は、多核の筋管に分化する単核の胚筋細胞であ
る。筋芽細胞の核のそれぞれは、β−エンドルフィン、
エンケファリンなどのオピオイドペプチドの遺伝子を含
む100,000個を超える遺伝子を含有する。筋芽細胞は活
発に分裂し、移動し、自然に融合して合胞体を形成し、
融合後すぐにMHC-1抗原を失い、ヒトの乾燥体重の約50
%を構成する。筋芽細胞は、それらの間で及び成熟筋線
維と自然細胞融合を行なう点で特異である。この融合の
結果、導入化筋芽細胞は、その核(したがって、その全
遺伝子)を、それと融合する細胞(これは、遺伝的に正
常なまたは異常な筋細胞であってもよい)に転移する。
【0024】筋原性細胞は、治療する患者から、血縁者
から、あるいはその他のヒトまたは他の動物のドナーか
ら得ることができる。典型的な方法では、1〜2グラム
の骨格筋をドナーから採取する。また、筋原性細胞は培
養したり、あるいは当業者に公知のクローニング方法
(例えば、米国特許第5,130,141号に示されている方
法)により作製することができる。
【0025】本発明の1つの実施態様では、成熟筋肉に
おける筋芽細胞予備体である衛星細胞の貯蔵体(reserv
oir)を産生させるために、ヒトまたは動物ドナーから
の筋細胞を採取の0〜3日前に刺激する。筋原性細胞
は、例えば、該細胞を多数の探針(needle probings)
で損傷することにより、あるいは超音波処理により刺激
することができる。
【0026】本発明の1つの実施態様では、筋芽細胞の
純粋培養を得るために、採取した細胞を処理する。Law
ら, Cell Transplant. 1: 235 (1992); Cell Transplan
t. 2:485 (1993); Muscle and Nerve 11: 525-33 (198
8)を参照されたい。例えば、筋肉生検試料を、pH7.3の
リン酸緩衝食塩水中、0.1%コラゲナーゼおよび0.2%粗
製トリプシンで解離させる。0.37% NaHCO3および4mM
グルタミンを含有する100部のダルベッコ改変イーグル
培地(DMEM, Gibco)、10部のウマ血清および1%抗生
物質−抗真菌剤を含む中和培地の3回の交換と交互に酵
素溶液を3回交換しながら、該混合物を45分間攪拌す
る。
【0027】本発明の1つの実施例では、エンドルフィ
ン受容体に結合するか又はサブスタンスP受容体に対す
るサブスタンスPの結合を阻害するペプチドをコードす
るDNAを、採取した筋原性細胞にex vivoで導入す
る。この態様で適当な活性を有することが公知のペプチ
ドとしては、β−エンドルフィン、α−エンドルフィ
ン、γ−エンドルフィン、δ−エンドルフィン、Met Su
p 5(エンドルフィン様活性を有する5アミノ酸残基の
ペプチド)、β−エンドルフィン配列の一部を含む活性
なエンドルフィンペプチド、エンケファリン、NK-1受容
体、サブスタンスPに結合するポリペプチド、またはサ
ブスタンスP受容体に対するサブスタンスPの結合を競合
的に阻害するサブスタンスP類似体が挙げられる。「サ
ブスタンスP類似体」なる語は、サブスタンスPのカルボ
キシ末端の5アミノ酸配列(-Phe-Phe-Gly-Leu-Met)を
含むペプチドのうち、サブスタンスP受容体に結合して
サブスタンスP活性を阻害するペプチドを意味する。Pay
an, Ann. Rev. Med. 40: 341 (1989)およびPCT出願WO91
/02745を参照されたい。
【0028】所与のペプチドがオピオイド受容体に結合
するか又はサブスタンスPとその受容体との間の結合に
関して競合するかを明らかにする速度論的実験により、
追加的なペプチドを見つけることができる。これらの実
験は、常法により行なうことができる。例えば、PCT出
願WO92/16547を参照されたい。
【0029】本発明に有用なDNA配列は公知である
か、あるいは当業者であれば該ペプチドの公知アミノ酸
配列から該DNA配列を設計することができる。例え
ば、Saitohら, Cell Trans. 4 (Supp. 1): S13-7 (199
5)は、β−エンドルフィンをコードするDNA配列を開
示している。Wuら(1993, 1994)(前掲)は、β−エン
ドルフィンおよびエンケファリンの配列を開示してい
る。米国特許第4,123,523号は、β−エンドルフィンペ
プチドのアミノ酸配列を開示している。PCT出願WO92/16
547は、サブスタンスP受容体NK-1をコードする遺伝子を
開示している。日本国特許公報JP3133998は、サブスタ
ンスP受容体のアミノ酸配列を開示している。PCT出願WO
91/02745は、いくつかのサブスタンスP類似体(例え
ば、サブスタンスPの欠失または付加突然変異体)のア
ミノ酸配列を開示している。
【0030】本発明の1つの実施態様では、該DNA
は、無痛覚を与えるペプチドの複数のコピーをコードし
ている。好ましい実施態様では、該ペプチドはオピオイ
ドペプチドであり、複数のコピーをコードするDNAの
領域は、切断部位で隔てられている(PCT出願WO96/1794
1を参照されたい)。この実施態様では、天然に生じる
ペプチドの増幅された量を得ることができる。
【0031】筋原性細胞へのDNA配列の導入は、Thop
son(1995)およびHamamoriら(1995)(前掲)に記載
されている方法などの公知方法により行なうことができ
る。一般には、所望のペプチドをコードする構造遺伝子
の上流のプロモーターを含有するDNA構築物を使用す
る。適当なプロモーターは、例えば、米国特許第5,618,
698号に記載されている。
【0032】本発明のもう1つの実施態様では、筋原性
細胞の核内の内因性遺伝子と結合可能であり該内因性遺
伝子と共に機能(すなわち、発現の作動または増強)し
うるプロモーターを含有するDNAを、採取された筋原
性細胞にex vivoで導入する。この実施態様では、調節
配列、エキソンおよびスプライス供与体を含むDNA
を、予め選ばれた部位で細胞ゲノム中に相同組換えさせ
ることにより細胞内に導入する。このDNAの導入は、
調節配列、エキソンおよびスプライス供与部位が内因性
遺伝子に作動的に結合した新たな転写単位の産生につな
がる。
【0033】典型的には、DNAの導入後に、所望の遺
伝子を作動させるプロモーターを所望の位置に受容した
細胞を選択する。適用可能な選択方法は、例えば米国特
許第5,641,670号および第5,272,071号に記載されてい
る。また、Mansourら, Nature136: 348, 349 (1988)に
も選択方法が記載されている。選択後、所望の遺伝子を
発現する細胞を培養し、ついで患者に導入する。
【0034】当該技術分野で公知の種々の方法のいずれ
かにより、患者に投与するのに十分な量の細胞を得るた
めに、導入化筋原性細胞を培養する。例えば、Lawら(1
988,1992)(前掲)を参照されたい。培養する細胞の量
は、患者の状態および治療する疾患の重症度に左右され
るであろう。例えば、患者に投与するために、約10億〜
1000億個の筋芽細胞を培養することができる。本発明の
1つの実施態様では、2部のニワトリ胚抽出物で補足さ
れた前記の中和培地中で細胞を培養する。新鮮な増殖培
地を2日毎に細胞にフィードし、該細胞を7%CO2中37
℃で35〜40日間インキュベートする。
【0035】本発明の1つの実施態様では、導入化細胞
を患者に筋肉内注射により投与する(Lawら, Cell Tran
splant. 1: 235 (1992); 前記引用2: 485 (1993); Law
ら, Exp. Neurol., Transplant Proc. 29: 2234 (199
7))。本発明により得られるオピオイドペプチドの量
は、注射する筋肉の数および注射する細胞の数を選択す
ることにより制御することができる。本発明の1つの実
施態様では、注射の方向を制御して、レシピエントの筋
線維に運搬される導入化細胞の数を最適化する。例え
ば、投与細胞を筋線維に斜めに注射すると、投与細胞と
融合する筋線維の得られる数が最大となることが示され
ている。
【0036】本発明のもう1つの実施態様では、導入化
細胞を、脊髄のIV層およびV層の間の位置に該細胞を標
的化するのを助ける特定の筋肉に投与する。例えば、導
入化細胞を、パラ脊髄(paraspinal)筋または頚部の筋
肉(例えば、肩甲挙筋)に注射することができる。身体
のいずれかの部位に投与された導入化筋原性細胞が分泌
するペプチドは、血液を介して移動し、脊髄受容体に到
達することになるが、脊髄付近にあるパラ脊髄筋または
頚部の筋肉に該細胞の投与を標的化すると、より多量の
ペプチドが受容体に、より迅速に到達し、それにより該
方法の効率が高まると予想される。
【0037】また、導入化細胞を、外科的移殖により患
者内に投与することもできる。例えば脂肪組織に該細胞
を移殖することができる。
【0038】さらに別の実施態様ではまた、有効量の免
疫抑制物質を患者に投与して、導入化細胞の拒絶を最小
限に抑える。米国特許第5,130,141号およびLawら(199
2, 1993)(前掲)を参照されたい。例えば、シクロス
ポリンA、他の免疫抑制物質、または免疫抑制物質の組
合わせを、公知方法に従い投与することができる。適当
な剤形、投与量および投与計画は、当該技術分野で公知
である。例えば、シクロスポリンAは、約7mg/kg体重の
1日量で経口投与することができる。典型的な投与計画
は、1日量を2分割で投与するというものであり、約25
0mg/mlのシクロスポリンAの最低レベルを維持するため
に、その患者の全血をモニターすることができる。
【0039】本発明の1つの実施態様では、前記で引用
した米国出願第08/477,377号に記載されているとおり、
大コンドロイチン−6−硫酸プロテオグリカン(LC6SP)
を投与することにより、導入化筋芽細胞の融合を促進す
る。筋芽細胞を細胞外マトリックス内に注射することに
よる外傷は、塩基性繊維芽細胞増殖因子および大コンド
ロイチン−6−硫酸プロテオグリカンの放出を誘発す
る。これらの放出された分子は、筋芽細胞の増殖を刺激
する。大コンドロイチン−6−硫酸プロテオグリカンの
注射部位濃度を増加させると、筋芽細胞の融合および増
殖が促進される。したがって、本発明の1つの実施態様
では、好ましくは、導入化筋芽細胞と共に、大コンドロ
イチン−6−硫酸プロテオグリカンを投与する。
【0040】本発明の1つの実施態様では、大コンドロ
イチン−6−硫酸プロテオグリカンが低硫酸化されてい
る。Hutchisonら, Devel. Biol. 115: 78-83 (1986)を
参照されたい。大コンドロイチン−6−硫酸プロテオグ
リカンは、融合前には低硫酸化形態として合成されると
考えられているが、融合後には、より高度に硫酸化され
る(前掲文献)。したがって、本発明で用いる「低硫酸
化された大コンドロイチン−6−硫酸プロテオグリカ
ン」なる語は、融合直前の細胞からの天然に生じる大コ
ンドロイチン−6−硫酸プロテオグリカンで認められる
のとほぼ同じ硫酸化の程度を意味する。本発明のこの態
様では、低硫酸化された大コンドロイチン−6−硫酸プ
ロテオグリカンを、約5μM〜約5mMの濃度で投与す
る。コンドロイチン−6−硫酸は、導入化細胞と共に投
与することができるし、あるいは別個の注射剤としての
別個の製剤中で投与することができる。
【0041】また、インスリンは筋芽細胞の増殖を促進
し、筋管の発生を促進する。したがって、本発明の1つ
の態様では、導入化筋芽細胞と共にインスリンを投与す
る。例えば、約0.2mMのインスリンを、該細胞と同じ製
剤の一部として、あるいは、例えば別個の注射剤で与え
られた別個の製剤として投与することができる。
【0042】本発明の1つの実施態様では、所望のペプ
チドの過剰生産による望ましくない効果を、ナロキソ
ン、SP-40,40などのアゴニストで調節する(Pomeranz
ら, Altern. Thor. Health Med. 2: 85 (1996); Choi-M
iuraら, Biol. Pharm. Bull. 16:228 (1993); Pomeranz
ら, Exp Neurol. 54: 172 (1977))。例えば、該ペプチ
ドの内因的レベルが高くなりすぎる場合は、そのペプチ
ドの効果を相殺するためにナロキソンまたはSP-40,40を
投与することができる。鎮痛性ペプチドの過剰生産の典
型的な症状としては、極度の眠気、低い呼吸数、チアノ
ーゼ、低い血圧、対称で非常に小さな(pinpoint)瞳
孔、尿生成の低下などが挙げられる。ナロキソン治療の
通常の手順には、低用量(約0.4mg〜約0.8mg)のナロキ
ソンの静脈内または筋肉内投与が含まれる。症状は初回
投与後に改善されることが多いが、合計用量が約10mgに
なるまで2〜3分後に投与を繰返すことができる。
【0043】前記のとおり、導入化筋原性細胞を本発明
に従い投与することにより、鎮痛性ペプチドが連続的に
長期にわたりin vivoで供給される。該ペプチドは合成
部位(例えば、筋肉または脂肪組織)から移動し、感覚
神経終末、脊髄および脳に達し、それらの部位で該ペプ
チドは神経細胞受容体と合体して、無痛覚を現す。該ペ
プチドにより生じた無痛覚は、慢性疼痛、および異常知
覚を伴う精神医学的状態(例えば、うつ病、慢性不安症
候群、パラノイア、アルコール中毒および薬物嗜癖)、
ならびにオピオイドニューロンおよびサブスタンスPの
終末が何らかの役割を果たしている他の疾患を治療する
のに有用である。医学的治療として鎮痛性ペプチドを連
続的に長期にわたりin vivoで供給することにより、こ
れらの状態の新規治療法が提供される。
【0044】また、本発明は、オピオイド受容体に結合
するか又はサブスタンスP受容体に対するサブスタンスP
の結合を妨げる鎮痛性ペプチドをin vivoで製造する組
成物を提供する。1つの実施態様では、該組成物は、鎮
痛性ペプチドをコードする異種DNAを含有する筋原性
細胞と1以上の医薬上許容される担体とを含む。
【0045】適当な医薬担体には、希釈剤、溶媒、緩衝
液および/または保存剤が含まれる。医薬上許容される
担体の一例は、NaClを含有するリン酸緩衝液である。他
の医薬上許容される担体としては、REMINGTON'S PHARMA
CEUTICAL SCIENCE, 第15版,Easton: Mack Publishing C
o., p. 1405-1412およびp. 1461-1487 (1975)、およびT
HE NATIONAL FORMULARY XIV, 第14版, Washington: Ame
rican Pharmaceutical Association (1975)に記載され
ている水溶液、無毒性賦形剤、塩、保存剤、緩衝液など
が挙げられる。非水性溶媒としては、例えば、プロピレ
ングリコール、ポリエチレングリコール、植物油、およ
び注射可能な有機エステル(例えば、オレイン酸エチ
ル)が挙げられる。水性担体としては、水、アルコール
性/水性溶液、塩類溶液、非経口投与用ビヒクル、例え
ば塩化ナトリウム、リンガーデキストロースなどが挙げ
られる。静脈内投与用ビヒクルとしては、流体、栄養補
充物などが挙げられる。保存剤としては、抗微生物剤、
抗酸化剤、キレート剤、不活性ガスなどが挙げられる。
該結合組成物の種々の成分のpHおよび厳密な濃度は、当
該分野の通常の技術に従い調節する。GOODMAN AND GILM
AN'S THE PHARMACOLOGICAL BASIS FOR THERAPEUTICS
(第7版)を参照されたい。
【0046】1つの実施態様では、該組成物は、導入化
筋原性細胞、大コンドロイチン−6−硫酸プロテオグリ
カン、および医薬上許容される担体を含む。
【0047】もう1つの実施態様では、該組成物は、導
入化筋原性細胞、インスリン、および医薬上許容される
担体を含む。
【0048】本発明の態様を詳しく示す以下の実施例に
より、本発明の実施態様を更に説明する。これらの実施
例は、本発明の特定の要素を例示するものであり、本発
明の範囲を限定するものではない。
【0049】
【実施例】実施例1 筋組織内への注射による鬱病患者の治療 うつ病を含む精神医学的状態に罹患した患者の骨格筋
を、多数の探針で刺激して、衛星筋芽細胞の貯蔵体を産
生させる。3日後、その患者を全身麻酔状態とし、その
患者から2gの骨格筋を採取する。採取した筋肉を処理
して、筋芽細胞の純粋培養を得る。採取した筋肉を皮膚
から切り離し、他の組織および該細胞を、pH7.3のリン
酸緩衝食塩水中、0.1%コラゲナーゼおよび0.2%粗製ト
リプシンで解離させる。0.37% NaHCO3および4mMグル
タミンを含有する100部のダルベッコ改変イーグル培地
(DMEM, Gibco)、10部のウマ血清および1%抗生物質
−抗真菌剤を含む中和培地の3回の交換と交互に酵素溶
液を3回交換しながら、該混合物を45分間攪拌する。
【0050】エンケファリンの遺伝子と適当なプロモー
ターとを含有するDNAを、これらの筋芽細胞に導入す
る。ついで該導入化筋芽細胞を、2部のニワトリ胚抽出
物を補足した前記の中和培地中で培養する。新鮮な増殖
培地を2日毎に該細胞にフィードし、該細胞を7%CO2
中37℃で40日間インキュベートする。この時点で、約20
億個の筋芽細胞(導入化筋原性細胞の後代)が存在す
る。
【0051】その患者を再び全身麻酔状態とし、導入化
筋原性細胞の後代を該患者のパラ脊髄筋に筋肉内注射す
る。その後1週間以内に、その患者の症状は改善され始
めるはずである。
【0052】実施例2 脂肪組織内への注射による鬱病患者の治療 実施例1に記載のとおりに、筋芽細胞を得、それに対す
る導入を行ない、約100億個の後代筋芽細胞を生成させ
る。患者の乳組織を麻酔し、その麻酔された組織内に該
細胞を注射する。その後1週間以内に、その患者の症状
は改善され始めるはずである。
【0053】実施例3 アルコール中毒患者の治療 アルコール中毒患者の骨格筋を、超音波処理により刺激
して、衛星筋芽細胞の貯蔵体を産生させる。3日後、そ
の患者を全身麻酔状態とし、その患者から2gの骨格筋
を採取する。前記実施例1に記載のとおり、採取した筋
肉を処理して、筋芽細胞の純粋培養を得る。
【0054】内因性β−エンドルフィン遺伝子のプロモ
ーターを含有するDNAを、これらの筋芽細胞に導入す
る。ついで、実施例1に記載のとおり、500億個の細胞
が得られるまで、該導入化筋芽細胞を培養する。
【0055】その患者を再び全身麻酔状態とし、該導入
化筋原性細胞の後代を該患者のパラ脊髄筋内に注射す
る。
【0056】この処置の後1週間以内に、その患者の症
状は軽減され始めるはずである。
【0057】実施例4 エンケファリンを長期にわたり連続的にin vivoで供給
するための組成物 エンケファリンをコードするDNAを導入した10憶個の
筋原性細胞と、医薬上許容される担体としての、NaClお
よびヒト血清アルブミンを含有するリン酸緩衝液とを含
む組成物を提供する。
【0058】実施例5 β−エンドルフィンを長期にわたり連続的にin vivoで
供給するための組成物 ヒトエンドルフィン遺伝子のプロモーターをコードする
DNAを導入した10憶個の筋原性細胞と、医薬上許容さ
れる担体としての水とを含む組成物を提供する。
【0059】本発明の方法および組成物に種々の修飾お
よび変更を施すのが可能であることは、当業者には明ら
かであろう。したがって、本発明は、添付する特許請求
の範囲およびその均等物の範囲内に含まれる本発明の修
飾および変更を包含すると意図される。

Claims (32)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 オピオイド受容体に結合するか又はサブ
    スタンスP受容体に対するサブスタンスPの結合を妨げる
    ペプチドをin vivoで供給する方法であって、 (a)筋原性細胞が該ペプチドを発現するように、該ペ
    プチドをコードするDNAを該筋原性細胞に導入し、つ
    いで (b)該ペプチドがin vivoで産生されるように、該筋原
    性細胞を患者に投与する工程を含んでなる前記方法。
  2. 【請求項2】 前記ペプチドが、オピオイドペプチド、
    サブスタンスPに結合するポリペプチド、およびサブス
    タンスP類似体よりなる群から選ばれる、請求項1に記
    載の方法。
  3. 【請求項3】 前記筋原性細胞が、筋芽細胞、筋管およ
    び筋線維細胞よりなる群から選ばれる、請求項1に記載
    の方法。
  4. 【請求項4】 前記筋原性細胞を前記患者の骨格筋組織
    から採取する、請求項1に記載の方法。
  5. 【請求項5】 前記筋原性細胞を正常なドナーの骨格筋
    組織から採取する、請求項1に記載の方法。
  6. 【請求項6】 衛星筋芽細胞の貯蔵体を産生させるため
    に、採取前に前記骨格筋組織を刺激する、請求項4に記
    載の方法。
  7. 【請求項7】 筋芽細胞の純粋なサンプルを得るため
    に、採取した筋原性細胞を処理する、請求項4に記載の
    方法。
  8. 【請求項8】 少なくとも10億個の細胞を含む導入化筋
    原性細胞後代のサンプルを得るために、前記導入化筋原
    性細胞を培養する、請求項1に記載の方法。
  9. 【請求項9】 前記ペプチドがオピオイドペプチドであ
    る、請求項1に記載の方法。
  10. 【請求項10】 前記オピオイドペプチドが、β−エン
    ドルフィン、α−エンドルフィン、γ−エンドルフィ
    ン、δ−エンドルフィン、Met Sup 5およびエンケファ
    リンよりなる群から選ばれる、請求項9に記載の方法。
  11. 【請求項11】 前記ペプチドが、サブスタンスPに結
    合するポリペプチドである、請求項1に記載の方法。
  12. 【請求項12】 前記ペプチドが配列Phe-Phe-Gly-Leu-
    Metを含む、請求項1に記載の方法。
  13. 【請求項13】 前記DNAが、それぞれ前記ペプチド
    をコードする2個のヌクレオチド配列と、それらの2個
    のヌクレオチド配列を隔てるセグメントとを含み、該セ
    グメントが切断部位をコードする、請求項1に記載の方
    法。
  14. 【請求項14】 工程(b)が、前記筋原性細胞を筋肉
    内注射により投与することを含む、請求項1に記載の方
    法。
  15. 【請求項15】 前記筋原性細胞を、前記患者のパラ脊
    髄筋内に注射する、請求項14に記載の方法。
  16. 【請求項16】 前記筋原性細胞を、前記患者の肩甲挙
    筋内に注射する、請求項14に記載の方法。
  17. 【請求項17】 前記筋原性細胞を、前記患者の頚部の
    筋肉内に注射する、請求項14に記載の方法。
  18. 【請求項18】 前記筋原性細胞と共に、大コンドロイ
    チン−6−硫酸プロテオグリカンを投与する、請求項1
    に記載の方法。
  19. 【請求項19】 前記筋原性細胞と共にインスリンを投
    与する、請求項1に記載の方法。
  20. 【請求項20】 免疫抑制物質を前記患者に投与する工
    程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
  21. 【請求項21】 オピオイド受容体に結合するペプチド
    を連続的にin vivoで供給する方法であって、 (a)(i)該ペプチドをコードする遺伝子および(ii)
    該遺伝子に結合したフランキング領域を少なくともいく
    つかが含有する複数の筋原性細胞に、プロモーターと該
    フランキング領域に相同なセグメントとを含むDNA
    を、相同組換えを促す条件下で導入し、 (b)前記の複数の細胞から、該プロモーターと該遺伝
    子とが機能的に結合している筋原性細胞を選択し、 (c)工程(b)で選択した筋原性細胞を増殖させて、後
    代細胞を得、そして (d)該細胞が該ペプチドを連続的に産生するように、
    該後代細胞を患者に投与する工程を含んでなる前記方
    法。
  22. 【請求項22】 オピオイド受容体に結合するか又はサ
    ブスタンスP受容体に対するサブスタンスPの結合を妨げ
    るペプチドをin vivoで供給するための組成物であっ
    て、(i)筋原性細胞が該ペプチドを発現するように該
    ペプチドをコードする異種DNAを含有する筋原性細胞
    と、(ii)医薬上許容される担体とを含んでなる組成
    物。
  23. 【請求項23】 前記異種DNAが、前記ペプチドの構
    造遺伝子とプロモーターとを含む、請求項22に記載の
    組成物。
  24. 【請求項24】 前記異種DNAが、前記ペプチドの遺
    伝子の複数のコピーを含む、請求項23に記載の組成
    物。
  25. 【請求項25】 前記ペプチドがオピオイドペプチドで
    ある、請求項22に記載の組成物。
  26. 【請求項26】 前記オピオイドペプチドが、β−エン
    ドルフィン、α−エンドルフィン、γ−エンドルフィ
    ン、δ−エンドルフィンおよびMet Sup 5よりなる群か
    ら選ばれる、請求項25に記載の組成物。
  27. 【請求項27】 前記オピオイドペプチドが、β−エン
    ドルフィンおよびエンケファリンよりなる群から選ば
    れ、前記異種DNAが、前記ペプチドをコードする内因
    性構造遺伝子のプロモーターを含む、請求項25に記載
    の組成物。
  28. 【請求項28】 前記ペプチドが、サブスタンスPに結
    合するポリペプチドである、請求項22に記載の組成
    物。
  29. 【請求項29】 前記ペプチドが、配列-Phe-Phe-Gly-L
    eu-Metを含むサブスタンスP類似体である、請求項22
    に記載の組成物。
  30. 【請求項30】 大コンドロイチン−6−硫酸プロテオ
    グリカンをさらに含む、請求項22記載の組成物。
  31. 【請求項31】 前記大コンドロイチン−6−硫酸プロ
    テオグリカンが低硫酸化されている、請求項30に記載
    の組成物。
  32. 【請求項32】 さらにインスリンを含む、請求項22
    に記載の組成物。
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