JPH11148543A - トロイダル型無段変速機 - Google Patents

トロイダル型無段変速機

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JPH11148543A
JPH11148543A JP31346597A JP31346597A JPH11148543A JP H11148543 A JPH11148543 A JP H11148543A JP 31346597 A JP31346597 A JP 31346597A JP 31346597 A JP31346597 A JP 31346597A JP H11148543 A JPH11148543 A JP H11148543A
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尚 今西
Nobuo Goto
伸夫 後藤
Makoto Fujinami
誠 藤波
Hiroshi Kato
寛 加藤
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 入力側、出力側両ディスク2A、4Aの耐久
性を確保する。 【解決手段】 入力側、出力側両ディスク2A、4Aの
互いに対向する内側面2a,4aを、それぞれ断面が円
弧形の凹面とし、各パワーローラの周面を球面状の凸面
として、この周面と上記内側面とを当接させたトロイダ
ル型無段変速機に於いて、次の〜のうちの少なくと
も一つの条件を満たす事を特徴とする。入力側、出力
側両ディスクの表面のうち、外側面2a,4bと、内側
面よりも内径側に存在する内端面45及び内周面44内
端寄り部分とにショット・ビーニングが施されており、
これらには、このショット・ビーニングに基づく圧縮残
留応力が存在する。入力側、出力側両ディスクの表面
に熱処理硬化層が形成されており、外側面と、内側面よ
りも内径側に存在する内端面との表面部分に、硬化層を
形成した後に削り加工を施して熱処理異常層を除去して
いる。入力側、出力側両ディスクの内側面の、各ディ
スクの回転中心に対する振れ回り量を、0.02mm以
下としている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明に係るトロイダル型
無段変速機は、例えば自動車用の自動変速機として利用
する。特に本発明は、この様なトロイダル型無段変速機
を構成するパワーローラ部分の耐久性向上を図るもので
ある。
【0002】
【従来の技術】自動車用変速機として、図3〜4に略示
する様なトロイダル型無段変速機を使用する事が研究さ
れている。このトロイダル型無段変速機は、例えば実開
昭62−71465号公報に開示されている様に、入力
軸1と同心に入力側ディスク2を支持し、この入力軸1
と同心に配置された出力軸3の端部に出力側ディスク4
を固定している。トロイダル型無段変速機を収めたケー
シングの内側には、枢軸5、5を中心として揺動する複
数個(通常2〜3個)のトラニオン6、6を設けてい
る。尚、これら各枢軸5、5は、上記入力側、出力側両
ディスク2、4の軸方向(図3〜4の左右方向)に関し
てこれら両ディスク2、4の中間部に、これら両ディス
ク2、4の軸方向に対し直角方向で且つこれら両ディス
ク2、4の中心軸に対し捻れの位置に配置している
【0003】即ち、これら各トラニオン6、6は、それ
ぞれの両端部外側面に上記各枢軸5、5を、互いに同心
に設けている。又、これら各トラニオン6、6の中間部
には変位軸7、7の基端部を支持し、上記各枢軸5、5
を中心として上記各トラニオン6、6を揺動させる事に
より、上記各変位軸7、7の傾斜角度の調節を自在とし
ている。上記各トラニオン6、6に支持した変位軸7、
7の周囲には、それぞれパワーローラ8、8を回転自在
に支持している。そして、これら各パワーローラ8、8
を、上記入力側、出力側両ディスク2、4の間に挟持し
ている。これら入力側、出力側両ディスク2、4の互い
に対向する内側面2a、4aは、それぞれ断面が、上記
枢軸5上の点を中心とする円弧を、上記入力軸1及び出
力軸3を中心に回転させた場合に得られる凹面をなして
いる。そして、球状凸面に形成された各パワーローラ
8、8の周面8a、8aを、上記内側面2a、4aに当
接させている。
【0004】上記入力軸1と入力側ディスク2との間に
は、ローディングカム式の押圧装置9を設け、この押圧
装置9によって、上記入力側ディスク2を出力側ディス
ク4に向け、弾性的に押圧自在としている。この押圧装
置9は、入力軸1と共に回転するカム板10と、保持器
11により保持された複数個(例えば4個)のローラ1
2、12とから構成している。上記カム板10の片側面
(図3〜4の左側面)には、円周方向に亙る凹凸面であ
るカム面13を形成し、上記入力側ディスク2の外側面
(図3〜4の右側面)にも、同様のカム面14を形成し
ている。そして、上記複数個のローラ12、12を、上
記入力軸1の中心に対して放射方向の軸を中心とする回
転自在に支持している。
【0005】上述の様に構成されるトロイダル型無段変
速機の使用時、入力軸1の回転に伴ってカム板10が回
転すると、カム面13が複数個のローラ12、12を、
入力側ディスク2外側面のカム面14に押圧する。この
結果、上記入力側ディスク2が、上記各パワーローラ
8、8に押圧されると同時に、上記1対のカム面13、
14と複数個のローラ12、12との押し付け合いに基
づいて、上記入力側ディスク2が回転する。そして、こ
の入力側ディスク2の回転が、上記各パワーローラ8、
8を介して出力側ディスク4に伝わり、この出力側ディ
スク4に固定の出力軸3を回転させる。
【0006】入力軸1と出力軸3との回転速度比(変速
比)を変える場合で、先ず入力軸1と出力軸3との間で
減速を行なう場合には、枢軸5、5を中心として各トラ
ニオン6、6を揺動させ、各パワーローラ8、8の周面
8a、8aが図3に示す様に、入力側ディスク2の内側
面2aの中心寄り部分と出力側ディスク4の内側面4a
の外周寄り部分とにそれぞれ当接する様に、各変位軸
7、7を傾斜させる。反対に、増速を行なう場合には、
上記枢軸5、5を中心として上記各トラニオン6、6を
揺動させ、各パワーローラ8、8の周面8a、8aが図
4に示す様に、入力側ディスク2の内側面2aの外周寄
り部分と出力側ディスク4の内側面4aの中心寄り部分
とに、それぞれ当接する様に、各変位軸7、7を傾斜さ
せる。各変位軸7、7の傾斜角度を図3と図4との中間
にすれば、入力軸1と出力軸3との間で、中間の変速比
を得られる。
【0007】更に、図5〜6は、実願昭63−6929
3号(実開平1−173552号)のマイクロフィルム
に記載された、より具体化されたトロイダル型無段変速
機を示している。入力側ディスク2と出力側ディスク4
とは入力軸15の周囲に、それぞれニードル軸受16、
16を介して回転自在に支持している。又、カム板10
は上記入力軸15の端部(図5の左端部)外周面にスプ
ライン係合し、鍔部17により、上記入力側ディスク2
から離れる方向への移動を阻止している。そして、この
カム板10とローラ12、12とにより、上記入力軸1
5の回転に基づいて上記入力側ディスク2を、出力側デ
ィスク4に向け押圧しつつ回転させる、ローディングカ
ム式の押圧装置9を構成している。上記出力側ディスク
4には出力歯車18を、キー19、19により結合し、
これら出力側ディスク4と出力歯車18とが同期して回
転する様にしている。この出力歯車18、並びにこの出
力歯車18と噛合した図示しない歯車等が、出力側ディ
スク4の回転を取り出す為の動力取り出し手段を構成す
る。
【0008】1対のトラニオン6、6の両端部に設けた
枢軸5、5は1対の支持ポスト20、20に、揺動並び
に軸方向(図5の表裏方向、図6の左右方向)に亙る変
位自在に支持している。上記1対の支持ポスト20、2
0は、十分な剛性を有する金属板状で、中央部に形成し
た円孔21を、ケーシング22の内面若しくはこのケー
シング22内に設けたシリンダケース23の側面に固設
した支持ピン24a、24bに外嵌する事により、上記
ケーシング22の内側に、揺動並びに上記各枢軸5、5
の軸方向に亙る変位自在に支持している。又、上記各支
持ポスト20、20の両端部には、それぞれ円形の支持
孔25、25を形成しており、これら各支持孔25、2
5に、それぞれ上記各枢軸5、5を、それぞれが外輪2
6、26を備えたラジアルニードル軸受27、27によ
り、支持している。これらの構成に基づいて上記各トラ
ニオン6、6を、上記各枢軸5、5を中心とする揺動並
びにこれら各枢軸5、5の軸方向に亙る変位を自在とし
て、上記ケーシング22内に支持している。
【0009】上述の様にして上記ケーシング22内に支
持した、上記各トラニオン6、6の中間部に形成した円
孔40、40部分に、変位軸7、7を支持している。こ
れら各変位軸7、7は、互いに平行で且つ偏心した支持
軸部28、28と枢支軸部29、29とを、それぞれ有
する。このうちの各支持軸部28、28を上記各円孔4
0、40の内側に、ラジアルニードル軸受30、30を
介して、揺動自在に支持している。又、上記各枢支軸部
29、29の周囲にパワーローラ8、8を、ラジアルニ
ードル軸受31、31を介して、回転自在に支持してい
る。
【0010】尚、上記1対の変位軸7、7は、前記入力
軸15を中心として、180度反対側位置に設けてい
る。又、これら各変位軸7、7の各枢支軸部29、29
が各支持軸部28、28に対し偏心している方向は、上
記入力側、出力側両ディスク2、4の回転方向に関し同
方向(図6で左右逆方向)としている。又、偏心方向
は、上記入力軸15の配設方向(図5の左右方向、図6
の表裏方向)に対しほぼ直交する方向としている。従っ
て上記各パワーローラ8、8は、上記入力軸15の配設
方向に亙る若干の変位自在に支持される。この結果、構
成各部品の寸法精度のばらつき、或は動力伝達時の弾性
変形等に起因して、上記各パワーローラ8、8が上記入
力軸15の軸方向(図5の左右方向、図6の表裏方向)
に変位する傾向となった場合でも、構成各部品に無理な
力を加える事なく、この変位を吸収できる。
【0011】又、上記各パワーローラ8、8の外側面と
上記各トラニオン6、6の中間部内側面との間には、パ
ワーローラ8、8の外側面の側から順に、スラスト玉軸
受32、32等のスラスト転がり軸受と、次述する外輪
33、33に加わるスラスト荷重を支承するスラストニ
ードル軸受34、34等のスラスト軸受とを設けてい
る。このうちのスラスト玉軸受32、32は、請求項1
に記載したスラスト転がり軸受に相当するもので、上記
各パワーローラ8、8に加わるスラスト方向の荷重を支
承しつつ、これら各パワーローラ8、8の回転を許容す
る。又、上記各スラストニードル軸受34、34は、上
記各パワーローラ8、8から上記各スラスト玉軸受3
2、32の外輪33、33に加わるスラスト荷重を支承
しつつ、上記枢支軸部29、29及び上記外輪33、3
3が上記支持軸部28、28を中心に揺動する事を許容
する。
【0012】又、上記各トラニオン6、6の一端部(図
6の左端部)には、それぞれ駆動ロッド35、35を結
合し、これら各駆動ロッド35、35の中間部外周面に
駆動ピストン36、36を固設している。そして、これ
ら各駆動ピストン36、36をそれぞれ、前記シリンダ
ケース23内に設けた駆動シリンダ37、37内に油密
に嵌装している。更に、前記ケーシング22内に設けた
支持壁38と前記入力軸15との間には1対の転がり軸
受39、39を設けて、上記入力軸15を上記ケーシン
グ22内に回転自在に支持している。
【0013】上述の様に構成するトロイダル型無段変速
機の場合には、入力軸15の回転を押圧装置9を介して
入力側ディスク2に伝える。そして、この入力側ディス
ク2の回転を、1対のパワーローラ8、8を介して出力
側ディスク4に伝達し、更にこの出力側ディスク4の回
転を、前記出力歯車18より取り出す。上記入力軸15
と出力歯車18との間の回転速度比を変える場合には、
前記1対の駆動ピストン36、36を互いに逆方向に変
位させる。これら各駆動ピストン36、36の変位に伴
って上記1対のトラニオン6、6が、それぞれ逆方向に
変位し、例えば図6の下側のパワーローラ8が同図の右
側に、同図の上側のパワーローラ8が同図の左側に、そ
れぞれ変位する。この結果、これら各パワーローラ8、
8の周面8a、8aと上記入力側ディスク2及び出力側
ディスク4の内側面2a、4aとの当接部に作用する、
接線方向の力の向きが変化する。そして、この力の向き
の変化に伴って上記各トラニオン6、6が、支持ポスト
20、20に枢支された枢軸5、5を中心として、図5
で互いに逆方向に揺動する。この結果、前述の図3〜4
に示した様に、上記各パワーローラ8、8の周面8a、
8aと上記各内側面2a、4aとの当接位置が変化し、
上記入力軸15と出力歯車18との間の回転速度比が変
化する。
【0014】尚、動力伝達時に構成各部品が弾性変形す
る結果、上記各パワーローラ8、8が上記入力軸15の
軸方向に変位すると、これら各パワーローラ8、8を枢
支している上記各変位軸7、7が、前記各支持軸部2
8、28を中心として僅かに揺動する。この揺動の結
果、前記各スラスト玉軸受32、32の外輪33、33
の外側面と上記各トラニオン6、6の内側面とが相対変
位する。これら外側面と内側面との間には、前記各スラ
ストニードル軸受34、34が存在する為、この相対変
位に要する力は小さい。従って、上述の様に各変位軸
7、7の傾斜角度を変化させる為の力が小さくて済む。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】上述の様に構成され作
用するトロイダル型無段変速機の運転時に入力側、出力
側両ディスク2、4には、各パワーローラ8、8との押
し付け合いに基づいて複雑且つ大きな力が繰り返し加わ
る。例えばトロイダル型無段変速機の運転時に出力側デ
ィスク4の内側面4aにはパワーローラ8から、図7の
A点に、Fなるスラスト荷重が加わる。そして上記出力
側ディスク4は、この様なスラスト荷重に基づいて弾性
変形し、その結果、図7のB、C、D部に、大きな引っ
張り応力が集中して加わる。これら引っ張り応力の加わ
る部位は、トロイダル型無段変速機の運転に伴う上記出
力側ディスク4の回転に基づき、円周方向に移動する。
従って、円周方向に関して或る一部分に注目した場合、
当該部分には大きな引っ張り応力が繰り返し加わる事に
なる。この様な引っ張り応力が繰り返し加わる事は、入
力側ディスク2に関しても、ほぼ同様である。この様に
して入力側、出力側両ディスク2、4に繰り返し加わる
引っ張り応力は、これら入力側、出力側両ディスク2、
4に割れ等の損傷を発生させ、これら両ディスク2、4
が破壊する原因となる。従って、トロイダル型無段変速
機の耐久性を十分に確保する為には、上述の様な引っ張
り応力に拘らず、上記入力側、出力側両ディスク2、4
に割れ等の損傷が発生するのを防止する為の考慮が必要
になる。
【0016】又、上記各パワーローラ8、8の周面8
a、8aと当接する面である、上記入力側、出力側両デ
ィスク2、4の内側面2a、4aが、これら各ディスク
2、4の回転に伴って振れ回ると、上記各周面8a、8
aと上記各内側面2a、4aとの当接状態が不安定にな
る。この結果、トロイダル型無段変速機の運転時に振動
が発生したり、上記各パワーローラ8、8の変速状態を
同調させられなくなったり、ハンチングを起こしたりす
る。そして、これら振動や変速状態の非同調、或はハン
チングに基づき、上記各周面8a、8aと当接する上記
各内側面2a、4aに無理な力が加わり、これら各内側
面2a、4aに早期剥離が生じる等、やはり上記入力
側、出力側両ディスク2、4の耐久性が損なわれてしま
う。本発明のトロイダル型無段変速機は、この様な事情
に鑑みて発明したものである。
【0017】
【課題を解決するための手段】本発明のトロイダル型無
段変速機は、前述の従来から知られているトロイダル型
無段変速機と同様に、回転自在に支持された入力軸と、
この入力軸と共に回転自在な入力側ディスクと、この入
力側ディスクと同心に配置され、且つこの入力側ディス
クに対する回転自在に支持された出力側ディスクと、こ
れら入力側、出力側両ディスクの軸方向に関してこれら
両ディスクの中間部に、これら両ディスクの軸方向に対
し直角方向で且つこれら両ディスクの中心軸に対し捻れ
の位置に配置されて当該位置で揺動する複数のトラニオ
ンと、これら各トラニオンに支持された変位軸に回転自
在に支持され、入力側、出力側両ディスクの間に挟持さ
れた複数個のパワーローラと、これら各パワーローラの
外側面と上記各トラニオンの内側面との間に設けたスラ
スト転がり軸受とから構成する。そして、入力側、出力
側両ディスクの互いに対向する内側面を、それぞれ断面
が円弧形の凹面とし、上記各パワーローラの周面を球面
状の凸面として、この周面と前記内側面とを当接させて
いる。
【0018】特に、本発明のトロイダル型無段変速機に
於いては、次の〜のうちの少なくとも一つの条件を
満たす。 上記入力側、出力側両ディスクの表面のうち、外側
面と、上記円弧形の凹面である内側面よりも内径側に存
在する内端面及び内周面内端寄り部分とにショット・ピ
ーニングが施されており、これら外側面と内端面と内周
面内端寄り部分とには、このショット・ピーニングに基
づく圧縮残留応力が存在する。 上記入力側、出力側両ディスクの表面に熱処理硬化
層が形成されており、これら両ディスクの表面のうち、
外側面と、上記円弧形の凹面である内側面よりも内径側
に存在する内端面との表面部分に、上記硬化層を形成し
た後に削り加工を施して、この硬化層のうちの熱処理異
常層を除去している。 上記入力側、出力側両ディスクの内側面の、これら
各ディスクの回転中心に対する振れ回り量を、0.02
mm以下としている。
【0019】
【作用】上述の様に構成する本発明のトロイダル型無段
変速機が入力側ディスクと出力側ディスクとの間で回転
力を伝達する際の作用、並びにこれら入力側ディスクと
出力側ディスクとの間の変速比を変える際の作用は、前
述した従来構造の場合と同様である。特に、本発明のト
ロイダル型無段変速機の場合には、入力側、出力側両デ
ィスクに関して、〜の要件を備えさせる事により、
これら入力側、出力側両ディスクの耐久性向上を図れ
る。
【0020】
【発明の実施の形態】図1〜2は、本発明のトロイダル
型無段変速機の要部である、入力側、出力側両ディスク
2A、4Aの対向部分を示している。尚、図1は、入力
側、出力側両ディスク2A、4Aを、動力の伝達方向に
関して互いに並列に2対設けた、所謂ダブルキャビティ
型のトロイダル型無段変速機の片半部を示している。入
力軸1aの回転は、ローディングカム式の押圧装置9を
介して入力側ディスク2Aに伝達される。更にこの入力
側ディスク2Aの回転は、この入力側ディスク2Aの内
周縁部に設けたボールスプライン41を介してその一端
部を結合した伝達軸42に伝達され、この伝達軸42の
他端部に結合した、図示しない別の入力側ディスクを、
上記入力側ディスク2Aと同期して回転させる。又、こ
の入力側ディスク2Aの回転は、上記伝達軸42を挟ん
で図1の表裏方向両側に設けた、やはり図示しない1対
のパワーローラ8(図3〜6)を介して、出力側ディス
ク4Aに伝達する。この出力側ディスク4Aは、やはり
図示しない別の出力側ディスクと共に、上記伝達軸42
の中間部周囲に設けたスリーブ43の両端部にスプライ
ン係合させている。又、上記出力側ディスク4Aの内半
部(内側面4a側半部で、図1の左半部)内周面と上記
伝達軸42の中間部外周面との間にはラジアルニードル
軸受16aを設けて、上記出力側ディスク4Aと伝達軸
42との相対回転を自在としている。又、上記スリーブ
43の中間部外周面で、上記出力側ディスク4Aと別の
出力側ディスクとの間部分には出力歯車(図示せず)を
設けて、上記1対の入力側ディスク2Aから上記1対の
出力側ディスク4Aに伝達された動力を取り出し自在と
している。
【0021】上述の様に構成するトロイダル型無段変速
機に於いて、上記入力側、出力側両ディスク2A、4A
の表面には、浸炭処理、浸炭窒化処理、高周波焼き入れ
等の熱処理による硬化層を形成している。又、これら入
力側、出力側両ディスク2A、4Aの内周面44、44
と、これら各ディスク2A、4Aの内側面2a、4aよ
りも内径側に存在する内端面45、45との連続部に
は、図2に示す様な面取り部46を形成している。そし
て、この面取り部46の表面粗さを6.3s以下にし
て、上記連続部の耐力を向上させている。
【0022】更に、上記入力側、出力側両ディスク2
A、4Aの表面のうち、図1に斜格子で示す部分、即
ち、これら各ディスク2A、4Aの外側面2b、4b
と、上記内端面45、45と面取り部46と内周面4
4、44の内端寄り部分とに、ショット・ピーニングを
施している。そして、この様にショット・ピーニングを
施した、上記両ディスク2A、4Aの外側面2b、4b
と内端面45、45と面取り部46、46と内周面4
4、44の内端寄り部分とに、このショット・ピーニン
グに基づく圧縮残留応力をが存在させている(前述の
の点)。
【0023】上述の様に、入力側、出力側両ディスク2
A、4Aの外側面2b、4bと、内周面44と、内端面
45と、これら両面44、45の連続部である面取り部
46とに圧縮残留応力を存在させると、トロイダル型無
段変速機の運転時に、上記入力側、出力側両ディスク2
A、4Aに曲げ応力が加わっても、これら各ディスク2
A、4Aに亀裂等の損傷が発生する事はない。即ち、ト
ロイダル型無段変速機の運転時に上記各ディスク2A、
4Aには、前述の図7のB、C、D点に大きな引っ張り
応力が加わる。これに対して、上述の様に上記B、D点
を含む部分に圧縮残留応力を存在させれば、この圧縮残
留応力が上記引っ張り応力を相殺して、上記亀裂等の損
傷を発生しにくくできる。尚、ショット・ピーニングに
より上記各部分に残留させる圧縮応力は、好ましくは5
0〜90kgf/mm2 程度にする。
【0024】尚、トロイダル型無段変速機の運転時に上
記入力側、出力側両ディスク2A、4Aには、上記B、
D点だけでなく、これら各ディスク2A、4Aの内側面
2a、4a上の点であるC点にも、引っ張り応力が加わ
る。但し、このC点を含むこれら各内側面2a、4a
は、図示しないパワーローラの周面と当接する事により
動力を伝達するトラクション面であり、例えば表面粗さ
を、超仕上により0.05Ra以下の平滑面にする必要が
ある。従って、上記C点を含む内側面2a、4aにショ
ット・ピーニングを施す事はできない。但し、これら各
内側面2a、4aは、それぞれ上記平滑面とする為の超
仕上等の研削に基づき、硬化層を形成する過程で生じた
熱処理異常層を除去しているので、上記C点に加わる大
きな引っ張り応力に拘らず、このC点から亀裂等の損傷
が発生しにくい。言い換えれば、上記各内側面2a、4
aは、引っ張り応力に対して大きな耐力を有する。
【0025】又、上記入力側、出力側両ディスク2A、
4Aの表面のうち、前記各外側面2b、4bと、前記各
内端面45、45との表面部分に、前記熱処理に基づい
て硬化層を形成した後に削り加工を施して、上記硬化層
のうちの熱処理異常層を除去している(前述のの
点)。この様に、トロイダル型無段変速機の運転時に大
きな引っ張り応力が加わるB、D点を含む、上記各外側
面2b、4bと、前記各内端面45、45とに存在する
熱処理異常層を除去する事により、トロイダル型無段変
速機の運転時に上記入力側、出力側両ディスク2A、4
Aに大きな曲げ応力が加わった場合でも、これら両ディ
スク2A、4Aに亀裂等の損傷を発生する事を抑えられ
る。即ち、これら両ディスク2A、4Aに曲げ応力が加
わると、上記各点B、D部分に大きな応力が集中する。
一方、上記両ディスク2A、4Aの表面を硬化させる
為、高周波焼き入れ、浸炭焼き入れ等の熱処理を施す
と、これら両ディスク2A、4Aの表面部分に、熱処理
異常層が存在する事になる。この様な熱処理異常層が存
在すると、上記曲げ応力に伴う応力集中により、上記
B、D点から亀裂等の損傷が発生し、上記入力側、出力
側両ディスク2A、4Aが破断等の損傷を受ける。これ
に対して、上述の様に上記両ディスク2A、4Aに熱処
理を施した後、上記硬化層部分に存在する上記熱処理異
常層を除去すれば、上述の様な原因で上記両ディスク2
A、4Aが破断等の損傷を受ける事を防止できる。尚、
この様な熱処理異常層の除去と、前述の残留圧縮応力付
与とは、単独でも効果を得られるが、組み合わせて行な
えば、より優れた効果を得られる。
【0026】更に、上記入力側、出力側両ディスク2
A、4Aの内側面2a、4aの、これら各ディスク2
A、4Aの回転中心に対する振れ回り量を0.02mm以
下としている(前述のの点)。即ち、上記入力側、出
力側両ディスク2A、4Aは、前記伝達軸42を中心と
して回転するが、この回転中心と上記内側面2a、4a
の一部でパワーローラの周面と当接する部分との距離が
変化すると、これら各部分が、上記各ディスク2A、4
Aの回転に伴って振れ回る事になる。この様な振れ回り
が生じると、前述の様に、上記パワーローラの周面と上
記各内側面2a、4aとの当接状態が不安定になって、
トロイダル型無段変速機の運転時に振動が発生したり、
上記各パワーローラの変速状態を同調させられなくなっ
たりする。そして、これら振動や変速状態の非同調に基
づき、上記各周面と当接する上記各内側面2a、4aに
無理な力が加わり、これら各内側面2a、4aに早期剥
離が生じる等、やはり上記入力側、出力側両ディスク2
A、4Aの耐久性が損なわれてしまう。
【0027】これに対して、上記入力側、出力側両ディ
スク2A、4Aの内側面2a、4aの、これら各ディス
ク2A、4Aの回転中心に対する振れ回り量を0.02
mm以下に規制すれば、上述の様な入力側、出力側両ディ
スク2A、4Aの耐久性低下に結び付く様な振れ回りを
防止できる。尚、上記入力側、出力側両ディスク2A、
4Aの内側面2a、4aを研削加工する作業は、これら
各内側面2a、4aの曲率半径Rの加工公差をプラス側
にして行なう。従って、上記研削作業は、この曲率半径
Rを公差側に追い込む方向で行なうので、加工作業は比
較的容易である。又、曲率半径Rが公差側にずれて大き
くなる事は、上記各内側面2a、4aとパワーローラの
周面との当接部である、トラクション面の面圧低下につ
ながり、上記入力側、出力側両ディスク2A、4A及び
パワーローラの耐久性向上に結び付く為、好ましい。
尚、次の表1は、上記振れ回り量の大きさが、トロイダ
ル型無段変速機の運転に及ぼす影響を知る為、本発明者
が行なった実験の結果を示している。
【0028】
【表1】
【0029】この表1の記載から明らかな通り、上記振
れ回り量を0.02mm以下に抑えれば、トロイダル型無
段変速機の運転に及ぼす悪影響を、実用上問題ない程度
に抑える事ができる。尚、この様に上記両ディスク2
A、4Aの振れ回り量を規制する事も、単独で実施して
効果を得られるだけでなく、前述のと組み合わせて
実施すれば、より優れた効果を得られる。
【0030】
【発明の効果】本発明のトロイダル型無段変速機は、以
上に述べた通り構成され作用するので、入力側、出力側
両ディスクの耐久性を向上させて、これら両ディスクを
組み込んだトロイダル型無段変速機の耐久性向上を図れ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のトロイダル型無段変速機の要部断面
図。
【図2】図1のA部拡大図。
【図3】トロイダル型無段変速機の基本構成を、最大減
速時の状態で示す略側面図。
【図4】同じく最大増速時の状態で示す略側面図。
【図5】従来から知られている具体的構造の1例を示す
要部断面図。
【図6】図5のB−B断面図。
【図7】ディスクに引っ張り応力が加わる部位を説明す
る為の部分断面図。
【符号の説明】
1、1a 入力軸 2、2A 入力側ディスク 2a 内側面 2b 外側面 3 出力軸 4、4A 出力側ディスク 4a 内側面 4b 外側面 5 枢軸 6 トラニオン 7 変位軸 8 パワーローラ 8a 周面 9 押圧装置 10 カム板 11 保持器 12 ローラ 13、14 カム面 15 入力軸 16、16a ニードル軸受 17 鍔部 18 出力歯車 19 キー 20 支持ポスト 21 円孔 22 ケーシング 23 シリンダケース 24a、24b 支持ピン 25 支持孔 26 外輪 27 ラジアルニードル軸受 28 支持軸部 29 枢支軸部 30 ラジアルニードル軸受 31 ラジアルニードル軸受 32 スラスト玉軸受 33 外輪 34 スラストニードル軸受 35 駆動ロッド 36 駆動ピストン 37 駆動シリンダ 38 支持壁 39 転がり軸受 40 円孔 41 ボールスプライン 42 伝達軸 43 スリーブ 44 内周面 45 内端面 46 面取り部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 加藤 寛 神奈川県藤沢市鵠沼神明一丁目5番50号 日本精工株式会社内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 回転自在に支持された入力軸と、この入
    力軸と共に回転自在な入力側ディスクと、この入力側デ
    ィスクと同心に配置され、且つこの入力側ディスクに対
    する回転自在に支持された出力側ディスクと、これら入
    力側、出力側両ディスクの軸方向に関してこれら両ディ
    スクの中間部に、これら両ディスクの軸方向に対し直角
    方向で且つこれら両ディスクの中心軸に対し捻れの位置
    に配置されて当該位置で揺動する複数のトラニオンと、
    これら各トラニオンに支持された変位軸に回転自在に支
    持され、入力側、出力側両ディスクの間に挟持された複
    数個のパワーローラと、これら各パワーローラの外側面
    と上記各トラニオンの内側面との間に設けたスラスト転
    がり軸受とから構成し、入力側、出力側両ディスクの互
    いに対向する内側面を、それぞれ断面が円弧形の凹面と
    し、上記各パワーローラの周面を球面状の凸面として、
    この周面と上記内側面とを当接させたトロイダル型無段
    変速機に於いて、次の〜のうちの少なくとも一つの
    条件を満たす事を特徴とするトロイダル型無段変速機。 上記入力側、出力側両ディスクの表面のうち、外側
    面と、上記円弧形の凹面である内側面よりも内径側に存
    在する内端面及び内周面内端寄り部分とにショット・ピ
    ーニングが施されており、これら外側面と内端面と内周
    面内端寄り部分とには、このショット・ピーニングに基
    づく圧縮残留応力が存在する。 上記入力側、出力側両ディスクの表面に熱処理硬化
    層が形成されており、これら両ディスクの表面のうち、
    外側面と、上記円弧形の凹面である内側面よりも内径側
    に存在する内端面との表面部分に、上記硬化層を形成し
    た後に削り加工を施して、この硬化層のうちの熱処理異
    常層を除去している。 上記入力側、出力側両ディスクの内側面の、これら
    各ディスクの回転中心に対する振れ回り量を、0.02
    mm以下としている。
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