JPH11164580A - ブラシレスモータの駆動装置 - Google Patents

ブラシレスモータの駆動装置

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JPH11164580A
JPH11164580A JP9326479A JP32647997A JPH11164580A JP H11164580 A JPH11164580 A JP H11164580A JP 9326479 A JP9326479 A JP 9326479A JP 32647997 A JP32647997 A JP 32647997A JP H11164580 A JPH11164580 A JP H11164580A
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induced
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 回転数や負荷に依存せず、常にブラシレスモ
ータを高力率、高効率で運転することのできるブラシレ
スモータの駆動装置を提供する。 【解決手段】 速度制御系では、電圧指令値演算回路3
3において、回転数指令値f* と回転数fの偏差を内部
のPID調整器に入力して電圧指令値V* を算出する。
進み角制御系では、誘起電圧演算回路36において誘起
電圧定数KEに回転数fを乗じて誘起電圧Eを求め、進
み角演算回路37において、電圧指令値V* と誘起電圧
Eの偏差を内部のPID調整器に入力して転流進み角θ
L を算出する。PWM制御回路34では、電圧指令値V
* と、ロータ位置θに転流進み角θL を加算した転流位
相角とを用いてPWM信号を生成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、インバータ回路に
より転流進み角制御を行うブラシレスモータの駆動装置
に関する。
【0002】
【従来の技術】ロータに永久磁石を有し、且つステータ
に巻線を備えるブラシレスモータを駆動する場合、その
ロータの回転位置を検出する位置センサと、その検出さ
れた回転位置に対応して順次ステータの電流を転流させ
るインバータ回路とが必要である。この位置センサは、
例えばロータの回転位置に応じて電気角60[deg]
毎の位置検出信号を出力する。
【0003】そして、制御手段たるマイクロコンピュー
タは、インバータ回路を120[deg]通電方式の矩
形波駆動を行う場合には、この位置検出信号に同期した
PWM信号により転流させ、正弦波−三角波比較方式に
よる正弦波駆動を行う場合には、この位置検出信号に基
づいた演算により十分に角度分解能を上げた(例えば1
[deg])PWM信号に同期してインバータ回路を転
流させるように構成される。
【0004】さらに、可変速駆動を行う場合には、上記
何れの駆動方法を用いても、回転数指令値と位置検出信
号から求めた回転数検出値との偏差に基づいて電圧指令
値を演算し、その電圧指令値に比例したPWM信号に基
づく電圧をブラシレスモータに印加することにより可変
速駆動させるように構成されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、ブラシレス
モータのステータ巻線はインダクタンスを有するので、
転流後の相電流の立ち上がりは電圧に対して遅れ、その
結果ロータ位置(誘起電圧)に対する電流位相の遅れが
発生する。この電流の遅れ量は回転数が高くなる程大き
く、また電流の大きさにも依存する。そこで、従来のブ
ラシレスモータの駆動装置においては、例えば定格回転
数、定格負荷の条件下でブラシレスモータの力率及び効
率が高くなるように転流位相が設定されている。しか
し、検出されたロータ位置と転流位相との関係が設定に
より固定されていると、他の駆動条件、例えば低回転数
においては転流位相が進んでしまい、力率、効率が悪化
してしまうという問題があった。
【0006】本発明は、上記事情に鑑みてなされたもの
であり、その目的は、回転数や負荷に依存せず、常にブ
ラシレスモータの力率を高く維持でき、効率の改善を図
ることのできるブラシレスモータの駆動装置を提供する
ことにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明のブラシレスモータの駆動装置は、ロータに
永久磁石を有するブラシレスモータを駆動するインバー
タ回路と、前記ロータの回転位置を検出する位置検出手
段と、この位置検出手段から出力される位置検出信号に
基づいて回転数を演算する回転数演算手段と、前記ブラ
シレスモータに印加する電圧指令値を演算する電圧指令
値演算手段とを備えたブラシレスモータの駆動装置にお
いて、前記電圧指令値演算手段にて演算される電圧指令
値と前記ブラシレスモータの誘起電圧との比較結果に基
づいて前記インバータ回路の転流進み角を演算する進み
角演算手段を備える(請求項1)。
【0008】斯様に構成すれば、電圧指令値、即ちブラ
シレスモータの印加電圧と、ブラシレスモータの誘起電
圧とが略一致するように転流進み角が演算されてインバ
ータ回路の転流タイミングが決定される。一方、ブラシ
レスモータは、各相の誘起電圧と相電流の位相が一致し
たときに大きなトルクが得られ、誘起電圧と印加電圧と
が略等しくなる。従って、上記手段によれば、ブラシレ
スモータの発生トルクを高く維持でき、ブラシレスモー
タを高力率、高効率で回転駆動することができる。
【0009】この場合、予め設定された誘起電圧定数に
回転数を乗じて誘起電圧を得る誘起電圧演算手段を設け
ると良い(請求項2)。斯様に構成すれば、ブラシレス
モータの相電圧を検出する電圧検出器などのセンサを付
加すること無く演算のみによってブラシレスモータの誘
起電圧を精度良く得ることができる。また、転流進み角
を正確に演算できるので、ブラシレスモータの力率、及
び効率をより向上させることができる。
【0010】また、電圧指令値と回転数に基づいて誘起
電圧定数を演算するとともに、その誘起電圧定数に前記
回転数を乗じて誘起電圧を得る誘起電圧演算手段を設け
ることが好ましい(請求項3)。斯様に構成すれば、ブ
ラシレスモータの駆動中、電圧指令値と回転数に基づい
て誘起電圧定数を演算するので、誘起電圧定数を予め測
定しておく必要がなく、しかも、回転数に応じて若干変
化する誘起電圧定数を常に正しく得ることができる。従
って、簡易な方法で、且つ広い速度範囲において高力
率、高効率でブラシレスモータを駆動することができ
る。
【0011】さらに、ブラシレスモータの相電圧から誘
起電圧を検出する誘起電圧検出手段を設けることも良い
(請求項4)。斯様に構成すれば、ブラシレスモータの
誘起電圧を直接検出するので、誘起電圧定数を予め測定
しておく必要がなく、温度変化等によるブラシレスモー
タの特性の変化が生じても誤差なく、高力率、高効率で
ブラシレスモータを駆動することができる。
【0012】以上の手段において、進み角演算手段で用
いる誘起電圧は、誘起電圧演算手段にて演算した誘起電
圧または誘起電圧検出手段にて検出した誘起電圧に、ブ
ラシレスモータの負荷に比例した補正電圧を加算した誘
起電圧とするのが良い(請求項5)。斯様に構成すれ
ば、進み角制御において、高負荷になるに従って増大す
るブラシレスモータの巻線抵抗による電圧降下の影響を
補償できるので、トルクの減少、力率や効率の低下を防
止することができる。
【0013】この場合、進み角演算手段で用いる誘起電
圧は、誘起電圧演算手段にて演算した誘起電圧または誘
起電圧検出手段にて検出した誘起電圧に、一定の補正電
圧を加算した誘起電圧としても良い。(請求項6)。斯
様に構成すれば、進み角演算手段で用いる誘起電圧に一
定の補正電圧を加算することにより、誘起電圧の演算誤
差又は検出誤差を補償することができる。また、例えば
中程度の負荷における負荷電流に対応したブラシレスモ
ータの巻線抵抗による電圧降下に等しい補正電圧を加算
すれば、簡易的に、負荷電流の増大に伴うトルクの減
少、力率や効率の低下を補償することができる。
【0014】また、進み角演算手段で用いる誘起電圧
は、誘起電圧演算手段にて演算した誘起電圧または誘起
電圧検出手段にて検出した誘起電圧に、ブラシレスモー
タの負荷に比例した補正電圧と一定の補正電圧を加算し
た誘起電圧とすることもできる(請求項7)。斯様に構
成すれば、負荷に比例した補正電圧によりブラシレスモ
ータの巻線抵抗による電圧降下を補償し、一定の補正電
圧により誘起電圧の演算誤差又は検出誤差を補償でき
る。
【0015】さらに、進み角演算手段で用いる誘起電圧
は、誘起電圧演算手段にて演算した誘起電圧若しくは誘
起電圧検出手段にて検出した誘起電圧、またはこれら誘
起電圧に補正電圧を加算した誘起電圧に、ブラシレスモ
ータの巻線温度または前記ブラシレスモータの負荷に応
じた補正係数を乗じた誘起電圧とするのが良い(請求項
8)。斯様に構成すれば、ブラシレスモータの巻線温度
によって巻線抵抗が変化することに伴う電圧降下の影響
をさらに精度良く補償し、高力率、高効率でブラシレス
モータを駆動することができる。
【0016】一方、ロータに永久磁石を有するブラシレ
スモータを駆動するインバータ回路と、前記ロータの回
転位置を検出する位置検出手段と、この位置検出手段か
ら出力される位置検出信号に基づいて回転数を演算する
回転数演算手段とを備えたブラシレスモータの駆動装置
において、回転数指令値に誘起電圧定数を乗ずることに
より前記ブラシレスモータに印加する電圧指令値を演算
する電圧指令値演算手段と、前記回転数指令値と前記回
転数との比較結果に基づいて前記インバータ回路の転流
進み角を演算する進み角演算手段とを備えた構成とする
ことができる(請求項9)。
【0017】斯様に構成すれば、回転数指令値に誘起電
圧定数を乗じて得た誘起電圧に等しい電圧をブラシレス
モータに印加した上で、回転数と回転数指令値とが略一
致するように転流進み角が演算されて転流タイミングが
決定される。一方、ブラシレスモータは、その印加電圧
が誘起電圧に略等しいときには、誘起電圧と電流の位相
が一致し、大きなトルクが得られる。従って、上記手段
によれば、ブラシレスモータの発生トルクを高く維持で
き、ブラシレスモータを高力率、高効率で回転駆動する
ことができる。
【0018】以上において、進み角演算手段にて演算さ
れた転流進み角に限界値を設定するリミット処理演算手
段を備えるようにする(請求項10)。斯様に構成すれ
ば、転流タイミングの進み過ぎ又は遅れ過ぎによる脱調
を防ぐことができるので、ブラシレスモータを安定に駆
動できる。
【0019】また、リミット処理演算手段は回転数に応
じて転流進み角の限界値を設定するのも良い(請求項1
1)。斯様に構成すれば、回転数に応じて進み角の限界
値を狭めることができるので、ブラシレスモータをより
安定に駆動することができる。
【0020】なお、電圧指令値演算手段にて演算される
電圧指令値とブラシレスモータの誘起電圧との差を、前
記ブラシレスモータの誘起電圧の±10%の範囲内に制
御することができる(請求項12)。斯様に構成すれ
ば、電圧指令値演算手段にて演算される電圧指令値とブ
ラシレスモータの誘起電圧との差を、ブラシレスモータ
の効率の低下が少ない誘起電圧の±10%の範囲内に制
御するので、効率をさほど低下させることなく、誘起電
圧演算手段や進み角演算手段などの演算精度を下げるこ
とができる。従って、これら演算手段の構成を簡易化し
たり、処理能力を下げることができ、以て、調整等のコ
ストを下げることができる。
【0021】
【発明の実施の形態】以下、本発明の第1実施例につい
て図1を参照して説明する。駆動装置の電気的構成を示
す図1において、ブラシレスモータの駆動装置1は、イ
ンバータ回路2とそのインバータ回路2を制御する制御
手段たる制御回路、例えばマイクロコンピュータ3とか
ら構成されている。
【0022】インバータ回路2において、三相の交流電
源4のU、V、W相母線は、ダイオード5〜10を三相
ブリッジ接続してなる整流回路11の各相入力端子12
u、12v、12wに夫々接続され、その整流回路11
の出力線である正側直流電源線13と負側直流電源線1
4との間には平滑コンデンサ15が接続されるととも
に、例えばIGBT等のスイッチング素子16〜21及
びこれらに並列に接続された還流ダイオード22〜27
を三相ブリッジ接続してなるインバータ主回路28が接
続されている。このインバータ主回路28のU、V、W
相出力端子29u、29v、29wには、ロータに図示
しない永久磁石を有しステータに図示しない三相巻線を
巻装したブラシレスモータ30が接続されている。
【0023】また、ブラシレスモータ30には位置検出
手段としての位置センサ31が配設されており、これ
は、ブラシレスモータ30の回転軸に取り付けられたロ
ータの極数と同一の極数を有する回転体、及びその磁力
を検出するホールICから構成されている。そして、位
置センサ31は、ブラシレスモータ30のロータが回転
するに従って、そのロータ位置θに対応するデューティ
50%の3つの位置検出信号が、相互に電気角120
[deg]の位相差を有してHレベル又はLレベルとし
て出力されるようになっている。
【0024】一方、マイクロコンピュータ3において、
回転数演算手段としての回転数演算回路32は、位置セ
ンサ31から出力される3つの位置検出信号のレベル変
化(エッジ)を検出し、その電気角60[deg]間隔
で発生するエッジ間の時間を測定することにより、その
ときのブラシレスモータ30の回転数fを演算するよう
になっている。この場合、先行して測定された複数のエ
ッジ間隔の時間平均値を用いて回転数fを演算すれば、
位置検出信号のふらつき等による誤差を排除した安定し
た回転数fを得ることができる。
【0025】電圧指令値演算回路33は、電圧指令値演
算手段として機能し、ブラシレスモータ30の回転数指
令値f* と回転数演算回路32から出力されるブラシレ
スモータ30の回転数fとを入力し、その偏差(f* −
f)を求めた後内部に設けられた調整器、例えばPID
調整器へ入力する。そして、その演算結果であるブラシ
レスモータ30の電圧指令値V* (実効値)を、後述す
るPWM制御回路34及び進み角演算回路37に対して
出力するようになっている。
【0026】PWM制御回路34は、何れも図示しない
位置演算部とPWM演算部とにより構成されている。そ
の位置演算部は、位置センサ31から出力される3つの
位置検出信号のレベル変化(エッジ)を検出し、電気角
60[deg]間隔の位置信号を得た後、その電気角6
0[deg]間のロータ位置をさらに細かく演算するこ
とにより位置信号の角度分解能を上げる。
【0027】具体的には、先行する位置信号間の時間間
隔を測定し、その角度(電気角60[deg])をその
測定した時間で除した単位時間当たりのロータ位置変化
量を求め、次の位置信号発生後の経過時間にその単位時
間当たりのロータ位置変化量を乗ずることによってロー
タの回転角度を推定演算することができる。また、新た
な位置信号が発生した時に、推定演算した回転角度をそ
の位置信号に対応した真の回転角度に設定し直せば、演
算誤差が累積されることはない。
【0028】PWM演算部は、電圧指令値演算回路33
からの電圧指令値V* を実効値として有し、前記位置演
算部から得られるロータの回転角度に後述する進み角演
算回路37からの転流進み角θL を加算して得られる転
流位相角に対し、ある決まった位相関係にある三相正弦
波の変調波を生成する。そして、その変調波を搬送波で
ある三角波と比較することにより、パルス幅変調された
U、V、W相のPWM信号を得てゲート駆動回路35へ
と出力する。なお、上述の決まった位相関係は、例えば
定格回転数、定格負荷において高力率、高効率が得られ
るような電圧が出力されるように決められる。
【0029】ゲート駆動回路35は、PWM制御回路3
4からのPWM信号を絶縁し、適当な電圧にレベル変換
するとともに、インバータ主回路28のスイッチング素
子16〜21の各ゲートに対し出力するようになってい
る。なお、このゲート駆動回路35は、マイクロコンピ
ュータ3の外部に独立して設けても良い。
【0030】誘起電圧演算手段としての誘起電圧演算回
路36は、予め測定された誘起電圧定数KE に回転数演
算回路32にて演算された回転数fを乗ずることによっ
てブラシレスモータ30の誘起電圧Eを演算するように
構成されている。この誘起電圧定数KE は、ブラシレス
モータ30のロータ及びステータの構造、ロータの永久
磁石の特性などにより理論計算から求めることができる
他、予めブラシレスモータ30を単体で外部からの駆動
力によって回転させ、そのときのブラシレスモータ30
の線間電圧と回転数とを測定することによって求めるこ
とができる。また、本駆動装置1の進み角制御部分を解
離し、ブラシレスモータ30を駆動している状態からイ
ンバータ主回路28のスイッチング素子16〜21のゲ
ート信号を一斉にOFFにしたときのブラシレスモータ
30の線間電圧と回転数fとを測定しても同様である。
【0031】進み角演算手段としての進み角演算回路3
7は、電圧指令値演算回路33で演算された電圧指令値
V* と誘起電圧演算部36で演算されたブラシレスモー
タ30の誘起電圧Eの偏差(V* −E)を求めた後、内
部に設けられた調整器、例えばPID調整器へ入力し転
流進み角θL を算出するようになっている。
【0032】次に本実施例の作用について説明する。ま
ず、回転数指令値f* が与えられると、電圧指令値演算
回路33は、回転数指令値f* と回転数fの差分である
回転数偏差(f* −f)をPID調整器に入力してブラ
シレスモータ30への印加電圧の実効値である電圧指令
値V* を演算する。そして、インバータ主回路28は、
電圧指令値V* に等しい実効値を有し、且つ位置センサ
31によって検出されたブラシレスモータ30のロータ
位置に、進み角演算回路37からの転流進み角θL を加
算して得られる転流位相角と一定の位相関係を有する三
相正弦波状の電圧を出力する。
【0033】つまり、位置センサ31、回転数演算回路
32、電圧指令値演算回路33、PWM制御回路34、
ゲート駆動回路35、インバータ主回路28、及び制御
対象であるブラシレスモータ30から構成される速度制
御フィードバックループによれば、回転数指令値f* が
ブラシレスモータ30の回転数fよりも高いときには、
電圧指令値V* に従ってブラシレスモータ30に印加す
る電圧を増やすことにより加速させ、逆に回転数指令値
f* がブラシレスモータ30の回転数fよりも低いとき
には、ブラシレスモータ30に印加する電圧を減らすこ
とにより減速させ、以て回転数fの回転数指令値f* へ
の追従制御が行われる。
【0034】なお、ブラシレスモータ30の駆動は、上
記速度制御ループのみ(つまり転流位相角θL =0)で
も可能であるが、その場合には、前述したように、速度
または負荷に応じてブラシレスモータ30の力率や効率
が大きく変化するので、最適に調整された一部の運転範
囲を除き、ブラシレスモータ30の効率が低下してしま
う。
【0035】さて、ブラシレスモータ30は、その誘起
電圧と電流の位相が一致するとモータ力率及び効率が上
がり、特に軽負荷ではブラシレスモータ30の誘起電圧
Eと印加電圧(電圧指令値V* に等しい)の大きさが略
等しくなる。これに対し、ブラシレスモータ30への印
加電圧の位相、つまり転流のタイミングが遅れ、誘起電
圧に対する電流の位相が遅れると、ブラシレスモータ3
0の相電流が減少するとともに印加電圧が増加する傾向
を有する。逆に、誘起電圧に対する電流の位相が進む
と、相電流が増加するとともに印加電圧が減少する傾向
を有する。
【0036】そこで、誘起電圧演算回路36において、
誘起電圧定数KE に回転数fを乗ずることによってブラ
シレスモータ30の誘起電圧Eを演算し、進み角演算回
路37において、電圧指令値V* と誘起電圧Eの偏差
(V* −E)をPID調整器に入力して転流進み角θL
を算出する。そして、PWM制御回路34では、この転
流進み角θL を検出されたロータ位置に加算した転流位
相角を用いて印加電圧の位相を決定する。
【0037】従って、位置センサ31、回転数演算回路
32、誘起電圧演算部36、進み角演算回路37、PW
M制御回路34、ゲート駆動回路35、インバータ主回
路28、及び制御対象であるブラシレスモータ30から
構成される進み角制御フィードバックループによれば、
電圧指令値V* がブラシレスモータ30の誘起電圧Eよ
りも高いときには、ブラシレスモータ30に印加する電
圧の位相を転流進み角θL (>0)だけ進めることによ
り遅れを補償し、逆に電圧指令値V* がブラシレスモー
タ30の誘起電圧Eよりも低いときには、ブラシレスモ
ータ30に印加する電圧の位相を転流進み角θL (<
0)の絶対値だけ遅らすことにより進みを補償し、以て
誘起電圧Eと電圧指令値V* とが一致し、誘起電圧と電
流の位相が同相となるように制御が行われる。
【0038】なお、進み角制御フィードバックループ
は、速度制御フィードバックループと比較して、ループ
ゲインが小さく、且つ演算周期が遅く設定されているの
で、両制御が互いに干渉し合うことはない。
【0039】以上のように本第1実施例によれば、電圧
指令値V* とブラシレスモータ30の誘起電圧Eとが略
一致するように転流進み角θL が演算されてインバータ
回路の転流タイミングが決定されるので、誘起電圧と相
電流の位相が略一致し発生トルクを高くすることがで
き、ブラシレスモータ30を高力率、高効率で回転駆動
することができる。さらに、予め正確に測定することの
できる誘起電圧定数と回転数fとの積として誘起電圧E
を正確に求めることができるので、上記進み角制御を精
度良く行うことができる。
【0040】次に、本発明の第2実施例について駆動装
置の電気的構成を示す図2を参照して説明する。なお、
図1と同一構成部分には同一符号を付して説明を省略
し、異なった構成部分についてのみ説明する。
【0041】図2において、誘起電圧演算回路38は、
ある決められたタイミングで電圧指令値演算回路33か
ら出力される電圧指令値V* を、そのときの回転数fで
除すことにより誘起電圧定数KE を演算する。そして、
通常の運転時においては、その誘起電圧定数KE に回転
数fを乗ずることによってブラシレスモータ30の誘起
電圧Eを演算するように構成されている。
【0042】マイクロコンピュータ3に上記誘起電圧演
算回路38を用いた構成においては、ブラシレスモータ
30を停止状態から駆動した後一定の周波数に到達する
までは、進み角演算回路37の機能を停止(θL =0)
させておく。これは、誘起電圧定数KE が同定されてい
ない間に、意味の無い電圧が進み角演算回路37に入力
され、進み角制御が狂うのを防止するためである。
【0043】一定の周波数に到達した後は、決められた
タイミングで電圧指令値V* をそのときの回転数fで除
すことにより誘起電圧定数KE を求める。このように一
定以上の周波数において演算するのは、低回転数領域で
は電圧指令値V* が小さく演算誤差が増大してしまうた
めである。また、負荷が増加するに従って、ブラシレス
モータ30の巻線抵抗による電圧降下の影響が大きくな
るので、比較的軽負荷の状態において上記同定を行うの
が好ましい。なお、誘起電圧定数KE の同定タイミング
は、一定時間毎、回転数が変化したとき、又は外部から
の指令が入力されたとき等必要に応じて決めれば良い。
【0044】誘起電圧定数KE を同定した後は、第1実
施例で述べたように、誘起電圧定数KE に回転数fを乗
ずることによってブラシレスモータ30の誘起電圧Eを
演算し、電圧指令値V* とその誘起電圧Eとを進み角演
算回路37に入力することにより得られる転流進み角θ
L を用いて進み角制御を行う。
【0045】以上述べたように本第2実施例によれば、
前述の第1実施例の効果に加え、駆動装置1の誘起電圧
演算回路38が誘起電圧定数KE の同定機能を有するの
で、ブラシレスモータ30の誘起電圧定数の測定が不要
となる。また、誘起電圧定数KE を常時、又は回転数変
化時に同定するようにした場合は、回転数に応じて若干
変化する誘起電圧定数を常に正しく得ることができる。
従って、誘起電圧定数の測定を不要とする簡易な方法
で、広い速度範囲において高力率、高効率でブラシレス
モータ30を駆動することができる。
【0046】次に、本発明の第3実施例について駆動装
置の電気的構成を示す図3を参照して説明する。なお、
図1と同一構成部分には同一符号を付して説明を省略
し、異なった構成部分についてのみ説明する。
【0047】図3において、電流検出器39は、直流分
の検出ができるように例えばホール素子を用いて構成さ
れ、インバータ回路2において整流回路11と平滑コン
デンサ15との間の正側直流電源線13に流れる電流I
(以下、負荷電流Iと称す)を検出するようになってい
る。
【0048】誘起電圧演算回路40は、前述した誘起電
圧演算回路36で演算された誘起電圧Eに、さらに電流
検出器39で検出した負荷電流Iに比例した補正電圧を
加算し、それを改めて誘起電圧Eとして進み角演算回路
37に対し出力するように構成されている。
【0049】上記構成とした場合、演算される誘起電圧
Eは、回転数fと誘起電圧定数KEの積に更に負荷に比
例した補正電圧が加算される。このような補正電圧を加
算するのは、ブラシレスモータ30の負荷が増大して相
電流が大きくなると、ブラシレスモータ30の巻線抵抗
による電圧降下が大きくなり、その結果印加電圧(電圧
指令値V* に等しい)がブラシレスモータ30の誘起電
圧E(回転数fと誘起電圧定数KE の積)よりもその電
圧降下による電圧だけ増加するので、その増加分を補償
するためである。従って、補正電圧はこの電圧降下に相
当する電圧が設定される。
【0050】なお、電流検出器39で検出された負荷電
流Iは、ブラシレスモータ30の負荷に略比例する。こ
の負荷電流Iは、整流回路11から平滑コンデンサ15
に流入する電流であるのでリプル分を含んでいるが、図
示しないフィルタを通すことによりリプル分を除去する
ことができる。
【0051】以上述べたように本第3実施例によれば、
回転数fと誘起電圧定数KE の積である誘起電圧Eにさ
らに負荷に比例した補正電圧を加算することにより、ブ
ラシレスモータ30の巻線抵抗による電圧降下を補償す
るので、モータ負荷が増加しても進み角制御に誤差が発
生せず、常に高力率、高効率でブラシレスモータ30を
駆動することができる。
【0052】次に、本発明の第4実施例について駆動装
置の電気的構成を示す図4を参照して説明する。なお、
図1と同一構成部分には同一符号を付して説明を省略
し、異なった構成部分についてのみ説明する。
【0053】図4において、誘起電圧演算回路41は、
前述した誘起電圧演算回路36で演算された誘起電圧E
に、さらに一定の補正電圧δhを加算し、それを改めて
誘起電圧Eとして進み角演算回路37に対し出力するよ
うに構成されている。
【0054】上記構成において、演算される誘起電圧E
は、回転数fと誘起電圧定数KE の積に更に一定の補正
電圧δhが加算される。この補正電圧δhは、誘起電圧
定数KE の測定誤差、及び前述したブラシレスモータ3
0の巻線抵抗による電圧降下の双方に起因する印加電圧
(電圧指令値V* に等しい)と誘起電圧Eとのずれを併
せて補償するためのものである。このずれの量は、回転
数又は電流に比例して増大するが、例えば中程度の負
荷、及び中程度の回転数付近において丁度補償できるよ
うな補正電圧δhを選択すれば、補償しない場合に比
べ、誘起電圧Eの誤差を少なくとも概略半分以上減らす
ことができる。
【0055】以上述べたように本第4実施例によれば、
誘起電圧Eの演算に一定の補正電圧δhを加算すること
により、誘起電圧定数KE の測定誤差、及びブラシレス
モータ30の巻線抵抗による電圧降下を同時に補償する
ので、進み角制御の誤差を減少させることができ、電流
検出器等を付加することなく簡易な方法でブラシレスモ
ータ30を高力率、高効率に保つことができる。
【0056】次に、本発明の第5実施例について駆動装
置の電気的構成を示す図5を参照して説明する。なお、
図3と同一構成部分には同一符号を付して説明を省略
し、異なった構成部分についてのみ説明する。
【0057】図5において、誘起電圧演算回路42は、
前述した誘起電圧演算回路36で演算された誘起電圧E
に、さらに電流検出器39で検出した負荷電流Iに比例
した補正電圧と一定の補正電圧δh´とを加算し、それ
を改めて誘起電圧Eとして進み角演算回路37に対し出
力するように構成されている。つまり、前述した図3に
示す誘起電圧演算回路40、及び図4に示す誘起電圧演
算回路41が夫々有する印加電圧(電圧指令値V* に等
しい)と誘起電圧Eとのずれに対する補償機能を併せ持
っている。
【0058】この場合、負荷電流Iに比例した補正電圧
はブラシレスモータ30の巻線抵抗による電圧降下を補
償し、一定の補正電圧δh´は誘起電圧定数KE の測定
誤差によるずれを補償するように設定される。従って、
本第5実施例によれば、巻線抵抗による電圧降下と誘起
電圧定数KE の測定誤差を夫々独立して補償することが
でき、高力率、高効率でブラシレスモータ30を駆動す
ることができる。
【0059】次に、本発明の第6実施例について駆動装
置の電気的構成を示す図6を参照して説明する。なお、
図1と同一構成部分には同一符号を付して説明を省略
し、異なった構成部分についてのみ説明する。
【0060】図6において、温度検出器43は、例えば
サーミスタ等によって構成され、ブラシレスモータ30
のステータの巻線温度Tを測定するようになっている。
補正係数演算回路44は、電流検出器39で検出した負
荷電流I、及び温度検出器43で検出したブラシレスモ
ータ30のステータの巻線温度Tに応じて、後述する誘
起電圧演算回路45において演算される誘起電圧Eを補
正するための補正係数εを出力する。
【0061】誘起電圧演算回路45は、前述した誘起電
圧演算回路36で演算された誘起電圧Eに、補正係数演
算回路44にて求めた補正係数εを乗じ、それを改めて
誘起電圧Eとして進み角演算回路37に対し出力するよ
うに構成されている。
【0062】上記構成において、負荷電流I及び巻線温
度Tに応じて補正係数εを求めて誘起電圧Eを補正する
のは、負荷の増加に伴うブラシレスモータ30の巻線抵
抗による電圧降下の増加、及び巻線温度Tの上昇に伴う
巻線抵抗自体の増加による影響を補償するためである。
すなわち、負荷電流I、或いは巻線温度Tが増えると、
印加電圧(電圧指令値V* に等しい)がブラシレスモー
タ30の誘起電圧E(回転数fと誘起電圧定数KE の
積)よりも増加し、その印加電圧と誘起電圧Eとのずれ
が存在した状態において進み角制御を行うと、転流進み
角が最適な角度に比べ進んでしまいブラシレスモータ3
0の(真の)誘起電圧と電流位相がずれて効率の悪化を
招いてしまうからである。従って、補正係数εは、誘起
電圧E(回転数fと誘起電圧定数KE の積)に乗ずるこ
とにより、巻線抵抗による電圧降下、及び巻線抵抗の増
加を補償することができる値に設定される。
【0063】以上述べたように本第6実施例によれば、
負荷の増加に伴うブラシレスモータ30の巻線抵抗によ
る電圧降下と、巻線温度Tの上昇に伴う巻線抵抗自体の
変化の進み角制御における影響を補償するので、モータ
負荷やモータ温度が変化しても進み角制御に誤差が発生
せず、常に高力率、高効率でブラシレスモータ30を駆
動することができる。
【0064】次に、本発明の第7実施例について駆動装
置の電気的構成を示す図7を参照して説明する。なお、
図1と同一構成部分には同一符号を付して説明を省略
し、異なった構成部分についてのみ説明する。
【0065】図7において、進み角演算手段としての進
み角演算回路46は、ブラシレスモータ30の回転数指
令値f* と回転数演算回路32から出力されるブラシレ
スモータ30の回転数fとを入力し、その偏差(f* −
f)を求めた後内部に設けられた調整器、例えばPID
調整器へ入力する。そして、その演算結果である転流進
み角θL をPWM制御回路34に対して出力するように
なっている。
【0066】また、電圧指令値V* は、回転数指令値f
* に予め測定した誘起電圧定数KEを乗じて算出しPW
M制御回路34へ入力される。なお、本駆動装置1のマ
イクロコンピュータ3には誘起電圧演算回路は存在しな
い。
【0067】上記構成において、回転数指令値f* に誘
起電圧定数KE を乗算して得た電圧指令値V* は、ブラ
シレスモータ30の誘起電圧Eに等しく、ブラシレスモ
ータ30には常に誘起電圧Eに等しい電圧が印加され
る。一方、前述したようにその誘起電圧と電流の位相が
一致するとモータ力率及び効率が上がり、特に軽負荷で
はブラシレスモータ30の誘起電圧Eと印加電圧の大き
さが略等しくなる。従って、印加電圧が常に誘起電圧E
に等しい本実施例では、転流位相が最適に設定されてい
る限り、(進み角演算回路46がなくても)回転数指令
値f* に略等しい回転数で、且つ高力率、高効率で運転
することが可能となる。
【0068】しかしながら、実際には回転数fに応じて
最適な転流位相が変化したり、誘起電圧定数KE の設定
誤差による印加電圧の過不足が生じたり、ブラシレスモ
ータ30の巻線抵抗による電圧降下が存在することによ
って、回転数fのずれやトルク不足などが発生する。そ
こで、進み角演算回路46を付加して、操作量として転
流進み角θL を用いた速度制御ループを構成し、これに
より回転数fを回転数指令値f* に追従させ、運転の安
定化を図っている。
【0069】以上述べたように本第7実施例によれば、
マイクロコンピュータ3で演算されたブラシレスモータ
30の誘起電圧Eを出力し、種々の誤差、又は過渡状態
に起因する回転数変動を抑制するために転流進み角θL
を操作量として回転数制御を行うように構成したので、
モータ力率及び効率が高くできるとともに可変速駆動を
安定して行うことができる。
【0070】次に、本発明の第8実施例について駆動装
置の電気的構成を示す図8を参照して説明する。なお、
図1と同一構成部分には同一符号を付して説明を省略
し、異なった構成部分についてのみ説明する。
【0071】図8において、リミット処理演算手段とし
てのリミット処理演算回路47は、進み角演算回路37
において演算された転流進み角θL に対して、例えば電
気角60[deg]の上限値、及び電気角−60[de
g]の下限値を設けてリミット処理し、そのリミット処
理された転流進み角θL'をPWM演算回路34に対して
出力するようになっている。この限界値は、ブラシレス
モータ30の巻線のインダクタンスによる電流の遅れを
補償するのに必要且つ十分な転流進み角θL に設定す
る。
【0072】このようなリミット処理演算回路47を付
加した本第8実施例によれば、急加減速時などの過渡時
において、転流進み角θL が過大な値になってブラシレ
スモータ30の発生トルクが減少したり、脱調したりす
るのを防ぐので、安定した駆動を行うことができる。
【0073】次に、本発明の第9実施例について駆動装
置の電気的構成を示す図9を参照して説明する。なお、
図8と同一構成部分には同一符号を付して説明を省略
し、異なった構成部分についてのみ説明する。
【0074】図9において、リミット処理演算回路48
は、前述したリミット処理演算回路47と同様に転流進
み角θL に対して、上限値、及び下限値を設けてリミッ
ト処理し、更にその上下限値を回転数fに応じて設定す
るように構成されている。
【0075】このようなリミット処理演算回路48を付
加した本第9実施例によれば、転流進み角θL 、又はそ
の変化量が小さい低回転数において上下限値を小さく設
定し、転流進み角θL 、又はその変化量が大きい高回転
数において上下限値を大きく設定することができる。つ
まり、転流進み角θL は、各回転数毎に必要最小限の範
囲に制限されるので、より安定した駆動が可能となる。
【0076】次に、本発明の第10実施例についてモー
タ印加電圧とモータ効率の関係を示す図10及び図11
を参照して説明する。
【0077】本実施例においては、上述した第1実施例
から第9実施例において、ブラシレスモータ30の印加
電圧が誘起電圧Eの±10%以内になるように進み角制
御(第7実施例においては誘起電圧定数KE の設定)を
行う。以下、その理由を図10及び図11を参照して説
明する。
【0078】図10及び図11は、図1に示す電気的構
成図において、3600[rpm]又は7200[rp
m]の回転数指令値f* を与えるとともに、進み角演算
回路37の機能を停止させ、代わりに外部からPWM演
算回路34に対して転流進み角θL を与えることによ
り、電圧指令値V* (印加電圧に等しい)を増減させた
ときの効率を示している。また、各図に示された曲線
は、実線が負荷率100%(定格負荷)、破線が負荷率
75%、一点鎖線が負荷率50%、二点鎖線が負荷率2
5%の場合を示している。
【0079】何れの図においても、ブラシレスモータ3
0の印加電圧が夫々の回転数におけるブラシレスモータ
30の誘起電圧Eに略等しい場合に効率が極大となり、
両者がずれるに従って効率が低下するが、誘起電圧を中
心として図の上下方向に延びた破線で挟まれた領域、つ
まり誘起電圧Eを中心としてその±10%以内の印加電
圧範囲においては、その効率の低下が比較的小さく実用
上許容できると認められる。
【0080】従って、本第10実施例によれば、印加電
圧が誘起電圧Eに完全に一致しなくても、誘起電圧Eの
±10%以内の範囲内にあるように進み角制御を行え
ば、効率を比較的高く維持することができる。さらに、
制御精度を下げることができるので、誘起電圧Eの演算
に簡易な方法を採用することができ、駆動装置1のコス
トを低減することができる。
【0081】次に、本発明の第11実施例について駆動
装置の電気的構成を示す図12を参照して説明する。な
お、図1と同一構成部分には同一符号を付して説明を省
略し、異なった構成部分についてのみ説明する。
【0082】図12において、電圧検出器49は、ブラ
シレスモータ30の各相電圧E0 を検出するためのもの
で、具体的には図示しない各相ごとに設けられる直列接
続された高抵抗と低抵抗からなる検出抵抗を用いて、そ
の各相検出抵抗の一端(高抵抗側)が夫々ブラシレスモ
ータ30の各相端子に接続され、その他端(低抵抗側)
が全て共通に接続されて仮想中性点をなしている。そし
て、各相検出抵抗のうち低抵抗の両端からブラシレスモ
ータ30の相電圧E0 を得る。
【0083】誘起電圧検出回路50は、電圧検出器49
にて検出されたブラシレスモータ30の相電圧E0 から
ブラシレスモータ30の誘起電圧Eを検出するようにな
っている。具体的には、例えばPWM制御回路34のP
WM信号に、インバータ主回路28を構成するスイッチ
ング素子16〜21の上アーム群(スイッチング素子1
6〜18)、又は下アーム群(スイッチング素子19〜
21)の何れかを同時にOFFする区間を設け、その区
間内において相電圧E0 に現れるブラシレスモータ30
の誘起電圧Eを検出するように構成する。この区間にお
いては、ブラシレスモータ30に制動が作用するが、こ
の区間を短く設定すればトルク変動等の影響を抑えるこ
とができる。
【0084】上記誘起電圧Eを得た後の速度制御及び進
み角制御については実施例1において述べた通りであ
る。従って、電圧検出器49と誘起電圧検出回路50に
よって、ブラシレスモータ30の誘起電圧Eを直接検出
するようにした本実施例によれば、予め誘起電圧定数K
E を測定することなく正確に誘起電圧Eを検出すること
ができ、高力率、高効率でブラシレスモータ30を駆動
することができる。
【0085】なお、本発明は上記し且つ図面に示す実施
例に限定されるものではなく、以下のような拡張または
変更が可能である。PWM制御回路34は、120[d
eg]通電方式の矩形波駆動を行うものであっても良
い。位置センサ31は、ロータリーエンコーダーを用い
ても良い。この場合には、PWM制御回路34内の位置
演算部を省略又は簡単化することができる。
【0086】第3実施例、第5実施例、第6実施例にお
いて、負荷に応じた電流として、整流回路11と平滑コ
ンデンサ15との間の負側直流電源線14に流れる電
流、平滑コンデンサ15とインバータ主回路28との間
の正側直流電源線13若しくは負側直流電源線14に流
れる電流、又はブラシレスモータ30の相電流を用いて
も良い。
【0087】第7実施例、又は第11実施例において、
電圧指令値V* の演算に際し、上述した方法で負荷電流
Iを検出して負荷に比例した補正電圧を加算したり、簡
易的に一定の補正電圧を加算すれば、負荷が変化した場
合であっても常に高効率を維持することができる。
【0088】
【発明の効果】本発明は以上説明した通りであるので、
以下の効果を奏する。請求項1記載の駆動装置によれ
ば、電圧指令値演算手段にて演算される電圧指令値とブ
ラシレスモータの誘起電圧との比較結果に基づいた進み
角制御を行うので、ブラシレスモータの印加電圧と誘起
電圧とが略一致し、その結果誘起電圧と相電流の位相が
トルクの発生に最適な位相となる。従って、ブラシレス
モータを高力率、高効率で回転駆動することができる。
【0089】請求項2記載の駆動装置によれば、誘起電
圧演算手段において、予め設定された誘起電圧定数に回
転数を乗じて精度良く誘起電圧を得るので、演算のみに
よって精度の高い進み角制御を行うことができ、ブラシ
レスモータの力率、及び効率をより向上させることがで
きる。
【0090】請求項3記載の駆動装置によれば、誘起電
圧演算手段において、電圧指令値と回転数に基づいて誘
起電圧定数を演算するとともに、その誘起電圧定数に回
転数を乗じて誘起電圧を得るので、誘起電圧定数を予め
測定しておく必要がなく、駆動中において誘起電圧定数
を常に正しく得ることができる。従って、簡易な方法
で、且つ広い速度範囲において高力率、高効率に駆動す
ることができる。
【0091】請求項4記載の駆動装置によれば、誘起電
圧検出手段において、ブラシレスモータの相電圧から誘
起電圧を直接検出するので、誘起電圧定数を予め測定し
ておく必要がなく、また、温度や回転数により変化する
誘起電圧定数を常に正確に得られるので、精度の高い進
み角制御を行うことができ、ブラシレスモータの力率、
及び効率をより向上させることができる。
【0092】請求項5乃至請求項8記載の駆動装置によ
れば、誘起電圧演算手段にて演算した誘起電圧または誘
起電圧検出手段にて検出した誘起電圧に、ブラシレスモ
ータの負荷に比例した補正電圧、又は一定の補正電圧を
加算した誘起電圧、更にはステータの巻線温度により補
正した誘起電圧を用いて進み角制御を行うので、ブラシ
レスモータの巻線抵抗による電圧降下や、誘起電圧の演
算誤差又は検出誤差を補償できる。従って、負荷や回転
数に依らず常にブラシレスモータを高力率、高効率で駆
動することができる。
【0093】請求項9記載の駆動装置によれば、回転数
指令値に誘起電圧定数を乗ずることによりブラシレスモ
ータに印加する電圧指令値を演算するとともに、回転数
指令値と回転数との比較結果に基づいて転流進み角を操
作量とする速度制御を行うので、ブラシレスモータを高
力率、高効率で可変速駆動することができる。
【0094】請求項10及び11記載の駆動装置によれ
ば、リミット処理演算手段によって進み角演算手段にて
演算された転流進み角に限界値を設けるので、転流タイ
ミングの進み過ぎ又は遅れ過ぎによる脱調を防ぐことが
でき、ブラシレスモータを安定に駆動できる。また、そ
の限界値を回転数に応じて設定する(請求項11)の
で、さらに安定した駆動を行うことができる。
【0095】請求項12記載の駆動装置によれば、電圧
指令値演算手段にて演算される電圧指令値とブラシレス
モータの誘起電圧との差を、効率の低下が少ないブラシ
レスモータの誘起電圧の±10%の範囲内に制御するの
で、高効率を維持したまま制御精度を下げることがで
き、その構成を簡易化できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例を示すブラシレスモータの
駆動装置の電気的構成図
【図2】本発明の第2実施例を示す図1相当図
【図3】本発明の第3実施例を示す図1相当図
【図4】本発明の第4実施例を示す図1相当図
【図5】本発明の第5実施例を示す図1相当図
【図6】本発明の第6実施例を示す図1相当図
【図7】本発明の第7実施例を示す図1相当図
【図8】本発明の第8実施例を示す図1相当図
【図9】本発明の第9実施例を示す図1相当図
【図10】本発明の第10実施例を示す3600[rp
m]の回転数におけるモータ印加電圧と効率との関係図
【図11】7200[rpm]の回転数における図10
相当図
【図12】本発明の第11実施例を示す図1相当図
【符号の説明】
1は駆動装置、2はインバータ回路、3はマイクロコン
ピュータ(制御手段)、28はインバータ主回路、30
はブラシレスモータ、31は位置センサ(位置検出手
段)、32は回転数演算回路(回転数演算手段)、33
は電圧指令値演算回路(電圧指令値演算手段)、34は
PWM制御回路、35はゲート駆動回路、36、38、
40〜42、45は誘起電圧演算回路(誘起電圧演算手
段)、37、46は進み角演算回路(進み角演算手
段)、39は電流検出器、43は温度検出器、44は補
正係数演算回路、47、48はリミット処理演算回路
(リミット処理演算手段)、49は電圧検出器、50は
誘起電圧検出回路(誘起電圧検出手段)である。

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ロータに永久磁石を有するブラシレスモ
    ータを駆動するインバータ回路と、前記ロータの回転位
    置を検出する位置検出手段と、この位置検出手段から出
    力される位置検出信号に基づいて回転数を演算する回転
    数演算手段と、前記ブラシレスモータに印加する電圧指
    令値を演算する電圧指令値演算手段とを備えたブラシレ
    スモータの駆動装置において、 前記電圧指令値演算手段にて演算される電圧指令値と前
    記ブラシレスモータの誘起電圧との比較結果に基づいて
    前記インバータ回路の転流進み角を演算する進み角演算
    手段を備えたことを特徴とするブラシレスモータの駆動
    装置。
  2. 【請求項2】 予め設定された誘起電圧定数に回転数を
    乗じて誘起電圧を得る誘起電圧演算手段を設けるように
    したことを特徴とする請求項1記載のブラシレスモータ
    の駆動装置。
  3. 【請求項3】 電圧指令値と回転数に基づいて誘起電圧
    定数を演算するとともに、その誘起電圧定数に前記回転
    数を乗じて誘起電圧を得る誘起電圧演算手段を設けるよ
    うにしたことを特徴とする請求項1記載のブラシレスモ
    ータの駆動装置。
  4. 【請求項4】 ブラシレスモータの相電圧から誘起電圧
    を検出する誘起電圧検出手段を設けるようにしたことを
    特徴とする請求項1記載のブラシレスモータの駆動装
    置。
  5. 【請求項5】 進み角演算手段で用いる誘起電圧は、誘
    起電圧演算手段にて演算した誘起電圧または誘起電圧検
    出手段にて検出した誘起電圧に、ブラシレスモータの負
    荷に比例した補正電圧を加算した誘起電圧であることを
    特徴とする請求項2乃至4の何れかに記載のブラシレス
    モータの駆動装置。
  6. 【請求項6】 進み角演算手段で用いる誘起電圧は、誘
    起電圧演算手段にて演算した誘起電圧または誘起電圧検
    出手段にて検出した誘起電圧に、一定の補正電圧を加算
    した誘起電圧であることを特徴とする請求項2乃至4の
    何れかに記載のブラシレスモータの駆動装置。
  7. 【請求項7】 進み角演算手段で用いる誘起電圧は、誘
    起電圧演算手段にて演算した誘起電圧または誘起電圧検
    出手段にて検出した誘起電圧に、ブラシレスモータの負
    荷に比例した補正電圧と一定の補正電圧を加算した誘起
    電圧であることを特徴とする請求項2乃至4の何れかに
    記載のブラシレスモータの駆動装置。
  8. 【請求項8】 進み角演算手段で用いる誘起電圧は、誘
    起電圧演算手段にて演算した誘起電圧若しくは誘起電圧
    検出手段にて検出した誘起電圧、またはこれら誘起電圧
    に補正電圧を加算した誘起電圧に、ブラシレスモータの
    巻線温度または前記ブラシレスモータの負荷に応じた補
    正係数を乗じた誘起電圧であることを特徴とする請求項
    2乃至7の何れかに記載のブラシレスモータの駆動装
    置。
  9. 【請求項9】 ロータに永久磁石を有するブラシレスモ
    ータを駆動するインバータ回路と、前記ロータの回転位
    置を検出する位置検出手段と、この位置検出手段から出
    力される位置検出信号に基づいて回転数を演算する回転
    数演算手段とを備えたブラシレスモータの駆動装置にお
    いて、 回転数指令値に誘起電圧定数を乗ずることにより前記ブ
    ラシレスモータに印加する電圧指令値を演算する電圧指
    令値演算手段と、前記回転数指令値と前記回転数との比
    較結果に基づいて前記インバータ回路の転流進み角を演
    算する進み角演算手段とを備えたことを特徴とするブラ
    シレスモータの駆動装置。
  10. 【請求項10】 進み角演算手段にて演算された転流進
    み角に限界値を設定するリミット処理演算手段を備えた
    ことを特徴とする請求項1乃至9の何れかに記載のブラ
    シレスモータの駆動装置。
  11. 【請求項11】 リミット処理演算手段は回転数に応じ
    て転流進み角の限界値を設定することを特徴とする請求
    項10記載のブラシレスモータの駆動装置。
  12. 【請求項12】 電圧指令値演算手段にて演算される電
    圧指令値とブラシレスモータの誘起電圧との差を、前記
    ブラシレスモータの誘起電圧の±10%の範囲内に制御
    することを特徴とする請求項1乃至11の何れかに記載
    のブラシレスモータの駆動装置。
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