JPH11171965A - 定序性ポリウレタン及びその製造法 - Google Patents

定序性ポリウレタン及びその製造法

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JPH11171965A
JPH11171965A JP9370533A JP37053397A JPH11171965A JP H11171965 A JPH11171965 A JP H11171965A JP 9370533 A JP9370533 A JP 9370533A JP 37053397 A JP37053397 A JP 37053397A JP H11171965 A JPH11171965 A JP H11171965A
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昭徳 西尾
Mitsuru Ueda
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Junichi Sugiyama
順一 杉山
Kazuhiko Takeuchi
和彦 竹内
Michihiko Asai
道彦 浅井
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KAGAKU GIJUTSU SENRYAKU SUISHIN KIKO
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 モノマー構造単位の配列が規制された定序性
ポリウレタンを提供する。 【解決手段】 下式: 【化1】 で表される頭-尾構造単位及び下式: 【化2】 で表される頭-頭-尾-尾構造単位を有し、y/(x+
y)が0.7〜1である定序性ポリウレタン及びx/
(x+y)が0.6〜1である定序性のポリウレタンを
提供する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の分野】本発明はモノマー構造単位の配列が規制
された定序性ポリウレタン及びその製造法に関する。
【0002】
【発明の背景】モノマーの配列を規制することにより得
られる高分子(以下、定序性高分子という)は熱的、力
学的性質はもちろん、非線型光学、液晶等などにおいて
も特異な性質を有するものと期待されている。しかしな
がら、工業的に製造され広く用いられているポリウレタ
ン、ポリアミド、ポリウレア、ポリイミド等の重縮合系
高分子においては、そのモノマー設計の困難さから、モ
ノマー分子の配列を制御して製造した高分子はこれまで
合成例がなく、合成法の確立に大きな関心が持たれてい
る。
【0003】定序性重縮合系高分子を得るためのモノマ
ー分子設計としては、季刊化学総説18巻、85-95(199
3)に記載されているように、用いるモノマーの分子構造
に方向性があることはもちろん、重合点となる官能基部
位の反応性に充分な差を有する必要があるとされてい
る。
【0004】多官能イソシアナート化合物はその高反応
性を利用して、ポリウレタン、ポリアミド等の原料とし
て広く工業的に利用されており、イソシアナート化合物
をモノマーとした定序性高分子は工業的に非常に有用で
あると考えられる。
【0005】一官能イソシアナート化合物の場合、イソ
シアナート基に結合する官能基によって、その反応性が
大きく異なることが知られている。例えば、脂肪族イソ
シアナートと芳香族イソシアナートとでは、ジブチルエ
ーテル中、トリエチルアミン触媒を用いることによっ
て、メタノールのような求核剤を使用した求核反応にお
いて300倍以上の反応性差を有するとの報告がある(M.S
ato, J.Am.Chem.Soc.vol.82, p3893-3897,(1960))。し
かしながら、同一分子内において反応性に差のある、す
なわち非対称な反応性を備えたモノマー及びこれを用い
た定序性重合体についてはこれまで知られていない。
【0006】本発明の目的は、モノマー構造単位の配列
が規制された定序性のポリウレタンを提供することにあ
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らはこのような
事情に鑑み鋭意検討を行い、分子内に2つのイソシアナ
ート基を有しており、かつ一方のイソシアナート基が芳
香環に直接結合し、他方のイソシアナート基が、芳香族
に結合した脂肪族性炭素原子に結合しているジイソシア
ナートモノマーの反応性を詳細に検討したところ、この
ような化合物には2つのイソシアナート基に相当の反応
性差があることを見いだすとともに、このジイソシアナ
ートモノマーに対して所定の方法で反応試剤を用いるこ
とにより定序性ポリマーを製造することが可能なことを
見いだし、本発明を完成するに至った。
【0008】すなわち、本願の第1の発明は、下式:
【化7】 (式中、R1及びR2は各々別個に水素又は低級アルキル
基、nは1〜10の整数を意味する。)で表される頭-
尾構造単位、及び下式:
【0009】
【化8】 (式中、R1、R2及びnは前記と同じものを意味し、R
3は二価のアルコール残基を意味する。)で表される頭-
頭-尾-尾構造単位を有し、y/(x+y)が0.7〜1
である定序性ポリウレタンを提供するものである。ま
た、第2の発明は、x/(x+y)が0.6〜1である
定序性のポリウレタンを提供するものである。さらに、
本発明は、これら第1及び第2の定序性ポリウレタンの
製造法を提供するものである。
【0010】
【発明の詳細な開示】(ジイソシアナート化合物)本願
発明の定序性ポリウレタンの原料であるジイソシアナー
トは、下式:
【化9】 (式中、R1、R2及びnは前記と同じものを意味す
る。)で表される。このジイソシアナートモノマーの特
徴は、分子内に2つのイソシアナート基を有しており、
一方のイソシアナート基が芳香環に直接結合し、他方の
イソシアナート基は芳香族に結合した炭素原子に結合し
ている。このような構造により2つのイソシアナート基
は大きな反応性差を示す。
【0011】芳香環上のイソシアナート基及び炭素原子
に結合したイソシアナート基はオルト、メタ、パラ位の
いずれの配置であってもよい。式(3)中、n=1〜1
0である。R1及びR2は水素原子及びメチル基、エチル
基等の低級アルキル基が好ましい。したがって、式
(3)の化合物としては、例えば、イソシアナトベンジ
ルイソシアナート、イソシアナトフェネチルイソシアナ
ート、α-(イソシアナトフェニル)-エチルイソシアナ
ート等のジイソシアナートである。
【0012】(ジイソシアナート化合物の製法)つぎに
ジイソシアナート化合物の製造方法とその非対称反応性
の確認の方法について述べる。前記ジイソシアナート化
合物を製造するには、特開平3-72470号のごとく、対応
するジアミノ化合物をホスゲンによって活性化するホス
ゲン法やトリホスゲンを用いる。通常はトリホスゲン
と、トリホスゲンを活性化するための求核剤を冷却下に
滴下し、滴下終了後、反応を充分進行させるため加温し
任意の時間撹拌を行うことにより製造するのが好まし
い。
【0013】原料のジアミノ化合物に対するトリホスゲ
ンの使用量は少なくともアミノ基に対して等モル量加え
る必要が有るが、もちろん過剰量加えてもよい。
【0014】ここで用いられる反応溶媒としては、o-
ジクロロベンゼン、ベンゼン、トルエン、塩化メチレン
等、原料のジアミン化合物を充分に溶解し、かつ反応副
生成物である塩酸塩が不溶な溶媒であればよい。これら
溶媒は、2種以上を混合して用いてもよい。
【0015】トリホスゲンは、本来は原料のジアミノ化
合物のみでも十分に活性化されるが、求核剤を加えて活
性化させるのが好ましい。かかる求核剤としては、種々
のアミノ化合物を用いることができるが、反応後の後処
理等を考慮すると、トリエチルアミンなどの低沸点の三
級アミノ化合物が好ましい。求核剤の使用量は、反応時
間等を考慮に入れると少なくともトリホスゲンに対し等
モル以上加えるのが好ましく、特にトリホスゲンに対し
3モル等量程度加えるのが好ましい。
【0016】(定序性ポリウレタン)本発明の定序性ポ
リウレタンは、前記ジイソシアナートと多価アルコール
とを重縮合することにより得られる。すなわち、本発明
の定序性ポリウレタンは、下式:
【化10】 (式中、R1及びR2は各々別個に水素又は低級アルキル
基、nは1〜10の整数を意味する。)で表される頭-
尾構造単位、及び下式:
【0017】
【化11】 (式中、R1、R2及びnは前記と同じものを意味し、R
3は二価のアルコール残基を意味する。)で表される頭-
頭-尾-尾構造単位を有し、y/(x+y)が0.7〜1
である定序性ポリウレタンである。
【0018】また、第2の発明のポリウレタンは、前記
式(1)及び(2)において、x/(x+y)が0.6
〜1の他の定序性ポリウレタンである。
【0019】また、本発明のポリウレタンにおいて、R
3は二価のアルコール残基である。具体的にはジメチレ
ン基、ペンタメチレン基などの直鎖脂肪族炭化水素類、
2-メチル-トリメチレン基などの枝分かれ脂肪族炭化水
素類、3-オキサ-ペンタメチレン基などの含ヘテロ原子
炭化水素類、シクロヘキシニレン基やステロイド骨格な
どの環式脂肪族炭化水素類、フェニレン、ビフェニレン
などの芳香族炭化水素類、さらに2,2-ジフェニレンプ
ロパン類などの脂肪族と芳香族からなる炭化水素類1,
1,1,3,3,3-ヘキサフロオロ-2,2-ジフェニレンプ
ロパンなど下式:
【0020】
【化12】 の脂肪族、芳香族およびヘテロ原子からなる炭化水素類
などが挙げられ、後述のモノマーとして用いる二官能ア
ルコール類に由来する骨格がいずれも好ましい。
【0021】(定序性ポリウレタンの製造法)本発明の
定序性ポリウレタンを製造するには、前記ジイソシアナ
ートモノマーと二官能アルコール類とを所定の方法で重
縮合する。
【0022】用いられる二官能アルコール類としては、
エチレングリコール、2-メチル-1,3-プロパンジオー
ル、ジエチレングリコール、1,5-ペンタンジオール、
1,7-ヘプタンジオール、ジヒドロキシシクロヘキサン
などの脂肪族アルコール類、またヒドロキノン類、ビス
フェノールA、4,4'-イソプロピリデン-ビス(2,6-
メチルフェノール)、4,4'-(ヘキサフルオロイソプ
ロピリデン)ジフェノール、4,4'-(ヘキサフルオロ
イソプロピリデン)-ビス(2,6-メチルフェノー
ル)、4,4'-ジヒドロキシビフェニル、4,4'-(1,
3-アダマンテンジイル)ジフェノールなどの芳香族ア
ルコール、あるいはデオキシコール酸、ケノデオキシコ
ール酸、ウルソデオキシコール酸などの胆汁酸類、1,
5-ジヒドロキシ-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレ
ン、ヒドロキシベンジルアルコール等の非等価水酸基を
有する化合物など、イソシアナートと反応する二価の水
酸基を有する化合物であればよい。
【0023】つぎに、各定序性ポリウレタンの製法につ
いて詳細を説明する。
【0024】(i)頭-頭-尾-尾構造ポリウレタンの製
造 頭-頭-尾-尾の構造単位を主体とするポリウレタンを製
造するには、最初にジイソシアナートモノマー中の、よ
り反応性の高い芳香族イソシアナート基をジオールモノ
マーと反応させ、次に反応性の低い方の脂肪族イソシア
ナート基とジオールとを反応させる逐次的な反応が優先
される条件を選択する。
【0025】すなわち、ジイソシアナート化合物と、ジ
オール化合物とを重縮合するにあたり、最初に(i)ジ
イソシアナート化合物に対し、略1/2倍モル以下のジ
オール化合物を反応させる工程を用い、(ii)更にジオ
ールを加えて重縮合反応を完了させる工程を経て頭-頭-
尾-尾構造を主体とするポリウレタンを製造する。
【0026】このような反応を行うには、例えば、反応
初期においてジイソシアナートモノマーに対し、略1/
2倍モル以下のジオールを一時に、又は徐々に滴下した
り、あるいは粉末添加などによってゆっくりと反応に関
与させたりする。このような操作により、ジオールモノ
マーに対し、ほぼ2倍モル以上のジイソシアナートモノ
マーが反応系内に存在し、ジイソシアナートモノマー中
の反応性の高い方のイソシアナート基にジオールが選択
的に反応し、逐次的反応の進行が可能となるものと思わ
れる。
【0027】したがって、第1段の重縮合に用いられる
ジオールモノマーの総量は、ジイソシアナートモノマー
に対し略0.5倍モル以下、好ましくは0.3〜約0.5
倍モル、さらに好ましくは0.4〜約0.5倍モルであ
る。初期のジオールの添加量がこの範囲を越えると目的
とするポリウレタンが得られない。
【0028】また、第1段の重縮合における反応選択性
の向上をはかるためには、反応温度をできるだけ低く
し、反応をゆっくりと進行させるのがよい。ただし、反
応温度が低すぎると反応が効率よく進行せず、ウレタン
結合生成時に競合するイソシアネートの三量化反応など
の副反応も進行しやすくなるため、−40〜40℃、好
ましくは−10〜30℃であり、特に0℃付近でジオー
ルモノマーを反応させるのが好ましい。
【0029】このようにして、第1段のジオール化合物
の反応を行った後、残りのジオール化合物を加え、約−
40〜60℃の温度にて、ジイソシアネート化合物に対
し総量としてほぼ等モルのジオール化合物を重縮合す
る。
【0030】反応に用いる溶媒としては前述のように得
られるポリマーが高極性であるため、重合を効率よく進
行させるには高極性溶媒を用いる必要があるが、このよ
うな溶媒はモノマーに対しての溶媒和によりウレタン結
合生成速度を低下させることが知られており(Adolf E.
Oberth and Roft S.Bruenner,J.Phys.Chem.,Vo1.72,845
-855(1968))、その結果反応選択制も低下する。このた
め、反応初期の二価のアルコール添加時には、シクロヘ
キサン、ペンタン、ヘキサン等の脂肪族炭化水素類、ベ
ンゼン、トルエン、クロロベンゼン等の芳香族炭化水素
類、THF(テトラヒドロフラン)、ジエチルエーテ
ル、エチレングリコールジエチルエーテル等のエーテル
類、アセトン、メチルエチルケトン、4-メチル-2-ペ
ンタノン等のケトン類、プロピオン酸メチル、酢酸エチ
ル、酢酸ブチル等のエステル類などの低極性溶媒を用
い、必要な反応選択性を維持するのが好ましい。これら
溶媒のうち、反応操作性やモノマー基質溶解性を考慮に
入れるとTHFなどのエーテル類が特に好ましい。
【0031】つぎに、重合反応を完結させるため、さら
に高極性溶媒を加えるか、または低極性溶媒を留去など
により除去した後、高極性溶媒を加えるのが好ましい。
このような高極性溶媒としては、例えば、DMF(N,
N-ジメチルホルムアミド)、DMSO(ジメチルスル
ホキシド)、NMP(N-メチルピロリドン)等の高極
性非プロトン溶媒を用いるのが好ましい。
【0032】なお、これらの溶媒はいずれも2種以上を
混合して用いてもよい。
【0033】溶媒の使用量は反応の選択性を高めるため
モノマー基質をできる限り希釈するよう用いることが好
ましいが、反応を効率よく進行させること、反応操作を
考慮に入れるとモノマー基質が0.1〜0.3mol/Lにな
るよう調製するのがよい。
【0034】触媒はウレタン結合生成を効率よく進行さ
せるため、N,N,N',N’−テトラメチル−1,3-ブタ
ンジアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミンなど
の三級アルキルアミン類、1,4-ジアザビシクロ[2.
2.2]オクタン、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]
ウンデ-7-エンなどの縮環アミン類、DBTL、テトラ
ブチルスズ、トリブチルスズ酢酸エステルなどのアルキ
ルスズ類等、公知のウレタン結合生成触媒を用いること
ができる。
【0035】これら触媒のうち、反応初期(第1段の反
応)においては、トリアルキルアミン、特に反応操作性
からトリエチルアミンを用いるのが好ましく、その後、
反応効率を上げるため、より活性の高いアルキルスズ類
及び縮環アミン類などの触媒を用いるのが好ましい。
【0036】トリアルキルアミン類を触媒として用いる
場合、その触媒量は反応選択制を高くすること、反応を
効率よく進行させること及び反応操作を考慮してモノマ
ー基質に対し1〜30mol%になるよう用いるのが好ま
しい。
【0037】(ii)頭-尾構造を有するポリウレタンの
製法 一方、頭-尾構造単位を主体とする定序性ポリウレタン
を製造するには、前記のジイソシアナート化合物とジオ
ール化合物とを重縮合するにあたり、ジイソシアナート
化合物に対し、略1/2倍モルを超えるポリオール化合
物を一時に反応させる。具体的には、例えば、所定量の
ジオールモノマーを一括して仕込みむなどし、速やかに
芳香族イソシアナート基のみをウレタン結合へと変換さ
せる反応条件を選択する。
【0038】かかる重縮合反応に用いられる溶媒として
は、例えば、DMF(N,N-ジメチルホルムアミド)、
DMSO(ジメチルスルホキシド)、NMP(N-メチ
ルピロリドン)等の高極性非プロトン溶媒を選択するこ
とが好ましいが、反応基質及び目的物が良好に溶解しさ
えすればケトン類、エーテル類、炭化水素類などの溶媒
であってもよく、これらを混合して用いてもよい。な
お、これら溶媒の使用量は前記と同様であってよい。
【0039】また、このようなジイソシアナート化合物
とジオール化合物との重縮合は、反応温度を−40〜6
0℃として行うのが好ましい。
【0040】触媒としては、DBTL、テトラブチルス
ズ、トリブチルスズ酢酸エステルなどのアルキルスズ
類、銅-2-エチルヘキシルカルボン酸錯体や銅-酢酸錯
体などの有機銅錯体類、鉛-安息香酸錯体や鉛-オレイン
酸錯体などの有機鉛錯体類、亜鉛-2-エチルヘキシルカ
ルボン酸や亜鉛-ナフタレン錯体などの有機亜鉛類など
が挙げられる。これらのうち、触媒の安定性、操作の簡
便性からアルキルスズ類が好ましく、特にDBTLが触
媒活性も高く好ましい。
【0041】触媒の使用量は、操作性などを考慮し、モ
ノマーに対し0.01〜10mol%加えるのが好ましい。
【0042】以上のように、頭-尾構造を優先させる場
合には、モノマーの各イソシアナート基に反応性の違い
が必要であるほか、ジオールモノマーの一方の水酸基の
みをジイソシアナートモノマー中の芳香族イソシアナー
トに優先的に反応し、もう一方の水酸基が脂肪族イソシ
アネート基と優先的に反応する必要がある。したがっ
て、前述の頭-頭-尾-尾構造を優先させるのに必要であ
った逐次的な反応条件は好ましくない。すなわち、一方
の水酸基が芳香族イソシアナートと反応し、ウレタン結
合を形成した中間体(以下、中間体という)の水酸基が
ジイソシアナートモノマーの脂肪族イソシアナート基と
優先的に反応すること、即ち中間体の水酸基がもとのジ
オールモノマーの水酸基に比べ反応性が低下することが
好ましいと考えられる。
【0043】ウレタン結合生成に用いられる前記の金属
触媒は、アルコールおよびイソシアナート基に配位して
ウレタン結合を生成することが知られており(J.H.Saun
dersand K.C.Frisch,High Polymers,lnterscience,Vol.
16(1962))、目的とする反応差が得られるものと推定さ
れる。即ち中間体にくらべ分子の形状がより小さくかつ
取りうる分子形状の自由度が高いこと、また、分子内に
水酸基をより多く持つ未反応のジオールモノマーの方
が、金属触媒に対して優先的に触媒に配位することが可
能であり、これにより同じ水酸基であっても中間体の水
酸基に比べ、未反応のジオールの方が反応性が高くな
り、煩雑な操作の必要が無く上記の目的が達成可能とな
るものと思われる。
【0044】こうして得られた高分子の定序性に関する
定量的検討は、高分子主鎖中の頭-頭構造、尾-尾構造、
頭-尾構造それぞれに対応するモデル化合物及び高分子
末端に対応するモデル化合物2種を合成し、それら13
-NMRスペクトルと得られた高分子の13C-NMRスペ
クトルとを比較することで検討を行った。
【0045】具体的には重水素化DMF溶媒中、67M
Hz13C-NMRを用いて、3種のモデル化合物のエチ
レングリコール由来のメチレン基が頭-頭-尾-尾構造の
場合64.2ppm,64.3ppm、頭-尾構造の場合64.
1,64.5ppmと区別可能なことを確認した。
【0046】次に得られた高分子において同様に13C-
NMRでのスペクトル分析を行ったところ、エチレング
リコール由来のメチレン基の吸収は重合条件によって変
化し、その吸収位置はモデル化合物同様であることを確
認した。さらにその吸収の積分比を求めることで得られ
た高分子の定序性についての定量化を行った。
【0047】
【実施例】つぎに、実施例により本発明をさらに具体的
に説明する。
【0048】(製造例1) 非対称反応性を有するジイソシアナートモノマー(4-
イソシアナトベンジルイソシアナート)の合成 トリホスゲン8.72g(29.4mmol)を加えたトルエ
ン50ml溶液に4-アミノベンジルアミン5.39g(4
4.1mmol)、トリエチルアミン9.00g(88.9mmo
l)を加えたトルエン90ml溶液を氷冷下2時間かけて
滴下を行った。そのまま室温で1時間撹拌後さらに70
℃に加温して1時間撹拌を行った。溶媒不溶成分をろ別
後反応物から溶媒を留去し得られた反応生成物を蒸留精
製し、沸点が76〜78℃/0.25〜0.3mmHgの化合
物を分取した。この化合物はIRスペクトルによりNC
O伸縮由来のピークが2268cm-1に観察され、1H-
NMRにより5.0ppm及び1.5ppm付近に見られたアミ
ノ基の吸収が完全に消失したことが観察されたことから
目的とするジイソシアネートモノマーが得られているこ
とを確認した。収量2.49g(収率32.4%)。
【0049】(参考例1)頭-頭構造に対応したモデル
化合物の合成 1,4-ジオキサン50mlにDBTL0.55g(0.87m
mol)、エチレングリコール1.28g(20.6mmol)、
フェニルイソシアナート4.96g(41.6mmol)を加
え、60℃で1日撹拌を行った。溶媒留去後酢酸エチル
で再結晶精製することにより、結晶性固体を得た。ここ
で得られた生成物の13C-NMR測定を行った(図
1)。その結果154.9ppmにカルボニル基(b)のピ
ークが観察され、140.8、130.0、123.8、
119.6ppmに芳香環(a)のピークが観察され、6
4.2ppmにメチレン(c)のピークが観察されたことか
ら、期待する頭-頭構造に対応した化合物であることを
確認した。収量4.76g(収率76.3%)
【0050】(参考例2)尾-尾構造に対応したモデル
化合物の合成 1,4-ジオキサン50mlにDBTL0.55g(0.87m
mol)、エチレングリコール1.10g(17.7mmol)、
ベンジルイソシアナート4.74g(35.6mmol)を加
え、60℃で1日撹拌を行った。溶媒留去後酢酸エチル
で再結晶精製することにより、結晶性固体を得た。ここ
で得られた生成物の13C-NMR測定を行った(図
2)。その結果158.0ppmにカルボニル基(c)のピ
ークが観察され、141.4、129.6、128.6、
128.2ppmに芳香環(a)のピークが観察され、6
4.3ppmにメチレン(d)のピークが観察され、45.
7ppmにベンジル位メチレン(b)のピークが観察され
たことから、期待する尾-尾構造に対応した化合物であ
ることを確認した。収量4.72g(収率80.8%)
【0051】(参考例3)頭-尾構造に対応したモデル
化合物の合成 後記参考例5で合成したN-ベンジル-(2-ヒドロキ
シ)エチルカルバミン酸エステル2.93gにDBTL
0.73g(1.16mmol)とフェニルイソシアナート1.
81(15.2mmol)を加え、1,4-ジオキサン90ml
中60℃で1日撹拌した。溶媒を留去し、 n-ヘキサン
/酢酸エチル混合溶媒で再結晶精製することにより結晶
性固体を得た。ここで得られた生成物の13C-NMR測
定を行った(図3)。その結果、158.0ppmにカルボ
ニル基(e)のピークが観察され、155.0ppmにカル
ボニル基(b)のピークが観察され、141.0、13
0.1、123.8、119.7ppmに芳香環(a)のピー
クが観察され、141.4、129.6、128.6、1
28.2ppmに芳香環(g)のピークが観察され、64.
5ppmにメチレン(d)のピークが観察され、64.1pp
mにメチレン(c)のピークが観察され、45.8ppmに
ベンジル位メチレン(f)のピークが確認されたことか
ら、期待する頭-尾構造に対応した化合物であることを
確認した。収量2.84g(収率59.9%)
【0052】(参考例4)ベンジル基末端構造に対応し
たモデル化合物の合成 1,4-ジオキサン30mlにDBTL0.42g(0.67m
mol)、エチレングリコール27.78g(447.6mmo
l)を加えここにベンジルイソシアナート5.22g(3
9.2mmol)/トルエン40mlを2.5時間かけて60℃
で滴下した。そのまま1日撹拌を行った後溶媒を留去
し、得られた反応生成物に水を加え、これをエーテルで
抽出した。有機層を回収し硫酸マグネシウムで乾燥し溶
媒を留去した。こうして得た反応生成物はカラムクロマ
トグラフィー (充填剤:和光純薬社製ワコーゲルC3
00、展開溶媒:酢酸エチル/n-ヘキサン=1/3混合溶
媒)で精製し、結晶性固体を得た。ここで得られた生成
物の13C-NMR測定を行った(図4)。その結果、1
58.3ppmにカルボニル基(c)のピークが観察され、
141.5、129.6、128.5、128.1ppmに芳
香環(a)のピークが確認され、67.6ppmにメチレン
基(e)のピークが観察され、61.6ppmにメチレン基
(d)のピークが確認され、45.7ppmにベンジル位メ
チレン基(b)のピークが観察されたことからベンジル
基末端構造に対応した化合物であることを確認した。収
量3.60g(収率47.1%)
【0053】(参考例5)フェニル基末端構造に対応し
た化合物の合成 エチレングリコール21.55g(347.1mmol)とD
BTL0.54g(0.855mmol)にフェニルイソシア
ナート5.48g(46.0mmol)を加えた1,4-ジオキ
サン43mlを80℃で滴下し、そのまま1日撹拌を行っ
た。溶媒を留去して得た反応生成物に酢酸エチルを加
え、水で洗浄した。有機層を回収後硫酸マグネシウムで
乾燥し、溶媒を留去することで得た反応生成物カラムク
ロマトグラフィー(充填剤:和光純薬社製ワコーゲルC
300、展開溶媒:酢酸エチル/n-ヘキサン=1/3混合
溶媒)で精製を行い結晶性固体を得た。ここで得られた
生成物の13C-NMR測定を行った(図5)。その結
果、151.2ppmにカルボニル基(b)のピークが観察
され、140.9、123.0、123.6、119.5pp
mに芳香環(a)のピークが確認され、67.6ppmにメ
チレン基(d)のピークが確認され、119.5ppmにメ
チレン基(c)のピークが観察されたことから、フェニ
ル基末端構造に対応した化合物であることを確認した。
収量5.14g(収率60.5%)
【0054】(実施例1) 定序性ポリウレタン(1)
(頭-頭-尾-尾構造)の合成 エチレングリコール0.1391g(2.241mmol)、
トリエチルアミン0.0493g(0.487mmol)のテ
トラヒドロフラン溶液10mlを用意し、これを4-イソ
シアナトベンジルイソシアナート0.7627g(4.3
79mmol)に氷冷下で90分かけて滴下した。そのまま
30℃で1時間撹拌後、反応系中から溶媒を完全に留去
した。反応容器にDMFを8ml加え、ここにジブチルス
ズジラウリン酸エステル0.0587g(0.093mmo
l)とエチレングリコール0.1285g(2.070mmo
l)のDMF溶液8mlを加え60℃に加温後さらに16
時間撹拌した。溶媒を留去して反応溶液を濃縮し、これ
をメタノールで再沈澱生成し、80℃で真空乾燥を2日
行うことにより化合物を得た。収量0.7580g(収率
73.6%)
【0055】こうして得られた化合物の13C−NMRに
おいて(図6、図7)64.2〜64.3ppmに現れた頭-
頭-尾-尾構造由来のピークと64.1及び64.5ppmに
現れた頭-尾構造由来のピークの吸収強度比からこの高
分子は90.0%が頭-頭-尾-尾構造のポリウレタンが得
られていることがわかった。分子量をゲルパーミエーシ
ョンクロマトグラフィー(以下GPCと略記)を用いて
ポリスチレンを基準物質にして求めたところ重量平均分
子量は8560、分子量分布は3.00であった。
【0056】(実施例2) 定序性ポリウレタン(2)
(頭-尾構造)の合成 4-イソシアナトベンジルイソシアナート0.9508g
(5.459mmol)にエチレングリコール0.3417g
(5.505mmol)とDBTL0.0546g(0.086
mmol)のDMF20ml溶液を一括で加えて30℃1日撹
拌した。得られたポリマーは実施例1同様精製後処理し
た。収量0.6400g(収率49.6%)
【0057】こうして得られた化合物の13C−NMR
(図8、図9)において64.2〜64.3ppmに現れた
頭-頭-尾-尾構造由来のピークと64.1及び64.5ppm
に現れた頭-尾構造由来のピークの吸収強度比からこの
高分子は79.3%が頭-尾構造からなるポリウレタンが
得られていることがわかった。分子量をGPCを用いて
ポリスチレンを基準物質にして求めたところ重量平均分
子量は33800、分子量分布は1.89であった。
【0058】(比較例1) ポリウレタン(3)の合成 4-イソシアナトベンジルイソシアナート0.5694g
(3.269mmol)にエチレングリコール0.2184g
(3.519mmol)とトリエチルアミン0.0321g
(0.317mmol)のDMF10ml溶液を一括で加えて
60℃1日撹拌した。得られたポリマーは実施例1同様
精製後処理した。収量0.4296g(収率55.6%)
【0059】こうして得られた化合物の13C-NMR
(図10、図11)において64.2〜64.3ppmに現
れた頭-頭-尾-尾構造由来のピークと64.1及び64.
5ppmに現れた頭-尾構造由来のピークの吸収強度比から
この高分子は57.4%が頭-尾構造、42.6%が頭-頭
-尾-尾構造のランダム構造からなるポリウレタンが得ら
れていることがわかった。分子量をGPCを用いてポリ
スチレンを基準物質にして求めたところ重量平均分子量
は8240、分子量分布2.47であった。
【0060】(比較例2) ポリウレタン(4)の合成 4-イソシアナトベンジルイソシアナート1.2472g
(7.161mmol)にエチレングリコール0.4548g
(7.327mmol)とDBTL0.0896g(0.149
mmol)のDMF溶液25mlを30℃で2時間かけて滴下
を行い、そのまま24時間撹拌した。得られたポリマー
を実施例1と同様に精製後処理した。収量1.0327
(収率60.7%)
【0061】こうして得られた化合物の13C-NMRに
おいて(図12、図13)64.2〜64.3ppmに現れ
た頭-頭-尾-尾構造由来のピークと64.1及び64.5p
pmに現れた頭-尾構造由来のピークの吸収強度比からこ
の高分子は68%が頭-頭-尾-尾構造、32%が頭-尾構
造のポリウレタンが得られていることがわかった。分子
量をGPCを用いてポリスチレンを基準物質にして求め
たところ重量平均分子量は14700、分子量分布は
2.77であった。
【0062】
【発明の効果】本発明の定序性ポリウレタンはモノマー
配列が規制されたポリマー構造を有し、特異な熱的、力
学的性質を示し、液晶、非線形光学などの機能性材料な
どに用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】参考例1で得られた生成物の13C−NMRスペ
クトルである。
【図2】参考例2で得られた生成物の13C−NMRスペ
クトルである。
【図3】参考例3で得られた生成物の13C−NMRスペ
クトルである。
【図4】参考例4で得られた生成物の13C−NMRスペ
クトルである。
【図5】参考例5で得られた生成物の13C−NMRスペ
クトルである。
【図6】実施例1で得られた生成物の13C−NMRスペ
クトルである。
【図7】図6の13C−NMRスペクトルの部分拡大図で
ある。
【図8】実施例2で得られた生成物の13C−NMRスペ
クトルである。
【図9】図8の13C−NMRスペクトルの部分拡大図で
ある。
【図10】実施例3で得られた生成物の13C−NMRス
ペクトルである。
【図11】図10の13C−NMRスペクトルの部分拡大
図である。
【図12】実施例4で得られた生成物の13C−NMRス
ペクトルである。
【図13】図12の13C−NMRスペクトルの部分拡大
図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 上田 充 茨城県つくば市東一丁目1番 工業技術院 物質工学工業技術研究所内 (72)発明者 杉山 順一 茨城県つくば市東一丁目1番 工業技術院 物質工学工業技術研究所内 (72)発明者 竹内 和彦 茨城県つくば市東一丁目1番 工業技術院 物質工学工業技術研究所内 (72)発明者 浅井 道彦 茨城県つくば市東一丁目1番 工業技術院 物質工学工業技術研究所内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下式: 【化1】 (式中、R1及びR2は各々別個に水素又は低級アルキル
    基、nは1〜10の整数を意味する。)で表される頭-
    尾構造単位、及び下式: 【化2】 (式中、R1、R2及びnは前記と同じものを意味し、R
    3は二価のアルコール残基を意味する。)で表される頭-
    頭-尾-尾構造単位を有し、y/(x+y)が0.7〜1
    である定序性ポリウレタン。
  2. 【請求項2】(i)下式: 【化3】 (式中、R1及びR2は各々別個に水素又は低級アルキル
    基、nは1〜10の整数を意味する。)で表されるジイ
    ソシアナート化合物とジオール化合物とを重縮合するに
    あたり、(i)ジイソシアナート化合物に対し、略1/
    2倍モル以下のジオール化合物を反応させる工程、及び
    (ii)更にジオールを加えて重縮合反応を完了させる工
    程を含んでなる請求項1の定序性ポリウレタンの製造
    法。
  3. 【請求項3】 下式: 【化4】 (式中、R1及びR2は各々別個に水素又は低級アルキル
    基、nは1〜10の整数を意味する。)で表される頭-
    尾構造単位、及び下式: 【化5】 (式中、R1、R2及びnは前記と同じものを意味し、R
    3は二価のアルコール残基を意味する。)で表される頭-
    頭-尾-尾構造単位を有し、x/(x+y)が0.6〜1で
    ある定序性ポリウレタン。
  4. 【請求項4】 下式: 【化6】 (式中、R1及びR2は各々別個に水素又は低級アルキル
    基、nは1〜10の整数を意味する。)で表されるジイ
    ソシアナート化合物とジオール化合物とを重縮合するに
    あたり、ジイソシアナート化合物に対し、略1/2倍モ
    ルを超えるジオール化合物を一時に反応させる工程を含
    んでなる請求項3の定序性ポリウレタンの製造法。
  5. 【請求項5】 反応温度が、−40〜40℃である請求
    項2又は4のポリウレタンの製造法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2002030130A (ja) * 2000-07-18 2002-01-31 National Institute Of Advanced Industrial & Technology 定序性ポリウレタン及びその製造法
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CN114634704A (zh) * 2022-03-14 2022-06-17 郑州轻工业大学 一种掺杂型非线性聚氨酯丙烯酸酯光固化材料及其制备方法和应用

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