JPH11191705A - 多重モード誘電体共振器およびその特性調整方法 - Google Patents

多重モード誘電体共振器およびその特性調整方法

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JPH11191705A
JPH11191705A JP10001416A JP141698A JPH11191705A JP H11191705 A JPH11191705 A JP H11191705A JP 10001416 A JP10001416 A JP 10001416A JP 141698 A JP141698 A JP 141698A JP H11191705 A JPH11191705 A JP H11191705A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 複数の誘電体柱の交差形状から成る複合誘電
体柱を用いて、2つの誘電体柱の成す面で3つの共振モ
ードを生じさせ、3つの共振モードの各共振周波数を定
めた多重モード誘電体共振器、または所定の共振モード
間の結合度を定めた多重モード誘電体共振器を提供す
る。 【解決手段】 電界分布の対称軸が異なる2つのTM1
10モードを第1・第3の共振モードとし、TM111
モードを第2の共振モードとし、たとえば第1の共振モ
ードの電界分布が集中し、第2・第3の共振モードの電
界分布が集中しない箇所に5a,5bのような誘電体除
去部を設けることによって、第1の共振モードの共振周
波数を選択的に定める。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明はキャビティ内に複
合誘電体柱を設けてなる多重モードの誘電体共振器およ
びその特性調整方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来のTM2重モードを利用した誘電体
共振器の構造を図23に示す。以下の各図において点塗
り潰し部分は導電体が形成された部分を示す。
【0003】図23に示すように、この誘電体共振器
は、導波管として機能するキャビティ1内に、2つの誘
電体柱2a,2bの交差形状からなる複合誘電体柱2を
一体に設けたものである。キャビティ1および複合誘電
体柱2は誘電体セラミックスからなり、キャビティ1の
外周面にはAgなどの導電体3が形成されている。キャ
ビティ1の2つの開口面には導電体板(図示省略)また
はこの誘電体共振器を収納する金属ケースが取り付けら
れる。
【0004】図23に示した誘電体共振器は、2つの誘
電体柱2a,2bがそれぞれTM110モードで共振
し、TM2重モードの誘電体共振器として作用する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来のTM2重モード誘電体共振器では、1つの誘電体共
振器で2つの独立した共振器として、または2つの共振
器が結合した2段の共振器としてしか用いることができ
ない。そこでたとえば単一の誘電体共振器に3つの共振
器を構成するものとして、3つの誘電体柱を互いに直交
させた形状の複合誘電体柱をキャビティ内に構成して、
3つのTM110モードの共振モードを生じさせるよう
にしたTM3重モード誘電体共振器が提案されている。
しかしながら、このような従来のTM3重モード誘電体
共振器では、全体の構造が複雑化し、通常の製造方法で
は製造コストが嵩むという問題があった。
【0006】そこで、本願出願人は、2つの誘電体柱の
交差形状からなる複合誘電体柱を設けたもので、しかも
3つの共振モードを利用できるようにした誘電体共振器
として特願平8−21394号を出願している。本願発
明の目的は、この先に出願した誘電体共振器で用いる3
つまたはそれ以上の共振モードの各共振周波数を定めた
多重モード誘電体共振器、または所定の共振モード間の
結合度を定めた多重モード誘電体共振器を提供すること
にある。
【0007】また、図23に示したようなTM2重モー
ド誘電体共振器で、2つのTM110モードを用いてた
とえば帯域通過フィルタを構成する場合、キャビティの
外形寸法と誘電体柱の断面形状等の組み合わせによって
は、帯域通過フィルタの減衰域でTM111モードが共
振するため、所望の減衰特性を得ることが難しかった。
この発明の他の目的は、このTM111モードの共振周
波数とTM110モードの共振周波数とを相対的に設定
して、所望の特性を有する誘電体フィルタを容易に得ら
れるようにした誘電体共振器およびその特性調整方法を
提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】この発明は、周囲を導電
体で囲んだ領域内に複数の誘電体柱の交差形状からなる
複合誘電体柱を配した多重モード誘電体共振器におい
て、2つの誘電体柱の成す平面における3つの共振モー
ドのうち所定の共振モードの共振周波数を定めるため、
請求項1に記載のとおり、電界分布の対称軸が異なる2
つの擬似TM110モードを第1・第3の共振モード、
擬似TM111モードを第2の共振モードとし、第1〜
第3の共振モードのうち2つの共振モードに対して相対
的に電界分布が集中する領域をもつ他の1つの共振モー
ドを共振周波数設定対象として、前記電界分布の集中す
る領域に誘電体除去部を設けるか、該領域に誘電体を付
与する。
【0009】これにより共振周波数設定対象である1つ
の共振モードの共振周波数が他の2つの共振モードの共
振周波数に対して相対的に大きく変化し、共振周波数設
定対象である共振モードの共振周波数が他の2つの共振
モードの共振周波数とは独立して定められる。
【0010】また、請求項2に記載のとおり、電界分布
の対称軸が異なる2つの擬似TM110モードを第1・
第3の共振モード、擬似TM111モードを第2の共振
モードとし、第1〜第3の共振モードのうち2つの共振
モードに対して相対的に電界分布が集中しない領域をも
つ他の1つの共振モードを共振周波数設定対象として、
前記電界分布の集中しない領域に誘電体除去部を設ける
か、該領域に誘電体を付与する。これにより共振周波数
設定対象以外の2つの共振モードの共振周波数が共に変
化し、この2つの共振モードの共振周波数に対して共振
周波数設定対象である他の1つの共振モードの共振周波
数が相対的に定められる。
【0011】この発明は上記3つの共振モードのうち所
定の2つの共振モード間の結合度を定めるために、請求
項3に記載のとおり、電界分布の対称軸が異なる2つの
擬似TM110モードを第1・第3の共振モード、擬似
TM111モードを第2の共振モードとし、複合誘電体
柱の所定箇所に誘電体除去部を設けて、または複合誘電
体柱の所定箇所に誘電体を付与して、第1の共振モード
の電界に平行な対角線を対称軸とする対称性を崩す。こ
のように第1の共振モードの電界に平行な対角線を対称
軸とする対称性を崩すことにより,第1の共振モードと
第2の共振モードとが結合し、前記所定箇所の除去量ま
たは所定箇所に対する誘電体の付与量によって結合度が
定まる。
【0012】また、請求項4に記載のとおり、電界分布
の対称軸が異なる2つの擬似TM110モードを第1・
第3の共振モード、擬似TM111モードを第2の共振
モードとし、複合誘電体柱の所定箇所に誘電体除去部を
設けるか、複合誘電体柱の所定箇所に誘電体を付与す
る。これにより複数の誘電体柱のうち1つの面を成す2
つの誘電体柱の共振周波数特性上の形状が異なって、第
1の共振モードと第3の共振モードとが結合し、前記所
定箇所の誘電体除去量または所定箇所に対する誘電体の
付与量によって結合度が定まる。
【0013】この発明は請求項5,10に記載のとお
り、電界分布の対称軸が互いに異なる2つの擬似TM1
10モードと擬似TM111モードとについて、相対的
に電界分布強度の異なる領域に誘電体除去部を設けて、
または該領域に誘電体を付与して、前記擬似TM110
モードと擬似TM111モードとの共振周波数を相対的
に定める。これにより、たとえばTM110モードを用
いて誘電体フィルタを構成する場合に、このTM110
モードの共振周波数を変えることなく、スプリアスとし
てのTM111モードの共振周波数をTM110モード
の共振周波数に対して相対的に定める。
【0014】この発明は請求項6に記載のとおり、電界
分布の対称軸が互いに異なる2つの擬似TM110モー
ドと、擬似TM111モードとについて、前記擬似TM
111モードに比べて前記擬似TM110モードの電界
分布強度が高い領域に誘電体除去部を設けて、前記擬似
TM110モードの共振周波数を前記擬似TM111モ
ードの共振周波数に近づける。このことにより、前記擬
似TM110モードと前記擬似TM111モードとが結
合し、複数段の誘電体共振器から成る誘電体共振器装置
が構成される。
【0015】また、請求項7に記載のとおり、電界分布
の対称軸が互いに異なる2つの擬似TM110モード
と、擬似TM111モードとについて、前記擬似TM1
10モードに比べて前記擬似TM111モードの電界分
布強度が高い領域に誘電体を付与して、前記擬似TM1
11モードの共振周波数を前記擬似TM110モードの
共振周波数に近づける。このことにより、前記擬似TM
110モードと前記擬似TM111モードとが結合し、
複数段の誘電体共振器から成る誘電体フィルタが構成さ
れる。
【0016】この発明は請求項8に記載のとおり、請求
項1〜7のいずれかに記載の多重モード誘電体共振器に
当該多重モード誘電体共振器の所定の共振モードと結合
する入出力結合手段を設ける。これにより、複数段の共
振器から成る誘電体フィルタとして用いることができ
る。
【0017】また、請求項9に記載のとおり、請求項8
の誘電体フィルタを複数組設けるとともに入出力部を3
つ以上設ける。これにより、デュプレクサやマルチプレ
クサ等の入出力共用器として用いることができる。
【0018】
【発明の実施の形態】この発明の第1の実施形態に係る
多重モード誘電体共振器の構成を図1および図2を参照
して説明する。
【0019】図1はその斜視図である。以下の図におい
て従来例と同一または相当する部分、もしくは同一機能
のものについては同一符号を付す。図1に示すように、
キャビティ1の内部に2つの誘電体柱2a,2bの交差
形状からなる複合誘電体柱2を一体的に設け、誘電体柱
2a,2bの両端面に当たるキャビティ1との連設部の
中央部にはそれぞれキャビティ1の外壁から誘電体柱2
a,2bの内部に向かって窪んだ穴4aを形成し、各穴
4aの内面に導電体3aを形成している。この導電体3
aはキャビティ1の外周面に形成した導電体3に導通し
ている。複合誘電体柱2の交差部に形成される4つのコ
ーナー部分のうち対角部分の2つのコーナーを削除して
誘電体除去部5a,5bを形成する(以下このような交
差部の誘電体除去部5a,5bを「十字交差溝」とい
う。)ことによって、次に述べるように第1の共振モー
ドの共振周波数を定める。
【0020】図2は図1に示した多重モード誘電体共振
器の平面図であり、(A),(B),(C)はそれぞれ
第1,第2,第3の共振モードの電界分布の概略をそれ
ぞれ示している。ここで第1と第3の共振モードが擬似
TM110モード、第2の共振モードが擬似TM111
モードである。同図に示すように、十字交差溝5a,5
bは第1の共振モードの電界分布が集中し、且つ第2・
第3の共振モードの電界分布があまり集中しない箇所に
設ける。具体的には、第1の共振モードの電界分布に平
行な対角線を対称軸とする対称位置(第3の共振モード
の電界に平行な対角線上の位置)で、且つ複合誘電体柱
2の交差部に形成される4つのコーナー部分のうちの対
角部分の2つのコーナー部分に十字交差溝5a,5bを
設ける。そしてこの十字交差溝5a,5bの紙面に垂直
な方向の深さまたは紙面の面内方向の深さを定めること
よって、第1の共振モードの共振周波数を他の2つの共
振モードの共振周波数より大きく変化させる。これによ
り第1の共振モードの共振周波数を実質上独立して定め
る。
【0021】なお、上記十字交差溝5a,5bはキャビ
ティ1および複合誘電体柱2の一体成形の際に同時に形
成して、設計段階で第1の共振モードの共振周波数を所
定値に設定してもよいが、キャビティ1および複合誘電
体柱2の一体成形の後に、リュータ等の切削工具を用い
て十字交差溝5a,5bを形成することによって、目的
の共振周波数に調整するようにしてもよい。
【0022】図3は第2の実施形態に係る多重モード誘
電体共振器の構成を示す平面図であり、(A),
(B),(C)は第1,第2,第3の共振モードにおけ
る電界分布を示している。この誘電体共振器は図1およ
び図2に示した構成において、十字交差溝5a,5bに
相当する部分を予め(成形の段階で)溝として形成して
おき、その溝に、比較的誘電率の高い接着性のある合成
樹脂(接着剤)を付与することによって第1の共振モー
ドの共振周波数を定めたものである。たとえば、誘電体
8a,8bを付与しない状態で、第1の共振モードの共
振周波数が他の2つの共振モードの共振周波数より高く
なるように定めておけば、誘電体8a,8bの付与量を
増すほど第1の共振モードの共振周波数を低下方向に調
整することができ、ある付与量とした時に第1の共振モ
ードの共振周波数を他の2つの共振モードの共振周波数
にほぼ一致させることができる。誘電体8a,8bの付
与量をさらに増せば第1の共振モードの共振周波数を他
の2つの共振モードの共振周波数より低下させることも
可能となる。
【0023】なお、図3に示したような溝を予め形成せ
ずに、誘電体柱の交差部または交差部付近に誘電体を付
与すれば、誘電体の付与量を増すほど第1の共振モード
の共振周波数を他の2つの共振モードの共振周波数より
低下方向に調整することができる。
【0024】図4は第3の実施形態に係る多重モード誘
電体共振器の構成を示す平面図であり、(A),
(B),(C)は第1,第2,第3の共振モードにおけ
る電界分布を示している。図2に示した場合と異なり、
この例では第3の共振モードの電界分布に平行な対角線
を対称軸とする対称位置(第1の共振モードの電界に平
行な対角線上の位置)で、且つ複合誘電体柱2の交差部
に形成される4つのコーナー部分のうちの対角部分の2
つのコーナー部分に十字交差溝5c,5dを設ける。こ
れにより第3の共振モードの電界分布が集中し、且つ他
の2つの共振モードの電界分布があまり集中しない箇所
を選択的に除去することになり、第3の共振モードの共
振周波数を実質上独立して定めることができる。
【0025】なお、この実施形態でも、十字交差溝5
c,5dはキャビティおよび複合誘電体柱の一体成形の
際に同時に形成して、設計段階で第3の共振モードの共
振周波数を所定値に設定してもよいが、キャビティおよ
び複合誘電体柱の一体成形の後に、リュータ等の切削工
具を用いて十字交差溝を形成することによって、目的の
共振周波数に調整するようにしてもよい。
【0026】次に、第4の実施形態に係る多重モード誘
電体共振器の構成を図5および図6を参照して説明す
る。
【0027】図5はその斜視図である。同図に示すよう
に、キャビティ1の内部に2つの誘電体柱2a,2bの
交差形状からなる複合誘電体柱2を一体的に設けるとと
もに、複合誘電体柱2の中央部に、その複合誘電体柱2
のなす平面に垂直な方向を軸とする貫通孔を誘電体除去
部6として形成している。以下このような複合誘電体柱
2の中央部の貫通孔を「コア中心孔」という。キャビテ
ィ1の外周面には導電体3を形成している。このように
複合誘電体柱2の中央部にコア中心孔6を形成すること
によって、次に述べるように第2の共振モードの共振周
波数を定める。
【0028】図6は3つの共振モードの電界分布の概略
を示す平面図であり、複合誘電体柱の中央部を部分削除
して所定径のコア中心孔6を設ければ第2の共振モード
の共振周波数を独立して定めることができる。すなわ
ち、この第2の共振モードの電界分布は他の2つの第1
・第3の共振モードの電界分布に比べて複合誘電体柱の
中央部で疎であるため、コア中心孔6を大きくするほど
第1・第3の共振モードの共振周波数が共に上昇するの
に対し、第2の共振モードの共振周波数はあまり変化し
ない。これにより第2の共振モードの共振周波数を第1
・第3の共振モードの共振周波数に対して相対的に定め
ることができる。
【0029】なお、上記コア中心孔6はキャビティおよ
び複合誘電体柱の一体成形の際に同時に形成して、設計
段階で第2の共振モードの共振周波数を所定値に設定す
るか、キャビティおよび複合誘電体柱の一体成形の後
に、リュータ等の切削工具を用いてコア中心孔6を形成
することによって、目的の共振周波数に調整すればよ
い。
【0030】また、図5および図6に示した例では、コ
ア中心孔6を貫通孔としたが、これは有底穴であっても
よい。
【0031】また、図5および図6に示した例では誘電
体の削除量を増すことによって、第2の共振モードの共
振周波数を上昇方向に調整する例を示したが、図5およ
び図6に示した複合誘電体柱中央部にコア中心孔6と同
様の貫通孔または有底穴を予め一体成形しておき、その
貫通孔または穴の内部に誘電体を付与すれば、第1・第
3の共振モードの共振周波数を低下方向に同時に変化さ
せて、第2の共振モードの共振周波数を相対的に定める
ことができる。
【0032】次に、第5の実施形態に係る多重モード誘
電体共振器の構成を図7および図8を参照して説明す
る。
【0033】図7はその斜視図である。同図に示すよう
に、キャビティ1の内部に2つの誘電体柱2a,2bの
交差形状からなる複合誘電体柱2を一体的に設け、誘電
体柱2a,2bの両端面に当たるキャビティ1との連設
部の中央部にはそれぞれキャビティ1の外壁から誘電体
柱2a,2bの内部に向かって窪んだ穴4aを形成し、
各穴4aの内面に導電体3aを形成している。この導電
体3aはキャビティ1の外周面に形成した導電体3に導
通している。複合誘電体柱2の交差部に形成される4つ
のコーナー部分のうち所定の1つのコーナーを部分削除
して十字交差溝5aを設ける。これにより次に述べるよ
うに第1と第2の2つの共振モード間を結合させ、その
結合度を定める。
【0034】図8は図7に示した多重モード誘電体共振
器の3つの共振モードの電界分布の概略を示す平面図で
ある。このように第3の共振モードの電界分布の対称軸
上で、且つ第1の共振モードの電界分布の対角線を対称
軸とした場合の対称関係が崩れるように、その対称軸を
挟んで一方の位置にのみ十字交差溝5aを設ける。この
十字交差溝5aを設けない場合には、第1の共振モード
と第2の共振モードの電界分布を比較すると、第1の共
振モードの電界方向に平行な対角線を対称軸として第1
の共振モードは同方向の電界分布を持ち、第2の共振モ
ードは上記対称軸に対して逆方向の電界分布を持つ。複
合誘電体柱が上記対称軸を線対称の軸として完全に対称
であれば、第1の共振モードの電磁界による第2の共振
モードの励振は対称面で逆相になるため打ち消されて第
2の共振モードは励振されないが、十字交差溝5aを設
けることによって上記対称性が崩れ、第1の共振モード
の電磁界による第2の共振モードの励振が起こり、第1
の共振モードと第2の共振モードとの間に結合が生じ
る。そして、十字交差溝5aの大きさによって両モード
間の結合度が定まる。この時、第2の共振モードと第3
の共振モードとの関係では、十字交差溝5aを設けても
第3の共振モードの電界分布に平行な対角線を対称軸と
した場合の対称性が崩れないため、第2の共振モードと
第3の共振モードとの間で結合が生じることはない。
【0035】なお、上記十字交差溝5aはキャビティ1
および複合誘電体柱2の一体成形の際に同時に形成し
て、設計段階で第1と第2の共振モード間の結合度を所
定値に設定するか、キャビティ1および複合誘電体柱2
の一体成形の後に、リュータ等の切削工具を用いて十字
交差溝5aを形成することによって、目的の結合度に調
整すればよい。
【0036】また、図8に示した構造において、十字交
差溝5aで示した部分に予め成形の段階で溝を形成して
おき、その溝に誘電体を付与することによって第1と第
2の共振モード間の結合度を定めるようにしてもよい。
【0037】図9は第6の実施形態に係る多重モード誘
電体共振器の平面図である。図8に示した場合と異な
り、この例では第1の共振モードの電界分布の対称軸上
で、且つ第3の共振モードの電界分布の対角線を対称軸
とした場合の対称関係が崩れるように、その対称軸を挟
んで一方の位置にのみ十字交差溝5cを設ける。これに
よって第5に実施形態の場合と同様に第2と第3の共振
モード間で結合度を定める。
【0038】なお、上記十字交差溝5cはキャビティお
よび複合誘電体柱の一体成形の際に同時に形成して、設
計段階で第2と第3の共振モード間の結合度を所定値に
設定するか、キャビティおよび複合誘電体柱の一体成形
の後に、リュータ等の切削工具を用いて十字交差溝5c
を形成することによって、目的の結合度に調整する。
【0039】次に第7の実施形態に係る多重モード誘電
体共振器の構成を図10〜図12を参照して説明する。
【0040】図10は多重モード誘電体共振器の斜視図
であり、同図に示すように誘電体柱2bのキャビティ壁
面側の2か所に誘電体除去部7a,7bを形成してい
る。以下このようなキャビティの壁面側の孔を「壁側中
心孔」という。これにより次に述べるように、第1と第
3の共振モード間の結合度を定める。
【0041】図11は図10に示した多重モード誘電体
共振器の3つの共振モードの電界分布の概略を示す平面
図である。ここで第1の共振モードと第3の共振モード
を重ね合わせると、図12に示すように電界が縦方向に
分布するTMY 110 モードと、横方向に分布するTMx
110 モードが合成できる。すなわちTMY 110 モード
は、図11に示した第1・第3の共振モードの電界分布
の方向で(第1の共振モード+第3の共振モード)に相
当し、TMx 110 モードは、(第1の共振モード−第3
の共振モード)に相当する。ここで、TMY 110 モード
の共振周波数を“f縦”、TMx 110 モードの共振周波
数を“f横”とすれば、第1の共振モードと第3の共振
モード間の結合係数kは k=2|f縦−f横|/(f縦+f横) で示される。
【0042】図12に示したように、ここでは図におけ
る縦方向の誘電体柱2bに壁側中心孔7a,7bを設け
たことにより、“f縦”が“f横”より上昇して、両共
振周波数に差が生じるため、第1と第3の共振モードが
結合する。そして、壁側中心孔7a,7bの大きさによ
ってその結合度を定めることができる。
【0043】なお、上記壁側中心孔7a,7bはキャビ
ティ1および複合誘電体柱2の一体成形の際に同時に形
成して、設計段階で第1と第3の共振モード間の結合度
を所定値に設定するか、キャビティ1および複合誘電体
柱2の一体成形の後に、リュータ等の切削工具を用いて
壁側中心孔7a,7bを形成することによって、目的の
結合度に調整すればよい。
【0044】また、図10〜図12に示した壁側中心孔
7a,7b部分に予め貫通孔または有底穴を設けてお
き、その貫通孔または有底穴に誘電体を付与することに
よって第1と第3の共振モード間の結合度を定めるよう
にしてもよい。
【0045】さらに、図10に示した例では、誘電体柱
2a,2bの両端面に当たるキャビティ1の外面を平坦
としたが、誘電体柱2a,2bの両端面に当たるキャビ
ティ1との連設部の中央部に、それぞれキャビティ1の
外壁から誘電体柱2a,2bの内部に向かって窪んだ穴
を形成し、各穴の内面に導電体を形成してもよい。
【0046】次に、第8の実施形態に係る多重モード誘
電体共振器の構成を図13および図14を参照して説明
する。
【0047】図13はその3つの共振モードの電界分布
の概略を示す平面図であり、複合誘電体柱を成す2つの
誘電体柱の交差部に生じる4つのコーナーのうち、対角
関係にない隣接する所定の2つのコーナー部分に十字交
差溝5a,5cを設けている。この十字交差溝5a,5
cは図8および図9に示した5a,5cとそれぞれ同様
に作用する。すなわち十字交差溝5aは第1と第2の共
振モード間の結合をとり、5cは第2と第3の共振モー
ド間の結合をとる。したがって第1の共振モード→第2
の共振モード→第3の共振モードの順またはこの逆の順
に3つの共振モードが順次結合することになる。ここ
で、第1と第3の共振モードの合成である図12に示し
た2つの結合モードについては、十字交差溝5a,5c
がそれぞれ等しく影響を与えることになるため、TMY
110 モードとTMX 110 モードの共振周波数に差が生じ
ることがなく、したがって第1と第3の共振モード間の
結合は生じない。
【0048】なお、上記十字交差溝5a,5cはキャビ
ティおよび複合誘電体柱の一体成形の際に同時に形成し
て、設計段階で第1と第2の共振モード間の結合度およ
び第2と第3の共振モード間の結合度を所定値に設定す
るか、キャビティおよび複合誘電体柱の一体成形の後
に、リュータ等の切削工具を用いて十字交差溝5a,5
cを形成することによって、それぞれの結合度に調整す
る。
【0049】図14は上記多重モード誘電体共振器に対
し外部結合ループおよび同軸コネクタを取り付けて、3
段の共振器からなる帯域通過フィルタを構成した例であ
り、(A)はキャビティの開口部に導電体板を取り付け
る前の平面図、(B)は正面方向から見た縦断面図であ
る。キャビティ1の上下2つの開口部を覆う導電体板1
0,11の外面には同軸コネクタ14,15を取り付け
るとともに、内面に結合ループ12,13を取り付けて
いる。これらの結合ループ12,13は、(A)に示す
ように複合誘電体柱の各誘電体柱に対して45度の関係
に配置している。したがって、図13と対比すれば明ら
かなように、結合ループ13は第1の共振モードと磁界
結合し、結合ループ12は第3の共振モードと磁界結合
する。したがって同軸コネクタ14と15との間に、図
13に示した第1〜第3の3つの共振モードによる3段
の共振器からなる帯域通過フィルタ特性を有する誘電体
フィルタが構成できる。
【0050】次に、第9の実施形態に係るアンテナ共用
器の構成を図15を参照して説明する。図14に示した
例では、1つの複合誘電体柱を設けて、3段の共振器か
らなる帯域通過フィルタ特性を有する誘電体フィルタを
構成したが、この第9の実施形態は2つの複合誘電体柱
を用いてアンテナ共用器としたものである。図15にお
いて、(A)はキャビティの開口部に導電体板を取り付
ける前の平面図、(B)は正面方向から見た縦断面図で
ある。キャビティ1の上下2つの開口部を覆う導電体板
10,11の外面には同軸コネクタ14a,14b,1
5を取り付けるとともに、内面に結合ループ12a,1
2b,13a,13bを取り付けている。これらの結合
ループは、(A)に示すように複合誘電体柱の各誘電体
柱に対してそれぞれ45度の関係に配置している。この
構造によって、図14に示した誘電体フィルタを2組構
成し、たとえば図15における左側を送信フィルタ、右
側を受信フィルタとして用いる。
【0051】また、(B)に示すように、結合ループ1
3a,13bのそれぞれの一端を接続するとともに、そ
の途中の所定位置に同軸コネクタ15の中心導体を接続
している。この同軸コネクタ15の中心導体の接続位置
(分岐点)と結合ループ13a,13bまでの長さは、
分岐点から送信フィルタと受信フィルタをみたときのそ
れぞれのインピーダンスが非常に大きくなるように設定
している。
【0052】以上の構成によって、同軸コネクタ14a
を送信信号入力端、同軸コネクタ14bを受信信号出力
端、同軸コネクタ15をアンテナ接続端とするアンテナ
共用器として用いることができる。
【0053】なお、図15に示す例では、それぞれ3段
の誘電体共振器から成る送信フィルタと受信フィルタを
設けたが、同様にして複数の誘電体フィルタを順次結合
させることによってさらに多段の誘電体器から成るアン
テナ共用器を構成することもできる。
【0054】また、アンテナ共用器に限らず同様にし
て、一般に入出力部を3つ以上設けた入出力共用器を構
成することもできる。
【0055】次に、第10の実施形態に係る多重モード
誘電体共振器の構成を図16を参照して説明する。以上
に示した各実施形態では、2つの誘電体柱の交差形状か
ら成る複合誘電体柱を設けて、2つのTM110モード
と1つのTM111モードを利用した、3重モードの誘
電体共振器について示したが、この第10の実施形態
は、3つの誘電体柱の交差形状から成る複合誘電体柱を
用いたものである。
【0056】図16に示すように、キャビティ1の内部
に3つの誘電体柱2a,2b,2cの交差形状からなる
複合誘電体柱2を一体的に設け、誘電体柱2a,2bの
両端面に当たるキャビティ1との連設部の中央部にそれ
ぞれキャビティ1の外壁から誘電体柱2a,2bの内部
に向かって窪んだ穴4aを形成し、各穴4aの内面に導
電体3aを形成している。この導電体3aはキャビティ
1の外周面に形成した導電体3に導通している。20,
21はキャビティ1の上下2つの開口面を覆う誘電体板
である。この誘電体板20,21には、キャビティ1の
開口面を覆った状態で外面となる面およびキャビティの
開口面に当接する部位に導電体3を形成している。ま
た、誘電体板20,21には、誘電体柱2cの端面に対
向する部位に、誘電体柱2cの軸方向に窪んだ穴4aを
それぞれ形成していて、その穴の内面にも導電体3aを
形成している。この導電体3aは誘電体板20,21に
形成した導電体3に導通している。この誘電体板20,
21はキャビティの開口面に対してAgペースの塗布お
よび焼き付けにより接合するか半田付け等によって接合
する。
【0057】このように、3つの誘電体柱の交差形状か
らなる複合誘電体柱を設ければ、2つの誘電体柱2a,
2bにより2つのTM110モード(TM110 X モード
とTM110 Y モード)が生じ、誘電体柱2a,2bの成
す平面で更にTM111モード(TM111 XYモード)が
生じる。同様に、2つの誘電体柱2a,2cにより2つ
のTM110モード(TM110 Y モードとTM110 Z
ード)が生じ、誘電体柱2a,2cの成す平面で更にT
M111モード(TM111 YZモード)が生じ、2つの誘
電体柱2b,2cにより2つのTM110モード(TM
110 X モードとTM110 Z モード)が生じ、誘電体柱2
b,2cの成す平面で更にTM111モード(TM111
XZモード)が生じる。結局合計6重の誘電体共振器とし
て作用することになる。3つの誘電体柱のうち或る2つ
の誘電体柱の成す平面での3つの共振モード(2つのT
M110モードとTM111モード)については第1〜
第8の実施形態で示したものと同様にして、各共振器の
共振周波数の設定または各共振器間の結合を設定するこ
とができる。但し、6つの共振モードをそれぞれ独立さ
せて共振周波数を設定し、且つ、各共振器を順次結合さ
せることはできないので、たとえば6つの共振器のうち
所定の共振器を順次結合させて多段の共振器からなる帯
域通過フィルタとして作用させ、その他の共振器を独立
させて、トラップとして作用させてもよい。これによっ
て、所定周波数に減衰極をもった帯域通過フィルタを構
成することができる。
【0058】次に、2つのTM110モードとTM11
1モードとの共振周波数を相対的に変化させて所望の共
振周波数とする設計方法または調整方法の例を図17〜
図22を参照して説明する。
【0059】図17は第11の実施形態に係る多重モー
ド誘電体共振器の構成を示す斜視図および共振周波数の
変化特性を示す図である。同図の(A)に示すように、
キャビティ1の内部に2つの誘電体柱2a,2bの交差
形状からなる複合誘電体柱2を一体的に設け、誘電体柱
2a,2bの両端面に当たるキャビティ1との連設部の
中央部に、それぞれキャビティ1の外壁から誘電体柱2
a,2bの内部に向かって窪んだ穴4aを形成し、各穴
4aの内面に導電体3aを形成している。また、複合誘
電体柱2の中央にはコア中心孔6を形成し、誘電体柱2
a,2bには壁側中心孔7a,7b,7c,7dを形成
している。
【0060】図17の(B)は、上記壁側中心孔7a〜
7dの内径をパラメータとして、コア中心孔6の内径の
変化に対するTM110モードとTM111モードの共
振周波数の変化を示している。コア中心孔の内径を大き
くする程、各モードの共振周波数は上昇するが、複合誘
電体柱2の中央部では、TM110モードの方がTM1
11モードより電界分布が集中するため、コア中心孔6
の内径の変化に対する共振周波数の変化はTM110モ
ードの方が大きい。一方、壁側中心孔7a〜7dの内径
の変化に対して、TM110モードとTM111モード
の共振周波数は同程度に変化する。そのため、2点鎖線
で示すようにTM110モードの共振周波数が一定とな
るようにコア中心孔6の内径と壁側中心孔7a〜7dの
内径を共に変えたとき、TM111モードの共振周波数
は同図に示すように一定とはならずに変化する。この関
係を利用して、TM110モードの共振周波数とTM1
11モードの共振周波数を相対的に定めることができ
る。たとえば2つのTM110モードを用いて帯域通過
フィルタを構成する場合(TM111モードをスプリア
スモードとして扱う場合)、所望の減衰特性が得られる
ように、TM110モードの共振周波数に対してTM1
11モードの共振周波数を相対的に定めればよい。ま
た、TM110モードとTM111モードとを結合させ
る場合には、コア中心孔6を大きくすることにより、ま
たはこれとともに壁側中心孔7a〜7dを大きくするこ
とによって、TM110モードの共振周波数をTM11
1モードの共振周波数に近づけ、双方の共振周波数を略
等しくする。
【0061】図18は第12の実施形態に係る多重モー
ド誘電体共振器の構成を示す斜視図および共振周波数の
変化特性を示す図である。同図の(A)に示すように、
キャビティ1の内部に2つの誘電体柱2a,2bの交差
形状からなる複合誘電体柱2を一体的に設け、この複合
誘電体柱2の中央にはコア中心孔6を形成している。
【0062】図18の(B)は、複合誘電体柱の厚み
(同図(A)に矢印で示すように高さ方向と幅方向の寸
法であり、以下「コア厚」という。)をパラメータとし
て、上記コア中心孔の内径の変化に対するTM110モ
ードとTM111モードの共振周波数の変化を示してい
る。上述した場合と同様に、コア中心孔の内径を大きく
する程、各モードの共振周波数は上昇するが、複合誘電
体柱2の中央部では、TM110モードの方がTM11
1モードより電界分布が集中するため、コア中心孔6の
内径の変化に対する共振周波数の変化はTM110モー
ドの方が大きい。一方、コア厚の変化に対して、TM1
10モードとTM111モードの共振周波数は同程度に
変化する。そのため、2点鎖線で示すようにTM110
モードの共振周波数が一定となるようにコア中心孔6の
内径とコア厚を共に変えたとき、TM111モードの共
振周波数は同図に示すように一定とはならずに変化す
る。この関係を利用して、TM110モードの共振周波
数とTM111モードの共振周波数を相対的に定めるこ
とができる。
【0063】図19は第13の実施形態に係る多重モー
ド誘電体共振器の構成を示す斜視図および共振周波数の
変化特性を示す図である。同図の(A)に示すように、
キャビティ1の内部に2つの誘電体柱2a,2bの交差
形状からなる複合誘電体柱2を一体的に設け、誘電体柱
2a,2bの両端面に当たるキャビティ1との連設部の
中央部に、それぞれキャビティ1の外壁から誘電体柱2
a,2bの内部に向かって窪んだ穴4aを形成し、各穴
4aの内面に導電体3aを形成している。また、複合誘
電体柱2には壁側中心孔7a,7b,7c,7dを形成
し、さらにこれらの壁側中心孔7a,7b,7c,7d
を挟む位置に溝9a,9b,9c,9dを形成してい
る。以下この溝を「壁側横溝」という。
【0064】図19の(B)は、上記壁側中心孔7a〜
7dの内径をパラメータとして、壁側横溝9a〜9dの
大きさの変化に対するTM110モードとTM111モ
ードの共振周波数の変化を示している。壁側横溝を大き
くする程、各モードの共振周波数は上昇するが、壁側横
溝9a〜9d付近では、TM111モードの方がTM1
10モードより電界分布が集中するため、壁側横溝9a
〜9dの大きさの変化に対する共振周波数の変化はTM
111モードの方が大きい。一方、壁側中心孔7a〜7
dの内径の変化に対して、TM110モードとTM11
1モードの共振周波数は同程度に変化する。そのため、
2点鎖線で示すようにTM110モードの共振周波数が
一定となるように壁側横溝9a〜9dの大きさと壁側中
心孔7a〜7dの内径を共に変えたとき、TM111モ
ードの共振周波数は同図に示すように一定とはならずに
変化する。この関係を利用して、TM110モードの共
振周波数とTM111モードの共振周波数を相対的に定
めることができる。たとえば2つのTM110モードを
用いて帯域通過フィルタを構成する場合(TM111モ
ードをスプリアスモードとして扱う場合)、所望の減衰
特性が得られるように、TM110モードの共振周波数
に対してTM111モードの共振周波数を相対的に定め
ればよい。また、TM110モードとTM111モード
とを結合させる場合には、壁側横溝を小さくすることに
よって、TM111モードの共振周波数をTM110モ
ードの共振周波数に近づけ、双方の共振周波数を略等し
くする。なお、その際、予め形成した壁側横溝に誘電体
部材を付与することによって壁側横溝の大きさを小さく
するようにしてもよい。
【0065】図20は第14の実施形態に係る多重モー
ド誘電体共振器の構成を示す斜視図および共振周波数の
変化特性を示す図である。同図の(A)に示すように、
キャビティ1の内部に2つの誘電体柱2a,2bの交差
形状からなる複合誘電体柱2を一体的に設け、この複合
誘電体柱2に壁側横溝9a〜9dを形成している。
【0066】図20の(B)は、複合誘電体柱のコア厚
をパラメータとして、上記壁側横溝の大きさの変化に対
するTM110モードとTM111モードの共振周波数
の変化を示している。上述した場合と同様に、壁側横溝
を大きくする程、各モードの共振周波数は上昇するが、
複合誘電体柱2の壁側横溝9a〜9d付近では、TM1
11モードの方がTM110モードより電界分布が集中
するため、壁側横溝の大きさの変化に対する共振周波数
の変化はTM111モードの方が大きい。一方、コア厚
の変化に対して、TM110モードとTM111モード
の共振周波数は同程度に変化する。そのため、2点鎖線
で示すようにTM110モードの共振周波数が一定とな
るように壁側横溝の大きさとコア厚を共に変えたとき、
TM111モードの共振周波数は同図に示すように一定
とはならずに変化する。この関係を利用して、TM11
0モードの共振周波数とTM111モードの共振周波数
を相対的に定めることができる。
【0067】図21は第15の実施形態に係る多重モー
ド誘電体共振器の構成を示す斜視図および共振周波数の
変化特性を示す図である。同図の(A)に示すように、
キャビティ1の内部に2つの誘電体柱2a,2bの交差
形状からなる複合誘電体柱2を一体的に設け、誘電体柱
2a,2bの両端面に当たるキャビティ1との連設部の
中央部に、それぞれキャビティ1の外壁から誘電体柱2
a,2bの内部に向かって窪んだ穴4aを形成し、各穴
4aの内面に導電体3aを形成している。複合誘電体柱
2には壁側中心孔7a,7b,7c,7dおよび十字交
差溝5a,5b,5c,5dを形成している。
【0068】図21の(B)は、上記壁側中心孔7a〜
7dの内径をパラメータとして、十字交差溝5a〜5d
の大きさの変化に対するTM110モードとTM111
モードの共振周波数の変化を示している。十字交差溝を
大きくする程、各モードの共振周波数は上昇するが、複
合誘電体柱の交差部では、TM111モードの方がTM
110モードより電界分布が集中するため、十字交差溝
5a〜5dの大きさの変化に対する共振周波数の変化は
TM111モードの方が大きい。一方、壁側中心孔7a
〜7dの内径の変化に対して、TM110モードとTM
111モードの共振周波数は同程度に変化する。そのた
め、2点鎖線で示すようにTM110モードの共振周波
数が一定となるように十字交差溝5a〜5dの大きさと
壁側中心孔7a〜7dの内径を共に変えたとき、TM1
11モードの共振周波数は同図に示すように一定とはな
らずに変化する。この関係を利用して、TM110モー
ドの共振周波数とTM111モードの共振周波数を相対
的に定めることができる。
【0069】図22は第16の実施形態に係る多重モー
ド誘電体共振器の構成を示す斜視図および共振周波数の
変化特性を示す図である。同図の(A)に示すように、
キャビティ1の内部に2つの誘電体柱2a,2bの交差
形状からなる複合誘電体柱2を一体的に設けている。複
合誘電体柱2には十字交差溝5a,5b,5c,5dを
形成している。
【0070】図22の(B)は、コア厚をパラメータと
して、十字交差溝5a〜5dの大きさの変化に対するT
M110モードとTM111モードの共振周波数の変化
を示している。上述したように、十字交差溝を大きくす
る程、各モードの共振周波数は上昇するが、複合誘電体
柱の交差部では、TM111モードの方がTM110モ
ードより電界分布が集中するため、十字交差溝5a〜5
dの大きさの変化に対する共振周波数の変化はTM11
1モードの方が大きい。一方、コア厚の変化に対して、
TM110モードとTM111モードの共振周波数は同
程度に変化する。そのため、2点鎖線で示すようにTM
110モードの共振周波数が一定となるようにコア厚と
十字交差溝の大きさを共に変えたとき、TM111モー
ドの共振周波数は同図に示すように一定とはならずに変
化する。この関係を利用して、TM110モードの共振
周波数とTM111モードの共振周波数を相対的に定め
ることができる。
【0071】
【発明の効果】請求項1に記載の発明によれば、複数の
誘電体柱のうち2つの誘電体柱の成す面で生じる2つの
擬似TM110モードと擬似TM111モードの3つの
共振モードのうち、共振周波数設定対象である1つの共
振モードの共振周波数を他の2つの共振モードの共振周
波数とは独立して定めることができる。
【0072】請求項2に記載の発明によれば、複数の誘
電体柱のうち2つの誘電体柱の成す面で生じる2つの擬
似TM110モードと擬似TM111モードの3つの共
振モードのうち、共振周波数設定対象以外の2つの共振
モードの共振周波数を共に変化させ、この2つの共振モ
ードの共振周波数に対して共振周波数設定対象である他
の1つの共振モードの共振周波数を相対的に定めること
ができる。
【0073】請求項3に記載の発明によれば、擬似TM
110モードである第1の共振モードと擬似TM111
モードである第2の共振モードとを結合させ、複合誘電
体柱の所定箇所の除去量または所定箇所に対する誘電体
の付与量によってその結合度を定めることができる。
【0074】請求項4に記載の発明によれば、それぞれ
2つの擬似TM110モードである第1の共振モードと
第3の共振モードとを結合させ、複合誘電体柱の所定箇
所の誘電体削除量または所定箇所に対する誘電体の付与
量によってその結合度を定めることができる。
【0075】請求項5,10に記載の発明によれば、た
とえば2つのTM110モードを用いて誘電体フィルタ
を構成する場合に、この2つのTM110モードの共振
周波数を変えることなく、スプリアスとしてのTM11
1モードの共振周波数を2つのTM110モードの共振
周波数に対して相対的に定めることができる。
【0076】請求項6,7に記載の発明によれば、擬似
TM110モードと擬似TM111モードとが結合し
て、複数段の誘電体共振器から成る誘電体共振器装置が
構成できる。
【0077】請求項8に記載の発明によれば、複数段の
共振器から成る誘電体フィルタを小型軽量に構成でき
る。
【0078】請求項9に記載の発明によれば、デュプレ
クサやマルチプレクサ等の入出力共用器を小型軽量に構
成できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施形態に係る多重モード誘電体共振器
の斜視図
【図2】同誘電体共振器の3つの共振モードの電界分布
の例を示す平面図
【図3】第2の実施形態に係る多重モード誘電体共振器
の各モードの電界分布の例を示す平面図
【図4】第3の実施形態に係る多重モード誘電体共振器
の各モードの電界分布の例を示す平面図
【図5】第4の実施形態に係る多重モード誘電体共振器
の斜視図
【図6】同誘電体共振器の各モードの電界分布の例を示
す平面図
【図7】第5の実施形態に係る多重モード誘電体共振器
の斜視図
【図8】同誘電体共振器の各モードの電界分布の例を示
す平面図
【図9】第6の実施形態に係る多重モード誘電体共振器
の各モードの電界分布の例を示す平面図
【図10】第7の実施形態に係る多重モード誘電体共振
器の斜視図
【図11】同誘電体共振器の各モードの電界分布の例を
示す平面図
【図12】第7の実施形態に係る多重モード誘電体共振
器の結合モードの例を示す図
【図13】第8の実施形態に係る多重モード誘電体共振
器の各モードの電界分布の例を示す平面図
【図14】同誘電体共振器の平面図および導電体板を取
り付けた状態での断面図
【図15】第9の実施形態に係る誘電体フィルタの断面
【図16】第10の実施形態に係る多重モード誘電体共
振器の分解斜視図
【図17】第11の実施形態に係る多重モード誘電体共
振器の分解斜視図およびその共振周波数の変化特性を示
す図
【図18】第12の実施形態に係る多重モード誘電体共
振器の分解斜視図およびその共振周波数の変化特性を示
す図
【図19】第13の実施形態に係る多重モード誘電体共
振器の分解斜視図およびその共振周波数の変化特性を示
す図
【図20】第14の実施形態に係る多重モード誘電体共
振器の分解斜視図およびその共振周波数の変化特性を示
す図
【図21】第15の実施形態に係る多重モード誘電体共
振器の分解斜視図およびその共振周波数の変化特性を示
す図
【図22】第16の実施形態に係る多重モード誘電体共
振器の分解斜視図およびその共振周波数の変化特性を示
す図
【図23】従来のTM2重モード誘電体共振器の斜視図
【符号の説明】 1−キャビティ 2−複合誘電体柱 2a,2b−誘電体柱 3−導電体 3a−導電体 4a−穴 5a,5b,5c,5d−十字交差溝 6−コア中心孔 7a,7b,7c,7d−壁側中心孔 8a,8b−誘電体 9a,9b,9c,9d−壁側横溝 10,11−導電体板 12,13−結合ループ 14,15−同軸コネクタ 20,21−誘電体板

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 周囲を導電体で囲んだ領域内に複数の誘
    電体柱の交差形状から成る複合誘電体柱を配した多重モ
    ード誘電体共振器において、 前記複数の誘電体柱のうち2つの誘電体柱の成す面で、
    電界分布の対称軸が異なる2つの擬似TM110モード
    を第1・第3の共振モード、擬似TM111モードを第
    2の共振モードとし、第1〜第3の共振モードのうち2
    つの共振モードに対して相対的に電界分布が集中する領
    域をもつ他の1つの共振モードを共振周波数設定対象と
    して、前記電界分布の集中する領域に誘電体除去部を設
    けて、または該領域に誘電体を付与して、前記共振周波
    数設定対象である共振モードの共振周波数を定めたこと
    を特徴とする多重モード誘電体共振器。
  2. 【請求項2】 周囲を導電体で囲んだ領域内に複数の誘
    電体柱の交差形状から成る複合誘電体柱を配した多重モ
    ード誘電体共振器において、 前記複数の誘電体柱のうち2つの誘電体柱の成す面で、
    電界分布の対称軸が異なる2つの擬似TM110モード
    を第1・第3の共振モード、擬似TM111モードを第
    2の共振モードとし、第1〜第3の共振モードのうち2
    つの共振モードに対して相対的に電界分布が集中しない
    領域をもつ他の1つの共振モードを共振周波数設定対象
    として、前記電界分布の集中しない領域に誘電体除去部
    を設けて、または該領域に誘電体を付与して、前記共振
    周波数設定対象である共振モードの共振周波数をその他
    の2つの共振モードの共振周波数に対して相対的に定め
    たことを特徴とする多重モード誘電体共振器。
  3. 【請求項3】 周囲を導電体で囲んだ領域内に複数の誘
    電体柱の交差形状から成る複合誘電体柱を配した多重モ
    ード誘電体共振器において、 前記複数の誘電体柱のうち2つの誘電体柱の成す面で、
    電界分布の対称軸が異なる2つの擬似TM110モード
    を第1・第3の共振モード、擬似TM111モードを第
    2の共振モードとし、複合誘電体柱の所定箇所に誘電体
    除去部を設けて、または複合誘電体柱の所定箇所に誘電
    体を付与して、第1の共振モードの電界に平行な対角線
    を対称軸とする対称性を崩すことにより、第1の共振モ
    ードと第2の共振モードとの間の結合度を定めたことを
    特徴とする多重モード誘電体共振器。
  4. 【請求項4】 周囲を導電体で囲んだ領域内に複数の誘
    電体柱の交差形状から成る複合誘電体柱を配した多重モ
    ード誘電体共振器において、 前記複数の誘電体柱のうち2つの誘電体柱の成す面で、
    電界分布の対称軸が異なる2つの擬似TM110モード
    を第1・第3の共振モード、擬似TM111モードを第
    2の共振モードとし、複合誘電体柱の所定箇所に誘電体
    除去部を設けて、または複合誘電体柱の所定箇所に誘電
    体を付与して、前記複合誘電体柱を成す2つの誘電体柱
    の共振周波数特性上の形状を異ならせて、第1の共振モ
    ードと第3の共振モードとの間の結合度を定めたことを
    特徴とする多重モード誘電体共振器。
  5. 【請求項5】 周囲を導電体で囲んだ領域内に複数の誘
    電体柱の交差形状から成る複合誘電体柱を配した多重モ
    ード誘電体共振器において、 前記複数の誘電体柱のうち2つの誘電体柱の成す面で、
    電界分布の対称軸が互いに異なる2つの擬似TM110
    モードと、擬似TM111モードとについて、相対的に
    電界分布強度の異なる領域に誘電体除去部を設けて、ま
    たは該領域に誘電体を付与して、前記擬似TM110モ
    ードと前記擬似TM111モードの共振周波数を相対的
    に定めたことを特徴とする多重モード誘電体共振器。
  6. 【請求項6】 周囲を導電体で囲んだ領域内に複数の誘
    電体柱の交差形状から成る複合誘電体柱を配した多重モ
    ード誘電体共振器において、 前記複数の誘電体柱のうち2つの誘電体柱の成す面で、
    電界分布の対称軸が互いに異なる2つの擬似TM110
    モードと、擬似TM111モードとについて、前記擬似
    TM111モードに比べて前記擬似TM110モードの
    電界分布強度が高い領域に誘電体除去部を設けて、前記
    擬似TM110モードの共振周波数を前記擬似TM11
    1モードの共振周波数に近づけ、前記擬似TM110モ
    ードと前記擬似TM111モードとを結合させたことを
    特徴とする多重モード誘電体共振器。
  7. 【請求項7】 周囲を導電体で囲んだ領域内に複数の誘
    電体柱の交差形状から成る複合誘電体柱を配した多重モ
    ード誘電体共振器において、 前記複数の誘電体柱のうち2つの誘電体柱の成す面で、
    電界分布の対称軸が互いに異なる2つの擬似TM110
    モードと、擬似TM111モードとについて、前記擬似
    TM110モードに比べて前記擬似TM111モードの
    電界分布強度が高い領域に誘電体を付与して、前記擬似
    TM111モードの共振周波数を前記擬似TM110モ
    ードの共振周波数に近づけ、前記擬似TM110モード
    と前記擬似TM111モードとを結合させたことを特徴
    とする多重モード誘電体共振器。
  8. 【請求項8】 請求項1〜7のいずれかに記載の多重モ
    ード誘電体共振器に当該多重モード誘電体共振器の所定
    の共振モードと結合する入出力結合手段を設けたことを
    特徴とする誘電体フィルタ。
  9. 【請求項9】 請求項8に記載の誘電体フィルタを複数
    組設けるとともに、入出力部を3つ以上設けたことを特
    徴とする入出力共用器。
  10. 【請求項10】 周囲を導電体で囲んだ領域内に複数の
    誘電体柱の交差形状から成る複合誘電体柱を配した多重
    モード誘電体共振器において、前記複数の誘電体柱のう
    ち2つの誘電体柱の成す面で、電界分布の対称軸が互い
    に異なる2つの擬似TM110モードと、擬似TM11
    1モードとについて、相対的に電界分布強度の異なる領
    域に誘電体除去部を設けて、または該領域に誘電体を付
    与して、前記擬似TM110モードと擬似TM111モ
    ードの共振周波数を相対的に定めることを特徴とする多
    重モード誘電体共振器の特性調整方法。
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