JPH11199981A - 高耐熱鋼線およびその製造方法 - Google Patents
高耐熱鋼線およびその製造方法Info
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Abstract
レベルの耐熱性を具えるピアノ線とその製造方法とを提
供する 【解決手段】 C:0.75〜1.0wt%,Si:0.
5〜1.5wt%を含み、パーライト組織を塑性加工した
鋼線で、セメンタイトは幅が5〜20nmの大きさのも
のと幅が20〜100nmの大きさのものとがほぼ交互
に配列され、セメンタイトの厚さを5〜20nmとした
ことにある。
Description
とその製造方法に関するものである。
(一般にピアノ線または硬鋼線:以下単にピアノ線とい
う)は耐熱性が劣ることが知られている。通常のピアノ
線はSiの含有量が0.15〜0.35wt%程度であ
り、このような含有量ではパーライトを構成するセメン
タイトが高温で球状化してしまい、強度が低下する。そ
のため、高温環境で耐へたり性が要求される場合、焼入
れ焼戻し鋼、例えばSiCr鋼オイルテンパー線など
(以下OT線という)が用いられていた。
性に優れるがピアノ線に比べて高価であり、ピアノ線の
耐熱性を向上できれば、その用途を大きく広げることが
できる。ピアノ線の耐熱性を向上させる手段としてはS
iを添加することが知られている。例えば、耐熱性が要
求される使用環境としては鋼線に溶融亜鉛メッキを施す
(約450℃×30秒)場合が挙げられ、その際の強度
低下を抑制するためにSiを添加することが行われてい
る。さらに、セメンタイトを微結晶化してナノオーダー
の結晶とすると、強度と靱性に優れた鋼線が得られるこ
とが提案されている(特開平8-120407号)。
ジン周辺が挙げられる。特に弁ばね用鋼線としては20
0℃程度までの耐へたり性が重要で、溶融亜鉛メッキに
おけるような高温での耐へたり性は重要ではない。
においてOT線と同レベルの耐熱性を具えるピアノ線と
その製造方法とを提供することにある。
消するもので、その特徴は、C:0.75〜1.0wt
%,Si:0.5〜1.5wt%を含み、パーライト組織
を塑性加工した鋼線で、セメンタイトは幅が5〜20n
mの大きさのものと幅が20〜100nmの大きさのも
のとがほぼ交互に配列され、セメンタイトの厚さを5〜
20nmとしたことにある。
くとも一方を添加し、これらの含有量の合計を0.05
〜0.2wt%としたり、Alを0.01〜0.03wt%
含有してもよい。
ェライトとセメンタイトとの界面に半円状の歪みが観察
されないことが好ましい。
100nmの大きさの粒子の厚さをA1、これと隣接す
る幅5〜20nmの大きさの粒子が前記20〜100n
mの大きさの粒子と接触している厚さ方向の長さをA2
としたとき、 0.3<A2/A1<0.95 であることが望ましい。
C:0.75〜1.0wt%,Si:0.5〜1.5wt%
を含む材料に冷間で真歪が0.7以上の塑性加工を行
い、この加工方法を伸線、圧延、ローラダイス伸線、ス
エージの1つ以上として、1回の加工での真歪を0.1
〜0.25の範囲とし、加工途中で鋼線の先端と後端と
を入れ替えて加工を行い、この塑性加工後に230〜4
50℃の熱処理を施すことを特徴とする。上記冷間での
塑性加工の際、その途中で鋼線の捻じれを鋼線100mm
当り15°以内とするとより好ましい。
に述べる。 <C:0.75〜1.0wt%>0.75%未満では鋼線
の強度が低く、耐熱性も低くなる。逆に1%を越えると
Siの含有量を高めたときに塑性加工が困難になる。
満では耐熱性が低く、1.5%を越えると塑性加工が困
難になる。
が5〜20nmの大きさのものと幅が20〜100nm
の大きさのものとがほぼ交互に配列され、セメンタイト
の厚さが5〜20nmという範囲から外れると、200
℃程度までにおける耐熱性が低下する。
み>半円上の歪みが認められると耐熱性が著しく低下す
る。
セメンタイトの幅が20〜100nmの大きさの粒子の
厚さをA1、これと隣接する幅5〜20nmの大きさの
粒子が前記20〜100nmの大きさの粒子と接触して
いる厚さ方向の長さをA2としたとき、0.3<A2/
A1<0.95の範囲から外れると耐熱性が低下する。
2wt%>この範囲を越えて添加すると、パーライト組織
を得るのが困難になる。具体的には変態時間がかかり、
生産性の低下が著しい。
囲のAlの添加により靱性が向上する。
25の範囲を外れると靱性が低下する。また、途中で加
工方向を逆転することにより靱性を一層向上させること
ができる。
を行う際、捻じれ量が15°以内であれば、耐熱性の向
上とセメンタイト形状の安定化を図ることができる。
する。 (試験例1)表1に示す化学成分の材料に「圧延→パテ
ンティング→伸線→熱処理(歪み取り焼鈍)」を施し、
5mmφの鋼線を得た。この工程において、圧延における
線材径は12、3mmφ、パテンティング条件は加熱温
度:950℃,変態温度:560℃、伸線における最終
径は5mmφ、熱処理は350℃×20分である。
の範囲とし、加工中の線材の捻じれは鋼線100mm当り
10°以内で、7mmφまで伸線したところで伸線方向を
入れ替えて加工を行った。
前に取り付けられた捻じれセンサを用いる。この捻じれ
センサは鋼線のねじれに合わせて回転する球状のコロを
具え、コロの回転から走行線と直角方向の単位時間当り
の変位を検出し、そこから鋼線100mm当りの変位を求
めてねじれ量を算出する。
200,250℃の各々の温度で600MPaの応力を
24時間負荷し、へたり特性として残留せん断歪を求め
た。なお、比較のため一般的なOT線の評価も同様に行
った。その結果を図1に示す。
50℃までにおいてOT線とほぼ同等の耐熱性を有して
いることがわかる。これに対してSi量の少ない比較例
1は残留せん断歪が大きく、高温における耐へたり性が
劣っている。
伸線および熱処理条件を試験例1の条件から外して行
い、得られた鋼線(比較例2)と前記実施例1について
TEMによる組織観察(倍率20万倍)を行った。実施
例1の組織写真を図2に、比較例2の組織写真を図3に
示す。図において、幅の広い白っぽい層がフェライト
で、幅の狭い黒っぽい層がセメンタイト層であり、各層
が交互に並んでいる。ここで、比較例2には、主にフェ
ライトとセメンタイトとの界面に円弧状の歪みが見られ
るが、実施例1にはこのような歪みがないことがわか
る。また、実施例1におけるセメンタイト層の厚さは5
〜20nm程度であった。なお、TEM観察用の試料は
数百μmの厚さにスライスして研磨した後、最終的に電
解研磨して薄膜化したものを用いた。イオンスパッタリ
ング残さの抽出などは組織の変化の心配があるため行わ
なかった。
性を評価した結果を図4に示す。耐熱性は300MPa
の捻じり応力を24時間負荷したときの残留せん断歪を
求めることで評価した。図4に示すように、実施例1は
OT線と同等の耐熱性を有しているのに対し、伸線条件
が異なる比較例2は耐熱性が劣っている。
ンタイトの形態を表す模式図を図5に、顕微鏡写真(倍
率500万倍)を図6に示す。図5に示すように、この
鋼線はフェライト1とセメンタイト2が交互に積層され
た組織を持ち、このセメンタイト層の断面を拡大して示
すと、楕円形の大きい粒子3と、ほぼ円形の小さい粒子
4とがほぼ交互に配列されている。図6でも、上下層に
フェライトがあり、その間に位置するセメンタイトは楕
円形の粒子と円形の粒子がほぼ交互に並んで構成されて
いることがわかる。この写真では長さが約60nmと5
0nmの楕円形の組織の間に外径約15nmの円形の組
織が観察された。また、「実施例1」について、伸線お
よび熱処理条件を試験例1の条件から外した比較例3の
セメンタイトの組織形態も同様に調べてみたが、10〜
50nmの大きさのセメンタイトがランダムに並んでお
り、実施例1のような組織配列の規則性は見いだされな
かった。
性を評価した結果を図7に示す。耐熱性は700MPa
の捻じり応力を24時間負荷したときの残留せん断歪を
求めることで評価した。図6に示すように、実施例1は
OT線と同等の耐熱性を有しているのに対し、伸線条件
が異なる比較例2は耐熱性が劣っている。
ら試験例1と同様の工程により鋼線を得た。ただし、熱
処理条件は400℃×20分とした。また、ここでの比
較対象は試験例1における比較例1とした。得られた鋼
線に200℃で700MPaの捻じり応力を24時間負
荷したときの残留せん断応力を求めて耐熱性評価を行っ
た。試験結果を図8に示す。このグラフに示すように、
実施例1〜5はいずれも残留せん断歪が少なく、耐熱性
に優れていることがわかる。特に、V,Mo,Alを添
加した実施例2〜5はこれらを添加しないものに比べて
より耐熱性に優れている。
Mにてセメンタイトの形態を確認したところ、いずれも
厚さが5〜20nmで、幅5〜20nmと幅20〜10
0nmのものがほぼ交互に並んでいることが確認され
た。ただし、幅5〜20nmのセメンタイト又は幅20
〜100nmのセメンタイトのいずれかが3個連続して
配列されている場合も認められた。従って、同じサイズ
のセメンタイトが3個程度までなら連続して配列されて
いても耐熱性の改善効果が認められることがわかる。
が劣っては実際の使用条件に耐えられない。また、靱性
は生産性にとっても重要な要素である。この点、VやM
oの添加は合計で0.15wt%をこえると必要な靱性を
得るのにパテンティングの時間が非常に長くなり、実生
産には困難であった。また、Alを添加すると耐熱特性
を維持しながら靱性も維持できることがわかった。例え
ば、Alの添加がないときには高速伸線すると靱性が低
下してしまうが、Alを添加すると伸線速度を50%上
げても伸線速度を上げない場合と同等の靱性を得ること
ができる。
変えて試験例1と同様の工程により鋼線を得た。ただ
し、この場合の熱処理は380℃×20分である。ま
た、加工中の捻じれは試験例1と同様に鋼線100mm当
りの捻じれ量を示している。各方法により得られた鋼線
の耐熱性を評価した。評価は200℃で500MPaの
捻じり応力を24時間負荷して残留せん断歪を測定する
ことで行った。また、比較としてOT線(SWOSC) も同様
に評価した。各方法による試料数を5とし、求められた
残留せん断歪の平均とばらつきとを図9のグラフに示
す。いずれの方法でも良好な結果が得られているが、方
法1,5による試験材がばらつきが少なく、かつ結果が
特に良好である。
対し、試験例1と同様の工程で処理を行った。その結
果、供試材14と24においては鋼線を製造する工程、特に
鋳造後において歩留りが低く、実用的な生産に向いてい
ないことが判明した。そのため、残りの供試材10〜13,2
1〜23 について耐熱性の評価を行った。評価は190℃
で600MPaの捻じり応力を24時間負荷して残留せ
ん断歪を測定することで行った。比較のためOT線(SWO
SC) についても同様の評価を行った。その結果を図10
に示す。Siの含有量の少ない供試材21以外は好結果を
示していることがわかる。
用いて試験例1と同様の工程で伸線条件を変えた処理を
行って鋼線を得た。得られた鋼線のセメンタイトは、図
5に示したように、楕円状の長い粒子とほぼ円形の短い
粒子とがほぼ交互に配列した形態をしていたが、各粒子
の長さは様々であったため、これら長さの相違と耐熱性
との関係について分析した。図5における楕円状の長い
粒子の長さをBL,ほぼ円形の短い粒子の長さをBSと
し、200℃で700MPaの捻じり応力を24時間負
荷して残留せん断歪を測定することで、各粒子の長さと
耐熱性との関係を調べた。その結果を図11のグラフに
示す。ここで、「良好」とは残留せん断歪がOT線(SWO
SC) 並の0.06%以下であることとした。このグラフ
に見られるように概ね20≦BL≦100nm,5≦B
S≦20nmの範囲が良好な結果であることがわかる。
S≦20nmの範囲内であっても結果が「やや不良」の
ものも存在したため、さらに詳細にセメンタイト組織の
分析を行った。分析は、図12に示すように、セメンタ
イトの幅が20〜100nmの大きさの粒子3の厚さを
A1とし、隣接する小さいセメンタイト粒子4が接触す
る厚さ方向の長さA2としたときに、これらの比率がど
のような関係にあるかで評価した。その結果、0.3<
A2/A1<0.95の場合に結果が「良好」で、それ
以外の場合に結果が「やや不良」であることがわかっ
た。
ば、ピアノ線であっても200℃前後における耐熱性が
OT線に相当する線材を安価に得ることができ、自動車
エンジンの弁ばねなどに利用することができる。また、
本発明製造方法は、耐熱性に優れた本発明鋼線を製造す
るのに最適である。
である。
る。
る。
である。
る。
である。
すグラフである。
示すグラフである。
留せん断歪との関係を示すグラフである。
示すグラフである。
る。
い粒子 4 ほぼ円形の小さい粒子
Claims (7)
- 【請求項1】 C:0.75〜1.0wt%,Si:0.
5〜1.5wt%を含み、パーライト組織を塑性加工した
鋼線で、セメンタイトは幅が5〜20nmの大きさのも
のと幅が20〜100nmの大きさのものとがほぼ交互
に配列され、セメンタイトの厚さが5〜20nmである
ことを特徴とする高耐熱鋼線。 - 【請求項2】 透過型電子顕微鏡写真において、フェラ
イトとセメンタイトとの界面に半円状の歪みが観察され
ないことを特徴とする請求項1記載の高耐熱鋼線。 - 【請求項3】 セメンタイトにおける幅が20〜100
nmの大きさの粒子の厚さをA1、これと隣接する幅5
〜20nmの大きさの粒子が前記20〜100nmの大
きさの粒子と接触している厚さ方向の長さをA2とした
とき、 0.3<A2/A1<0.95 であることを特徴とする請求項1記載の高耐熱鋼線。 - 【請求項4】 MoおよびVの少なくとも一方を含み、
これらの含有量が合計で0.05〜0.2wt%であるこ
とを特徴とする請求項1記載の高耐熱鋼線。 - 【請求項5】 Alを0.01〜0.03wt%含有する
ことを特徴とする請求項1記載の高耐熱鋼線。 - 【請求項6】 C:0.75〜1.0wt%,Si:0.
5〜1.5wt%を含む材料に冷間で真歪が0.7以上の
塑性加工を行い、 この加工方法を伸線、圧延、ローラダイス伸線、スエー
ジの1つ以上とし、1回の加工での真歪を0.1〜0.
25の範囲として、加工途中で鋼線の先端と後端とを入
れ替えて加工を行い、 この塑性加工後に230〜450℃の熱処理を施すこと
を特徴とする高耐熱鋼線の製造方法。 - 【請求項7】 冷間での塑性加工の際、その途中で鋼線
の捻じれを鋼線100mm当り15°以内とすることを特
徴とする請求項6記載の高耐熱鋼線の製造方法。
Priority Applications (1)
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|---|---|---|---|
| JP24141498A JP3539875B2 (ja) | 1997-11-13 | 1998-08-27 | 高耐熱鋼線およびその製造方法 |
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| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP9-331273 | 1997-11-13 | ||
| JP33127397 | 1997-11-13 | ||
| JP24141498A JP3539875B2 (ja) | 1997-11-13 | 1998-08-27 | 高耐熱鋼線およびその製造方法 |
Publications (2)
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Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP3539875B2 (ja) |
Cited By (5)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| WO2002050328A1 (fr) * | 2000-12-20 | 2002-06-27 | Kabushiki Kaisha Kobe Seiko Sho | Tige de fil d'acier pour ressort etire dur, tige de fil etire pour ressort etire dur, ressort etire dur et procede de production de ce ressort |
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| JP2011156586A (ja) * | 2010-02-03 | 2011-08-18 | Bridgestone Corp | 高炭素鋼線の製造方法およびこれにより得られる高炭素鋼線 |
| JP2016183357A (ja) * | 2015-03-25 | 2016-10-20 | 新日鐵住金株式会社 | 鋼線及び鋼線の製造方法 |
-
1998
- 1998-08-27 JP JP24141498A patent/JP3539875B2/ja not_active Expired - Lifetime
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Also Published As
| Publication number | Publication date |
|---|---|
| JP3539875B2 (ja) | 2004-07-07 |
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