JPH11201136A - 自動車内燃機関用部品 - Google Patents

自動車内燃機関用部品

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JPH11201136A
JPH11201136A JP210698A JP210698A JPH11201136A JP H11201136 A JPH11201136 A JP H11201136A JP 210698 A JP210698 A JP 210698A JP 210698 A JP210698 A JP 210698A JP H11201136 A JPH11201136 A JP H11201136A
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internal combustion
combustion engine
graphite
component
automobile
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JP210698A
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Yutaka Mabuchi
豊 馬渕
Yoshiteru Yasuda
芳輝 保田
Koji Itakura
浩二 板倉
Makoto Kano
眞 加納
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Nissan Motor Co Ltd
Original Assignee
Nissan Motor Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 焼き付き荷重の向上や摩擦損失の低減、摩耗
量を低下させる等の効果が得られる自動車内燃機関用部
品を提供する。 【解決手段】 エンジン部品において、摩擦状況の厳し
い部位で、かつ黒鉛を含む鋳鉄材が使用される環境にお
いて、黒鉛を含んだ鋳鉄材の表面を腐食し、または、表
面の腐食に加えて、この前後に研削加工やラップ加工を
組み合わせることとする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動車エンジン等
の内燃機関に用いられる、黒鉛を含む鋳鉄材である片状
黒鉛鋳鉄や球状黒鉛鋳鉄を素材とした部品に関わり、比
較的摩擦条件の厳しい環境で用いられる部品、例えばカ
ムシャフトやクランクシャフト、シリンダーライナー等
に関する技術である。
【0002】詳しくは、動弁系の形式がロッカーアーム
式であれば、カムシャフトのカムロブ面とロッカーアー
ムの接触面、直動式であれば、カムシャフトのカムロブ
面とリフターシム面、クランクシャフトのメインジャー
ナル部及びピンジャーナル部とベアリングの摺動面、シ
リンダーライナー面とピストンリング等、滑り接触にお
ける摩擦状態を良好にさせるために考案したエンジン部
品への表面処理技術に関するものである。
【0003】
【従来の技術】内燃機関の動弁機構は、例えば図1及び
図2に示すように構成される。図1は、ロッカーアーム
式動弁構造におけるカムシャフト11、バルブ12、ロ
ッカーアーム13、バルブスプリング14、シリンダヘ
ッド15、バルブシート16、バルブガイド17の位置
関係を示した図である。図2は、直動式動弁構造におけ
るカムシャフト21、バルブ22、バルブスプリング2
4、シリンダヘッド25、バルブシート26、バルブガ
イド27、シム28、リフター29の位置関係を示した
図である。
【0004】従来技術の構成を説明する。バルブ(12
または22)を開閉させ、燃焼室の吸気/排気を制御す
るため、カムシャフト(11または21)のカムによ
り、バルブ(12または22)を上下に駆動させる。カ
ムシャフト(11または21)のカムロブ面が、ロッカ
ーアーム(13)またはリフターシム(29)と滑りな
がら接触する。このときの接触点における面圧は、最大
で700MPaに達する。一方、内燃機関用のクランク
シャフトは、回転運動の他に燃焼爆発時に軸に垂直の負
荷が入るため、メインジャーナル部やピンジャーナル部
での接触面圧は、最大で70MPaに達する。また、シ
リンダーライナーとピストンリングの接触部での面圧
は、燃焼爆発時に最大10MPaに達する。
【0005】上記部品それぞれの共通点は、摩擦環境が
厳しく、エンジン高性能化に伴う接触部の面圧の増加に
よっては、焼き付き荷重や摩擦損失、摩耗量等の問題が
生じる可能性が高い点である。
【0006】特に、内燃機関の全機械的損失において比
較的大きな割合を占める動弁系においては、ここでの摩
擦による機械的損失の低減のために、これまでいくつか
の技術が考案されてきた。例えば、カムシャフトのカム
ロブ面を、ラップ加工により表面粗さを小さくして接触
部における固体接触割合を減らし、潤滑状態を良好にす
ることで、ここでの機械的損失を減らす方法(特開平3
−92326号公報参照)等がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述の
従来技術(特開平3−92326号)は、表面の研削加
工による凹凸を平滑化することを目指したものであり、
黒鉛を含む鋳鉄材料に対し、必ずしも表面性状の改善と
して最適の方法とは限らない。
【0008】厳しい摩擦環境に用いられる、黒鉛を含む
鋳鉄材部品における潜在的な問題点として、素材加工時
における表面の黒鉛部と生地である鉄部との界面におけ
る形態が挙げられる。すなわち、黒鉛を含む鋳鉄材にお
いて、研削加工後の状態を断面にして観察した結果、表
層における黒鉛との界面において、鉄の生地がダレとな
って黒鉛部側に張り出し、これが突起となってしまう点
が多数見られた。この突起は方向性があるため、滑り方
向により摩擦状況に影響が現れる点で問題となる。さら
に、このダレが完全に黒鉛を覆ってしまうケースも見ら
れた。また、黒鉛の部位が油だまりとなって潤滑効果を
示すことが知られているが、これを抑えてしまうことで
焼き付き荷重を低くしてしまうこともあり得る。一方、
ラップ等の仕上げ加工においても黒鉛との界面で生地の
鉄が鋭利な突起となり、焼き付き荷重や摩擦損失、さら
に相手材を含む摩耗量にも影響することが、これまでの
解析で確認されている。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、黒鉛を含んだ
鋳鉄部材の表面を腐食すること、または、表面の腐食に
加えて、この前後に研削加工やラップ加工を組み合わせ
ることによりなされるものである。すなわち、エンジン
部品において、摩擦状況の厳しい部位で、かつ黒鉛を含
む鋳鉄材が使用される環境において、この方法により表
面を腐食し、または、この前後に研削加工やラップ加工
を加えることで、上記の課題を解決する手段を得ること
が可能となる。
【0010】なぜならば、表面の腐食処理により、黒鉛
と生地となる鉄との界面で生じた突起となる部位が優先
的に腐食除去されるため、摩擦において問題となる黒鉛
との界面に生じた突起部が消失するからである。加え
て、加工によるダレにより被覆された黒鉛部の解放も促
進されることから、油だまりによる潤滑効果の向上も期
待できる。したがって、本発明によれば、加工により生
じた突起に影響されることなく摩擦状況は良好となり、
焼き付き荷重の向上や摩擦損失の低減、摩耗量を低下さ
せる等の効果が得られる。
【0011】以下、本発明の請求範囲の規定理由を説明
する。本発明は、黒鉛を含む鋳鉄部材の表面を腐食する
ことにより表面性状を改善し、摩擦状況を良好にする手
法である。
【0012】請求項1は、腐食方法の規定を行なってい
る。腐食の方法として、酸による化学的な腐食方法と、
電解を加え腐食する電解研磨方法を規定した。これらの
方法によれば、加工により生じた黒鉛との界面における
突起を効果的に除去でき、また、加工で発生したダレに
より被覆された黒鉛部の解放を促進することができるた
めである。
【0013】請求項2及び請求項3は、腐食前の加工方
法を規定している。これは、腐食前の作業として、黒鉛
の露出度を高めることにより腐食を促進し、より効果的
な表面性状が得られるためである。
【0014】請求項7及び請求項8は、部品としての適
用を規定している。これらの部品は、接触部における面
圧等の摩擦状況が他の部位に比べ厳しく、本発明による
効果が大きく得られるためである。
【0015】請求項4は、腐食後の後処理について規定
している。黒鉛を含む鋳鉄材の腐食方法や腐食条件によ
るが、黒鉛部以外の表面において、わずかに腐食による
凹凸が発生する場合があるため、腐食後にラップ加工す
ることで黒鉛部以外の表面の平滑度を向上させ、より摩
擦状況を良好にさせるための方法についての規定であ
る。
【0016】請求項5は、鋳鉄材料の表面硬さの規定を
行なっている。接触部の面圧が高くなる部位において、
材料表面を硬くし、変形量を抑え、接触面積を減らすこ
とで、耐摩耗性を向上する手法を用いることが多い。材
料自身が柔らかい場合では、表面の形状が接触時に発生
する応力に耐えきれず変形してしまうため、加工により
生じた黒鉛との界面における突起も同様に変形し、その
部位における摩擦損失や摩耗量の問題に与える影響は比
較的少ないが、材料が硬い場合では、この突起の変形量
は少なくなり、結果的に発生する面圧が大きくなること
から摩擦損失や摩耗等の問題に与える影響は大きくな
る。
【0017】本発明によれば、加工により生じた黒鉛と
の界面における突起が除去されることから、硬い材料を
対象とした場合、この突起の除去による効果が著しく現
れる。特に、表面硬さがHRC55以上では、本発明に
よる効果が顕著に現れる。この効果は、材料の表面硬さ
が硬ければ硬いほど有効と考えられるが、HRC65以
下としたのは、鋳鉄材の硬さとして、これ以上の硬さと
なる処理では材料の脆化が問題となり、実用に適さない
と考えられるからである。
【0018】請求項6は、鋳鉄材の腐食する部位におけ
る表面粗さについて規定を行なっている。腐食前の表面
加工として、研削加工やラップ加工がある。基本的に、
表面粗さが小さいほど、そこで発生する摩擦損失は低減
する。また、粗さを小さくすればするほど、黒鉛と生地
との界面における段差は、黒鉛部以外の平滑部の粗さに
対し相対的に大きくなり、摩擦損失や摩耗量等への影響
が大きくなる。つまり、表面粗さが小さい部位ほど、本
発明による加工により生じた黒鉛との界面における突起
の除去が、そこで発生する摩擦損失や摩耗量等の問題に
対して効果的に作用するからである。
【0019】腐食処理前の表面粗さをRaで0.20以
下としたのは、この値以下の表面粗さにおいて、顕著に
本発明による効果が認められたからである。また、腐食
処理前の表面粗さの下限をRaで0.01としたのは、
黒鉛を含む鋳鉄では、この値以下の表面加工は黒鉛部を
完全に被覆しないかぎり困難であり、黒鉛部が完全に被
覆されるような状況においては、本発明による腐食の効
果が十分に得られないためである。
【0020】腐食後の表面粗さをRaで0.20以下と
したのは、この値以下とした場合、より摩擦損失の低下
や摩耗量の低減に対して、腐食による効果が大きく得ら
れたためである。また、腐食後の表面粗さの下限をRa
で0.01としたのは、前述の腐食処理前の場合の理由
と同様に、黒鉛を含む鋳鉄では、この値以下の表面加工
は黒鉛部を完全に被覆しないかぎり困難であり、黒鉛部
が完全に被覆されるような状況においては、本発明によ
る効果が得られないためである。
【0021】
【発明の実施の形態】以下、本発明による自動車内燃機
関用部品の実施の形態を、実施例及び比較例を参照しな
がら具体的に説明する。本発明による効果を評価するに
あたり、以下に示す2通りの評価試験を行なった。 (1)内燃機関の動弁系を模擬したカム単体試験装置に
よる摩擦試験 (2)ピン/ディスクによる摩擦試験 評価は、(1)でカムでの摩擦トルクと摩耗量を、
(2)で焼き付き荷重について調べることを目的とし
た。
【0022】用いた試験片は、(1)のカムと(2)の
ディスクの素材の片状黒鉛鋳鉄及び球状黒鉛鋳鉄を、そ
れぞれ高周波焼入れしたものとした。試験片の表面硬さ
は、片状黒鉛鋳鉄材では、HRC60で有効硬化層深さ
が1.2mmの1仕様を、球状黒鉛鋳鉄では、表面硬さ
がHRC60で有効硬化層深さが1.2mmの仕様と、
表面硬さがHRC53で有効硬化層深さが0.7mmの
仕様の計2仕様を用いた。相手材は、(1)では市販の
内燃機関で使用しているシム(合金鋼浸炭材、表面に焼
き付きを防ぐためのリン酸マンガン塩被膜塗布)を用
い、(2)では合金鋼のピンを用いた。
【0023】試験片の腐食方法について、以下に条件を
示す。 《腐食方法》 化学研磨方法 ・リン酸過酸化水素水溶液による化学研磨法 ・溶液濃度 : H3 PO4 :H2 2 =1:1 ・浸漬時間 : 1分 ・溶液温度 : 20℃ 電解研磨方法−1 ・過塩素酸酢酸溶液による電解研磨法 ・溶液濃度 : HClO4 :CH3 COOH=1:9 ・電位差 : 20V ・浸漬時間 : 30秒 ・溶液温度 : 10℃ 電解研磨方法−2 ・硝酸エタノール溶液による電解研磨法 ・溶液濃度 : HNO3 :C2 5 OH=1:9 ・電位差 : 30V ・浸漬時間 : 3分 ・溶液温度 : −50℃
【0024】次に、(1)のカム単体試験装置での摩擦
試験について詳細に説明する。試験装置は、直動式の動
弁構造を模擬した仕様である。試験には、単体のカムと
シム1組を用いる。試験条件を以下に示す。試験は摩耗
を短時間で評価するため、セット荷重やバルブスプリン
グのバネ常数を高い値に設定して行なった。
【0025】(試験条件) セット荷重 :30kgf バネ常数 :11kgf/mm 試験最大面圧:1.6GPa 試験回転数 :300rpm(内燃機関軸回転数600
rpmに相当) 試験油温 :80℃ 試験油 :市販油、10W30SG規格 油供給方法 :滴下式、25cc/分 試験時間 :24時間 相手材シム :合金鋼浸炭焼入れ材、表面にリン酸マン
ガン塩被膜
【0026】表1に、試験結果を示す。腐食の前加工と
して、研削加工または研削加工後にさらにラップ加工
を、腐食後の後加工として、1部のものにつきラップ加
工を行なった。腐食前に加工をしないカムも、1点評価
した。項目にある“摩擦トルク(kgf・cm)”は、
カム軸1回転当たりの摩擦トルクを平均した値をさらに
全試験時間で平均した値であり、“摩耗量(mg)”
は、カムとシムの試験前後の重量変化を和にして示して
いる。
【0027】
【表1】
【0028】実施例1,2 実施例1及び実施例2は、リン酸過酸化水素水溶液によ
る化学研磨を行なったカムである。摩擦トルクと摩耗量
は、比較例1や比較例2に比べ低い値を示した。
【0029】実施例3 実施例3は、過塩素酸酢酸溶液による電解研磨−1を行
なったカムである。熱処理前に粗加工したのみで、腐食
前に特に前加工は行なっていない。結果は、腐食無しの
試験片である比較例1や比較例2に比べ良好な結果を示
しており、腐食による改善効果が現れている。
【0030】実施例4 実施例4は、実施例3と同じ電解研磨−1を行なったカ
ムであり、腐食後ラップ処理をすることで、平滑度をさ
らに上げたものである。今回評価した中で、もっとも低
い摩擦トルクと少ない摩耗量を示した。
【0031】実施例5 実施例5は、硝酸エタノール溶液による電解研磨−2を
行なったカムである。腐食速度が過塩素酸酢酸溶液より
も速いため、溶液温度を−50℃としている。リン酸過
酸化水素水溶液による化学研磨方法に比べて、黒鉛部以
外の平滑面の荒れが少ないため、該化学研磨方法を行な
った実施例1及び実施例2に比べ、摩擦トルクは低い値
となった。
【0032】実施例6〜8 実施例6、実施例7及び実施例8は、いずれも腐食前処
理として研削加工後ラップ加工を行なったカムである。
これら実施例6〜8の摩擦トルク及び摩耗量は、これに
対応する腐食なしのカムである比較例3及び比較例4と
比べ低い値を示し、腐食による効果が確認できた。
【0033】実施例9 実施例9は、鋳鉄材の表面硬さをHRC53、有効硬化
層深さを0.8mmとしたもので、これにリン酸過酸化
水素水溶液による化学研磨を行なったカムである。腐食
しない比較例3や比較例4に比べ摩擦トルクや摩耗量の
値が小さく、効果は得られている。しかしながら、同一
条件で鋳鉄材の表面硬さの高い実施例6〜8と比べた場
合、得られた効果はわずかに少なかった。このことか
ら、少なくとも硬さがHRC53より大きくした方が、
より大きな効果が得られると考えられる。
【0034】これら摩擦試験(1)の結果より、黒鉛を
含む鋳鉄材を素材としたカムを腐食し、表面性状を改善
することで、摩擦トルク及び摩耗量を低減できることが
確認できた。
【0035】次に、(2)のピン/ディスクによる摩擦
試験について詳細に説明する。試験は、ピン3点による
支持でディスクと接触し、固定されているピンに対しデ
ィスク側が回転し、滑り接触する仕様である。1回の試
験で、ピン3本とディスク1枚を用いる。ピンの先端曲
率は、3/8インチである。試験条件を以下に示す。
【0036】(試験条件) 試験回転数 :300rpm 試験油温 :80℃ 試験油 :市販油、10W30SG規格 油供給方式 :軸芯給油25cc/分 荷重上昇速度:50gf/秒
【0037】試験荷重は規定の速度で上げ、摩擦力が急
激に上昇する点を焼き付き点として、この荷重により評
価を行なった。ただし、負荷荷重が規定値以上となった
場合は、そこで中断とした。試験片について、表2に示
す。また、試験中の摩擦係数の変化を計測した結果を、
図3に示す。
【0038】
【表2】
【0039】実施例10〜12及び比較例5,6 実施例10、実施例11及び実施例12は、片状黒鉛鋳
鉄及び球状黒鉛鋳鉄を素材とし、硝酸エタノール溶液に
よる電解研磨−2を行なったものである。比較例5及び
比較例6は、それぞれ片状黒鉛鋳鉄及び球状黒鉛鋳鉄を
素材としたもので、研削加工のみを行なったものであ
る。
【0040】実施例10の摩擦係数は、負荷荷重と共に
徐々に上昇したが、規定荷重に達しても急激な摩擦係数
の増大は見られなかった。
【0041】実施例11は、実施例10に比べやや高い
摩擦係数を示したが、摩擦係数は急激に増大しないま
ま、負荷荷重は規定の荷重に達した。
【0042】実施例12は、鋳鉄材の表面硬さがHRC
53、有効硬化層深さ0.8mmである。焼き付き荷重
は、本発明によらない比較例5及び比較例6に比べ高い
値を示し、本発明による効果が認められた。しかしなが
ら、実施例10や実施例11が規定荷重に達する前に焼
き付かなかった点と比べると、実施例12の焼き付き荷
重は低いと考えられる。このことは、焼き付き荷重にお
いて、少なくとも表面硬さがHRC53よりも高い方
が、本発明による効果が大きく得られると考えられる。
【0043】比較例5及び比較例6は、初期から摩擦係
数が高く、規定荷重に達する前に摩擦係数は急激に増大
し、実施例10〜12に比べ、焼き付き荷重が低いこと
が明らかとなった。
【0044】これら摩擦試験(2)の結果より、本発明
を用いることで、摩擦部位の焼き付き荷重を高くするこ
とができることを確認できた。
【0045】以上、詳細に説明した試験結果から明らか
なように、黒鉛を含んだ鋳鉄材の表面を腐食すること、
または、表面の腐食に前後して研削加工やラップ加工を
組み合わせることにより、表面を腐食しないものに比べ
て摩擦損失を小さくし、摩耗量を少なくすることが可能
になり、また、焼き付き荷重についても高くすることが
可能となる。
【0046】このように摩擦損失を小さくし、摩耗量を
少なくし、焼き付き荷重を上げられるのは、以下の理由
によるものと考えられる。
【0047】(1)黒鉛を含む鋳鉄部材の表面を化学腐
食または電解腐食することにより、加工により黒鉛と生
地である鉄部との界面において発生する鋭利な突起部分
が、優先的に腐食、除去される点が確認されている。こ
れは、突起が鋭利であればあるほど表面エネルギーが高
く、腐食速度が他の部位に比べ加速されるためと考えら
れる。鋭利な突起部分がある場合、接触部位において接
点での面圧が高くなり、相手攻撃性が増し、摩耗が進行
する。これにより、面粗度が悪化すれば潤滑状態は悪化
し、摩擦損失が増大することが予想される。逆にこの突
起が除去されれば、潤滑状態は安定して維持され、摩擦
損失の増大や、摩耗の進行を遅らせることが可能と考え
られる。
【0048】(2)ほとんどが被覆された黒鉛部も、黒
鉛が露出した部分から腐食が進行し、黒鉛部が大きく露
出する。この露出した黒鉛部による油保持機能が働くこ
とにより、油膜切れが顕著となる厳しい摩擦環境におい
ても、潤滑機能を維持することができる。これにより、
結果的に焼き付き荷重を上げることが可能になると考え
られる。
【0049】(3)摩耗粉が摩擦面に引っ掛かり、固定
され、これが摩耗を加速する場合が考えられる。黒鉛と
生地の鉄部との界面における突起の存在が、この現象を
加速することが十分考えられる。この場合、黒鉛と生地
である鉄部との界面における突起が腐食により除去され
れば、このような摩耗加速要因を抑制することができる
と考えられる。
【0050】このようにして得られた効果は、部品の小
型化や、システム全体の簡素化にも応用できる。カムで
の摩擦試験結果を中心に説明してきたが、本発明によれ
ば、同様に摩擦環境の厳しいクランクシャフトやシリン
ダーライナーについても同じような効果が期待できる。
【0051】クランクシャフトでは、軸受け部での面圧
が最大70MPaに達し、滑り速度もかなり速いことか
ら、本発明により得られる効果は大きいと考えられる。
本発明による腐食を行なうことで、摩擦部位における黒
鉛と生地である鉄部との界面における突起部が除去さ
れ、負荷入力の増大を許容することが可能となる。この
ことにより、軸受け部の小型化や、軸受けブッシュまた
は軸受けメタルの簡素化が期待できる。一方で、クラン
クシャフトの相手攻撃性が抑制されることから、より安
価で焼き付き特性に優れたケルメット材等のメタル材料
への置換も可能となる。
【0052】シリンダーライナーでは、他の部位に比べ
接触面圧や滑り速度が大きいこともさることながら、燃
焼室と隣接するため、部品の温度が非常に高くなる。ま
た、供給油も、クランクシャフトからの吹き掛けとオイ
ルパンからの掻き揚げに限られるため、摩擦部位におけ
る潤滑状態は、エンジン部品のなかで最も厳しく、焼き
付きが発生しやすい部位である。
【0053】本発明を用いれば、特に接触部における焼
き付き荷重が増大することにより、内燃機関の回転数の
高回転化や、ピストンリングの材質または表面処理をよ
り安価なものに代替することが可能となる。一方で、こ
の部位で発生する摩擦損失は、内燃機関全体において大
きな割合を示すことから、燃費の大幅な向上にもつなげ
ることが可能と考えられる。
【0054】また、例示はしないが、本発明は当業者の
知識に基づき、種々の変更、改良を加えた様態で実施す
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ロッカーアーム構造の動弁機構模式図である。
【図2】直動構造の動弁機構模式図である。
【図3】ピン/ディスクによる摩擦試験での摩擦係数の
変化を計測した結果を示す図である。
【符号の説明】
11,21 カムシャフト 12,22 バルブ 13 ロッカーアーム 14,24 バルブスプリング 15,25 シリンダヘッド 16,26 バルブシート 17,27 バルブガイド 28 シム 29 リフター
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI F02F 1/00 F02F 1/00 F F16H 53/02 F16H 53/02 B (72)発明者 加納 眞 神奈川県横浜市神奈川区宝町2番地 日産 自動車株式会社内

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 黒鉛を含有する鋳鉄摺動部材の表面を化
    学研磨または電解研磨を行なって腐食させることによ
    り、改善された表面性状を得ることを特徴とする自動車
    内燃機関用部品。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の自動車内燃機関用部品
    において、 前処理として研削加工またはラップ加工を施した後に、
    化学研磨または電解研磨を行なって前記鋳鉄摺動部材の
    表面を腐食させることにより、改善された表面性状を得
    ることを特徴とする自動車内燃機関用部品。
  3. 【請求項3】 請求項1に記載の自動車内燃機関用部品
    において、 研削加工またはラップ加工を施した後に、化学研磨また
    は電解研磨を行なって自動車用カムシャフトのカムロブ
    面を腐食させることにより、改善された表面性状を得る
    ことを特徴とする自動車内燃機関用部品。
  4. 【請求項4】 請求項3に記載の自動車内燃機関用部品
    において、 自動車用カムシャフトのカムロブ面を腐食した後にラッ
    プ加工を施すことにより、改善された表面性状を得るこ
    とを特徴とする自動車内燃機関用部品。
  5. 【請求項5】 請求項3に記載の自動車内燃機関用部品
    において、 自動車用カムシャフトのカムロブ面の表面硬さがHRC
    55〜HRC65であり、少なくとも有効硬化層深さが
    1mm以上の摺動部材からなることを特徴とする自動車
    内燃機関用部品。
  6. 【請求項6】 請求項5に記載の自動車内燃機関用部品
    において、 腐食処理前の自動車用カムシャフトのカムロブ面の粗さ
    がRaで0.01〜0.20であり、腐食後の表面粗さ
    がRaで0.01〜0.20であることを特徴とする自
    動車内燃機関用部品。
  7. 【請求項7】 請求項2に記載の自動車内燃機関用部品
    において、 黒鉛を含有する鋳鉄摺動部材が自動車用クランクシャフ
    トであることを特徴とする自動車内燃機関用部品。
  8. 【請求項8】 請求項2に記載の自動車内燃機関用部品
    において、 黒鉛を含有する鋳鉄摺動部材が自動車用シリンダーライ
    ナーであることを特徴とする自動車内燃機関用部品。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004183682A (ja) * 2002-11-29 2004-07-02 Koyo Seiko Co Ltd 転がり摺動部品およびそれを用いたローラカムフォロア
JP2006250011A (ja) * 2005-03-10 2006-09-21 Hitachi Ltd 内燃機関のカム
CN115637404A (zh) * 2022-11-16 2023-01-24 杭州东华链条集团有限公司 一种销轴加工工艺及链条

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