JPH1120771A - 自転車用回転部品 - Google Patents

自転車用回転部品

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JPH1120771A
JPH1120771A JP17178697A JP17178697A JPH1120771A JP H1120771 A JPH1120771 A JP H1120771A JP 17178697 A JP17178697 A JP 17178697A JP 17178697 A JP17178697 A JP 17178697A JP H1120771 A JPH1120771 A JP H1120771A
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bicycle
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 強度が低下しにくくかつ供給される潤滑剤が
抜けにくいとともに内部への潤滑剤の供給が容易な自転
車用回転部品を提供する。 【解決手段】 自転車用内装変速ハブは、ハブ軸21
と、ハブシェル23と、軸受部34と、コースタブレー
キ27とを備えている。ハブシェル23は、ハブ軸21
の外周側に配置されハブ軸21回りに回転可能な筒状の
部材である。軸受部34は、ハブ軸21外面に設けられ
た玉押し34aと、ハブシェル23の左端内周部に形成
されたハブわん34bと、玉押し34aとハブわん34
bとの間に両者に接触可能に配置された複数の鋼球34
cと、複数の鋼球34cを環状に保持し、かつ鋼球保持
部分の間に配置された鋼球保持片38cに内部に潤滑剤
を供給するための給油孔39bが形成されたリング状の
リテーナ34dとを有している。コースタブレーキ27
は、収納空間24に軸受部34に近接して設けられてい
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は、回転部品、特に、
自転車の回転部に装着される、たとえば自転車用内装変
速ハブのような自転車用回転部品に関する。
【0002】
【従来の技術】自転車にはコースタハブや内装変速ハブ
等の各種のハブやボトムブラケットやペダル等の各種の
回転部品が多く用いられている。自転車用回転部品は、
一般に、軸状部材と、軸状部材の外周側に配置され軸状
部材と相対回転自在な筒状部材と、軸状部材と筒状部材
との間に介装された複数の軸受部とを有している。軸受
部は、通常、筒状部材の両端部に配置されている。
【0003】この種の軸受部には、転がり軸受を構成す
る複数の鋼球(転動体の一例)が用いられている。内装
変速ハブの場合、鋼球は、たとえばハブ軸(軸状部材の
一例)に設けられた玉押し(内側部材の一例)とハブシ
ェル(筒状部材の一例)に設けられたハブわん(外側部
材の一例)との間に両者に接触可能に配置されている。
また鋼球は、リテーナ(保持体の一例)により周方向に
等間隔に保持されている。リテーナは、リング状の部材
であり、鋼球を保持するために鋼球間に鋼球保持片が径
方向内方に湾曲して延びている。
【0004】この種の回転部品では、回転や内部の動作
を円滑にするためにグリースや潤滑油等の潤滑剤を内部
部材に供給する必要がある。たとえば、コースタブレー
キ付の内装変速ハブの場合、ハブ軸に回転自在に支持さ
れた金属製のハブシェルに接触する金属製のブレーキシ
ューにグリースを定期的に補給する必要がある。これ
は、ブレーキシューとバブシェルとがともに金属製の部
材であるため、両者の間でグリースがなくなると両者が
磨耗し所望の制動性能が得られなくなるからである。
【0005】内装変速ハブの内部のブレーキシューにグ
リースを供給する場合、軸受部からグリースを入れよう
とするとリテーナの鋼球保持片が邪魔してグリースを内
部に供給できない。このため、従来、後輪を自転車から
外し内装変速ハブをハブ軸端から分解してブレーキシュ
ーにグリースを直接供給している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】前記従来の構成では、
内装変速ハブの内部に潤滑剤を供給する場合、その都度
回転部品を分解して潤滑剤を供給しなければならないの
で、潤滑剤を供給するのに手間がかかり面倒である。そ
こで、ハブシェルの外周面から内周面にブレーキシュー
に向けて給油孔を形成し、そこから潤滑剤を供給するこ
とが考えられる。しかし、強度が必要なハブシェルに孔
をあけるとハブシェルの強度が低下するという問題があ
る。しかもハブシェル側から潤滑剤を供給すると、径方
向に沿って潤滑剤を供給することになるので、せっかく
潤滑剤を供給してもハブシェルが回転すると遠心力によ
り供給した潤滑剤が抜けやすい。
【0007】本発明の課題は、強度が低下しにくくかつ
供給される潤滑剤が抜けにくいとともに内部への潤滑剤
の供給が容易な自転車用回転部品を提供することにあ
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】発明1に係る自転車用回
転部品は、自転車の回転部に装着される部品であって、
軸状部材と、筒状部材と、第1軸受部とを備えている。
筒状部材は、軸状部材の外周側に配置され軸状部材と相
対回転自在な部材である。第1軸受部は、軸状部材の外
面に設けられた内側部材と、筒状部材の内周面に設けら
れた外側部材と、外側部材と内側部材との間に両部材に
接触可能に配置された複数の転動体と、複数の転動体を
環状に保持し、かつ転動体保持部分の間に内部に潤滑剤
を供給可能な潤滑剤通過部が形成されたリング状の保持
体とを有し、軸状部材と筒状部材とを相対回転自在に支
持するためのものである。
【0009】この回転部品では、軸状部材又は筒状部材
を固定すると一方の部材が他方の部材に第1軸受部によ
り相対回転自在に支持される。この筒状部材の内部に潤
滑剤を供給する場合には、第1軸受部に潤滑剤を供給す
る。すると、第1軸受部に供給された潤滑剤が潤滑剤通
過部を介して内部に供給される。ここでは、保持体に潤
滑剤通過部を設けたので、潤滑剤が第1軸受部を介して
内部に供給される。このため、回転部品を自転車から外
して分解することなく内部に潤滑剤を容易に供給でき
る。しかも、潤滑剤は第1軸受部の保持体を介して回転
軸方向に沿って供給されるので遠心力が作用しても抜け
にくい。また、強度が必要な筒状部材に孔をあける必要
がないので、強度も低下しない。
【0010】発明2に係る自転車用回転部品は、発明1
に記載の部品において、第1軸受部と回転軸方向に間隔
を隔てて配置され、軸状部材の外面に設けられた内側部
材と、筒状部材の内周面に設けられた外側部材と、外側
部材と内側部材との間に両部材に接触可能に配置された
複数の転動体と、複数の転動体を環状に保持するリング
状の保持体とを有し、軸状部材と筒状部材とを相対回転
自在に支持するための第2軸受部をさらに備える。この
場合には複数の軸受部により軸状部材と筒状部材とが相
対回転自在に支持されるので、回転が滑らかになる。
【0011】発明3に係る自転車用回転部品は、発明1
又は2に記載の部品において、第1軸受部は筒状部材の
端面に面して配置され、筒状部材の端面を覆ってその間
の隙間をカバーするように2つの部材のいずれかに固定
され、かつ第1軸受部に対して給油可能に透孔が形成さ
れたカバー部材をさらに備えている。この場合には、第
1軸受部がカバー部材によりカバーされるので泥水や埃
等の異物が第1軸受部に侵入しにくく、しかもカバー部
材を介して第1軸受部に潤滑剤を供給できる。
【0012】発明4に係る自転車用回転部品は、発明3
に記載の部品において、透孔に着脱自在に装着される蓋
部材をさらに備えている。この場合には、透孔を形成し
てもその透孔に蓋部材が着脱自在に装着されるので透孔
から異物が侵入しにくくなるとともに、透孔から供給し
た潤滑剤が透孔から抜けにくくなる。発明5に係る自転
車用回転部品は、発明1から4のいずれかに記載の部品
において、自転車用回転部品は、自転車のフレームに装
着可能であり、入力体からの動力を選択された所定の変
速比で出力体に伝達する自転車用内装変速ハブである。
この場合には、内装変速ハブの内部に潤滑剤を供給しや
すくなる。
【0013】発明6に係る自転車用回転部品は、発明5
に記載の部品において、自転車用内装変速ハブは、フレ
ームに固定可能な軸状部材としてのハブ軸と、ハブ軸回
りに回転可能であり入力体に連結可能な駆動体と、内部
に収納空間を有するとともにハブ軸回りに回転可能であ
り、出力体に連結可能な筒状部材としての筒状の従動体
と、ハブ軸と従動体の一端との間に配置され従動体を前
記ハブ軸に回転自在に支持するための第1軸受部と、駆
動体と従動体の他端との間と、ハブ軸と駆動体との間に
それぞれ配置され、従動体及び駆動体をそれぞれハブ軸
に回転自在に支持するための2つの第2軸受部と、従動
体の収納空間内に配置され、駆動体からの動力の複数の
動力伝達経路のいずれかを介して従動体に伝達する動力
伝達機構と、動力伝達機構の複数の動力伝達経路のいず
れか一つを選択するための選択機構と、従動体の内部に
第1軸受部に近接して配置され、駆動体の進行方向と逆
方向の回転に連動して従動体を制動するコースタブレー
キ機構とを備える。この場合には、ハブシェルの内部に
設けられたコースターブレーキ機構に第1軸受部を介し
て潤滑剤を容易に供給できる。
【0014】
【発明の実施の形態】実施形態1 〔全体構成〕図1において、本発明の一実施形態を採用
した自転車は軽快車であり、ダブルループ形のフレーム
体2とフロントフォーク3とを有するフレーム1と、ハ
ンドル部4と、駆動部5と、前輪6と、3段変速の内装
変速ハブ10が装着された後輪7と、前ブレーキ装置8
と、内装変速ハブ10を手元で操作するための変速操作
部9とを備えている。
【0015】フレーム1には、サドル11、ハンドル部
4、前輪6及び後輪7を含む各部が取り付けられてい
る。ハンドル部4は、フロントフォーク3の上部に固定
されたハンドルステム14とハンドルステム14に固定
されたハンドルバー15とを有している。ハンドルバー
15の右端には前ブレーキ装置8を構成するブレーキレ
バー16とグリップ17と変速操作部9とが装着されて
いる。変速操作部9は、ブレーキレバー16の内側でハ
ンドルバー15に装着されており、インナーケーブルと
アンターケーシングとからなる変速操作ケーブル73に
より内装変速ハブ10と連結されている。変速操作部9
は、インナーケーブルを巻取操作するための巻取レバー
と巻取レバーによる巻取操作を解除してインナーケーブ
ルを繰り出す解除レバーとを有する一般的な構成であり
詳細な説明を省略する。
【0016】駆動部5は、フレーム体2の下部(ハンガ
ー部)に設けられたギアクランク18と、ギアクランク
18に掛け渡されたチェーン19と、内装変速ハブ10
とを有している。 〔内装変速ハブの構成〕内装変速ハブ10は、減速、直
結及び増速の動力伝達経路を含む計3段構成のコースタ
ーブレーキ付きのハブである。この内装変速ハブ10
は、図2に示すように、自転車のフレーム体2の後爪2
aに固定されるハブ軸21と、ハブ軸21の一端側外周
に配置された駆動体22と、ハブ軸21及び駆動体22
のさらに外周に配置されたハブシェル23と、遊星歯車
機構24と、動力伝達経路を選択するための操作機構2
5と、操作機構25を動作させるためのベルクランク2
6と、コースターブレーキ27とを有している。
【0017】ハブ軸21は、図2及び図3に示すよう
に、中央部が大径で両端部が小径で両端にネジが形成さ
れた棒状の部材である。ハブ軸21の軸芯部には、図2
右端から中央部に向かって操作穴21aが形成されてい
る。操作穴21aの底部近傍には、軸芯を貫通する貫通
溝21bが形成されている。貫通溝21bは、ハブ軸2
1の軸芯を貫通しかつ軸芯に対して所定の溝傾斜角度β
(図8参照)分傾斜し、図8右から左に向かうにしたが
い進行方向と逆側に捩じれて形成されている。このよう
な貫通溝21bは、所定径のエンドミルを使用して軸芯
を貫通する孔を形成したのち、ハブ軸21を進行方向に
緩やかに回転させながら軸方向中央側に送ることで形成
される。したがって、このような貫通溝21bは、両端
で交差した貫通孔が軸方向の移動に応じて徐々に回転し
て螺旋状に連続した形状である。この溝傾斜角度βは、
10度から50度の範囲が好ましい。
【0018】駆動体22は、一端内周が軸受部30を介
してハブ軸21に回転自在に支持されており、一端部外
周には小ギア32が固定されている。さらに駆動体22
の他端側内周部には、複数のセレーション内歯22aが
軸方向に沿って形成されている。軸受部30は、図3に
示すように、ハブ軸21にネジ込まれた玉押し30a
と、駆動体22の内周面に形成されたハブわん30b
と、玉押し30aとハブわん30bとの間に両者に接触
可能に配置された複数の鋼球30cと、鋼球30cを等
間隔に環状に保持するリング状のリテーナ30dとを有
している。駆動体21の外周部には軸受部33が配置さ
れており、ハブシェル23を回転自在に支持している。
【0019】ハブシェル23は筒状部材であり、その内
周部の収容空間23aに駆動体22及び遊星歯車機構2
4を収容している。ハブシェル23は、両端に配置され
た軸受部33,34を介してハブ軸21回りに回転可能
である。軸受部33は、軸受部30と同様に、駆動体2
2の外周面に形成された玉押し33aと、ハブシェル2
3の右端内周面に形成されたハブわん33bと、鋼球3
3cと、リテーナ33dとを有している。軸受部30,
33は、玉押し30a及び駆動体22にそれぞれ固定さ
れた防水キャップ31a,31bによりカバーされてい
る。
【0020】軸受部34は、図4に示すように、ハブ軸
21の左端部にネジ込まれた玉押し34aと、ハブシェ
ル23の左端内周面に形成されたハブわん34bと、鋼
球34cと、リテーナ34dとを有している。軸受部3
4は、玉押し34aに固定された防水キャップ35によ
りカバーされている。防水キャップ35は、金属製の有
底筒状部材であり、底部に星形の孔が形成されており星
形の孔部分で玉押し34aに回転不能に装着されてい
る。また玉押し34aには、フレーム体2の後部に先端
が固定されるブレーキアーム37が回転不能に装着され
ている。これにより玉押し34aは、フレーム体2に対
して回転不能になっている。
【0021】リテーナ34dは、図5及び図6に示すよ
うに、リング状の内フランジ部38aと、内フランジ部
38aの外周部から90度折れ曲がって延びるパイプ状
の周壁部38bと、周壁部38bから内方に半円状に湾
曲した鋼球保持片38cとを有している。鋼球保持片3
8cは周方向に間隔を隔てて複数形成されており、その
間と内フランジ部38aとの間で鋼球34cを脱落しな
い程度に緩やかに保持している。内フランジ部38aの
鋼球34cを保持している部分の間には、軸受部34よ
り内側への給油を円滑に行うための潤滑剤通過部として
の半円弧状の切欠き部39aが形成されている。また、
鋼球保持片38cには、同じ目的のために潤滑剤通過部
としての給油孔39bが形成されている。なお、この切
欠き部39a及び給油孔39bは、必ずしも鋼球34c
保持部分の間の全てに形成する必要はない。しかし、鋼
球34c保持部分の間の全てにこれらを形成すると給油
をより円滑に行える。
【0022】図4に示すように、防水キャップ35の軸
受部34cに対向した斜め下後方位置(図4では上位
置)には、グリース孔35aが1か所形成されている。
グリース孔35aには合成樹脂製のキャップ35bが着
脱可能に装着されており、グリース孔35aは、通常は
キャップ35bにより塞がれている。防水キャップ35
のグリース孔35a形成部分はリテーナ34dとキャッ
プ35bとの干渉を避けるためにわずかに外方に突出し
ている。なお、グリース孔35aを斜め下後方位置にし
たのは、この部分にはフレーム体2の後爪2aやスタン
ド等の邪魔な部材が少ないので、グリースガン等の適宜
の給油器具を使用してグリースを充填する場合、充填作
業を行いやすいからである。
【0023】また、ハブシェル23の外周部両端には、
スポーク7a(図1参照)を支持するためのハブ36
a,36bが固定されている。 〔遊星歯車機構の構成〕遊星歯車機構24は、図3に示
すように、ハブ軸21と同芯でかつ一体に形成された太
陽ギア40と、ハブ軸21の外周に配置されたギア枠4
1と、太陽ギア40に噛み合う3つの遊星ギア42(図
では1つの遊星ギアのみを示している)と、リングギア
43とを有している。
【0024】ギア枠41は筒状の部材であり、ハブ軸2
1に回転自在に支持されている。ギア枠41には円周方
向に3つの切欠き41aが形成されており、この各切欠
き41aに遊星ギア42がピン44により回転自在に支
持されている。またギア枠41の一端内周部にはセレー
ション内歯41bが、他端外周部にはセレーション外歯
41c(図1)がそれぞれ形成されている。
【0025】リングギア43は、ほぼ円筒状に形成され
ており、遊星ギア42から駆動体22の外周側まで延び
ている。リングギア43の他端内周部には内歯43bが
形成されている。遊星ギア42は、前述のように太陽ギ
ア40に噛み合うと同時に、リングギア43の内歯43
bにも噛み合っている。また、リングギア43の一端側
には切欠き43aが形成されており、この切欠き43a
に、図7に示すように第1ワンウェイクラッチ50を構
成するクラッチ爪53がピン54により揺動自在に支持
されている。このクラッチ爪53は、捩じりコイルバネ
55により起立方向に付勢されている。第1ワンウェイ
クラッチ50は、リングギア43からハブシェル23に
進行方向の回転駆動力のみ伝達する。クラッチ爪53
は、ハブシェル23の内周面に形成されたラチェット歯
23bにリングギア43が進行方向に回転したときのみ
噛み合う。この第1ワンウェイクラッチ50は、リング
ギア43が進行方向に回転する伝達可能状態であっても
後述するクラッチ部材の移動によりクラッチ爪53がラ
チェット歯23bに噛み合う動力伝達状態と、ラチェッ
ト歯23bから退避する動力遮断状態とに切り換え可能
である。
【0026】駆動体22とリングギア43との間には、
駆動体22からリングギア43に進行方向の回転駆動力
のみを伝達する第2ワンウェイクラッチ51が配置され
ている。また、ギア枠41とハブシェル23との間に
は、ギア枠41からハブシェル23に進行方向の回転駆
動力のみを伝達する第3ワンウェイクラッチ52が配置
されている。第3ワンウェイクラッチ52は、一端内周
部にセレーション内歯56aが形成された筒状のクラッ
チケース56を有している。このセレーション内歯56
aがギア枠41のセレーション外歯41cに係合し、ク
ラッチケース56とギア枠41とは一体で回転する。こ
れらの2つのワンウェイクラッチ51,52は、第1ワ
ンウェイクラッチ50と異なり伝達可能状態での切り換
えは行えない。なお、第2ワンウェイクラッチ51に
は、第1ワンウェイクラッチ50と同様な構造のピンタ
イプのブレーキクラッチ(図示せず)が装着されてお
り、駆動体22が逆転したときに駆動体22の回転をリ
ングギア43に伝達する。
【0027】〔操作機構の構成〕操作機構25は動力伝
達経路を選択するものであり、クラッチ部材45と、ク
ラッチ操作部46とを有している。クラッチ部材45
は、駆動体22とギア枠41とを連結状態と離脱状態と
に切り換えるとともに、第1ワンウェイクラッチ50を
動力伝達状態と動力遮断状態とに切り換えるものであ
る。クラッチ部材45は、ハブ軸21の外周に軸方向に
移動自在かつ回転自在に配置されている。
【0028】クラッチ部材45は、図7に示すように筒
状の部材であり、その一端側の外周部にはセレーション
外歯45aが形成されており、セレーション外歯45a
はセレーション内歯22aにスライド自在に係合してい
る。また、クラッチ部材45の他端側には大径部45b
が形成されておりその外周部にはセレーション外歯45
cが形成されている。セレーション外歯45cは、ギア
枠41に形成されたセレーション内歯41bに係合可能
である。大径部45bと一端側との間にはテーパ面45
dが形成されている。このテーパ面45dは、第1ワン
ウェイクラッチ50のクラッチ爪53を実線で示す起立
位置(動力伝達位置)から2点鎖線で示す退避位置(動
力遮断位置)に倒すために設けられている。クラッチ部
材45が左側から右端の減速位置に移動すると、クラッ
チ爪53がテーパ面45dに沿って大径部45bに乗り
上げ退避姿勢に倒れる。
【0029】クラッチ部材45の内周面には、図3に示
すように2つの段差部45e,45fが軸方向に間隔を
隔てて形成されている。左側の段差部45fには、図7
に示すように複数のカム面47が周方向に間隔を隔てて
形成されている。カム面47は、図8に示すように、一
端側に凹んだ平坦面47aと、平坦面47aの進行方向
Aの下流側に連なるアール面47bと、上流側に連なる
傾斜面47cとを有している。この傾斜面47cの軸芯
に対する傾斜角度αは、貫通溝21bの溝傾斜角度βよ
り大きくかつ20度から70度の範囲が好ましい。
【0030】クラッチ操作部46は、クラッチ部材45
をハブ軸21の軸方向に移動させるとともに、クラッチ
部材45と係合してクラッチ部材45の回転駆動力を軸
方向への変位に変換するものである。クラッチ操作部4
6は、図3に示すように、操作穴21a内を軸方向に移
動するプッシュロッド48と、プッシュロッド48によ
りギア枠41側に押圧される変速キー49とを有してい
る。
【0031】プッシュロッド48は、図9に示すよう
に、所定長さを有する操作体65と、操作体65の先端
に軸方向に移動可能に装着された作動体66と、操作体
65と作動体66との間に配置された第1コイルバネ6
0とを有している。操作体65は、ロッド部68とロッ
ド部68にねじ込まれた当接部69とを有している。ロ
ッド部68の基端にはネジ部68aが形成され、先端に
は大径部68bが形成されている。このネジ部68aが
当接部69にねじ込まれている。また、大径部68bが
作動体66の内部に形成されたガイド孔66aにスライ
ド自在に装着されている。なお、ガイド孔66aは操作
体65側が小径になっており、操作体65が抜けないよ
うになっている。第1コイルバネ60は、作動体66の
端面と当接部69の端部との間に圧縮状態で介装され、
作動体66と操作体65とを離反する方向に付勢し、作
動体66が変速キー49を押圧すると、クラッチ部材4
5をギア枠41側に付勢する。
【0032】変速キー49は、図7に示すように、断面
が三角形状の棒状部材であり、押圧されると貫通溝21
b内を進行方向と逆方向に旋回しながら、すなわち捩じ
れながら軸方向に移動する。変速キー49の貫通溝21
bへの接触面49bは貫通溝21bに沿うような角度に
形成されている。たとえば、貫通溝21bの溝傾斜角度
βが30度の場合、接触面49bのハブ軸芯に対する角
度も略30度である。また、変速キー49は、クラッチ
部材45の他端内周部に装着された止め輪63により、
クラッチ部材45の内部でそれより外方への移動を規制
されている。したがって、実際には図7に示すようにク
ラッチ部材45の外方に飛び出すことはない。これによ
り変速キー49は、プッシュロッド48に押圧されてク
ラッチ部材45を図3左方に移動させる。
【0033】また、変速キー49は、クラッチ部材45
の内部でカム面47に当接可能である。変速キー49が
カム面47の平坦部47aに当接した状態でクラッチ部
材45が進行方向に回転すると、変速キー49はカム面
47の傾斜面47cにより貫通溝21bの案内面21c
側に押圧され軸方向左方への移動が規制され、クラッチ
部材45が軸方向右方に移動する。すなわち、クラッチ
部材45の回転駆動力を軸方向への変位に変換して変速
操作をアシストする。
【0034】変速キー49の両端には切欠き部49aが
形成されており、そこには、一端がハブ軸21に係止さ
れた第2コイルバネ61が係止されている。この第2コ
イルバネ61により変速キー49は常にクラッチ部材4
5側に付勢されている。また、変速キー49とクラッチ
部材45との間には第3コイルバネ62が介装されてい
る。第3コイルバネ62は、図示しない規制部材により
所定長さに全長が規制されており、圧縮されると変速キ
ー49がクラッチ部材45に当接する前に両者を離反す
る方向に付勢する。これにより、移動中においてクラッ
チ部材45は変速キー49からの距離が一定になり正確
に位置決めされる。
【0035】ここで、第1〜第3コイルバネ60,6
1,62の付勢力は、この順に小さくなっている。すな
わち、バネ力がこの順に小さくなっている。ここで、第
1コイルバネ60のバネ力が第2コイルバネ61より小
さいと、プッシュロッド48で変速キー49を押圧して
も第1コイルバネ60が撓んで変速キー49が移動しな
い。また、第2コイルバネ61のバネ力が第3コイルバ
ネ62より小さいと、第2コイルバネ61で変速キー4
9を押圧しても変速キー49がカム面47に入らず、変
速操作をアシストできない。
【0036】なお、第1コイルバネ60は、操作穴21
a内で操作体65と作動体66との間の比較的大きな空
間に配置されているので、巻数を増やしてバネ定数とバ
ネ力とを低くすることが可能である。このため、第2及
び第3コイルバネ61,62のバネ定数とバネ力とをさ
らに低くすることができ、増速側への変速時にプッシュ
ロッド48を押圧する力、すなわち変速操作部9におけ
る巻取レバーの操作力を軽減することができる。この結
果、インナーケーブルの張力も小さくなり、インナーケ
ーブルが破断しにくくなる。
【0037】〔ベルクランクの構成〕ベルクランク26
は、ハブ軸21の軸端に装着されている。ベルクランク
26は、軸端に装着された支持ブラケット70と、支持
ブラケット70に揺動自在に支持されたリンク部材71
とを備えている。この支持ブラケット70に変速操作ケ
ーブル73のアウターケーシング73aが係止され、リ
ンク部材71にインナーケーブル73bが係止されてい
る。リンク部材71の先端はプッシュロッド48の基端
に当接している。ここでは、変速操作部9によりインナ
ーケーブル73bを引くことでリンク部材71が揺動し
プッシュロッド48が押圧されて増速側への変速操作が
行われる。また、インナーケーブルを緩ませることで第
2コイルバネ61により変速キー49を介してクラッチ
部材45が押圧されて減速側への変速操作が行われる。
【0038】〔コースターブレーキの構成〕コースター
ブレーキ27は、図4に示すように、軸受部34に近接
して配置されており、ブレーキケース56に装着されて
いる。ブレーキケース56は、ギア枠41と進行方向に
連動して回転し、逆方向には回転しないようになってい
る。コースターブレーキ27は、ブレーキケース56に
支持されたブレーキローラ57と、ギア枠41の他端外
周に形成されたカム面41dと、ハブシェル23の他端
側内面に制動作用するブレーキシュー58とを備えてい
る。ブレーキローラ57は、駆動体22が進行方向と逆
方向に回転した際にギア枠41のカム面41dにより径
方向外方に押されるようになっている。ブレーキシュー
58は、外径がハブシェル23の内径より僅かに小さい
金属製の半割りパイプ状の部材である。ブレーキシュー
58は、ブレーキケース56の外周部に径方向移動自在
に装着されかつ玉押し34aに回動不能に連結されてい
る。また、ブレーキシュー58は、図示しない付勢部材
によりハブシェル23と逆側に付勢されている。この結
果、駆動体22が逆方向に回転した際に、リングギア4
3を介してギア枠41が逆転し、カム面41dによりブ
レーキローラ57が径方向外方に押され、ブレーキシュ
ー58が付勢部材の付勢力に抗してハブシェル23の内
面に接触して制動する。
【0039】このブレーキシュー58の制動作用を円滑
にするためにブレーキシュー58にはグリースが塗布さ
れている。このグリースが切れると、ハブシェル23と
ブレーキシュー58との摩擦力が大きくなりすぎ両者が
磨耗して所望の制動力が得られない。このために、軸受
部34のリテーナ34dに切欠き部39aと給油孔39
bとを設けるとともに防水キャップ35にグリース孔3
5aを設け、内装変速ハブ10を分解することなく内装
変速ハブ10の他端部からブレーキシュー58にグリー
スを容易に供給できるようになっている。
【0040】また、コースターブレーキ27を装着する
とブレーキロック現象が生じやすい。ブレーキロック現
象は、逆転制動時に第1ワンウェイクラッチ50が動力
伝達状態であると、ブレーキがかかった状態で駆動力が
伝達され、ブレーキを解除できなくなる現象である。こ
の現象を防止するために、この実施形態では、爪ケージ
59が第1ワンウェイクラッチ50に装着されている。
【0041】爪ケージ59は、ハブシェル23のラチェ
ット歯23bと第1ワンウェイクラッチ50のクラッチ
爪53との間に一定角度の遊びを設け、その遊び分リン
グギア43が回転する間にブレーキを解除できるように
するものである。すなわち、爪ケージ59は、クラッチ
爪53を一定角度起立できないようにするか、又は起立
していても一定角度ラチェット歯23bに係止できない
位置で起立させ、駆動開始時のクラッチ爪53がラチェ
ット歯23bに係止される時間を遅らせるものである。
【0042】〔変速動作〕このような遊星歯車機構24
及びワンウェイクラッチ50〜52により、この内装変
速ハブ10は、駆動体22−リングギア43−遊星歯車
機構24−ギア枠41−ハブシェル23で構成される減
速動力伝達経路と、駆動体22−リングギア43−ハブ
シェル23で構成される直結動力伝達経路と、駆動体2
2−クラッチ部材45−ギア枠41−遊星歯車機構24
−リングギア43−ハブシェル23で構成される増速動
力伝達経路とを有している。
【0043】変速は、プッシュロッド48を変速操作ケ
ーブル73を介してベルクランク26で操作することに
より行う。 〔減速−増速側での動作〕プッシュロッド48が押し込
まれていない図3に示す状態では、クラッチ部材45は
右端の減速位置に配置され、駆動体22からの回転は減
速動力伝達経路を介して減速され、ハブシェル23に伝
達される。すなわち、駆動体22に入力された回転は、
第2ワンウェイクラッチ51を介してリングギア43に
伝達される。このとき、第1ワンウェイクラッチ50の
クラッチ爪53はクラッチ部材45により図7に2点鎖
線で示す退避姿勢に回動し、第1ワンウェイクラッチ5
0は動力遮断状態になっている。このため、リングギア
43に伝達された回転は、さらに遊星歯車機構24、ギ
ア枠41及び第3ワンウェイクラッチ52を介してハブ
シェル23に伝達される。この場合は、太陽ギア40、
遊星ギア42及びリングギア43の歯数によって決定さ
れる変速比によって、入力回転は減速されて出力され
る。
【0044】一方、変速操作部9の巻取レバーが操作さ
れると、ベルクランク26のリンク部材71が揺動しプ
ッシュロッド48が1段分押し込まれる。この結果、第
1コイルバネ60のバネ力が第2コイルバネ61のバネ
力より強いので、変速キー49がプッシュロッド48を
介してリンク部材71により押されて貫通溝21bに案
内され、ハブ軸回りに回転しながら図3左方に移動し、
止め輪63を介してクラッチ部材45も押されて直結位
置に移動する。そして、図10に示す直結位置にクラッ
チ部材45が配置されると、テーパ面45dにより退避
姿勢にさせられていた第1ワンウェイクラッチ50のク
ラッチ爪53は、捩じりコイルバネ55のバネ力により
図7に実線で示す起立姿勢に復帰する。この状態では、
第1ワンウェイクラッチ50は、進行方向の回転のみリ
ングギア43からハブシェル23に伝達可能になる。し
たがって、駆動体22からの回転は直結動力伝達経路を
介してそのままハブシェル23に伝達される。すなわ
ち、駆動体22に入力された回転は、第2ワンウェイク
ラッチ51を介してリングギア43に伝達され、さらに
第1ワンウェイクラッチ50を介してハブシェル23に
伝達され、駆動体22の回転はリングギア43を介して
直接ハブシェル23に伝達される。なお、このとき、リ
ングギア43から遊星歯車機構24を介してギア枠41
に回転が伝達されギア枠41が減速回転するが、ハブシ
ェル23の回転がギア枠41より速いため、ギア枠41
から第3ワンウェイクラッチ52を介してハブシェル2
3に回転が伝達されることはない。
【0045】直結状態から巻取レバーが操作されてさら
にプッシュロッド48が押し込まれると、変速キー49
がさらに左方に移動し、クラッチ部材45もそれに応じ
て増速位置に移動する。そして、図11に示す増速位置
にクラッチ部材45が配置されると、クラッチ部材45
のセレーション外歯45cとギア枠41のセレーション
内歯41bとが噛み合う。この増速位置への移動の際
に、セレーション外歯45cとセレーション内歯41b
とが噛み合う位置に配置されているときには、クラッチ
部材45がギア枠41に当接した後、そのままクラッチ
部材45は左方の増速位置に移動する。しかし噛み合わ
ない位置に配置されているときには、クラッチ部材45
がギア枠41に当接した時点で変速キー49及びクラッ
チ部材45は左方への移動を一旦停止する。すると、プ
ッシュロッド48の作動部66が後退し第1コイルバネ
60が圧縮して変速キー49が押圧される。そして、ク
ラッチ部材45が回転して2つの歯45c,41bが噛
み合う位置になると、第1コイルバネ60のバネ力によ
り変速キー49を介してクラッチ部材45が移動し2つ
の歯45c,41bが噛み合う。
【0046】この状態では、駆動体22に伝達された回
転は、増速伝達経路を介してハブシェル23に伝達され
る。すなわち、駆動体22からクラッチ部材45を介し
てギア枠41に伝達され、さらにギア枠41に伝達され
た回転は、遊星歯車機構24、リングギア43及び第1
ワンウェイクラッチ50を介してハブシェル23に伝達
される。この場合は、太陽ギア40、遊星ギア42及び
リングギア43の歯数によって決定される変速比で入力
回転は増速して出力される。なお、このとき、駆動体2
2から第2ワンウェイクラッチ51を介してリングギア
43に向けて回転が伝達されようとするが、リングギア
43の回転の方が駆動体22より速いので第2ワンウェ
イクラッチ51から回転は伝達されない。
【0047】このような減速側から増速側への変速時に
は、駆動体22とリングギア43との間で直接回転が伝
達されるため、力が作用していないクラッチ部材45を
移動させればよい。このため、クラッチ部材45を押す
ための第1コイルバネ60のバネ力は小さくてよく、し
かも第2コイルバネ61のバネ力はそれよりも小さいの
で軽い力で変速操作を行える。
【0048】〔増速−減速側でのアシスト動作〕図11
に示す増速位置で変速操作部9の解除レバーが操作され
ると、第1コイルバネ60による付勢力がなくなり、第
2コイルバネ61により変速キー49が押圧されてプッ
シュロッド48は一段分右方に後退する。そして、変速
キー49が第3コイルバネ62を介してクラッチ部材4
5を押圧してクラッチ部材45を直結位置に移動しよう
とする。ペダルを踏んでおらず駆動力が伝達されていな
いときにはクラッチ部材45がギア枠41から離脱し、
クラッチ部材45は直結位置に移動する。しかし、ペダ
ル踏んでいるとクラッチ部材45からギア枠41に駆動
力が伝達されているので、セレーション内歯41bとセ
レーション外歯45cとが摩擦力により噛み合ったまま
になることがある。このような場合、第2コイルバネ6
1のバネ力だけではクラッチ部材45が図11右方に移
動しない。このような状態で、図11に示すように、変
速キー49がクラッチ部材45のカム面47の平坦面4
7aに当接すると、クラッチ部材45の進行方向Aへの
回転により変速キー49が貫通溝21bに挿入された部
分の全長で案内面21c側に押圧され摩擦力により軸方
向に逃げにくくなる。この結果、変速キー49が傾斜面
47cに乗り上げると、クラッチ部材45が右方に移動
する。そしてセレーション内歯41bとセレーション外
歯45cとの噛み合いが外れると、クラッチ部材45
は、変速キー49を介して第2コイルバネ61により押
圧されて直結位置に移動する。すなわち、変速キー49
とクラッチ部材45のカム面47との接触によりクラッ
チ部材45の回転運動が軸方向の変位に変換され変速を
アシストする。
【0049】ここで、変速キー49は、第2コイルバネ
61により押圧されかつ貫通溝21bが軸芯に対して傾
斜しかつ螺旋状に捩じれているので、前述したように軸
方向左方に逃げにくくなっている。したがって、第2コ
イルバネ61の付勢力及び変速キー49と案内面21c
との摩擦力に見合う力以下の駆動力が伝達されたときに
は、変速キー49は軸方向に逃げない。しかし、それよ
り大きなきな駆動力が作用すると、クラッチ部材45が
移動せずに変速キー49が第2コイルバネ61の付勢力
及び案内面21cとの摩擦力に打ち勝って軸方向左方に
逃げることがある。ここで、上記摩擦力は、溝傾斜角度
βにより設定可能である。この溝傾斜角度βを大きくし
すぎると、プッシュロッド48で変速キー49を押した
ときに、変速キー49が左方に移動しにくくなる。ま
た、溝傾斜角度βを小さくしすぎると、プッシュロッド
48による押圧時の抵抗は少なくなるが、摩擦力も低減
する。従って、この溝傾斜角度βは10度から50度の
範囲が好ましい。なお、この溝傾斜角度βとカム面47
の傾斜面47cの傾斜角度αと3つのコイルバネ60〜
62のバネ力を調整することで、アシスト時に変速キー
49が逃げる限界の駆動力を調整可能である。
【0050】一方、設定された駆動力より大きな駆動力
が作用して変速キー49が軸方向に逃げてクラッチ部材
45が移動しない場合にも、ギアクランク18が上死点
又は下死点付近に到達して駆動力が小さくなると、変速
キー49によるアシスト力によりクラッチ部材45が押
圧され右方に移動する。このため、急な坂道等で非常に
大きな駆動力が作用しているときには変速が行われず、
変速ショックが少なくなるとともに、セレーション歯や
ワンウェイクラッチ等の駆動力の伝達部分が破損しにく
くなる。
【0051】クラッチ部材45が移動すると、第3コイ
ルバネ62により変速キー49は、カム面47から離れ
る。このため、クラッチ部材45が回転しても変速キー
49との接触による異音が発生することはない。そし
て、図10に示す直結位置に配置されると、前述したよ
うに直結伝達経路を介して回転が駆動体22からハブシ
ェル23に伝達される。
【0052】直結位置にクラッチ部材45が配置された
状態で解除レバーが操作されると、さらにプッシュロッ
ド48が後退し、変速キー49がクラッチ部材45を押
圧する。このとき、クラッチ部材45のテーパ面45d
が第1ワンウェイクラッチ50のクラッチ爪53に接触
してクラッチ爪53を起立姿勢から退避姿勢に倒そうと
する。しかし、クラッチ爪53は、リングギア43から
ハブシェル23に動力を伝達しているので、第2コイル
バネ61の付勢力だけでは退避姿勢に倒しにくい。この
場合にも変速キー49がクラッチ部材45のカム面47
に当接すると、前述と同様にアシスト力が発生してクラ
ッチ部材45を軸方向に移動させ、クラッチ爪53を倒
すことができる。
【0053】ここでは、減速側から増速側への増速変速
操作の際には、クラッチ部材45を介さずに回転をリン
グギア43に直接伝達しているので、変速時の操作力を
軽減できる。しかも、増速側から減速側への減速変速操
作の際にはクラッチ部材45の回転力を軸方向の変位に
代えてアシストしているので、増速側への変速時にもペ
ダルを踏んだままで軽い操作力で変速可能になる。
【0054】〔ブレーキ給油手順〕ブレーキシュー58
にグリースを供給する場合には、キャップ35bを外し
てグリース孔35aにグリースガンの先を挿入し、軸受
部34にグリースを充填する。すると、リテーナ34d
の切欠き39a及び給油孔39bからグリースが内部に
染みだしブレーキシュー58に供給される。このよう
に、リテーナ34dに切欠き39a及び給油孔39bを
設けたので、グリースがリテーナ34dに邪魔されるこ
となく内部に円滑に供給される。このため、ハブ10を
分解する必要がなくなり内部のブレーキシュー58にグ
リースを容易に供給できる。しかも強度が必要なハブシ
ェル23に孔加工を行わなくて済むので、ハブシェル2
3の強度を低下させることがない。また、グリースの供
給が軸方向に沿って行われるので、遠心力が作用しても
グリースが抜けにくい。また、同時に軸受部34aにも
給油が行われるのでハブシェル23の回転も滑らかにな
る 〔他の実施例〕 (a) 上記実施形態では、回転部品としてコースタブ
レーキ付の内装変速ハブを例に説明したが、本発明はこ
れに限定されるものではなく、ローラブレーキ付のハブ
やペダル軸を支持するボトムブラケットやハンドルポス
トを支持するヘッド部等の潤滑剤を内部に供給する必要
がある全ての自転車用回転部品に適用できる。
【0055】(b) 上記実施形態では、コースターブ
レーキ27側の軸受部34にのみ給油孔39bを設けた
が、軸受部30,33の保持体に給油孔を設けてもよ
い。 (c) 上記実施形態では、潤滑剤の供給をさらに円滑
にするためにリテーナ34dの内フランジ部37aに切
欠き部39aを設けたが、切欠き部39aを設けなくて
もよい。また、防水キャップが装着されていない場合に
はグリース孔を設けなくてもよい。
【0056】(d) 上記実施形態では、潤滑剤通過部
として切欠き部39a及び給油孔39bを例示したが、
潤滑剤通過部の形態はこれらに限定されるものではな
く、スリット等の他の形態でもよい。
【0057】
【発明の効果】以上のように本発明に係る自転車用回転
部品では、保持体に潤滑剤通過部を設けたので、潤滑剤
が第1軸受部を介して内部に供給される。このため、回
転部品を自転車から外して分解することなく内部に潤滑
剤を容易に供給できる。しかも、潤滑剤は第1軸受部の
保持体を介して回転軸方向に沿って供給されるので遠心
力が作用しても抜けにくい。また、強度が必要な筒状部
材に孔をあける必要がないので、強度も低下しない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態が採用された自転車の側面
図。
【図2】その内装変速ハブの縦断面構成図。
【図3】その内装変速ハブの減速位置における右側要部
拡大部分図。
【図4】その内装変速ハブの左側要部拡大部分図。
【図5】リテーナの要部正面図。
【図6】図5のVI−VI断面図。
【図7】操作機構の要部斜視図。
【図8】変速キーとカム面との関係を示す模式図。
【図9】プッシュロッドの側面部分断面図。
【図10】内装変速ハブの直結位置における図3に相当
する図。
【図11】内装変速ハブの増速位置における図3に相当
する図。
【符号の説明】
10 内装変速ハブ 21 ハブ軸 22 駆動体 23 ハブシェル 24 遊星歯車機構 25 操作機構 32 小ギア 30,33,34 軸受部 30a,33a,34a 玉押し 30b,33b,34b ハブわん 30c,33c,34c 鋼球 30d,33d,34d リテーナ 35 防水キャップ 35a グリース孔 35b キャップ 39a 切欠き部 39b 給油孔

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】自転車の回転部に装着される自転車用回転
    部品であって、 軸状部材と、 前記軸状部材の外周側に配置され前記軸状部材と相対回
    転自在な筒状部材と、 前記軸状部材の外面に設けられた内側部材と、前記筒状
    部材の内周面に設けられた外側部材と、前記外側部材と
    内側部材との間に前記両部材に接触可能に配置された複
    数の転動体と、前記複数の転動体を環状に保持し、かつ
    前記転動体保持部分の間に内部に潤滑剤を供給可能な潤
    滑剤通過部が形成されたリング状の保持体とを有し、前
    記軸状部材と筒状部材とを相対回転自在に支持するため
    の第1軸受部と、を備えた自転車用回転部品。
  2. 【請求項2】前記第1軸受部と回転軸方向に間隔を隔て
    て配置され、前記軸状部材の外面に設けられた内側部材
    と、前記筒状部材の内周面に設けられた外側部材と、前
    記外側部材と内側部材との間に前記両部材に接触可能に
    配置された複数の転動体と、前記複数の転動体を環状に
    保持するリング状の保持体とを有し、前記軸状部材と筒
    状部材とを相対回転自在に支持するための第2軸受部を
    さらに備える、請求項1に記載の自転車用回転部品。
  3. 【請求項3】前記第1軸受部は前記筒状部材の端面に面
    して配置され、 前記筒状部材の端面を覆ってその間の隙間をカバーする
    ように前記2つの部材のいずれかに固定され、かつ前記
    第1軸受部に対して給油可能に透孔が形成されたカバー
    部材をさらに備える、請求項1又は2に記載の自転車用
    回転部品。
  4. 【請求項4】前記透孔に着脱自在に装着される蓋部材を
    さらに備える、請求項3に記載の自転車用回転部品。
  5. 【請求項5】前記自転車用回転部品は、自転車のフレー
    ムに装着可能であり、入力体からの動力を選択された所
    定の変速比で出力体に伝達する自転車用内装変速ハブで
    ある、請求項1から4のいずれかに記載の自転車用回転
    部品。
  6. 【請求項6】前記自転車用内装変速ハブは、 前記フレームに固定可能な前記軸状部材としてのハブ軸
    と、 前記ハブ軸回りに回転可能であり前記入力体に連結可能
    な駆動体と、 内部に収納空間を有するとともに前記ハブ軸回りに回転
    可能であり、前記出力体に連結可能な前記筒状部材とし
    ての筒状の従動体と、 前記ハブ軸と前記従動体の一端との間に配置され前記従
    動体を前記ハブ軸に回転自在に支持するための前記第1
    軸受部と、 前記駆動体と前記従動体の他端との間と、前記ハブ軸と
    前記駆動体との間にそれぞれ配置され、前記従動体及び
    駆動体をそれぞれ前記ハブ軸に回転自在に支持するため
    の2つの前記第2軸受部と、 前記従動体の収納空間内に配置され、前記駆動体からの
    動力の複数の動力伝達経路のいずれかを介して従動体に
    伝達する動力伝達機構と、 前記動力伝達機構の複数の動力伝達経路のいずれか一つ
    を選択するための選択機構と、 前記従動体の内部に前記第1軸受部に近接して配置さ
    れ、前記駆動体の進行方向と逆方向の回転に連動して前
    記従動体を制動するコースタブレーキ機構とを備える、
    請求項5に記載の自転車用回転部品。
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