JPH11216018A - 口腔ブラシ用フィラメント並びにこのフィラメントを用いた歯ブラシ及び歯間ブラシ - Google Patents

口腔ブラシ用フィラメント並びにこのフィラメントを用いた歯ブラシ及び歯間ブラシ

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JPH11216018A
JPH11216018A JP2196998A JP2196998A JPH11216018A JP H11216018 A JPH11216018 A JP H11216018A JP 2196998 A JP2196998 A JP 2196998A JP 2196998 A JP2196998 A JP 2196998A JP H11216018 A JPH11216018 A JP H11216018A
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particles
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金次 吉木
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豊一 森
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 優れたプラーク除去効果を発揮するが、歯肉
や歯牙に対する為害性がなく、プラーク除去効果と歯肉
マッサージ効果を両立させた口腔ブラシ用フィラメント
とこのフィラメントを用いた歯ブラシ及び歯間ブラシを
提供せんとする。 【解決手段】 フィラメントを形成する母材樹脂中に、
平均粒径が10〜100μmの範囲にある合成樹脂製の
球状粒子をフィラメント全体に対して0.1重量%以上
配合し、前記球状粒子の形状を反映した凸部をフィラメ
ント表面に存在させたことを特徴とするブラシ用フィラ
メント。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、歯ブラシや歯間ブ
ラシ等の口腔ブラシに用いるフィラメントの改良とこの
フィラメントを用いた歯ブラシ及び歯間ブラシに関する
もので、歯肉に対する為害性を示すことなくプラーク除
去効果及びマッサージ効果を高めることができる技術に
関する。
【0002】
【従来の技術】歯ブラシや歯間ブラシ等の口腔ブラシに
は、口中に残留する食物残滓を除去する機能が要求され
ると同時に、歯面や歯間に堆積したプラークを除去する
機能と歯肉に対する適度なマッサージ効果を発揮する機
能が求められる。プラークの除去は歯周病予防には不可
欠であり、一方、歯肉に対するマッサージ効果は歯肉の
血行促進をはかるうえで不可欠であることから、口中に
残留する食物残滓を除去する機能とともにこれらプラー
ク除去機能と歯肉マッサージ機能をいかに効果的に実現
するかが当業界における重要なテーマとなっている。
【0003】これらプラーク除去効果及び歯肉マッサー
ジ効果を高めるための様々な手段が既に知られている。
最も基本的な手段はフィラメントの剛性を高めることで
ある。これにはフィラメント径を太くすること、フィラ
メント長を短くすること、更にはフィラメントの材質に
硬質樹脂を用いることが有効である。しかしながらフィ
ラメントの剛性を高めることのみでプラーク除去効果や
歯肉マッサージ効果を高めようとするとフィラメントが
硬くなりすぎて使用感が悪くなったり、歯肉に傷をつけ
る(為害性)という問題がでてくる。そこで、これらフ
ィラメントの剛性を調整するという基本的手法に加えて
フィラメント形状についての工夫を併用することが提案
されている。例えば、フィラメントが先細となるように
テーパー加工する等、フィラメントの先端形状を工夫す
ることなどが知られている。フィラメント先端をテーパ
ー加工したものはプラークを掘り起こして掻き取る効果
に優れるとともに歯肉に対する程良い刺激もあり歯肉マ
ッサージ効果も発揮することができる。
【0004】しかしながらこのような歯ブラシはフィラ
メント先端にしか形状的工夫がなされていないため、フ
ィラメント先端以外ではプラークの掻き取り効果がな
い。このためフィラメント全体がプラーク除去効果を発
揮することができ、より高いプラーク除去効果が発揮で
きる歯ブラシの開発が模索されてきた。
【0005】このような状況のなかでフィラメント全体
にプラーク除去機能を与えた技術が例えばPCT国際出
願の国際公開公報WO96/23431に開示されてい
る。この先発明はフィラメント素材である熱可塑性プラ
スチック中に粒径0.1〜10ミクロンの研磨剤を適量
配合し、フィラメント表面に全体にわたって研磨剤粒子
を露出させたものであり、研磨剤粒子のもつ研磨性によ
って歯面に堆積したプラークを削り落とそうとするもの
である。そして研磨剤粒子としては鉱物系やアルミナや
シリカ等の無機質粒子や研磨性を有することを前提とし
てプラスチックやゴムの粒子等の有機質粒子が例示され
ている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】前記先発明は、フィラ
メント表面に全体にわたって研磨剤粒子を露出させてい
るため、フィラメントの全表面が研磨性を発揮し、優れ
たプラーク除去効果を奏することができるものの、その
反面、フィラメントに含有させる粒子は研磨性を有する
ことが前提となっているため、強い力でブラッシングし
たときには歯肉を傷つけるおそれがある。例えば、先発
明では研磨剤粒子はparticleと記載されているのみであ
り、研磨剤粒子の具体的形状について配慮がされていな
いが、この発明が研磨剤粒子のもつ研磨性によってプラ
ークを削り落とすことを前提としていることを考える
と、角張った形状のものを用いることが発明の目的にか
なっていることは明らかである。
【0007】しかしながら、このような角張った形状の
研磨剤粒子を用いた場合、歯肉を傷つけたり、歯を削っ
たりする懸念から力強いブラッシングを行うことができ
ず、したがって歯肉マッサージ効果を十分発揮させるこ
とができない。特に鉱物系の研磨剤粒子を用いた場合に
は、その硬度が高いため歯肉への為害性はいっそう顕著
であり、強い力で歯肉をマッサージすることができな
い。
【0008】本発明は、このような問題点を解決せんと
するもので、優れたプラーク除去効果を発揮できるとと
もに力強いブラッシングを行っても歯肉を傷つけるおそ
れがなく、優れたマッサージ効果も発揮できる口腔ブラ
シ用フィラメントを提供せんとするものであり、更にこ
のフィラメントを用いた歯ブラシ及び歯間ブラシも提供
せんとするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決すべく検
討した結果、先発明における「研磨剤粒子の研磨性によ
ってプラークを削り落とす」という考え方はプラーク除
去効果を高めるうえでは有効であるが、歯肉を傷つけた
り、歯を削ったりする懸念があることから加圧力をあま
り強くできず、マッサージ効果を高めるうえでは問題が
あるとの結論に達した。
【0010】本発明者等はかかる認識のもと、プラーク
を除去するメカニズムとして「研磨剤粒子の研磨性によ
ってプラークを削り落とす」という考えを捨て去り、そ
の代わりに、フィラメント表面に形成した凸部をプラー
クに一部侵入させてプラークを掘り起こして押しのける
というメカニズムを採用することを着想した。そしてフ
ィラメントに配合する粒子を「掘り起こして押しのけ
る」という動作態様に相応しい形態とすることにした。
またフィラメントに配合させる粒子の大きさもこのメカ
ニズムに相応しいものとし、且つその配合量についても
前記メカニズムに相応しい量を見いだした。
【0011】このような着想に基づき完成された請求項
1記載の口腔ブラシ用フィラメントは、フィラメントを
形成する母材樹脂中に、平均粒径が10〜100μmの
範囲にある合成樹脂製の球状粒子をフィラメント全体に
対して0.1重量%以上配合し、前記球状粒子の形状を
反映した凸部をフィラメント表面に存在させたことを特
徴としている。尚、ここでいう球状とは真球はもちろん
のこと略球状も含む概念である。
【0012】球状粒子の平均粒径を10μm〜100μ
mの範囲に設定するのは、10μm未満では凸部の突出
高さが低すぎてプラークを掘り起こすことが十分でき
ず、また歯肉を加圧する力も不十分でプラーク除去効果
及びマッサージ効果が不十分であるためであり、他方、
100μmを越えると紡糸性が低下することに加えてフ
ィラメントの引張強度及び耐久性が不足するためであ
る。より好ましい範囲は10μm〜50μmの範囲であ
る。また球状粒子の配合量を0.1重量%以上としたの
は、0.1重量%未満では、フィラメント表面への凸部
の出現頻度が低く、凸部の数が少なすぎることからプラ
ーク除去効果及び歯肉マッサージ効果が劣るためであ
る。また球状粒子の配合量が多すぎるとフィラメントの
引張強度及び耐久性が低下する。配合量の上限はこのこ
とを考慮して決定する。ここで耐久性とは、使用過程で
毛先が徐々にひろがるのをどの程度抑制できるかという
性能であり、耐久性に優れるほど、毛先の広がりは少な
い。球状粒子の配合量の上限はフィラメントの具体的形
態によって異なる。
【0013】球状粒子はフィラメント母材樹脂よりも硬
度が高い合成樹脂であって、且つ口中での使用に問題の
ないものであれば適宜選択できる。具体的にはポリメチ
ルメタクリレート、ポリスチレン、ポリアミド、シリコ
ン樹脂から選んだ1種以上が選択できる。また球状粒子
としてはフィラメントの母材樹脂との接着性に高めるこ
とができる多孔質のものを採用したり、融点が高く製造
が容易な架橋タイプの樹脂を用いること、エラストマー
を用いること、更には表面処理剤を適量添加したものを
用いることもできる。
【0014】球状粒子を径方向断面全体にわたって分散
させた単層構造を採用したフィラメント(以下、このよ
うなフィラメントを単層フィラメントと称す)を用いて
もよい。単層フィラメントは製造が容易である。単層構
造を採用する場合、球状粒子の配合量は0.1重量%〜
30重量%の範囲に設定する。配合量が30重量%を越
えるとフィラメントとしての引張強度及び耐久性が確保
できない。
【0015】球状粒子はフィラメント表面に凸部を形成
することが目的であるから、少なくともフィラメントの
表面近傍部分には存在する必要があるが、フィラメント
の深部には存在する必要はない。むしろフィラメントの
引張強度や弾性力重視の観点からはフィラメント深部に
は球状粒子は存在しないほうが好ましい。このようにフ
ィラメント表面部分にのみ球状粒子を配置する方法とし
ては、フィラメントを芯部と鞘部とからなる複合構造
(以下、この構造のフィラメントを複合フィラメントと
称す)となし、鞘部のみに球状粒子を分散させることが
考えられる。
【0016】複合構造を採用した場合、鞘部に分散させ
る球状粒子の配合量は0.1重量%〜50重量%に設定
する。配合量の上限が単層構造を採用した場合より多い
のは、球状粒子を含有しない芯部によってフィラメント
全体としての引張強度及び耐久性が確保できるため鞘部
に引張強度や耐久性を求める必要がないためである。
【0017】芯部と鞘部の比率は断面積比率で5:95
〜95:5であることが好ましい。
【0018】フィラメントの太さはその用途によって異
なるが、口腔ブラシ用として直径は0.03mm〜0.
30mmである。
【0019】このような口腔ブラシ用フィラメントを用
いて歯ブラシや歯間ブラシを構成することができる。
【0020】
【作用】本発明の口腔ブラシ用フィラメントの表面に
は、合成樹脂製粒子の球状粒子の形状が反映された凸
部、即ち、角部を有しない凸部が存在している。このフ
ィラメントを用いた歯ブラシ又は歯間ブラシを用いてブ
ラッシングすると、前記凸部が歯面や歯間に堆積したプ
ラークの層に一部侵入して引っかかるようにしてプラー
クを掘り起こす。凸部には角張った部分は存在しないの
で、力強くブラッシングしても歯肉を傷つけたり歯を削
ったりすることはなく、優れた歯肉マッサージ効果を発
揮することができる。
【0021】
【発明の実施の形態】次に本発明の詳細を図示した実施
例に基づき説明する。本発明の口腔ブラシ用フィラメン
トは図1で示すような歯ブラシ10や図2で示す歯間ブ
ラシ20の植毛部を構成するフィラメント1として使用
される。歯ブラシ及び歯間ブラシの具体形状は問わな
い。歯ブラシに適用する場合、フィラメント1は図3に
示すようにほぼ平行状態で束ね、他方、歯間ブラシに適
用する場合は放射状に広がるように束ねるのが一般的で
ある。しかしながらフィラメント1の集合のさせ方はこ
れに限定されない。
【0022】図4は本発明のフィラメント1が歯面5に
付着したプラーク6を除去する様子を示している。フィ
ラメント1表面に形成された半球状の凸部3はプラーク
6層堆積層内に一部侵入し、図中矢印方向へのフィラメ
ント1の移動にともなってプラーク6を掘り起こしたう
え押しのける。ここで重要なのは、凸部3には角部がな
く、しかもその硬度は歯肉を傷つけない程度に低く、且
つ研磨性を有しないということである。プラーク6の除
去は研磨性によるのではなく、プラーク6に一部侵入し
た凸部3がプラーク6を掘り起こしたうえ押しのけるこ
とで行われる。したがって、フィラメント1が歯を削っ
たり歯肉表面を傷つけるおそれはなく、強い力で歯肉を
加圧することが可能であり、優れたマッサージ効果を発
揮させることができる。
【0023】このようなフィラメント1の断面構造は図
5で示される。フィラメント1はフィラメント1を形成
する母材樹脂2中に、粒子4を配合して構成され、表面
近傍位置に存在する球状粒子4の形状がフィラメント表
面の凸部形状に反映されている。ここでいう球状という
概念は真球を含むことは当然であるが、真球以外の略球
状のものも含んでいる。粒子形状を球状にするのは、角
のある粒子では、歯肉を傷つける可能性があるためであ
る。また角のある粒子では歯や歯肉への為害性を避ける
ためにブラッシング圧を下げざるを得ず、このため十分
なマッサージ効果が得られない。これに対して、粒子形
状が球状であれば歯や歯肉を傷つけるおそれがないた
め、力強いブラッシングを行うことが可能で、優れたマ
ッサージ効果が発揮できる。
【0024】フィラメント素材である母材樹脂2として
は、従来より口腔ブラシ用フィラメントの材料として常
用されている合成樹脂が使用できる。例えば、ナイロン
−6,10やナイロン−6,12等のポリアミド樹脂、
ポリブチレンテレフタレートやポリエチレンテレフタレ
ートのようなポリエステル樹脂、ポリプロピレンやポリ
エチレン等のポリオレフィン樹脂等のうちから1種を使
用したりあるいはこれら複数種を組み合わしたものが使
用できる。
【0025】一方、球状粒子の素材としては合成樹脂素
材であって、且つ口中での使用に適したものを使用す
る。ここで球状粒子の素材として研磨剤に代表される鉱
物等の無機系粒子を用いず合成樹脂を用いる理由は、無
機系粒子では硬すぎて歯肉や歯牙を傷つける可能性があ
るためであり、またチクチクした刺激があって使用感も
よくないためである。したがって球状粒子4は無機系粒
子よりも軟らかいが、プラークを除去するのに必要な硬
さは備えたものを使用する。このような条件に適合する
ものとしては、例えばポリメチルメタクリレート、ポリ
スチレン、ポリアミド、シリコン樹脂等の熱可塑性樹脂
やベンゾグアナミン樹脂等の熱硬化性樹脂がある。これ
ら樹脂のなかでも架橋タイプのものは高融点の粒子が得
られることから、製造の点で有利である。また球状粒子
4はフィラメント素材からの脱落を防止する観点から、
母材樹脂2との接着性が高い方がよい。接着性を高める
には球状粒子4の素材として母材樹脂との親和性に優れ
るものを使用することや球状粒子の表面性状を粗くする
こと、更には多孔質化することなどが考えられる。
【0026】球状粒子4の平均粒径dは10μm〜10
0μm、より好ましくは10μm〜50μmの範囲であ
る。10μm未満では凸部の突出高さが低すぎて凸部に
よるプラーク除去効果及びマッサージ効果が不十分であ
る。一方100μmを越えると紡糸性が低下することに
加えて歯ブラシフィラメントとして使用するに際しての
引張強度及び耐久性が不足する。尚、粒子径は揃ってい
るほうが好ましいが、多少のバラツキはあっても問題は
ないため、分級された高価な球状粒子を用いる必要はな
い。
【0027】フィラメント直径Rは、本フィラメントが
用いられる対象が歯ブラシ及び歯間ブラシ等の口腔ブラ
シであるため0.03mm〜0.30mmである。
【0028】球状粒子4の配合量はフィラメント全体に
対して0.1重量%以上配合する。0.1%未満ではフ
ィラメント表面への凸部の出現頻度が低く、凸部の数が
少なすぎることから凸部によるプラーク除去効果及び歯
肉マッサージ効果が劣る。一方、球状粒子4の配合量の
上限はフィラメントとしての引張強度及び耐久性を確保
する観点に立って決定される。フィラメント1の引張強
度及び耐久性はフィラメントの径方向断面構造に依存す
る。フィラメント1の断面構造としては図5に示すよう
にフィラメント1の径方向断面全体にわたって球状粒子
4を分散させた単層構造と、図7に示すように芯部7と
鞘部8とからなる複合構造であり、鞘部8のみに球状粒
子4を分散させ、芯部7には球状粒子4を存在させない
構造が考えられる。
【0029】単層構造は製造容易であるとの利点を有す
るが、球状粒子4の分布をあまり密にすると、フィラメ
ント1の機械的強度が低下することに留意する必要があ
る。単層構造の場合、球状粒子4の配合率はフィラメン
ト1の全体重量に対して30重量%以下に設定する。3
0重量%を越えると歯ブラシとして使用するうえでの引
張強度や耐久性が劣ることに加えて、紡糸時に糸切れが
起こりやすくなり連続紡糸に適さない。一方、複合構造
は、製造工程がやや複雑となるが、鞘部8に配合する球
状粒子4の配合量を増やすことができる利点がある。芯
部7と鞘部8との比率は断面積比率で5:95〜95:
5の範囲であり、より好ましくは25:75〜75:2
5の範囲である。芯部7が5%未満だと歯ブラシ用フィ
ラメントとして要求される引張強度及び弾性復元力が発
揮できず、歯ブラシとしての耐久性が確保できない。一
方、鞘部8が5%未満であると鞘部8が均一に形成され
ない場合があり、製造上の困難を伴う。また、鞘部8に
含有させる粒子の配合量は、鞘部8の全体重量に対して
50%以下に設定する。50重量%を越えると紡糸時に
糸切れが起こりやすくなり連続紡糸に適さない。
【0030】このような複合構造のフィラメントは芯部
7によって歯ブラシ用フィラメントとしての機械的強度
が確保できるため、鞘部8に機械的強度を求める必要が
なく、鞘部8への球状粒子4の配合量をプラーク除去効
果及び歯肉マッサージ効果を高める観点からのみ決定す
ることができる。
【0031】このようなフィラメント9は第1押出路と
その周囲に環状の第2押出路を備えた複合ダイスを用
い、この複合ダイスの第1押出路から球状粒子4を含有
しない芯部形成用樹脂を押し出すと同時にその周囲の第
2押出路から、球状粒子4を配合した鞘部形成用樹脂を
押し出して紡糸する。芯部形成用樹脂と鞘部形成用樹脂
は異なる樹脂であってもよいが通常は相溶性の良い樹脂
を用いる。図は説明の都合上、芯部7と鞘部8との間に
は境界を示しているが、芯部7と鞘部8が同一樹脂であ
る場合には両者間には明確な境界は現れない。
【0032】
【実施例】本発明者等は効果を確かめるために実験を行
った。以下、この実験内容とその結果について説明す
る。実験は単層フィラメントと複合フィラメントの両方
について行った。単層フィラメントとして表1で示され
るデータの実施例1〜8と比較例1〜9を次の手順によ
り作製した。
【0033】先ず表1に示した粒子素材、平均粒径、粒
子形状の粒子を同じく表1に示したフィラメントの母材
樹脂に配合して、粒子を10重量%含有した粒子含有樹
脂ペレットを得る。次いでこの粒子含有樹脂ペレット
を、更に母材樹脂に配合して、粒子配合量を表1で示す
各値にそれぞれ調整して、溶融させた上で、押出成形し
た後に、延伸をかけることにより表1に示した直径の各
単層フィラメントを得る。
【0034】また複合フィラメントとして、表2で示さ
れるデータの実施例9〜16と比較例10〜18を次の
手順で作製した。先ず表2に示した粒子素材、平均粒
径、粒子形状の粒子を同表に示したフィラメントの母材
樹脂に配合して、粒子を10重量%含有した粒子含有樹
脂ペレットを得る。次いでこの粒子含有樹脂ペレット
を、更に母材樹脂に配合して、粒子配合量を同表に示す
各値にそれぞれ調整して鞘部形成用樹脂として用い、一
方、芯部形成用樹脂として球状粒子を含有していない母
材樹脂を用いて別々に溶融させ、鞘部用及び芯部用の口
金からそれぞれの樹脂を押出成形した後、延伸をかける
ことにより同表に示した直径の各複合フィラメントを得
た。但し、粒子配合量が10%以上の例については、母
材樹脂を溶融させる際に、粒子を直接配合して紡糸を行
った。
【0035】
【表1】
【0036】
【表2】
【0037】このようにして作製した実施例1〜16、
比較例1〜18のフィラメントのそれぞれを、以下の項
目について評価した。 紡糸性 紡糸を行い、連続作業性を○、△、×で評価した。○、
△、×はそれぞれ次の意味を有する。 ○:連続的に紡糸が可能である。 △:時折、糸切れが発生し、連続的な紡糸が不可能であ
る。 ×:紡糸が全く不可能である。 凸部高さ、凸部密度 フィラメント表面をSEM(走査型電子顕微鏡)にて写
真を撮り、凸部高さを算出した。また、単位面積当たり
の凸部の個数を算出した。 引張強度 島津製作所社製オートグラフAGS−10KN型により
測定した。チャック間距離は250mm、引張速度:3
00mm/minである。引張強度の大きさを○、△、
×で評価した。○、△、×はそれぞれ次の意味を有す
る。 ○:3000Kgf/cm2 以上 △:1000Kgf/cm2 から3000Kgf/cm
2 ×:1000Kgf/cm2 耐久性 サンスター社製ブラッシングマシーンを用いて、100
00ストローク(約1ケ月の使用時間に相当)のブラッ
シングを行い、植毛束先端部の広がりを広がり指数によ
り評価した。ここで広がり指数とは図8に示すように、
植毛部の先端幅が幅Aから幅Bになったときに、(B/
A)×100で求められる値である。尚、フィラメント
の耐久性をより実使用に近い状態で評価するために、3
7℃温水中でブラッシングを行った。結果を○、△、×
で評価した。○、△、×はそれぞれ次の意味を有する。 ○:広がり指数100%〜150% △:広がり指数150%〜200% ×:広がり指数200%以上 清掃力 アクリルプレート表面にアルコール系インキを塗布し
て、この塗布されたインキを仮想汚れと見做し、この仮
想汚れをサンスター社製ブラッシングシミュレータを用
いて除去する試験を行った。歯ブラシ植毛台と仮想汚れ
表面との間隔は図9に示すように5mmに設定して仮想
汚れ表面にフィラメントが加圧状態で接触するように調
整し、この状態で歯ブラシを180°の範囲で往復動作
させるローリング法により仮想汚れを除去した。尚、ブ
ラッシング時間は5秒であり、この時間内で3回往復動
作させた。ブラッシングスピードは0.5ストローク/
秒である。除去率はブラッシングにて接触する面積を1
00%として、仮想汚れの除去面積を画像解析ソフト
(NIH Image 1.52)を用いて算出し、仮
想汚れの除去率を○、△、×で評価した。○、△、×は
それぞれ次の意味を有する。 ○:除去率30%以上 △:除去率20%〜30% ×:除去率20%未満 為害性(傷つけ度) 表面研磨し、滑らかにしたアパタイトプレート表面をロ
ーリング法によりブラッシングを行い、プレート表面の
傷つき具合をSEM(走査型電子顕微鏡)により観測
し、傷つきの程度を○、△、×により評価した。○、
△、×はそれぞれ次の意味を有する。 ○:ほとんど傷つかない △:少し傷がつく ×:著しく傷がつく 使用感 30名の人に歯ブラシをそれぞれ1回使用してもらい、
使用感についてアンケートをとり、磨き心地を○、△、
×で評価した。○、△、×はそれぞれ次の意味を有して
いる。○:心地よいと判断した人が一番多い △:普通と判断した人が一番多い ×:悪いと判断した人が一番多い プラーク除去効果 10名の人に1回使用してもらい、鈴木法に準じて審査
してプラーク除去率を算出した。ここで、鈴木法とは、
「歯垢染色後、1歯につき頬・唇側面近遠心隅角部2
点、頬・唇側面中央部1点、舌・口蓋側近遠心隅角部2
点、舌・口蓋側中央部1点の計6点をプローベを用い
て、歯頚部からのプラーク高さを0.1mm単位で計測
する。」という方法である。得られた結果を○、△、×
で評価した。○、△、×はそれぞれ次の意味を有してい
る。 ○:除去率50%以上 △:除去率20%〜50% ×:20%未満 歯肉マッサージ効果 歯肉炎患者5名を1つの群とし、各歯ブラシを使用させ
た。使用1週間後、2週間後に審査を行い、歯肉炎の改
善具合について判断した。1週間後の審査時に5名の
内、4名以上改善が認められれば○、2名以上改善が認
められれば△、全員に改善が認められなければ×、と評
価した。尚、使用2週間後には、全群ともに5名全員に
改善が認められた。結果は、実施例4が○、比較例4が
△、実施例11が○、比較例10が△であった。
【0038】単層フィラメントである実施例1〜8及び
比較例1〜9に関して以上の評価項目についての評価結
果をまとめたものを表3,4に示し、複合フィラメント
である実施例9〜16及び比較例10〜18に関する評
価結果をまとめたものを表5,6に示す。総合評価につ
いては次のように評価した。前記〜の評価項目にお
いて、 A:すべて○のもの。 B:△が1つで、他は○のもの。 C:△が2つ以上で、他は○のもの。 D:×が1つでも存在するもの。
【0039】
【表3】
【0040】
【表4】
【0041】
【表5】
【0042】
【表6】
【0043】これら結果から次のことが確認された。ま
ず比較例に関しては次のことがいえる。尚、比較例1、
2、10、11は無機系粒子、比較例3、12は合成樹
脂製の非球状粒子、比較例4〜9及び比較例13〜18
は合成樹脂製の球状粒子を用いた場合であり、いずれも
本発明の請求項1の要件の一部を欠いている。非球状の
アルミナ系研磨剤を用いた比較例2及び11は清掃力及
びプラーク除去効果については優れているものの、粒子
が硬いことから為害性や使用感については低い評価しか
得られていない。また粒子素材の母材樹脂との異質性が
際だっているため、母材樹脂との一体性に問題があり、
耐久性及び引張強度も評価が低い。また球状の炭化ケイ
素系研磨剤を用いた比較例1及び10は、比較例2、1
1に比べて引張強度が高くなっているが、為害性、使用
感及び耐久性についての評価は低い。非球状のPMMA
(ポリメチルメタアクリレート)を用いた比較例3、1
2は、無機系粒子に比べて軟らかいため前記比較例1、
2、10、11に比べて為害性、使用感、引張強度、耐
久性が多少改善している。粒子を配合していない比較例
4、13は清掃力、プラーク除去効果及び歯肉マッサー
ジ効果が低い。粒子配合量が0.05重量%である比較
例5、14は配合量が少なすぎるため清掃力、プラーク
除去効果に対する評価が低い。単層フィラメントにおい
て粒子配合量を50重量%に設定した比較例6と複合フ
ィラメントにおいて粒子配合量を70重量%に設定した
比較例15は紡糸が困難であり、フィラメントを作製で
きなかったので各項目についての評価はできなかった。
平均粒径5μmの球状粒子を用いた比較例7、16は凸
部の突出高さが低すぎて清掃力、プラーク除去効果の評
価が低い。平均粒径125μmの球状粒子を用いた比較
例8、17及び平均粒径150μmの球状粒子を用いた
比較例9、18は粒子が大きすぎるため紡糸が困難であ
り、フィラメントを作製できなかったので各項目につい
ての評価はできなかった。
【0044】比較例に対する評価がこのようなものであ
ったのに対し、本発明の請求項1記載の要件を全て満た
した実施例1〜8及び9〜16は、清掃力、プラーク除
去効果、歯肉マッサージ効果、為害性、使用感、耐久
性、引張強度、紡糸性の全てについて、満足できる評価
が得られた。
【0045】
【発明の効果】本発明の口腔ブラシ用フィラメントは、
フィラメントを形成する母材樹脂中に、合成樹脂製の球
状粒子を配合することにより、その表面に合成樹脂製粒
子の球状粒子の形状が反映された凸部を形成し、この凸
部が歯面や歯間に堆積したプラークの層に一部侵入させ
てプラークを掘り起こすことができるようにするととも
に、前記球状粒子の平均粒径及び配合量をこのようなプ
ラークの掘り起こしが有効に発揮されるように設定した
ので、清掃効果に加えて優れたプラーク除去効果が発揮
できる。そして凸部には角張った部分は存在しないの
で、歯肉を傷つけるおそれはなく、優れたマッサージ効
果を発揮することができる。また歯を削ったりすること
もない。
【0046】特に請求項6に記載されているようにフィ
ラメントの構造を、芯部とこれを同軸状に取り囲む鞘部
とからなる複合構造となし、球状粒子を鞘部のみに分散
させた構造を採用した場合、フィラメントとして必要な
引張強度及び耐久性は球状粒子を含有しない芯部によっ
て確保することができるから、鞘部への球状粒子の配合
量を多くすることができ、プラーク除去効果をより一層
高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 歯ブラシの外観を示す説明図
【図2】 歯間ブラシの外観を示す説明図
【図3】 束ねられたフィラメントを示す説明図
【図4】 フィラメント表面の凸部がプラークを掘り起
こす様子を模式的に表した説明図
【図5】 単層フィラメントにおける球状粒子の分散状
態を示す断面説明図
【図6】 フィラメント表面に形成された凸部の拡大断
面説明図
【図7】 複合フィラメントの構造を示す断面説明図
【図8】 歯ブラシの耐久性評価の方法を示す説明図
【図9】 歯ブラシの清掃力評価の方法を示す説明図
【符号の説明】
1 フィラメント 2 母材樹脂 2a 被膜 3 凸部 4 球状粒子 5 歯面 6 プラーク 7 芯部 8 鞘部 9 フィラメント 10 歯ブラシ 20 歯間ブラシ

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 フィラメントを形成する母材樹脂中に、
    平均粒径が10〜100μmの範囲にある合成樹脂製の
    球状粒子をフィラメント全体に対して0.1重量%以上
    配合し、前記球状粒子の形状を反映した凸部をフィラメ
    ント表面に存在させたことを特徴とする口腔ブラシ用フ
    ィラメント。
  2. 【請求項2】 球状粒子が、ポリメチルメタクリレー
    ト、ポリスチレン、ポリアミド、シリコン樹脂から選ん
    だ1種以上を素材とする請求項1記載の口腔ブラシ用フ
    ィラメント。
  3. 【請求項3】 球状粒子の平均粒径が10μm〜50μ
    mである請求項1又は2記載の口腔ブラシ用フィラメン
    ト。
  4. 【請求項4】 球状粒子を径方向断面全体にわたって分
    散させた単層構造を有する請求項1〜3のいずれか1項
    に記載の口腔ブラシ用フィラメント。
  5. 【請求項5】 球状粒子の配合量が0.1重量%〜30
    重量%である請求項4記載の口腔ブラシ用フィラメン
    ト。
  6. 【請求項6】 芯部と鞘部とからなる複合構造を有し、
    球状粒子を鞘部のみに分散させた請求項1〜3のいずれ
    か1項に記載の口腔ブラシ用フィラメント。
  7. 【請求項7】 鞘部に分散させた球状粒子の配合量が
    0.1重量%〜50重量%である請求項6記載の口腔ブ
    ラシ用フィラメント。
  8. 【請求項8】 芯部と鞘部の断面積比率が5:95〜9
    5:5である請求項7記載の口腔ブラシ用フィラメン
    ト。
  9. 【請求項9】 フィラメント直径が0.03mm〜0.
    30mmである請求項1〜8のいずれか1項に記載の口
    腔ブラシ用フィラメント。
  10. 【請求項10】 請求項1〜9のいずれか1項に記載の
    口腔ブラシ用フィラメントを用いた歯ブラシ。
  11. 【請求項11】 請求項1〜9のいずれか1項に記載の
    口腔ブラシ用フィラメントを用いた歯間ブラシ。
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