JPH11217338A - キノリン誘導体を用いる医薬品の効果改善および増強剤 - Google Patents

キノリン誘導体を用いる医薬品の効果改善および増強剤

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JPH11217338A
JPH11217338A JP19470998A JP19470998A JPH11217338A JP H11217338 A JPH11217338 A JP H11217338A JP 19470998 A JP19470998 A JP 19470998A JP 19470998 A JP19470998 A JP 19470998A JP H11217338 A JPH11217338 A JP H11217338A
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Japan
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drug
oral absorption
taxol
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medicine
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JP19470998A
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English (en)
Inventor
Nobuyuki Fukazawa
信幸 深澤
Yoshimitsu Kimura
喜光 木村
Hideo Fukui
英雄 福井
Kyoko Nonomura
京子 野々村
Atsushi Aoki
淳 青木
Izumi Mita
泉 三田
Kazunori Mabuchi
和範 馬渕
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Mitsui Chemicals Inc
Original Assignee
Mitsui Chemicals Inc
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 経口吸収性が乏しいため開発が難しい薬物の
実用化や静脈内投与やその他の経路によってのみにしか
投与出来ない薬剤をより安全でかつ実用的な経口剤とし
て利用することを目的として、経口投与薬物の消化管で
の吸収性を改善する吸収改善剤を提供し、さらにはタキ
サン誘導体の制癌効果増強剤を提供する。 【解決手段】 下記一般式(1)で示されるキノリン誘
導体またはその生物学的に許容される塩を用いることを
特徴とする経口吸収改善剤およびタキサン誘導体の効果
増強剤。 【効果】 本発明の経口吸収改善剤は経口吸収性の乏し
い薬物の吸収性を改善することによって、新たに臨床上
有効な治療薬や治療法を提供し、薬物治療領域で非常に
大きな利益をもたらす。また、本発明によりタキサン誘
導体の制癌効果増強する薬剤が提供される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、医療分野の医薬品
を用いて行う治療法において、経口吸収性の乏しい薬物
の吸収性を改善する剤、および癌化学療法におけるタキ
サン誘導体の効果増強剤に関する。
【0002】
【従来の技術】病気治療のための薬物の投与方法の中で
も、経口投与法は、患者の物理的、精神的負担が比較的
少なく、投与が容易であるため、各種疾患のに対する薬
物治療に広範囲に用いられている。
【0003】経口投与法においては、投与された薬物の
経口吸収性がをよくすることが薬物の効果を発揮するう
えで重要な要因となる。経口吸収性が悪いと薬物の効果
を充分発揮させるために薬物の投与量を多くしなければ
ならず、薬剤コストの増加の点から好ましくない。
【0004】一方、癌の化学療法において、タキソール
やタキソテールと言ったタキサン誘導体が、新しい制癌
剤として世界中で大いに期待されている。
【0005】タキソール(Taxol、一般名 Paclitaxel)
は、西洋イチイの樹皮から抽出された植物アルカロイド
であり、細胞内微小管を構成するチュブリン蛋白の重合
を促進させることにより、安定した微小管の過形成を起
こし細胞分裂を阻害して、抗腫瘍活性を発揮すると考え
られている。1983年には米国において臨床試験が開始さ
れ、1992年にFDAより承認され、市販された。我が国
においてもタキソールの臨床試験が行われ、卵巣癌、乳
癌、肺癌等に対し高い有効性が確認された。タキソール
は新しい抗癌剤として臨床的に広く用いられ始めてい
る。
【0006】また、タキサン誘導体の一つであるタキソ
テール(Taxotere、一般名 Docetaxel)は、西洋イチイ
の針葉から抽出された前駆体に一部修飾を加えた半合成
の抗癌剤である。タキソールと同様に細胞内微小管の蛋
白重合を促進し、安定化した微小管の過形成を引き起こ
し、細胞分裂を阻害することによって抗腫瘍作用を示す
と考えられている。タキソテールの臨床的な応用は欧米
において先行し、乳癌、非小細胞肺癌を中心に卵巣癌、
頭頚部癌、大腸癌、胃癌等を対象に行われ、それぞれ良
好な効果が確認されている。我が国でも1991年よりタキ
ソテールの臨床試験が開始され、1996年に終了し、乳
癌、非小細胞肺癌の2癌腫について製造承認された。
【0007】とはいえ、これらの薬剤は経口吸収性の悪
さ、および癌細胞に対する耐性化による効果低減等多く
の問題を抱えている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、経口吸収性
が乏しいため開発が難しい薬物の実用化や静脈内投与や
その他の経路によってのみにしか投与出来ない薬剤をよ
り安全でかつ実用的な経口剤として利用することを目的
として、経口投与薬物の消化管での吸収性を改善する吸
収改善剤を提供するものである。
【0009】さらに、本発明は、現在、世界中で癌の化
学療法の分野で期待の高いタキサン誘導体の経口吸収改
善および耐性克服による効果増強剤を提供するものであ
る。
【0010】
【課題を解決するための手段】癌の化学療法の発達に伴
い、最初からある癌に対し複数の抗癌剤が治療効果を示
さない症例や、治療途中に複数の抗癌剤に対して癌細胞
が耐性を獲得し、治療効果が低下する症例などが見いだ
されている。このような現象は臨床上非常に大きな問題
となっている。
【0011】これに伴い、このような癌細胞が耐性を獲
得するメカニズムに関する研究も進められ、癌細胞で細
胞内の抗癌剤を膜外に排出するポンプ機能を持ったP−
糖蛋白、MRP蛋白などの膜蛋白が最初から発現してい
ること、また、抗癌剤による治療中に誘導され、過剰発
現すること等が、耐性化の主要な要因であることが明ら
かになってきた。
【0012】このような中、本発明者らは、腸管吸収性
の不良な経口投与薬物の吸収性を改善する方法につき鋭
意検討した結果、先に述べた癌化学療法において多剤耐
性癌の治療に効果が期待されているP−糖蛋白質、MR
Pなどの薬物排出ポンプ機能を有する蛋白質の阻害剤が
経口吸収の改善に有効であること見出した。 更には、
これら同一の阻害剤が、特にタキサン誘導体の経口吸収
改善さらには、タキサン誘導体の耐性克服による制癌効
果増強作用を有することを見いだし、本発明を完成させ
た。
【0013】すなわち、本発明は、以下のとおりであ
る。 [1] 下記式(1)(化9)で示されるキノリン誘導
体またはその生物学的に許容される塩を用いることを特
徴とする経口吸収改善剤、
【0014】
【化9】 (式中、Aは窒素原子または炭素原子を表し、Bは直接
の結合、C=Oまたは−(CH2m−を表し、Cは次記
構造(化10)を表し、
【0015】
【化10】 Dは−(CH2n−または−CH=CH−を表す。ここ
で、R1、R2、R3は互いに独立して、水素原子または
フェニル基を、mおよびnは0〜3の整数を表す。) [2] 下記式(1)(化11)で示されるキノリン誘
導体またはその生物学的に許容される塩を用いることを
特徴とするタキサン誘導体の制癌効果増強剤、
【0016】
【化11】 (式中、Aは窒素原子または炭素原子を表し、Bは直接
の結合、C=Oまたは−(CH2m−を表し、Cは次記
構造(化12)を表し、
【0017】
【化12】 Dは−(CH2n−または−CH=CH−を表す。ここ
で、R1、R2、R3は互いに独立して、水素原子または
フェニル基を、mおよびnは0〜3の整数を表す。)
【0018】
【発明の実施の形態】以下に本発明をさらに詳しく説明
する。抗癌剤を用いた治療において初めから抗癌剤が効
かない、或いは治療中に効かなくなり、癌が進行すると
いう耐性化の現象は臨床的にも多く認められ、癌化学療
法において重大な問題となっている。その耐性化の現象
のうち、多剤耐性と呼ばれる現象は細胞レベルにおいて
も認められ、アンスラサイクリン系抗癌剤、ビンカアル
カロイド系抗癌剤、アクチノマイシンD、さらにはタキ
ソールやタキソテール等のタキサン誘導体など、構造も
機能も異なる抗癌剤に対して同時に耐性となる。このよ
うな多剤耐性細胞では膜に抗癌剤の排出作用を有する膜
蛋白質が存在し、そのポンプ作用には抗癌剤に対する選
択性が低いために多くの抗癌剤が同じように排出され耐
性を示す。この原因蛋白質がP−糖蛋白質や多剤耐性関
連蛋白質(MRP)と考えられている。よって、この蛋
白を阻害することによって、先に述べた抗癌剤に対する
耐性を解除し、効果を増強することが考えられる。この
アプローチは世界中で研究され、効果増強作用を有する
化合物もカルシウム拮抗薬であるベラパミル、免疫抑制
剤であるサイクロスポリン、FK506、等多く知られ
ている。中でも、本発明者等が先に報告した(特開平3
−101662、特開平6−1768)、本発明の式
(1)で示した化合物群とりわけ式(2)(化13)お
よび式(3)(化14)で表される化合物及びその生物
学的に許容される塩は、この薬物排泄蛋白質の機能を強
く阻害し、かつカルシウム拮抗作用等の副作用が低く、
先に示した制癌剤の効果増強剤として臨床で期待されて
いる。
【0019】
【化13】
【0020】
【化14】
【0021】尚、本発明において生物学的に許容される
塩としては特に限定はないが、塩酸、硫酸等の無機酸ま
たは酢酸、蓚酸、フマル酸、マレイン酸、酒石酸等の有
機酸による塩が挙げられる。また、本発明化合物は不斉
炭素有し、光学異性体が存在するが、当然これらすべて
を本特許は含有する。
【0022】一方、P−糖蛋白質は癌細胞だけでなく、
様々な正常組織に発現していることが明らかになってい
る。PastanらによるとP−糖蛋白質遺伝子(mdr)の
mRNAはヒトの副腎、腎、肺、肝、小腸、結腸、膵等
に見いだされる(Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A.,vol.
84,p.7735,(1987))。これら正常細胞におけるP−糖蛋
白質の機能としては、代謝産物や毒性物質を含む化学物
質や化学療法剤を細胞、組織外へと排出する機能が考え
られている。
【0023】一方、経口投与された薬剤は殆どの場合、
小腸より吸収されるため、薬物のバイオアベイラビリテ
ィは小腸からの薬物吸収量に大きく依存している。従っ
て、小腸粘膜の絨毛細胞の膜透過に対する障壁能が薬物
吸収に対する重要な影響要因となることが考えられる。
そこで、本発明者らは上記の知見をもとに、鋭意検討を
重ねた結果、小腸粘膜の絨毛細胞に存在すると考えられ
る薬物排出機能蛋白質を阻害することによって経口投与
薬物の吸収性が改善されることを見いだした。
【0024】薬物排出機能蛋白質としては、先に制癌剤
の場合で示したと同じP−糖蛋白質、MRPやそのファ
ミリー蛋白質等が該当する。薬物排出機能蛋白質阻害物
質としては、キノリン誘導体である式(1)の化合物
群、とりわけ式(2)に示した化合物(以下、MS−2
09と略記することがある)、あるいは式(3)で示し
た化合物(以下、MS−073と略記することがある)
がP−糖蛋白質及びMRPの阻害効果が強く、毒性も低
く、臨床に使用する薬剤にしては最も好ましい。また、
本発明者等が先に報告した(鈴木、深澤、他 J.Me
d.Chem.40 p.2047(1997))化合
物群の構造と活性の相関から予想される化合物も、概念
的には本発明に含有される事は当然である。
【0025】さらに、他の多くの同様な作用を有する阻
害剤、すなわち、SDZ−PSC−833(ノバルティ
ス社)、LY−335979(イーライリリー社)、V
X−710(ヴェルテックス社)等も同じ作用を有する
ことは、本発明から容易に類推されるところである。
【0026】本発明の経口投与薬物の吸収改善剤は、上
記薬物排出機能蛋白質阻害物質を経口投与できる剤型に
したものである。その製剤化の形態は、結晶性セルロー
ス、軽質無水ケイ酸、トウモロコシデンプン、乳糖、リ
ン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム等の、一般
に使われる賦型剤やその他添加剤を加えた製剤で、錠
剤、顆粒、粉末、カプセル、懸濁剤などであり、経口投
与出来るものであれば特に制限はない。投与量も症状、
用法、患者の様態、年齢、性別等により当然適宜選択さ
れるものであるが、通常1日あたり、10mg〜2gを
1回もしくは数回に分けて投与することができる。
【0027】本発明の吸収改善剤を用いて吸収を改善す
る具体的方法としては、吸収の改善を図りたい対象薬物
の経口投与前、同時又は投与後に上記阻害物質を直接又
は製剤化して、さらには対象薬物との混剤として経口投
与することで達成できる。また、対象薬物としては、タ
キソール、タキソテール、アドリアマイシンなどの制癌
剤、循環器用剤、抗ウィルス剤、中枢作用薬など経口吸
収に問題のある広い領域の薬物、薬剤が可能であり、特
に制限はない。
【0028】さらに、本発明のタキサン誘導体の抗癌効
果を増強する具体的方法としては、タキソール、タキソ
テール等の抗癌剤の投与前、同時又は投与後に上記阻害
物質を直接又は製剤化して、さらには対象薬物との混剤
として経口投与することで達成できる。製剤方法、用法
用量等は先に記載したのと同様である。治療対象となる
癌種については乳癌、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、卵巣
癌、胃癌、大腸癌等、タキサン誘導体の有効性が期待さ
れる各種の癌に適用できるが、特に制限はない。
【0029】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに詳しく説
明するが、本発明はこれに限定されるものではない。 実施例1 吸収改善対象の経口薬物として、消化管内に発現してい
るP−糖蛋白質の作用によって排泄されるために、経口
吸収性が低いタキソール(Paclitaxel)を用い、その経
口投与時のラット消化管吸収に及ぼす本発明吸収改善剤
の効果について調べた。 (1) 方法:d1−5−[3−{4−(2,2−ジフェニ
ルアセチル)ピペラジン−1−イル}−2−ヒドロキシ
プロピル]キノリンのフマル酸塩、分子式 C3031
33・3/2C444、分子量655.7(式(2)
の化合物、MS−209)を10mg/mlの濃度で含
有する0.1% Tween 80水性懸濁剤を本発明
吸収改善剤とした。対象薬物の吸収性測定を容易にする
ため、放射標識した3H-Paclitaxelを用いた。3H-Paclit
axelはエタノールに溶解させた後、Cremophor EL及び生
理食塩水を用いて1mg/mlの濃度に調製して実験に
使用した。3H-Paclitaxelの投与量は4mg/kgで強
制経口投与した。本発明剤は100mg/kgの投与用
量でPaclitaxel投与30分前に強制経口投与した。採血
3H-Paclitaxel投与後、経時的に無麻酔下で頚動脈よ
りヘパリン処理した注射筒で行った。採血後直ちに遠心
分離を行い、血漿を分取した。得られた血漿は液体シン
チレーションカクテルを加え、液体シンチレーションカ
ウンターで放射活性を測定した。薬物動態パラメーター
は各個体毎に算出した。最高血中濃度(Cmax)及び最
高血中濃度到達時間(Tmax)は実測値を用いた。AU
Cは台形法により0〜24時間までを算出した。これら
のパラメーターの測定値より吸収性を評価した。
【0030】(2) 結果:表1〜3(表1〜3)にはPacl
itaxelを単独で経口投与、或いは0.1% Tween
80又は本発明吸収改善剤を事前投与してPaclitaxelを
経口投与をしたときの薬物動態パラメーターを示した。
単独投与群における血漿中濃度は、投与後、2.9時間
に最高値の156ng/mlを示した。また、溶媒投与
群における血漿中放射能濃度も同様の推移を示し、両者
のAUCに差は認められなかった。このように単独投与群
と溶媒併用群との間には差は認められず、本発明剤に用
いられた溶媒である0.1% Tween 80のみの
経口投与はPaclitaxelの血漿中濃度に何ら影響を及ぼさ
なかった。一方、本発明改善剤併用群の血漿中放射濃度
は単独投与群と比較して、投与後1.5〜12時間にか
けての血漿中濃度が顕著に上昇した。その結果、本発明
改善剤併用群は単独投与群に比較してCmaxはおよそ2
倍に上昇し、Tmaxは5.3時間に遅延した。AUCに
関しても本発明改善剤併用群は単独投与群に比較して有
意に増大した。
【0031】
【表1】 表1−1 ラットのPaclitaxel経口吸収性 (a)Paclitaxel単独投与の場合 ──────────────────────────── 動物番号 Cmax Tmax AUC(0-24h) (ng/ml) (h) (ng.h/ml) ──────────────────────────── 1 129 1 1066 2 98 0.5 1452 3 147 1 1568 4 250 9 4100 ──────────────────────────── 平均 156 2.9 2047 S.D. 66 4.1 1386 ────────────────────────────
【0032】
【表2】 表1−2 ラットのPaclitaxel経口吸収性 (b)Paclitaxel+0.1% Tween 80投与の場合 ──────────────────────────── 動物番号 Cmax Tmax AUC(0-24h) (ng/ml) (h) (ng.h/ml) ──────────────────────────── 1 204 12 3954 2 116 1.5 1408 3 96 0.75 1273 4 124 1 1864 ──────────────────────────── 平均 135 3.8 2125 S.D. 47 5.5 1245 ────────────────────────────
【0033】
【表3】 表1−3 ラットのPaclitaxel経口吸収性 (c)Paclitaxel+本発明改善剤投与の場合 ──────────────────────────── 動物番号 Cmax Tmax AUC(0-24h) (ng/ml) (h) (ng.h/ml) ──────────────────────────── 1 362 4 3745 2 377 9 5222 3 368 4 3840 4 271 4 3163 ──────────────────────────── 平均 345 5.3 3993 S.D. 49 2.5 873 ────────────────────────────
【0034】実施例2 タキソール(Paclitaxel)の経口投与時のマウス消化管
吸収に及ぼす本発明改善剤の影響について調べた。 (1) 方法:本発明改善剤として、実施例1で用いたもの
と同じものを用いた。放射標識された3H-Paclitaxelは
エタノールに溶解させた後、 Cremophor EL及び生理食
塩水を用いて1mg/mlの濃度に調製して実験に使用
した。3H-Paclitaxelの投与は8mg/kgの投与用量
で強制経口投与した。本発明改善剤は100mg/kg
の投与用量でタキソール投与30分前に強制経口投与し
た。採血は3H-Paclitaxel投与後、1及び2時間にエー
テル麻酔下、心臓よりヘパリン処理した注射筒で行っ
た。採血後直ちに遠心分離を行い、血漿を分取した。得
られた血漿は液体シンチレーションカクテルを加え、液
体シンチレーションカウンターで放射活性を測定した。
【0035】(2) 結果:表4(表4)には0.1% Tween80
或いは本発明化合物を事前投与してPaclitaxelを経口投
与をしたときの平均血漿中放射能濃度推移を示した。ラ
ットの場合と同様に本発明化合物併用群の血漿中放射能
濃度は単独投与群に比較して有意に高い値を示した。
【0036】
【表4】 表4.マウスのPaclitaxel経口吸収性 ─────────────────────────────── 血中Paclitaxel濃度(ng/ml) ────────────────────── 0.1% Tween 80 本発明改善剤 ────────────────────── 動物番号 1h 2h 1h 2h ─────────────────────────────── 1 177.9 166.7 786.1 819.2 2 76.3 150.0 1230.5 755.9 3 223.5 102.7 409.1 575.2 4 268.5 218.0 364.3 741.3 ──────────────────────────────── 平均 186.6 159.6 697.5 722.9 S.D. 82.3 47.6 402.5 104.1 ────────────────────────────────
【0037】実施例1,2の結果よりラット及びマウス
の何れの動物種においても本発明吸収改善剤を併用する
ことにより経口投与時のPaclitaxelの血漿中濃度が上昇
し、腸管からの吸収が改善されたことが明らかとなっ
た。
【0038】実施例3 Paclitaxelの経口投与時の制癌効果に対する、本発明吸
収改善剤の併用効果について評価した。 (1) 方法:マウスメラノーマ細胞株B16細胞1×10
6個をBDF1マウスの体側部皮下に移植し(処理0日
目)、処理3日目から5日間連続で薬物の投与を実施し
た。本発明剤は実施例1.2で用いたものと同一のもの
を使用した。Paclitaxelはエタノールに溶解させた後、
Cremophor EL及び生理食塩水を用いて1.25,2,
2.5,5mg/mlの濃度に溶解して実験に使用した
(10/10/80;v/v/v)。Paclitaxel単独投
与群は、上記のPaclitaxel溶液を25,50,100m
g/kgの投与用量で強制経口投与した。Paclitaxelと
本発明剤の併用投与群は上記の本発明剤を100mg/
kgの投与用量で経口投与し、その30分後にPaclitax
el溶液を25,50,100mg/kgの投与用量で強
制経口投与した。抗腫瘍効果の判定は、対照群と薬物投
与群の腫瘍体積(1/2×L×W2:L=腫瘍長径, W
=腫瘍短径)の比較により行った。
【0039】(2) 結果:表5(表5)には各群における
17日目の腫瘍体積を示した。Paclitaxel単独経口投与
群においては腫瘍体積が無投与群とほぼ等しい値を示し
た。これに対して、併用投与群においてはPaclitaxelの
用量に依存して腫瘍体積の増加が抑制された。
【0040】
【表5】 表5.抗腫瘍効果 ─────────────────────────────────── 投与薬物 腫瘍体積 T/C* (mm3) (%) ─────────────────────────────────── 非投与群 923 100 Paclitaxel(25mg/kg) 1004 109 Paclitaxel(50mg/kg) 973 105 Paclitaxel(100mg/kg) 1032 112 Paclitaxel(25mg/kg)+本発明改善剤(100mg/kg) 851 92 Paclitaxel(50mg/kg)+本発明改善剤(100mg/kg) 469 51 Paclitaxel(100mg/kg)+本発明改善剤(100mg/kg) 349 38 ─────────────────────────────────── *;T/C 非投与群に対する腫瘍体積比
【0041】実施例4 本発明剤のタキソール(Taxol,Paclitaxel)効果増強をマ
ウス白血病由来の細胞株であるP388とその多剤耐性
獲得細胞株、3株(P388/Taxol,P388/
VCR,P388/ADM)を用いたin vitro
の系で検討した。上記の各細胞株をRPMI1640培
地(10%牛胎児血清、20μM 2−メルカプトエタ
ノール、100μM ストレプトマイシンを含有)で培
養した後、96ウエルプレートに0.75〜1.5×1
3cells/0.2ml/wellとなるよう細胞
を播種した。次に各ウエルにd1−5−[3−{4−
(2,2−ジフェニルアセチル)ピペラジン−1−イ
ル}−2−ヒドロキシプロピル]キノリンのフマル酸
塩、分子式 C303133・3/2C444、分子
量655.7(式(2)の化合物、MS−209)を0
又は3μMとなるよう添加した。更にタキソールをDM
SOで溶解したものを最終濃度0.001〜3000n
g/mlとなるよう添加した。72時間培養後、MTT
アッセイで細胞毒性を測定した。結果を表6に示す。タ
キソール耐性細胞(P388/Taxol)に対するタ
キソールの細胞毒性を50%成長阻害率(IC50値)で
表すと、126ng/ml、P388/VCRおよびP
388/ADMに対するIC50値はそれぞれ171ng
/ml,64.1ng/mlであった。またMS−20
9を3μM添加することによって、タキソールの効果は
P388/Taxol細胞では36倍、P388/VC
R細胞では50倍、またP388/ADM細胞では34
倍増強された。
【0042】
【表6】 表6 MS-209のタキソール制癌効果増強作用 ────────────────────────────── IC50 値(ng/ml) ──────────────── 細胞株 MS-209 0μM 3μM ────────────────────────────── P388 3.28 1.46(2.2*) P388/Taxol 126 3.47(36) P388/VCR 171 3.43(50) P338/ADM 64.1 1.86(34) ────────────────────────────── *;()内の数字は効果増強度[IC50(0μM)/IC50(3μM)]を表す
【0043】実施例5 本発明剤のタキソテール(Taxotere, Docetaxel)に対す
る効果増強作用をP388のタキソール耐性株(P388/Taxol)
を用いたin vitroの系で検討した。上記2種の細胞をR
PMI1640培地(10%牛胎児血清、20μM 2
−メルカプトエタノール、100μM ストレプトマイ
シンを含有)で培養し、これを96ウエルプレートに
1.5×103cells/0.1ml/wellとな
るよう播種した。各ウエルにMS−209(式(2)の
化合物)を0または3μMおよびタキソテールを0.0
01〜3000ng/ml添加し、37C、72時間培
養した後、細胞毒性をMTTアッセイで評価した。結果
を表7(表7)に示す。P388/Taxol細胞に対
するタキソテールの細胞毒性(IC50値)は22.4n
g/mlであった。MS−209を3μM添加すると
3.9ng/mlとなり、タキソテールの効果は5.7
倍増強された。
【0044】
【表7】 表7 MS-209のタキソテール抗癌効果増強作用 ─────────────────────────────── IC50 値(ng/ml) ────────────────── 細胞株 MS-209 0μM 3μM ─────────────────────────────── P388/Taxol 22.4 3.91(5.74*) ─────────────────────────────── *;()内の数字は効果増強度[IC50(0μM)/IC50(3μM)]を表す
【0045】実施例6 本発明剤のタキソール(Paclitaxel)に対する効果増強
をP388/Taxol細胞移植マウスを用いて検討し
た。P388/Taxol細胞(106cells/m
ouse)をCD2F1マウス腹腔内に移植した(0日
目)。1日目〜5日目に連日タキソールを単独又はMS
−209と併用で投与した。MS−209は0.1%T
ween80水溶液に懸濁し、経口投与した。タキソー
ルはエタノールに溶解させた後、CremophorEL(BASF社
製)および生食水で希釈調整し、尾静脈内投与した。抗
腫瘍活性は各実験群の生存期間の中央値から得られたT
/C値で評価した(Cは無処置対照群の生存期間)。結
果を表8(表8)に示した。タキソールの単独投与では
生存期間の延長が全くみられなかった。一方、MS−2
09を200mg/kgを併用投与した場合はタキソー
ルの用量依存的に生存期間の延長が認められた。
【0046】
【表8】 表8 P388/Taxol移植マウスを用いたMS-209のタキソール抗癌効果増強作用 ──────────────────────────────────── 投与薬物 匹数 平均生存日数 T/C (日) (%) ──────────────────────────────────── Control 11 10 100 MS-209 (200mg/kg) 6 11 110 Taxol (7.5mg/kg) 6 10 100 Taxol (15mg/kg) 6 10 100 Taxol (7.5mg/kg) + MS-209 (200mg/kg) 6 10.5 105 Taxol (15mg/kg) + MS-209 (200mg/kg) 6 12 120 ────────────────────────────────────
【0047】実施例7 本発明改善剤の製剤実施例を以下に示す。なお、本剤は
一錠中にMS−209を300mg含有する錠剤であ
る。MS−209(300g)、乳糖(36.9g)、
トウモロコシ澱粉(15.9g)を良く混合しヒドロキ
シプロピルセルロース水溶液(11.7g/201m
L)を用いた湿式造粒法によって造粒、乾燥し顆粒とす
る。次いで、カルメロースカルシウム(19.5g)、
ステアリン酸マグネシウム(6g)を順次加えよく混合
し、打錠機を用い、1錠当たり390mgの重量で製錠
し錠剤を得た。
【0048】実施例8 MS−209と経口吸収改善の対象薬剤であるタキソー
ルの合剤である本発明改善剤の製剤例を以下に示す。な
お、本剤は一錠中タキソール100mg及びMS−20
9,300mgを含有する錠剤である。MS−209
(300g)、タキソール(100g)、乳糖(36.
9g)、トウモロコシ澱粉(15.9g)を良く混合し
ヒドロキシプロピルセルロース水溶液(11.7g/2
01mL)を用いた湿式造粒法によって造粒、乾燥し顆
粒とする。次いで、カルメロースカルシム(19.5
g)、ステアリン酸マグネシウム(6g)を順次加えよ
く混合し、打錠機を用い、1錠当たり490mgの重量
で製錠し錠剤を得た。
【0049】
【発明の効果】以上の実施例より明らかなように、本発
明による経口吸収改善剤は経口吸収性の乏しい薬物の吸
収性を改善することによって、新たに臨床上有効な治療
薬や治療法を提供するものであり、かつタキソールやタ
キソテール等のタキサン誘導体の制癌効果を増強させ、
薬物治療領域で非常に大きな利益をもたらす発明であ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 野々村 京子 千葉県茂原市東郷1900番地の1 三井製薬 工業株式会社内 (72)発明者 青木 淳 千葉県茂原市東郷1900番地の1 三井製薬 工業株式会社内 (72)発明者 三田 泉 千葉県茂原市東郷1900番地の1 三井製薬 工業株式会社内 (72)発明者 馬渕 和範 千葉県茂原市東郷1900番地の1 三井製薬 工業株式会社内

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記式(1)(化1)で示されるキノリ
    ン誘導体またはその生物学的に許容される塩を用いるこ
    とを特徴とする経口吸収改善剤。 【化1】 (式中、Aは窒素原子または炭素原子を表し、Bは直接
    の結合、C=Oまたは−(CH2m−を表し、Cは次記
    構造(化2)を表し、 【化2】 Dは−(CH2n−または−CH=CH−を表す。ここ
    で、R1、R2、R3は互いに独立して、水素原子または
    フェニル基を、mおよびnは0〜3の整数を表す。)
  2. 【請求項2】 キノリン誘導体またはその生物学的に許
    容される塩が下記式(2)(化3)で表される化合物で
    ある請求項1に記載の経口吸収改善剤。 【化3】
  3. 【請求項3】 キノリン誘導体またはその生物学的に許
    容される塩が下記式(3)(化4)で表される化合物で
    ある請求項1に記載の経口吸収改善剤。 【化4】
  4. 【請求項4】 経口吸収の改善される薬物が制癌剤であ
    る請求項1〜3の何れか一項に記載の経口吸収改善剤。
  5. 【請求項5】 経口吸収の改善される薬物がタキサン誘
    導体である請求項4に記載の経口吸収改善剤。
  6. 【請求項6】 タキサン誘導体がタキソールまたはタキ
    ソテールである請求項5に記載の経口吸収改善剤。
  7. 【請求項7】 経口吸収の改善される薬物が循環器用
    薬、中枢作用薬または抗ウィルス薬である請求項1〜3
    の何れか一項に記載の経口吸収改善剤。
  8. 【請求項8】 下記式(1)(化5)で示されるキノリ
    ン誘導体またはその生物学的に許容される塩を用いるこ
    とを特徴とするタキサン誘導体の制癌効果増強剤。 【化5】 (式中、Aは窒素原子または炭素原子を表し、Bは直接
    の結合、C=Oまたは−(CH2m−を表し、Cは次記
    構造(化6)を表し、 【化6】 Dは−(CH2n−または−CH=CH−を表す。ここ
    で、R1、R2、R3は互いに独立して、水素原子または
    フェニル基を、mおよびnは0〜3の整数を表す。)
  9. 【請求項9】 キノリン誘導体またはその生物学的に許
    容される塩が下記式(2)(化7)で表される化合物で
    ある請求項8に記載の制癌効果増強剤。 【化7】
  10. 【請求項10】 キノリン誘導体またはその生物学的に
    許容される塩が下記式(3)(化8)で表される化合物
    である請求項8に記載の制癌効果増強剤。 【化8】
  11. 【請求項11】 タキサン誘導体がタキソールまたはタ
    キソテールである請求項8〜10の何れか一項に記載の
    制癌効果増強剤。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2001064253A1 (en) * 2000-03-02 2001-09-07 Hisamitsu Pharmaceutical Co., Inc. P-glycoprotein modifier-containing medicinal compositions to be delivered to the large intestine

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WO2001064253A1 (en) * 2000-03-02 2001-09-07 Hisamitsu Pharmaceutical Co., Inc. P-glycoprotein modifier-containing medicinal compositions to be delivered to the large intestine

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