JPH11217649A - 冷間加工性と高強度特性を兼備した高周波焼入れ用鋼材とその製造方法 - Google Patents
冷間加工性と高強度特性を兼備した高周波焼入れ用鋼材とその製造方法Info
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- JPH11217649A JPH11217649A JP3231298A JP3231298A JPH11217649A JP H11217649 A JPH11217649 A JP H11217649A JP 3231298 A JP3231298 A JP 3231298A JP 3231298 A JP3231298 A JP 3231298A JP H11217649 A JPH11217649 A JP H11217649A
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Abstract
時に冷間加工性に優れ、同時に高周波焼入れ後に、優れ
た強度特性を有する高周波焼入れ用鋼材とその製造方法
を提供する。 【解決手段】 C、Si、Mn、S、Cr、B、Al、
N、Ti、Mo、Ni、Nbを特定し、かつ、ミクロ組
織は実質的にフェライト・パーライト組織であり、フェ
ライト結晶粒径が25μm以下であり、熱間圧延方向に
平行な断面の組織のフェライトバンドの評点が1〜5で
ある鋼材。また、上記成分の鋼を加熱温度を1050℃
以上、仕上げ温度を800〜1000℃で熱間圧延して
800〜500℃の温度範囲を1℃/秒以下で徐冷する
製造方法。
Description
材に関わり、さらに詳しくは、特に5〜40kHzの周
波数で高周波焼入れすることにより製造される各種歯車
類、等速ジョイントのドライブシャフトや外輪のような
各種シャフト類の素材として好適な、冷間加工性と高強
度特性を兼備した高周波焼入れ用鋼材とその製造方法に
関するものである。本発明で言う冷間加工性とは、冷間
鍛造性、切削性、転造性の総称である。また、本発明で
言う強度特性とは、主として捩り強度、捩り疲労強度、
曲げ疲労強度である。本鋼材の適用の対象となる部品の
成形加工工程は、焼鈍を行わずに直接冷間鍛造を行う工
程、冷間鍛造の前または中間に焼鈍を行う工程、これら
に切削工程を含んだ工程、または主として切削により部
品を成形加工する工程、一部焼鈍工程を含んだ切削で部
品を成形加工する工程、さらにこれらのいずれかに転造
加工を含む工程、あるいはこれらのいずれかに温間鍛造
を組み合わせた工程等である。
で製造されているが、冷間鍛造へ切り替える傾向が強く
なっている。これは、冷間鍛造は、製品の表面肌、寸法
精度が良く、熱間鍛造に比べて製造コストが低く、歩留
まりも良好であるためである。
ては、鋼材の冷間変形抵抗の低減と限界圧縮率の向上が
重要な課題である。これは、前者は、鍛造工具の寿命を
確保するためであり、後者は冷間鍛造時の鋼材の割れを
防止するためである。
は、現在、冷間鍛造工程または切削工程で製造されてい
るが、現状では軟化焼鈍を必要とする場合が多く、焼鈍
省略の指向も強い。
る各種シャフト類についても、切削性の向上、転造性の
向上の指向が強い。
強度は、従来材と同等のレベルが求められる。本発明で
は、5〜40kHzの周波数で高周波焼入れする製品を
対象としている。従来の主流である100kHz前後の
周波数で高周波焼入れされる製品は、そもそも硬化層深
さが浅く(例えば、硬化層深さは半径の4分の1程
度)、耐摩耗性等の確保が主体であり、最表面の硬さの
確保が重要な課題であった。これに対して、本発明で対
象とする、5〜40kHzの周波数で高周波焼入れする
製品においては、捩り強度、捩り疲労強度の確保が主た
る狙いであり、硬化層深さを深くすることと硬化層の硬
さムラを防ぐことが、高強度化のポイントである。その
ためには、高周波焼入れ性を確保することが必須であ
る。高周波焼入れ性を増加させると通常は硬くなるため
に、一般には鋼材の冷間加工性と高周波焼入れ後の高強
度特性は相反するものである。つまり、冷間加工性と高
強度特性の兼備が、高周波焼入れ用鋼材の最大の課題と
言える。即ち、冷間加工性の向上により、熱鍛から冷鍛
への切り替え、あるいは焼鈍の簡略化・省略化、冷鍛、
切削、転造加工の各工具の寿命向上等が可能であり、か
つ高周波焼入れ後は高強度特性に優れて、必要な強度特
性が確保できるような鋼材が求められている。
報には、C:0.35超〜0.65%、Si:0.15
%以下、Mn:0.6%以下、B:0.0005〜0.
005%、Ti:0.050%以下、Al:0.015
〜0.05%、またはさらにCr:0.50%未満を含
有し、またはさらにP:0.015%以下、N:0.0
1%以下に規制した冷間鍛造用鋼を素材として冷間鍛造
を行ったのち高周波焼入れを施して機械構造用部品を製
造することを特徴とする機械構造用部品の製造方法が開
示されている。該公報の実施例には周波数100kHz
で高周波焼入れした材料の表面硬さと硬化層深さが開示
されているが、強度特性については示されていない。そ
もそも、本発明で対象とする5〜40kHzの周波数で
高周波焼入れした場合には、周波数100kHzで高周
波焼入れした場合とは、硬化層硬さ、硬化層深さは大き
く異なるために、該公報の実施例に記載された鋼をその
まま5〜40kHzの周波数で焼入れしても、後ほど述
べるように捩り強度等の十分な強度特性を得ることは困
難と考えられる。
は、C:0.38〜0.45%、Si:0.35%以
下、Mn:0.3〜1.0%、B:0.0005〜0.
0035%、Ti:0.01〜0.05%、Al:0.
01〜0.06%、N:0.01%以下、フェライト結
晶粒度番号:6以上、ミクロ組織:フェライトとパーラ
イト、硬さHRB80〜90、JIS0558で規定す
る脱炭深さ:DM−T0.2mm以下を有する直接切削
・高周波焼入れ用鋼材が示されている。該発明鋼材はB
鋼を適用し、脱炭深さを規定した点が特徴であるが、該
鋼材は冷間加工性が不十分であるため、加工率の大き
な部品への適用は不可能であり、また高周波焼入れ性
が不足するために、高周波焼入れ部の硬さの不足や、硬
さムラの発生が問題となり、捩り強度等の強度特性は十
分ではない場合が起きる。以上の経緯から、上記の鋼材
は、必ずしも幅広く適用されていないのが現状である。
た鋼材では、冷間加工性は不十分であり、また高周波焼
入れ後の強度特性が不足する。本発明はこのような問題
を解決して、冷間加工性と高強度特性を兼備した高周波
焼入れ用鋼材とその製造方法を提供するものである。
を用いて上記の課題を解決した。すなわち、本発明の請
求項1〜3の発明は、C:0.38超〜0.58%、S
i:0.01〜0.15%、Mn:0.2〜0.6%、
S:0.005〜0.15%、Cr:0.15〜0.6
%、B:0.0005〜0.005%、Al:0.01
5〜0.05%、N:0.007%未満(0%を含む)
を含有し、TiをN含有量に応じて、0.015〜3.
4N+0.02%の範囲含有し、P:0.025%以下
(0%を含む)、O:0.0025%以下(0%を含
む)に各々制限し、またはさらに、Mo:0.02〜
0.3%、Ni:0.02〜1.0%のうち1種または
2種を含有し、またはさらに、Nb:0.002〜0.
035%を含有し、残部が鉄および不可避的不純物から
なり、かつ、ミクロ組織は実質的にフェライト・パーラ
イト組織であり、フェライト結晶粒径が25μm以下で
あり、熱間圧延方向に平行な断面の組織のフェライトバ
ンドの評点が1〜5であることを特徴とする冷間加工性
と高強度特性を兼備した高周波焼入れ用鋼材である。
成分の鋼を、加熱温度を1050℃以上、熱間圧延の仕
上げ温度を800〜1000℃、熱間圧延に引き続いて
800〜500℃の温度範囲を1℃/秒以下の冷却速度
で徐冷する条件により線材または棒鋼に熱間加工し、熱
間加工後のミクロ組織は実質的にフェライト・パーライ
ト組織であり、フェライト結晶粒径が25μm以下であ
り、熱間圧延方向に平行な断面の組織のフェライトバン
ドの評点が1〜5である鋼材となるようにすることを特
徴とする冷間加工性と高強度特性を兼備した高周波焼入
れ用鋼材の製造方法である。
り、素材の段階では冷間加工性に優れ、高周波焼入れ後
の製品の状態においては優れた強度特性を有することが
できる。
と高周波焼入れ性を実現するために、鋭意調査し、次の
点を明らかにした。
めに、固溶体硬化元素であるSi、Pを低減することが
必要である。また、同じ理由からMn量を低めに抑える
ことが有効である。一方、高周波焼入れ後の高強度特性
を得るためにC量を0.38%超とし、高周波焼入れ性
を確保する必要がある。
て、高周波焼入れ性を向上させるためには、Crの添
加、およびBの添加が有効である。Bを焼入れ性に効か
せるためには、固溶Nの固定が必要であり、そのために
通常Tiを添加する。ここで、TiN、Ti(CN)
は、冷間加工性を劣化させる。つまり、TiN、Ti
(CN)による析出硬化により冷間変形抵抗がアップす
るとともに、冷鍛割れの原因となる。そのため、N量を
0.007%未満に低減する。特開平3−177537
号公報の技術が冷間加工性が不十分であるのは、その実
施例の第1表から明らかなように、実施例5、7、10
を除いて、N量が0.0070%以上であることが原因
の一つと推定される。なお、実施例5、7、10はCr
量が0.15%未満であり、焼入れ性が不足していると
推定される。さらに、固溶Nを固定するために添加する
Ti量もN量に対応して、必要最小限とすることが必要
である。また、酸化物系介在物は冷間鍛造性を劣化させ
るので酸素量を特定量以下に制限する必要がある。
優れた冷間加工性を確保するためには、圧延ままで、実
質的にベイナイト組織を含まないフェライト・パーライ
ト組織とすることが必要である。
較して、高周波焼入れ性は急速加熱のために、前組織の
影響を大きく受ける。粗大なフェライトがフェライトバ
ンドとして列状に存在すると、炭化物の溶体化が不十分
であり、高周波焼入れ後、硬さ不足や硬さムラを生じ、
硬化層深さも浅くなる。本状態では、高周波焼入れ後の
強度特性が不足する。つまり、高周波焼入れ後の高強度
特性を確保するためには、前組織を適正な組織として、
炭化物の溶体化不良を抑制することがポイントである。
図1は、高周波焼入れ前の組織にフェライトバンドが存
在すると、高周波焼入れ後にどのような影響がでるかを
模式的に表した図である。フェライトバンドが顕著であ
ると、図1に示したように、高周波焼入れ後、元々パー
ライト組織の部分が高炭素マルテンサイト、元々フェラ
イトバンドの部分が低炭素マルテンサイトとなり、硬い
層と軟らかい層が軸方向に沿って層状に存在することに
なる。このような鋼材に、捩り応力を負荷した場合、軸
方向が剪断応力最大の方向になるため、軟らかい低炭素
マルテンサイト層にそって、剪断き裂が発生・伝播し、
低強度での破壊を招く。歯車のような曲げ応力が作用す
る場合も同様で、歯元において、低炭素マルテンサイト
層に沿って、曲げ応力によるき裂が発生・伝播する。さ
らに、フェライト粒径が粗大なほど炭素の拡散距離が長
くなり、上記の硬さムラは顕著になるため、硬さムラの
防止と硬化層深さを深くするためには、フェライト粒径
の微細化も重要である。以上から、フェライトの結晶粒
径をある値以下に制限し、フェライトバンドを抑制する
ことが必須である。従来技術の項で述べたように、特公
平1−38847号公報の実施例に記載された鋼をその
まま5〜40kHzの周波数で高周波焼入れしても、捩
り強度等の十分な強度特性を得ることは困難と考えられ
るのは、該材料がフェライトバンドとフェライト粒径と
いう組織因子を全く配慮していないためである。ここ
で、フェライトバンドの程度は、図2に示すように、昭
和45年社団法人日本金属学会発行「日本金属学会誌第
34巻第9号第961頁」において1〜7の7段階に評
点化されている。すなわち、上記の日本金属学会誌第3
4巻第9号の第957頁〜962頁には、標題のとおり
「フェライト縞状組織におよぼすオーステナイト結晶粒
度と鍛造比の影響について」が記載されており、第96
1頁左欄第7〜8行には「縞状組織の程度を数量的に表
示するために、Photo.4の基準写真を作成し
た。」と記載されており、同頁の「Photo.4 C
lassifications of ferrite
bands (×50×2/3×5/6)」には1〜
7の基準写真が掲載されている。該評点では、評点の番
号が小さいほどフェライトバンドが軽微であり、評点の
番号が大きいほどフェライトバンドが顕著であることを
示している。高周波焼入れ後の硬さムラを抑制するため
には、熱間圧延方向に平行な断面の組織の、上記の日本
金属学会誌第34巻第961頁で定義されたフェライト
バンドの評点が1〜5であることが必要である。なお、
フェライトバンドの影響は、球状化焼鈍等の焼鈍後の組
織にも引き継がれるため、球状化焼鈍材についてもフェ
ライトの結晶粒径をある値以下に制限し、フェライトバ
ンドを抑制することは有効である。
ンドの程度を軽減するためには、熱間加工時の加熱温度
を1050℃以上と高めに設定し、圧延後の仕上げ温度
・冷却条件を最適化すれば良い。
織の生成を抑えて実質的にフェライト・パーライト組織
を得るためには、圧延後の仕上げ温度・冷却条件を最適
化する必要がある。
を向上させるためには、旧オーステナイト粒界の粒界強
化がポイントである。旧オーステナイト粒界の粒界強化
には、低P化、B添加が有効である。
なされたものである。
素であるが、0.38%以下では必要な強さを確保する
ことができず、0.58%を越えると硬くなって冷間加
工性が劣化するので、0.38超〜0.58%の範囲内
にする必要がある。好適範囲は0.4〜0.56%であ
る。
に、鋼に必要な強度、焼入れ性を与え、焼戻し軟化抵抗
を向上するのに有効な元素であるが、0.01%未満で
はその効果は不十分である。一方、0.15%を越える
と、硬さの上昇を招き冷間加工性が劣化する。以上の理
由から、その含有量を0.01〜0.15%の範囲内に
する必要がある。好適範囲は0.03〜0.1%であ
る。
素であるが、0.2%未満ではその効果は不十分であ
る。一方、0.6%を越えると、硬さの上昇を招き冷間
加工性が劣化するので、0.2%〜0.6%の範囲内に
する必要がある。好適範囲は0.25〜0.5%であ
る。
削性の向上を目的として添加するが、0.005%未満
ではその効果は不十分である。一方、0.15%を超え
るとその効果は飽和し、むしろ粒界偏析を起こし粒界脆
化を招く。以上の理由から、Sの含有量を0.005〜
0.15%の範囲内にする必要がある。好適範囲は0.
005〜0.04%である。
れ性を向上させるのに有効な元素であるが、0.15%
未満ではその効果は不充分であり、0.6%を超えて添
加すると硬さの上昇を招き冷間加工性が劣化する。以上
の理由から、その含有量を0.15〜0.6%の範囲内
にする必要がある。好適範囲は0.3〜0.5%であ
る。
鋼・線材圧延において、圧延後の冷却過程でボロン鉄炭
化物を生成することにより、フェライトの成長速度を増
加させ、圧延ままでの軟質化を促進する。高周波焼入
れに際して、鋼に焼入れ性を付与する。高周波焼入れ
材の粒界強度を向上させることにより、機械部品として
の疲労強度・衝撃強度を向上させる。0.0005%未
満の添加では、上記の効果は不十分であり、0.005
%を超えるとその効果は飽和するので、その含有量を
0.0005〜0.005%の範囲内にする必要があ
る。好適範囲は0.001〜0.003%である。
%未満ではその効果は不十分である。一方、0.05%
を越えると、AlNが圧延加熱時に溶体化しないで残存
し、Tiの析出物の析出サイトとなり、冷間加工性を劣
化させる。以上の理由から、その含有量を0.015〜
0.05%の範囲内にする必要がある。好適範囲は0.
02〜0.04%である。
ることが望ましい。Bは上記のように焼入れ性向上、
粒界強化等を目的として添加するが、これらのBの効果
は鋼中で固溶Bの状態で初めて効果を発現するため、N
量を低減してBNの生成を抑制することが必須である。
また、Nは鋼中のTiと結びつくと粗大なTiNを生
成し、硬さを増加させるとともに、TiNが冷鍛割れの
原因となるため、冷間加工性が顕著に劣化する。上記の
悪影響はN量が0.007%以上の場合特に顕著であ
る。以上の理由から、その含有量を0.007%未満に
制限する必要がある。好適範囲は0.005%以下であ
る。
るが、これによる固溶Nの固定によるBNの析出防止、
つまり固溶Bの確保を目的として添加する。しかしなが
ら、0.015%未満ではその効果は不十分である。一
方、TiをN含有量に応じて、3.4N+0.02%を
超えて添加すると、TiCによる析出硬化が顕著にな
り、冷間加工性が顕著に劣化する。以上の理由から、そ
の含有量をN含有量に応じて、0.015〜3.4N+
0.02%の範囲内にする必要がある。好適範囲は、
0.02〜3.4N+0.015%である。
劣化させる元素であるため、冷間加工性が劣化する。ま
た、高周波焼入れ、焼戻し後の部品の結晶粒界を脆化さ
せることによって、最終製品の疲労強度を劣化させるの
でできるだけ低減することが望ましい。従ってその含有
量を0.025%以下(0%を含む)に制限する必要が
ある。好適範囲は0.015%以下(0%を含む)であ
る。
系介在物を形成する。酸化物系介在物が鋼中に多量に存
在すると、冷間加工性が劣化する。O含有量が0.00
25%を超えると特にその傾向が顕著になる。以上の理
由から、その含有量を0.0025%以下(0%を含
む)に制限する必要がある。好適範囲は0.002%以
下(0%を含む)である。
iの1種又は2種を含有する。
に、高周波焼入れ後の粒界強度を向上させて強度特性を
増加させるのに有効な元素であるが、0.02%未満で
はその効果は不十分であり、0.3%を越えて添加する
と硬さの上昇を招き冷間加工性が劣化する。以上の理由
から、その含有量を0.02〜0.3%の範囲内にする
必要がある。
効な元素であるが、0.02%未満ではその効果は不十
分であり、1.0%を越えて添加すると硬さの上昇を招
き冷間鍛造性が劣化する。以上の理由から、その含有量
を0.02〜1.0%の範囲内にする必要がある。
有する。Nbは鋼中のC、Nと結びついてNb(CN)
を形成し、結晶粒の微細化に有効な元素である。0.0
02%未満ではその効果は不十分である。一方、0.0
35%を超えると、素材の硬さが硬くなって冷間加工性
が劣化するとともに、棒鋼・線材圧延加熱時の溶体化が
困難になる。以上の理由から、その含有量を0.002
〜0.035%の範囲内にする必要がある。好適範囲
は、0.005〜0.03%である。
組織が実質的にフェライト・パーライト組織であり、フ
ェライト結晶粒径を25μm以下に制限し、かつ熱間圧
延方向に平行な断面の組織のフェライトバンドの評点が
1〜5の範囲に制限する。フェライトバンドの評点は、
上記のように日本金属学会誌第34巻第961頁で定義
された評点である。本発明において、組織因子をこのよ
うに限定した理由を以下に述べる。
ト組織としたのは、ミクロ組織にベイナイトやマルテン
サイト組織のような硬質組織が混入すると、冷間加工性
が顕著に劣化し、冷間鍛造や切削が困難になるためであ
る。
に、高周波焼入れ前の組織のフェライトが粗大である
と、フェライトの部分は、オーステナイト化後、炭素の
拡散が不十分であり、炭素濃度が添加炭素濃度よりも低
くなり、焼入れ後、その位置での硬さが小さくなる。こ
こで、一般的に熱間圧延後の鋼材の圧延方向に平行な断
面ではフェライトバンドと呼ばれる縞状組織が認められ
る。粗大なフェライトがフェライトバンドとして列状に
連続して存在すると、図1に示したように、焼入れ後の
硬さムラが特に顕著になり、長手方向に元のフェライト
バンドに対応して硬さの軟らかいバンドを形成する。そ
のため、最終部品に捩りモーメントを負荷した時に、こ
の軟質なバンドに沿って剪断き裂力が生成し、低い強度
で破壊する。以上の現象は、フェライト粒径が25μm
を超え、フェライトバンドの評点が5を超えると特に顕
著になる。以上の理由から、フェライト結晶粒径を25
μm以下に制限し、かつ熱間圧延方向に平行な断面の組
織のフェライトバンドの評点が1〜5とした。好適範囲
は、フェライト結晶粒径を20μm以下、熱間圧延方向
に平行な断面の組織のフェライトバンドの評点が1〜4
の範囲である。
1050℃以上、熱間圧延の仕上げ温度を800〜10
00℃、熱間圧延に引き続いて800〜500℃の温度
範囲を1℃/秒以下の冷却速度で徐冷する条件で線材ま
たは棒鋼に熱間加工する。
は、次の理由による。加熱温度が1050℃未満では、
フェライトバンドの評点が5を超えるほどにフェライト
バンドが顕著になり、その後の高周波焼入れ後の硬さム
ラが増大する。また、加熱温度が1050℃未満では、
加熱時にTiCが溶体できずTi(CN)として粗大化
し、冷間加工性を劣化させる。そのため、熱間加工に際
して、1050℃以上の温度で加熱することが必要であ
る。好適範囲は1100℃以上である。特に、Nb添加
鋼において、高周波焼入れ後のオーステナイト粒度を1
0番以上に微細化して高強度化を図るためには、加熱温
度を1100℃以上とするのが望ましい。
000℃とするのは次の理由による。仕上げ温度が80
0℃未満では、フェライトバンドが評点5を超えるほど
に顕著になり、その後の高周波焼入れ後の硬さムラが増
大する。一方、仕上げ温度が1000℃を超えると、圧
延材の硬さが硬くなって冷間加工性が劣化する。以上の
理由から、熱間圧延の仕上げ温度を800〜1000℃
とする。好適範囲は840〜960℃である。
0℃の温度範囲を1℃/秒以下の冷却速度で徐冷するの
は次の理由による。冷却速度が1℃/sを越えると、圧
延ままでの硬さの増加が顕著になり、冷間加工性が劣化
する。そのため、冷却速度1℃/秒以下に制限する。好
適範囲は0.7℃/s以下である。なお、冷却速度を小
さくする方法としては、圧延ラインの後方に保温カバー
または熱源付き保温カバーを設置し、これにより、徐冷
を行う方法が挙げられる。
却速度、分塊圧延条件については特に限定するものでは
なく、本発明の要件を満足すればいずれの条件でも良
い。
に具体的に示す。
鋳造し、必要に応じて分塊圧延工程を経て162mm角
の圧延素材とした。続いて、熱間加工により、直径36
〜45mmの棒鋼を製造した。熱間圧延後の冷却は、一
部の材料は空冷、また一部の材料は冷却床に設置した保
温カバーを用いて冷却速度を空冷よりも遅くした。
ト結晶粒度、圧延方向に平行な断面のフェライトバンド
の評点を求めた。
定した。切削性は硬さに比例することから、硬さを切削
性の指標とした。さらに、圧延ままの棒鋼から、据え込
み試験片を作成し、冷間加工性の指標として、冷間変形
抵抗と限界据え込み率を求めた。冷間変形抵抗は相当歪
み1.0における変形抵抗で代表させた。
料についても、上記の要領で硬さと冷鍛性の評価を行っ
た。
捩り試験片、捩り疲労試験片を採取した。静的捩り試験
片、捩り疲労試験片について周波数8.5kHzで高周
波焼入れを行い、その後170℃×1時間の条件で焼戻
しを行った。その後、静的捩り試験、捩り疲労試験を行
った。捩り疲労特性は1×105サイクルでの時間強度
で評価した。
て表2、3に示す。高周波焼入れ材の硬化層深さは、H
V450の深さtと半径rの比で表示した。
た比較例36はJISのS53Cの特性である。本願発
明例の0.4〜0.42%C鋼については比較例35
と、本願発明例の0.48〜0.53%C鋼については
比較例36と比較すると、本発明例の冷間変形抵抗は、
各比較例に比較して、概ね約1割以上小さく、また限界
据え込み率も優れている。硬さも軟らかい。球状化焼鈍
材についても同様のことが言える。さらに、本発明例の
高周波焼入れ材の静的捩り強度、捩り疲労強度ともに優
れている。
有量が本願規定の範囲を下回った場合であり、高周波焼
入れ材の硬化層硬さが低く、強度特性が不足する。比較
例25はCの含有量が本願規定の範囲を上回った場合で
あり、比較例26はSiの含有量が本願規定の範囲を上
回った場合であり、本発明例に比較して、硬く、冷間加
工性が劣る。比較例27はMnの含有量が本願規定の範
囲を下回った場合であり、高周波焼入れ材の硬化層深さ
が浅く、強度特性が不足する。比較例28はMnの含有
量が本願規定の範囲を上回った場合であり、本発明例に
比較して、硬く、冷間加工性が劣る。比較例29はCr
の含有量が本願規定の範囲を上回った場合であり、本発
明例に比較して、硬く、冷間加工性が劣る。
を上回った場合であり、冷鍛性の限界圧縮率が顕著に劣
る。比較例31はTiの含有量が本願規定の範囲を上回
った場合であり、硬く、冷間変形抵抗は高く、限界圧縮
率も顕著に劣る。
を上回った場合であり、冷鍛性の限界圧縮率が劣化する
とともに、高周波焼入れ後の強度特性が不足する。比較
例33はOの含有量が本願規定の範囲を上回った場合で
あり、冷鍛性の限界圧縮率が顕著に劣る。比較例34は
Nbの含有量が本願規定の範囲を上回った場合であり、
硬く、冷間変形抵抗は高く、限界圧縮率も劣る。
本願規定の範囲を下回り、圧延方向に平行な断面のフェ
ライトバンドの評点が本願規定の範囲を上回った場合で
あり、また、比較例38は熱間圧延時の仕上げ温度が本
願規定の範囲を下回り、圧延方向に平行な断面のフェラ
イトバンドの評点が本願規定の範囲を上回った場合であ
り、ともに高周波焼入れ材の硬化層の硬さムラが大き
く、静的捩り強度、捩り疲労強度ともに顕著に劣ってい
る。比較例39は、熱間圧延仕上げ温度が本願規定の範
囲を上回った場合であり、比較例40は熱間圧延に引き
続く冷却速度が本願規定の範囲を上回った場合であり、
ともに、ベイナイトを生成し、冷間加工性が顕著に劣
る。比較例41は、フェライト結晶粒径が本願規定の範
囲を上回った場合であり、高周波焼入れ材の硬化層の硬
さムラが大きく、静的捩り強度、捩り疲労強度ともに顕
著に劣っている。
した高周波焼入れ用鋼材とその製造方法を用いれば、冷
間鍛造や切削工程で製造される高強度高周波焼入れ部品
の製造に際して、部品成形時には冷間加工性に優れ、同
時に高周波焼入れ後には、優れれた強度特性を有する製
品を得ることができる。本発明鋼を用いることによっ
て、製造工程の熱間鍛造から冷間鍛造への切り替え、工
具寿命の向上、焼鈍の簡略化や省略が可能になる。以上
のように、本発明による産業上の効果は極めて顕著なる
ものがある。
波焼入れ後に及ぼす影響を示す図である。
写真である。
Claims (4)
- 【請求項1】 重量%で、C:0.38超〜0.58
%、Si:0.01〜0.15%、Mn:0.2〜0.
6%、S:0.005〜0.15%、Cr:0.15〜
0.6%、B:0.0005〜0.005%、Al:
0.015〜0.05%、N:0.007%未満(0%
を含む)を含有し、TiをN含有量に応じて、0.01
5〜3.4N+0.02%の範囲含有し、P:0.02
5%以下(0%を含む)、O:0.0025%以下(0
%を含む)に各々制限し、残部が鉄および不可避的不純
物からなり、かつ、ミクロ組織は実質的にフェライト・
パーライト組織であり、フェライト結晶粒径が25μm
以下であり、熱間圧延方向に平行な断面の組織のフェラ
イトバンドの評点が1〜5であることを特徴とする冷間
加工性と高強度特性を兼備した高周波焼入れ用鋼材。 - 【請求項2】 さらに、重量%で、Mo:0.02〜
0.3%、Ni:0.02〜1.0%のうち1種または
2種を含有することを特徴とする請求項1記載の冷間加
工性と高強度特性を兼備した高周波焼入れ用鋼材。 - 【請求項3】 さらに、重量%で、Nb:0.002〜
0.035%を含有することを特徴とする請求項1また
は請求項2記載の冷間加工性と高強度特性を兼備した高
周波焼入れ用鋼材。 - 【請求項4】 請求項1から請求項3のいずれかに記載
の成分の鋼を、加熱温度を1050℃以上、熱間圧延の
仕上げ温度を800〜1000℃、熱間圧延に引き続い
て800〜500℃の温度範囲を1℃/秒以下の冷却速
度で徐冷する条件により線材または棒鋼に熱間加工し、
熱間加工後のミクロ組織が実質的にフェライト・パーラ
イト組織であり、フェライト結晶粒径が25μm以下で
あり、熱間圧延方向に平行な断面の組織のフェライトバ
ンドの評点が1〜5である鋼材となるようにすることを
特徴とする冷間加工性と高強度特性を兼備した高周波焼
入れ用鋼材の製造方法。
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