JPH11220146A - 太陽電池の製造方法 - Google Patents

太陽電池の製造方法

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JPH11220146A
JPH11220146A JP10018830A JP1883098A JPH11220146A JP H11220146 A JPH11220146 A JP H11220146A JP 10018830 A JP10018830 A JP 10018830A JP 1883098 A JP1883098 A JP 1883098A JP H11220146 A JPH11220146 A JP H11220146A
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solar cell
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alkali hydroxide
aqueous solution
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昇市 唐木田
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智 有本
Hiroaki Morikawa
浩昭 森川
Satoru Hamamoto
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 実用的な手段で光閉じ込めを効果的にする為
の凹凸形状の形成が可能であり、工程の簡略化と低コス
ト化が実現できる太陽電池の製造方法を提供すること。 【解決手段】 機械加工によりスライスされて形成され
た粗の表面を有するSi基板1に対して、主として上記
スライス工程で損傷を受けた表層部7を除去すると共
に、上記スライス工程にて形成された凹凸形状8を残す
ために、0.25〜3.0mol/lの水酸化アルカリ
を含む水溶液を用いてエッチングを行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、高効率の太陽電
池の製造方法に関するものであり、特に多結晶シリコン
太陽電池の高効率化に有効な方法を提供するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】まず、図面を用いて従来の太陽電池の製
造工程の一例を説明する。図8の(a)〜(h)は、一
般的に行われている従来の太陽電池の製造工程を示す図
である(工程フロー)。図8の(a)〜(h)の工程フ
ローにおいて、1は半導体基板としてのp型Si基板、
2はn型拡散層、3はアルミペースト電極、4はp
+層、5は表面銀ペースト電極、6は裏面銀ペースト電
極、7は基板表面のダメージ及びウエハスライス工程の
汚染、8は表面に作製した凹凸形状である。
【0003】図8の(a)は、インゴットからスライス
されたままの基板を示している。太陽電池の場合、イン
ゴットからスライスされたままの基板を用いることが多
いため、基板には、スライスに用いたIDソーやワイヤ
ソー等の傷による基板表面ダメージ及びウエハスライス
工程の汚染7が存在する。
【0004】そこで、図8の(b)の工程は、これらス
ライスに用いたワイヤーソー等の傷による基板表面ダメ
ージ及びウエハスライス工程の汚染7を取り除くための
工程である。この部分が残存した状態では、基板全体と
して半導体結晶として十分に機能しない。半導体デバイ
スである太陽電池を有効に機能させる為には、この損傷
を受けた部分は除去される必要がある。この1次エッチ
ングによって、Si基板の表面のおよそ10〜20μm
程度、基板表面がエッチングされる。
【0005】この表面ダメージ及びウエハスライス工程
の汚染7の除去状態を知ることのできる太陽電池の特性
として開放電圧(Voc)がある。これは、太陽電池の
正極と負極との間に何も接続しない状態での電圧であ
る。そして、表面ダメージ及びウエハスライス工程の汚
染7の除去が不十分であると、このVocが低下するこ
とが知られている。
【0006】続いて、図8の(c)の工程は、太陽電池
の表面(受光面)に凹凸形状8を形成するための工程で
ある。この凹凸形状8により、通常の平坦な受光面であ
れば一回の反射で外部へと逃げてしまう光であっても、
傾斜面を何回か反射させて、基板内部へと導入すること
が可能となる。その結果、より多くの光を太陽電池内部
に吸収させることができ、太陽電池の特性が向上する。
なお、この特性向上の指針として短絡光電流密度(Js
c)といわれる太陽電池の特性がある。これは、太陽光
を入射した状態で太陽電池の正負両極を導線で接続し、
短絡した状態での電流を、その太陽電池の面積で割った
値である。このJscの値が大きいほど、より多くの光
が太陽電池内部に吸収されていることを示しており、上
述の凹凸形状8が効率よく形成されていることになる。
一般にこの図8の(c)の工程を行うことにより、例え
ば、(100)単結晶シリコン基板を用いた場合、5〜
10%程度Jscを向上させることができる。
【0007】次に、図8の(d)において例えばリン
(P)を熱的に拡散することにより、導電型を反転させ
たn型拡散層2を形成する。通常リンの拡散源として
は、オキシ塩化リン(POCl3)が用いられることが
多い。また特に工夫の無い場合、n型拡散層はp型Si
基板1の全面に形成される。なお、このn型拡散層2は
数十Ω/□程度、拡散層の深さは0.3〜0.5μm程
度である。
【0008】詳細は省略するが、このn型拡散層2は例
えばレジストで片面を保護した後、図8の(e)に示す
ように一主面のみにn型拡散層2を残すようにエッチン
グ除去し、後にこのレジストは有機溶剤等を用いて除去
される。
【0009】この後、図8の(e)におけるn型拡散層
2の対面に、図8の(f)に示すように例えばスクリー
ン印刷法(またはロールコータ方式)でアルミペースト
電極3を印刷後、図8の(g)に示すように、700〜
900℃で数分から数十分、炉の中で焼成することによ
りアルミペーストから不純物としてアルミがp型Si基
板中に拡散し、高濃度不純物を含んだp+層4が形成さ
れる。この層は一般にBSF(Back Surfac
e Field)層と呼ばれ、太陽電池のエネルギー変
換効率の向上に寄与するものである。また、図8では簡
略化のため省略したが、この後、n型拡散層の表面に反
射防止膜を設けてもよい。
【0010】この後、図8の(h)に示すように表面
(受光面)と裏面に銀ペースト電極5、6を印刷し、再
度焼成を行うことで太陽電池が完成する。なお、工程簡
略化の為に図8び(g)の焼成工程を省略し、図8の
(h)の後に一度の焼成で太陽電池を完成させることも
可能である。
【0011】さて、図8の(c)に示した工程は、本発
明に関連したものであるため、ここで更に詳しく説明す
る。一般にシリコン太陽電池において、表面に凹凸形状
を形成して表面からの入射光を効率良く内部に取り込む
ことは、太陽電池の高効率化には必須であり、これまで
種々の方法が提案されてきた。その方法は、(1)機械
的方法、(2)化学的方法の大きく2つに分類できる。
以下、順にこれらの方法について説明する。
【0012】(1)機械的方法 第1例は特公平7−105518号公報に開示されてい
る方法で、多結晶シリコン太陽電池の表面に機械的にV
溝を形成して凹凸形状を形成する。この例によって形成
された断面構造を図9に示す。第2例は9th Int
enational Photovoltaic Sc
ience and Engineering Con
ferenceに開示されている方法で、RIE(Re
acitive Ion Etching)とよばれる
エッチング方法により多結晶シリコン太陽電池の表面に
ビラミッド状の構造を形成する。RIEにより形成され
た凹凸形状の顕微鏡写真を図10に示す。
【0013】上記に示した2例の詳細を次に述べる。第
1例の機械的V溝形成法は先端にダイアモンド、炭化珪
素等のシリコンより硬度の高い材料を埋め込んだ複数の
回転ブレードを基板に押し当てて走引させることにより
基板表面にV字形状の溝を形状させる。V溝のピッチは
ブレードの間隔により調整するが一般的には数百μm程
度、また、V溝の深さは数10μm程度である。この様
に機械的に溝を形状した後、基板はアルカリ水溶液等の
シリコンのエッチングが可能な溶液に浸漬させて機械加
工によりブレードとの接触部に発生した結晶欠陥層の除
去を行う。第2例のRIEによる凹凸形成法は、塩素ガ
スをエッチングガスとして減圧下でプラズマにより発生
した塩素イオンおよび塩素ラジカルとシリコンとを反応
させシリコンを塩化物として蒸発除去により処理を行
う。凹凸形状の形成機構については開示されていないの
で不明であるが、エッチングマスクの無い状態でエッチ
ングを行っていることから反応生成物であるシリコンの
塩化物の一部が表面に残存し、この残留物をマイクロマ
スクとして円柱状の突起形状を形成していると推定され
る。この様にして表面に凹凸形状を形成した後、基板
は、湿式洗浄により表面に残存する生成物等を除去して
一連の処理を終えると考えられる。
【0014】(2)化学的方法 第3例はProgress in Pohtovolt
aics:Reseatch and Applica
tions,Vol.4,435−438(1996)
に開示されている方法で、水酸化ナトリウムおよびイソ
プロピルアルコールの混合水溶液を用いた湿式エッチン
グにより基板表面に凹凸形状(テクスチャー構造)を形
成している。詳細を次に述べる。第3例の水酸化ナトリ
ウム、水酸化カリウム等のアルカリ水溶液による湿式エ
ッチングは、表面にテクスチャー構造と呼ばれる微細な
ピラミッド構造(四角錐)が太陽電池の表面(受光面)
に形成できる。この技術はシリコン結晶の結晶面でのエ
ッチング速度差を利用したものである。すなわち、アル
カリ水溶液によるエッチング速度は、シリコン結晶の
(100)面が最も速く、(111)面が最も遅い。こ
の為、(100)単結晶シリコン基板に対して上記エッ
チングを行う際、エッチング中に何らかの契機で(11
1)面が発生すると、エッチング速度の遅い(111)
面が優先的に残ることになる。プロセスの最終段階では
(111)面と等価な面である、
【0015】
【数1】
【0016】だけで構成される四角錐状の突起が形成さ
れ、最終的には、これらの面は、(100)面に対して
54.7度の傾斜を持つ。開示されている具体的な処理
方法として、80℃に追加した0.5mol/l程度の
水酸化ナトリウムの水溶液に10vol%のイソプロピ
ルアルコールを添加し、鏡面仕上げした(100)シリ
コン基板に対して15分間エッチングを行っている。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】従来の技術において、
第1例で示したV溝を機械的に形成する方法ではウエハ
一枚一枚に対して処理を行わなくてはならず量産性に課
題を残している。しかもV溝形成の際に結晶の表層部に
欠陥が形成されるため、V溝形成後に湿式エッチングに
よる欠陥部分の除去工程が必要であった。さらに、V溝
のピッチが回転ブレードのピッチで制限されるために微
少間隔で溝を形成できず、効果的な光閉じ込め効果を得
るためには深い溝を形成する必要がある。基板は材料コ
ストを低減する目的で薄くする方向に向かっているが、
深い溝のため、基板にクラックを生じたり、プロセスの
途中で破損を生ずる課題が発生する。また第2例に示し
たRIEによる方法ではV溝形成の場合のように結晶欠
陥の発生問題は回避できるが、真空プロセス装置の使用
による量産の高コスト化や処理能力が小さい等、量産性
に劣るといった問題点がある。最後に第3例で示したア
ルカリ水溶液とアルコール類を用いた湿式エッチングに
よる方法は、多結晶シリコンのように面内で様々な結晶
方位を持つ基板の場合に対して、形成される四角錐構造
が(100)面に対して垂直に形成されるので、表面に
現れる面はランダムな方向に向いており単結晶で得られ
たほど充分な光閉じ込め効果が得られない。先の具体例
で示した80℃に加熱した0.5mol/lの水酸化カ
リウム水溶液にイソプロピルアルコールを添加した場
合、単結晶シリコン基板にテクスチャー構造を安定して
形成するためには約15分の処理時間が必要であること
が示されている。また、本発明者らが追試を行った結果
では、更に長時間の処理(30〜60分間)を行わない
と、充分な光閉じ込め効果が得られなかった。このよう
に、この方法は処理時間が長く必ずしも生産性の高い方
法ではなく、また危険物であるイソプロピルアルコール
を多量(10vol%以上)に使用しなければならない
といった問題点がある。
【0018】本発明は上記のような従来の課題を解決
し、実用的な手段で光閉じ込めを効果的にする為の凹凸
形状の形成が可能であり、工程の簡略化と低コスト化が
実現できる太陽電池の製造方法を提供することを目的と
するものである。
【0019】
【課題を解決するための手段】請求項1に係る発明は、
機械加工によりスライスされて形成された粗の表面を有
するSi基板に対して、主として上記スライス工程で損
傷を受けた表層部を除去すると共に、上記スライス工程
にて形成された凹凸形状を残すために、0.25〜3.
0mol/lの水酸化アルカリを含む水溶液を用いてエ
ッチングを行うことを特徴とする太陽電池の製造方法を
提供するものである。請求項2に係る発明は、請求項1
に記載の1回目のエッチングに引き続き、主として光閉
じ込めを、より有効にする凹凸構造形成と、機械加工に
よるスライス工程で損傷を受けた表層部を更に除去する
エッチングを行うために、請求項1に記載の水酸化アル
カリ濃度よりも低い水酸化アルカリ濃度で2回目のエッ
チングを行うことを特徴とする太陽電池の製造方法を提
供するものである。請求項3に係る発明は、2回目のエ
ッチングの水酸化アルカリを含む水溶液の水酸化アルカ
リ濃度が、1回目のエッチングにおける水酸化アルカリ
濃度の10〜50%に相当する請求項2に記載の太陽電
池の製造方法を提供するものである。請求項4に係る発
明は、請求項3に記載の2回目のエッチングに用いられ
る水酸化アルカリを含む水溶液の水酸化アルカリ濃度
が、特に0.16〜0.80mol/lの範囲にある太
陽電池の製造方法を提供するものである。請求項5に係
る発明は、2回目のエッチングに用いられる水酸化アル
カリを含む水溶液に、1vol%以上10vol%未満
の割合においてイソプロピルアルコールを添加する請求
項2ないし4のいずれか1項に記載の太陽電池の製造方
法を提供するものである。請求項6に係る発明は、水酸
化アルカリとして、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム
および水酸化セシウムからなる群から選択された1種類
以上を用いることを特徴とする請求項1ないし5のいず
れか1項に記載の太陽電池の製造方法を提供するもので
ある。
【0020】
【作用】本発明における製造方法によれば、単結晶シリ
コン、多結晶シリコンの何れであっても、基板表面に微
細な凹凸が形成できるため、太陽電池に光がより良く吸
収され、太陽電池の性能が改善できる。またこの方法に
よれば、スライスに用いたワイヤーソー等の傷による基
板表面ダメージ及びウエハスライス工程の汚染を取り除
くためのエッチングと、凹凸形状形成のためのエッチン
グが同時に行えるため、処理工程を少なくすることがで
きる。その結果、多量の基板を短時間で、しかも安価に
処理することが可能となる。
【0021】
【発明の実施の形態】実施の形態1.使用する基板は、
“アズ・スライスの多結晶シリコン基板”といわれる、
多結晶シリコンインゴットからワイヤーソー等の機械加
工により切り出された後、何も処理が加えられていない
シリコン多結晶基板を使用した。これは、例えば多結晶
シリコンインゴットをマルチワイヤーソーにて、ワイヤ
ー径0.18mmφ、ワイヤー速度(一方向送り)50
0〜700m/min、#800のSiCの砥粒を用い
て350μm程度の厚さに切り出したウエハであり、平
均表面荒さRaは、6〜8μm程度である。
【0022】次に異なる3種類の水酸化ナトリウム濃度
(0.25、0.50、5.83mol/l)を有する
水溶液を用いて、およそ2〜15μm程度、このアズ・
スライス多結晶シリコン基板の表面をエッチングした。
処理温度は90℃であった。なお、5.83mol/l
付近、又はそれ以上の比較的濃度の高い水酸化ナトリウ
ムは、表面ダメージ及びウエハスライス工程の汚染の除
去に適用されるアルカリエッチング液の濃度として、良
く知られている。
【0023】その後、従来の技術の欄で記載した図8の
(d)〜(h)までの工程を行い太陽電池を作製後、開
放電圧(Voc)及び、短絡電流密度(Jsc)の評価
を行った。前の従来技術の欄で説明したが、Vocは表
面ダメージ及びウエハスライス工程の汚染を除去できた
かどうかに関連する特性、またJscは表面の凹凸形状
の形成具合に関連する特性である。
【0024】まず、図1にVocの水酸化ナトリウム濃
度依存性、及びエッチング深さ依存性を示す。これよ
り、約5〜10μm以上のエッチングを行うことによ
り、Vocが約0.6Vで飽和する。このことから、表
面ダメージ及びウエハスライス工程の汚染は、約5〜1
0μm以上のエッチングで除去できることが分かる。
【0025】次に、図2にJscの水酸化ナトリウム濃
度依存性、及びエッチング深さ依存性を示す。図2中に
は比較として、水酸化ナトリウム濃度5.83mol/
lの水溶液で処理後、90℃に加温した0.16mol
/l程度のアルカリ水溶液にイソプロピルアルコールを
15Vol%程度添加し、30分間エッチングを行い、
表面に凹凸形状(テクスチャー構造)を形成した太陽電
池のJscもプロット(黒丸で表示)している。図2よ
り、水酸化ナトリウム濃度0.25mol/l(△で表
示)、0.50mol/l(□で表示)の水溶液を用い
てエッチングを行った太陽電池セルの短絡電流密度(J
sc)は、水酸化ナトリウム濃度5.83mol/lの
水溶液で処理したJsc(○で表示)よりも、約0.2
〜1.0mA/cm2高い値が得られている。また水酸
化ナトリウム濃度5.83mol/lの水溶液で処理後
に凹凸形状を形成したもの(黒丸で表示)と比べた場
合、同等レベルのものも得られていることが分かる。
【0026】以上の実験事実より、水酸化ナトリウム濃
度0.25、0.50mol/lの水溶液を用いてエッ
チングを行った場合、“基板表面のダメージ除去+テク
スチャー構造形成”が同時に行えることを示している。
従来技術で示した図8の工程フローを用いて言い換えれ
ば、図の8(b)と図8の(c)の工程が一つにできる
ことを示している。
【0027】このJsc上昇の原因を調べるため、電子
顕微鏡による評価を行った。アズ・スライス多結晶板の
表面を、図3に示す。次にエッチング処理後の基板表面
を、水酸化ナトリウム濃度0.25mol/lの水溶液
を用いて10μm前後エッチングを行った場合を図4の
(a)、0.50mol/lの場合を図4の(b)、
5.83mol/lの場合を図4の(c)に示す。図4
の(a)〜(c)より、同じ10μm前後のエッチング
であっても、水酸化ナトリウム濃度5.83mol/l
で処理した表面は、平坦なテラス部分が大きく拡がって
いるのに比べ、0.50、0.25mol/lで処理し
た表面は、微細な多数のテラスに変わっていることが分
かった。なお、これらの図4の(a)〜(c)は基板の
一部分を観察したものだが、ほぼ全ての領域にわたっ
て、この傾向が認められることを確認している。
【0028】水酸化ナトリウム濃度0.50、0.25
mol/lの水溶液でエッチング処理を行うと、表面に
微細な多数のテラスが発生した理由として、使用したア
ズ・スライスの多結晶基板にその発生の原因があると考
えられる。インゴットからワイヤソー等の機械加工によ
り切り出された後の基板表面は、図3に示したように表
面が細かい凹凸で形成されており、ザラザラしている。
水酸化ナトリウム濃度0.50、0.25mol/lの
水溶液は、このザラザラの形状を保持しつつエッチング
を進行させていると考えられる。そのため、面内で様々
な結晶方位を持つ多結晶シリコン基板の場合であって
も、表面がザラザラのアズ・スライス基板であれば、面
内のほぼ全ての領域にわたって良好な凹凸形状が形成可
能となることが分かった。
【0029】更に、水酸化ナトリウム濃度の範囲を拡大
して、同様の実験を行った。処理時間は全て4分で行っ
た。この時間で全てのサンプルに対して、表面ダメージ
及びウエハスライス工程の汚染を除去できる約5〜10
μm以上のエッチング深さが得られた。また処理温度は
90℃であった。Jscと、水酸化ナトリウム濃度の関
係を図5に示す。その関係は、水酸化ナトリウム濃度が
およそ3mol/lの水溶液でJscが極大値をとるよ
うな傾向を示した。安全面、材料コスト、廃液処理コス
ト等の理由から、水酸化ナトリウム水溶液の濃度は、低
濃度の方が望ましい。そこで従来以上のJscが得ら
れ、かつ低濃度の領域である水酸化ナトリウム濃度が
0.25〜3mol/lの水溶液を使用することが最適
であることを見いだした。
【0030】実施の形態2.実施の形態1.で示した処
理に加えて、更にエッチングを加えた2段階エッチング
を行った。まず、実施の形態1.で示したように、水酸
化ナトリウム濃度が1.67mol/lの水溶液に、
“アズ・スライスの多結晶シリコン基板”を90℃、4
分間浸した。続いて、水酸化ナトリウムが0.16mo
l/l、イソプロピルアルコール(IPA)が3.85
vol%含まれた水溶液に、90℃、9分間浸した。そ
の後、前述した図8の(d)〜(h)の工程を行い太陽
電池を作製後、短絡光電流密度(Jsc)の評価を行っ
た。本実施の形態である2段階エッチングのJsc(黒
丸で表示)を、実施の形態1.で示した1回エッチング
のJsc(○で表示)と共に図6で示す。なお、図6中
の1回エッチングのJscは、基板及び実験ロットが異
なるため、実施の形態1.で示した図5中での値とは同
一となっていない。図6から分かるように、この本実施
例による2段階エッチングにより、実施の形態1.によ
り得られるJsc向上効果に加え、更に約0.5mA/
cm2のJscの向上が見込めることが分かった。
【0031】一方、水酸化ナトリウム濃度が1.67m
ol/lの水溶液に、“アズ・スライスの多結晶シリコ
ン基板”を90℃、4分間浸した後、水酸化ナトリウム
が5.83mol/l、IPAが3.85vol%含ま
れた水溶液に、90℃、9分間浸したところ、Jscが
低下した。更に実験を行ったところ、1回目のエッチン
グの水酸化アルカリ濃度が0.25〜3.0mol/l
の範囲内では、『1回目のエッチングの水酸化ナトリウ
ム濃度』>『2回目のエッチングの水酸化ナトリウム濃
度』のとき、『2段階エッチングのJsc』>『1回エ
ッチングのJsc』と向上し、『1回目のエッチングの
水酸化ナトリウム濃度』<『2回目のエッチングの水酸
化ナトリウム濃度』のときには、『2段階エッチングの
Jsc』<『1回エッチングのJsc』と逆に低下して
しまうことが分かった。
【0032】また、2回目のエッチングにおいてIPA
量を変化させた実験も行った。その結果、IPAが10
vol%以上になると、エッチングレートが極端に低下
する為、量産には不向きであること、及びIPAを投入
せずにエッチングを行っても、Jscの向上が見込める
(ただし、IPAを投入した場合に比べ、効果は減少す
る。例えば、IPAが3.85vol%の場合と比べる
と、効果は約半分になる。)ことが分かった。
【0033】次に、2回目のエッチングにおける水酸化
ナトリウム濃度を変えて、同様の実験を行った。水酸化
ナトリウムが1.67mol/l含まれた水溶液を用
い、処理時間4分、処理温度90℃で1回目のエッチン
グを行った後、2回目のエッチングを行った。2回目の
エッチングの処理時間は全て9分、処理温度は90℃で
行った(IPAを3.85vol%含む)。Jscと、
水酸化ナトリウム濃度の関係を図7に示す。その関係
は、水酸化ナトリウム濃度がおよそ0.80mol/l
の水溶液でJscが極大値をとるような傾向を示した。
安全面、材料コスト、廃液処理コスト等の理由から、水
酸化ナトリウム水溶液の濃度は、低濃度の方が望まし
い。そこでJsc向上効果が得られ、かつ低濃度の領域
である水酸化ナトリウム濃度が0.16〜0.80mo
l/lの水溶液を、2回目のエッチングで使用すること
が最適であることを見いだした。
【0034】更に、1回目のエッチングの水酸化ナトリ
ウム濃度が0.25〜3.0mol/lの範囲内で同様
の実験を行ったところ、2回目のエッチングにおける最
適水酸化ナトリウム濃度は、以下の関係があることが分
かった。〔2回目のエッチングにおける最適水酸化ナト
リウム濃度〕=〔1回目のエッチングにおける水酸化ナ
トリウム濃度×0.1〕〜〔1回目のエッチングにおけ
る水酸化ナトリウム濃度×0.5〕
【0035】尚、上述の実施の形態1.及び2.は、主
としてアズ・スライスの多結晶シリコン基板について説
明したが、アズ・スライスの単結晶基板、特に(10
0)基板に対しても適用可能であることは、云うまでも
ない。また、上述の実施の形態は、主として水酸化ナト
リウムについて説明したが、その他のアルカリ金属とし
て、水酸化カリウム、水酸化セシウムを用いても、ま
た、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化セシウ
ムの中から1種類以上を用いても適用可能であること
は、云うまでもない。
【0036】
【発明の効果】請求項1に係る発明によれば、機械加工
によりスライスされて形成された粗の表面を有するSi
基板に対して、主として上記スライス工程で損傷を受け
た表層部を除去すると共に、上記スライス工程にて形成
された凹凸形状を残すために、0.25〜3.0mol
/lの水酸化アルカリを含む水溶液を用いてエッチング
を行うので、すなわち最適な水酸化アルカリ濃度を規定
したので、基板表面に微細な凹凸形状を作製でき、光閉
じ込め効果の高い太陽電池の製造が量産性の高い方法で
得られる。
【0037】請求項2に係る発明によれば、前記の1回
目のエッチングに引き続き、主として光閉じ込めを、よ
り有効にする凹凸構造形成と、機械加工によるスライス
工程で損傷を受けた表層部を更に除去するエッチングを
行うために、請求項1に記載の水酸化アルカリ濃度より
も低い水酸化アルカリ濃度で2回目のエッチングを行う
ので、基板表面の凹凸形状が更に密になり、光閉じ込め
効果が高まる。その結果、一層高効率の太陽電池が得ら
れる。
【0038】請求項3に係る発明によれば、2回目のエ
ッチングの水酸化アルカリを含む水溶液の水酸化アルカ
リ濃度を、1回目のエッチングにおける水酸化アルカリ
濃度の10〜50%に設定したので、すなわち2回目の
エッチングにおける水酸化アルカリ濃度を最適化したの
で、一層高効率の太陽電池が作製可能となる。
【0039】請求項4に係る発明によれば、水酸化ナト
リウム濃度を0.16〜0.80mol/lにして2回
目のエッチングを行うので、低コストで一層高効率の太
陽電池が作製可能となる。
【0040】請求項5に係る発明によれば、2回目のエ
ッチングに用いられる水酸化アルカリを含む水溶液に、
1vol%以上10vol%未満の割合においてイソプ
ロピルアルコールを添加したので、一層高効率の太陽電
池が作製可能となる。
【0041】請求項6に係る発明によれば、水酸化アル
カリを、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムおよび水酸
化セシウムからなる群から選択するので、必要に応じて
様々な化合物を利用でき、適用範囲の広い製造方法が得
られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施の形態1.を説明するための、Vocの
水酸化ナトリウム濃度依存性、及びエッチング深さ依存
性を示す図である。
【図2】 実施の形態1.を説明するための、Jscの
水酸化ナトリウム濃度依存性、及びエッチング深さ依存
性を示す図である。
【図3】 実施の形態で使用した、“アズ・スライスの
多結晶シリコン基板”表面を示す図である。
【図4】 (a)は水酸化ナトリウム濃度0.25mo
l/lの水溶液を用いてエッチングを行った場合の基板
表面を示す図であり、(b)は水酸化ナトリウム濃度
0.50mol/lの水溶液を用いてエッチングを行っ
た場合の基板表面を示す図であり、(c)は水酸化ナト
リウム濃度5.83mol/lの水溶液を用いてエッチ
ングを行った場合の基板表面を示す図である。
【図5】 実施の形態1.を説明するためのJscと水
酸化ナトリウム濃度の関係を示す図である。
【図6】 実施の形態1.によるJscと、実施の形態
2.によるJscとを比較した図である。
【図7】 実施の形態2.によるJscと、水酸化ナト
リウム濃度の関係を示す図である。
【図8】 (a)〜(h)は、一般的に行われている太
陽電池の工程フロー図である。
【図9】 多結晶シリコン太陽電池の表面に機械的に形
成されたV溝の断面構造を示す図である。
【図10】 RIEにより形成された凹凸形状を示す図
である。
【符号の説明】
1 Si基板、2 n型拡散層、3 アルミペースト電
極、4 P+層、5 表面銀ペースト電極、6 裏面銀
ペースト電極、7 基板表面のダメージ及びウエハスラ
イス工程の汚染、8 表面に作製した凹凸形状。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 濱本 哲 東京都千代田区丸の内二丁目2番3号 三 菱電機株式会社内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 機械加工によりスライスされて形成され
    た粗の表面を有するSi基板に対して、主として上記ス
    ライス工程で損傷を受けた表層部を除去すると共に、上
    記スライス工程にて形成された凹凸形状を残すために、
    0.25〜3.0mol/lの水酸化アルカリを含む水
    溶液を用いてエッチングを行うことを特徴とする太陽電
    池の製造方法。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の1回目のエッチングに
    引き続き、主として光閉じ込めを、より有効にする凹凸
    構造形成と、機械加工によるスライス工程で損傷を受け
    た表層部を更に除去するエッチングを行うために、請求
    項1に記載の水酸化アルカリ濃度よりも低い水酸化アル
    カリ濃度で2回目のエッチングを行うことを特徴とする
    太陽電池の製造方法。
  3. 【請求項3】 2回目のエッチングの水酸化アルカリを
    含む水溶液の水酸化アルカリ濃度が、1回目のエッチン
    グにおける水酸化アルカリ濃度の10〜50%に相当す
    る請求項2に記載の太陽電池の製造方法。
  4. 【請求項4】 請求項3に記載の2回目のエッチングに
    用いられる水酸化アルカリを含む水溶液の水酸化アルカ
    リ濃度が、特に0.16〜0.80mol/lの範囲に
    ある太陽電池の製造方法。
  5. 【請求項5】 2回目のエッチングに用いられる水酸化
    アルカリを含む水溶液に、1vol%以上10vol%
    未満の割合においてイソプロピルアルコールを添加する
    請求項2ないし4のいずれか1項に記載の太陽電池の製
    造方法。
  6. 【請求項6】 水酸化アルカリとして、水酸化ナトリウ
    ム、水酸化カリウムおよび水酸化セシウムからなる群か
    ら選択された1種類以上を用いることを特徴とする請求
    項1ないし5のいずれか1項に記載の太陽電池の製造方
    法。
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