JPH11227190A - インクジェット式記録ヘッドおよびそれらの製造方法 - Google Patents

インクジェット式記録ヘッドおよびそれらの製造方法

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JPH11227190A
JPH11227190A JP3075298A JP3075298A JPH11227190A JP H11227190 A JPH11227190 A JP H11227190A JP 3075298 A JP3075298 A JP 3075298A JP 3075298 A JP3075298 A JP 3075298A JP H11227190 A JPH11227190 A JP H11227190A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ノズル板の接着不良やノズルの目詰まりを防
止できるインクジェット式記録ヘッドの製造方法の提
供。 【解決手段】 (a)圧力室(21)を形成するための圧力
室基板(20)の両面に振動板(301)を形成する工程と、
(b)一方の振動板(301)を圧力室(21)の形状に合わせ
てエッチングし、圧力室基板(20)を露出させる工程
(A)と、(c)露出した圧力室基板(20)を他方の振動
板(301)が露出するまでエッチングする工程(B)と、
(d)一方の振動板(301)と圧力室基板(20)とにより圧
力室(21)の開口端部に形成された当該振動板のひさし部
分(12)を、当該振動板(301)を選択的にエッチングする
ことによて取り除く工程(C)と、を備えて構成され
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、インクジェット式
記録ヘッドの製造方法に係り、特に、圧力室基板をエッ
チングする際に、酸化ケイ素膜に残されたひさしを除去
することによってノズル板の接着不良やノズルの目詰ま
りを防止する発明に関する。
【0002】
【従来の技術】インクジェット式記録ヘッドは、ノズル
が設けられたノズル板、圧力室が形成された圧力室基
板、圧力室基板に設けられた振動板、および振動板上に
形成された圧電体素子を備える。圧電体素子は、ジルコ
ン酸チタン酸鉛(PZT)等の強誘電体セラミックス薄
膜を電極膜で狭持したものである。この圧電体素子に電
圧を加えると圧電体素子に体積変化を生じる。体積変化
が生じると振動板が変形し、圧力室のインクに圧力が加
えられる結果、ノズルからインクが吐出させられるもの
である。
【0003】従来、インクジェット式記録ヘッドの製造
方法では、図7に示すように、酸化ケイ素膜等の酸化膜
をシリコン等で構成された圧力室基板20の両面に形成
していた。以下、圧電体素子を形成する側の酸化膜を振
動板30、ノズル板を貼り合わせる側の酸化膜をエッチ
ングマスク31と称する。
【0004】そして、ノズル板を貼り合わせる面に形成
されたエッチングマスク31をキャビティ(圧力室)2
1の形状に合わせて除去して窓を設けてから、圧力室基
板20をエッチングしていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、圧力室
形成工程において、圧力室基板をエッチングする際に、
図7に示すように、キャビティ21に面したエッチング
マスク31の端部にひさし部分12が形成されることが
あった。このひさし部分12は、割れたり欠けたりして
エッチングマスクの破片をキャビティ内に残していた。
このため破片によるノズル板の接着不良を生じたり、破
片がノズルに詰まってインクの吐出不良を招いたりする
不都合があった。
【0006】特に、KOHを用いたシリコンの湿式異方
性エッチングでは、面方位によってエッチング速度差が
大きく、リザーバを形成する段階ではエッチングされや
すい面(キャビティを形成する壁の端面)が露出するた
め、ひさしが大きく形成され、前記不都合が製造上の大
きな問題になっていた。
【0007】上記問題に鑑み、本発明の第1の課題は、
圧力室の形成過程で生ずるエッチングマスクのひさしを
除去することにより、ノズル板の接着不良やノズルの目
詰まりを防止し、もって製品の歩留まりを良くして、イ
ンクジェット式記録ヘッドのコストを下げることのでき
る製造技術を提供することである。
【0008】本発明の第2の課題は、エッチングマスク
のひさしを除去すると共に、振動板のエッチングの有無
を選択可能とし、ヘッドのコンプライアンスを調整可能
に構成することにより、製品の均一性が向上し製品の歩
留まりを良くして、インクジェット式記録ヘッドのコス
トを下げることのできる製造技術を提供することであ
る。
【0009】
【課題を解決するための手段】第1の課題を解決するイ
ンクジェット式記録ヘッドは、圧力室が設けられた圧力
室基板と、圧力室基板に設けられた振動板と、振動板上
に設けられた圧電体素子と、を備えたインクジェット式
記録ヘッドにおいて、振動板は、圧力室内で露出してい
る領域に凹部が形成されていることを特徴とする。
【0010】すなわち、圧力室形成工程において、振動
板に形成されるひさし部分を除去するために振動板をエ
ッチングすると、圧力室内において露出している他方の
振動板も若干エッチングされる。このため、この他方の
振動板には圧力室に向かって凹部が形成される。この凹
部が形成された振動板を備えたインクジェット式記録ヘ
ッドは、すなわち本発明の製造方法を使用したものと推
定できる。
【0011】また、本発明では、振動板と圧力室基板と
の圧力室に面した境界部分は、振動板が圧力室基板より
多く侵食されたことによってひさし形状が形成されてい
る。
【0012】本発明の製造工程により、他方の振動板の
圧力室側に凹部が形成される際、エッチング液の作用に
より、その膜の延材方向にもエッチングが進行する。こ
のエッチング液は、振動板を選択的に形成するものであ
るため、圧力室基板と振動板との境目にひさし部分が生
ずるのである。
【0013】上記第1の課題を解決するインクジェット
式記録ヘッドの製造方法は、圧力室が設けられた圧力室
基板と、圧力室基板に設けられた振動板と、振動板上に
設けられた圧電体素子と、を備えたインクジェット式記
録ヘッドの製造方法である。そして、(a) 圧力室を
形成するための圧力室基板の一方の面に振動板を形成す
る振動板形成工程と、(b) 圧力室基板の他方の面に
エッチングマスクを形成するエッチングマスク形成工程
と、(c) エッチングマスクを圧力室の形状に合わせ
てエッチングし、圧力室基板を露出させるマスクエッチ
ング工程と、(d) 露出した圧力室基板を他方の振動
板が露出するまでエッチングする圧力室基板エッチング
工程と、(e) エッチングマスクと圧力室基板とによ
り圧力室の開口端部に形成された当該エッチングマスク
のひさし部分を、当該エッチングマスクを選択的にエッ
チングすることによって取り除くひさし除去工程と、を
備えて構成される。
【0014】第2の課題を解決する発明は、(a) ひ
さし除去工程の前に、他方の振動板がエッチングされる
ことを防止するためのレジスト層を、圧力室において露
出している他方の振動板の当該圧力室側に形成するレジ
スト形成工程と、(b) ひさし除去工程の後に、振動
板の圧力室側に形成されたレジスト層を除去する除去工
程と、を備えて構成される。
【0015】例えば、ひさし除去工程では、エッチング
マスクを圧力室基板より高いエッチングレートでエッチ
ングするエッチング液によってエッチングマスクのひさ
し部分を取り除く。
【0016】このエッチング液は、フッ化アンモニウム
等の緩衝剤がフッ化水素酸に所定の割合で混合されたも
のである。
【0017】エッチングマスクは、例えば酸化ケイ素で
あり、圧力室基板は、例えばシリコンにより形成され
る。
【0018】また、本発明は、振動板上に、電極膜で挟
まれた圧電体素子を形成する工程をさらに備える。
【0019】
【発明の実施の形態】次に、本発明の最良の実施形態
を、図面を参照して説明する。
【0020】<実施形態1>本発明の実施形態1は、上
記第1の課題を解決するものである。
【0021】(インクジェット式記録ヘッドの構成)図
1に、本実施形態の製造方法で製造されるインクジェッ
ト式記録ヘッドが内蔵されるインクジェットプリンタの
斜視図を示す。同図に示すように、本実施形態のインク
ジェットプリンタ100は、本発明のインクジェット式
記録ヘッド1、トレイ3等を本体2に備えて構成されて
いる。用紙5は、トレイ3に載置される。図示しないコ
ンピュータから印字用データが供給されると、図示しな
い内部ローラが用紙5を本体2に取り入れる。インクジ
ェット式記録ヘッド1は、用紙5がローラの近傍を通過
するとき、同図矢印方向に駆動され、印字が行われる。
印字後の用紙5は排出口4から排出される。
【0022】図2に、上記インクジェット式記録ヘッド
の主要部の斜視図を示す。理解を容易にするため、一部
断面図を示す。図3に、図2のA−A切断面から見たイ
ンクジェット式記録ヘッドの主要部層構造を示す。
【0023】図2に示すように、インクジェット式記録
ヘッドの主要部は、一体成形された圧力室基板20の一
方の面に、振動板30が形成され、振動板上に圧電体素
子40が形成されて構成されている。圧力室基板20の
他方の面には、ノズル11を有するノズル板10が貼り
合わせられている。
【0024】圧力室基板20は、シリコン単結晶基板等
をエッチングすることにより、各々が圧力室として機能
するキャビティ21が複数形成されたものであり、個々
のキャビティにはインクが充填可能に形成される。側壁
22は、エッチングされずに残った部分であり、キャビ
ティ21間を仕切るよう形成される。リザーバ23は、
各キャビティ21にインクを供給可能な共通の流路を構
成するように形成されている。供給口24は、各キャビ
ティ21にインクを導入可能に形成されている。
【0025】振動板30は、圧電体素子40に生じた体
積変化によって撓むことにより、キャビティ21に体積
変化を起こさせるものである。振動板30上のキャビテ
ィ21に相当する位置には、圧電体素子40が形成され
ている。また、振動板30のうち、リザーバ23に相当
する一部に、インクタンク口31が設けられている。振
動板30は、図3に示すように、シリコン基板を熱酸化
することによって形成される絶縁(SiO)膜301
および下部電極膜302を積層して形成される。ただ
し、下部電極膜302は、振動板全面に設ける必要はな
く、圧電体素子40の部分やその他必要な部分にのみに
設けるものであってもよい。
【0026】圧電体素子40は、下部電極膜302上に
圧電体層401と上部電極膜402とを積層して構成さ
れている。圧電体層401は、例えば、PZT等の強誘
電体セラミックスであって、電気機械変換作用を生ずる
ペロブスカイト結晶構造を備えている。なお、圧電体層
401は一層のみならず複数の圧電体薄膜層を積層する
ものでも、異なる種類の圧電体薄膜層を積層するもので
もよい。
【0027】圧力室基板20のノズル側の面には、キャ
ビティマスク311が設けられている。このキャビティ
マスク311は、キャビティをエッチングする際にマス
クとして作用する膜であって、シリコンの熱酸化膜(S
iO)で形成される。
【0028】ノズル板10は、キャビティ21に相当す
る位置にノズル11が設けられており、圧力室基板20
に貼り合わせられて構成されている。
【0029】さらに、図示しない駆動回路の出力端子と
各圧電体素子40の上部電極膜402を結線し、駆動回
路のアース端子と下部電極膜302とを結線して構成さ
れている。
【0030】特に、本実施形態のキャビティ21には、
図3に示すように、振動板30を構成する絶縁膜301
に凹部32が形成されている。また、振動板30と圧力
室基板20とのキャビティ21側の境界には、ひさし部
分26が形成されている。これら形状は、本発明のひさ
し除去工程により形成されるものである。
【0031】(作用)次に、本発明のインクジェット式
記録ヘッド1におけるインク滴吐出の原理を説明する。
圧電体素子40の下部電極膜302と上部電極膜402
との間に電圧が印加されていない場合、圧電体層401
は体積変化を生じない。したがって、電圧が印加されな
い圧電体素子40に対応するキャビティ21内の圧力に
変化は生じず、ノズル11からインク滴は吐出されな
い。
【0032】一方、圧電体素子40の下部電極膜302
と上部電極膜402との間に、圧電体素子に体積変化を
生じさせる電圧が印加されている場合、圧電体層401
は体積変化を生じる。したがって、電圧が印加されてい
る圧電体素子40が取り付けられた振動板30は大きく
たわみ、そのキャビティ21内の体積を変化させる。こ
のためキャビティ21内の圧力が瞬間的に高まり、ノズ
ル11からインク滴が吐出される。
【0033】(製造方法の説明)次に、本発明のインク
ジェット式記録ヘッドの製造方法を、図4および図5を
参照して説明する。
【0034】絶縁膜形成工程(図4(A)): まず、
シリコン等の組成を有する原盤201の一方の面に絶縁
膜(SiO)301を、他方の面にキャビティマスク
311を形成する。原盤201は、数インチのシリコン
ウェハから形成するため、例えば200μm程度とな
る。絶縁膜301は、振動板として機能し得る程度の強
度が得られるように、例えば1μm程度の厚みに形成す
る。キャビティマスク311も同様の工程で一時に形成
される。絶縁膜の製造には、公知の熱酸化法等を用い
る。
【0035】なお、本実施形態では、圧電体素子40が
設けられる振動板30が、ひさし除去工程におけるエッ
チングにより薄くなるので、この薄膜化されることを考
慮した厚みに絶縁膜301を形成する必要がある。
【0036】圧電体素子積層工程(同図(B)): 次い
で絶縁膜301に下部電極膜302を形成する。下部電
極膜302は、導電性を有する材料、例えば白金を0.
5μm程度積層して形成する。また、複数の層を積層す
ることは好ましい。例えば、チタン層、白金層、チタン
層を0.005μm,0.5μm、0.02μmの厚み
で積層することにより、上下の層との密着性を増すこと
ができる。これら層の形成は、公知の直流スパッタ法等
を用いる。
【0037】圧電体層401は、圧電特性を有する強誘
電体セラミックスを用いる。強誘電性セラミックスとし
ては、例えば、チタン酸鉛(PbTiO)、ジルコニ
ウム酸チタン酸鉛(Pb(Zr、Ti)O:PZ
T)、ジルコニウム酸鉛(PbZrO)、チタン酸鉛
ランタン((Pb,La)TiO)、ジルコニウム酸
鉛ランタン((Pb,La)(Zr、Ti)O):P
LZT)またはマグネシウムニオブ酸ジルコニウム酸チ
タン酸鉛(Pb(Mg1/3Nb2/30.1(Z
r、Ti)0.9)等を用いることができる。
【0038】圧電体層401の形成には、ゾル−ゲル(s
ol-gel)法を用いる。まず、所定の強電界セラミックス
で溶解液を調合する。その溶解液を一定の厚みに塗布し
セラミックス層を複数層形成する。例えば、公知のスピ
ンコート法を用いる場合には、毎分500回転で30
秒、毎分1500回転で30秒、最後に毎分500回転
で10秒間塗布する。塗布後、一定温度(例えば180
度)で一定時間(例えば10分程度)乾燥させる。乾燥
後、さらに有機溶媒を蒸発させるべく、大気雰囲気下に
おいて、所定の高温(例えば400度)で一定時間(3
0分間)脱脂する。この塗布、乾燥および脱脂を8回繰
り返して8層のセラミックス層を積層する。
【0039】セラミックス層を4層重ねた後と8層重ね
た後には、さらに、セラミックス層の結晶化を促進し、
圧電体としての特性を向上させるために、所定の雰囲気
下で熱処理する。例えば、4層積層後、酸素雰囲気下に
おいて、高速熱処理(RTA)にて600度で5分間、
さらに725度で1分間加熱する。8層積層後、酸素雰
囲気下において、RTAにて650度で5分間、さらに
900度で1分間加熱する。
【0040】圧電体層全体の厚みは、あまりに厚くする
と、製造工程が多くなり妥当なコストで製造できなくな
ったり、高い駆動電圧が必要となる。あまりに薄くする
と、厚みを均一に形成できずエッチング後に分離された
各圧電体素子の特性がばらついたりする。したがって、
圧電体層の厚みは、450nm〜2000nm程度が好
ましい。
【0041】上部電極膜402は、圧電体層401に電
圧を印加するための電極である。上部電極膜402は、
導電性を有する材料、例えば白金(Pt)を0.1μm
程度の厚みで形成される。
【0042】圧電体素子成形工程(同図(C)): 圧
電体成形工程では、圧電体層401および上部電極膜4
02を各キャビティ21の形状に合わせた形状になるよ
うマスクし、その周囲をエッチングして圧電体素子の形
状にする工程である。すなわち、スピンナー法、スプレ
ー法等の方法を用いて均一な厚さのレジストを塗布し、
露光・現像して、レジストを上部電極膜404上に形成
する。これに、通常用いるイオンミリング、あるいはド
ライエッチング法等を適用して、不要な層構造部分を除
去する。
【0043】マスクエッチング工程(図5(A)):
マスクエッチング工程では、エッチングマスク311を
キャビティ21の形状に合わせて除去し、原盤の露出部
分25を形成する。すなわち、スピンナー法、スプレー
法等の方法を用いて均一な厚さのレジストを塗布し、露
光・現像して、レジストをキャビティ形成部分のみを除
く。次いでドライエッチング等の方法を使用して、エッ
チングマスク311を取り除く。ドライエッチングの
他、イオントリミング法や、酸化ケイ素に対するエッチ
ングレートの高いエッチング液を用いたウェットエッチ
ングを使用できる。
【0044】圧力室基板エッチング工程(同図
(B)): 圧力室基板エッチング工程では、原盤20
1の露出部分25をエッチングして、キャビティ21を
形成する。エッチング方法としては、例えば、湿式の異
方性エッチング、平行平板型反応性イオンエッチング等
の活性気体を用いた異方性エッチングを用いて、キャビ
ティ空間のエッチングを行う。このエッチングは、選択
比が高く、シリコン原盤のみを選択的にエッチングす
る。異方性エッチングといっても、原盤の面方向にも一
定のエッチングレートで侵食が進む。このため、キャビ
ティの開口部端部には、エッチングマスク311のひさ
し部分12が生ずる。特に、KOHを用いたシリコンの
異方性エッチングでは、面方位によってエッチング速度
差が大きく、ひさしが大きく形成されるところもある。
【0045】ひさし除去工程(同図(C)): ひさし
除去工程では、上記キャビティ21の開口端部に形成さ
れたエッチングマスク311のひさし部分を、ウェット
エッチングにより取り除く。このエッチングに用いるエ
ッチング液は、エッチングマスク311をシリコン原盤
201より高いエッチングレートでエッチングする選択
比の高いものを用いる。例えば、エッチング液として
は、フッ化アンモニウム等の緩衝剤がフッ化水素酸に混
合されたものが好ましい。緩衝剤としてフッ化アンモニ
ウムを用いる場合は、フッ化水素酸:フッ化アンモニウ
ムを1:6の比で混合したエッチング液を用いる。この
エッチング液によりウェットエッチングすると、酸化ケ
イ素が選択的にエッチングされる。絶縁膜301のキャ
ビティ側の内面も同時にエッチングされるが、ひさし部
分12は、開口部の内側からもエッチングされるため、
絶縁膜301に比べ2倍の速度でエッチングされる。こ
のためキャビティ21のひさし部分12がきれいに除去
される。
【0046】上述のように、キャビティの内面で露出し
ている絶縁膜301も、酸化ケイ素により構成されてい
るためエッチングされる。このことからキャビティ21
の底面部分の絶縁膜301は、同図のような台形上の凹
部32が形成されることになる。また、ウェットエッチ
ングでは、ある程度等方性をもってエッチングされるた
め、凹部32の面方向にもエッチングによる侵食が進
み、エッチングされずに残されたシリコン原盤が相対的
に突出することとなる。このため絶縁膜301と原盤2
01との境界に、ひさし部分26が形成される。これら
凹部32とひさし部分26が、本実施形態の製造方法を
用いたことの形跡となる。
【0047】ノズル板貼り合わせ工程(図3): ノズ
ル板貼り合わせ工程では、エッチング後の原盤201に
ノズル板10を貼り合わせる。各ノズル11がキャビテ
ィ21各々の空間に配置されるよう位置合せしてノズル
板10を貼り合わせる。張り合わせのための接着剤とし
ては、例えばエポキシ樹脂等を用いる。ノズル板10が
貼り合わせられたら、これを所定のモールドに取り付
け、インクジェット式記録ヘッド1が完成する。
【0048】上記したように、本実施形態1によれば、
キャビティの形成過程で生ずる振動板のひさし部分をノ
ズル板の貼り合わせ前に除去したので、振動板の破片が
残されることによるノズル板の接着不良やノズルの目詰
まりを防止することができる。したがって、本実施形態
の製造方法を用いることにより、製品の歩留まりを良く
して、インクジェット式記録ヘッドのコストを下げるこ
とができる。
【0049】<実施形態2>本発明の実施形態2は、上
記第2の課題を解決するものである。
【0050】本実施形態におけるインクジェット式記録
ヘッド等の構成は上記実施形態1と同様なので、同一の
部材には同一の符号を付することとし、その説明を省略
する。
【0051】次に、本実施形態におけるインクジェット
式記録ヘッドの製造方法を説明する。本実施形態2は、
上記実施形態1における製造方法の変形例に関する。圧
力室基板エッチング工程(同図(B))までは上記実施
形態と同様なので、説明を省略する。
【0052】レジスト層形成工程(図6(A)): レ
ジスト層形成工程では、キャビティ21を形成後、キャ
ビティ21の底部(同図の圧電体素子が設けられている
絶縁膜上)にレジスト層50を設ける。このレジスト層
50は、上記絶縁膜301をエッチングするエッチング
液の侵食から振動板301を保護する役割を果たす。レ
ジスト層50の形成方法としては、レジストをキャビテ
ィ21の底部に設けなければならない。例えば、ポジレ
ジストをスピンナー法、スプレー法等の方法を用いて塗
布し、キャビティ内に厚く溜まり、エッチングマスク上
に薄くレジストを形成する。そして、エッチングマスク
上のレジストのみ完全に露光可能で、レジストが厚く溜
まっているキャビティ内では十分露光されないような条
件で下で露光をする。最後に露光部分のみを現像で取り
除き、露光されなかった部分をレジスト層50として残
す。
【0053】ひさし除去工程(同図(B)): ひさし
除去工程は、上記実施形態1におけるひさし除去工程
(図5(C))と同様に行う。エッチング液によって、
ひさし部分12は除去されるが、キャビティ21の底部
の絶縁膜301はレジスト層50によって保護されてい
るのでエッチングされない。
【0054】除去工程(図6(C)): 除去工程で
は、レジスト層50を除去する。ひさし部分12を除去
した後には、レジスト層50が不要となるので、レジス
ト層50を十分露光させて現像して除去するか、プラズ
マアッシング装置等を用いてレジスト層50を除去す
る。レジスト層を除去したら、上記実施形態1と同様
に、貼り合わせ工程によりノズル板10を貼り合わせる
(図3参照)。
【0055】上記したように本実施形態2によれば、ひ
さし部分の除去に先立ってキャビティにレジスト層を設
けるので、振動板の厚みを一定に保つことができる。し
たがって、製品の歩留まりを良くして、インクジェット
式記録ヘッドのコストを下げることができる。
【0056】<その他の変形例>本発明は、上記各実施
形態によらず種々に変形して適応することが可能であ
る。例えば、上記実施形態では、圧電体素子を形成後に
シリコン原盤をエッチングしたが、圧電体素子を設ける
工程はキャビティ形成後に行ってもよい。
【0057】圧電体素子の層構造は上記実施形態に限ら
ず、他の層構造を備えていてもよい。
【0058】また、本発明は、インクジェット式記録ヘ
ッドの製造のみならず、シリコンウェハのエッチングに
おいて、酸化膜のひさしが問題となるあらゆる産業分野
に適用することが可能である。すなわち、本発明のひさ
し除去工程を適用することにより、シリコンウェハの表
面に残された酸化膜の破片が生ずるのを防止し、その破
片により生じていた障害を防止することができる。
【0059】
【発明の効果】本発明によれば、圧力室の形成過程で生
ずる振動板のひさしをノズル板の貼り合わせ前に除去し
たので、ノズル板の接着不良やノズルの目詰まりを防止
し、もって製品の歩留まりを良くして、インクジェット
式記録ヘッドのコストを下げることができる。
【0060】本発明によれば、エッチングマスクのひさ
しを除去すると共に、振動板のエッチングの有無を選択
可能とし、ヘッドのコンプライアンスを調整可能に構成
したので、製品の均一性が向上し製品の歩留まりを良く
して、インクジェット式記録ヘッドのコストを下げるこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のインクジェット式記録ヘッドの斜視図
一部断面図である。
【図2】本発明の圧電体素子の積層構造を説明する断面
図である。
【図3】本発明のインクジェット式記録ヘッドにおける
圧電体素子の製造方法を説明する製造工程断面図であ
る。
【図4】実施形態1のインクジェット式記録ヘッドの製
造方法を説明する製造工程断面図である。(A)は絶縁
膜形成工程、(B)は圧電体薄膜形成工程および(C)
は圧電体素子成形工程である。
【図5】実施形態1のインクジェット式記録ヘッドの製
造方法を説明する製造工程断面図である。(A)は振動
板エッチング工程、(B)は圧力室エッチング工程およ
び(C)はひさし除去工程である。
【図6】実施形態2のインクジェット式記録ヘッドの製
造方法を説明する製造工程断面図である。(A)はレジ
スト層形成工程、(B)はひさし除去工程および(C)
は除去工程である。
【図7】従来の製造方法における問題点を説明する図で
ある。
【符号の説明】
100…インクジェットプリンタ 10…ノズル板 11…ノズル 20…圧力室基板 21…キャビティ(圧力室) 22…側壁 23…リザーバ 24…供給口 30…振動板 31…インクタンク口 40…圧電体素子 101…シリコン基板 301…酸化ケイ素(SiO)膜 302…下部電極膜 303…ひさし部分 401…圧電体層 402…上部電極膜 501…マスク

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 圧力室が設けられた圧力室基板と、前記
    圧力室基板に設けられた振動板と、前記振動板上に設け
    られた圧電体素子と、を備えたインクジェット式記録ヘ
    ッドにおいて、 前記振動板は、前記圧力室内で露出している領域に凹部
    が形成されていることを特徴とするインクジェット式記
    録ヘッド。
  2. 【請求項2】 前記振動板と前記圧力室基板との前記圧
    力室に面した境界部分は、前記振動板が前記圧力室基板
    より多く侵食されたことによってひさし形状が形成され
    ている請求項1に記載のインクジェット式記録ヘッド。
  3. 【請求項3】 圧力室が設けられた圧力室基板と、前記
    圧力室基板に設けられた振動板と、前記振動板上に設け
    られた圧電体素子と、を備えたインクジェット式記録ヘ
    ッドの製造方法において、 圧力室を形成するための圧力室基板の一方の面に振動板
    を形成する振動板形成工程と、 前記圧力室基板の他方の面にエッチングマスクを形成す
    るエッチングマスク形成工程と、 前記エッチングマスクを前記圧力室の形状に合わせてエ
    ッチングし、前記圧力室基板を露出させるマスクエッチ
    ング工程と、 前記露出した圧力室基板を前記振動板が露出するまでエ
    ッチングする圧力室基板エッチング工程と、 前記エッチングマスクと前記圧力室基板とにより圧力室
    の開口端部に形成された当該エッチングマスクのひさし
    部分を、当該エッチングマスクを選択的にエッチングす
    ることによって取り除くひさし除去工程と、を備えたこ
    とを特徴とするインクジェット式記録ヘッドの製造方
    法。
  4. 【請求項4】 前記ひさし除去工程の前に、前記振動板
    がエッチングされることを防止するためのレジスト層
    を、前記圧力室において露出している前記振動板の当該
    圧力室側に形成するレジスト形成工程と、 前記ひさし除去工程の後に、前記振動板の圧力室側に形
    成されたレジスト層を除去する除去工程と、を備えた請
    求項3に記載のインクジェット式記録ヘッドの製造方
    法。
  5. 【請求項5】 前記ひさし除去工程では、前記エッチン
    グマスクを前記圧力室基板より高いエッチングレートで
    エッチングするエッチング液によって前記エッチングマ
    スクのひさし部分を取り除く請求項3に記載のインクジ
    ェット式記録ヘッドの製造方法。
  6. 【請求項6】 前記エッチング液は、フッ化アンモニウ
    ム等の緩衝剤がフッ化水素酸に所定の割合で混合された
    ものである請求項3に記載のインクジェット機記録ヘッ
    ドの製造方法。
  7. 【請求項7】 前記エッチングマスクは、酸化ケイ素で
    あり、前記圧力室基板は、シリコンにより形成されてい
    る請求項3に記載のインクジェット式記録ヘッドの製造
    方法。
  8. 【請求項8】 前記振動板上に、電極膜で挟まれた圧電
    体素子を形成する工程をさらに備える請求項3に記載の
    インクジェット式記録ヘッドの製造方法。
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