JPH11227310A - 孔版印刷装置の圧胴 - Google Patents

孔版印刷装置の圧胴

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JPH11227310A
JPH11227310A JP10141537A JP14153798A JPH11227310A JP H11227310 A JPH11227310 A JP H11227310A JP 10141537 A JP10141537 A JP 10141537A JP 14153798 A JP14153798 A JP 14153798A JP H11227310 A JPH11227310 A JP H11227310A
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    • B41L13/04Stencilling apparatus for office or other commercial use with curved or rotary stencil carriers
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 押圧力の部分的な集中によるマスタの破損を
防止できるとともに、押圧部における版胴と用紙との線
速度の相違によるマスタのしわの発生を防止できる孔版
印刷装置の圧胴を提供すること。 【解決手段】 外周面に製版済みマスタ3を装着して回
転する版胴1に被印刷部材Pを押圧しつつ回転する、外
周に弾性層50を有する円筒体40からなる孔版印刷装
置の圧胴10において、弾性層50が、被印刷部材Pの
圧縮率よりも高い圧縮率を有し、圧縮されたときに体積
移動せずに弾性変形する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、孔版印刷装置の圧
胴に関する。
【0002】
【従来の技術】孔版印刷装置として、外周面に製版済み
マスタを装着した状態で回転する版胴と、給紙手段によ
って1枚ずつ搬送されてくる用紙を版胴に押圧しつつ回
転する円筒状の圧胴とを有し、この押圧状態において、
インキ供給手段からのインキを用紙に転移させて印刷を
行なうものが知られている。
【0003】圧胴は、版胴と略同一の直径を有し、版胴
の回転速度と同一回転速度で回転駆動され、その外周面
の一部に母線方向に延在する凹部を有している。この凹
部には、用紙の先端をクランプするクランプ手段が設け
られている。このような圧胴によれば、凹部の位置を版
胴のマスタクランパの位置に対応させることで、マスタ
クランパとの干渉を回避でき、圧胴を版胴に押圧すると
きの移動量を小さくすることができるため、押圧時の印
圧音を小さくすることができる。また、クランプ手段に
より、用紙の先端をクランプして用紙を搬送するので、
排紙時の用紙の排紙巻き上がりを防止することや、レジ
スト精度を向上することができる。
【0004】図17に示すように、圧胴100として
は、断面形状が円周の一部を欠いた形状となるように形
成されたアルミニウムの押出し材102を使用し、この
押出し材102の外周面に弾性層としてのゴム層104
を形成し、このゴム層104の外周面に研削加工を施し
たものが知られている。この押出し材102の内部に
は、強度確保のため十字状のリブ103が成形されてお
り、押出し材102の中心部、すなわち、リブ103が
交差する部分には、軸101が設けられている。また、
アルミニウムの押出し材を切断し、この外周面に研削加
工を施して使用するものも知られている。ゴム層104
の材料としては一般的にニトリルゴムが使用されてい
る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】図17に示す圧胴で
は、重量を抑えるために、ゴム層の厚さを薄くしてい
る。例えば、ゴム層の厚さが略3〜5mmに設定されて
いる。よって、ゴム層に用いられているゴムの硬度をゴ
ム硬度HS20(JIS−A)としても、ゴム層の厚さ
が薄いので、実際には、ゴム硬度HS40(JIS−
A)に相当する変形状態を呈する。これは、肉厚が小さ
いために、設定硬度に対応したゴム弾性が十分に発現し
ないためである。これにより、図18に示すように、紙
厚が厚くなる折り返し部分を有する用紙a、例えば、封
筒等に印刷する場合、圧胴bのゴム層cの硬度が高いの
で、折り返し部分a1に圧胴bの押圧力が集中して作用
し、折り返し部分a1に対応するマスタdの部分(図
中、e部)にも、押圧力が集中して作用する。なお、図
中、符号fは版胴を示す。したがって、封筒等に印刷す
る場合には、数百枚印刷した時点で、用紙の紙厚が厚い
部分に対応するマスタの部分が破れるという問題点が発
生し、破損した部分から用紙にインキが付着し、用紙が
汚れるという問題点がある。
【0006】このマスタ破損を防止するために、ゴム層
のゴム硬度を下げることが考えられる。ゴム層のゴム硬
度を下げることによって、用紙の紙厚が厚い部分への押
圧力集中を少しは緩和できるが、この押圧時には、図1
9に示すように、ゴム層cは、用紙aの両側に体積移動
する。この体積移動により、圧胴bの中心から押圧部ま
での距離r1が圧胴bの半径r2よりも長くなったり、
あるいは、用紙aの厚さ分だけ距離r1が距離r2より
も長くなる。すなわち、版胴fの半径r3よりも長くな
る。
【0007】この現象は、厚紙に印刷を行う場合にも発
生する。この場合には、圧胴の中心から押圧部までの距
離が、圧胴の半径と厚紙の厚さとを加えた距離になり、
版胴の中心から押圧部までの距離よりも長くなる。圧胴
の中心から押圧部までの距離が、版胴の中心から押圧部
までの距離よりも長くなると、押圧部において、厚紙の
線速度が版胴の周面の線速度よりも速くなり、マスタに
しわが発生する。
【0008】よって、本発明の目的は、押圧力の部分的
な集中によるマスタの破損を防止できるとともに、押圧
部における版胴と用紙との線速度の相違によるマスタの
しわ発生を防止できる孔版印刷装置の圧胴を提供するこ
とにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、従来のゴム弾
性に基づいた変形を利用する構成では体積移動による変
形を避けられない状況に鑑み、弾性層の圧縮性に着目し
た。例えば、発泡性材料では、内在する気泡部分の圧縮
率が他の緻密部分より圧倒的に高いため(気体の圧縮率
に相当)、押圧力が作用した場合、気泡部分が占有して
いたスペースに押圧力によって変形すべき緻密部分が移
動することとなり、これにより、体積移動を伴うことな
く押圧力が吸収されることになる。上記技術思想の下、
請求項1記載の発明は、外周面に製版済みマスタを装着
して回転する版胴に被印刷部材を押圧しつつ回転する、
外周に弾性層を有する円筒体からなる孔版印刷装置の圧
胴において、弾性層が、被印刷部材の圧縮率よりも高い
圧縮率を有し、圧縮されたときに体積移動せずに弾性変
形する構成である。
【0010】請求項2記載の発明は、請求項1記載の孔
版印刷装置の圧胴において、被印刷部材が折り返し部を
有し、弾性層の圧縮率が折り返し部の圧縮率よりも高い
構成である。
【0011】請求項3記載の発明は、請求項1または2
記載の孔版印刷装置の圧胴において、弾性層が圧縮残留
歪みが小さいウレタンフォームのシートである。
【0012】請求項4記載の発明は、請求項1または2
記載の孔版印刷装置の圧胴において、弾性層が圧縮残留
歪みが小さく、かつ、非粘着性を有するシリコンゴム系
のシートである。
【0013】請求項5記載の発明は、請求項1、2、3
または4記載の孔版印刷装置の圧胴において、円筒体の
外周面の両端部分の各外径が、円筒体の中央部から各端
部に向かって漸次増大しており、これに対応する弾性層
の厚さが、圧胴の両端部の外径がその中央部の外径と同
じになるように、円筒体の中央部から各端部に向かって
漸次薄くなっている構成である。
【0014】請求項6記載の発明は、請求項1、2、
3、4または5記載の孔版印刷装置の圧胴において、圧
胴の外周面が版胴に当接したときの衝撃を緩和するゴム
層を、圧胴の版胴に接触し始める部分に弾性層に代えて
設けた構成である。
【0015】請求項7記載の発明は、請求項1、2、
3、4、5または6記載の孔版印刷装置の圧胴におい
て、弾性層の外周面に形成され、摩擦係数を低下すると
ともに非粘着性を向上する表面処理層を有する構成であ
る。
【0016】請求項8記載の発明は、請求項1、2、
3、4、5または6記載の孔版印刷装置の圧胴におい
て、合成樹脂フィルムからなるシートを弾性層の外周面
に巻着した構成である。
【0017】請求項9記載の発明は、請求項1、2、
3、4、5、6、7または8記載の孔版印刷装置の圧胴
において、円筒体が一端に底板を有するカップ形状であ
り、この円筒体の他端に円盤状のフランジが固着されて
おり、円筒体及びフランジが、熱硬化性の合成樹脂から
なる構成である。
【0018】請求項10記載の発明は、請求項3、5、
6、7、8または9記載の孔版印刷装置の圧胴におい
て、ウレタンフォームが互いに連結しない多数の独立気
泡を有するマイクロセル発泡体である構成である。
【0019】請求項11記載の発明は、請求項6、7、
8、9または10記載の孔版印刷装置の圧胴において、
ゴム層の、圧胴の回転方向における上流側の厚さが、圧
胴の回転方向の下流側から上流側に向かって漸次薄くな
っており、この部分に対応する弾性層の厚さが、圧胴の
回転方向の下流側から上流側に向かって漸次厚くなって
いる構成である。
【0020】請求項12記載の発明は、請求項10また
は11記載の孔版印刷装置の圧胴において、マイクロセ
ル発泡体の表面が平滑である構成である。
【0021】
【実施例】本発明の実施例を図面を参照して説明する。
まず、本発明の圧胴を使用した孔版印刷装置について説
明する。図1に示すように、版胴1は、多孔構造の円筒
体を有し、この円筒体の外周面にメッシュスクリーンを
巻着して構成されている。この版胴1の外周部には、版
胴1の母線と平行に回転自在なマスタクランパ2が設け
られている。このマスタクランパ2は図示しない開閉装
置により駆動力を伝達されて、所定位置にて開閉され
る。マスタクランパ2には、マスタ3の一端が挾持され
ている。マスタ3の他端側は、版胴1の外周面に巻着さ
れている。
【0022】図1中、版胴1の右側には、マスタ3を原
稿の情報に基づいて穿孔する製版書き込み装置80が配
置されている。製版書き込み装置80は、マスタ3に穿
孔製版するサーマルヘッド81と、マスタ3をサーマル
ヘッド81の発熱素子部に押し付けつつ、マスタ3を搬
送するプラテンローラ82と、このプラテンローラ82
を駆動するパルスモータ83と、マスタ3を切断するカ
ッタ84と、このカッタ84を駆動するカッタ駆動モー
タ85と、マスタ3の切断時期を決定する偏心カム86
と、マスタ3の先端をマスタクランパ2へ案内する給版
ローラ87とから構成されている。製版書き込み装置8
0内において、マスタ3は、ロール状に巻かれて収納さ
れている。図1中、版胴1の左側には、すでに版胴1に
巻着されている使用済みマスタ3を版胴1から剥離して
格納する排版装置88が配置されている。
【0023】版胴1は、図示しない駆動装置により時計
回りの向きに回転する(図中、矢印Aの向き)。版胴1
の内部には、該版胴1と同方向に同期して回転するイン
キローラ4と、このインキローラ4の外周面と僅かに隙
間を設けて配置されたドクターローラ5とが配設されて
いる。これらのローラ4、5により、インキ溜り6のイ
ンキをインキローラ4の外周面に供給する。インキは、
軸パイプ7の穴より楔状空間のインキ溜り6に供給され
る。さらに、インキローラ4の外周面に供給されたイン
キは、版胴1の内周面とインキローラ4外周面との間に
僅かな隙間があるので、版胴1の内周面に供給される。
【0024】版胴1の下方には、この版胴1に押圧され
る圧胴10がインキローラ4に対向して配設されてい
る。圧胴10の直径は、版胴1の直径と略同一に設定さ
れている。圧胴10は、この圧胴10の基部をなす本体
部40と、圧胴10を支持する軸11と、本体部40の
外周面に設けられた弾性層50とから主に構成されてい
る。本体部40及び弾性層50については、後で詳細に
説明する。
【0025】圧胴10の外周面の一部には、版胴1上の
マスタクランパ2との衝突を避けるために、圧胴10の
母線方向に延在する凹部17が形成されている。この凹
部17には、合成樹脂からなるクランパベース18が設
けられており、このクランパベース18に被印刷部材と
しての用紙Pの先端を圧胴10に保持する用紙クランパ
19が取り付けられている。用紙クランパ19は、軸1
9aに回動可能に支持されており、図示しないカムによ
り所定のタイミングで開き、用紙Pをくわえた後、閉じ
て圧胴10に用紙Pを保持し、剥離爪20の位置に至る
と再び開き、用紙Pを解放して該用紙Pを排紙搬送装置
21に送り出す。
【0026】圧胴10は、版胴1との押圧位置が回転毎
に同じになるように無端ベルトで連結されていて、反時
計回りの向き(図中、矢印Bの向き)に回転するように
なっている。
【0027】圧胴10の軸11は、支点軸12を中心に
揺動自在な一対のアーム13(一方のみ図示する)に支
持されており、圧胴10は、アーム13の揺動に応じて
版胴1に対して接離自在である。アーム13の自由端
は、一端が装置の側板に固定されたスプリング14によ
って圧胴10が版胴1に押圧するように常時付勢されて
いる。アーム13の自由端には、カムフォロア15が設
けられており、このカムフォロア15は、アーム13の
揺動を制御する、すなわち、圧胴10の版胴1への押圧
を制御するための印圧カム16に当接している。
【0028】また、圧胴10は、用紙Pの搬送不良時の
対処として、版胴1に対して圧胴10が押圧されないよ
うに、版胴1と同期して回転する印圧カム16により、
所定のタイミングで版胴1から離間する。そして、搬送
不良がない場合には、再び、用紙Pを保持した圧胴10
がスプリング14により版胴1の外周面に押圧されるこ
ととなる。搬送不良が発生した場合には、圧胴10は、
版胴1に押圧されず、図示しない印圧解除装置により圧
解除される。
【0029】図1中、版胴1の右下方には、多数の用紙
Pを積載可能なエレベータ方式の給紙トレイ30と、図
中、矢印Cの向きに回転して圧胴10に用紙Pを給送す
る上下一対のフィードローラ31、31とが設けられて
いる。給紙トレイ30は、積載された用紙Pの最上位
が、常に呼び出しローラ32に適切な範囲、すなわち、
用紙Pが搬送可能な範囲の押圧力で接触する状態を保持
しつつ、昇降する。
【0030】給紙トレイ30とフィードローラ31、3
1との間には、用紙Pの重送を防止する分離ローラ33
が配設されている。分離ローラ33は、給紙トレイ30
からの用紙Pをフィードローラ31、31に送り出す給
紙ローラ33aと、この給紙ローラ33aの下方に配設
され、最上位の用紙P以外を給紙トレイ30に戻す分離
ローラ33bとから構成されている。
【0031】分離ローラ33とフィードローラ31、3
1との間には、用紙Pをフィードローラ31、31のニ
ップ部に案内するガイド板34が設けられており、フィ
ードローラ31、31から用紙クランパ19に向かう部
分にも、用紙Pを案内するガイド板34が設けられてい
る。
【0032】なお、呼び出しローラ32は、図中、矢印
Dの向きに、給紙ローラ33aは、図中、矢印Eの向き
に、分離ローラ33bは、図中、矢印Fの向きにそれぞ
れ回転する。給紙トレイ30、フィードローラ31、3
1、呼び出しローラ32及び分離ローラ33から給紙手
段が構成されている。
【0033】図1中、版胴1の左下方には、印刷後(イ
ンキ塗布後)の用紙Pを圧胴10から剥離するための剥
離爪20と、剥離した用紙Pを排紙トレイ22に搬送す
る排紙搬送装置21と、排紙搬送装置21により搬送さ
れた用紙Pを蓄えておく排紙トレイ22とがそれぞれ配
設されている。排紙搬送装置21は、用紙Pの裏面を吸
引する吸着ファン23と、一対の搬送ローラ24、25
と、これら搬送ローラ24、25の間に架け渡されたベ
ルト26とから構成されている。
【0034】次に、上述の孔版印刷装置の印刷動作につ
いて説明する。まず、すでに版胴1に巻着されている使
用済みマスタ3が、版胴1から剥離され排版装置88に
格納される。一方、製版書き込み装置80内のマスタ3
には、図示しないスキャナからの画像信号に基づいてサ
ーマルヘッド81によって穿孔製版が行われる。製版さ
れたマスタ3は、プラテンローラ82によって、版胴1
に向けて送り出されて、その先端を版胴1のマスタクラ
ンパ2に係止される。
【0035】製版が続行されて、版胴1が図中、矢印A
の向きに回転するとともに、マスタ3が一定量送り出さ
れると、カッタ駆動モータ85が偏心カム86を回転さ
せてカッタ84を駆動し、マスタ3が切断される。そし
て、版胴1の外周に製版されたマスタ3が巻き付けられ
て、製版給版が完了する。
【0036】呼び出しローラ32により給紙された用紙
Pは、給紙ローラ33aと分離ローラ33bにより重送
が防止され、最上位の1枚だけがフィードローラ31、
31に送られる。この用紙Pの先端がフィードローラ3
1、31間に搬送されると、次にフィードローラ31、
31によって、用紙Pは圧胴10に向けて搬送される。
このタイミングに合わせ、圧胴10中の用紙クランパ1
9は開き、用紙Pをくわえた後、用紙クランパ19は閉
じ、圧胴10に用紙Pが保持されたまま、圧胴10が回
転し、版胴1と圧胴10とのニップ部に用紙Pが送り込
まれる。
【0037】図1において、版胴1と圧胴10とのニッ
プ部は、スプリング14の力により加圧されており、用
紙Pが版胴1の外周面に押圧される。この押圧の際に、
インキローラ4により、版胴1の外周面に取り付けられ
ているマスタ3の穿孔部を通過してきたインキが転写さ
れ、印刷が行われる。
【0038】インキが転写された用紙Pは、さらに圧胴
10が回転することにより、剥離爪20の手前で用紙ク
ランパ19が開き、剥離爪20により剥離され、排紙搬
送装置21によって排紙トレイ22に搬送され、排紙ト
レイ22上に積載され、印刷を終了する。
【0039】次に、本発明の請求項1、2、3、9、1
0、12に対応する第1の実施例を図面を参照して詳細
に説明する。図2、3に示すように、本体部40は、一
端に底板40aを有する有底円筒体、すなわち、カップ
形状の円筒体からなる。本体部40の他端には円盤状の
フランジ41が接着によって固着されている。本体部4
0及びフランジ41は、熱硬化性の合成樹脂、例えば、
フェノール樹脂で一体成形されている。熱硬化性の合成
樹脂は、加熱されることより可塑性を失い剛体に変化す
る樹脂であり、熱可塑性の合成樹脂に比べて熱膨張率が
小さく、高強度で厚肉成形が可能で、変形しにくいとい
う特長を有している。
【0040】本体部40を熱硬化性の合成樹脂で一体成
形することによって、本体部40の内部にリブを設ける
必要がなくなり、従来のアルミニウムの押出し材を使用
した場合よりも、圧胴10を軽量化することができる。
また、従来のアルミニウムの押出し材よりも剛性があ
る。さらに、本体部40をカップ形状の円筒体とし、こ
の開口端にフランジ41を固着することによって、圧胴
10の強度を向上することができる。
【0041】底板40a及びフランジ41の各中心部に
は、軸11が挿通されている。軸11は、ピン42によ
り底板40aに固定されている。軸11の圧胴10の両
端から突出する各部分、すなわち、底板40a及びフラ
ンジ41から突出する各部分には、玉軸受43、43が
それぞれ圧入されており、底板40aから突出する端部
には、プーリ44が固設されている。玉軸受43、43
は、アーム13に固定されており、これによって圧胴1
0は、アーム13に回転自在に支持されている。プーリ
44には、上述した無端ベルトが噛み合っている。
【0042】弾性層50は、圧縮残留歪みが小さい単発
泡のウレタンフォームのスポンジ状のシートからなり、
この圧縮率が用紙Pの圧縮率よりも高いシートを使用し
ている。特に、用紙Pが折り返し部を有する封筒である
場合、すなわち、封筒に印刷する場合には、弾性層50
の圧縮率が封筒の折り返し部の圧縮率よりも高いシート
を使用している。なお、スポンジ状のシートとしては、
密度の低いものを使用する。
【0043】本実施例では、弾性層50に、株式会社イ
ノアックコーポレーション製のポロンL−24を使用し
ている。ポロンL−24は、ウレタン系のマイクロセル
発泡体であり、互いに連結しない多数の独立気泡を有す
るスポンジ状のシートであり、圧縮率が封筒の折り返し
部の圧縮率よりも高い。この独立気泡の径は10μm〜
200μmと非常に小さい。独立気泡のため弾性層50
にインキが付着した場合でも、インキの弾性層50内部
への浸入を防止できる。また、スポンジ状のシートは、
ゴムに比べて非常に比重が小さいので、圧胴10の重量
を軽減することができる。特に、圧胴10の直径が大き
い場合には、重量軽減を図ることができる。表1は、ポ
ロンL−24と、従来使用されているニトリルゴムとの
各物性値の比較データである。
【0044】
【表1】
【0045】弾性層50は、本体部40の凹部17以外
の周面、すなわち、円弧状の部分に図示しない両面テー
プにより接着されている。凹部17と円弧状部分との境
では、図4に示すように、弾性層50の端面50aは、
凹部17の縁面17aと略面一となっている。
【0046】ここで、ポロンL−24の製造について説
明する。ポロンL−24は、図15に示すように、材料
供給ノズル70から材料としてのウレタンフォーム71
をベルトコンベア72に供給し、このウレタンフォーム
71をスキージ73を通過させてその厚さを規制して製
造されている。このとき、ベルトコンベア72の搬送面
72aとスキージ72の先端との間は、弾性体50の厚
さよりも長い隙間xに設定されている。また、ウレタン
フォーム71は、隙間xを通過する際に、熱を加えなく
ても自然発泡し、互いに連結しない多数の独立気泡を有
するマイクロセル発泡体となる。
【0047】ところが、ベルトコンベア72の搬送方向
においてスキージ73よりも下流側では、ウレタンフォ
ーム71の表面を拘束する部材、例えば、金型等がない
ので、スキージ73によりその厚さを規制しても、自然
発泡によりその厚さが公差±0.3mm以内でばらつい
てしまう。この厚さのバラツキが大きいと、特にウレタ
ンフォーム71の表面に凹部が発生すると、押圧時にそ
の部分の押圧力が低下し、画像濃度が薄くなるという問
題が発生する。
【0048】この対策として、図16に示すように、ウ
レタンフォーム71の表面を刃74を用いて薄く切断し
て、その表面を平滑にしている。ウレタンフォーム71
の表面を平滑とすることによって、画像濃度の濃度ムラ
の発生を防止できる。なお、ウレタンフォーム71のベ
ルトコンベア72の搬送面72aに接している面は、ウ
レタンフォーム71が自然発泡しても、ベルトコンベア
72の搬送面72aが平滑であるため凹凸の発生を抑制
できる。図16において、符号75はウレタンフォーム
71をその上下から挾持し、ウレタンフォーム71を刃
74に向けて送り出すローラを示す。
【0049】本体部40の底板40aと開口端40bと
の外周には、図2、5に示すように、その外径が本体部
40の中央部から端部に向かって漸次増大するテーパー
部40cがそれぞれ設けられている。このテーパー部4
0cに対応する弾性層50は、テーパー部40cに沿っ
て本体部40の外周面に接着されている。換言すると、
弾性層50の両端部分も、テーパー部40cと同様に、
本体部40の中央部から端部に向かって漸次増大するテ
ーパー状をなしている。
【0050】したがって、本体部40の両端部の厚さが
本体部40の中央部の厚さよりも漸次厚くなり、圧胴1
0の両端部の外径が圧胴10の中央部の外径よりも漸次
大きくなるので、押圧時に、弾性層50の両端部がその
中央部よりも多く圧縮されることによって、この部分の
硬度が高くなり、圧胴10の端部の剛性が向上する。低
温印刷時や高速印刷時においては、圧胴10の両端部の
剛性が不足して圧胴10の両端部が変形し、印圧が低く
なり、用紙Pの幅方向における両端部で画像がかすれた
り、欠損するといった問題が発生し易いが、上述のよう
に圧胴10の両端部の剛性を向上させることによって、
画像面積全域において印圧が確保され、画像のかすれや
欠損を防止できる。
【0051】図5において、各部の厚さ及び長さについ
て説明すると、本実施例では、本体部40の中央部の厚
さt1は3〜5mmであり、弾性層50の厚さt2は3
〜6mmである。このときの本体部40のテーパー部4
0cの母線方向の長さLは10〜30mmである。ま
た、底板40aと開口端40bとにおける厚さが、本体
部40の中央部の厚さt1よりも厚さt3だけ厚くなっ
ていることによって、テーパー部40cの傾斜が設定さ
れている。なお、厚さt3は、0.5〜0.7mmであ
る。
【0052】次に、圧胴10の製造について説明する。
上述した形状の本体部40を成形する成形用金型は、一
対の金型から構成されている。図3において、本体部4
0をパーティングラインPLで分割したときに、凹部1
7を含む側の本体部40(図中、パーティングラインP
Lよりも上の部分)を成形するための金型と、凹部17
を含まない側の本体部40(図中、パーティングライン
PLよりも下の部分)を成形するための金型とからこの
成形用金型は構成されている。パーティングラインPL
は、圧胴10の中心を通り、圧胴10をその母線方向に
おいて分割する。
【0053】一対の金型に熱硬化性の合成樹脂、例え
ば、フェノール樹脂を入れて、加熱するとともに圧力を
加える。この加熱と圧力により、フェノール樹脂は、可
塑性を失い硬化し、カップ形状の円筒体である本体部4
0としての成形品となる。また、別工程において、本体
部40と同様に、フランジ41もフェノール樹脂により
一体成形される。成形された本体部40及びフランジ4
1は、互いに固着される。すなわち、本体部40の開口
端40bに円盤状のフランジ41が接着により固着され
て、円柱体が形成される。
【0054】円柱体となった本体部40において、軸1
1が底板40a及びフランジ41の各中心部に挿通され
る。軸11の挿通後、軸11がピン42により底板40
aに固定される。その後、軸11を支持して本体部40
を回転し、円筒研削盤を使用して本体部40の外周面を
切削加工する。この切削加工により、本体部40の両端
部にテーパー部40cが形成されるとともに、本体部4
0の外周面の寸法精度も仕上げられる。このときの加工
精度は、±0.1mm〜±0.3mm以内である。次
に、弾性層50としてのスポンジ状のシートが、本体部
40の凹部17以外の周面に両面テープにより接着され
る。この接着後、軸11の底板40aから突出する部分
に、玉軸受43が圧入されるとともに、プーリ44が設
けられる。最後に、軸11のフランジ41から突出する
部分に、玉軸受43が圧入されて、圧胴10の製造が終
了する。
【0055】製造後の圧胴10は、孔版印刷装置に組み
付けられるが、このとき、圧胴10をどこかに衝突させ
て、この表面に傷を付けてしまう場合がある。従来の圧
胴では、この外周面がゴムであったので、外周面に傷が
付いた場合には、その部分の画像が乱れてしまい、これ
を修正するためにゴムを切削して、再度、ゴム表面を加
硫成形する必要があり、傷の修正が困難であるととも
に、コストがかかるという問題点があった。本実施例で
は、圧胴10の外周面に傷が付いた場合には、弾性層5
0を張り替えるだけで済み、傷の修正を容易に行うこと
ができる。
【0056】上述の圧胴10を用いて封筒に印刷する場
合について説明する。図6に示すように、押圧時に、圧
胴10が版胴1に押圧されることによって、弾性層50
は全体的に圧縮されるが、特に、弾性層50の封筒Gに
対応する部分は、封筒Gの形状に沿って凹んで、封筒G
の体積分だけ圧縮される。このとき、弾性層50は、体
積移動せずに弾性変形する。体積移動せずに弾性変形す
るということは、気泡間のウレタンが座屈して、気泡中
に移動し、封筒Gの体積分を吸収するといことを意味す
る。このため、見かけ上、ウレタンフォームが圧縮分体
積移動しないこととなる。
【0057】封筒Gには、押圧力が作用するが、特に、
封筒Gの折り返し部G1に作用する押圧力は、弾性層5
0中の気泡により分散され、押圧力の折り返し部G1へ
の集中が緩和される。したがって、マスタ3の折り返し
部G1に対応する部分(図中、H部)への押圧力の集中
も緩和され、数百枚の封筒に印刷を行っても、マスタ3
の折り返し部G1に対応する部分の破損を防止でき、マ
スタ3の破損による封筒の汚れも防止できる。
【0058】封筒Gに対する押圧力は、弾性層50の圧
縮と弾性層50中の気泡により分散吸収されて低下する
が、図7に示すように、弾性層50が弾性変形すること
によって、押圧部Jにおけるニップ幅Nが従来のゴムを
用いた押圧部のニップ幅よりも広くなるため、マスタ3
と封筒Gとの接触時間が長くなり、画像濃度が淡くなる
ことを防止できる。上記体積移動を伴わない押圧力の吸
収構成は、ウレタンフォーム等の発泡材料を用いること
だけでなく、例えば、従来のニトリルゴムの裏面側(圧
胴の円筒体への接着面側)に押圧力吸収用の凹部ないし
孔を形成することによっても実現可能である。
【0059】次に、厚紙に印刷する場合について説明す
る。図8に示すように、厚紙Kに印刷する場合にも、上
述の封筒Gへの印刷と同様に、押圧部Mにおける弾性層
50が圧縮されるとともに、弾性層50の厚紙Kに対応
する部分が厚紙Kの体積分だけ圧縮される。このときに
も、弾性層50は、体積移動せずに弾性変形する。
【0060】この押圧(圧縮)状態における圧胴10の
中心Oaから押圧部Mまでの距離をR、圧胴10の半径
をRa、版胴1の中心Ohから押圧部Mまでの距離、す
なわち、版胴1の半径をRhとすると、押圧状態では、
弾性層50が凹んで弾性変形することによって、Ra>
Rとなる。圧胴10の直径と版胴1の直径とは同一なの
でRa=Rhであり、押圧状態では、Rh>Rとなり、
圧胴10の中心Oaから押圧部Mまでの距離Rが、版胴
1の半径Rhよりも長くなることはない。したがって、
押圧部Mにおいて、厚紙Kの線速度が版胴1の周面の線
速度よりも速くなることはなく、常に、厚紙Kの線速度
が版胴1の周面の線速度よりも遅くなることによって、
マスタ3に対するしわの発生を防止できる。
【0061】発明者は、弾性層50に上述のポロンL−
24以外のスポンジ状シートを使用して、マスタ3の破
損防止やしわ防止を確認したが、ポロンL−24を使用
したときが、マスタ3の破損防止としわ防止の効果が顕
著に現れた。
【0062】また、上述の実施例では、弾性層50に圧
縮残留歪みが小さい単発泡のウレタンフォームのスポン
ジ状のシートを使用したが、本発明の請求項4に対応す
る構成として、これに代えて圧縮残留歪みが小さく、か
つ、非粘着性を有するシリコンゴムを主としたマイクロ
セル発泡体のシートを使用しても、ポロンL−24と略
同じ効果を得ることができる。弾性層の表面が非粘着性
になるので、用紙の滑りがよく、用紙の用紙クランパへ
の送りを良好に行うことができる。なお、ここでいう粘
着性とは、べとべとする性質をいい、用紙の滑りが低い
性質、すなわち、用紙との摩擦が大きい性質である。
【0063】上述の実施例における圧胴10では、圧胴
10の両端部表面にテーパー状の傾斜があるため、用紙
クランパ19が開いたときに、圧胴10の両端部ではそ
の中央部に比べて開口量が少ない。よって、圧胴10の
両端部では、用紙Pを開口に挿入しにくく、用紙Pのク
ランプが困難であり、用紙Pのクランプ時にその先端が
折れるおそれがある。
【0064】そこで、本発明の請求項5に対応する構成
として、図9に示すように、テーパー部40cに対応す
る弾性層51を、テーパー部40cとは逆に、その厚さ
が本体部40の中央部から端部に向かって漸次薄くして
いる。この構成によって、弾性層51の外周面が凹凸の
ない滑らかな周面となる。この構成によっても、押圧時
に、弾性層51の両端部の硬度は高くなり、圧胴10の
端部の剛性は向上するので、画像面積全域において印圧
が確保され、画像のかすれや欠損を防止できる。また、
弾性層51の外周面が凹凸のない滑らかな周面となるの
で、用紙クランパ19が開いたときに、圧胴10の全長
にわたって用紙クランパ19の開口量が均一になり、用
紙Pのクランプを容易に、かつ、確実に行うことができ
る。
【0065】なお、図9における各部の厚さ及び長さ
は、図5に示す各部の厚さ及び長さと同じであり、本体
部40の中央部の厚さt1は3〜5mm、弾性層50の
厚さt2は3〜6mm、テーパー部40cの母線方向の
長さL1は10〜30mm、テーパー部40cの傾斜を
設定する厚さt3は、0.5〜0.7mmである。
【0066】次に、本発明の請求項6に対応する第2の
実施例について説明する。第1の実施例の孔版印刷装置
においては、印刷時、圧胴10が版胴1に押圧されたと
きに、弾性層50の版胴1に始めに接触する部分には、
大きな押圧力が加わる。この押圧力によって弾性層50
が部分的に大きく圧縮され、図10に示すように、用紙
クランパ19の先端が、版胴1に巻着されているマスタ
3に接触して、マスタ3が破損するおそれがある。
【0067】そこで、第2の実施例では、第1の実施例
で説明した孔版印刷装置において、圧胴10の外周面が
版胴1に当接したときの衝撃を緩和するゴム層を、圧胴
10の版胴1に接触し始める部分に弾性層52に代えて
設けた。以下、詳細に説明する。図11に示すように、
圧胴10が版胴1に押圧されたときに、圧胴10の版胴
1に始めに接触する部分は、圧胴10の回転方向(図
中、矢印X)の凹部17の上流側の段部、すなわち、ク
ランパベース18が設けられている側の段部である。こ
の段部には、クランパベース18に向かって下がる傾斜
面17bが形成されている。凹部17の縁面17aに
は、圧胴10の母線方向に長い平板状のブラケット60
が図示しないネジにより固定されている。凹部17の縁
面17aにブラケット60が固定されることによって、
ブラケット60と傾斜面17bとの間には、くさび状の
隙間が形成される。このくさび状の隙間には、圧胴10
の外周面が版胴1に当接したときの衝撃を緩和するゴム
層61が配置される。ゴム層61は、ニトリルゴムから
なり、くさび状の隙間に対応した形状に加硫成形されて
おり、このくさび形状の反対側の形状、すなわち、圧胴
10の外周をなす部分は、弾性層52の表面と連続する
ように形成されている。ゴム層61は、傾斜面17bと
ブラケット60との両面にそれぞれ接着剤を介して接着
されている。
【0068】ゴム層61と弾性層52との間には、図示
しない接着材が配設されており、この接着材によりゴム
層61と弾性層52とが互いに接着されている。ゴム層
61と弾性層52との外周面には、インキの弾性層52
への浸透を防止する図示しない薄層のフィルムが接着さ
れている。なお、ゴム層61の圧胴10の回転方向Xに
おける長さL2は、版胴1が当接する部分だけで良く、
本実施例では、5〜10mmである。
【0069】したがって、圧胴10が版胴1に押圧され
たとき、ゴム層61が版胴1に始めに当接するので、圧
胴10の外周面の変形量が低減され、用紙クランパ19
の先端と版胴1に巻着されているマスタ3との接触が防
止され、マスタ3の破損を防止できる。また、ゴム層6
1によって押圧力による衝撃が緩和されるので、印圧音
を低減することもできる。
【0070】上述の構成であると、ハーフトーン状の画
像を印刷する場合には、ゴム層61と弾性層52との境
界部では硬度が急激に変化するので、濃度ムラが発生す
るおそれがある。そこで、本発明の請求項11に対応す
る変形例として、図12に示すように、ゴム層62と弾
性層53との境界部におけるゴム層62の端部の厚さ
が、圧胴10の回転方向Xの下流側から上流側に向かっ
て漸次薄くなっている。これに対応する弾性層53の端
部の厚さは、圧胴10の回転方向Xの下流側から上流側
に向かって漸次厚くなっている。この両方の厚さが変化
する部分の回転方向における長さL3は、L2と同様に
5〜10mmである。
【0071】したがって、ゴム層62と弾性層53との
境界部では、徐々に硬度が変化することになり、すなわ
ち、ゴム層62側から弾性層53側へ向かって徐々に硬
度が低下することになり、ハーフトーン状の画像を印刷
する場合でも、濃度ムラの発生を防止できる。また、長
さL3を長くすることによって、ゴム層62と弾性層5
3との境界部における硬度の変化を滑らかにすることが
できる。
【0072】ところで、孔版印刷装置において、印刷時
に、用紙Pはその先端が用紙クランパ19に向けて搬送
されるが、このとき用紙Pの先端は、圧胴10の外周
面、すなわち、弾性層50の外周面を滑りながら送り込
まれることになる。このとき、弾性層50の外周面には
気泡が存在しているので、用紙Pの先端が気泡にひっか
かり易く、用紙クランパ19による用紙Pの挾持が困難
になる場合がある。また、ジャム等により用紙Pの搬送
が行われずに、圧胴10が版胴1に押圧された場合に
は、弾性層50の表面にインキが付着し、次回の印刷時
に、用紙Pの裏面にインキ汚れが付いてしまう。さら
に、インキの弾性層50の表面への付着により、インキ
が気泡内に浸入し、圧縮残留歪みが大きくなる。そこ
で、これらの問題を解決するために、請求項7及び請求
項8に記載した構成がある。
【0073】まず、本発明の請求項8に対応する第3の
実施例について説明する。第3の実施例の圧胴10は、
第1の実施例において説明した圧胴10と略同様の構成
であるので、図4に示す部材と同様の部材は、図4で用
いた符号と同一符号を付すにとどめてその説明を省略
し、相違する点について説明する。
【0074】図13に示すように、弾性層50の外周面
には、ポリエチレンテレフタレート樹脂のポリエステル
フィルム65が巻着されている。ポリエステルフィルム
65は、周知の接着剤により弾性層50の外周面に接着
されている。
【0075】ポリエステルフィルム65は、伸縮性が低
いために、その厚さを厚くすると、弾性が低下して変形
しにくくなる。よって、この状態で、ハガキや封筒等に
印刷を行った際には、ポリエステルフィルム65により
弾性層50の弾性変形が抑制され、マスタ3の破れが発
生するおそれがある。これは、ハガキや封筒等に印刷を
行った際に、ポリエステルフィルム65が弾性層50の
ように変形しないことが原因であると思われる。したが
って、ポリエステルフィルム65の厚さには限界があ
り、発明者の実験によると、その厚さは、10〜50μ
mが適切であり、この程度の厚さであれば、弾性層50
の弾性を低下させることはない。よって、本実施例で
は、ポリエステルフィルム65の厚さは、10〜50μ
mである。
【0076】また、ポリエステルフィルム65の代わり
に熱可塑性ポリウレタンエラストマーのフィルム、例え
ば、大倉工業株式会社製のシルクロンES85のフィル
ムを用いてもよい。このフィルムは、伸縮性が高く、そ
の厚さを厚くしても、弾性層50と略同様の弾性を有す
る。このフィルムを用いてハガキや封筒等に印刷を行っ
た結果、発明者は、マスタ3の破れ防止に効果があるこ
とを確認している。
【0077】したがって、ポリエステルフィルム65に
より、圧胴10の外周面が、低摩擦性及び非粘着性にな
り、用紙Pの搬送性を向上できる。また、弾性層50の
表面へのインキの付着を防止でき、インキの弾性層50
内への浸入による圧縮残留歪みの増大も防止できるとと
もに、用紙Pの裏面へのインキ汚れも防止できる。さら
に、インキ付着時のインキの拭き取り性も向上すること
ができる。
【0078】ポリエステルフィルム65を、両面粘着テ
ープを利用して弾性層50の外周面に貼り付けても良
い。また、この両面粘着テープの粘着力を弱めに設定し
て、貼付・剥離可能にしておけば、ポリエステルフィル
ム65のみを交換して貼り直すこともできる。
【0079】次に、本発明の請求項7に対応する第4の
実施例について説明する。図14に示すように、弾性層
50の外周面には、表面処理層66が設けられている。
表面処理層66は、テフロン系の低温処理被膜を弾性層
50の外周面に塗布することによって形成されている。
この表面処理層66によって、弾性層50の気泡の用紙
Pへの接触が防止され、圧胴10の外周面の摩擦係数が
低下し、平滑性が向上する。したがって、第3の実施例
における効果と同様に、圧胴10の外周面が低摩擦性及
び非粘着性になり、用紙Pの搬送性を向上できる。ま
た、弾性層50の表面へのインキの付着を防止でき、イ
ンキの弾性層50内への浸入による圧縮残留歪みの増大
も防止できるとともに、用紙Pの裏面へのインキ汚れも
防止できる。さらに、インキ付着時のインキの拭き取り
性も向上することができる。
【0080】第3、4の実施例におけるポリエステルフ
ィルム65、表面処理層66は、第2の実施例における
圧胴にも適用でき、この場合にも、第3、4の実施例に
おける効果を得ることができる。上述した第1〜4の実
施例において、圧胴10は、カップ形状の円筒体の開口
端に円盤状のフランジが固着されて構成されていたが、
この構成に限らず、圧胴を、円筒体の両端に一対の円盤
状のフランジを固着して構成しても良い。
【0081】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1の発明に
よれば、印刷時に、弾性層が全体的に圧縮されるととも
に、弾性層の被印刷部材に対応する部分が被印刷部材の
体積分だけ圧縮されて、弾性層が体積移動せずに弾性変
形する。従って、押圧力の部分的な集中によるマスタの
破損を防止できるとともに、マスタのシワの発生を防止
することができる。
【0082】請求項2の発明によれば、印刷時に、被印
刷部材の折り返し部に作用する押圧力が、弾性層により
分散され、押圧力の折り返し部への集中が緩和される。
したがって、マスタの折り返し部に対応する部分への押
圧力の集中も緩和され、マスタの折り返し部に対応する
部分の破損を防止でき、マスタの破損による被印刷部材
の汚れも防止できる。
【0083】請求項3の発明によれば、弾性層の比重が
ゴムの比重に比べて小さくなるので、圧胴の重量を軽減
することができる。
【0084】請求項4の発明によれば、弾性層の表面が
非粘着性になるので、被印刷部材の滑りを向上でき、被
印刷部材の搬送性を向上できる。
【0085】請求項5の発明によれば、圧胴の両端部の
硬度がその中央部の硬度よりも高くなるので、押圧時
に、画像面積全域において印圧が確保され、画像のかす
れや欠損を防止できる。特に、低温印刷時や高速印刷時
における圧胴の両端部の剛性不足による画像のかすれや
欠損を防止できる。
【0086】請求項6の発明によれば、圧胴が版胴に接
触したき、ゴム層が版胴に当接するので、圧胴の外周面
の変形量が低減され、用紙クランパの先端と版胴に巻着
されているマスタとの接触が防止され、マスタの破損を
防止できる。また、ゴム層によって押圧力による衝撃が
緩和されるので、印圧音を低減することもできる。
【0087】請求項7、8の発明によれば、圧胴の外周
面が低摩擦性及び非粘着性になり、被印刷部材の搬送性
を向上できる。また、弾性層の表面へのインキの付着を
防止でき、インキの弾性層内への浸入による圧縮残留歪
みの増大も防止できるとともに、被印刷部材の裏面への
インキ汚れも防止できる。さらに、インキ付着時のイン
キの拭き取り性も向上することができる。
【0088】請求項9の発明によれば、円筒体が熱硬化
性の合成樹脂で一体成形されることによって、円筒体の
内部にリブを設ける必要がなくなり、従来のアルミニウ
ムの押出し材を使用した場合よりも、圧胴を軽量化する
ことができる。また、従来のアルミニウムの押出し材よ
りも剛性を向上させることができる。さらに、円筒体を
カップ形状とし、この開口端にフランジを固着すること
によって、圧胴の強度を向上することができる。
【0089】請求項10の発明によれば、弾性層に使用
されるウレタンフォームが独立発泡であるので、弾性層
にインキが付着した場合でも、インキの弾性層内部への
浸入を防止できる。
【0090】請求項11の発明によれば、ゴム層と弾性
層との境界部では、徐々に硬度が変化することになり、
すなわち、ゴム層側から弾性層側へ向かって徐々に硬度
が低下することになり、ハーフトーン状の画像を印刷す
る場合でも、濃度ムラの発生を防止できる。
【0091】請求項12の発明によれば、マイクロセル
発泡体の表面が平滑であるので、被印刷部材を均等に押
圧でき、画像濃度の濃度ムラの発生を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】孔版印刷装置の概略構成図である。
【図2】圧胴の母線方向における縦断面図である。
【図3】圧胴の円周方向における縦断面図である。
【図4】クランパベースの取付け部の拡大断面図であ
る。
【図5】圧胴の端部の拡大断面図である。
【図6】版胴と圧胴による押圧部の母線方向における拡
大縦断面図である。
【図7】版胴と圧胴による押圧部の円周方向における拡
大縦断面図である。
【図8】版胴と圧胴の中心から押圧部までの距離の変化
を説明する押圧部の縦断面図である。
【図9】第1の実施例の変形例を示した図であり、圧胴
の端部の拡大断面図である。
【図10】押圧時における弾性層の変化を示す、押圧部
の縦断面図である。
【図11】本発明の第2の実施例を示した図であり、ク
ランパベースの取付け部の拡大断面図である。
【図12】第2の実施例の変形例を示した図であり、ク
ランパベースの取付け部の拡大断面図である。
【図13】本発明の第3の実施例を示した図であり、圧
胴の円周方向における縦断面図である。
【図14】本発明の第4の実施例を示した図であり、圧
胴の壁部の拡大断面図である。
【図15】L−24の製造装置の概略構成図である。
【図16】ウレタンフォームの表面の切断を説明する切
断部の拡大図である。
【図17】従来の圧胴の構成を示した圧胴の斜視図であ
る。
【図18】従来の版胴と圧胴により、折り返し部を有す
る用紙を印刷したときの押圧部の拡大断面図である。
【図19】従来の圧胴のゴム層の硬度を低下させて、折
り返し部を有する用紙を印刷したときの押圧部の拡大断
面図である。
【符号の説明】
1 版胴 3 マスタ 10 圧胴 40 本体部(円筒体) 40a 底板 40b 開口端 40c テーパー部 41 フランジ 50 弾性層 61 ゴム層 65 ポリエステルフィルム(合成樹脂フィル
ム) 66 表面処理層 71 ウレタンフォーム G 封筒(被印刷部材) G1 折り返し部 K 厚紙(被印刷部材) P 用紙(被印刷部材)

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】外周面に製版済みマスタを装着して回転す
    る版胴に被印刷部材を押圧しつつ回転する、外周に弾性
    層を有する円筒体からなる孔版印刷装置の圧胴におい
    て、 上記弾性層が、上記被印刷部材の圧縮率よりも高い圧縮
    率を有し、圧縮されたときに体積移動せずに弾性変形す
    ることを特徴とする孔版印刷装置の圧胴。
  2. 【請求項2】上記被印刷部材が折り返し部を有し、 上記弾性層の圧縮率が、上記折り返し部の圧縮率よりも
    高いことを特徴とする請求項1記載の孔版印刷装置の圧
    胴。
  3. 【請求項3】上記弾性層が、圧縮残留歪みが小さいウレ
    タンフォームのシートであることを特徴とする請求項1
    または2記載の孔版印刷装置の圧胴。
  4. 【請求項4】上記弾性層が、圧縮残留歪みが小さく、か
    つ、非粘着性を有するシリコンゴム系のシートであるこ
    とを特徴とする請求項1または2記載の孔版印刷装置の
    圧胴。
  5. 【請求項5】上記円筒体の外周面の両端部分の各外径
    は、上記円筒体の中央部から各端部に向かって漸次増大
    しており、これに対応する上記弾性層の厚さは、上記圧
    胴の両端部の外径がその中央部の外径と同じになるよう
    に、上記円筒体の中央部から各端部に向かって漸次薄く
    なっていることを特徴とする請求項1、2、3または4
    記載の孔版印刷装置の圧胴。
  6. 【請求項6】圧胴の外周面が上記版胴に当接したときの
    衝撃を緩和するゴム層を、上記圧胴の上記版胴に接触し
    始める部分に上記弾性層に代えて設けたことを特徴とす
    る請求項1、2、3、4または5記載の孔版印刷装置の
    圧胴。
  7. 【請求項7】上記弾性層の外周面に形成され、摩擦係数
    を低下するとともに非粘着性を向上する表面処理層を有
    することを特徴とする請求項1、2、3、4、5または
    6記載の孔版印刷装置の圧胴。
  8. 【請求項8】上記弾性層の外周面に、合成樹脂フィルム
    からなるシートを巻着したことを特徴とする請求項1、
    2、3、4、5または6記載の孔版印刷装置の圧胴。
  9. 【請求項9】上記円筒体が一端に底板を有するカップ形
    状であり、この円筒体の他端に円盤状のフランジが固着
    されており、 上記円筒体及び上記フランジが、熱硬化性の合成樹脂か
    らなることを特徴とする請求項1、2、3、4、5、
    6、7または8記載の孔版印刷装置の圧胴。
  10. 【請求項10】上記ウレタンフォームが、互いに連結し
    ない多数の独立気泡を有するマイクロセル発泡体である
    ことを特徴とする請求項3、5、6、7、8または9記
    載の孔版印刷装置の圧胴。
  11. 【請求項11】上記ゴム層の、上記圧胴の回転方向にお
    ける上流側の厚さは、上記圧胴の回転方向の下流側から
    上流側に向かって漸次薄くなっており、この部分に対応
    する上記弾性層の厚さは、上記圧胴の回転方向の下流側
    から上流側に向かって漸次厚くなっていることを特徴と
    する請求項6、7、8、9または10記載の孔版印刷装
    置の圧胴。
  12. 【請求項12】上記マイクロセル発泡体の表面が、平滑
    であることを特徴とする請求項10または11記載の孔
    版印刷装置の圧胴。
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