JPH1122764A - ディスクブレーキ装置のアジャスタ - Google Patents

ディスクブレーキ装置のアジャスタ

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JPH1122764A
JPH1122764A JP17996697A JP17996697A JPH1122764A JP H1122764 A JPH1122764 A JP H1122764A JP 17996697 A JP17996697 A JP 17996697A JP 17996697 A JP17996697 A JP 17996697A JP H1122764 A JPH1122764 A JP H1122764A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ロータ軸方向の寸法を抑えることができ、ロ
ードプレートをピストンと摩擦パッドの間に介在させる
必要がなく、小型化や軽量化に適したアジャスタを提供
すること。 【解決手段】 摩擦パッドをロータに押圧する一対のピ
ストン15,16間に、偏心カムシャフト34上のアジ
ャスタレバー38によってラチェット部材32を回転さ
せる機構を組み込み、ラチェット部材32と一体のアジ
ャスタギヤ30の回転を該アジャスタギヤ30に噛合し
た伝達ギヤ27,28を介してアジャスタねじ21,2
2に伝達することで、これらのアジャスタねじ21,2
2に螺合している各ピストン15,16をロータ側に螺
出させる構成とし、さらにアジャスタレバー38はリリ
ース動作時に揺動支点となる突起部82を装備する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、摩擦パッドとロー
タとの間の隙間調整を行うディスクブレーキ装置のアジ
ャスタに関するもので、詳しくは、制動動作時における
摩擦パッドの駆動源に空気圧を利用するエアー駆動式の
ディスクブレーキ装置に用いて好適なアジャスタに関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】これまで、エアー駆動式のディスクブレ
ーキ装置に使用されるアジャスタとして、摩擦パッドの
裏板に当接させた一対の加圧片の後方に、回転駆動され
るねじによる送り機構を介して前記加圧片をロータ側に
押し出す調整スピンドルと、各調整スピンドルを回転駆
動するための操作レバーと、各調整スピンドルの回転を
同期させる同期装置と、各調整スピンドルに作用する回
転トルクを調整する後調整装置とを組み込んだ構成のも
のが提案されている(特表平8−508080号参
照)。
【0003】また、外周に雄ねじが刻設されると共に先
端をロータに向けてロータの軸方向に移動可能に装備さ
れて摩擦パッドを押圧する一対のピストンと、それぞれ
のピストンの外周に刻設された雄ねじ部に螺合する雌ね
じ部が内周に形成されて回転駆動されるとピストンをロ
ータ軸に沿って進退させる一対のスリーブと、各スリー
ブの端部に連結されてスリーブと一体に回転する一対の
伝達ギヤと、これらの一対の伝達ギヤと噛合するように
これらの一対の伝達ギヤ間に装備されたアジャスタギヤ
と、操作レバーを回動操作によって回動するカムシャフ
トと、このカムシャフトの回転によって前記アジャスタ
ギヤを回転させる伝達機構とを備えた構成のアジャスタ
も提案されている(欧州特許 EP0703379A1
参照)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところが、前者のアジ
ャスタの場合は、調整スピンドルを始めとして各種の機
構がロータ軸方向に繋がる構造のため、ロータ軸方向に
寸法が大きくなり、ロータ軸方向に大きな収容スペース
の確保が必要で、小型の車両等には搭載することが難し
いという問題があった。
【0005】また、後者のアジャスタの場合は、摩擦パ
ッドを押圧する一対のピストンをスリーブ内に螺合させ
る構造のため、ピストンの外径が小さくなる。そのた
め、摩擦パッドとの接触性を安定させるためには、摩擦
パッドに対して接触面積の大きなロードプレートを介在
させる必要があり、該ロードプレートの装備のために重
量が増大し、重量化という問題が発生する。また、カム
シャフトの回転によってアジャスタギヤを回転させる伝
達機構を備えているが、これもロータの軸方向にワンウ
ェイクラッチ機構を重ねて備える必要があり、ロータ軸
方向の寸法の増加を招いている。更に、摩擦パッドの交
換などで調整を解除する場合のマニュアルリリースにつ
いては開示されていない。
【0006】そこで、本発明の目的は上記課題を解消す
ることにあり、ロータ軸方向の寸法を抑えることができ
て、小型の車両等にも容易に搭載でき、軽量化を図ると
同時に、マニュアルリリースを実行することのできるデ
ィスクブレーキ装置のアジャスタを提供することであ
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明は、摩擦パッドとロータとの間の隙間調整を行
うディスクブレーキ装置のアジャスタ機構であって、摩
擦パッドをロータに押圧する一対のピストンと、ピスト
ンをロータ軸方向に螺出させる一対のアジャスタねじ部
材と、ピストン間でキャリパに保持されてアジャスタね
じ部材を回転駆動するラチェット部材と、ピストン間で
キャリパに軸支されているカムシャフトと、カムシャフ
トに所望の隙間を備えつつ保持されるリング部と該リン
グ部から延出して先端がラチェット部材の爪に係合する
アーム部とからなりカムシャフトの回転と一体にラチェ
ット部材を回転させるアジャスタレバーと、カムシャフ
トの端部に連結装備されて該カムシャフトを回動操作す
る操作レバーと、アジャスタレバーの前記アーム部を上
方に引き上げて該アーム部とラチェット部材との係合を
外すマニュアルリリース用のギヤとを有し、アジャスタ
レバーが、リング部の下面の一部にカムシャフトに組み
付けた際に高さ方向の位置決めを果たす突起部が装備さ
れ、マニュアルリリース用のギヤによってアーム部に引
き上げ力が作用した時に、該突起部が揺動支点となる揺
動動作によりアーム部がラチェット部材から外れる構成
としている。
【0008】そして、以上の構成によれば、ロータ間に
配置された操作レバーを回動すると、該操作レバーと一
体にカムシャフトが回動し、該カムシャフトに装備して
いるアジャスタレバーが、ラチェット部材を一定量回動
させる。これによって、ラチェット部材の一構成ギヤで
あるアジャスタギヤが回転し、アジャスタギヤに噛合し
ているアジャスタねじ部材に含まれた各伝達ギヤを介し
て各ピストンに螺合しているアジャスタねじを回転さ
せ、各ピストンがキャリパに対してロータ側に螺出され
て、これらのピストンが当接している摩擦パッドをロー
タ側に移動する。
【0009】そして、上記構成では、伝達ギヤに操作レ
バーの回動を伝えるためのラチェット機構等は、一対の
ピストン間のスペースに配置されて、ロータ軸方向の寸
法に影響を与えない。即ち、ロータ軸方向に繋がる構成
部材が少ないため、ロータ軸方向の寸法を抑えることが
できる。
【0010】さらに、摩擦パッドを押圧するピストン
は、アジャスタねじの外周に嵌合(螺合)する構成とす
ることで、キャリパ上での寸法制限内で、ピストン径を
最大限に大きくすることができる。そして、ピストン径
を大きくすることができるため、ピストンと摩擦パッド
との接触性が安定し、接触性を安定するためにピストン
と摩擦パッドとの間にロードプレートを介在させる必要
がなくなる。
【0011】また、ラチェット部材に係合しているアジ
ャスタレバーは、カムシャフトに嵌合するリング部に位
置決め用の突起部が装備されているので、マニュアルリ
リース用のギヤによるリリース操作時には、前記突起部
が揺動支点となる揺動動作によりラチェット部材に係合
しているアーム部側が首振りして、ラチェット部材との
係合が外れる構成である。従って、例えば、リリース操
作時には前記リング部とアーム部とを一体にカムシャフ
ト上をスライドさせて係合を外す構成と比較すると、カ
ムシャフトとリング部との嵌め合いを寸法公差の大きい
隙間嵌めとしても、リリース操作時に作用する曲げモー
メントでリング部の内周縁がカムシャフトに引っかかっ
てリリース動作が妨げられるといった不都合が発生せ
ず、円滑なリリース動作を確保できる。また、このよう
にアジャスタレバーが揺動可能にカムシャフトに取り付
けられていると、制動動作時等に加わる振動等でアジャ
スタレバーに曲げモーメントが作用する場合でも、微小
な揺動動作により負荷を軽減することができ、振動等に
起因したアジャスタレバーの変形や破損を防止して、ア
ジャスタレバーの耐振性及び動作信頼性を向上させるこ
とができる。なお、上記カムシャフトは偏心カムシャフ
トとすることにより、倍力作用を増幅させることができ
る。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、図示実施形態により、本発
明を説明する。図1乃至図9は本発明に係るディスクブ
レーキ装置のアジャスタの一実施形態を示したもので、
図1は一実施形態のアジャスタ1の分解斜視図、図2は
同アジャスタ1を組み込んだディスクブレーキ装置2の
一部を断面した平面図、図3は図2のA−A線に沿う断
面図、図4は図2のB−B線に沿う断面図、図5は図3
に示したアジャスタレバーのC矢視図、図6は図5のD
矢視図、図7は図6のE矢視図、図8は一実施形態にお
けるアジャスタレバーのマニュアルリリース時(アジャ
ストMAX時)の動作の説明図で、図9は一実施形態の
アジャスタレバーのフリー状態時の動作の説明図であ
る。
【0013】この一実施形態のアジャスタ1が装備され
るディスクブレーキ装置2は、図2に示すように、車輪
と一体回転する円盤状のロータ4と、このロータ4を挟
んで対向配置される一対の摩擦パッド6,7と、一方の
摩擦パッド6をロータ4に向けて押圧するピストンの収
容部となる駆動機構収容部11cがロータ4を跨ぐブリ
ッジ部11aの一端に装備されると共にブリッジ部11
aの他端側には他方の摩擦パッド7の背面を押圧する爪
部11bを有するキャリパ11と、車体側に固定される
と共にキャリパ11を支持したサポート10(図3及び
図4参照)とを備えた構成である。前述したアジャスタ
1は、自動二輪車に使用されている空気圧駆動式のディ
スクブレーキ装置に使用される上で好適な構成となって
いるが、乗用車等で普及している油圧駆動式のディスク
ブレーキ装置にも搭載可能であることは言うまでもな
い。
【0014】前述の各摩擦パッド6,7は、ロータ4の
表面に押圧されて所定の摩擦力を発生するライニング1
2と、該ライニング12の裏面側に固着装備されて取付
金具等として機能する裏板13とから構成されている。
【0015】一実施形態のアジャスタ1は、キャリパ1
1の駆動機構収容部11cに組み込まれた一対のピスト
ン15,16によって、一方の摩擦パッド6をロータ4
側に移動させて、各摩擦パッド6,7とロータ4との間
の隙間調整を行う。
【0016】具体的には、アジャスタ1は、図1及び図
2に示すように、キャリパ11の駆動機構収容部11c
内でロータ4方向に摺動可能に保持されているピストン
支持ケース18と、該ピストン支持ケース18によりロ
ータ軸方向に移動自在に支持された一対のピストン1
5,16とを備えている。ピストン15,16の内周の
雌ねじに螺合するねじ部21a,22aが先端側外周に
形成されると共に基端側内周には締結用のねじ部19が
形成された一対のアジャスタねじ21,22と、該アジ
ャスタねじ21,22の基端部のねじ部19に螺着する
ねじ部24を有して一対のアジャスタねじ21,22と
一体回転する一対の伝達ギヤ27,28と、これらの一
対の伝達ギヤ27,28と噛合するようにこれらの一対
の伝達ギヤ27,28間に装備されたアジャスタギヤ3
0と、アジャスタギヤ30と同軸にかつ該アジャスタギ
ヤ30と一体回転可能に装備されたラチェット部材32
とがそれぞれピストン支持ケース18に支持されてい
る。更に、軸線をロータ4の半径方向に向けて上記対と
なっているピストン15,16間に回転自在に装備され
た偏心カムシャフト34と、偏心カムシャフト34の端
部に連結装備されて該偏心カムシャフト34を回動操作
する操作レバー36と、偏心カムシャフト34に嵌合す
るリング部52と該リング部52から延出して先端がラ
チェット部材32の爪に係合するアーム部53とを有し
て偏心カムシャフト34と一体回転して偏心カムシャフ
ト34の回動に応じてラチェット部材32を回転させる
アジャスタレバー38と、アジャスタレバー38のアー
ム部53を上方に引き上げて該アーム部53とラチェッ
ト部材32との係合を外すマニュアルリリース用のギヤ
60とを備えている。
【0017】ピストン支持ケース18は、ピストン1
5,16を収容する一対の筒状部18a,18a間に、
偏心カムシャフト34の偏心カム部分に対応しているシ
ャフト挿通孔18bが形成された構成を成している。ま
た、シャフト挿通孔18bの中心を貫通するように、ア
ジャスタギヤ30,ラチェット部材32を回転自在に支
持するギヤ支持孔18cが設けられている。
【0018】一対のピストン15,16は、一端を開放
した有頭筒状をなしたもので、閉じた他端側をロータ4
側に向けてピストン支持ケース18の筒状部18aに摺
動自在に嵌合している。そして、これらのピストン1
5,16は、ロータ軸方向にのみ移動し、ピストン支持
ケース18内での回転動作が規制されるように、摩擦パ
ッド6の裏板13に当接する先端面には、係合溝40が
形成されている。この係合溝40が、裏板13に形成さ
れた突起に係合することで、各ピストン15,16は回
転が規制される。
【0019】アジャスタねじ21,22は、図1及び図
2に示すように、略筒状を成していて、前述の伝達ギヤ
27,28のねじ部(雄ねじ)24に螺合するねじ部
(雌ねじ)19は、基端部の内周に刻設されている。こ
のねじ部19は、それぞれのアジャスタねじ21,22
の先端側外周に形成されたねじ部21a,22aに対し
て逆ねじとなっている。また、各アジャスタねじ21,
22の基端寄りの外周部には、鍔部42が形成されてい
る。この鍔部42には、ピストン15,16の端面に当
接して、これらのピストン15,16の初期位置が設定
される。
【0020】また、一対の伝達ギヤ27,28は、これ
らの伝達ギヤ27,28に螺着したアジャスタねじ2
1,22の鍔部42との協働で、ピストン支持ケース1
8の筒状部18aの基端の内径側に膨出した突起部を挟
むことで、ピストン支持ケース18に回転自在に支持さ
れている。
【0021】伝達ギヤ27,28が回転駆動されると、
各アジャスタねじ21,22がこれらの伝達ギヤ27,
28と一体回転して、ピストン15,16がロータ軸方
向に進退する。これらの各伝達ギヤ27,28の中心に
は、ピストン15,16を摩擦パッド6から引き離す方
向に付勢するリターンスプリング44を挿通するための
開口が設けられている。
【0022】リターンスプリング44は、伝達ギヤ2
7,28やアジャスタねじ21,22内を挿通する筒部
46aと、該筒部46aの基端から張り出して伝達ギヤ
27,28の端面に当接する位置決め片46bとを有し
たばね受けスリーブ46に収容される。ばね受けスリー
ブ46の中心を挿通して一端をピストン15,16に螺
着されたボルト48の他端に装備されたばね受け用の座
金49により、リターンスプリング44が圧縮を受けて
リターン方向の付勢力をピストン15,16に作用させ
ている。従って、リターンスプリング44はピストン1
5,16をその付勢力で安定させ、センタリングをも実
行している。ばね受けスリーブ46の位置決め片46b
は、ばね受けスリーブ46の外側から駆動機構収容部1
1cにねじ止めされるボディカバー50と、伝達ギヤ2
7,28との間に挾持されて、固定されている。
【0023】この一実施形態の場合、アジャスタレバー
38は、リング部52とアーム部53とが別体で、図5
に示すように、アーム部53は基端側にリング部52の
外周に巻き付く湾曲部53aが形成されている。そし
て、アーム部53は、湾曲部53aをリング部52の外
周に巻き付けた状態でリング部52と共に偏心カムシャ
フト34に装着され、これらのリング部52及びアーム
部53を挿通して偏心カムシャフト34に螺合するねじ
部材56によって、リング部52と一緒に偏心カムシャ
フト34に固定されている。また、図4に示すように、
リング部52とカムシャフト34の突起部34aとの間
には隙間があり、一定量△xの非アジャスト範囲を設け
ることにより、引きずりを防止している。
【0024】さらに、この一実施形態の場合、アジャス
タレバー38は、図5乃至図7に示すように、リング部
52の下面の一部に偏心カムシャフト34に組み付けた
際に、偏心カムシャフト34のカム部の上面に当接して
高さ方向の位置決めを果たす突起部82が装備され、マ
ニュアルリリース用のギヤ60の作用によりアーム部5
3に引き上げる力が作用した時には、図8に矢印(ロ)
で示すように、該突起部82が揺動支点となる揺動動作
によりアーム部53がラチェット部材32から外れるよ
うに偏心カムシャフト34に組み付けられている。ま
た、突起部82による支持は、車両の制動時の振動やラ
チェット部材32の戻り方向の力により下向きの負荷が
作用した時にも有効で、その場合には、図9に矢印
(ハ)で示すように、該突起部82が揺動支点となる揺
動動作によりアーム部53が下方に揺動する。
【0025】なお、アジャスタレバー38の偏心カムシ
ャフト34へのセット時は、アーム部53を図6に示す
ように水平な状態に位置決めし易いように、そして、カ
ム上面への接触が点接触となって姿勢が不安定にならな
いように、さらには、揺動方向が制限されるように、突
起部82は先端面82aが平坦に仕上げられ、且つ、あ
る程度の接触面積が得られるように、図7に示す如く、
細長く設けてある。
【0026】また、偏心カムシャフト34の上端側は、
図1及び図4に示したように、駆動機構収容部11cの
上部に開口したシャフト挿通孔11dにねじ止めされた
リテーナ54により回転自在に支持される。そして、リ
テーナ54とリング部52との間には、アジャスタレバ
ー38の端部がラチェット部材32に係合した状態を保
つように、アジャスタレバー38を付勢するばね58が
装備される。そして、ボディカバー50には、図1に示
すように、マニュアルリリース用のギヤ60がレバー6
1により回転操作可能に取り付けられている。このギヤ
60は、レバー61を回動させると回転して、アジャス
タレバー38を上方に引き上げて、アジャスタレバー3
8とラチェット部材32との係合を外して、隙間調整を
初期状態に戻す。
【0027】以上に説明した一実施形態のアジャスタ1
では、操作レバー36を回動すると、該操作レバー36
と一体に偏心カムシャフト34が回動し、該偏心カムシ
ャフト34に装備しているアジャスタレバー38が、図
3の矢印(イ)方向に動いて、ラチェット部材32を一
定量回動させる。これによって、ラチェット部材32と
一体のアジャスタギヤ30が回動し、該アジャスタギヤ
30の回転は、アジャスタギヤ30に噛合している各伝
達ギヤ27,28を介して各ピストン15,16の内周
に螺合しているアジャスタねじ21,22を回転させ、
このアジャスタねじ21,22の回転により各ピストン
15,16がロータ側に螺出されて、これらのピストン
15,16が当接している摩擦パッド6をロータ4側に
移動させて、ロータ4と各摩擦パッド6,7との間の隙
間を縮める。
【0028】そして、以上のアジャスタ1では、ピスト
ン15,16をロータ4側に移動させるために、ロータ
軸方向に繋がる構成部材は、アジャスタねじ21,22
と、このアジャスタねじ21,22の端部に連結された
伝達ギヤ27,28程度で、伝達ギヤ27,28に操作
レバー36の回動を伝えるためのラチェット機構等は、
一対のピストン15,16間のスペースに配置されて、
ロータ軸方向の寸法に影響を与えない。即ち、ロータ軸
方向に繋がる構成部材が少ないため、ロータ軸方向の寸
法を抑えることができて、小型化を図ることができ、小
型の車両等にも搭載が容易になる。
【0029】また、摩擦パッド6を押圧するピストン1
5,16は、アジャスタねじ21,22の外周に嵌合
(螺合)するものであるため、摩擦パッドを押圧する一
対のピストンをスリーブ内に螺合させる構成とした従来
のものと比較すると、キャリパ上での寸法制限内で、ピ
ストン径を最大限に大きくすることができる。そして、
ピストン径を大きくすることができるため、ピストン1
5,16と摩擦パッド6との接触性が安定し、接触性を
安定するためにピストン15,16と摩擦パッド6との
間にロードプレートを介在させる必要がなくなる。従っ
て、ロードプレートを装備しなければならない構造のも
のと比較すると、軽量化を図ることができ、また、制動
解除時におけるピストン15,16の戻り動作を速やか
にして引きずり等の不都合の発生を防止することができ
る。
【0030】また、アジャスタレバー38は、図10及
び図11に示すように、リング部52の下端面全体を平
坦に仕上げて、この平坦な下端面全体を偏心カムシャフ
ト34のカムの上面に当接することで、偏心カムシャフ
ト34に組み付けた際の位置決めを行い、マニュアルリ
リース用のギヤ60によるリリース操作時には、アジャ
スタレバー38全体を偏心カムシャフト34上でスライ
ドさせる構成とすることができる。しかし、このような
組み付け構造では、マニュアルリリース用のギヤ60の
操作に大きな力が必要となり、さらに、スライドを容易
にするために、偏心カムシャフト34とリング部52と
の間の嵌め合いを、寸法公差の大きな隙間嵌めにする
と、スライド動作時に傾いたリング部52の内周縁が偏
心カムシャフト34に引っかかって、円滑なリリース操
作ができなくなる場合があった。
【0031】そこで、アジャスタ1におけるアジャスタ
レバー38では、偏心カムシャフト34に嵌合するリン
グ部52に位置決め用の突起部82が装備される構成と
している。これにより、マニュアルリリース用のギヤ6
0によるリリース操作時には、突起部82が揺動支点と
なる揺動動作によりラチェット32に係合しているアー
ム部53側が首振りして、ラチェット32との係合が外
れる構成で、リリース操作時にはリング部52とアーム
部53とを一体に偏心カムシャフト34上をスライドさ
せて係合を外す従来の場合と比較すると、偏心カムシャ
フト34とリング部52との嵌め合いを寸法公差の大き
い隙間嵌めとしても、リリース操作時に作用する曲げモ
ーメントでリング部52の内周縁が偏心カムシャフト3
4に引っかかってリリース動作が妨げられるといった不
都合が発生せず、円滑なリリース動作を確保できる。
【0032】また、このようにアジャスタレバー38が
揺動可能に偏心カムシャフト34に取り付けられている
と、制動動作時等に加わる振動等でアジャスタレバー3
8に曲げモーメントが作用する場合でも、微小な揺動動
作により負荷を軽減することができ、振動等に起因した
アジャスタレバー38の変形や破損を防止して、アジャ
スタレバー38の耐振性及び動作信頼性を向上させるこ
とができる。
【0033】なお、前述した一実施形態のアジャスタ1
は、操作レバー36を回動動作させた際の往動時に作動
する往き作動タイプであるが、操作レバー36の戻り動
作時に作動する戻り作動タイプに変更する場合には、図
1で二点鎖線で囲んだ構成部品64を、破線で囲んだ構
成部品66に交換すれば良い。
【0034】また、前述した一実施形態のアジャスタ1
はポジティブタイプのものであったが、ラチェット部材
32の爪の向きを変更して、アジャスタレバー38の当
接向きを変更すれば、ネガティブタイプとすることも可
能である。
【0035】さらに、この一実施形態では、アジャスタ
レバー38は、リング部52とアーム部53とを別体と
したが、これらのリング部52とアーム部53とを一体
形成してもよい。
【0036】
【発明の効果】本発明のディスクブレーキ装置のアジャ
スタでは、伝達ギヤに操作レバーの回動を伝えるための
ラチェット機構等は、一対のピストン間のスペースに配
置されて、ロータ軸方向の寸法に影響を与えない。即
ち、ロータ軸方向に繋がる構成部材が少ないため、ロー
タ軸方向の寸法を抑えることができて、小型化を図るこ
とができる。ロードプレートを装備しなければならない
構造のものと比較すると、軽量化を図ることができ、ま
た、制動解除時におけるピストンの戻り動作を円滑にし
て引きずり等の不都合の発生を防止することができる。
更に、摩擦パッドの交換などで調整を解除する場合のマ
ニュアルリリースを備える構成を与えることができ、こ
のリリース操作時には、突起部が揺動支点となる揺動動
作によりラチェット部材に係合しているアーム部側が首
振りして、ラチェット部材との係合が外れる構成で、リ
リース操作時に作用する曲げモーメントでリング部の内
周縁が偏心カムシャフトに引っかかってリリース動作が
妨げられるといった不都合は発生せず、円滑なリリース
動作を確保できる。また、制動動作時等に加わる振動等
でアジャスタレバーに曲げモーメントが作用する場合で
も、微小な揺動動作により負荷を軽減することができ、
振動等に起因したアジャスタレバーの変形や破損を防止
して、アジャスタレバーの耐振性及び動作信頼性を向上
させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るディスクブレーキ装置のアジャス
タの一実施形態の分解斜視図である。
【図2】本発明の一実施形態のアジャスタを組み込んだ
ディスクブレーキ装置の一部を断面した平面図である。
【図3】図2のA−A線に沿う断面図である。
【図4】図2のB−B線に沿う断面図である。
【図5】図3に示したアジャスタレバーのC矢視図であ
る。
【図6】図5のD矢視図である。
【図7】図6のE矢視図である。
【図8】本発明の一実施形態のアジャスタレバーのマニ
ュアルリリース時(アジャストMAX時)の動作の説明
図である。
【図9】本発明の一実施形態のアジャスタレバーのフリ
ー状態時の動作の説明図である。
【図10】従来のアジャスタレバーの取り付け構造を示
す平面図である。
【図11】図10のF矢視図である。
【符号の説明】
1 アジャスタ 2 ディスクブレーキ装置 4 ロータ 6,7 摩擦パッド 11 キャリパ 11c 駆動機構収容部 15,16 ピストン 18 ピストン支持ケース 19 ねじ部 21,22 アジャスタねじ 21a,22a ねじ部 24,25 ねじ部 27,28 伝達ギヤ 30 アジャスタギヤ 32 ラチェット部材 34 偏心カムシャフト 34a 突起部 36 操作レバー 38 アジャスタレバー 40 係合溝 44 リターンスプリング 46 ばね受けスリーブ 48 ボルト 52 リング部 53 アーム部 54 リテーナ 58 ばね 60 マニュアルリリース用のギヤ 61 レバー 82 突起部

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 摩擦パッドとロータとの間の隙間調整を
    行うディスクブレーキ装置のアジャスタであって、 前記摩擦パッドを前記ロータに押圧する一対のピストン
    と、 前記ピストンに螺合し、回転することにより該ピストン
    をロータ軸方向に螺出させる一対のアジャスタねじ部材
    と、 前記ピストン間でキャリパに保持され、前記アジャスタ
    ねじ部材を回転駆動するラチェット部材と、 前記ピストン間でキャリパに軸支されているカムシャフ
    トと、 前記カムシャフトに所望の隙間を備えつつ保持されるリ
    ング部と該リング部から延出して先端が前記ラチェット
    部材の爪に係合するアーム部とからなり、前記カムシャ
    フトの回転と一体に前記ラチェット部材を回転させるア
    ジャスタレバーと、 前記カムシャフトの端部に連結装備されて該カムシャフ
    トを回動操作する操作レバーと、 前記アジャスタレバーのアーム部を上方に引き上げて該
    アーム部と前記ラチェット部材との係合を外すマニュア
    ルリリース用のギヤとを有し、 前記アジャスタレバーが、リング部の下面の一部に前記
    カムシャフトに組み付けた際に高さ方向の位置決めを果
    たす突起部が装備され、マニュアルリリース用の前記ギ
    ヤによってアーム部に引き上げ力が作用した時に、該突
    起部が揺動支点となる揺動動作によりアーム部が前記ラ
    チェット部材から外れることを特徴としたディスクブレ
    ーキ装置のアジャスタ。
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