JPH11234808A - 動力出力装置およびハイブリッド車両 - Google Patents

動力出力装置およびハイブリッド車両

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JPH11234808A
JPH11234808A JP4905898A JP4905898A JPH11234808A JP H11234808 A JPH11234808 A JP H11234808A JP 4905898 A JP4905898 A JP 4905898A JP 4905898 A JP4905898 A JP 4905898A JP H11234808 A JPH11234808 A JP H11234808A
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茂隆 永松
Eiji Yamada
英治 山田
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  • Hybrid Electric Vehicles (AREA)
  • Electric Propulsion And Braking For Vehicles (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 4輪駆動可能なハイブリッド車両において、
前車軸と後車軸から出力される動力の配分が変更できな
かった。 【解決手段】 エンジンの出力動力の一部をクラッチモ
ータを介して前車軸に伝達し、残余を電力として回生す
る。この電力を用いて後車軸に結合したモータを駆動す
る。かかる基本構成により4輪駆動可能なハイブリッド
車両において、クラッチモータと前車軸との間に変速ギ
ヤを介設する。変速ギヤはリングギヤを固定したプラネ
タリギヤとクラッチで構成されている。前車軸はサンギ
ヤに結合され、クラッチモータの回転軸はクラッチの切
り替えでプラネタリキャリアまたはサンギヤに選択的に
結合される。車両が通常走行中には回転軸をプラネタリ
キャリアに結合し、加速中にはサンギヤに結合する。該
手段により加速中に前車軸からの出力動力の配分を大き
くすることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、動力源として原動
機と電動機とを備えるハイブリッド式の動力出力装置お
よび該動力出力装置を搭載したハイブリッド車両に関
し、詳しくは2つの出力軸を備える動力出力装置および
該装置を搭載した4輪駆動可能なハイブリッド車両に関
する。
【0002】
【従来の技術】近年、エンジンと電動機とを動力源とす
るハイブリッド車両が提案されている(例えば特開平9
−47094に記載の技術等)。ハイブリッド車両の一
種としていわゆるパラレルハイブリッド車両がある。パ
ラレルハイブリッド車両は、エンジンから出力された動
力を動力分配装置により分配する。分配された動力の一
部は出力軸に伝達され、残りは発電機により電力に変換
される。この電力はバッテリに蓄電されたり、出力軸に
結合された電動機を駆動するのに用いられる。かかる構
成により、パラレルハイブリッド車両はエンジンから出
力された動力を任意の回転数およびトルクで出力軸に出
力することができる。エンジンは運転効率の高い運転ポ
イントを選択して運転することができるため、ハイブリ
ッド車両はエンジンのみを駆動源とする従来の車両に比
べて省資源性および排気浄化性に優れている。
【0003】一方、上述のパラレルハイブリッド車両の
技術を利用して、4輪駆動可能なハイブリッド車両も提
案されている(例えば特開平9−175203記載の技
術等)。4輪駆動可能なハイブリッド車両の構成例を図
15に示す。かかるハイブリッド車両では、原動機50
の出力軸にクラッチモータ30のインナロータ34を結
合するとともに、クラッチモータ30のアウタロータ3
2を駆動軸22に結合する。駆動軸22は変速ギヤ23
およびディファレンシャルギヤ24を介して前輪26,
28に結合されている。後輪27,29には電動機40
が結合されており、該電動機40は駆動回路92を介し
てバッテリ94に接続されている。クラッチモータ30
もまた駆動回路91を介してバッテリ94に電気的に接
続されている。従って、電動機40とクラッチモータ3
0はバッテリ94を介して電気的に接続されている。
【0004】クラッチモータ30はインナロータ34と
アウタロータ32との間の電磁的な結合により動力を伝
達するとともに、両者間の相対的な滑りに応じて電力を
回生し、動力を電力に変換する動力分配装置としての役
割を果たすものである。原動機50から出力された動力
は上述したクラッチモータ30の作用により、一部が駆
動軸22に伝達され前輪26,28を駆動し、残りの動
力が電力に変換される。この電力は電動機40を駆動す
ることにより、後輪27,29の駆動に用いられる。か
かる作用により上述のハイブリッド車両では、前輪2
6,28および後輪27,29の双方から動力を出力す
ることができ、いわゆる4輪駆動が可能である。
【0005】エンジンのみを動力源とする従来の車両で
4輪駆動を実現するためには、エンジンの動力を前輪お
よび後輪の両者に伝達するために、プロペラシャフトを
用いていた。これは重量および車両の室内スペースへの
影響等の面でデメリットが多い。上述のハイブリッド車
両では、プロペラシャフトを用いることなく4輪駆動を
実現できる点でも大きな利点を有している。4輪駆動可
能なハイブリッド車両は、その他省資源性および排気浄
化性に優れているというハイブリッド車両の特性を4輪
駆動車両においても活かすことができる点でも優れてい
る。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、4輪駆動可能
なハイブリッド車両では、前輪および後輪から出力され
るトルク配分を適切な値に設定することが困難であっ
た。上述の構成(図15)に基づいて説明すれば、クラ
ッチモータ30のインナロータ34とアウタロータ32
の間には作用反作用の関係が成立するから、原動機50
から出力されるトルクと駆動軸22に伝達されるトルク
とは常に等しくなる。前輪には駆動軸22のトルクを変
速ギヤ23により一定の減速比でトルク変換して出力し
ている。従って、前輪に出力されるトルクと原動機50
の出力トルクとの比は、変速ギヤ23に応じて定まる一
定値となる。
【0007】上述のハイブリッド車両では、要求トルク
が原動機50の出力トルクよりも大きい場合には電動機
40でトルクを付加することにより前輪および後輪の総
和で所望のトルクを出力しているのである。逆に要求ト
ルクが原動機50の出力トルクよりも小さい場合には電
動機40を発電機として作用し、いわゆる回生負荷を後
輪に加えることになる。
【0008】減速比の設定について図16を用いて説明
する。図16は走行に必要となる走行トルクおよび車両
からの出力トルクの関係を車速に応じて示したグラフで
ある。図16の曲線L11に示す通り、主に路面との転
がり摩擦および空気抵抗に対抗して走行するために必要
となる走行トルクは車速が増すにつれて単調増加してい
く。加速や減速を生じることなく走行するためには、走
行トルクと車両からの出力トルクが等しくなる必要があ
る。前輪からの出力トルクが大きい場合には、車両から
の出力トルクと走行トルクを釣り合わせるために、後輪
で負のトルクを付加する必要が生じるが、これは運転効
率上好ましい状態ではない。従って、前輪からの出力ト
ルクは頻繁に使用されるある速度での巡行時に走行トル
クに概ね釣り合うように設定されることが望ましい。
【0009】かかる速度を図16中のV11とすれば、
この速度で前輪の出力トルク(曲線L13)が走行トル
クL11に概ね等しくなるように設定することが望まし
い。この場合でもV11よりも低い速度で走行する場合
には、後輪で負のトルクを付加する必要があるが、その
大きさを抑制することができる。例えば、図16中の曲
線L14に相当する動力が前輪から出力されるように設
定すれば、車速V11においてさえも後輪で負のトルク
を加える必要がある他、その大きさも大きくなる。ハイ
ブリッド車両では、図16の曲線L13に相当するトル
クが出力されるように変速ギヤ23のギヤ比が設定され
ている。
【0010】図16の曲線L13に示すように前輪から
の動力を設定した上で、車両を加速する場合を考える。
車両を加速する場合には図16の曲線L12に示す通
り、走行トルクよりも大きなトルクが必要となる。先に
説明した通り、前輪から出力されるトルクは原動機から
出力されるトルクに対し、一定の比率で決まってしまう
ため、加速時に要求トルクを出力するには、後輪に結合
された電動機を駆動してトルクを付加することが必要と
なる。この結果、加速時には車両から出力されるトルク
の配分が後輪に大きく偏ることになる。
【0011】以上では加速時を例にとって説明したが、
従来のハイブリッド車両では前輪から出力されるトルク
と原動機から出力されるトルクとの比が機構上、一定の
値に制限されており、前後輪から出力されるトルクの配
分を適切に制御することができなかった。この結果、加
速時の操安定性という面で4輪駆動車としての特質が生
かせない他、4輪駆動車としての効果が最も発揮される
べき低摩擦係数の路面での走行が効果的に行えないなど
の不都合があった。一般に4輪駆動車においては、前輪
および後輪にかかる荷重に応じたトルク配分でトルクが
出力されることが好ましいとされているが、従来のハイ
ブリッド車両では、車両の種々の走行状態に応じてかか
るトルク配分を柔軟に実現することができなかった。か
かる課題はハイブリッド車両に関わらず、2つの出力軸
を有するハイブリッド式の動力出力装置において、両者
から出力されるトルク配分を柔軟に制御することができ
ないという点で共通する。
【0012】本発明は上記課題の少なくとも一部を解決
するためになされ、2つの出力軸を有するハイブリッド
式の動力出力装置において、両軸から出力されるトルク
配分を制御可能とすることを目的とする。また、このよ
うな動力出力装置を車両に適用して、4輪駆動可能なハ
イブリッド車両において前後輪から出力されるトルク配
分を制御可能とすることを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段およびその作用・効果】上
記課題の少なくとも一部を解決するために、本発明では
以下の構成を採った。本発明の動力出力装置は、第1の
出力軸および第2の出力軸と原動機とを有し、該原動機
から出力される動力を前記第1の出力軸および第2の出
力軸から出力可能な動力出力装置であって、前記原動機
の出力軸および前記第1の出力軸に結合され、該原動機
から出力されるトルクと前記第1の出力軸に出力される
トルクが予め定めた比率となるように、該原動機から出
力される動力の少なくとも一部を前記第1の出力軸に伝
達しつつ、残余の動力を電力に変換する動力分配手段
と、前記第2の出力軸に結合され、少なくとも前記動力
分配手段により変換された電力を用いて該第2の出力軸
に動力を入出力可能な電動機と、前記原動機、動力分配
手段および電動機の運転を制御して、前記第1の出力軸
から出力される動力および前記第2の出力軸から出力さ
れる動力の総和を要求された動力に等しくする動力制御
手段とを備え、かつ、入力されるトルクと出力されるト
ルクとの比を変更可能なトルク比変更手段が、前記原動
機から出力される動力を前記第1の出力軸に伝達する経
路のいずれかの箇所に介設されていることを要旨とす
る。
【0014】上記動力出力装置では、動力制御手段によ
り第1の出力軸および第2の出力軸から出力される動力
の総和が要求動力になるように制御しつつ、原動機から
出力された動力を動力分配手段を経て一部は第1の出力
軸に出力し、残余の動力を電力の形を介して第2の出力
軸から出力する。この際、原動機から出力される動力を
第1の出力軸に伝達する経路のいずれかの箇所にトルク
比変更手段を介設しているため、かかる手段の作用によ
り、原動機から出力されるトルクと第1の出力軸から出
力されるトルクとの比が可変となる。例えば、原動機か
ら要求動力に相当する動力が出力されている場合を考え
れば、第1の出力軸から出力されるトルクが変更された
場合には、第2の出力軸から出力される動力も変更され
ることになる。この結果、上記動力出力装置によれば、
第1の出力軸と第2の出力軸から出力されるトルク比を
運転状態に応じて好ましい状態に変更することができ
る。
【0015】なお、上記動力出力装置において、トルク
比変更手段を介設する場所は、原動機と動力分配手段と
の間であってもよいし、動力分配手段と第1の出力軸と
の間であっても構わない。また、トルク比変更手段は自
動にトルク比を変更するものの他、手動でトルク比を切
り替えるものであっても構わない。
【0016】上記動力出力装置において、前記トルク比
変更手段は前記入力されるトルクと出力されるトルクと
の比を、連続的に変更可能な手段であるものとすること
が望ましい。
【0017】かかる手段を採用すれば、第1の出力軸か
ら出力されるトルクと第2の出力軸から出力されるトル
クの比をより適切な値に変更することが可能となる。
【0018】上記動力出力装置においては、前記トルク
比変更手段は、入力された動力を出力するまでの該トル
ク比変更手段内部の動力の伝達経路を切り替えることに
より、前記入力されるトルクと出力されるトルクとの比
を少なくとも2段階に変更可能な手段であるものとする
こともできる。
【0019】かかる手段によれば、簡易な構成でトルク
比の変更を実現することができる。ここで上記発明にお
ける動力の伝達経路の切り替えとは、例えば、複数のギ
ヤの組み合わせを変更することにより動力の伝達経路の
切り替えを行いつつトルク比を変更する手段が挙げられ
る。これらのギヤの組み合わせの変更時にはクラッチで
動力の伝達経路の切り離しおよび接続を行うものとして
もよい。
【0020】上記動力出力装置は、さらに前記第1の出
力軸および第2の出力軸からそれぞれ出力されるべきト
ルクを決定するトルク決定手段を備え、前記動力制御手
段は、前記原動機、動力分配手段および電動機の運転の
制御に先だって、前記トルク比変更手段を制御して、前
記原動機から出力されるトルクと前記第1の出力軸から
出力されるトルクとの比を前記決定されたトルクに応じ
て変更する手段を備えることが望ましい。
【0021】かかる動力出力装置によれば、トルク決定
手段が第1の出力軸および第2の出力軸からそれぞれ出
力すべきトルクを決定する。これにより原動機から出力
されたトルクと第1の出力軸から出力されるトルクとの
比が決定されることになる。動力制御手段は、このトル
ク比変更手段を制御して、上記トルク比を実現する。か
かる制御により、上記動力出力装置は、第1の出力軸お
よび第2の出力軸から出力されるトルク配分を自動的に
適切な値にすることができる。
【0022】上記動力出力装置においては、前記動力制
御手段は、前記トルク比変更手段の制御が行われる際に
は前記原動機、動力分配手段、および電動機の運転をな
まし制御することが望ましい。
【0023】かかる動力出力装置によれば、トルク比変
更手段の制御に際し、原動機、動力分配手段、および電
動機の運転をなまし制御するため、トルク比の変更に伴
うショックを軽減することができる。この結果、例えば
上記動力出力装置を車両等に使用した場合には、乗り心
地を向上することができる。
【0024】以上で説明した動力出力装置において、前
記動力分配手段は、前記原動機の出力軸に結合された第
1のロータと、前記第1の出力軸に結合され、前記第1
のロータと相対的に回転し得る第2のロータとを有し、
該第1のロータと第2のロータの間に生じる電磁的な結
合および相対的な滑りによって、前記原動機から出力さ
れる動力を分配する手段であるものとすることができ
る。
【0025】また、前記動力分配手段は、入力軸を有す
る発電機と、前記原動機の出力軸、前記第1の出力軸、
前記入力軸にそれぞれ結合される3軸を有し、該3軸の
うち2軸に入出力される動力が決定されると残余の1軸
から入出力される動力が決定される動力入出力手段とを
有するものとすることもできる。
【0026】本発明のハイブリッド車両は、前輪に結合
された前車軸および後輪に結合された後車軸と、少なく
とも原動機および電動機を用いて該原動機から出力され
る動力を前記前車軸および後車軸から動力を出力可能な
動力出力装置とを備えた4輪駆動可能なハイブリッド車
両であって、前記動力出力装置は、前記原動機の出力軸
および前記前車軸または前記後車軸のいずれか一方の車
軸に結合され、該原動機から出力されるトルクと該一方
の車軸に出力されるトルクが予め定めた比率となるよう
に、該原動機から出力される動力の少なくとも一部を前
記一方の車軸に伝達しつつ、残余の動力を電力に変換す
る動力分配手段と、前記前車軸および後車軸のうち、前
記一方の車軸と異なる車軸に結合され、少なくとも前記
動力分配手段により変換された電力を用いて該車軸に動
力を入出力可能な電動機と、前記原動機、動力分配手段
および電動機の運転を制御して、前記前車軸および前記
後車軸から出力される動力の総和を要求された動力に等
しくする動力制御手段とを備え、かつ、入力されるトル
クと出力されるトルクとの比を変更可能なトルク比変更
手段が、前記原動機から出力される動力を前記一方の車
軸に伝達する経路のいずれかの箇所に介設されているこ
とを要旨とする。
【0027】上記ハイブリッド車両によれば、先に説明
した動力出力装置を搭載しているため、4輪駆動が可能
であるとともに、前車軸および後車軸のトルク比を適切
に変更することができる。なお、先に述べた動力出力装
置の第1の出力軸を上記ハイブリッド車両の前車軸とす
ることもできるし、後車軸とすることもできる。
【0028】上記ハイブリッド車両において、さらに前
記前車軸および前記後車軸からそれぞれ出力されるべき
トルクを決定するトルク決定手段を備え、前記動力制御
手段は、前記原動機、動力分配手段および電動機の運転
の制御に先だって、前記トルク比変更手段を制御して、
前記原動機から出力されるトルクと前記一方の車軸から
出力されるトルクとの比を前記決定されたトルクに応じ
て変更する手段を備えるものとすることもできる。
【0029】かかるハイブリッド車両によれば、トルク
比を自動制御することができるため、例えば車両の走行
状態に応じて前車軸と後車軸のトルク比を適切な配分に
することができる。
【0030】上記ハイブリッド車両において、該ハイブ
リッド車両が加速時であるか否かを判定する加速判定手
段を備え、前記トルク決定手段は、該ハイブリッド車両
の加速時は、前記前車軸から出力されるトルクが後車軸
から出力されるトルク以上となるように前記前車軸と後
車軸のトルクを決定する手段であるものとすることもで
きる。
【0031】かかるハイブリッド車両によれば、加速時
に出力されるトルクを増大する際における走行安定性を
向上することができる。なお、前車軸から出力されるト
ルクを後車軸から出力されるトルクに対して大きくする
程度は、各車輪にかかる荷重や車輪と車両の重心位置の
関係等に応じて実験的に設定することができる。
【0032】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を実施
例に基づいて説明する。 (1)実施例の構成 はじめに、実施例の構成について図1を用いて説明す
る。図1は本実施例の動力出力装置を搭載した4輪駆動
可能なハイブリッド車両の概略構成を示す説明図であ
る。
【0033】このハイブリッド車両に搭載された動力出
力装置は、原動機としてのエンジン150から出力され
た動力を、動力分配手段としてのクラッチモータCM、
トルク比変更手段としての変速ギヤ204、駆動軸11
2、動力伝達ギヤ111およびディファレンシャルギヤ
114を介して第1の出力軸に相当する前車軸116に
伝達し前輪116R,116Lから出力する前輪動力系
統と、同じくエンジン150から出力された動力を電力
の形を経て第2の出力軸に相当する後車軸118に伝達
し後輪118R,118Lから出力する後輪動力系統と
から成っている。
【0034】まず、前輪動力系統の構成について説明す
る。図2は、この動力出力装置の構成をより詳細に示し
た構成図である。動力源としてのエンジン150は、吸
入口200から吸入した空気と燃料噴射弁151から噴
射されたガソリンとの混合気を燃焼室152に吸入し、
この混合気の爆発により押し下げられるピストン154
の運動をクランクシャフト156の回転運動に変換す
る。この爆発は、イグナイタ158からディストリビュ
ータ160を介して導かれた高電圧によって点火プラグ
162が形成した電気火花によって混合気が点火され燃
焼することで生じる。燃焼により生じた排気は、排気口
202を通って大気中に排出される。
【0035】エンジン150の運転は、EFIECU1
70により制御されている。EFIECU170は内部
にCPU、ROM、RAM等を有するワンチップ・マイ
クロコンピュータであり、CPUがROMに記録された
プログラムに従い、後述する種々の制御処理を行うよう
構成されている。EFIECU170が行うエンジン1
50の制御としては、エンジン150の回転数に応じた
点火プラグ162の点火時期制御や、吸入空気量に応じ
た燃料噴射量制御等がある。エンジン150の制御を可
能とするために、EFIECU170にはエンジン15
0の運転状態を示す種々のセンサが接続されている。例
えばクランクシャフト156の回転数と回転角度を検出
するためにディストリビュータ160に設けられた回転
数センサ176及び回転角度センサ178などである。
なお、EFIECU170には、この他、例えばイグニ
ッションキーの状態STを検出するスタータスイッチ1
79なども接続されているが、その他のセンサ,スイッ
チなどの図示は省略した。
【0036】エンジン150のクランクシャフト156
は、ダンパ130及び第3クラッチ223を介してイン
ナロータ軸133に結合されている。インナロータ軸1
33とはクラッチモータCMのインナロータ132の回
転軸である。クラッチモータCMは、後述する通りイン
ナロータ132とアウタロータ134を備え、両者が相
対的に回転可能な対ロータ電動機である。前輪動力系統
ではクラッチモータCMのアウタロータ134の回転軸
であるアウタロータ軸135は変速ギヤ204を介して
駆動軸112に結合されている。駆動軸112は変速ギ
ヤ111、ディファレンシャルギヤ114を介して前輪
116R,116Lを備えた前車軸116に結合されて
いる。
【0037】なお、ダンパ130は、このエンジン15
0のクランクシャフト156とインナロータ軸133と
を接続し、クランクシャフト156のねじり振動の振幅
を抑制する目的で設けられているものである。また、第
3クラッチ223はケースに固定されており、インナロ
ータ軸133を回転不能に把持するためのものである。
第3クラッチ223は、クラッチモータCMで回生を行
うことにより前輪116R,116Lに制動トルクを付
加する際に結合状態となり、インナロータ軸133を回
転不能に把持することにより、制動トルクの反力トルク
を受ける。
【0038】図3は、変速ギヤ204の構成を示す説明
図である。変速ギヤ204は、プラネタリギヤ210と
二つのクラッチC1,C2とから構成される。プラネタ
リギヤ210は、サンギヤ211、リングギヤ212な
る同軸の2つのギヤと、サンギヤ211とリングギヤ2
13との間に配置されサンギヤ211の外周を自転しな
がら公転する複数のプラネタリピニオンギヤを備えたプ
ラネタリキャリア213の3つの部分から構成される。
図3に示す通り、リングギヤ212はケースに回転不能
に固定されている。
【0039】機構学上周知の事項であるが、リングギヤ
212の歯数とサンギヤ211の歯数の比をρとすると
(ρ=サンギヤ211の歯数/リングギヤ212の歯数
<1)、プラネタリギヤ204を構成する3つのギヤの
回転数には次の関係式(1)が成立する。 Nr−Nc=ρ×(Nc−Ns)・・・(1) ここで、Nrはリングギヤ212の回転数、Ncはプラ
ネタリキャリア213の回転数、Nsはサンギヤ211
の回転数を意味する。本実施例では、リングギヤ212
の回転数Nrは値0であるため、上式(1)は次式
(2)と等価である。 Ns=(1+1/ρ)×Nc・・・(2)
【0040】前輪動力系統において、駆動軸112は変
速ギヤ204を構成するプラネタリギヤ210のサンギ
ヤ211に結合されている。アウタロータ134に結合
されたアウタロータ軸135はクラッチ221,222
を介して変速ギヤ204に結合されており、第1クラッ
チ221を解放しつつ第2クラッチ222を接続すると
アウタロータ軸135とサンギヤ211が結合され、結
局アウタロータ軸135と駆動軸112が直結された状
態となる。このときアウタロータ軸135から出力され
る動力は、回転数およびトルクを変えることなく駆動軸
112に伝達される。
【0041】逆に第2クラッチ222を解放しつつ第1
クラッチ221を接続するとアウタロータ軸135とプ
ラネタリキャリア213とが結合される。上式(2)よ
り明らかな通り、サンギヤ211の回転数Nsはプラネ
タリキャリア213の回転数Ncよりも大きくなる。従
って、クラッチ221,222を上述の結合状態にした
場合、アウタロータ軸135の動力は、回転数が大きく
トルクが小さい動力に変換されて駆動軸112に伝達さ
れる。このように変速ギヤ204はクラッチ221,2
22の結合状態を変えることにより、アウタロータ軸1
35から駆動軸112に伝達される動力を段階的に変換
する。これらのクラッチ221,222の切り替えは、
制御ユニット190から出力される切り替え制御信号に
応じて行われる。なお、プラネタリギヤ210のギヤ比
ρおよび動力伝達ギヤ111のギヤ比の設定については
後述する。
【0042】次に後輪動力系統について説明する。後輪
動力系統では図1および図2に示す通り、アシストモー
タAMが配設されており、アシストモータAMのロータ
142に結合された出力軸がディファレンシャルギヤ1
15を介して後輪118R,118Lを備えた後車軸1
18に結合されている。アシストモータAMのステータ
144は回転不能にケースに固定されている。
【0043】次に、クラッチモータCMおよびアシスト
モータAMの構成について説明する。クラッチモータC
Mは、対ロータの同期電動発電機として構成され、外周
面に複数個の永久磁石を有するインナロータ132と、
回転磁界を形成する三相コイルが巻回されたアウタロー
タ134とを備える。アウタロータ134は、無方向性
電磁鋼板の薄板を積層して形成されており、インナロー
タ132に対し相対的に回転可能に軸支されている。こ
のモータCMは、インナロータ132に備えられた永久
磁石による磁界とアウタロータ134に備えられた三相
コイルによって形成される磁界との相互作用により両者
が相対的に回転駆動する電動機として動作し、場合によ
ってはこれらの相互作用によりアウタロータ134に備
えられた三相コイルの両端に起電力を生じさせる発電機
としても動作する。
【0044】クラッチモータCMはインナロータ132
とアウタロータ134の双方が回転可能であるため、イ
ンナロータ軸133から入力された動力をアウタロータ
軸135に伝達することができる。クラッチモータCM
を電動機として力行運転すればアウタロータ軸135に
はトルクが付加された動力が伝達されることになるし、
発電機として回生運転すれば動力の一部を電力の形で取
り出しつつ残余の動力を伝達することができる。また、
力行運転も回生運転も行わなければ、インナロータ13
2からアウタロータ134には動力が伝達されない状態
となる。この状態は機械的なクラッチを解放にした状態
に相当する。
【0045】クラッチモータCMはスリップリング13
8および第1の駆動回路191を介してバッテリ194
に電気的に接続されている。本実施例ではバッテリ19
4としてニッケル水素バッテリを用いている。駆動回路
191は内部にスイッチング素子であるトランジスタを
複数備えたトランジスタインバータであり、制御ユニッ
ト190からの制御信号に伴って各トランジスタがオン
・オフする。制御ユニット190が駆動回路191のト
ランジスタのオン・オフの時間をPWM制御するとバッ
テリ194を電源とする三相交流がスリップリング13
8を介してクラッチモータCMのアウタロータ134に
流れるようになっている。この三相交流によりアウタロ
ータ134には回転磁界が形成され、クラッチモータC
Mは回転する。
【0046】アシストモータAMも、クラッチモータC
Mと同様に同期電動発電機として構成され、外周面に複
数個の永久磁石を有するロータ142と、回転磁界を形
成する三相コイルが巻回されたステータ143とを備え
る。アシストモータAMのステータ143も無方向性電
磁鋼板の薄板を積層して形成されている。ステータ14
3は回転不能にケースに固定されている点で、クラッチ
モータCMのアウタロータ134と異なる。アシストモ
ータAMは第2の駆動回路192を介してバッテリ19
4に電気的に接続されている。第2の駆動回路192は
第1の駆動回路191と同様、トランジスタインバータ
により構成されている。制御ユニット190の制御信号
により駆動回路192のトランジスタをスイッチングす
ると、ステータ144に三相交流が流れて回転磁界を生
じ、アシストモータAMは回転する。
【0047】クラッチモータCM、アシストモータAM
の制御を含むハイブリッド車両の運転状態は制御ユニッ
ト190により制御されている(図2参照)。制御ユニ
ット190もEFIECU170と同様、内部にCP
U、ROM、RAM等を有するワンチップ・マイクロコ
ンピュータであり、CPUがROMに記録されたプログ
ラムに従い、後述する種々の制御処理を行うよう構成さ
れている。これらの制御を可能とするために、制御ユニ
ット190には、各種のセンサおよびスイッチが電気的
に接続されている。制御ユニット190に接続されてい
るセンサおよびスイッチとしては、アクセルペダルポジ
ションセンサ164a、ブレーキペダルポジションセン
サ165a、シフトポジションセンサ184、水温セン
サ174、バッテリ194の残容量検出器199などが
ある。制御ユニット190は、これらのセンサを通じて
運転操作部からの種々の信号やバッテリ194の充電状
態等を入力し、また、エンジン150を制御するEFI
ECU170との間で種々の情報を、通信によってやり
とりしている。
【0048】次に変速ギヤ204を構成するプラネタリ
ギヤ210のギヤ比ρおよび動力伝達ギヤ111のギヤ
比の設定について説明する。まず、動力伝達ギヤ111
のギヤ比について説明する。このギヤ比は図3に示した
第2クラッチ222が結合された状態、即ち変速ギヤ2
04でのギヤ比が値1である場合において、車両が加速
する場合に基づいて設定してある。
【0049】図4に走行トルクと前車軸からの出力トル
クとの関係を示す。図4の曲線Ldは一定の速度で巡行
する場合の走行トルクを示し、曲線Laは加速する場合
の要求トルクの最大値を示している。当然、車両が加速
する場合には、走行トルクよりも大きなトルクを出力す
る必要がある。この場合、車両が安定して加速するため
には、前車軸116および後車軸118から出力される
トルクをそれぞれ適切な配分にしておく必要がある。か
かる配分は各車輪にかかる荷重の分配や車輪位置と車両
の重心との関係に応じて変化するため、実験的に設定す
る必要があるが、少なくとも後車軸118から出力する
トルクが前車軸116から出力されるトルクに比較して
極端に偏っていないようにすることが望ましい。本実施
例では前後輪から出力されるトルクのバランスを考慮し
た上で、加速時に前車軸116から出力すべきトルクを
図4の曲線L2に示すように設定した。かかる設定によ
れば、例えば車速がV2である場合には、前車軸116
からトルクTf2が出力され、後車軸118からはトル
クTr2が出力されることになる。図4から明らかな通
り、本実施例では加速時において、後車軸118に比し
て前車軸116のトルク配分が大きくなるように設定さ
れている。動力伝達ギヤ111のギヤ比はこのように設
定されたトルク(曲線L2)を実現するように設定され
る。
【0050】クラッチモータCMのインナロータ132
とアウタロータ134の間では作用反作用の原理が働く
から、エンジン150から出力されるトルクとアウタロ
ータ軸135に伝達されるトルクとは常に等しくなる。
これに対し前車軸116から出力されるトルクは動力伝
達ギヤ111のギヤ比を変更することにより変えること
ができる。後述する通り、本実施例の動力出力装置は、
前車軸116と後車軸118の双方から出力される動力
の総和が要求動力となるように制御されているから、前
車軸116から出力されるトルクの大小に応じて後車軸
118から出力されるトルクが変化する。従って、動力
伝達ギヤ111のギヤ比を調整することにより、前車軸
116と後車軸118のトルク配分を調整することがで
きるのである。加速に必要となる動力に相当する動力を
エンジン150から出力している場合に適切なトルク配
分で、即ち前輪から出力されるトルクが図4中の曲線L
2で表されるトルクになるように、動力伝達ギヤ111
のギヤ比は設定される。
【0051】変速ギヤ204のギヤ比ρの設定について
説明する。変速ギヤ204のギヤ比ρは、先に述べた通
り、リングギヤ212の歯数とサンギヤ211の歯数と
の比によって定まる。プラネタリキャリア213の歯数
は変速ギヤ204におけるトルクの変換に影響を与えな
い。変速ギヤ204のギヤ比は図3における第2クラッ
チ222を結合した状態において、勾配のない路面を一
定速度で走行する場合に基づいて設定されている。
【0052】車両が一定の速度で走行するためには、走
行トルクと出力トルクとが釣り合っている必要がある。
後述する通り、本実施例では前車軸116と後車軸11
8から出力される動力の総和が要求動力に等しくなるよ
うな制御が行われる。例えば、前車軸116から出力さ
れるトルクが走行トルクに満たない場合には、後車軸1
18に結合されたアシストモータAMを駆動して不足分
のトルクを補う。逆に前車軸116から出力されるトル
クが走行トルクよりも大きい場合には、アシストモータ
AMで回生を行って後車軸に負荷を与える。但し、後者
の状態は運転効率上好ましくないため、できれば回避し
たい状態である。アシストモータAMで回生をする状
態、即ち後車軸118で負のトルクを付加する状態を回
避しようとすれば、前車軸116から出力されるトルク
が走行トルクを大きく超えないようにすることが望まし
い。
【0053】第2クラッチ222が結合されていると
き、アウタロータ軸135はプラネタリキャリア213
に結合された状態となり、その動力はギヤ比ρに応じて
トルク変換されて駆動軸112、ひいては前車軸116
から出力される。先に示した式(2)によれば、「Ns
=(1+1/ρ)×Nc」なる関係がある。サンギヤ2
11の回転数Nsはプラネタリキャリア213の回転数
Ncよりも高い。従って、第2クラッチ222が結合さ
れた状態では、アウタロータ軸135から出力される動
力は回転数が高く、トルクが低い動力に変換されて駆動
軸112から出力されることになる。前車軸116から
は更に動力伝達ギヤ111により変換されたトルクが出
力されることになる。
【0054】これらの事情を考慮して、変速ギヤ204
のギヤ比は決められる。勾配のない路面をある所定の設
計速度を保って巡行する場合において、エンジン150
を効率のよい運転状態で運転したとき、前車軸から出力
されるトルクが走行トルクにほぼ釣り合うように変速ギ
ヤ204のギヤ比ρを設定するのである。図4の曲線L
1は上述の運転状態において前車軸116から出力され
るトルクの設定値を示している。車速V1で走行する場
合には前車軸116から出力されるトルクのみで走行で
きることを意味する。車速がV1よりも高い速度では後
車軸118から不足分のトルクを出力する。V1よりも
低い車速ではアシストモータAMで回生をして後車軸1
18に負荷をかけて走行することになるが、本実施例の
設定ではその大きさは比較的小さく抑えることができて
いる。なお、V1よりも低い車速においては、エンジン
150の運転を停止し、アシストモータAMおよびクラ
ッチモータCMを駆動して走行するものとしてもよい。
【0055】変速ギヤ204のクラッチの結合状態と前
車軸116から出力される動力との関係について説明す
る。図5は、変速ギヤ204におけるクラッチの結合状
態の変更と前車軸116から出力される動力の関係を示
した説明図である。図5中の曲線PW1,PW2はそれ
ぞれ前車軸から出力される動力がそれぞれ値PW1,P
W2で一定となるラインを示している。曲線L1は第1
クラッチ221を結合した状態で前車軸から出力される
動力を示しており、曲線L2は第2クラッチ222を結
合した状態で前車軸から出力される動力を示している。
第2クラッチ222が結合された状態で図5中の点Q2
に相当する動力が出力されている場合、クラッチを切り
替えて第1クラッチ221を結合すると、前車軸から出
力される動力はトルクが低く、回転数が高いポイントに
移行し、図5中の点Q1に相当する動力が出力される。
クラッチの結合状態の切り替えのみでは、前車軸から出
力される動力は値PW1で変化しない。
【0056】次に車速がVelで一定の場合について考
える。第1クラッチ221を結合した状態で前車軸22
1から点Q1に相当する動力が出力されているとする。
このとき、車速を維持したまま第2クラッチ222を結
合しようとすれば、図5中の点Q3に相当する動力を前
車軸116から出力することになる。先に説明した通
り、クラッチの結合状態を切り替えただけでは、前車軸
116からは点Q2に相当する動力しか出力されないた
め、点Q3に相当する動力を出力するためには、クラッ
チモータCMの回転数を増加させる必要がある。この結
果、車速Vel一定の下で第2クラッチ222を結合し
た場合には、第1クラッチ221が結合されている状態
に比べて前車軸116から出力される動力が値PW1か
ら値PW2に増大する。エンジン150から要求動力に
相当する動力が出力され続けているとすれば、車速一定
の条件下でクラッチ221,222の結合状態を変更す
ることにより、前車軸116から出力される動力が値P
W2に増大すると共に、クラッチモータCMで回生され
る電力が減少し、後車軸118から出力される動力が減
少する。
【0057】なお、点Q2と点Q3とでトルクが若干変
化するのは、車速に応じてエンジン150から出力すべ
き動力が変化することに伴い、エンジン150の運転ポ
イントも変化しているからである。当然、両者のトルク
が一致するようにエンジン150の運転を制御すること
も可能である。
【0058】(2)トルク制御処理次に、本実施例のハ
イブリッド車両のトルク制御処理について説明する。前
述した構成を有するハイブリッド車輌は通常の走行時に
おいて、要求動力に相当する動力をエンジン150から
出力し、出力された動力を所望の回転数およびトルクに
変換しつつ、前車軸116および後車軸118の両軸に
配分して伝達している。要求動力を前車軸116および
後車軸118から出力するための制御について、図6を
用いて説明する。図6は本実施例の動力出力装置のトル
ク制御ルーチンの流れを示すフローチャートである。こ
のフローチャートは、先に説明した制御ユニット190
の内部に備えられたCPUにより周期的に実行されるも
のである。
【0059】トルク制御ルーチンが開始されると制御ユ
ニット190内のCPUは、前車軸116および後車軸
118から出力される動力の総和として出力エネルギP
dを算出する(ステップS10)。このエネルギPdは
ハイブリッド車両の走行に必要となるエネルギに相当す
るものである。出力エネルギPdはハイブリッド車両の
車速やアクセルペダルポジションセンサ164aにより
検出されるアクセルの踏み込み量AP等に応じて算出さ
れる。
【0060】なお、トルク制御は単位時間当たりのエネ
ルギ収支を考慮してなされるため、以下の説明において
エネルギという時は、全て単位時間当たりのエネルギを
意味するものとする。従って、本明細書においてはエネ
ルギという用語は動力と同義である。同様に電気エネル
ギも電力と同義である。
【0061】次にCPUは充放電電力Pbの算出をする
(ステップS15)。バッテリ194の充電状態は予め
定めた所定の範囲内に維持するように制御されており、
充放電電力Pbはかかる範囲に維持するために行われる
充電および放電に要するエネルギとして、バッテリ19
4の充電状態に応じて求められる。続いてCPUは補機
の駆動エネルギPhを算出する(ステップS20)。補
機とは車両に搭載された空調機器等の電気機器を意味す
る。
【0062】以上で算出された各エネルギの総和により
要求動力Peを算出する(ステップS25)。つまり、
Pe=Pr+Pb+Phである。この動力がエンジン1
50から出力されるべき動力となる。かかる要求動力に
基づいてエンジン150の運転ポイント、即ち目標回転
数Neおよび目標トルクTeを設定する(ステップS3
0)。運転ポイントの設定は予め定めたマップに従っ
て、基本的にはエンジン150の運転効率を優先して設
定する。
【0063】図7はかかるマップの例を示した説明図で
ある。図7はエンジンの回転数Neを横軸に、トルクT
eを縦軸にとりエンジン150の運転状態を示してい
る。図7中の曲線Bはエンジン150の運転が可能な限
界範囲を示している。曲線α1からα6まではエンジン
150の運転効率が一定となる運転ポイントを示してい
る。α1からα6の順に運転効率は低くなっていく。ま
た、曲線C1からC3はそれぞれエンジン150から出
力される動力(回転数×トルク)が一定となるラインを
示している。
【0064】エンジン150は図7に示す通り、回転数
およびトルクに応じて、運転効率が大きく相違し、例え
ば曲線C1に相当する動力を出力する場合には、図7中
のA1点に相当する運転ポイント(回転数およびトル
ク)でエンジン150を運転するときが最も運転効率が
高くなる。同様に曲線C2およびC3に相当する動力を
出力する場合には図7中のA2およびA3点で運転する
場合が最も効率が高くなる。出力すべき動力ごとに最も
運転効率が高くなる運転ポイントを選択すると、図7中
の曲線Aが得られる。これを動作曲線と呼ぶ。
【0065】ステップS50における運転ポイントの設
定では、予め実験的に求められた動作曲線をROMにマ
ップとして記憶しておき、かかるマップから要求動力P
eに応じた運転ポイントを読み込んで、エンジン150
の回転数およびトルクを設定するのである。こうするこ
とにより、最も運転効率の高い運転ポイントを設定する
ことができる。
【0066】こうしてエンジン150の運転ポイントを
設定した後、CPUは減速比切り替え制御を行う(ステ
ップS100)。この制御は、変速ギヤ204のクラッ
チ221,222の結合状態を切り替えることにより、
アウタロータ軸135から出力されるトルクおよび回転
数と駆動軸112から出力されるトルクおよび回転数と
の関係を段階的に切り替える制御である。かかる制御を
実行することにより、エンジン150から出力される動
力のうち、前車軸116に伝達される動力の配分が増減
することになる。かかる配分の変化はクラッチモータC
Mの回転数の変化として現れる。この制御については後
に詳述する。
【0067】減速比切り替え処理により、クラッチ22
1,222の結合状態を決定し、クラッチモータCMの
回転数を設定した後、CPUはクラッチモータCMおよ
びアシストモータAMのトルク指令値を設定する(ステ
ップS200)。それぞれのトルク指令値の設定方法
は、次の通りである。
【0068】クラッチモータCMのインナロータ132
はエンジン150のクランクシャフト156と結合され
ているから、作用反作用の原理に基づき、クラッチモー
タCMの出力トルクの絶対値はエンジン150の負荷ト
ルクと等しくなる。但し、その符号はクラッチモータC
Mのアウタロータ134とインナロータ132の回転数
の大小関係に応じて変化する。アウタロータ134がイ
ンナロータ132よりも高い回転数で回転している場合
には、アウタロータ134がインナロータ132に対し
相対的に回転する方向とアウタロータ134に加えられ
るトルクとが一致するため、クラッチモータCMは力行
状態となる。このときはクラッチモータCMのトルク指
令値は、エンジン150の目標トルクTeと同じ値とな
る。
【0069】逆にアウタロータ134がインナロータ1
32よりも低い回転数で回転している場合には、アウタ
ロータ134がインナロータ132に対し相対的に回転
する方向とアウタロータ134に加えられるトルクとは
逆方向になるため、クラッチモータCMは回生状態とな
る。このときはクラッチモータCMのトルク指令値は、
エンジン150の目標トルクTeに負号を付けた値であ
る−Teとなる。
【0070】アウタロータ134の回転数とインナロー
タ132の回転数の差は、インナロータ軸133の回転
数とエンジン150の回転数の差によって決まる。イン
ナロータ軸133の回転数は車速および動力伝達ギヤ1
11、変速ギヤ204でのギヤ比によって決定される。
変速ギヤ204のギヤ比は減速比切り替え制御によって
決定されている。
【0071】一方、アシストモータAMのトルク指令値
は、要求されたトルクと前車軸116からの出力トルク
との差により設定される。つまり、要求されたトルクに
対し、前車軸116からの出力トルクが不足している場
合は、その不足分のトルクがアシストモータAMの出力
トルクとなる。この場合は、前車軸116から出力され
るトルクが要求トルクに満たないため、アシストモータ
AMを力行して、不足分のトルクを後車軸118から出
力するのである。逆にクラッチモータCMから余剰のト
ルクが出力される場合には、アシストモータAMのトル
ク指令値は負となり、アシストモータAMは回生状態と
なる。なお、前車軸116からの出力トルクはクラッチ
モータCMのトルク指令値(ステップS200)に変速
ギヤ204のギヤ比および動力伝達ギヤ111のギヤ比
に応じた比例係数を乗じて求めることができる。
【0072】こうして設定された値に基づいてクラッチ
モータCM、アシストモータAM,およびエンジンの運
転を制御する(ステップS205)。モータMG1,M
G2の制御については周知の同期モータの制御が適用で
き、例えば特開平9−47094記載の制御が適用でき
る。また、エンジン150の制御も周知の技術であるた
め、ここでは詳細な説明を省略する。なお、エンジン1
50の制御自体はEFIECU170が実行しており、
制御ユニット190はかかる制御に必要となる種々の情
報を出力するのみである。
【0073】上述の制御により行われるトルク変換の例
を示す。図8はエンジン150から出力される動力の回
転数およびトルクを変換して出力する様子を示す説明図
である。エンジン150から図8のP1点に相当する動
力、即ち回転数Ne、トルクTeからなる動力が出力さ
れており、これを回転数が低くトルクの高い動力(P2
点に相当する動力)に変換して出力する場合を考える。
図8中の曲線は、回転数×トルクで与えられる動力が一
定のラインを意味している。点P2の出力トルクは、前
後輪それぞれに結合された駆動軸116,118の両者
から出力されるトルクの総和である。簡単のため、動力
伝達ギヤ111,変速ギヤ204におけるギヤ比を値1
と仮定する。このときハイブリッド車両が前後輪ともに
滑りを生じない状態で走行していれば、アウタロータ軸
135および後車軸118の回転数は両者とも車速に応
じて定まる回転数Ndfで一致している。
【0074】アウタロータ134はインナロータ132
の回転数Neよりも低い回転数Ndfで回転しているた
め、クラッチモータCMのトルク指令値は先に説明した
通り−Teであり回生状態となる。このときクラッチモ
ータ134で回生される電力はアウタロータ134とイ
ンナロータ132の回転数差(Ne−Ndf)とトルク
Teとの積に等しい。これは図8のG1で示した部分の
面積に相当する。
【0075】アシストモータAMからは要求されるトル
クに対し不足するトルクTdrが出力される。かかるト
ルクの出力は、アシストモータAMを力行することによ
り行われる。アシストモータAMが結合された後車軸1
18の回転数はNdfであるため、上記トルクを出力す
るためには、アシストモータAMでは回転数Ndfとト
ルクTdrの積に相当する電力を消費することになる。
この電力は、図8においてG2で示した部分の面積に相
当する。
【0076】一般に図8におけるG1の面積とG2の面
積とは等しくなる。かかる関係は、点P1とP2の動力
が一定、即ち回転数×トルクが一定であるという関係を
加味すれば容易に証明することができる。これは、装置
の運転効率を100%とすれば、クラッチモータCMで
回生して得られる電力を用いてアシストモータAMを駆
動できることを意味する。上述の例では動力伝達ギヤ1
11および変速ギヤ204のギヤ比を値1であると仮定
して説明したが、ギヤ比が他の値の場合も同様の関係が
成立する。
【0077】なお、バッテリ194に蓄えられた電力を
用いれば、アシストモータAMからTdr以上のトルク
を出力することも可能である。このときはエンジン15
0から出力されている動力以上の動力が前車軸116お
よび後車軸118から出力されることになる。また、ア
シストモータAMから出力される動力を抑制すれば、ク
ラッチモータCMで回生した電力の一部でバッテリ19
4を充電することもできる。当然クラッチモータCMを
力行しつつ、アシストモータAMを回生または力行して
動力を出力することも可能である。先に述べた通り、ア
シストモータAMで回生をする運転状態は、本来出力す
る必要がない余剰のトルクを出力していることを意味す
るため、運転効率上好ましい運転状態とはいえない。
【0078】次に、本実施例における減速比切り替え制
御について説明する。本実施例における減速比切り替え
制御ルーチンの流れを図9に示す。減速比切り替え制御
ルーチンが開始されると、CPUはアクセルペダルポジ
ションセンサ164aにより検出されたアクセル踏み込
み量APを読み込む(ステップS105)。次にアクセ
ル踏み込み量の変化率dAP/dtを算出する(ステッ
プS110)。変化率dAP/dtとは、減速比切り替
え制御ルーチンが前回実施された際に検出されたアクセ
ル踏み込み量から上記ステップS105で検出された踏
み込み量に至るまでの変化量を、この間の時間間隔dt
で除した値である。変化率dAP/dtはそれぞれ前回
に比べてアクセル踏み込み量が増加した場合が正とな
る。
【0079】次にアクセル踏み込み量の変化率dAP/
dtの絶対値が所定の値αよりも大きいか否かを判定す
る(ステップS115)。所定の値αは変速ギヤ204
のクラッチ221,222の切り替え操作を行うか否か
の判断基準となる値であり、アクセル踏み込み量の変化
率dAP/dtの絶対値が所定の値α以下である場合に
は、変速ギヤ204のクラッチ221,222の切り替
えを行う必要がないものと判断して減速比切り替え制御
ルーチンを一旦終了する。
【0080】アクセル踏み込み量の変化率dAP/dt
の絶対値が所定の値αよりも大きい場合にはクラッチ2
21,222の切り替えを行うべきと判断する。これに
該当する状況としてはアクセルペダル164を急激に踏
み込んだ場合、アクセルペダル164の踏み込みを急激
に弱めた場合が挙げられる。変化率dAP/dtが正で
あるとき(ステップS120)は、アクセルペダルが踏
み込まれ、これまで出力していたトルクよりも大きなト
ルクを出力すべきことが要求されている場合に相当す
る。従って、CPUはローギヤ切り替え処理を実行する
(ステップS130)。
【0081】なお、アクセル踏み込み量の変化率dAP
/dtの絶対値と所定の値αとの大小関係により、クラ
ッチの切り替えを行うか否かの判断については、クラッ
チの切り替えが頻繁に行われる現象を回避するため、一
定のヒステリシスを設けておくことが望ましい。また、
クラッチモータCMやプラネタリギヤ210の回転数に
制限があるような場合には、かかる制限を超えないよ
う、例えば車速に応じて減速比切り替え制御を禁止する
リミッタを設けてもよい。さらに、アクセル踏み込み量
と車速との関係から、加速が終了したと判断される場合
には、その時点の車速に応じた適切なトルク配分が実現
されるように減速比切り替え処理を実行するものとして
もよい。
【0082】ローギヤ切り替え処理について図10にフ
ローチャートを示す。このルーチンが開始されると、C
PUはフラグCFが値1であるか否かを判定する(ステ
ップS132)。フラグCFは変速ギヤ204の結合状
態を表すフラグであり、値1である場合には第1クラッ
チ221が結合されている状態、つまりローギヤ状態で
あることを意味している。従って、フラグCFが値1で
ある場合には、CPUは何も処理を行うことなくローギ
ヤ切り替え処理を終了する。
【0083】一方、フラグCFが値0である場合には、
クラッチの切り替えを行うべく、第1クラッチC1を切
り離す(ステップS134)。これにより駆動軸112
には全く動力が伝達されない状態となる。次にCPUは
クラッチモータCMの目標回転数Nc*を算出する(ス
テップS136)。これらの処理は車両が走行中に行わ
れるものであるから、車速がほぼ一定値に維持される必
要がある。先に説明した通り、車速を一定に保った状態
で第2クラッチ222を結合した状態に切り替えようと
すれば、クラッチモータCMの回転数を増加する必要が
ある(図5参照)。 この回転数は車速、第2クラッチ
222を結合した場合のギヤ比およびエンジン150の
回転数に応じて求めることができる。
【0084】CPUはクラッチモータCMの回転数が目
標回転数Nc*に一致するようにクラッチモータCMを
増速し(ステップS138)、第2クラッチを接続する
(ステップS140)。以上の制御によりプラネタリキ
ャリア213の回転数とアウタロータ軸135の回転数
を一致させてから第2クラッチを接続することができ、
ショックを伴うことなくクラッチの切り替えを行うこと
ができる。こうしてクラッチを切り替えた後、CPUは
クラッチの結合状態を表すフラグCFに値1を代入して
(ステップS142)、ローギヤ切り替え処理を終了す
る。また、減速比切り替え制御ルーチンも終了する(図
9)。
【0085】一方、アクセル踏み込み量の変化率dAP
/dtが正でないとき(ステップS120)は、これま
で出力していたトルクを減ずることが要求されているこ
とを意味しているため、CPUはハイギヤ切り替え処理
を実行する(ステップS150)。
【0086】ハイギヤ切り替え処理について図11にフ
ローチャートを示す。このルーチンが開始されると、C
PUはフラグCFが値0であるか否かを判定する(ステ
ップS152)。フラグCFが値0である場合には第2
クラッチ222が結合されている状態、つまりハイギヤ
状態であることを意味しているため、CPUは何も処理
を行うことなくハイギヤ切り替え処理を終了する。
【0087】フラグCFが値1である場合には、クラッ
チの切り替えを行うべく、第2クラッチ222を切り離
す(ステップS154)。これにより駆動軸112には
全く動力が伝達されない状態となる。次にCPUはクラ
ッチモータCMの目標回転数Nc*を算出する(ステッ
プS156)。車速をほぼ一定値に保った状態でハイギ
ヤ切り替え処理を行う場合には、ローギヤ切り替え処理
(図10)ではクラッチモータCMの回転数を減少する
必要がある(図7参照)。
【0088】CPUはクラッチモータCMの回転数が目
標回転数Nc*に一致するようにクラッチモータCMを
減速し(ステップS158)、第1クラッチ221を接
続する(ステップS160)。以上の制御によりサンギ
ヤ221の回転数とアウタロータ軸135の回転数を一
致させてから第1クラッチ221を接続することがで
き、ショックを伴うことなくクラッチの切り替えを行う
ことができる。こうしてクラッチを切り替えた後、CP
Uはクラッチの結合状態を表すフラグCFに値0を代入
して(ステップS162)、ハイギヤ切り替え処理を終
了する。また、減速比切り替え制御ルーチンも終了する
(図9)。
【0089】先に図6を用いて説明した通り、減速比切
り替え制御が実行された後、変速ギヤ204のギヤ比に
応じてクラッチモータCMおよびアシストモータAMの
トルクが設定され、前車軸116および後車軸118か
ら出力されるトルクが総和として要求動力に等しくなる
ように制御される。
【0090】前車軸116および後車軸118から出力
される動力と減速比切り替え制御との関係について図5
に即して説明すれば、車速を値Velに保ちつつハイギ
ヤ切り替え処理を実行すれば前車軸116からは図5の
点Q1に相当する動力が出力されることになるし、ロー
ギヤ切り替え処理を実行すれば図5の点Q3に相当する
動力が出力されることになる。当然、ローギヤ切り替え
処理を実行した場合(点Q3)の方が前車軸116から
出力される動力は大きくなる。ハイギヤ切り替え処理を
実行しているときは、アウタロータ軸135から点Q2
に相当する動力が出力され、この動力を変速ギヤ204
で点Q1に相当する回転数およびトルクに変換して前車
軸116から出力している。アウタロータ軸135の回
転数はローギヤ切り替え処理を実行した場合(第2クラ
ッチ222が結合された状態)の方がハイギヤ切り替え
処理を実行した場合(第1クラッチ221が結合された
状態)よりも高くなる。
【0091】ローギヤ切り替え処理を実行した場合、即
ち第1クラッチ221を解放し、第2クラッチ222を
結合した場合に、エンジン150から出力された動力を
前車軸116および後車軸118に分配する比率が変更
される原理について説明する。例えばエンジン150か
ら出力された動力の一部をアウタロータ軸135に伝達
しつつ、電力を回生している場合には、インナロータ1
32よりもアウタロータ134の回転数が低い状態で運
転されているから、ローギヤ切り替え処理により、アウ
タロータ軸135の回転数が高くなることは、インナロ
ータ132とアウタロータ134の相対的な回転数の差
が小さくなることを意味している。エンジン150が一
定のトルクおよび回転数で運転されている場合、インナ
ロータ132とアウタロータ134の相対的な回転数の
差が小さくなればそこで回生される電力が小さくなる。
従って、ローギヤ切り替え処理をした場合にはクラッチ
モータCMで回生される電力が小さくなる。バッテリ1
94からの電力供給を考えないものとすれば、このこと
はアシストモータAMから出力される動力が減少するこ
とを意味する。
【0092】以上より、エンジン150から出力される
動力が要求動力に一致している場合、ローギヤ切り替え
処理を実行すればエンジン150から出力される動力の
うち前車軸116から出力される動力の割合を増大する
とともに後車軸118から出力される動力の割合を減少
することになる。ハイギヤ切り替え処理を実行すれば逆
に前車軸116から出力される動力の割合が減少し、後
車軸118から出力される動力の割合が増加する。この
ように減速比切り替え制御ではエンジン150から出力
される動力の前車軸116および後車軸118への出力
の配分を切り替えているのである。
【0093】以上で説明したハイブリッド車両によれ
ば、例えば加速時や登坂時などアクセルが踏み込まれ、
出力すべき動力を増加する要求が出された場合に、ロー
ギヤ切り替え処理を実行することにより(図10)、前
車軸から出力される動力の配分を大きくしつつ、動力を
増加することができる。この結果、加速時や登坂時など
における走行の安定性を向上することができる。また、
上述の実施例では変速ギヤ204におけるギヤ比の切り
替えを2段階で行うものとしているが、さらに多くのギ
ヤ比に切り替え可能とすれば、種々の走行状態に応じて
より適切に動力配分を制御することができる。しかも変
速ギヤ204を追加する比較的簡単なハードウェア構成
によりかかる動力配分を可能としており、プロペラシャ
フトを用いることなく4輪駆動を実現するというハイブ
リッド車両についての大きな利点を損ねることもない。
【0094】なお、以上の構成をもつハイブリッド車両
の第2の態様として、クラッチモータCM(図1)に代
えて、プラネタリギヤ120および発電機Gを用いた構
成を採るものとすることもできる。第2の態様によるハ
イブリッド車両の構成を図12に示す。このプラネタリ
ギヤ120は変速ギヤ204に用いられるプラネタリギ
ヤ210(図3)とは別のものである。
【0095】第2の態様におけるプラネタリギヤ120
への結合について説明する。プラネタリギヤ120のサ
ンギヤ121には、発電機Gのロータが結合されてい
る。プラネタリキャリア123には、エンジン150の
クランクシャフト156が結合されている。リングギヤ
122には、変速ギヤ204が結合されている。変速ギ
ヤ204の内部構成は第1実施例と同様である(図
3)。
【0096】プラネタリギヤ120の各ギヤの回転数に
ついては、当然、先に説明した式(1)で表される関係
が成立する。また、機構学上周知の事項であるが、各ギ
ヤに入出力されるトルクについて、次式(3)で表され
る関係が成立する。 Ts=Tc×ρ/(1+ρ) Tr=Tc/(1+ρ) ・・・(3) ここで、Tsはサンギヤ121のトルク、Tcはプラネ
タリキャリア123のトルク、Trはリングギヤ122
のトルクを意味している。また、ρはリングギヤ122
とサンギヤ121のギヤ比である。
【0097】上式(3)より明らかな通り、エンジン1
50から出力されたトルクがプラネタリキャリア123
からプラネタリギヤ120に入力されると、サンギヤ1
21およびリングギヤ122には、それぞれギヤ比ρで
定まる一定の割合でトルクが出力される。これはエンジ
ン150から出力されるトルクと変速ギヤ204に入力
されるトルクの比が常に一定であることを意味する。先
に説明した第1の態様(図1)においては、クラッチモ
ータCMの機構上、エンジン150から出力されるトル
クと変速ギヤ204に入力されるトルクは等しかった。
このようにエンジン150から出力されるトルクと変速
ギヤ204に入力されるトルクとの比を自由に変更でき
ない点で第2の態様と第1の態様は共通する。
【0098】一方、サンギヤ121から出力されたトル
クによって、そこに結合された発電機を駆動し、発電す
ることができる。第2の態様は、エンジン150から出
力された動力の一部を電力に変換することができるとい
う点で第1の態様におけるクラッチモータCMの機能と
共通する。以上より、第1の態様におけるクラッチモー
タCMを発電機Gおよびプラネタリギヤ120に置換し
て構成された第2の態様のハイブリッド車両は、第1実
施例におけるハイブリッド車両と同様の機能を奏するこ
とが分かる。
【0099】以上で説明したハイブリッド車両において
は制御ユニット190の制御によりアクセルペダルの踏
み込み量に応じて変速ギヤ204内のクラッチ221,
222の結合状態が切り替えているが、この切り替えを
手動で行うものとしてもよい。
【0100】また、上記ハイブリッド車両において動力
分配装置としてのクラッチモータCMまたはプラネタリ
ギヤ120と変速ギヤ204の位置を入れ替えてもよ
い。また、変速ギヤ204はプラネタリギヤ210を用
いた構成に限定されず、一般の車両で使用されている種
々のトランスミッションを採用することができる。ま
た、第2の態様においては、動力分配装置としてのプラ
ネタリギヤ120と変速ギヤ204を構成するとプラネ
タリギヤ120の一部を共有する構成をとるものとして
も構わない。
【0101】(3)第2実施例のハイブリッド車両 次に本発明の第2実施例としてのハイブリッド車両につ
いて説明する。図13は第2実施例としてのハイブリッ
ド車両の構成を示す構成図である。第2実施例のハイブ
リッド車両は、第1実施例のハイブリッド車両(図3参
照)に対し、変速ギヤ204に換えて、無段変速機いわ
ゆるCVT204aを用いている。
【0102】第2実施例におけるCVT204aの構成
について説明する。CVT204aは、アウタロータ軸
135に取り付けられた一対のプーリ224と、駆動軸
112に取り付けられたプーリ226と、両者に保持さ
れるベルト225によりアウタロータ軸135から駆動
軸112に動力を伝達する。プーリ224は、固定プー
リ224aとスライドプーリ224bとを組み合わせて
構成されている。プーリ226も同様に固定プーリ22
6aとスライドプーリ226bとを組み合わせて構成さ
れており、スライドプーリ226bには、このプーリ2
26bを軸方向にスライドさせるアクチュエータ227
が結合されている。各プーリ224a,224b,22
6a,226bは、ベルト225との接触面がテーパし
ている。従って、アクチュエータ227でスライドプー
リ226bを軸方向にスライドさせるとベルト225の
周回半径が変更され、アウタロータ軸135の動力を回
転数およびトルクを変換して駆動軸112に伝達するこ
とができる。しかも第1実施例で示した変速ギヤ204
のように段階的にギヤ比を変更するものとは異なり、回
転数およびトルクの変換を連続的に行うことができる。
これは前車軸116から出力する動力と後車軸118か
ら出力する動力の配分を連続的に変更することができる
ことを意味している。
【0103】かかる構成を有する第2実施例におけるト
ルク制御ルーチンは第1実施例と同様である(図6参
照)。但し、第2実施例では動力配分を連続的に変化さ
せることができるため、減速比切り替え制御(図6のス
テップS100)が第1実施例とは異なる。第1実施例
における減速比切り替え制御に置き換わる制御を動力配
分制御と呼ぶものとする。以下、この制御処理について
説明する。
【0104】図14は第2実施例の動力配分制御ルーチ
ンの流れを示すフローチャートである。動力配分制御ル
ーチンが開始されると、CPUは車速およびアクセルペ
ダル踏み込み量APを読み込む(ステップS210)。
これらの値に基づいてCPUは前車軸116および後車
軸118から出力される動力の配分を設定する(ステッ
プS215)。例えば、車速に対してアクセル踏み込み
量が大きい場合には加速時を意味しているため、後車軸
118に比べて前車軸116から出力されるトルクを大
きくする。本実施例では車速およびアクセル踏み込み量
に応じて適切な動力配分を予め実験的に設定したマップ
を制御ユニット190内のROMに記憶しておき、この
マップを読み込むことで動力配分を設定している。動力
配分の設定をより適切に行うため、車速やアクセル踏み
込み量の変化率や要求動力等のパラメータを関与させる
ものとしても構わない。動力配分は、CVT204aの
変速比に応じて変化するため、動力配分を設定すること
は、CVT204aの変速比を設定することとにもな
る。
【0105】なお、図6で説明した通り、エンジン15
0から出力される要求動力は別途設定されているため、
動力配分の設定は、前車軸116および後車軸118か
ら出力される動力値を設定することと同義である。ま
た、動力配分はバッテリ194から供給される電力によ
りアシストモータAMを駆動するこを加味して設定する
ものとしても構わない。
【0106】次に、設定された動力配分に基づいてクラ
ッチモータCMの目標回転数NC*を算出する(ステッ
プS220)。クラッチモータCMの回転数NC*はC
VT204aの変速比に応じて定められる。この点につ
いては第1実施例において変速ギヤ204のギヤ比に応
じてクラッチモータCMの回転数が変わるのと同じであ
る。
【0107】以上の設定に基づいて、CPUはアクチュ
エータ227に駆動信号を出力することによってCVT
204aの変速比を変更し(ステップS225)、また
クラッチモータCMの回転数を変更する(ステップS2
30)。以上の処理によりクラッチモータCMの回転数
および前車軸116から出力されるトルクが設定され
る。CPUはこれらの値に基づいてクラッチモータC
M、アシストモータAMのトルク指令値を設定し(図6
のステップS200)、クラッチモータCM、アシスト
モータAM、およびエンジン150の運転を制御する
(S205)。かかる制御により要求動力に相当する動
力が前車軸116、後車軸118から適切な動力配分で
出力される。
【0108】一般に4輪駆動する場合には、各車輪にか
かる荷重分布に応じた動力配分で動力を出力することが
好ましいとされている。第2実施例のハイブリッド車両
によれば、CVT204aの機能により前車軸116お
よび後車軸118から出力される動力の配分を連続的に
変化させることができるため、車両の走行状態に応じて
より適切なトルク配分で動力を出力することが可能とな
る。
【0109】第2実施例のハイブリッド車両において
も、第1実施例と同様、動力分配装置としてクラッチモ
ータCMに変えてプラネタリギヤを用いることもでき
る。また、動力分配装置とCVT204aの位置を入れ
替えた構成も可能である。つまり、図13ではエンジン
150、クラッチモータCM、CVT204a、駆動軸
112の順に動力を伝達する構成となっているが、エン
ジン150、CVT204a、クラッチモータCM、駆
動軸112の順に動力を伝達する構成とすることも可能
である。
【0110】以上で説明した第1実施例および第2実施
例の各動力出力装置について、減速比の切り替え(図
9)および動力配分の変更(図14)が行われる場合に
は、クラッチモータCM、アシストモータAMおよびエ
ンジン150の運転の制御をなまし制御するものとして
もよい。かかる制御なく減速比の切り替えを行った場合
には前車軸116および後車軸118から出力される動
力が急激に変化するため、ショックが発生し乗り心地を
損ねる可能性もある。なまし制御を行うものとしてそれ
ぞれから出力されるトルク等が滑らかに変化するように
すれば、かかるショックを緩和することが可能となる。
なまし制御としては種々の周知の制御を適用することが
できる。例えば、周期的に実行される制御ルーチンにつ
いて、あるサイクルで設定されたトルク指令値と、前回
のサイクルで設定されたトルク指令値との平均値を制御
に用いるトルク指令値とする方法が可能である。
【0111】以上、本発明の実施の形態について説明し
たが、本発明はこうした実施の形態に何等限定されるも
のではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内におい
て、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。例え
ば、上記実施例では動力出力装置をハブリッド車両に適
用した場合を例にとって説明したが、本発明はハイブリ
ッド車両に限らず、二つの出力軸から動力を出力するこ
とが要求される種々の装置に適用することが可能であ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例としての動力出力装置を搭載し
た車両の全体構成を示す説明図である。
【図2】本発明の実施例としての動力出力装置の概略構
成を示す説明図である。
【図3】変速ギヤ204の構成を示す説明図である。
【図4】前車軸116から出力されるトルクと要求トル
クとの関係を示す説明図である。
【図5】前車軸116から出力されるトルクと変速ギヤ
204内のクラッチの切り替えの関係を示す説明図であ
る。
【図6】トルク制御ルーチンの流れを示すフローチャー
トである。
【図7】エンジン150の運転ポイントの設定について
示す説明図である。
【図8】本発明の動力出力装置によるトルク変換の様子
を示す説明図である。
【図9】減速比切り替え制御ルーチンの流れを示すフロ
ーチャートである。
【図10】ローギヤ切り替え処理の流れを示すフローチ
ャートである。
【図11】ハイギヤ切り替え処理の流れを示すフローチ
ャートである。
【図12】第1実施例における第2の態様としてのハイ
ブリッド車両の全体構成を示す説明図である。
【図13】本発明の第2実施例としてのハイブリッド車
両の全体構成を示す説明図である。
【図14】第2実施例における動力配分制御ルーチンの
流れを示すフローチャートである。
【図15】4輪駆動可能な従来のハイブリッド車両の全
体構成を示す説明図である。
【図16】加速時における電動機の付加トルクと前車軸
からの出力トルクの関係を示す説明図である。
【符号の説明】
22…駆動軸 23…変速ギヤ 24…ディファレンシャルギヤ 26,27,28,29…駆動輪 30…クラッチモータ 32…アウタロータ 34…インナロータ 40…電動機 50…原動機 80…制御装置 91,92…駆動回路 94…バッテリ 111…動力伝達ギヤ 112…駆動軸 114…ディファレンシャルギヤ 115…ディファレンシャルギヤ 116…前車軸 116R,116L…前輪 118…後車軸 118R,118L…後輪 120…プラネタリギヤ 121…サンギヤ 122…リングギヤ 123…プラネタリキャリア 130…ダンパ 132…インナロータ 133…インナロータ軸 134…アウタロータ 135…アウタロータ軸 142…ロータ 144…ステータ 150…エンジン 151…燃料噴射弁 152…燃焼室 154…ピストン 156…クランクシャフト 158…イグナイタ 160…ディストリビュータ 162…点火プラグ 164…アクセルペダル 164a…アクセルペダルポジションセンサ 165…ブレーキペダル 165a…ブレーキペダルポジションセンサ 170…EFIECU 174…水温センサ 176…回転数センサ 178…回転角度センサ 179…スタータスイッチ 182…シフトレバー 184…シフトポジションセンサ 190…制御ユニット 191…第1の駆動回路 192…第2の駆動回路 194…バッテリ 199…残容量センサ 200…吸気口 202…排気口 204…変速ギヤ 210…プラネタリギヤ 211…サンギヤ 212…リングギヤ 213…プラネタリキャリア 221…第1クラッチ 222…第2クラッチ 223…第3クラッチ 224…プーリ 224a…固定プーリ 224b…スライドプーリ 225…ベルト 226…プーリ 226a…固定プーリ 226b…スライドプーリ 227…アクチュエータ CM…クラッチモータ AM…アシストモータ G…発電機
フロントページの続き (72)発明者 山田 英治 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内 (72)発明者 三浦 徹也 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 第1の出力軸および第2の出力軸と原動
    機とを有し、該原動機から出力される動力を前記第1の
    出力軸および第2の出力軸から出力可能な動力出力装置
    であって、 前記原動機の出力軸および前記第1の出力軸に結合さ
    れ、該原動機から出力されるトルクと前記第1の出力軸
    に出力されるトルクが予め定めた比率となるように、該
    原動機から出力される動力の少なくとも一部を前記第1
    の出力軸に伝達しつつ、残余の動力を電力に変換する動
    力分配手段と、 前記第2の出力軸に結合され、少なくとも前記動力分配
    手段により変換された電力を用いて該第2の出力軸に動
    力を入出力可能な電動機と、 前記原動機、動力分配手段および電動機の運転を制御し
    て、前記第1の出力軸から出力される動力および前記第
    2の出力軸から出力される動力の総和を要求された動力
    に等しくする動力制御手段とを備え、 かつ、入力されるトルクと出力されるトルクとの比を変
    更可能なトルク比変更手段が、前記原動機から出力され
    る動力を前記第1の出力軸に伝達する経路のいずれかの
    箇所に介設されている動力出力装置。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の動力出力装置であって、 前記トルク比変更手段は前記入力されるトルクと出力さ
    れるトルクとの比を、連続的に変更可能な手段である動
    力出力装置。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の動力出力装置であって、 前記トルク比変更手段は、 入力された動力を出力するまでの該トルク比変更手段内
    部の動力の伝達経路を切り替えることにより、前記入力
    されるトルクと出力されるトルクとの比を少なくとも2
    段階に変更可能な手段である動力出力装置。
  4. 【請求項4】 請求項1記載の動力出力装置であって、
    さらに前記第1の出力軸および第2の出力軸からそれぞ
    れ出力されるべきトルクを決定するトルク決定手段を備
    え、 前記動力制御手段は、前記原動機、動力分配手段および
    電動機の運転の制御に先だって、前記トルク比変更手段
    を制御して、前記原動機から出力されるトルクと前記第
    1の出力軸から出力されるトルクとの比を前記決定され
    たトルクに応じて変更する手段を備える動力出力装置。
  5. 【請求項5】 請求項4記載の動力出力装置であって、 前記動力制御手段は、前記トルク比変更手段の制御が行
    われる際には前記原動機、動力分配手段、および電動機
    の運転をなまし制御する動力出力装置。
  6. 【請求項6】 請求項1記載の動力出力装置であって、 前記動力分配手段は、 前記原動機の出力軸に結合された第1のロータと、 前記第1の出力軸に結合され、前記第1のロータと相対
    的に回転し得る第2のロータとを有し、 該第1のロータと第2のロータの間に生じる電磁的な結
    合および相対的な滑りによって、前記原動機から出力さ
    れる動力を分配する手段である動力出力装置。
  7. 【請求項7】 請求項1記載の動力出力装置であって、 前記動力分配手段は、 入力軸を有する発電機と、 前記原動機の出力軸、前記第1の出力軸、前記入力軸に
    それぞれ結合される3軸を有し、該3軸のうち2軸に入
    出力される動力が決定されると残余の1軸から入出力さ
    れる動力が決定される動力入出力手段とを有する動力出
    力装置。
  8. 【請求項8】 前輪に結合された前車軸および後輪に結
    合された後車軸と、少なくとも原動機および電動機を用
    いて該原動機から出力される動力を前記前車軸および後
    車軸から動力を出力可能な動力出力装置とを備えた4輪
    駆動可能なハイブリッド車両であって、 前記動力出力装置は、 前記原動機の出力軸および前記前車軸または前記後車軸
    のいずれか一方の車軸に結合され、該原動機から出力さ
    れるトルクと該一方の車軸に出力されるトルクが予め定
    めた比率となるように、該原動機から出力される動力の
    少なくとも一部を前記一方の車軸に伝達しつつ、残余の
    動力を電力に変換する動力分配手段と、 前記前車軸および後車軸のうち、前記一方の車軸と異な
    る車軸に結合され、少なくとも前記動力分配手段により
    変換された電力を用いて該車軸に動力を入出力可能な電
    動機と、 前記原動機、動力分配手段および電動機の運転を制御し
    て、前記前車軸および前記後車軸から出力される動力の
    総和を要求された動力に等しくする動力制御手段とを備
    え、 かつ、入力されるトルクと出力されるトルクとの比を変
    更可能なトルク比変更手段が、前記原動機から出力され
    る動力を前記一方の車軸に伝達する経路のいずれかの箇
    所に介設されている動力出力装置。
  9. 【請求項9】 請求項8記載のハイブリッド車両であっ
    て、さらに前記前車軸および前記後車軸からそれぞれ出
    力されるべきトルクを決定するトルク決定手段を備え、 前記動力制御手段は、前記原動機、動力分配手段および
    電動機の運転の制御に先だって、前記トルク比変更手段
    を制御して、前記原動機から出力されるトルクと前記一
    方の車軸から出力されるトルクとの比を前記決定された
    トルクに応じて変更する手段を備える動力出力装置。
  10. 【請求項10】 請求項9記載のハイブリッド車両であ
    って、 該ハイブリッド車両が加速時であるか否かを判定する加
    速判定手段を備え、 前記トルク決定手段は、該ハイブリッド車両の加速時
    は、前記前車軸から出力されるトルクが後車軸から出力
    されるトルク以上となるように前記前車軸と後車軸のト
    ルクを決定する手段であるハイブリッド車両。
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