JPH1123499A - 電子分光法 - Google Patents

電子分光法

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JPH1123499A
JPH1123499A JP9192040A JP19204097A JPH1123499A JP H1123499 A JPH1123499 A JP H1123499A JP 9192040 A JP9192040 A JP 9192040A JP 19204097 A JP19204097 A JP 19204097A JP H1123499 A JPH1123499 A JP H1123499A
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JP
Japan
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spectrum
sample
electron
chemical bonding
photoelectron
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Application number
JP9192040A
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English (en)
Inventor
Hiroyuki Kondo
洋行 近藤
Noriaki Kamitaka
典明 神高
Toshihisa Tomie
敏尚 富江
Hideaki Shimizu
秀明 清水
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nikon Corp
National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST
Original Assignee
Agency of Industrial Science and Technology
Nikon Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 試料にX線、極端紫外線、紫外線などのパル
ス光を照射して、試料より放出される電子のエネルギー
スペクトルから試料の表面状態を計測する電子分光法に
おいて、 N種類(N≧2)の化学的結合状態または元
素を含む試料に前記パルス光を照射して電子スペクトル
を飛行時間法を用いて得る過程と、前記N種類の化学的
結合状態または元素のうちの、少なくとも(N−1)種
類の化学的結合状態または元素のそれぞれを単独で純粋
(または高純度)に含む記試料上の各領域または別の標
準試料で得られた光電子スペクトルを参照電子スペクト
ルとして用いて信号処理を行うことにより、前記N種類
の化学的結合状態または元素のうちの、注目している化
学的結合状態または元素に対応する単独電子スペクト
ル、存在比率、混合比率あるいは光電子数を得る過程
と、を有することを特徴とする電子分光法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は電子分光法に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】連続光源であるX線管からのX線を使用
する従来のX線光電子分析法では、1回の計数では、エ
ネルギースリットを設けて検出する光電子のエネルギー
範囲を狭く限定し、その中の光電子数を計数する。全エ
ネルギー領域の光電子スペクトル波形分布は、エネルギ
ースリットの中心エネルギーの値をスキャンした多数回
の計数を行うことにより得ていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】前記従来技術にかかる
電子分析法においては、X線管から出射されるX線の出
力強度の変動や計測による試料の帯電状態の変化など、
計測環境が変化することにより、前記エネルギースキャ
ン中の検出光電子数が揺らいでしまうという問題点があ
った。
【0004】試料が複数の化学的結合状態または元素を
含む場合には、エネルギースキャン中に計測環境が変動
すると、得られたスペクトル波形から求めた各化学的結
合状態または元素の存在比が誤ったものになる。また、
励起光の試料上での照射位置をスキャンして、試料上の
各化学的結合状態または元素の空間分布を計測する場合
には、得られたスペクトル波形から求めた各照射位置に
おける各化学的結合状態または元素の存在比が誤ったも
のになる。
【0005】このように、従来の電子分析法では、試料
に含まれる各化学的結合状態または元素の存在比は、計
測環境などの変動に起因する誤差の発生の危惧から免れ
得ないという問題点があった。
【0006】本発明は、かかる問題点に鑑みてなされた
ものであり、試料表層に含まれる各化学的結合状態また
は元素の存在比を正確に求めることができる電子分析法
を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は第一に「試料に
X線,極端紫外線,紫外線などのパルス光を照射して、
試料より放出される電子のエネルギースペクトルから試
料の表面状態を計測する電子分光法において、N種類
(N≧2)の化学的結合状態または元素を含む試料に、
前記パルス光を照射して電子スペクトルを飛行時間法を
用いて得る過程と、前記N種類の化学的結合状態または
元素のうちの、少なくとも(N−1)種類の化学的結合
状態または元素のそれぞれを単独で純粋(または高純
度)に含む前記試料上の各領域または別の標準試料で得
られた光電子スペクトルを参照電子スペクトルとして用
いて信号処理を行うことにより、前記N種類の化学的結
合状態または元素のうちの、注目している化学的結合状
態または元素に対応する単独電子スペクトル、存在量、
存在比率、混合比率あるいは光電子数を得る過程と、を
有することを特徴とする電子分光法(請求項1)」を提
供する。
【0008】また、本発明は第二に「N種類(N≧2)
の化学的結合状態または元素を含む領域から得られた電
子スペクトルと、その領域に含まれている少なくとも
(N−1)種類の化学的結合状態または元素の前記参照
電子スペクトルを重ね合わせて求めた再構成スペクトル
との、全エネルギー領域あるいは特定範囲のエネルギー
領域内での両スペクトルの差の自乗和が最小になるよう
にして、各参照電子スペクトルの寄与分を求め、注目し
ている1種類または複数の化学的結合状態または元素の
単独電子スペクトル、存在量、存在比率、混合比率ある
いは光電子数を得ることを特徴とする請求項1記載の電
子分光法(請求項2)」を提供する。
【0009】また、本発明は第三に「電子信号のピーク
強度または電子数について、前記電子スペクルと前記参
照電子スペクトルとの比率Ri(i=1,2,
3,.....、N−1、あるいはi=1,2,
3,.....,N)をそれぞれ求め、前記電子スペク
ルから各Ri倍した各参照電子スペクトルをそれぞれ差
し引いて、前記信号処理を行うことを特徴とする請求項
1記載の電子分光法(請求項3)」を提供する。
【0010】また、本発明は第四に「前記参照電子スペ
クトルの計測条件が前記電子スペクトルの計測条件と異
なる場合に、前記電子スペクトルの計測条件で得られる
と予測される参照電子スペクトルを計算により求めるこ
とを特徴とする請求項1〜3記載の光電子分光法(請求
項4)」を提供する。
【0011】また、本発明は第五に「前記試料上におけ
る前記パルス光の照射面積及び/又は照射位置を変更可
能とすることにより、1種類の化学的結合状態または元
素を純粋(または高純度)に含む微小領域からの単独電
子スペクトルと、2種類以上の化学的結合状態または元
素を含む領域からの電子スペクトルを得られるようにし
たことを特徴とする請求項1〜4記載の電子分光法(請
求項5) 」を提供する。
【0012】また、本発明は第六に「前記試料上におけ
る前記パルス光の照射位置を変更可能とすることによ
り、試料上の全領域または任意領域における前記電子ス
ペクトルが得られるようにしたことを特徴とする請求項
1〜5記載の電子分光法(請求項6)」を提供する。
【0013】また、本発明は第七に「前記飛行時間法で
用いる飛行管の内部において、電子に阻止電界を印加し
て電子の速度を減速させることにより、電子検出器まで
の到達時間を長くしてエネルギー分解能を増大させるこ
とを特徴とする請求項1〜6記載の電子分光法(請求項
7)」を提供する。
【0014】また、本発明は第八に「試料にX線,極端
紫外線,紫外線などのパルス光を照射して、試料より放
出される電子のエネルギースペクトルから試料の表面状
態を計測する電子分光法において、試料にパルス光源か
ら発せられるパルス光を照射して電子スペクトルを飛行
時間法を用いて得る過程と、等時間間隔で得られる飛行
時間スペクトルデータ点を、エネルギー間隔を任意とす
る等エネルギー間隔データ点に変換して光電子スペクト
ル波形を得る過程と、を有することを特徴とする光電子
分光法(請求項8)」を提供する。
【0015】
【発明の実施の形態】本発明においては、スペクトル強
度計測を広いエネルギー範囲において全く同一条件にて
行うために、光電子のエネルギー分析を飛行時間法によ
り行う。飛行時間法においては、パルス状励起光を試料
に照射し、試料表面から放出される電子群を一定距離飛
行させ、電子流の時間波形を電子検出器を用いて計測す
る。飛行時間分布から光電子のエネルギー分布の分析を
行う方法であり、全てのエネルギー範囲の光電子数分布
が一度に得られる。
【0016】即ち、本発明にかかる電子分光法では、従
来の電子分光法で行ったエネルギースリットの中心エネ
ルギーの値をスキャンした多数回の計数を行うことな
く、広いエネルギー範囲のスペクトル計測が一回の計測
で行える。
【0017】このため、本発明にかかる電子分光法によ
り得られるスペクトルは、励起源の出力の変動、試料環
境の変動などの計測環境の変化には全く影響されない。
【0018】従って、本発明にかかる電子分光法によれ
ば、試料表層に含まれる各化学的結合状態または元素の
存在比などを正確に求めることができる。
【0019】飛行時間法に必要なパルス状励起X線等
は、パルスレーザーで生成されるプラズマX線源を用い
るのが最適である。また、X線光学素子を用いて微小領
域にX線を集光照射すれば、試料上の化学的結合状態分
布の空間的変化も計測できる。
【0020】なお、信号対ショット雑音の比が大きい高
精度なスペクトル波形を得るためには、多数の計測電子
数が必要であり、そのため多数回のX線照射が必要であ
る。飛行時間法においては1ショット毎に全てのエネル
ギーの電子の数が計測されるため、この多数回の照射中
にX線強度の変動があったとしても、その影響は全ての
エネルギーの電子に対して全く同一であり、得られるス
ペクトル波形分布はX線強度の変動には全く影響されな
い。
【0021】ところで、複数の化学的結合状態または元
素を含む試料上の領域から得られる電子スペクトルに
は、計測すべき化学的結合状態または元素からの電子ス
ペクトルに他の化学的結合状態または元素からの電子ス
ペクトルが重なっている。
【0022】そこで、本発明では、下記の過程を有する
方法により、計測すべき化学的結合状態または元素から
の電子スペクトルを求める。
【0023】〔請求項1にかかる方法〕 「第1過程:N種類(N≧2)の化学的結合状態または
元素を含む試料に、パルス状の励起光を照射して、対応
する電子スペクトルを飛行時間法を用いて得る。
【0024】第2過程:前記試料上の少なくともN−1
種類の化学的結合状態もしくは元素を純粋(または高純
度に)含む領域または別の標準試料で得られた光電子ス
ペクトルを参照電子スペクトルとして用いて信号処理を
行うことにより、前記N種類の元素または化学的結合状
態のうちの、注目している化学的結合状態または元素に
対応する単独電子スペクトル、存在量、存在比率、混合
比率または光電子数を得る。」 ここで、参照電子スペクトルは試料を測定するときに、
化学的結合状態あるいは元素を純粋(または高純度に)
含む試料上の領域または別の標準試料で求めても良い
し、予め化学的結合状態あるいは元素を純粋(または高
純度に)含む標準試料で測定しておいた電子スペクトル
を記憶装置上に保存しておき、これを参照電子スペクト
ルとして用いても良い。
【0025】前記方法においては、例えば、得られた電
子スペクトルと、参照スペクトルを重ね合わせて求めた
再構成スペクトルについて全エネルギー領域または特定
範囲のエネルギー領域内における両スペクトルの差の自
乗和が最小になるようにして、各参照スペクトルの寄与
分を求め、注目している1種類または複数の化学的結合
状態または元素の単独電子スペクトル、存在量、存在比
率、混合比または光電子数を得る事ができる(請求項
2)。
【0026】あるいは、電子信号のピーク強度または電
子数について、得られた電子スペクルと参照電子スペク
トルとの比率Ri(i=1,2,3,.....N−
1、あるいはi=1,2,3,.....,N)をそれ
ぞれ求め、得られた電子スペクルから各Ri倍した各参
照電子スペクトルをそれぞれ差し引いて、前記信号処理
を行うことができる(請求項3)。
【0027】参照電子スペクトルの計測条件が電子スペ
クトルの計測条件と異なる場合には、電子スペクトルの
計測条件で得られると予測される参照電子スペクトルを
計算により求めればよい(請求項4)。
【0028】本発明の電子分光法においては、試料上に
おけるパルス状励起光の照射面積及び/又は照射位置を
変更可能とすることにより、1種類の化学的結合状態ま
たは元素を純粋(または高純度)に含む微小領域からの
電子スペクトルと、2種類以上の化学的結合状態または
元素を含む領域からの電子スペクトルを得られるように
することが好ましい(請求項5)。
【0029】かかる構成にすることにより、参照電子ス
ペクトルと混合領域の電子スペクルの両方を実測により
求めることができる。
【0030】また、本発明の電子分光法においては、試
料上における前記パルス状励起光の照射位置を変更可能
とすることにより、試料上の全領域または任意領域にお
ける前記電子スペクトルが得られるようにすることが好
ましい(請求項6)。
【0031】かかる構成にすることにより、試料上の任
意領域における必要な電子スペクトルを求めることがで
きる。
【0032】また、本発明の電子分光法においては、飛
行時間法で用いる飛行管の内部において、電子に阻止電
界を印加して電子の速度を低減させることにより、電子
検出器までの到達時間を長くして、エネルギー分解能を
増大させることが好ましい(請求項7)。
【0033】以下、本発明の一例として、励起光として
X線を用いた場合について説明するが、励起光はX線に
限らず、極端紫外線や紫外線などでも良い。
【0034】前述したように、試料が複数の化学的結合
状態または元素を含んでいる場合には、計測すべき化学
的結合状態または元素からの光電子信号スペクトルに他
の化学的結合状態または元素からの光電子信号スペクト
ルが重なってしまう。
【0035】そこで、X線光学素子を使用して試料上の
微小領域にX線を集光し、試料または集光X線をスキャ
ンすることで2次元分布を求める光電子顕微分光法の場
合には、以下のようにして、計測すべき光電子信号スペ
クトルなどの情報を求めればよい。
【0036】まず、元素Aを純粋(または高純度)に含
んでいる被測定試料上の領域R1(例えば図2の領域B
の金を純粋に含んでいる領域)あるいは標準試料から得
られる参照光電子スペクトルを図5(a)に示す。そし
て、化学的結合状態Bを純粋(または高純度))に含ん
でいる被測定試料上の領域R2(例えば図2の領域Aの
SiO2を純粋に含んでいる領域)あるいは標準試料か
ら得られる参照光電子スペクトルを図5(b)に示す。
なお、X線の集光径は、領域R1およびR2よりも十分
に小さいとする。
【0037】次に、元素Aと化学的結合状態Bを含む被
測定領域R3(例えば図2の領域CのSiO2と金が混
在している領域)にX線を照射して、光電子スペクトル
を計測する。このときの光電子スペクトルを図5(c)
に示す。
【0038】領域R3に含まれる元素及び化学的結合状
態がA,Bの2種類しかないことが分かっていれば、図
5(c)のスペクトルは図5(a)及び図5(b)のス
ペクトルの重ね合わせである。従って、元素Aのスペク
トル(図5(a))と化学的結合状態Bのスペクトル
(図5(b))を各々α倍,β倍して重ね合わせた再構
成スペクトルと図5(c)のスペクトルとについて各デ
ータ点での差の自乗総和を計算し、この値が最小になる
ように倍率α,βを決定する。求められたα,βは元素
A,Bの存在比率を示しており、この値を用いることに
より、元素A,化学的結合状態Bの存在量、存在比率、
混合比率、光電子数などの2次元分布を得ることができ
る。
【0039】ここでは、2つのスペクトル(図5(c)
と再構成されたスペクトル)の比較を計測された全エネ
ルギー範囲で行ったが、これは特定のエネルギー範囲だ
けで行っても良い。例えば、参照スペクトルが元素Aの
みしか分かっていない場合には、図5(c)のδEaの
領域だけで比較を行い、差の自乗和が最小になったとこ
ろで、全エネルギー範囲にわたって図5(c)のスペク
トルとの差を取れば化学的結合状態Bのスペクトルが得
られる。
【0040】または、以下のようにして計測すべき光電
子信号スペクトルなどの情報を求めてもよい。
【0041】まず、元素Aを純粋(または高純度)に含
んでいる領域R1(例えば図2の領域Bの金を純粋に含
んでいる領域)にX線を照射し、光電子スペクトルを計
測する。なお、X線の集光径は、領域R1よりも十分に
小さいとする。このときの光電子スペクトルを図6
(a)に示す。
【0042】次に、元素Aと化学的結合状態Bを含む領
域R2(例えば図2の領域CのSiO2と金が混在して
いる領域)にX線を照射して、光電子スペクトルを計測
する。このときの光電子スペクトルを図7(a)に示
す。
【0043】図7(a)における光電子エネルギー領域
δEa間に含まれる光電子数を積算し、バックグランド
成分を差し引けば元素Aからの光電子数が得られ、これ
を2次元スキャンした各測定点について行えば、元素A
のマッピング(2次元分布)が得られる。
【0044】しかし、化学的結合状態Bのスペクトルに
は、元素Aのスペクトルに起因する光電子信号が重なっ
ているため、単純に光電子エネルギー領域δEb間に含
まれる光電子数を積算してマッピングをとるだけでは、
元素Bの2次元分布を正確に得ることはできない。
【0045】そこで、以下のようにして、不要な元素A
からの信号を除去することにより、化学的結合状態Bの
光電子のみを求めればよい。
【0046】まず、元素Aのみを含む試料領域の光電子
スペクトルからバックグランド成分を差し引く(図6
(b))。このスペクトルには、元素Aの内殻から放出
された光電子信号のピークaと、この光電子に起因する
信号a’が含まれている。
【0047】次に、領域R2のスペクトルからバックグ
ランド成分を差し引く(図7(b))。このスペクトル
には、元素Aの内殻から放出された光電子信号のピーク
a、この光電子に起因する信号a’、及び化学的結合状
態Bの内殻から放出された光電子信号のピークbが含ま
れている。
【0048】元素Aの光電子信号(ピークa)に起因す
る信号a’の形状は、X線強度や元素Aの存在量に関係
なく、その強度はピーク信号aの強度に比例する。
【0049】そこで、元素Aについて、図7(b)にお
けるの光電子信号のピーク値P2aと図6(b)におけ
る光電子信号のピーク値P1aとの比を求め、その比を
図6(b)のスペクトル領域全体に掛けたものを図7
(b)のスペクトルから差し引く(図7(c))。
【0050】その結果、得られた図7(c)のスペクト
ルにおいては、元素Aに起因する信号がなくなって、化
学的結合状態Bの光電子信号のスペクトルのみが残るの
で、化学的結合状態Bの光電子数を正確に求めることが
できる。
【0051】この説明では、指標となる光電子信号のピ
ーク強度の比を用いて、不要な光電子信号の除去を行っ
たが、指標となる光電子信号に含まれる光電子数の比を
用いても良い。
【0052】上の例では、元素A及び化学的結合状態B
を純粋(又は高純度)に含んでいる試料上の領域からの
電子スペクトルを参照電子スペクトルとして用いてい
た。このように、測定試料上に存在する純粋(又は高純
度)領域からの電子スペクトルを参照スペクトルとする
と、参照スペクトルと試料の測定領域の電子スペクトル
が同一の計測条件(真空度、照射X線のスペクトル幅や
パルス幅、表面状態など)で測定できるので、高精度に
微量な化学的結合状態または元素の計測が可能になる。
【0053】測定試料上に元素または化学的結合状態を
純粋(又は高純度)に含む領域が存在しない場合には、
これらの元素や化学的結合状態のみを純粋(又は高純
度)に含む別の標準試料を測定し、得られた電子スペク
トルを参照電子スペクトルとして用いていても良い。ま
た、標準試料からの電子スペクトルを予め測定してお
き、記憶装置上に保存してあったものを参照電子スペク
トルとして用いても良い。
【0054】上記説明では、試料に1種類の元素や1種
類の化学的結合状態が含まれるとしたが、さらに多くの
元素や化学的結合状態を含む試料においても、同様な操
作により、計測すべき元素にかかる2次元マッピングを
正確に行うことができる。
【0055】また、前記例では元素と化学的結合状態の
マッピングについて述べたが、同一元素の複数の異なる
化学的結合状態のマッピング、複数の元素、あるいは複
数元素と複数化学的結合状態の両方を含むマッピングで
あってもよい。
【0056】複数の化学的結合状態または元素を含む領
域より得られる電子スペクトルから不要な信号スペクト
ルを除去する手順は、先に述べたものに限らない。単独
で純粋(または高純度)な化学的結合状態または元素か
らのスペクトルを参照して、前記電子スペクトルから含
有されている複数の化学的状態あるいは元素の寄与を分
離したり、不要なスペクトル成分を除去するのであれ
ば、どんな手順であってもよい。
【0057】さて、上述のようなデータ処理を行って存
在量等を精度良く求める場合には、得られた光電子スペ
クトルに含まれるショット雑音を小さくすることが重要
である。
【0058】ところが、飛行時間法を用いてスペクトル
を得ようとする場合、光電子検出器からの信号をサンプ
リングするときには等時間間隔でサンプリングするが、
これを電子スペクトルに変換するときに、E=(m/
2)(L/T)2(ここで、mは電子の質量、Lは飛行
距離、Tは電子の到達時間)の関係があるため、電子ス
ペクトルの各データ点はエネルギー的には等間隔にはな
らない。低エネルギー領域(例えば数eV)では各デー
タ点の間隔が(例えば)数10meVになる。狭いエネ
ルギー幅に存在する電子の数が小さくなるため、ショッ
ト雑音が極めて大きくなる。
【0059】この問題を解決するため、本発明は、飛行
時間スペクトルデータを、時間等間隔ではなく、エネル
ギー等間隔で解析する方法を提供する(請求項8)。
【0060】具体的に図8を用いて説明する。図8
(a)は、試料にパルスX線を照射し、飛行時間法によ
り、検出器(この場合にはマイクロチャンネル・プレー
ト(MCP)で計測された光電子流を、測定器(この場
合はオシロスコープ)により等時間隔でサンプリングし
て得られた波形を基にして得られた光電子スペクトルで
ある。
【0061】この光電子スペクトルは以下の式により、
光電子電流波形から変換されたものである。
【0062】N=Vt3δE(mL2ZGη)-1 NはδE(eV)あたりの検出光電子数、Vは検出器
(この場合にはMCP)の出力電圧(V)、tは飛行時
間(sec)、mは電子の質量(kg)、Lは飛行長
(m)、Zは測定器(この場合はオシロスコープ)の入
力インピーダンス、Gは検出器(この場合はMCP)ゲ
イン、ηは検出器(この場合はMCP)の検出効率(開
口率)である。
【0063】図8(a)及び上式からわかるように、低
エネルギー側に行くにつれてデータ点の間隔が狭まり、
そのためにショット雑音が非常に大きくなっている。図
8(b)は0.5eV幅で新たにデータ点を作り、その
データ点を中心として0.5eV幅内に含まれる元のデ
ータの値を積分し、0.5eVで除算し、単位エネルギ
ー当たりの光電子数に変換したものをプロットしたもの
である(請求項9)。
【0064】つまり、図8(b)では、5.2、5.
7,6.2eV...と0.5eV間隔に新たなデータ
点をつくる。生データの4.95〜5.45eV間に含
まれる光電子数を積分し、0.5eVで除算した値を、
新たに作った5.2eVのデータ点の値とする。(以下
同様) この方式により図8(a)に見られた見かけ上のショッ
ト雑音が大きく減少していることが分かる。
【0065】上の説明では単純にエネルギー幅内に含ま
れるデータ値の積分を求めていたが、これらに任意の重
みづけを行って積分を求めても良い。
【0066】図8では、元データが単位エネルギー当た
りの光電子数に変換されたものであったが、データ値が
検出器(例えばマイクロチャンネル・プレート)の出力
電圧や光電子流の電流値であった場合には、0.5eV
幅内でのデータ値の和であってもよい。
【0067】また、上の説明ではエネルギー幅を0.5
eVとして計算しているが、これに限らず任意のエネル
ギー幅でよい。
【0068】以下、本発明を実施例により更に詳細に説
明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではな
い。
【0069】
【実施例1】本実施例の光電子分光法に用いる光電子分
光装置の概略構成を図1に示す。
【0070】パルスレーザー光源から発せられたレーザ
ー光103は、真空容器101内に配置された窒化硼素
(BN、標的材料の一例)からなる標的106上に、レ
ンズ104により集光照射され、標的材料がプラズマ化
してX線が輻射される(パルス励起源の一例であるレー
ザープラズマX線源となる)。
【0071】真空容器101内は予め、発生したX線が
十分透過する圧力まで排気系により排気されている。
【0072】プラズマ107から放出されたX線108
は、X線透過フィルターとしての炭素膜109を透過し
た後、シュバルツシルドミラー110(X線光学素子の
一例)により試料111上の微小領域に集光照射され
る。また、これらフィルターとシュバルツシルドミラー
に使用されている多層膜ミラーにより、試料上に照射さ
れるX線は、ヘリウム様硼素の1s2−1s2p遷移に
よる波長6.03nm(光子エネルギー=206eV)
に単色化されている。
【0073】試料111は、図2に示す様な平面構造を
有する。即ち、試料はSiO2薄膜(A)上に異なる濃
度の金が分布している。また、金の参照電子スペクトル
を得るために、SiO2薄膜上の一部分には純粋な金の
矩形領域(B)が形成されている。
【0074】X線の集光径は、矩形領域Bよりも十分に
小さく、試料は移動ステージ112上に取り付けられ
て、互いに直交する軸方向に移動可能である。
【0075】試料112から放出された光電子113
は、飛行管114を通過した後、マイクロチャンネルプ
レートMCP116(電子検出器の一例)により検出さ
れる。飛行管114内を飛行する間に、光電子113は
電極115より阻止電界を印加されて、適切なエネルギ
ー分解能となるように減速される。
【0076】検出された光電子信号波形は、高速オシロ
スコープ117により量子化されて取り込まれる。取り
込まれた光電子信号波形は、回線により演算処理部(例
えばパーソナルコンピュータ)118に送られて、デー
タ処理されるとともに、ハードディスクまたは外部記憶
装置120に保存される。
【0077】ステージ112により試料を2次元走査し
つつ、試料上の各点における光電子スペクトルを計測す
ることにより、計測対象の元素または化学的結合状態の
試料上におけるマッピング(2次元分布)を得る。そし
て、得られたマッピング(2次元分布)は、外部記憶装
置120内に保存する。
【0078】ここで、一例として試料に図2に示すよう
な試料を用いたときに得られたSiO2の領域(図2の
領域A)からの光電子スペクトルを図3(a)に、金の
領域(図2の領域B)からの光電子スペクトルを図3
(b)に示す。また、SiO2と金を両方含む領域(図
2の領域C)からの光電子スペクトルを図3(c)に示
す。
【0079】光子エネルギー206eVのX線を使用し
ているため、SiO2からのスペクトル(図3(a))
には、酸素の内殻からの光電子スペクトルは現れず、化
学シフトしたSiの光電子スペクトルのみが現れてい
る。また、金からのスペクトル(図3(b))には、4
f軌道からのスペクトルと、それに起因するスペクトル
(10eV付近のピーク)が現れている。
【0080】SiO2のスペクトル(図3(a))と金
のスペクトル(図3(b))を各々α倍、β倍して重ね
合わせた再構成スペクトルと、試料上の任意の位置で得
られたスペクトル(例えば図3(c))との各データ点
での差の自乗総和を計算し、この値が最小になるように
倍率α,βを決定する。この走査を試料上の各点につい
て行い、各点で決定された倍率α,βをプロットする事
により、SiO2及び金の2次元分布を得ることができ
る 本実施例では、光電子のエネルギー分析に飛行時間法を
採用しているので、複数の化学的結合状態または元素の
スペクトルを同一条件で一括して取り込むことができ
る。
【0081】即ち、本実施例の方法によれば、1回の計
数ではエネルギースリットを設けて検出する光電子のエ
ネルギー範囲を狭く限定してその中の光電子数を計数
し、全エネルギー領域の光電子スペクトル波形分布は、
エネルギースリットの中心エネルギーの値をスキャンし
た多数回の計数を行うことにより得ていた従来方法とは
異なり、X線強度の変動や試料の帯電状態の変化など、
計測環境の変化には影響されないデータが得られる。
【0082】そのため、本実施例によれば、従来の光電
子分析法よりも高感度に微量な化学的結合状態または元
素の計測が可能になる。
【0083】また、本実施例によれば、不要なスペクト
ル信号を除去して、必要なスペクトル信号を明瞭に得る
ことができるので、複数の元素(または化学的結合状
態)のマッピングを従来の光電子分光法よりも迅速に、
しかも精度良く行うことができる。
【0084】
【実施例2】本実施例の光電子分光法に用いる光電子分
光装置の概略構成を図4に示す。実施例1と同様に、標
的材料には窒化硼素を用いている。
【0085】プラズマ407から放出されたX線408
は、X線フィルター409を透過した後、試料410上
に照射される。試料は実施例1と同じものである。
【0086】X線の照射領域は金の領域(B)よりも大
きく、照射領域内に金の領域(B)とSiO2薄膜Aの
領域を含んでいる。そのため、実施例1とは異なり、試
料上のSiO2の領域(A)及び金の領域(B)のみに
X線を照射して、純粋(または高純度)なSiO2、金
の光電子スペクトルを得ることはできない。
【0087】そこで、外部記憶装置418に予め別試料
の計測により得られた単独で純粋(または高純度)な金
の光電子スペクトルを参照スペクトルとして保存してお
き、この参照スペクトルを基にして、試料410の計測
により得られた光電子スペクトル(複合光電子スペクト
ル)から金に起因するスペクトル成分を除去することに
より、SiO2の光電子信号スペクトルを精密に求める
ことができる。
【0088】ここで、外部記憶装置418としては、演
算処理部(例えばパーソナルコンピュータ)416にロ
ーカルに接続されたもの、ネットワーク上に接続された
もの、インターネット上に接続されたホスト上のもの、
などが利用できる。
【0089】なお、外部記憶装置に保存されている参照
スペクトルにかかる前記別試料の計測条件と、試料41
0の計測条件(例えば、阻止電界の印加電圧)とが異な
る場合には、試料410の計測条件で得られると予測さ
れる、計算により求めたスペクトルを用いればよい。
【0090】例えば、外部記憶装置418に保存されて
いる参照スペクトルを得たときの阻止電界印加電圧と、
試料410を計測したときの阻止電界印加電圧が異なる
場合には、印加電圧の差だけシフトしたものを参照スペ
クトルとすればよい。
【0091】ここで、放出された光電子を平行化する磁
界レンズ(P.Kruit andF.H.Read,
J.Phys.E,16,1983,p313)を用い
ていない場合には、阻止電界を変化させると電子スペク
トルの形状が変化するが、この変化分を計算により補正
して参照電子スペクトルを求めればよい。
【0092】本実施例では集光光学素子を使用していな
いが、集光光学素子を使用する場合にも、同様に前記手
法を用いることができる。
【0093】本実施例では、光電子のエネルギー分析に
飛行時間法を採用しているので、複数の化学的結合状態
または元素のスペクトルを同一条件で一括して取り込む
ことができる。
【0094】即ち、本実施例の方法によれば、1回の計
数においてはエネルギースリットを設けて検出する光電
子のエネルギー範囲を狭く限定してその中の光電子数を
計数し、全エネルギー領域の光電子スペクトル波形分布
はエネルギースリットの中心エネルギーの値をスキャン
した多数回の計数を行うことにより得ていた従来方法と
は異なり、X線の出力強度の変動や計測による試料の帯
電状態の変化など、計測環境の変化には影響されないデ
ータが得られる。
【0095】そのため、本実施例によれば、微量な化学
的結合状態または元素の分析を従来の光電子分析法より
も高感度に行うことができる。
【0096】また、本実施例によれば、不要なスペクト
ル信号を除去して、必要なスペクトル信号を明瞭に得る
ことができるので、複数の化学的結合状態または元素の
マッピングを従来の光電子分光法よりも迅速に、しかも
精度良く行うことができる。
【0097】実施例1では、X線集光用光学素子として
シュバルツシルドミラーを用いたが、この他に、多層膜
楕円ミラー、ウォルターミラーなどの全反射ミラー、ゾ
ーンプレートなどの回折を利用した光学素子を用いても
良い。
【0098】また、前記実施例では、1種類の元素と1
種類の化学的結合状態(金とSiO2)について述べた
が、さらに元素や化学的結合状態の種類が増えても同様
な手法により多元素分析を行うことができる。
【0099】また、前記実施例では、元素と化学的結合
状態の分析であったが、同一元素の複数の異なる化学的
結合状態の分析、複数の元素、あるいは複数の異なる元
素及び化学的結合状態を含む試料の分析も同様な手法に
より行うことができる。
【0100】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
試料表層に含まれる各化学的結合状態または元素の絶対
的な存在数や、相対的な存在比を正確に求めることがで
きる。
【0101】本発明では、電子のエネルギー分析に飛行
時間法を採用しているので、複数の化学的結合状態また
は元素のスペクトルを同一条件で一括して取り込むこと
ができる。
【0102】即ち、本発明の方法によれば、限られたエ
ネルギー領域をスキャンすることにより、全体のスペク
トルを得る従来方法において問題となっている、励起源
の出力変動による揺らぎの影響がないデータが得られ
る。
【0103】そのため、本発明によれば、従来の電子分
析法よりも高感度に微量な化学的結合状態または元素の
分析を行うことができる。
【0104】また、本発明によれば、不要なスペクトル
信号を除去して必要なスペクトル信号を明瞭に得ること
ができるので、複数の化学的結合状態または元素のマッ
ピングを従来の電子分光法よりも迅速に、しかも精度良
く行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、実施例1の光電子分光法に用いる光電
子分光装置の概略構成図である。
【図2】図2は、実施例の光電子分光法に用いる試料の
概略平面図である。
【図3】図3は、実施例の光電子分光法により得られた
光電子スペクトルであり、金の領域からの光電子スペク
トルと、SiO2 の領域からの光電子スペクトルを示
す。
【図4】図4は、実施例2の光電子分光法に用いる光電
子分光装置の概略構成図である。
【図5】図5は、本発明にかかるデータ処理方法を説明
するための、スペクトルの模式図である。 図5(a):元素Aの領域からの光電子スペクトル 図5(b):元素Bの領域からの光電子スペクトル 図5(c):元素A,Bを含む領域から得られた光電子
スペクトル
【図6】図6は、本発明にかかるデータ処理方法を説明
するための、スペクトルの模式図である。 図6(a):元素Aの領域からの光電子スペクトル 図6(b):図6(a)のスペクトルからバックグラン
ド成分を差し引いた後の光電子スペクトル
【図7】図7は、本発明にかかるデータ処理方法を説明
するための、別のスペクトルの模式図である。 図7(a):元素A及びBを含む領域からの光電子スペ
クトル 図7(b):図7(a)のスペクトルからバックグラン
ド成分を差し引いた後の光電子スペクトル 図7(c):図7(b)のスペクトルから図6(b)の
スペクトルを参照して、元素Aのスペクトル成分を除去
した後のスペクトル
【図8】図8は、本発明にかかるデータ処理を説明する
ための、別の光電子スペクトル。 図8(a):飛行時間法で得られた光電子スペクトルの
生データ。 図8(b):0.5eV幅で新たにデータ点を作り、そ
のデータ点を中心として0.5eV幅に含まれる生デー
タの光電子数を積算し、単位エネルギー幅に変換するこ
とにより求めた光電子スペクトル。
【主要部分の符号の説明】
101…真空容器、102…真空容器、103…レーザ
ー光、104…レンズ 105…レーザー光導入窓、106…標的材料(窒化硼
素)、107…プラズマ 108…X線、109…X線透過フィルター、110…
シュバルツシルドミラー 111…試料、112…試料移動ステージ、113…光
電子、114…飛行管 115…阻止電界印加用電極 116…マイクロチャンネル・プレート(MCP) 117…高速デジタルストレージオシロスコープ 118…演算処理部、119…CRT、120…外部記
憶装置 401,402…真空容器、403…レーザー光、40
4…レンズ 405…レーザー光導入窓、406…標的材料(窒化硼
素)、407…プラズマ 408…X線、409…X線透過フィルター、410…
試料、411…光電子 412…飛行管、413…阻止電界印加用電極 414…マイクロチャンネル・プレート(MCP) 415…高速デジタルストレージオシロスコープ 416…演算処理部、417…CRT、418…外部記
憶装置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 神高 典明 東京都千代田区丸の内3丁目2番3号 株 式会社ニコン内 (72)発明者 富江 敏尚 茨城県つくば市梅園1丁目1番4 工業技 術院電子技術総合研究所内 (72)発明者 清水 秀明 茨城県つくば市梅園1丁目1番4 工業技 術院電子技術総合研究所内

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 試料にX線、極端紫外線、紫外線などの
    パルス光を照射して、試料より放出される電子のエネル
    ギースペクトルから試料の表面状態を計測する電子分光
    法において、 N種類(N≧2)の化学的結合状態または元素を含む試
    料に、前記パルス光を照射して電子スペクトルを飛行時
    間法を用いて得る過程と、 前記N種類の化学的結合状態または元素のうちの、少な
    くとも(N−1)種類の化学的結合状態または元素のそ
    れぞれを単独で純粋(または高純度)に含む前記試料上
    の各領域または別の標準試料で得られた光電子スペクト
    ルを参照電子スペクトルとして用いて信号処理を行うこ
    とにより、前記N種類の化学的結合状態または元素のう
    ちの、注目している化学的結合状態または元素に対応す
    る単独電子スペクトル、存在量、存在比率、混合比率あ
    るいは光電子数を得る過程と、を有することを特徴とす
    る電子分光法。
  2. 【請求項2】 N種類(N≧2)の化学的結合状態また
    は元素を含む領域から得られた電子スペクトルと、その
    領域に含まれている少なくとも(N−1)種類の化学的
    結合状態または元素の前記参照電子スペクトルを重ね合
    わせて求めた再構成スペクトルとの、全エネルギー領域
    あるいは特定範囲のエネルギー領域内での両スペクトル
    の差の自乗和が最小になるようにして、各参照電子スペ
    クトルの寄与分を求め、注目している1種類または複数
    の化学的結合状態または元素の単独電子スペクトル、存
    在量、存在比率、混合比率あるいは光電子数を得ること
    を特徴とする請求項1記載の電子分光法。
  3. 【請求項3】 電子信号のピーク強度または電子数につ
    いて、前記電子スペクルと前記参照電子スペクトルとの
    比率Ri(i=1,2,3,.....,N−1、ある
    いはi=1,2,3,.....,N)をそれぞれ求
    め、前記電子スペクルから各Ri倍した各参照電子スペ
    クトルをそれぞれ差し引いて、前記信号処理を行うこと
    を特徴とする請求項1記載の電子分光法。
  4. 【請求項4】 前記参照電子スペクトルの計測条件が前
    記電子スペクトルの計測条件と異なる場合に、前記電子
    スペクトルの計測条件で得られると予測される参照電子
    スペクトルを計算により求めることを特徴とする請求項
    1〜3記載の光電子分光法。
  5. 【請求項5】 前記試料上における前記パルス光の照射
    面積及び/又は照射位置を変更可能とすることにより、
    1種類の化学的結合状態または元素を純粋(または高純
    度)に含む微小領域からの単独電子スペクトルと、2種
    類以上の化学的結合状態または元素を含む領域からの電
    子スペクトルを得られるようにしたことを特徴とする請
    求項1〜4記載の電子分光法。
  6. 【請求項6】 前記試料上における前記パルス光の照射
    位置を変更可能とすることにより、試料上の全領域また
    は任意領域における前記電子スペクトルが得られるよう
    にしたことを特徴とする請求項1〜5記載の電子分光
    法。
  7. 【請求項7】 前記飛行時間法で用いる飛行管の内部に
    おいて、電子に阻止電界を印加して電子の速度を減速さ
    せることにより、電子検出器までの到達時間を長くして
    エネルギー分解能を増大させることを特徴とする請求項
    1〜6記載の電子分光法。
  8. 【請求項8】 試料にX線,極端紫外線,紫外線などの
    パルス光を照射して、試料より放出される電子のエネル
    ギースペクトルから試料の表面状態を計測する電子分光
    法において、 試料にパルス光源から発せられるパルス光を照射して電
    子スペクトルを飛行時間法を用いて得る過程と、等時間
    間隔で得られる飛行時間スペクトルデータ点を、エネル
    ギー間隔を任意とする等エネルギー間隔データ点に変換
    して光電子スペクトル波形を得る過程と、を有すること
    を特徴とする、光電子分光法。
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