JPH11236301A - 被覆農薬粒剤とそれを用いた農作物の栽培方法、及び植物根の誘引方法 - Google Patents

被覆農薬粒剤とそれを用いた農作物の栽培方法、及び植物根の誘引方法

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JPH11236301A
JPH11236301A JP10056220A JP5622098A JPH11236301A JP H11236301 A JPH11236301 A JP H11236301A JP 10056220 A JP10056220 A JP 10056220A JP 5622098 A JP5622098 A JP 5622098A JP H11236301 A JPH11236301 A JP H11236301A
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Shigetoshi Kimoto
成年 木元
Atsushi Takahashi
厚志 高橋
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 優れた時限放出機能を有し、選択毒性が高
く、施用効率の高い農薬を提供する。 【解決手段】 少なくとも1種類の浸透移行性農薬を含
有する農薬粒子を被膜材料で被覆した被覆農薬粒剤であ
って、該粒剤が植物根の誘引機能を有することを特徴と
する被覆農薬粒剤。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は農薬粒剤、それを用
いた植物根の誘引方法及び作物の栽培方法に関する。更
に詳しくは植物根の誘引機能を有する被覆農薬粒剤と植
物根の誘引物質を被覆農薬粒剤に担持させる植物根の誘
引方法、及び、該被覆農薬粒剤を用いた作物の栽培方法
に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、農薬の過剰施用による環境破壊問
題がクローズアップされ、農薬には高い選択毒性と効率
的な施用とが求められている。農薬は有害生物体内への
侵入経路から接触剤、食毒剤、くん蒸剤、浸透移行性剤
に分けられる。浸透移行性剤とは保護すべき植物或いは
家畜の体内にその成分を浸透させておき、保護すべき植
物或いは家畜に加害する有害生物体内に、経口若しくは
接触により移行させるものである。従って浸透移行性剤
はその高い選択毒性により注目されている。一般に農薬
自体は作物の栄養とはならず、作物が積極的に吸収する
ものでもない。更に、農薬を過剰に施用した場合には生
育障害さえ生じる場合が多く、作物の根は農薬を避ける
傾向にある。農薬と作物とのこのような関係は、農薬全
般にいえることではあるが、その薬効発現の過程におい
て、主に根から吸収された農薬が植物体に移行してはじ
めて防除効果を発揮する浸透移行性農薬においては、施
用した農薬の利用効率の向上に大きな障害となってい
た。一方、就農人口が減少し且つ高齢化している近年の
農業環境においては、農薬散布作業の省力化・効率化が
求められている。その対応策として、農薬成分の徐放化
・徐放期間の長期化をを可能とする、農薬粒子を被膜材
料で被覆した被覆農薬が開発されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】環境問題と就農人口の
高齢化問題に対応できる理想の農薬とは、選択毒性及び
施用効率が高く、徐放期間の長い薬剤である。この理想
の姿に近い農薬として、浸透移行性農薬を粒状としたも
のを被膜材料で被覆した被覆農薬がある。しかしなが
ら、このような被覆農薬であっても、効率的な施用は達
成されていない。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは残された課
題である農薬の利用効率を改善した理想の農薬を開発す
べく鋭意研究を行った結果、植物根を被覆農薬に接触さ
せる、若しくは植物根を被覆農薬近傍に誘引することに
より、施用した農薬を有効に利用できることを見出し
た。本発明者らはこの知見に基づきその具体的な実施方
法を追求し、少なくとも1種類の浸透移行性農薬を含有
する農薬粒子を被膜材料で被覆した被覆農薬粒剤であっ
て、該粒剤が植物根の誘引機能を有する被覆農薬粒剤
は、選択毒性と利用効率が高く、徐放期間の長期化が可
能な優れた特性があることを認め、本発明を完成させ
た。
【0005】本発明は下記の(1)〜(7)の構成を有
する。 (1)少なくとも1種類の浸透移行性農薬からなる農薬
粒子を被膜材料で被覆した被覆農薬粒剤であって、該粒
剤が植物根の誘引機能を有することを特徴とする被覆農
薬粒剤。 (2)少なくとも1種類の浸透移行性農薬からなる農薬
粒子を被膜材料で被覆した被覆農薬粒剤が、植物根の誘
引物質を担持していることを特徴とする被覆農薬粒剤。 (3)植物根の誘引物質が窒素成分を含有する肥料であ
ることを特徴とする(1)項に記載の被覆農薬粒剤。 (4)被覆農薬粒剤が、施用後一定期間農薬活性成分の
放出が抑制された放出抑制期間と、該放出抑制期間経過
後農薬活性成分の放出が持続する放出期間とからなる時
限放出型の徐放機能を有することを特徴とする、前記
(2)又は(3)項に記載の被覆農薬粒剤。 (5)少なくとも1種類の浸透移行性農薬を含有する農
薬粒子を被膜材料で被覆した被覆農薬粒剤に、植物根の
誘引物質を担持させた被覆農薬粒剤を使用することを特
徴とする植物根の誘引方法。 (6)植物根の誘引物質が、窒素成分を含有する肥料で
あることを特徴とする(5)項に記載の植物根の誘引方
法。 (7)前記(1)〜(4)項の何れか1項に記載された
被覆農薬粒剤を用いることを特徴とする作物の栽培方
法。
【0006】以下、本発明を詳細に説明する。本願の第
1の発明は、少なくとも1種類の浸透移行性農薬を含有
する農薬粒子を被膜材料で被覆した被覆農薬粒剤であっ
て、該粒剤が植物根を誘引する機能を有するものであ
る。植物根を誘引する機能とは、土壌中若しくは水中に
おいて、植物の根の成長を被覆農薬粒剤の近傍に向かわ
せ、好ましくは被覆農薬粒剤に接触させる作用をいう。
被覆農薬粒剤にこのような誘引機能を付与することは、
何れの方法で達成されても構わないが、該粒剤に植物根
の誘引物質を担持させることにより容易に達成される。
【0007】本発明の被覆農薬粒剤に用いる浸透移行性
農薬は、対象とする作物、害虫等に関して何らの制限も
なく、いずれの浸透移行性農薬も使用することが出来る
が、その性質上殺虫剤および殺菌剤である場合に有効で
ある。殺虫剤として具体的には(E)−N1−〔(6−
クロロ−3−ピリジル)メチル〕−N2−シアノ−N1
−メチルアセトアミジン(一般名:アセタミプリド)、
1−(6−クロロ−3−ピリジルメチル)−N−ニトロ
イミダゾリジン−2−イリデンアミン(一般名:イミダ
クロプリド)、O,O−ジエチル−S−2−(エチルチ
オ)エチルホスホロジチオエート(一般名:エチルチオ
メトン)、2,3−ジヒドロ−2,2−ジメチル−7−
ベンゾ〔b〕フラニル=N−ジブチルアミノチオ−N−
メチルカルバマート(一般名:カルボスルファン)、
(E)−N−(6−クロロ−3−ピリジルメチル)−N
−エチル−N´−メチル−2−ニトロビニリデンジアミ
ン(一般名:ニテンピラム)、エチル=N−〔2,3−
ジヒドロ−2,2−ジメチルベンゾフラン−7−イルオ
キシカルボニル(メチル)アミノチオ〕−N−イソプロ
ピル−β−アラニナート(一般名:ベンフラカルブ)、
1−ナフチル−N−メチルカーバメート(一般名:NA
C)などが挙げられ、殺菌剤としては5−メチル−1,
2,4−トリアゾロ〔3,4−b〕ベンゾチアゾール
(一般名:トリシクラゾール)、1,2,5,6−テト
ラヒドロピロロ〔3,2,1−ij〕キノリン−4−オ
ン(一般名:ピロキロン)、3−アリルオキシ−1,2
−ベンゾイソチアゾール−1,1−ジオキシド(一般
名:プロベナゾール)などが挙げられる。
【0008】本発明に用いる農薬粒子は、少なくとも1
種類の浸透移行性農薬を含有しており、その他の組成に
は特に限定はない。農薬単独で造粒されたものであって
もよく、クレー、カオリン、タルク、ベントナイト、炭
酸カルシウムなどの担体や、ポリビニルアルコール、カ
ルボキシメチルセルロースナトリウム、澱粉などの結合
剤を用いて造粒したもの、さらに必要に応じて界面活性
剤、薬害軽減剤、安定剤などを添加しても構わない。
【0009】また、ベントナイト、澱粉などの水膨潤性
物質、易水溶性肥料および農薬を原料として造粒した場
合には、流動や転動しても崩壊しにくい硬い農薬粒子が
得られ、この農薬粒子を樹脂で被覆することにより、よ
り安定した時限放出型の徐放機能を示す優れた被覆農薬
粒剤が得られる。
【0010】農薬粒子の造粒方法としては、押出し造粒
法、被覆造粒法、吸着造粒法等の公知の方法がいずれも
使用できるが、押し出し造粒法が最も簡易である。
【0011】農薬粒子の粒径は0.3mm以上であるこ
とが好ましく、さらに好ましくは0.7〜5.0mmで
ある。粒径0.3mm未満では被膜材料で被覆すること
が困難であり、製造時あるいは施用時の取り扱い易さ等
を考慮すると、0.7〜5.0mmであることが好まし
い。
【0012】このような農薬粒子を被膜材料で被覆して
得られる被覆農薬粒剤に時限放出機能を発現させるため
には、農薬粒子の粒形は真円に近いのものほど好まし
い。粒子の円形度合いを示す尺度である円形度係数は、
次式で表される: {(4π×粒子の投影面積)/(粒子投影図の輪郭の長さ)
2} 粒子形状が真円に近づくほど円形度係数は1に近かず
き、真円の場合1(最大値)となり、粒子形状が真円か
ら外れるに従って円形度係数が小さくなる。なお上記の
円形度係数は、PIAS−IV(株式会社ピアス製)等
の市販の測定機器を用いることにより測定することがで
きる。この式によって求められた値が0.7以上のもの
が好ましく、より好ましくは0.75以上であり、さら
に好ましくは0.8以上である。円形度係数が0.7未
満の農薬粒子が増えると初期放出が不安定となるため、
全量が0.7以上の粒子であることが好ましいが、本発
明の効果を大きく損なわない限りにおいて、円形度係数
が0.7未満のものが若干量存在していても差し支えな
い。円形度係数が0.8以上の粒形の農薬粒子を用いた
被覆農薬粒剤が時限放出型の徐放機能を有するものであ
る場合には、放出抑制期間における農薬の放出を著しく
抑えることができ特に有効である。
【0013】本発明においては、農薬粒剤に薬効成分の
徐放性を付与する目的で農薬粒子を被膜材料で被覆す
る。
【0014】農薬粒子の被覆は徐放性の長期化を目的と
したものであり、より長期間にわたる制御が必要な場合
には有機被膜材、特に樹脂被膜材料を用いることが好ま
しい。樹脂被膜であればカプセルの内部に浸入する水、
若しくは水蒸気を微量に抑さえることが可能である。除
放期間の更なる長期化や、前述の時限放出型の徐放機能
を付与するには、農薬粒子の表面に樹脂を有効成分とす
る被膜材料で完全に被覆し、水蒸気は透過させるが水は
通過させない被膜にすることが必要である。つまり、ピ
ンホールや亀裂の無い被膜を形成することが重要であ
る。また、長い放出抑制期間が必要な場合には、農薬粒
子の表面に透湿性の小さい樹脂被膜を被覆することが有
効である。透湿性の小さい樹脂被膜を被覆することによ
り、外部に存在する水蒸気を徐々に時間をかけて被膜内
部の農薬粒子にまで浸透させることができる。
【0015】本発明に用いる被膜材料は、硫黄を有効成
分とする無機被膜材料、樹脂を有効成分とする有機被膜
材料を挙げることができる。
【0016】樹脂としてはオレフィン重合体、オレフィ
ン共重合体、塩化ビニリデン重合体、塩化ビニリデン共
重合体、ジエン系重合体、ワックス類、ポリエステル、
石油樹脂、天然樹脂、油脂およびその変性物から選ばれ
た1種または2種以上の物質ならびにアルキド樹脂等の
熱硬化性樹脂を挙げることができる。
【0017】オレフィン重合体としてはポリエチレン、
ポリプロピレンが、オレフィン共重合体としては、エチ
レン・プロピレン共重合体、エチレン・一酸化炭素共重
合体、ポリブテン、ブテン・エチレン共重合体、ブテン
・プロピレン共重合体、ポリスチレン、エチレン・酢酸
ビニル共重合体、エチレン・酢酸ビニル・一酸化炭素共
重合体、エチレン・アクリル酸共重合体、エチレン・メ
タアクリル酸エステル共重合体等が例示できる。塩化ビ
ニリデン共重合体としては、塩化ビニリデン・塩化ビニ
ル共重合体が例示でき、ジエン系重合体としては、ブタ
ジエン重合体、イソプレン重合体、クロロプレン重合
体、ブタジエン・スチレン共重合体、EPDM重合体、
スチレン・イソプレン共重合体等が例示でき、ワックス
類としては、密ロウ、木ロウ、パラフィン等が例示で
き、ポリエステルとしてはポリ乳酸、ポリカプロラクト
ンが例示でき、天然樹脂としては、天然ゴム、ロジン等
が例示でき、油脂及びその変性物としては、硬化油、固
形脂肪酸および脂肪酸金属塩等を例示することができ
る。
【0018】長い放出抑制期間が必要な場合には、オレ
フィン重合体、オレフィン共重合体、塩化ビニリデン重
合体及び塩化ビニリデン共重合体を用いることが有効で
ある。中でも、全放出期間の長さ及び放出パターンの選
択できる範囲の広さから、特に、ポリエチレン、ポリプ
ロピレン、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・
一酸化炭素共重合体が最も好ましい。これらの材料はピ
ンホールや亀裂のない被膜が形成されれば、水分子を浸
入させず、水蒸気であってもその透過量は極僅かであ
る。
【0019】エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン
・酢酸ビニル・一酸化炭素共重合体及びジエン系重合体
のようなゴム状物質を被膜材料中に添加することは、被
膜に亀裂が生じるまでの時間の調節に有効であるが、こ
れらのゴム状物質が被膜材料中に多量に存在すると、放
出抑制期間が極端に短くなったり、亀裂が生じなくなる
恐れがあるため、被膜材料中への添加量は20重量%未
満であることが好ましく、特にエチレン・酢酸ビニル共
重合体の場合には15重量%以下であることが好まし
い。
【0020】更に、本発明においては本発明の効果を損
なわない範囲で、被膜材料にフィラーや親水性付与のた
めの界面活性剤などを添加することができる。フィラー
としてはタルク、クレー、カオリン、ベントナイト、白
雲母、金雲母、雲母状酸化鉄、金属酸化物、珪酸質、ガ
ラス及びアルカリ土類金属の炭酸塩、硫酸塩、澱粉等を
例示することができる。
【0021】被膜材料により農薬粒子を被覆する方法と
しては、転動状態、流動状態若しくは噴流状態にある農
薬粒子に、溶解若しくは溶融した被膜材料を噴霧若しく
は塗布した後、乾燥若しくは固化させる方法、溶解若し
くは溶融した液状の被膜材料に農薬粒子を浸漬させた
後、乾燥若しくは固化させる方法等、公知の方法が使用
できる。
【0022】好ましい被覆方法の一例として、樹脂を主
成分とする被膜材料を有機溶媒で溶解させた混合溶解液
を流動状態の農薬粒子に噴霧すると同時に、高速熱風流
により溶媒を除去し、粒子の表面に被膜を形成する方法
を挙げることができる。この被覆方法に使用する装置の
一例を添付図面を参照しながら説明する。噴流塔1の下
部から流入する高温気体により転動または流動状態にあ
る農薬粒子3に対し、配管5を経由して輸送される被膜
材料の混合溶解液(被覆液)をスプレーノズル2より噴
霧し、該粒子3の表面を被覆すると同時に高温気体によ
って溶媒を瞬時に蒸発乾燥させるものである。
【0023】一般に、農薬は肥料に比べ水に難溶性であ
るので、被膜内部の農薬が被膜表層部から外界へ放出さ
れるには、前述の特許公報に開示されているように、被
膜を破壊ないし溶解させ被膜内部の農薬粒子を被膜外部
の環境(土壌、水など)に直接曝すことにより達成され
ている。本発明においては、そのような時限放出の作用
機構のうち如何なる機構によるものであっても構わな
い。
【0024】本発明の被覆農薬粒剤は、施用直後から放
出を開始するタイプの徐放機能を有するものであっても
よく、施用後一定期間農薬の放出が抑制された放出抑制
期間と、一定期間経過後農薬の放出が持続する放出期間
とからなる時限放出型の徐放機能を有するものであって
もよい。本発明において時限放出型の徐放機能とは、具
体的には施用後から農薬粒子中の農薬が10重量%放出
するまでの期間を放出抑制期間とし、10重量%放出日
から90重量%放出日までの期間を放出期間とした場
合、放出抑制期間/放出期間の比率が0.2以上である
放出パターンを意味する。時限放出型の徐放機能を有す
る農薬粒剤では、通常、その放出期間の開始時に一度に
多量の農薬が放出されるので、植物に吸収されずに地下
水等へ流亡する割合が多い。そのため、施用した農薬の
利有効率を向上させるためには、より多くの植物根を農
薬の近傍に誘引しておくことが重要であり、植物根の誘
引機能と時限放出型の徐放機能とを有する被覆農薬粒剤
においては、本発明の効果がより顕著に現れる。
【0025】時限放出型の徐放機能を有する被膜として
は、特開平6−9303号公報に開示された高吸水膨潤
性物質層とオレフィン系重合体層とからなる多層被膜、
特開平6−9304号公報に開示されたアルカリ物質層
とオレフィン系樹脂およびアルカリ水可溶性重合体の混
合物層とからなる多層被膜、特開平6−72805号公
報に開示されたアルカリ物質層と縮合系重合体およびア
ルカリ水可溶性重合体の混合物層とからなる多層被膜、
特開平6−80514号公報に開示された高吸水膨潤性
物質層と縮合系重合体層とからなる多層被膜等が使用で
きる。これらの多層被膜は何れも被覆操作が煩雑で且つ
製造設備も高価となる。
【0026】特開平9−77608号公報に開示され
た、少なくとも1種類の農薬と少なくとも1種類の水膨
潤性物質とからなる農薬粒子の表面を樹脂を主成分とす
る被膜で被覆した被覆農薬粒剤は、一層からなる被膜で
時限放出機能を達成でき、被覆操作が簡便で且つ製造設
備も安価であり、本発明に好ましく利用できる。この組
成の被覆農薬粒剤は圃場等に施用後、圃場の水分が透湿
性の被膜を透過して内部の農薬粒子に到達し、水膨潤性
物質を膨潤させ、この膨潤によって生じる力により、施
用後一定期間経過した後に被膜が崩壊し、被膜内部の農
薬粒子が被膜外部の環境(土壌、水など)に放出される
ことになる。
【0027】本発明で使用できる植物根の誘引物質とし
ては、具体的には肥料や、ショ糖等の有機物質、3−ヒ
ドロキシ−5−メチルイソオキサゾ−ル(一般名:ヒド
ロキシイソキサゾール)、インドール酪酸、ニコチン酸
アミド、ジイソプロピル−1,3−ジチオラン−2−イ
リデン−マロネート(一般名:イソプロチオラン)等の
発根促進剤、更にオーキシン等の植物ホルモンなどを挙
げることができるが、これらに限定されるものではな
い。中でも、肥料は最も安価で安全な誘引物質であり、
ハンドリングの容易さからも好ましい材料である。窒
素、リン酸、加里のいずれを有効成分とする肥料も利用
できる。具体的に例示するならば、硫安、塩安、硝安、
尿素、塩化加里、硫酸加里、硝酸加里、リン酸アンモニ
ウム等の単肥、これらの2種類以上を複合した化成肥料
などを挙げることができる。また、肥料の中でも易水溶
性肥料はより誘引作用が高く好ましい。更に、肥料の中
でも窒素成分を含有する肥料は誘引作用が顕著であり、
少量の施用によって良好な誘引機能を発揮するので、最
も好ましい材料である。
【0028】被覆農薬粒剤中に担持させる植物根の誘引
物質の量は、選択した誘引物質の誘引効果と、誘引物質
の過剰施用による生育障害を発生させない量とのバラン
スで決定される。本発明で最も好ましい誘引物質である
窒素を含有する肥料を用いる場合には、肥料の種類によ
っても異なるが、その添加量は、好ましくは1〜50重
量%、より好ましくは1.5 〜20重量%である。
【0029】被覆農薬粒剤中の誘引物質を担持させる部
位は特に限定されるものではなく、該粒剤の被膜表面に
付着させる、被膜材料中に添加する、農薬粒子中に添加
する、等の態様、更にこれらの態様の複数の組み合わせ
であってもよい。
【0030】被覆農薬粒剤の表面に植物根の誘引物質を
付着させるには、転動、流動若しくは噴流状態にある被
覆農薬粒剤に誘引物質を噴霧若しくは塗布すればよい。
被膜なかに植物根の誘引物質を担持させるには、溶解若
しくは溶融した被膜材料中にに該物質を添加してもよ
く、被膜材料を農薬粒子の表面に噴霧若しくは塗布する
際に該物質を同時に噴霧若しくは塗布してもよい。農薬
粒子中に植物根の誘引物質を添加する場合には、造粒の
段階で農薬と混合する、或いは造粒された農薬粒子の表
面に付着させることができる。
【0031】誘引物質を被膜表面に付着させた被覆農薬
粒剤では、その誘引効果は即効性であるが、長期にわた
る効果は望めない。また、誘引物質を被膜中に担持させ
た被覆農薬粒剤では、誘引効果は遅効性であり、より長
期にわたり効果を発揮できる。更に、誘引物質を農薬粒
子中に担持させたものでは、被膜中に担持させたものよ
りも更に遅効性にすることができる。誘引物質を農薬粒
子中に担持させた場合、当然のことながら、誘引効果の
発現には、農薬の薬効発現と同様に、誘引物質が被膜の
外へ浸出する必要があり、農薬の薬効発現と誘引効果の
バランスがその場合の技術的なキーポイントとなる。
【0032】このように、誘引物質の担持場所により、
それぞれ長所と短所があることから、農薬の放出速度・
期間と放出パターンにあわせて担持場所を選択すべきで
ある。例えば、極短期で農薬の放出を終了させるタイプ
であれば、誘引物質は被膜表面に付着させればよい。反
対に、農薬の放出が長期にわたるものでは、被膜中また
は農薬粒子中に担持させ、農薬の放出と共に誘引物質も
徐々に放出させると良い。更に、時限放出型の徐放機能
を有する被覆農薬粒剤のように、農薬の放出開始以前に
植物根を誘引しておきたい場合には、被膜表面への付着
と農薬粒子中への担持の両方を行っておけばより効果的
である。
【0033】本願の第2の発明は、少なくとも1種類の
浸透移行性農薬を含有する農薬粒子を被膜材料で被覆し
た被覆農薬粒剤に、植物根の誘引物質を担持させた被覆
農薬粒剤を使用することを特徴とする植物根の誘引方法
である。本願発明に用いる被覆農薬粒剤、植物根の誘引
物質、該物質の担持方法は前述の通りであり、該農薬粒
剤に該物質を担持させる植物根の誘引方法であれば、い
かなる方法であっても本発明の効果を得ることができ、
特に限定されるものではない。
【0034】本願の第3の発明は、少なくとも1種類の
浸透移行性農薬を含有する農薬粒子を被膜材料で被覆し
た被覆農薬粒剤であって、該粒剤が植物根の誘引機能を
有することを特徴とする被覆農薬粒剤を用いることを特
徴とする作物の栽培方法である。該被覆農薬粒剤を用い
る作物の栽培方法であれば、いかなる方法であっても本
発明の効果を得ることができ、特に限定されるものでは
ない。作物の栽培の際に、直接土壌に施用する方法であ
っても良く、また育苗培土の組成物の一つとして本発明
の被覆農薬粒剤を添加すると云ったような方法であって
も良い。
【0035】栽培方法の具体例としては、栽培期間中に
散布・施用する農薬成分の全量若しくはその内の大部分
を、育苗開始時、本圃への播種時、または本圃への苗の
移植時に施用する方法が挙げられる。使用する本発明の
被覆農薬粒剤は1種類でも良く、時限放出機能(放出パ
ターンや放出抑制期間の長さ)や薬効の異なる被覆農薬
粒剤を2種以上混合したものであっても構わない。ま
た、施用する時期も限定されるものではなく、育苗開始
時に育苗箱や育苗ポットなどの育苗容器に施用してもよ
く、本圃へ播種若しくは移植すると同時に施用してもよ
い。
【0036】また、本発明の作物の栽培方法は作物が限
定されるものではなく、キャベツ、レタス、ホウレンソ
ウなどの葉菜類、ダイコン、ニンジン等の根菜類、トマ
ト、キュウリ、カボチャ等の果菜類のほか、麦類、トウ
モロコシ、いも類、マメ類、工芸作物、花卉類栽培に利
用することができる。
【0037】本発明の作物の栽培方法であれば、施用し
た農薬の利用効率が向上するため、病害虫による被害が
軽減され、商品価値の高い農作物を省力栽培することが
できる。
【0038】
【実施例】以下に実施例によって本発明を説明するが、
本発明はこれら実施例により限定されない。尚、以下の
実施例における「%」は特に断りがない限り「重量%」
である。 「本発明品の製造」 1.農薬粒子の製造 表1に示した組成の原料をミキサーで均一に混合し、ニ
ーダーで加水混練した。得られた混合物をスクリュー押
し出し式造粒機(スクリーン径0.8mmφ)で造粒
し、整粒機で球形に整粒した後、流動乾燥し、篩い分け
することによって、粒径0.8〜1.4mmの農薬粒子
を得た。
【0039】
【表1】 ベントナイトA:ベントナイト、膨潤力14mL/2g ベントナイトB:ベントナイトA/コーンスターチ(膨
潤力9mL/2g)=9/1 尿素:和光純薬工業社製 硫安:硫酸アンモニウム、和光純薬工業社製 りん安:リン酸二アンモニウム、和光純薬工業社製 カオリン:はくとう土、和光純薬工業社製 炭カル:炭酸カルシウム タルク:平均粒径 5μm 農薬:5−メチル−1,2,4−トリアゾロ(3,4−
b)ベンゾチアゾール(純度75%)
【0040】2.農薬粒子硬度の測定 上記の方法で試作した農薬粒子の硬度を木屋式デジタル
硬度計(KHT−20型、(株)木屋製作所製)を用い
て測定した。それぞれ20粒子を測定しその平均値を表
2に示した。
【0041】3.被覆農薬粒剤の製造 図1に示した噴流層被覆装置(直径250mm、高さ1
500mm、熱風噴出口径50mm、円錐角50度)を
用い、熱風温度:100±2℃、熱風風量:4m3/m
inの条件下に農薬粒子3kgを投入し、流動中の農薬
粒子温度が70℃に達した時点から被膜材料溶解液をス
プレー流速0.2kg/minで、被覆率が20重量%
なるまで噴霧した後、30分間乾燥を行い、被覆農薬粒
剤を得た。ここで被覆率とは、農薬粒子の重量(a)と
被膜の重量(b)との和に対する被膜の重量(b)の比
率であり、式:[100b/(a+b)]で求められ
る。被膜材料溶解液は、エチレン・一酸化炭素共重合体
(MI=0.75、CO=0.95重量%)25重量部
とタルク(平均粒径5μm)75重量部とからなる被膜
材料をテトラクロロエチレンに80℃で溶解撹拌し、被
膜材料が2.5重量%となるよう調整した。ノズルは開
口0.4mmフルコーン型の一流体ノズルを用いた。実
施例1及び比較例で得られた被覆農薬粒剤の一部を採
り、それぞれの表面にパラフィンワックス2重量部と硫
安粉体8重量部とからなる誘引剤を、被覆農薬粒剤/誘
引剤=9/1の割合となるように被覆し、これを実施例
11、12とした。
【0042】4.放出機能確認試験 被覆農薬粒剤を水中に散布し、被覆農薬粒剤の被膜が破
壊されることにより内部の農薬が外部に放出される状況
を観察した。各実施例毎に100粒の試験粒剤を採り、
キャップ付試験管(12mm×72mm)にそれぞれ1
粒の被覆農薬粒剤と水1.5mLを入れ、水温20℃の
条件下に放置し、被膜の崩壊した被覆農薬粒剤の個数を
カウントした。観察は試験開始から1週間までは毎日行
い、その後は3日ごとに行った。縦軸に累積放出率(=
累積崩壊数)、横軸に経過日数をとり、観察結果をプロ
ットしたグラフを作成し、試験開始から累積放出率が1
0%に至るまでの日数(=放出抑制期間「d1」)と、
その後累積放出率が90%に至るまでの日数(=放出期
間「d2」)とを求め、これを表2に示した。
【0043】5.誘引剤溶出試験 各実施例毎に、全窒素分が4gとなるように被覆農薬粒
剤をそれぞれ採取し、200mLの水中に浸漬し、25
℃に静置する。24時間経過後、被覆農薬粒剤を濾別
し、水中に溶出した窒素分を定量分析により求める。濾
別した被覆農薬粒剤は新たに200mLの水中に浸漬
し、再び25℃に静置しその24時間(1日)後、同様
な分析を行う。このような操作を反復し、水中に溶出し
た窒素の溶出累計と日数とをプロットして溶出速度曲線
を作成した。試験開始から10%放出に至るまでの日数
「d3」を表2に示した。
【0044】
【表2】
【0045】表2の結果からも明らかなように、比較例
と比べて、実施例の農薬粒子は硬度が高く、被覆工程に
おいて粒子の破損や粉塵の発生はほとんど発生しなかっ
た。また、実施例1〜10では誘引剤はいずれも被膜が
崩壊するまではほとんど溶出せず、被膜崩壊後に農薬の
放出とほぼ同じ時期に溶出を開始ししている。実施例1
1及び12では、誘引剤(硫安)が被覆農薬粒剤の表面
に露出しているので早期にその溶出が始まった。実施例
11では、被膜表層と農薬粒子の双方に誘引剤が含有さ
れており、表層の誘引剤が溶出した後に農薬成分の放出
と同時に農薬粒子中の誘引剤が溶出することから、全体
として誘引剤の溶出は長期間持続した形になっている。
各実施例共に、農薬の放出パターンはd1/d2が0.
2以上である時限放出型を示した。また、誘引剤、農薬
共に被膜崩壊後完全に放出されていることを確認した。
【0046】6.栽培試験 洪積火山灰土壌(最大容水量120%、粒径2mm以
下)3000gと、N、P2O5、K2Oがそれぞれ1
gになる量の硫加燐安(N−P2O5−K2O=13−
13−13、チッソ(株)商品名)とを均一に混合し育
苗用の床土とした。この床土2000gを内寸が縦58
cm,横28cm,深さ3cmの水稲用育苗箱に入れ、
表面を平らにし、被覆農薬粒剤と、水稲の催芽種籾(品
種:ヒノヒカリ)150gとを均一かつ層状に播種し
た。この上に、床土1000gを用いて覆土した。農薬
として、実施例1、5、8、11、12及び比較例で得
られた被覆農薬粒剤及び比較例用に造粒した未被覆の農
薬粒子を用いた。被覆農薬粒剤の育苗箱一箱あたりの使
用量は、慣行施用量区の80g(被覆農薬粒材としての
重量)と、減量区の50g(被覆農薬粒材としての重
量)の2水準を設けた。育苗箱をグロースキャビネット
中に設置し、明期12時間暗期12時間、気温25℃、
相対湿度80〜90%の一定温度条件下で18日間苗を
育成した。光源には蛍光灯を用い、光源から育苗箱表層
までの距離は30cmであった。培土表層が乾燥しない
ように適宜潅水を行った以外は、慣行法に準じて育苗管
理し、育苗期間中追肥を行わなかった。実施例および比
較例の各試験区はいずれも薬害を発生することなく育苗
することができた。引き続き、熊本県水俣市のミニチュ
ア水田に苗を移植し、慣行法に準じて栽培を行った。移
植時に苗の根の成長状態を観察した。実施例11、12
の被覆農薬粒剤をを用いた試験区においては、被覆農薬
粒剤の周辺に群がるように根が張っていることを観察し
た。これは被膜表層の硫安の誘引効果によるものと思わ
れる。
【0047】水田における栽培期間中、本発明の被覆農
薬粒剤を用いた栽培においては、農薬の施用量を減らし
た減量区(栽培例8〜14)においても栽培終了まで害
虫による被害は認められなかった。これは被覆農薬粒剤
の根の誘引効果により農薬成分の吸収利用率が向上した
ためと考えられる。これらの観察結果を表3に示した。
【0048】
【表3】
【0049】
【発明の効果】本発明の被覆農薬粒剤、及び本発明の植
物根の誘引方法であれば、誘引物質の作用により植物の
根が被覆農薬粒剤と接触するか、若しくはその近傍に多
く成長することにより、放出された農薬成分が効率よく
吸収利用されることから、施用された農薬成分の薬効を
向上させることができる。更に、本発明の被覆農薬粒剤
を用いた作物の栽培方法であれば、施用した農薬成分の
利用効率が向上するため、病害虫による被害が軽減さ
れ、商品価値の高い農作物を省力栽培することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】噴流層のフローシート図
【符号の説明】
1:噴流塔 2:スプレーノズル 3:農薬粒子(芯材) 4:熱風導入管 5:被膜材料導入管
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C05C 9/00 C05C 9/00 C05G 3/00 103 C05G 3/00 103

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】少なくとも1種類の浸透移行性農薬を含有
    する農薬粒子を被膜材料で被覆した被覆農薬粒剤であっ
    て、該粒剤が植物根の誘引機能を有することを特徴とす
    る被覆農薬粒剤。
  2. 【請求項2】少なくとも1種類の浸透移行性農薬を含有
    する農薬粒子を被膜材料で被覆した被覆農薬粒剤が、植
    物根の誘引物質を担持していることを特徴とする被覆農
    薬粒剤。
  3. 【請求項3】植物根の誘引物質が窒素成分を含有する肥
    料であることを特徴とする請求項1に記載の被覆農薬粒
    剤。
  4. 【請求項4】被覆農薬粒剤が、施用後一定期間農薬活性
    成分の放出が抑制された放出抑制期間と、該放出抑制期
    間経過後農薬活性成分の放出が持続する放出期間とから
    なる時限放出型の徐放機能を有することを特徴とする請
    求項2又は3項に記載の被覆農薬粒剤。
  5. 【請求項5】少なくとも1種類の浸透移行性農薬を含有
    する農薬粒子を被膜材料で被覆した被覆農薬粒剤に、植
    物根の誘引物質を担持させた被覆農薬粒剤を使用するこ
    とを特徴とする植物根の誘引方法。
  6. 【請求項6】植物根の誘引物質が窒素成分を含有する肥
    料であることを特徴とする請求項5に記載の植物根の誘
    引方法。
  7. 【請求項7】請求項1〜4の何れか1項に記載された被
    覆農薬粒剤を用いることを特徴とする作物の栽培方法。
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