JPH11236644A - 高強度特性と低熱処理歪み特性に優れた高周波焼入れ用鋼材とその製造方法 - Google Patents
高強度特性と低熱処理歪み特性に優れた高周波焼入れ用鋼材とその製造方法Info
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- JPH11236644A JPH11236644A JP5740498A JP5740498A JPH11236644A JP H11236644 A JPH11236644 A JP H11236644A JP 5740498 A JP5740498 A JP 5740498A JP 5740498 A JP5740498 A JP 5740498A JP H11236644 A JPH11236644 A JP H11236644A
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Abstract
の製造時に冷間加工性に優れ、高周波焼入れ後には、高
強度特性と低熱処理歪み特性に優れた高周波焼入れ用鋼
材とその製造方法を提供する。 【解決手段】 C:0.38超〜0.58%、Si:
0.01〜0.15%、Mn:0.85〜1.7%、
S:0.005〜0.15%、Cr:0.35%以下、
B:0.0005〜0.005%、Al:0.015〜
0.05%、N:0.007%未満を含有し、TiをN
含有量に応じて、0.015〜3.4N+0.02%の
範囲含有し、またはさらに、Mo:0.02〜0.3
%、Ni:0.02〜1.0%の1種または2種を含有
し、かつ、ミクロ組織は実質的にフェライト・パーライ
ト組織であり、フェライト結晶粒径が25μm以下であ
り、熱間圧延方向に平行な断面の組織のフェライトバン
ドの評点が1〜5である鋼材。また、上記成分の鋼を加
熱温度を1050℃以上、熱間圧延の仕上げ温度を75
0〜1000℃、熱間圧延に引き続いて750〜500
℃の温度範囲を1℃/秒以下の冷却速度で徐冷する方
法。
Description
材に関わり、さらに詳しくは、特に5〜40kHzの周
波数で高周波焼入れすることにより製造される各種歯車
類、ドライブシャフトや外輪のような各種シャフト類の
素材として好適な、高強度特性と低熱処理歪み特性に優
れた高周波焼入れ用鋼材とその製造方法に関するもので
ある。本発明で言う強度特性とは、主として捩り強度、
捩り疲労強度、曲げ疲労強度である。本鋼材の適用の対
象となる部品の成形加工工程は、焼鈍を行わずに直接冷
間鍛造を行う工程、冷間鍛造の前または中間に焼鈍を行
う工程、これらに切削工程を含んだ工程、または主とし
て切削により部品を成形加工する工程、一部焼鈍工程を
含んだ切削で部品を成形加工する工程、さらにこれらの
いずれかに転造加工を含む工程、あるいはこれらのいず
れかに温間鍛造を組み合わせた工程等である。なお、本
発明で対象としている部品はこのように切削や冷鍛等の
冷間加工により製造されるために、冷間加工性について
も留意されている。
類、シャフト類は、近年の自動車エンジンの高出力化あ
るいは環境規制対応にともない、高強度化の指向が強
い。また、研磨工程や矯正工程の省略を狙いとした高周
波焼入れ時に発生する熱処理歪みの低減の要求も強い。
周波焼入れする製品を対象としている。従来の主流であ
る100kHz前後の周波数で高周波焼入れされる製品
は、そもそも硬化層深さが浅く(例えば、硬化層深さは
半径の4分の1程度)、耐摩耗性等の確保が主体であ
り、最表面の硬さの確保が重要な課題であった。これに
対して、本発明で対象とする、5〜40kHzの周波数
で高周波焼入れする製品においては、捩り強度、捩り疲
労強度の確保が主たる狙いであり、硬化層深さを深くす
ることと硬化層の硬さムラを防ぐことが、高強度化のポ
イントである。また、硬化層の硬さムラを防ぐことによ
り、熱処理歪みは減少する。以上のためには、正味の高
周波焼入れ性を確保することが必須である。
公報には、C:0.38〜0.45%、Si:0.35
%以下、Mn:0.3〜1.0%、B:0.0005〜
0.0035%、Ti:0.01〜0.05%、Al:
0.01〜0.06%、N:0.01%以下、フェライ
ト結晶粒度番号:6以上、ミクロ組織:フェライトとパ
ーライト、硬さHRB80〜90、JIS0558で規
定する脱炭深さ:DM−T0.2mm以下を有する直接
切削・高周波焼入れ用鋼材が示されている。該発明鋼材
はB鋼を適用し、脱炭深さを規定した点が特徴である。
該公報には、周波数100kHzで高周波焼入れした場
合の特性は記載されているが、本発明で対象とする、5
〜40kHzの周波数で高周波焼入れした場合の特性は
記載されていない。また、該公報には、そもそも、本発
明で着眼している静的捩り強度、捩り疲労強度、低熱処
理歪み特性については、全く言及されていない。即ち、
該公報記載の鋼材は高周波焼入れ性が不足するために、
高周波焼入れ部の硬さの不足や、硬さムラの発生が問題
となり、捩り強度等の強度特性は十分ではない場合が起
きると考えられる。
は、C:0.38〜0.45%、Si:0.35%以
下、Mn:1.0%超〜1.5%、B:0.0005〜
0.0035%、Ti:0.01〜0.05%、Al:
0.01〜0.06%、N:0.01%以下、フェライ
ト結晶粒度番号:6以上の細粒組織を有する直接切削・
高周波焼入れ用鋼材が示されている。該発明鋼材は特開
平3−177537号公報に対してMn量を増加させた
鋼材である。該公報には、低熱処理歪み特性について
は、言及されていない。また、該公報には、捩り強度は
記載されているが、捩り疲労強度は記載されていない。
やはり、該鋼材も正味の高周波焼入れ性が不足し、高周
波焼入れ部の硬さの不足や、硬さムラの発生が問題とな
り、捩り疲労強度等は十分ではない場合が起きると考え
られる。また、N量またはSi量が高いために、冷間加
工性が良くないと考えられる。
幅広く適用されていないのが現状である。
た鋼材では、高周波焼入れ性は不十分であり、また高周
波焼入れ後の強度特性と低熱処理歪み特性が不足すると
考えられる。本発明はこのような問題を解決して、高強
度特性と低熱処理歪み特性に優れた高周波焼入れ用鋼材
とその製造方法を提供するものである。
を用いて上記の課題を解決した。すなわち、本発明の請
求項1〜3の発明は、C:0.38超〜0.58%、S
i:0.01〜0.15%、Mn:0.85〜1.7
%、S:0.005〜0.15%、Cr:0.35%以
下(0%を含む)、B:0.0005〜0.005%、
Al:0.015〜0.05%、N:0.007%未満
(0%を含む)を含有し、TiをN含有量に応じて、
0.015〜3.4N+0.02%の範囲含有し、P:
0.025%以下(0%を含む)、O:0.0025%
以下(0%を含む)に各々制限し、または必要に応じて
さらに、Mo:0.02〜0.3%、Ni:0.02〜
1.0%のうち1種または2種を含有し、または必要に
応じてさらに、Nb:0.002〜0.035%、V:
0.03〜0.4%のうち1種または2種を含有し、残
部が鉄および不可避的不純物からなり、かつ、ミクロ組
織は実質的にフェライト・パーライト組織であり、フェ
ライト結晶粒径が25μm以下であり、熱間圧延方向に
平行な断面の組織のフェライトバンドの評点が1〜5で
あることを特徴とする高強度特性と低熱処理歪み特性に
優れた高周波焼入れ用鋼材である。
成分の鋼を、加熱温度を1050℃以上、熱間圧延の仕
上げ温度を750〜1000℃、熱間圧延に引き続いて
750〜500℃の温度範囲を1℃/秒以下の冷却速度
で徐冷する条件により線材または棒鋼に熱間加工し、熱
間加工後のミクロ組織が実質的にフェライト・パーライ
ト組織であり、フェライト結晶粒径が25μm以下であ
り、熱間圧延方向に平行な断面の組織のフェライトバン
ドの評点が1〜5である鋼材となるようにすることを特
徴とする高強度特性と低熱処理歪み特性に優れた高周波
焼入れ用鋼材の製造方法である。
り、高周波焼入れ後に高強度特性と低熱処理歪み特性に
優れた製品得ることができる。
の製造において、高周波焼入れ後に優れた高強度特性と
低熱処理歪み特性を実現するために、鋭意調査し、次の
点を明らかにした。
現するためには、上記のように硬化層の硬さムラを低減
することがポイントであり、そのためには正味の高周波
焼入れ性を高くすることが重要である。通常の炉加熱の
場合の焼入れ性に比較して、高周波焼入れ性は急速加熱
のために、前組織の影響を大きく受ける。粗大なフェラ
イトがフェライトバンドとして列状に存在すると、炭化
物の溶体化が不十分であり、高周波焼入れ後、硬さ不足
や硬さムラを生じる。図1は、高周波焼入れ前の組織に
フェライトバンドが存在すると、高周波焼入れ後にどの
ような影響がでるかを模式的に表した図である。フェラ
イトバンドが顕著であると、図1に示したように、高周
波焼入れ後、元々パーライト組織の部分が高炭素マルテ
ンサイト、元々フェライトバンドの部分が低炭素マルテ
ンサイトとなり、硬い層と軟らかい層が軸方向に沿って
層状に存在することになる。このような鋼材に、捩り応
力を負荷した場合、軸方向が剪断応力最大の方向になる
ため、軟らかい低炭素マルテンサイト層にそって、剪断
き裂が発生・伝播し、低強度での破壊を招く。歯車のよ
うな曲げ応力が作用する場合も同様で、歯元において、
低炭素マルテンサイト層に沿って、曲げ応力によるき裂
が発生・伝播する。さらに、フェライト粒径が粗大なほ
ど炭素の拡散距離が長くなり、上記の硬さムラは顕著に
なるため、硬さムラの防止と硬化層深さを深くするため
には、フェライト粒径の微細化も重要である。以上か
ら、フェライトの結晶粒径をある値以下に制限し、フェ
ライトバンドを抑制することが必須である。従来技術の
項で示した特開平5−179400号公報、特開平3−
177537号公報には、上記のようなフェライトバン
ドに関する規定がないために、高周波焼入れ部の硬さの
不足や、硬さムラの発生が問題となり、捩り疲労強度等
の強度特性は十分ではない場合が起きるものと考えられ
る。ここで、フェライトバンドの程度は、図2に示すよ
うに、昭和45年社団法人日本金属学会発行「日本金属
学会誌第34巻第9号第961頁」において1〜7の7
段階に評点化されている。すなわち、上記の日本金属学
会誌第34巻第9号の第957頁〜962頁には、標題
のとおり「フェライト縞状組織におよぼすオーステナイ
ト結晶粒度と鍛造比の影響について」が記載されてお
り、第961頁左欄第7〜8行には「縞状組織の程度を
数量的に表示するために、Photo.4の基準写真を
作成した。」と記載されており、同頁の「Photo.
4Classifications of ferri
te bands (×50×2/3×5/6)」には
1〜7の基準写真が掲載されている。該評点では、評点
の番号が小さいほどフェライトバンドが軽微であり、評
点の番号が大きいほどフェライトバンドが顕著であるこ
とを示している。高周波焼入れ後の硬さムラを抑制する
ためには、熱間圧延方向に平行な断面の組織の、上記の
日本金属学会誌第34巻第961頁で定義されたフェラ
イトバンドの評点が1〜5であることが必要である。
度を軽減するためには、熱間加工時の加熱温度を105
0℃以上と高めに設定し、圧延後の仕上げ温度・冷却条
件を最適化すれば良い。
さムラを低減するためには、Crの含有量を低減し、M
nの含有量を高くして焼入れ性を確保するとさらに有効
である。
させるためには、旧オーステナイト粒界の粒界強化がポ
イントである。旧オーステナイト粒界の粒界強化には、
低P化、B添加が有効である。
や冷鍛等の冷間加工により製造されるために、冷間加工
性の確保も重要な課題である。素材の段階で硬さの向上
を抑えて、高周波焼入れ性を向上させるためには、Si
の低減とBの添加が有効である。Bを焼入れ性に効かせ
るためには、固溶Nの固定が必要であり、そのために通
常Tiを添加する。ここで、TiN、Ti(CN)は、
冷間加工性を劣化させる。つまり、TiN、Ti(C
N)による析出硬化により冷間変形抵抗がアップすると
ともに、冷鍛割れの原因となる。そのため、N量を0.
007%以下に低減する。さらに、固溶Nを固定するた
めに添加するTi量もN量に対応して、必要最小限とす
ることが必要である。また、酸化物系介在物は冷間鍛造
性を劣化させるので酸素量を特定量以下に制限する必要
がある。
間加工性を確保するためには、圧延ままで、実質的にベ
イナイト組織を含まないフェライト・パーライト組織と
することが必要である。熱間加工後の鋼材にベイナイト
組織の生成を抑えて実質的にフェライト・パーライト組
織を得るためには、圧延後の仕上げ温度・冷却条件を最
適化する必要がある。
なされたものである。
素であるが、0.38%以下では必要な強さを確保する
ことができず、0.58%を越えると硬くなって冷間加
工性が劣化するので、0.38超〜0.58%の範囲内
にする必要がある。好適範囲は0.4〜0.56%であ
る。
に、鋼に必要な強度、焼入れ性を与え、焼戻し軟化抵抗
を向上するのに有効な元素であるが、0.01%未満で
はその効果は不十分である。一方、0.15%を越える
と、硬さの上昇を招き冷間加工性が劣化する。以上の理
由から、その含有量を0.01〜0.15%の範囲内に
する必要がある。好適範囲は0.03〜0.1%であ
る。
素である。高強度特性と低熱処理歪み特性を重視して、
十分な焼入れ性を確保するためには、0.85%未満で
はその効果は不十分である。一方、1.7%を越える
と、硬さの顕著な上昇を招き冷間加工性が劣化するの
で、0.85%〜1.7%の範囲内にする必要がある。
好適範囲は0.85〜1.4%である。
削性の向上を目的として添加するが、0.005%未満
ではその効果は不十分である。一方、0.15%を超え
るとその効果は飽和し、むしろ粒界偏析を起こし粒界脆
化を招く。以上の理由から、Sの含有量を0.005〜
0.15%の範囲内にする必要がある。好適範囲は0.
005〜0.04%である。
る。但し、Crはセメンタイト中に固溶してセメンタイ
トを安定化する。そのために、高周波焼入れの短時間加
熱時にセメンタイトの溶け込み不良を起こしやすくな
り、硬さムラの原因となる。この挙動は、特に0.35
%を超えると顕著になる。以上の理由から、その含有量
を0.35%以下(0%を含む)に制限する必要があ
る。好適範囲は0.15%以下である。
鋼・線材圧延において、圧延後の冷却過程でボロン鉄炭
化物を生成することにより、フェライトの成長速度を増
加させ、圧延ままでの軟質化を促進する。高周波焼入
れに際して、鋼に焼入れ性を付与する。高周波焼入れ
材の粒界強度を向上させることにより、機械部品として
の疲労強度・衝撃強度を向上させる。0.0005%未
満の添加では、上記の効果は不十分であり、0.005
%を超えるとその効果は飽和するので、その含有量を
0.0005〜0.005%の範囲内にする必要があ
る。好適範囲は0.001〜0.003%である。
%未満ではその効果は不十分である。一方、0.05%
を越えると、AlNが圧延加熱時に溶体化しないで残存
し、Tiの析出物の析出サイトとなり、冷間加工性を劣
化させる。以上の理由から、その含有量を0.015〜
0.05%の範囲内にする必要がある。好適範囲は0.
02〜0.04%である。
とが望ましい。Bは上記のように焼入れ性向上、粒界
強化等を目的として添加するが、これらのBの効果は鋼
中で固溶Bの状態で初めて効果を発現するため、N量を
低減してBNの生成を抑制することが必須である。ま
た、Nは鋼中のTiと結びつくと粗大なTiNを生成
し、硬さを増加させるとともに、TiNが冷鍛割れの原
因となるため、冷間加工性が顕著に劣化する。上記の悪
影響はN量が0.007%以上の場合特に顕著である。
以上の理由から、その含有量を0.007%未満(0%
を含む)に制限する必要がある。好適範囲は0.005
%以下である。
るが、これによる固溶Nの固定によるBNの析出防止、
つまり固溶Bの確保を目的として添加する。しかしなが
ら、0.015%未満ではその効果は不十分である。一
方、TiをN含有量に応じて、3.4N+0.02%を
超えて添加すると、TiCによる析出硬化が顕著にな
り、冷間加工性が顕著に劣化する。以上の理由から、そ
の含有量をN含有量に応じて、0.015〜3.4N+
0.02%の範囲内にする必要がある。好適範囲は、
0.02〜3.4N+0.015%である。
劣化させる元素であるため、冷間加工性が劣化する。ま
た、高周波焼入れ、焼戻し後の部品の結晶粒界を脆化さ
せることによって、最終製品の疲労強度を劣化させるの
でできるだけ低減することが望ましい。従ってその含有
量を0.025%(0%を含む)以下に制限する必要が
ある。好適範囲は0.015%以下である。
系介在物を形成する。酸化物系介在物が鋼中に多量に存
在すると、冷間加工性が劣化する。O含有量が0.00
25%を超えると特にその傾向が顕著になる。以上の理
由から、その含有量を0.0025%以下(0%を含
む)に制限する必要がある。好適範囲は0.002%以
下である。
の1種又は2種を含有する。
に、高周波焼入れ後の粒界強度を向上させて強度特性を
増加させるのに有効な元素であるが、0.02%未満で
はその効果は不十分であり、0.3%を越えて添加する
と硬さの上昇を招き冷間加工性が劣化する。以上の理由
から、その含有量を0.02〜0.3%の範囲内にする
必要がある。
効な元素であるが、0.02%未満ではその効果は不十
分であり、1.0%を越えて添加すると硬さの上昇を招
き冷間鍛造性が劣化する。以上の理由から、その含有量
を0.02〜1.0%の範囲内にする必要がある。
1種又は2種を含有する。
N)を形成し、結晶粒の微細化および析出硬化による芯
部硬さの増加に有効な元素である。0.002%未満で
はその効果は不十分である。一方、0.035%を超え
ると、素材の硬さが硬くなって冷間加工性が劣化すると
ともに、棒鋼・線材圧延加熱時の溶体化が困難になる。
以上の理由から、その含有量を0.002〜0.035
%の範囲内にする必要がある。好適範囲は、0.005
〜0.03%である。
る。0.03%未満ではその効果は不十分である。一方
0.4%を超えると、素材の硬さが硬くなって冷間加工
性が劣化するとともに、棒鋼・線材圧延加熱時の溶体化
が困難になる。以上の理由から、その含有量を0.03
〜0.4%の範囲内にする必要がある。好適範囲は、
0.05〜0.3%である。
織が実質的にフェライト・パーライト組織であり、フェ
ライト結晶粒径を25μm以下に制限し、かつ熱間圧延
方向に平行な断面の組織のフェライトバンドの評点が1
〜5の範囲に制限する。フェライトバンドの評点は、上
記のように日本金属学会誌第34巻第961頁で定義さ
れた評点である。本発明において、組織因子をこのよう
に限定した理由を以下に述べる。
ト組織としたのは、ミクロ組織にベイナイトやマルテン
サイト組織のような硬質組織が混入すると、冷間加工性
が顕著に劣化し、冷間鍛造や切削が困難になるためであ
る。
に、高周波焼入れ前の組織のフェライトが粗大である
と、フェライトの部分は、オーステナイト化後、炭素の
拡散が不十分であり、炭素濃度が添加炭素濃度よりも低
くなり、焼入れ後、その位置での硬さが小さくなる。こ
こで、一般的に熱間圧延後の鋼材の圧延方向に平行な断
面ではフェライトバンドと呼ばれる縞状組織が認められ
る。粗大なフェライトがフェライトバンドとして列状に
連続して存在すると、図1に示したように、焼入れ後の
硬さムラが特に顕著になり、長手方向に元のフェライト
バンドに対応して硬さの軟らかいバンドを形成する。そ
のため、最終部品に捩りモーメントを負荷した時に、こ
の軟質なバンドに沿って剪断き裂力が生成し、低い強度
で破壊する。以上の現象は、フェライト粒径が25μm
を超え、フェライトバンドの評点が5を超えると特に顕
著になる。以上の理由から、フェライト結晶粒径を25
μm以下に制限し、かつ熱間圧延方向に平行な断面の組
織のフェライトバンドの評点が1〜5とした。好適範囲
は、フェライト結晶粒径を20μm以下、熱間圧延方向
に平行な断面の組織のフェライトバンドの評点が1〜4
の範囲である。なお、本発明で言うフェライト粒径と
は、フェライトの形態が粒状の場合はその円相当径に相
当し、またフェライトの形態が板状の場合はその幅に相
当する。
050℃以上、熱間圧延の仕上げ温度を750〜100
0℃、熱間圧延に引き続いて750〜500℃の温度範
囲を1℃/秒以下の冷却速度で徐冷する条件で線材また
は棒鋼に熱間加工する。
は、次の理由による。加熱温度が1050℃未満では、
フェライトバンドの評点が5を超えるほどにフェライト
バンドが顕著になり、その後の高周波焼入れ後の硬さム
ラが増大する。また、加熱温度が1050℃未満では、
加熱時にTiCが溶体化できずTi(CN)として粗大
化し、冷間加工性を劣化させる。そのため、熱間加工に
際して、1050℃以上の温度で加熱することが必要で
ある。好適範囲は1100℃以上である。特に、Nb添
加鋼において、高周波焼入れ後のオーステナイト粒度を
10番以上に微細化して高強度化を図るためには、加熱
温度を1100℃以上とするのが望ましい。
000℃とするのは次の理由による。仕上げ温度が75
0℃未満では、フェライトバンドが評点5を超えるほど
に顕著になり、その後の高周波焼入れ後の硬さムラが増
大する。一方、仕上げ温度が1000℃を超えると、圧
延材の硬さが硬くなって冷間加工性が劣化する。以上の
理由から、熱間圧延の仕上げ温度を750〜1000℃
とする。好適範囲は800〜960℃である。
0℃の温度範囲を1℃/秒以下の冷却速度で徐冷するの
は次の理由による。冷却速度が1℃/sを越えると、圧
延ままでの硬さの増加が顕著になり、冷間加工性が劣化
する。そのため、冷却速度1℃/秒以下に制限する。好
適範囲は0.7℃/s以下である。なお、冷却速度を小
さくする方法としては、圧延ラインの後方に保温カバー
または熱源付き保温カバーを設置し、これにより、徐冷
を行う方法が挙げられる。
速度、分塊圧延条件については特に限定するものではな
く、本発明の要件を満足すればいずれの条件でも良い。
に具体的に示す。
鋳造し、必要に応じて分塊圧延工程を経て162mm角
の圧延素材とした。比較鋼No.kはJISのS40C
であり、No.lはJISのS53Cである。続いて、
熱間加工により、直径36〜45mmの棒鋼を製造し
た。熱間圧延後の冷却は、一部の材料は空冷、また一部
の材料は冷却床に設置した保温カバーを用いて冷却速度
を空冷よりも遅くした。
ト結晶粒度、圧延方向に平行な断面のフェライトバンド
の評点を求めた。
定した。切削性は硬さに比例することから、硬さを切削
性の指標とした。さらに、圧延ままの棒鋼から、据え込
み試験片を作成し、冷間加工性の指標として、冷間変形
抵抗と限界据え込み率を求めた。冷間変形抵抗は相当歪
み1.0における変形抵抗で代表させた。
料についても、上記の要領で硬さと冷鍛性の評価を行っ
た。
静的捩り試験片、捩り疲労試験片を採取した。静的捩り
試験片、捩り疲労試験片について周波数8.5kHz、
最高加熱温度950℃の条件で高周波焼入れを行い、そ
の後170℃×1時間の条件で焼戻しを行った。なお、
比較例37、38については、最高加熱温度1030℃
の条件で高周波焼入れを行った。その後、静的捩り試
験、捩り疲労試験を行った。捩り疲労特性は1×105
サイクルでの時間強度で評価した。
00mmの試験片を作成した。本試験片について、上記
の捩り試験片と同じ条件で高周波焼入れを行い、その後
170℃×1時間の条件で焼戻しを行った。その後、試
験片の中央部の振れ量を測定することにより、高周波焼
入れによる熱処理歪み量を測定した。
て表2、3に示す。高周波焼入れ材の硬化層深さは、H
V450の深さtと半径rの比で表示した。
た比較例38はJISのS53Cの特性である。本発明
例の0.4〜0.42%C鋼については比較例37と、
本発明例の0.47〜0.54%C鋼については比較例
38と比較すると、本発明例の冷間変形抵抗は概ね小さ
く、限界据え込み率は概ね優れており、また硬さは概ね
小さい。つまり、本発明例の冷間加工性は、比較例3
7、38に比較して優れている。球状化焼鈍材について
も同様のことが言える。一方、本発明例は、比較例3
7、38に比較して高周波焼入れ時の最高加熱温度を低
めに設定しているが、それにもかかわらず、本発明例の
高周波焼入れ材の静的捩り強度、捩り疲労強度は比較例
37、38に比較してともに優れている。熱処理歪みも
小さい。
有量が本発明規定の範囲を下回った場合であり、高周波
焼入れ材の硬化層硬さが低く、強度特性が不足する。比
較例28はCの含有量が本発明規定の範囲を上回った場
合であり、比較例29はSiの含有量が本発明規定の範
囲を上回った場合であり、本発明例に比較して、硬く、
冷間加工性が劣る。比較例30はMnの含有量が本発明
規定の範囲を下回った場合であり、高周波焼入れ材の硬
化層深さが浅く、硬さムラも大きく、強度特性が不足す
る。比較例31はMnの含有量が本発明規定の範囲を上
回った場合であり、本発明例に比較して、硬く、冷間加
工性が劣る。比較例32はCrの含有量が本発明規定の
範囲を上回った場合であり、本発明例に比較して硬く、
また高周波焼入れ後の硬さムラも大きく、熱処理歪みも
大きい。
囲を上回った場合であり、冷鍛性の限界圧縮率が顕著に
劣る。比較例31はTiの含有量が本発明規定の範囲を
上回った場合であり、硬く、冷間変形抵抗は高く、限界
圧縮率も顕著に劣る。
囲を上回った場合であり、冷鍛性の限界圧縮率が劣化す
るとともに、高周波焼入れ後の強度特性が不足する。比
較例36はOの含有量が本発明規定の範囲を上回った場
合であり、冷鍛性の限界圧縮率が顕著に劣る。
本発明規定の範囲を下回り、圧延方向に平行な断面のフ
ェライトバンドの評点が本発明規定の範囲を上回った場
合であり、また、比較例40は熱間圧延時の仕上げ温度
が本発明規定の範囲を下回り、圧延方向に平行な断面の
フェライトバンドの評点が本発明規定の範囲を上回った
場合であり、ともに高周波焼入れ材の硬化層の硬さムラ
が大きく、静的捩り強度、捩り疲労強度ともに顕著に劣
っている。比較例41は、熱間圧延仕上げ温度が本発明
規定の範囲を上回った場合であり、比較例42は熱間圧
延に引き続く冷却速度が本発明規定の範囲を上回った場
合であり、ともに、ベイナイトを生成し、冷間加工性が
顕著に劣る。比較例43は、フェライト結晶粒径が本発
明規定の範囲を上回った場合であり、高周波焼入れ材の
硬化層の硬さムラが大きく、静的捩り強度、捩り疲労強
度ともに顕著に劣っている。
れた高周波焼入れ用鋼材とその製造方法を用いれば、高
強度高周波焼入れ部品の製造に際して、高周波焼入れ後
の硬さムラが低減でき、優れた強度特性と低熱処理歪み
特性を有する製品を得ることができる。本発明鋼を用い
ることによって、5〜40kHzの周波数で高周波焼入
れすることにより製造される歯車類やシャフト類の高強
度化が可能になる。以上のように、本発明による産業上
の効果は極めて顕著なるものがある。
波焼入れ後に及ぼす影響を示す図である。
顕微鏡写真である(倍率:28倍)。
Claims (4)
- 【請求項1】 重量%で、C:0.38超〜0.58
%、Si:0.01〜0.15%、Mn:0.85〜
1.7%、S:0.005〜0.15%、Cr:0.3
5%以下(0%を含む)、B:0.0005〜0.00
5%、Al:0.015〜0.05%、N:0.007
%未満(0%を含む)を含有し、TiをN含有量に応じ
て、0.015〜3.4N+0.02%の範囲含有し、
P:0.025%以下(0%を含む)、O:0.002
5%以下(0%を含む)に各々制限し、残部が鉄および
不可避的不純物からなり、かつ、ミクロ組織は実質的に
フェライト・パーライト組織であり、フェライト結晶粒
径が25μm以下であり、熱間圧延方向に平行な断面の
組織のフェライトバンドの評点が1〜5であることを特
徴とする高強度特性と低熱処理歪み特性に優れた高周波
焼入れ用鋼材。 - 【請求項2】 さらに、重量%で、Mo:0.02〜
0.3%、Ni:0.02〜1.0%のうち1種または
2種を含有することを特徴とする請求項1記載の高強度
特性と低熱処理歪み特性に優れた高周波焼入れ用鋼材。 - 【請求項3】 さらに、重量%で、Nb:0.002〜
0.035%、V:0.03〜0.4%のうち1種また
は2種を含有することを特徴とする請求項1または請求
項2記載の高強度特性と低熱処理歪み特性に優れた高周
波焼入れ用鋼材。 - 【請求項4】 請求項1から請求項3のいずれかに記載
の成分の鋼を、加熱温度を1050℃以上、熱間圧延の
仕上げ温度を750〜1000℃、熱間圧延に引き続い
て750〜500℃の温度範囲を1℃/秒以下の冷却速
度で徐冷する条件により線材または棒鋼に熱間加工し、
熱間加工後のミクロ組織が実質的にフェライト・パーラ
イト組織であり、フェライト結晶粒径が25μm以下で
あり、熱間圧延方向に平行な断面の組織のフェライトバ
ンドの評点が1〜5である鋼材となるようにすることを
特徴とする高強度特性と低熱処理歪み特性に優れた高周
波焼入れ用鋼材の製造方法。
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