JPH11237375A - 光学活性物質分析用化合物およびそれを用いる光学活性物質の分析法 - Google Patents
光学活性物質分析用化合物およびそれを用いる光学活性物質の分析法Info
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- JPH11237375A JPH11237375A JP10054266A JP5426698A JPH11237375A JP H11237375 A JPH11237375 A JP H11237375A JP 10054266 A JP10054266 A JP 10054266A JP 5426698 A JP5426698 A JP 5426698A JP H11237375 A JPH11237375 A JP H11237375A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 光学活性物質のD体またはL体を簡便に判別
し得る分析用化合物およびそれを用いる分析法を提供す
る。 【解決手段】 レゾルシノール構造を含有する分子(好
ましくはレゾルシノールまたは置換レゾルシノール)が
疎水基(好ましくは炭素数1から19の直鎖状または分子
鎖状のアルキル基またはアリール基)を介して環状4量
体を形成している化合物を用いる。この化合物と光学活
性物質とから固相反応により分子錯体を形成し、該分子
錯体を例えば円二色性分光法により固相中で分析する。
発色基を有しない光学活性物質のD体またはL体の判別
を行うこともできる。
し得る分析用化合物およびそれを用いる分析法を提供す
る。 【解決手段】 レゾルシノール構造を含有する分子(好
ましくはレゾルシノールまたは置換レゾルシノール)が
疎水基(好ましくは炭素数1から19の直鎖状または分子
鎖状のアルキル基またはアリール基)を介して環状4量
体を形成している化合物を用いる。この化合物と光学活
性物質とから固相反応により分子錯体を形成し、該分子
錯体を例えば円二色性分光法により固相中で分析する。
発色基を有しない光学活性物質のD体またはL体の判別
を行うこともできる。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光学活性物質のD
体とL体を判別するのに使用される化合物、および該化
合物を用いる光学活性物質の分析法に関する。
体とL体を判別するのに使用される化合物、および該化
合物を用いる光学活性物質の分析法に関する。
【0002】
【従来の技術とその課題】糖やアミノ酸で代表される光
学活性物質には、互いに鏡像体の関係にあるD体とL体
とからなる光学異性体が存在する。この光学活性物質
(光学活性分子)の構造決定分析(D体およびL体の判
別)は、医薬品、食品、香料の分野など人間生活に直接
関わる重要な分野である。例えば、ある光学活性な分子
の一方の鏡像体は薬理活性を有するがその他方の鏡像体
は毒として機能する例も少なくないからである。サリド
マイド渦は記憶に古くない。現在用いられている簡便な
構造決定分析法は、分子の円二色性分光法のスペクトル
解析による。しかし円二色性分光法が対象とできる分子
は、分子内に芳香核などの発色基(クロモフォア)が二
つ以上必須であることから限られた分子にしか適用でき
ない。また対象とする分子の単結晶を作成しそのX線構
造解析を行うことで構造を決定できるが、非常に多くの
段階を経ねばならず装置も大型で高価なため実用的でな
い。
学活性物質には、互いに鏡像体の関係にあるD体とL体
とからなる光学異性体が存在する。この光学活性物質
(光学活性分子)の構造決定分析(D体およびL体の判
別)は、医薬品、食品、香料の分野など人間生活に直接
関わる重要な分野である。例えば、ある光学活性な分子
の一方の鏡像体は薬理活性を有するがその他方の鏡像体
は毒として機能する例も少なくないからである。サリド
マイド渦は記憶に古くない。現在用いられている簡便な
構造決定分析法は、分子の円二色性分光法のスペクトル
解析による。しかし円二色性分光法が対象とできる分子
は、分子内に芳香核などの発色基(クロモフォア)が二
つ以上必須であることから限られた分子にしか適用でき
ない。また対象とする分子の単結晶を作成しそのX線構
造解析を行うことで構造を決定できるが、非常に多くの
段階を経ねばならず装置も大型で高価なため実用的でな
い。
【0003】発色基を持たない分子を解析するために、
発色基を持たない分子と発色基を持つ分子とを、水素結
合などの弱い化学結合を介し分子錯体を形成させる方法
は従来からもいくつか知られているが、いずれの方法も
毒性の高い有機溶媒を錯体形成時の用いる溶液反応であ
り、あるいは錯体形成の効率が非常に低いため大量の試
料が必要となることなどから、現実的な応用は困難であ
った。
発色基を持たない分子と発色基を持つ分子とを、水素結
合などの弱い化学結合を介し分子錯体を形成させる方法
は従来からもいくつか知られているが、いずれの方法も
毒性の高い有機溶媒を錯体形成時の用いる溶液反応であ
り、あるいは錯体形成の効率が非常に低いため大量の試
料が必要となることなどから、現実的な応用は困難であ
った。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者は、このたび、
糖分子などの光学活性物質の粉末とレゾルシノール構造
を含有する化合物の粉末とを固体状態で混合させること
により、固相反応により安定な分子錯体を簡単に製造で
き、これを利用することにより光学活性物質を分析し得
ることを見出し、本発明を導き出した。
糖分子などの光学活性物質の粉末とレゾルシノール構造
を含有する化合物の粉末とを固体状態で混合させること
により、固相反応により安定な分子錯体を簡単に製造で
き、これを利用することにより光学活性物質を分析し得
ることを見出し、本発明を導き出した。
【0005】すなわち、本発明は、レゾルシノール構造
を含有する分子が疎水鎖を介して環状4量体を形成して
いる化合物から成り、光学活性物質のD体またはL体の
判別に用いられることを特徴とする光学活性物質分析用
化合物を提供する。本発明の光学活性物質分析用化合物
として好ましいのは、レゾルシノール構造を含有する分
子がレゾルシノールまたは置換レゾルシノールであり、
疎水鎖が炭素数1から19の直鎖状または分枝鎖状のアル
キル基またはアリール基である化合物である。
を含有する分子が疎水鎖を介して環状4量体を形成して
いる化合物から成り、光学活性物質のD体またはL体の
判別に用いられることを特徴とする光学活性物質分析用
化合物を提供する。本発明の光学活性物質分析用化合物
として好ましいのは、レゾルシノール構造を含有する分
子がレゾルシノールまたは置換レゾルシノールであり、
疎水鎖が炭素数1から19の直鎖状または分枝鎖状のアル
キル基またはアリール基である化合物である。
【0006】本発明は、さらに、レゾルシノール構造が
疎水鎖を介して環状4量体を形成している化合物と光学
活性物質とから固相反応により分子錯体を形成し、該分
子錯体を分析して前記光学活性物質のD体またはL体を
判別することを特徴とする光学活性物質の分析法を提供
する。本発明の方法は、一般に、円二色性分光法により
固相中で分子錯体の分析を行うことにより実施される。
本発明の方法は、発色基を有しない光学活性物質に対し
ても適用される。
疎水鎖を介して環状4量体を形成している化合物と光学
活性物質とから固相反応により分子錯体を形成し、該分
子錯体を分析して前記光学活性物質のD体またはL体を
判別することを特徴とする光学活性物質の分析法を提供
する。本発明の方法は、一般に、円二色性分光法により
固相中で分子錯体の分析を行うことにより実施される。
本発明の方法は、発色基を有しない光学活性物質に対し
ても適用される。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明において用いるレゾルシノ
ール構造を含有する分子が疎水鎖を介して環状4量体を
形成している化合物とは、一般的に、次の式(A)で表
すことができるものである。
ール構造を含有する分子が疎水鎖を介して環状4量体を
形成している化合物とは、一般的に、次の式(A)で表
すことができるものである。
【0008】
【化1】
【0009】式(A)中、Xは、一般的には水素または
水酸基(OH)である。すなわち、本発明の化合物は、
一般的には、レゾルシノール環状4量体(X:H)また
はピロガロール環状4量体(X:OH)から構成され
る。しかしながら、Xは、後述するような錯体の安定性
を阻害しない限り、4個のXの一部または全部が、他の
官能基または原子団であってもよく、例えば、メチル基
のような炭素数1〜12のアルキル基、または塩素、臭
素、ヨウ素のようなハロゲンであってもよい。また、錯
体の形成を阻害しない限り、レゾルシノール構造の水酸
基(OH)の一部が他の官能基(例えば、アルキル基、
アシル基、ベンジル基など)によって置換されていても
よい。
水酸基(OH)である。すなわち、本発明の化合物は、
一般的には、レゾルシノール環状4量体(X:H)また
はピロガロール環状4量体(X:OH)から構成され
る。しかしながら、Xは、後述するような錯体の安定性
を阻害しない限り、4個のXの一部または全部が、他の
官能基または原子団であってもよく、例えば、メチル基
のような炭素数1〜12のアルキル基、または塩素、臭
素、ヨウ素のようなハロゲンであってもよい。また、錯
体の形成を阻害しない限り、レゾルシノール構造の水酸
基(OH)の一部が他の官能基(例えば、アルキル基、
アシル基、ベンジル基など)によって置換されていても
よい。
【0010】レゾルシノール環状4量体とピロガロール
環状4量体では、レゾルシノール環状4量体の方が錯体
を形成し易い傾向を有する。すなわち、本発明の化合物
として好ましいのは、レゾルシノール構造を含有する分
子がレゾルシノールまたは置換レゾルシノールであるも
のである。
環状4量体では、レゾルシノール環状4量体の方が錯体
を形成し易い傾向を有する。すなわち、本発明の化合物
として好ましいのは、レゾルシノール構造を含有する分
子がレゾルシノールまたは置換レゾルシノールであるも
のである。
【0011】また、式(A)中、Rは、レゾルシノール
構造の間に介在する疎水性の官能基(疎水鎖)を表し、
一般的には、Rは、炭素数1〜19の直鎖状または分子鎖
状のアルキル基またはアリール基が好ましく、例えば、
ウンデシル基、トリデシル基、ヘブタデシル基、オクタ
デシル基、ナノデシル基等が例示される他、メチル基、
エチル基のような低級アルキル基でもよい。
構造の間に介在する疎水性の官能基(疎水鎖)を表し、
一般的には、Rは、炭素数1〜19の直鎖状または分子鎖
状のアルキル基またはアリール基が好ましく、例えば、
ウンデシル基、トリデシル基、ヘブタデシル基、オクタ
デシル基、ナノデシル基等が例示される他、メチル基、
エチル基のような低級アルキル基でもよい。
【0012】本発明の上述の4量体化合物は、図1に示
すように、既知の合成法に従い、レゾルシノール構造を
含有する原料単量体(1)(例えば、レゾルシノールま
たはピロガロール)を酸性条件下に、一般式R−CHO
で表されるアルデヒド(2)と縮合反応させ環状4量化
することによって得られる。反応は、一般に、窒素雰囲
気下に60℃〜80℃において8〜12時間行われる。
すように、既知の合成法に従い、レゾルシノール構造を
含有する原料単量体(1)(例えば、レゾルシノールま
たはピロガロール)を酸性条件下に、一般式R−CHO
で表されるアルデヒド(2)と縮合反応させ環状4量化
することによって得られる。反応は、一般に、窒素雰囲
気下に60℃〜80℃において8〜12時間行われる。
【0013】本発明者は、このようにして得られ式
(A)で表される化合物は、糖類やアミノ酸類あるいは
その他の極性分子などの生体に関連する重要な光学活性
物質と固相中で安定性のきわめて優れた分子錯体を簡単
に形成することを見出した。水素結合などの弱い化学結
合を介する2成分系から成る分子錯体を生成するにはこ
れまでに幾つかの方法が案出されているが、そのほとん
どは有毒な有機溶媒を多量に用いる。例えば、糖類と錯
体形成能を有する分子をクロロホルムや四塩化炭素など
のハロゲン系の溶媒に溶解させ、それと糖の水溶液ある
いは固体状の糖と接触させることにより反応させ錯体を
形成する方法が提案されている。本発明の化合物を用い
れば、このように有毒な有機溶媒を含む溶液を一切使う
ことなく、簡単固相中で反応を進行させ錯体形成を可能
にした。
(A)で表される化合物は、糖類やアミノ酸類あるいは
その他の極性分子などの生体に関連する重要な光学活性
物質と固相中で安定性のきわめて優れた分子錯体を簡単
に形成することを見出した。水素結合などの弱い化学結
合を介する2成分系から成る分子錯体を生成するにはこ
れまでに幾つかの方法が案出されているが、そのほとん
どは有毒な有機溶媒を多量に用いる。例えば、糖類と錯
体形成能を有する分子をクロロホルムや四塩化炭素など
のハロゲン系の溶媒に溶解させ、それと糖の水溶液ある
いは固体状の糖と接触させることにより反応させ錯体を
形成する方法が提案されている。本発明の化合物を用い
れば、このように有毒な有機溶媒を含む溶液を一切使う
ことなく、簡単固相中で反応を進行させ錯体形成を可能
にした。
【0014】すなわち、本発明に従いレゾルシノール構
造を含有する環状4量体化合物と糖類やアミノ酸類また
はその他の極性分子から成る光学活性物質とから構成さ
れる分子錯体は、本質的に、該化合物と光学活性物質と
を粉末状態で乳鉢中で撹拌するだけで、または両粉末に
超音波を照射し、または両粉末を震振させるだけで、生
成される。また、同様の分子錯体はレゾルシノール構造
を含有する環状4量体化合物のクロロホルム溶液と糖類
の水溶液を接触させることによっても生成するが、この
溶液同士の接触で分子錯体を得るためには、レゾルシノ
ール構造を含有する環状4量体化合物1モルに対し糖類
はおよそ数百倍から数千倍モル必要である。これに対
し、本発明に従う固相反応によれば、等モルから数倍モ
ル程度で分子錯体を生成することが可能である。また、
反応時間も、溶液の接触では数時間から半日程度必要な
のに対して、本発明の固体状態での反応では15分から30
分程度で反応は完結する。
造を含有する環状4量体化合物と糖類やアミノ酸類また
はその他の極性分子から成る光学活性物質とから構成さ
れる分子錯体は、本質的に、該化合物と光学活性物質と
を粉末状態で乳鉢中で撹拌するだけで、または両粉末に
超音波を照射し、または両粉末を震振させるだけで、生
成される。また、同様の分子錯体はレゾルシノール構造
を含有する環状4量体化合物のクロロホルム溶液と糖類
の水溶液を接触させることによっても生成するが、この
溶液同士の接触で分子錯体を得るためには、レゾルシノ
ール構造を含有する環状4量体化合物1モルに対し糖類
はおよそ数百倍から数千倍モル必要である。これに対
し、本発明に従う固相反応によれば、等モルから数倍モ
ル程度で分子錯体を生成することが可能である。また、
反応時間も、溶液の接触では数時間から半日程度必要な
のに対して、本発明の固体状態での反応では15分から30
分程度で反応は完結する。
【0015】さらに、固相反応を利用する本発明の特徴
の一つに多糖類およびアミノ酸類との錯体形成があげら
れる。レゾルシノール構造を含有する環状4量体化合物
は、溶液同士の接触では多糖類、例えばマルトースやサ
ッカロースと分子錯体を形成することはできなかったの
に対し、本発明に従う粉末同士の反応によると、このよ
うな光学活性物質に対しても分子錯体を形成することが
判明した。同様に溶液同士の接触では、アミノ酸との分
子錯体を形成することはできなかったのに対して、本発
明の粉末同士の反応によると分子錯体を形成することが
判明した。
の一つに多糖類およびアミノ酸類との錯体形成があげら
れる。レゾルシノール構造を含有する環状4量体化合物
は、溶液同士の接触では多糖類、例えばマルトースやサ
ッカロースと分子錯体を形成することはできなかったの
に対し、本発明に従う粉末同士の反応によると、このよ
うな光学活性物質に対しても分子錯体を形成することが
判明した。同様に溶液同士の接触では、アミノ酸との分
子錯体を形成することはできなかったのに対して、本発
明の粉末同士の反応によると分子錯体を形成することが
判明した。
【0016】このようにして得られる分子錯体は室温中
で固体状態のままであれば非常に安定で、何ヵ月でも錯
体の構造を維持している。さらに、非極性有機溶媒、例
えばヘキサンや流動パラフィンなどの炭化水素中には安
定に分散する。またクロロホルムや塩化メチレンなど中
程度の極性を有する溶媒中には、分子錯体の構造を保っ
たまま溶解する。極性溶媒、例えばエタノールやメタノ
ール中に溶解させると分子錯体は原料である成分に分解
する。
で固体状態のままであれば非常に安定で、何ヵ月でも錯
体の構造を維持している。さらに、非極性有機溶媒、例
えばヘキサンや流動パラフィンなどの炭化水素中には安
定に分散する。またクロロホルムや塩化メチレンなど中
程度の極性を有する溶媒中には、分子錯体の構造を保っ
たまま溶解する。極性溶媒、例えばエタノールやメタノ
ール中に溶解させると分子錯体は原料である成分に分解
する。
【0017】かくして、本発明に従えば、レゾルシノー
ル構造が疎水鎖を介して環状4量体を形成している化合
物と光学活性物とから得られる安定な分子錯体を利用し
これを分析することにより、その光学活性物質のD体ま
たはL体の判別を行うことができる。この分析には、レ
ゾルシノール構造を有する式(A)の化合物に光学活性
物質が結合して分子錯体が形成されたことを検出し得る
ような手段を用いればよい。例えば、得られる分子錯体
自体が光学活性な分子となることから、光学活性カラム
を用いるクロマトグラフィーによる分析などが考えられ
る。しかしながら、最も一般的に行われる光学活性物質
の構造決定分析(D体とL体の判別)は円二色性分光法
によるものである。
ル構造が疎水鎖を介して環状4量体を形成している化合
物と光学活性物とから得られる安定な分子錯体を利用し
これを分析することにより、その光学活性物質のD体ま
たはL体の判別を行うことができる。この分析には、レ
ゾルシノール構造を有する式(A)の化合物に光学活性
物質が結合して分子錯体が形成されたことを検出し得る
ような手段を用いればよい。例えば、得られる分子錯体
自体が光学活性な分子となることから、光学活性カラム
を用いるクロマトグラフィーによる分析などが考えられ
る。しかしながら、最も一般的に行われる光学活性物質
の構造決定分析(D体とL体の判別)は円二色性分光法
によるものである。
【0018】既述したように、エナンチオマーの構造決
定分析(光学活性物質のD体とL体の判別)は、創薬、
食品、香料などのあらゆる分野で必須となってくるが、
簡便な構造決定法である円二色性分光法は、これまで分
子内に2つ以上の発色基を持たない分子に適用すること
はできなかった。本発明に従えば、糖類や発色基を持た
ないアミノ酸類が、発色基としてのベンゼン核を4つ有
するレゾルシノール構造を含有する環状化合物と分子錯
体を形成することにより、分子錯体が全体として発色基
を有する光学活性な分子となることから、円二色性分光
法を適用でき、その誘起コットン効果の符号より分子錯
体内の糖分子あるいはアミノ酸分子の構造決定を行うこ
とが可能となった。
定分析(光学活性物質のD体とL体の判別)は、創薬、
食品、香料などのあらゆる分野で必須となってくるが、
簡便な構造決定法である円二色性分光法は、これまで分
子内に2つ以上の発色基を持たない分子に適用すること
はできなかった。本発明に従えば、糖類や発色基を持た
ないアミノ酸類が、発色基としてのベンゼン核を4つ有
するレゾルシノール構造を含有する環状化合物と分子錯
体を形成することにより、分子錯体が全体として発色基
を有する光学活性な分子となることから、円二色性分光
法を適用でき、その誘起コットン効果の符号より分子錯
体内の糖分子あるいはアミノ酸分子の構造決定を行うこ
とが可能となった。
【0019】すなわち、本発明によれば、レゾルシノー
ル構造を含有する環状4量体化合物と糖類やアミノ酸類
あるいはその他の極性分子から成る光学活性物質とから
構成される分子錯体を流動パラフィン中に分散させ、得
られた懸濁液を岩塩板に塗布し、その円二色性スペクト
ルと測定すると分子錯体が固体状態のままで円二色性ス
ペクトルを得ることができる。このスペクトルのパター
ン、すなわち誘起コットン効果の符号により、分子錯体
中の光学活性な糖、アミノ酸、あるいはその他の極性分
子の構造を決定することが可能となった。
ル構造を含有する環状4量体化合物と糖類やアミノ酸類
あるいはその他の極性分子から成る光学活性物質とから
構成される分子錯体を流動パラフィン中に分散させ、得
られた懸濁液を岩塩板に塗布し、その円二色性スペクト
ルと測定すると分子錯体が固体状態のままで円二色性ス
ペクトルを得ることができる。このスペクトルのパター
ン、すなわち誘起コットン効果の符号により、分子錯体
中の光学活性な糖、アミノ酸、あるいはその他の極性分
子の構造を決定することが可能となった。
【0020】かくして、本発明が適用される光学活性物
質としては、リボース、フルクトース、メチル−β−D
−グルコシド、マルトース、サッカロースなどの糖類、
アラニン、フェニルアラニン、バリン、ロイシン、イソ
ロイシンなどのアミノ酸、リンゴ酸、マンデル酸、置換
グルタル酸などの有機酸などで代表される極性分子を挙
げることができる。
質としては、リボース、フルクトース、メチル−β−D
−グルコシド、マルトース、サッカロースなどの糖類、
アラニン、フェニルアラニン、バリン、ロイシン、イソ
ロイシンなどのアミノ酸、リンゴ酸、マンデル酸、置換
グルタル酸などの有機酸などで代表される極性分子を挙
げることができる。
【0021】以上のような本発明を実施するに当たっ
て、レゾルシノール構造を含有する環状化合物と糖類や
アミノ酸類あるいはその他の極性分子とから分子錯体が
形成されることは、 1H−NMR、13C−NMR分光
法、赤外吸収分光法、固体NMR分光法などを用いる測
定により確認されている(後の実施例参照)。図2は、
本発明に従う種々の分子錯体を模式的に示したものであ
る。この分子錯体が、図に示されるようにレゾルシノー
ル構造を含有する環状化合物の4つのベンゼン核で形成
されたお椀状の空孔に、糖類やアミノ酸類あるいはその
他の極性分子が入り込んでいるような構造から成ること
は、 1H−NMR分光法によると分子錯体中の糖、アミ
ノ酸などのプロトンの共鳴の大きな高磁場シフトが見ら
れるからと示唆される。分子錯体中における、レゾルシ
ノール構造を含有する環状4量体化合物と糖類やアミノ
酸類あるいはその他の極性分子との化学量論は、糖など
の種類により種々の比を取り、例えば糖がD−リボース
の場合には1:1、糖がメチル−β−D−グルコシドの
場合は2:1、フェニルアラニンなどのアミノ酸の場合
は1:1、リンゴ酸の場合も1:1である。レゾルシノ
ール構造に含まれるフェノール性水酸基と糖類水酸基あ
るいはアミノ酸中のカルボキシル基などが多点的に水素
結合を生成することが分子錯体形成のドライビングホー
スであることが赤外吸収分光法から判明しており、この
ように固相反応により多数の水素結合を介することによ
り安定な分子錯体が形成されるものと推測される。しか
し、レゾルシノール構造を含有する環状4量体化合物結
晶中で固体状態の糖やアミノ酸あるいはその他の極性分
子がどのように移動し、水素結合による分子錯体を形成
するのかについての反応の機構については今のところ不
明であるが、結晶中でも固体が移動するという例(F. T
oda, K. Tanaka, A. Sekikawa, J. Chem. Soc., Chem.
Commun., 1987, 279)も知られていることから、同様の
機構で分子錯体を形成する反応が進行したと考えられ
る。
て、レゾルシノール構造を含有する環状化合物と糖類や
アミノ酸類あるいはその他の極性分子とから分子錯体が
形成されることは、 1H−NMR、13C−NMR分光
法、赤外吸収分光法、固体NMR分光法などを用いる測
定により確認されている(後の実施例参照)。図2は、
本発明に従う種々の分子錯体を模式的に示したものであ
る。この分子錯体が、図に示されるようにレゾルシノー
ル構造を含有する環状化合物の4つのベンゼン核で形成
されたお椀状の空孔に、糖類やアミノ酸類あるいはその
他の極性分子が入り込んでいるような構造から成ること
は、 1H−NMR分光法によると分子錯体中の糖、アミ
ノ酸などのプロトンの共鳴の大きな高磁場シフトが見ら
れるからと示唆される。分子錯体中における、レゾルシ
ノール構造を含有する環状4量体化合物と糖類やアミノ
酸類あるいはその他の極性分子との化学量論は、糖など
の種類により種々の比を取り、例えば糖がD−リボース
の場合には1:1、糖がメチル−β−D−グルコシドの
場合は2:1、フェニルアラニンなどのアミノ酸の場合
は1:1、リンゴ酸の場合も1:1である。レゾルシノ
ール構造に含まれるフェノール性水酸基と糖類水酸基あ
るいはアミノ酸中のカルボキシル基などが多点的に水素
結合を生成することが分子錯体形成のドライビングホー
スであることが赤外吸収分光法から判明しており、この
ように固相反応により多数の水素結合を介することによ
り安定な分子錯体が形成されるものと推測される。しか
し、レゾルシノール構造を含有する環状4量体化合物結
晶中で固体状態の糖やアミノ酸あるいはその他の極性分
子がどのように移動し、水素結合による分子錯体を形成
するのかについての反応の機構については今のところ不
明であるが、結晶中でも固体が移動するという例(F. T
oda, K. Tanaka, A. Sekikawa, J. Chem. Soc., Chem.
Commun., 1987, 279)も知られていることから、同様の
機構で分子錯体を形成する反応が進行したと考えられ
る。
【0022】
【実施例】本発明の特徴をさらに明らかにするため、以
下に実施例に沿って本発明を説明するが本発明はこれら
の実施例によって制限されるものではない。 〔実施例1:レゾルシノール構造を含有する環状化合物
の合成〕図1においてRがCH3(CH2)10−であるレゾ
ルシノール環状4量体を次のように合成した。冷却管、
攪拌装置を装備した3つ口フラスコに、レゾルシノール
(1)2.75g(0.025mol) とドデカナール(2)4.61g
(0.025mol) 、エタノール25mlを加え、溶液が均一にな
るまで攪拌装置で攪拌した。均一になったら12N塩酸4
mlを加え、混合物を窒素気流下70℃で10時間攪拌を続け
た。室温に冷却し放置することで生成する沈殿をろ過に
より回収した。さらにそのろ液に水を加えることで生成
する沈殿も回収した。すべての沈殿を一緒にし、完全に
中性になるまで水で沈殿を洗浄した。沈殿を乾燥すると
ほぼ定量的に目的の(3)を得た。メタノールで2回、
ヘキサン−アセトン混合溶媒で1回再結晶することによ
り精製した。この白色結晶を加熱下、真空乾燥すること
により純粋な化合物を得た。精製収量1.8g(収率26
%)。以下の分析により、目的とする環状4量体化合物
の生成を確認した。
下に実施例に沿って本発明を説明するが本発明はこれら
の実施例によって制限されるものではない。 〔実施例1:レゾルシノール構造を含有する環状化合物
の合成〕図1においてRがCH3(CH2)10−であるレゾ
ルシノール環状4量体を次のように合成した。冷却管、
攪拌装置を装備した3つ口フラスコに、レゾルシノール
(1)2.75g(0.025mol) とドデカナール(2)4.61g
(0.025mol) 、エタノール25mlを加え、溶液が均一にな
るまで攪拌装置で攪拌した。均一になったら12N塩酸4
mlを加え、混合物を窒素気流下70℃で10時間攪拌を続け
た。室温に冷却し放置することで生成する沈殿をろ過に
より回収した。さらにそのろ液に水を加えることで生成
する沈殿も回収した。すべての沈殿を一緒にし、完全に
中性になるまで水で沈殿を洗浄した。沈殿を乾燥すると
ほぼ定量的に目的の(3)を得た。メタノールで2回、
ヘキサン−アセトン混合溶媒で1回再結晶することによ
り精製した。この白色結晶を加熱下、真空乾燥すること
により純粋な化合物を得た。精製収量1.8g(収率26
%)。以下の分析により、目的とする環状4量体化合物
の生成を確認した。
【0023】同定データ:融点270-271 ℃(分解)。1 H−NMR(ppm,CDCl3 ):0.90(12H,
t,メチル基)、1.29−2.21(80H,CH2 )、4.28
(4H,t,Ar−CH2 −Ar)、6.10、7.10(各4
H,s,芳香核)、9.28、9.60(各4H,s,OH)。 マススペクトル:m/e1105(理論値1105)。
t,メチル基)、1.29−2.21(80H,CH2 )、4.28
(4H,t,Ar−CH2 −Ar)、6.10、7.10(各4
H,s,芳香核)、9.28、9.60(各4H,s,OH)。 マススペクトル:m/e1105(理論値1105)。
【0024】〔実施例2:錯体の調製〕レゾルシノール
環状4量体(3)44.2mg(0.04mmol) と糖類あるいはア
ミノ酸類あるいはその他の極性分子の等モルから10倍モ
ルの固体粉末を瑪瑙乳鉢上で15分から30分、固体をすり
潰すように攪拌・混合した。生成した分子錯体の固体粉
末の同定は、以下の実施例に示す。
環状4量体(3)44.2mg(0.04mmol) と糖類あるいはア
ミノ酸類あるいはその他の極性分子の等モルから10倍モ
ルの固体粉末を瑪瑙乳鉢上で15分から30分、固体をすり
潰すように攪拌・混合した。生成した分子錯体の固体粉
末の同定は、以下の実施例に示す。
【0025】〔実施例3: 1H−NMR、13C−NMR
分光法による分子錯体の評価〕実施例2で得られた分子
錯体粉末を濃度がおよそ10-2mol/l になるように0.6ml
の乾燥した重クロロホルムに溶解した。この溶液の 1H
−NMR、13C−NMRスペクトルを測定したところ錯
体中の糖、アミノ酸、あるいはその他の極性分子由来の
C−Hに由来するプロトンの共鳴吸収がすべて0.5 〜4
ppm 高磁場にシフトしていることが観測された。また、
同様に13Cの共鳴吸収もすべて高磁場にシフトしてい
た。このことは、分子錯体中で糖類やアミノ酸類あるい
はその他の極性分子がレゾルシノール環状4量体(3)
の4つのベンゼン核が作る空孔に包接され、ベンゼン核
の環電流の影響を受けているためと結論できる。さらに
1H−NMRスペクトルのシグナルこ積分比の比較によ
り、レゾルシノール環状4量体と糖、アミノ酸、その他
の極性分子の化学量論を決定した。
分光法による分子錯体の評価〕実施例2で得られた分子
錯体粉末を濃度がおよそ10-2mol/l になるように0.6ml
の乾燥した重クロロホルムに溶解した。この溶液の 1H
−NMR、13C−NMRスペクトルを測定したところ錯
体中の糖、アミノ酸、あるいはその他の極性分子由来の
C−Hに由来するプロトンの共鳴吸収がすべて0.5 〜4
ppm 高磁場にシフトしていることが観測された。また、
同様に13Cの共鳴吸収もすべて高磁場にシフトしてい
た。このことは、分子錯体中で糖類やアミノ酸類あるい
はその他の極性分子がレゾルシノール環状4量体(3)
の4つのベンゼン核が作る空孔に包接され、ベンゼン核
の環電流の影響を受けているためと結論できる。さらに
1H−NMRスペクトルのシグナルこ積分比の比較によ
り、レゾルシノール環状4量体と糖、アミノ酸、その他
の極性分子の化学量論を決定した。
【0026】〔実施例4:固体NMR分光法による分子
錯体の評価〕レゾルシノール環状4量体(4)あるいは
実施例2で得られた分子錯体粉末を溶媒などに一切溶解
することなく、直接固体NMRのサンプルチューブ(ダ
イフロン製、容量0.2ml)に充填し、固体NMRをCP−
MAS法で測定した。レゾルシノール環状4量体(3)
は、実施例3で行った溶液中における13C−NMRスペ
クトルの結果では芳香核炭素に由来する5つの異なった
炭素のシグナルが観測されたのに対し、CP−MASス
ペクトルでは、およそ7つの炭素シグナルを観測するこ
とができた。このことは、溶液中ではレゾルシノール環
状4量体の分子運動が可能で、平均して4つのベンゼン
核は対象型をしたお椀型構造を取ることから5つのシグ
ナルが観測されるが、固体中では分子運動が抑制される
ことから、4つのベンゼン核のうち向かい合った2つが
一組となり、一つの組の2つのベンゼン核は垂直に立っ
て平行になっているのに対し、もう一組のベンゼン核は
お互い寝ているような非対称型の固定された構造を取る
ことから、シグナルが7つに分かれて観測されたと考え
られる。ところが、実施例2で得られた分子錯体のCP
−MASスペクトルでは、4つのベンゼン核に由来する
芳香族の炭素のシグナルは5つしか観測されない。これ
はレゾルシノール環状4量体が糖などの分子を空孔に包
接することで、4つのベンゼン核はお椀型の対称型構造
をとったためと考えられる。このスペクトルの変化よ
り、分子錯体の形成を判断することが可能となった。
錯体の評価〕レゾルシノール環状4量体(4)あるいは
実施例2で得られた分子錯体粉末を溶媒などに一切溶解
することなく、直接固体NMRのサンプルチューブ(ダ
イフロン製、容量0.2ml)に充填し、固体NMRをCP−
MAS法で測定した。レゾルシノール環状4量体(3)
は、実施例3で行った溶液中における13C−NMRスペ
クトルの結果では芳香核炭素に由来する5つの異なった
炭素のシグナルが観測されたのに対し、CP−MASス
ペクトルでは、およそ7つの炭素シグナルを観測するこ
とができた。このことは、溶液中ではレゾルシノール環
状4量体の分子運動が可能で、平均して4つのベンゼン
核は対象型をしたお椀型構造を取ることから5つのシグ
ナルが観測されるが、固体中では分子運動が抑制される
ことから、4つのベンゼン核のうち向かい合った2つが
一組となり、一つの組の2つのベンゼン核は垂直に立っ
て平行になっているのに対し、もう一組のベンゼン核は
お互い寝ているような非対称型の固定された構造を取る
ことから、シグナルが7つに分かれて観測されたと考え
られる。ところが、実施例2で得られた分子錯体のCP
−MASスペクトルでは、4つのベンゼン核に由来する
芳香族の炭素のシグナルは5つしか観測されない。これ
はレゾルシノール環状4量体が糖などの分子を空孔に包
接することで、4つのベンゼン核はお椀型の対称型構造
をとったためと考えられる。このスペクトルの変化よ
り、分子錯体の形成を判断することが可能となった。
【0027】〔実施例5:赤外吸収分光法による分子錯
体の評価〕実施例2で製造した分子錯体中の、レゾルシ
ノール環状4量体と糖やアミノ酸やその他の極性分子と
の相互作用は、何に起因しているかを確認するために赤
外吸収分光法による解析を行った。サンプルの調整方法
は、試料に臭化カリウムを混合し錠剤とするKBr法、
あるいは試料を流動パラフィンに分散させ生成した懸濁
液を岩塩板に塗布し測定するヌジョール法を用いた。両
方法ともほぼ同じ結果を与えた。レゾルシノール環状4
量体とD−リボースは溶媒の接触でも分子錯体を形成す
る。種々の検討よりこの場合のレゾルシノール環状4量
体とD−リボースの相互作用は、お互いの水酸基同士の
水素結合によることが判明している。実施例2で製造し
たレゾルシノール環状4量体とD−リボースの分子錯体
0.5mgを流動パラフィン10μlに懸濁させ赤外吸収スペ
クトルを測定したところ、水素結合による分子錯体に特
有な水酸基の伸縮振動が3200cm-1付近に現れた(レゾル
シノール環状4量体のみの場合は3270cm-1)。この結果
は固体状態での錯体形成の駆動力は水素結合であること
を示唆している。
体の評価〕実施例2で製造した分子錯体中の、レゾルシ
ノール環状4量体と糖やアミノ酸やその他の極性分子と
の相互作用は、何に起因しているかを確認するために赤
外吸収分光法による解析を行った。サンプルの調整方法
は、試料に臭化カリウムを混合し錠剤とするKBr法、
あるいは試料を流動パラフィンに分散させ生成した懸濁
液を岩塩板に塗布し測定するヌジョール法を用いた。両
方法ともほぼ同じ結果を与えた。レゾルシノール環状4
量体とD−リボースは溶媒の接触でも分子錯体を形成す
る。種々の検討よりこの場合のレゾルシノール環状4量
体とD−リボースの相互作用は、お互いの水酸基同士の
水素結合によることが判明している。実施例2で製造し
たレゾルシノール環状4量体とD−リボースの分子錯体
0.5mgを流動パラフィン10μlに懸濁させ赤外吸収スペ
クトルを測定したところ、水素結合による分子錯体に特
有な水酸基の伸縮振動が3200cm-1付近に現れた(レゾル
シノール環状4量体のみの場合は3270cm-1)。この結果
は固体状態での錯体形成の駆動力は水素結合であること
を示唆している。
【0028】〔実施例6:発色基を持たない光学活性分
子の円二色性分光法による構造分析 実施例2で製造した分子錯体0.5mg を流動パラフィン10
μlに分散させた。生成した懸濁液を岩塩板に塗布し、
円二色性分光法によりスペクトルを測定した。サンプル
を塗布した岩塩板を分光器試料室内で0度、90度、180
度、240 度と回転させそれぞれのスペクトルを比較し、
直線偏光による影響を排除した。1例として、光学活性
物質(光学活性分子)としてリボース(ribose) を用い
た分子錯体の円二色性スペクトルを図3に示す。図に示
すようにD−リボースを用いた場合とL−リボースを用
いた場合とでは得られる分子錯体の分裂型コットン効果
の符号が逆向き(長波長側から正→負または負→正)で
ある。このように、レゾルシノール構造を含有する環状
化合物と光学活性物質とから形成される分子錯体の円二
色性スペクトルを固相中で測定することにより、該光学
活性物質の構造決定分析(D体またはL体の判別)を行
うことができた。
子の円二色性分光法による構造分析 実施例2で製造した分子錯体0.5mg を流動パラフィン10
μlに分散させた。生成した懸濁液を岩塩板に塗布し、
円二色性分光法によりスペクトルを測定した。サンプル
を塗布した岩塩板を分光器試料室内で0度、90度、180
度、240 度と回転させそれぞれのスペクトルを比較し、
直線偏光による影響を排除した。1例として、光学活性
物質(光学活性分子)としてリボース(ribose) を用い
た分子錯体の円二色性スペクトルを図3に示す。図に示
すようにD−リボースを用いた場合とL−リボースを用
いた場合とでは得られる分子錯体の分裂型コットン効果
の符号が逆向き(長波長側から正→負または負→正)で
ある。このように、レゾルシノール構造を含有する環状
化合物と光学活性物質とから形成される分子錯体の円二
色性スペクトルを固相中で測定することにより、該光学
活性物質の構造決定分析(D体またはL体の判別)を行
うことができた。
【0029】なお、上述の実施例において、試薬、溶媒
は特に既述のない限り精製せずに用いた。融点は柳本社
製MP−S3形融点測定装置で測定した。核磁気共鳴ス
ペクトル(NMR)は、日本電子社製JNM−270(1
H共鳴周波数270MHz、13C共鳴周波数67.5MH
z)で測定した。マススペクトルはPerSeptive社製Voya
gerRP 飛行時間形質量分析装置を用い、マトリックスと
してシナピン酸、アルファーシアノ−4−ヒドロキシケ
イ皮酸(αCHCA)、2,5−ジヒドロキシ安息香酸
(2,5−DHB)、9−メチルアクリジンを用い測定
した。固体NMRスペクトル(CP−MASスペクト
ル)は、日本電子社製JNM−270、NM−ESH2
7MUで測定した。赤外吸収スペクトルはPerkin Elmer
社製Spectrum2000型FT−IRで測定した。円二色性ス
ペクトルは日本分光社製J−720WI型分光光度計で
測定した。
は特に既述のない限り精製せずに用いた。融点は柳本社
製MP−S3形融点測定装置で測定した。核磁気共鳴ス
ペクトル(NMR)は、日本電子社製JNM−270(1
H共鳴周波数270MHz、13C共鳴周波数67.5MH
z)で測定した。マススペクトルはPerSeptive社製Voya
gerRP 飛行時間形質量分析装置を用い、マトリックスと
してシナピン酸、アルファーシアノ−4−ヒドロキシケ
イ皮酸(αCHCA)、2,5−ジヒドロキシ安息香酸
(2,5−DHB)、9−メチルアクリジンを用い測定
した。固体NMRスペクトル(CP−MASスペクト
ル)は、日本電子社製JNM−270、NM−ESH2
7MUで測定した。赤外吸収スペクトルはPerkin Elmer
社製Spectrum2000型FT−IRで測定した。円二色性ス
ペクトルは日本分光社製J−720WI型分光光度計で
測定した。
【図1】本発明に従い光学活性物質の分析に用いられる
レゾルシノール環状4量体の構造式とその合成反応スキ
ームを示す。
レゾルシノール環状4量体の構造式とその合成反応スキ
ームを示す。
【図2】本発明に従い固相中で生成するレゾルシノール
環状4量体と糖類やアミノ酸類あるいはその他の極性分
子とから形成される分子錯体を模式的に示す。
環状4量体と糖類やアミノ酸類あるいはその他の極性分
子とから形成される分子錯体を模式的に示す。
【図3】固相反応で生成したレゾルシノール環状4量体
とD−あるいはL−リボースとの分子錯体のヌジョール
法による懸濁液中の円二色性スペクトルを示す。
とD−あるいはL−リボースとの分子錯体のヌジョール
法による懸濁液中の円二色性スペクトルを示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI // C07C 39/17 G01N 24/02 B
Claims (5)
- 【請求項1】 レゾルシノール構造を含有する分子が疎
水鎖を介して環状4量体を形成している化合物から成
り、光学活性物質のD体またはL体の判別に用いられる
ことを特徴とする光学活性物質分析用化合物。 - 【請求項2】 レゾルシノール構造を含有する分子がレ
ゾルシノールまたは置換レゾルシノールであり、疎水鎖
が炭素数1から19の直鎖状または分枝鎖状のアルキル基
またはアリール基であることを特徴とする請求項1の化
合物。 - 【請求項3】 レゾルシノール構造が疎水鎖を介して環
状4量体を形成している化合物と光学活性物質とから固
相反応により分子錯体を形成し、該分子錯体を分析して
前記光学活性物質のD体またはL体を判別することを特
徴とする光学活性物質の分析法。 - 【請求項4】 円二色性分光法により固相中で分子錯体
の分析を行うことを特徴とする請求項3の分析法。 - 【請求項5】 光学活性物質が発色基を有しないもので
あることを特徴とする請求項4の分析法。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP05426698A JP3326105B2 (ja) | 1998-02-19 | 1998-02-19 | 光学活性物質分析用化合物およびそれを用いる光学活性物質の分析法 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP05426698A JP3326105B2 (ja) | 1998-02-19 | 1998-02-19 | 光学活性物質分析用化合物およびそれを用いる光学活性物質の分析法 |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH11237375A true JPH11237375A (ja) | 1999-08-31 |
| JP3326105B2 JP3326105B2 (ja) | 2002-09-17 |
Family
ID=12965779
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP05426698A Expired - Fee Related JP3326105B2 (ja) | 1998-02-19 | 1998-02-19 | 光学活性物質分析用化合物およびそれを用いる光学活性物質の分析法 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP3326105B2 (ja) |
Cited By (3)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| WO2004070364A1 (ja) * | 2003-02-06 | 2004-08-19 | Japan Science And Technology Agency | キラル化合物の絶対配置決定方法 |
| JP2006284390A (ja) * | 2005-03-31 | 2006-10-19 | National Univ Corp Shizuoka Univ | 光学活性分子の絶対配置決定方法、絶対配置決定装置、及びプログラム |
| JP2007271592A (ja) * | 2006-03-31 | 2007-10-18 | Japan Science & Technology Agency | 不斉炭素を有する有機酸の絶対配置決定方法 |
-
1998
- 1998-02-19 JP JP05426698A patent/JP3326105B2/ja not_active Expired - Fee Related
Cited By (4)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| WO2004070364A1 (ja) * | 2003-02-06 | 2004-08-19 | Japan Science And Technology Agency | キラル化合物の絶対配置決定方法 |
| US7736902B2 (en) | 2003-02-06 | 2010-06-15 | Japan Science And Technology Agency | Method for determination of absolute configuration of chiral compounds |
| JP2006284390A (ja) * | 2005-03-31 | 2006-10-19 | National Univ Corp Shizuoka Univ | 光学活性分子の絶対配置決定方法、絶対配置決定装置、及びプログラム |
| JP2007271592A (ja) * | 2006-03-31 | 2007-10-18 | Japan Science & Technology Agency | 不斉炭素を有する有機酸の絶対配置決定方法 |
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| Publication number | Publication date |
|---|---|
| JP3326105B2 (ja) | 2002-09-17 |
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