JPH1124078A - 光学機能フィルム及びその製造方法並びに液晶表示装置 - Google Patents

光学機能フィルム及びその製造方法並びに液晶表示装置

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JPH1124078A
JPH1124078A JP9179541A JP17954197A JPH1124078A JP H1124078 A JPH1124078 A JP H1124078A JP 9179541 A JP9179541 A JP 9179541A JP 17954197 A JP17954197 A JP 17954197A JP H1124078 A JPH1124078 A JP H1124078A
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liquid crystal
molecular weight
high molecular
functional film
crystal material
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JP9179541A
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Tadatoshi Ishimaru
維敏 石丸
Takahisa Saito
隆央 斉藤
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Sekisui Chemical Co Ltd
Akzo Nobel NV
Original Assignee
Sekisui Chemical Co Ltd
Akzo Nobel NV
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 特定の溶媒とフィルム基材との選択により、
フィルム基材の配向能を低下させることなく、安価でか
つ生産性に優れたプロセスにより光学機能フィルムを得
ることを可能とする方法を提供する。 【解決手段】 ラビング処理が施された置換度が0.6
〜2.8のセルロース誘導体フィルムに、高分子量液晶
材料を、芳香族エーテル及び/または芳香族エステルを
溶媒としてキャスト法により積層し、配向させることを
特徴とする光学機能フィルムの製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高分子量液晶材料
の配向を利用した光学機能フィルム及びその製造方法並
びに液晶表示装置に関し、より詳細には、液晶高分子の
配向を利用して位相差や旋光性等を補償または調整する
用途に用いられる光学機能フィルム及びその製造方法並
びに該光学機能フィルムを用いた液晶表示装置に関す
る。
【0002】
【従来の技術】高分子量液晶材料の配向を利用した光学
機能フィルムとして、液晶表示素子用の位相差板、旋光
子、選択波長反射板等が研究されている。この種の光学
機能フィルムは、透明な等方性基材を支持体とし、該支
持体上に高分子量液晶材料を積層した構造を有する。
【0003】上記基材としては、ガラスの他、三酢酸セ
ルロース等の残留位相差が少ないプラスチックフィルム
が用いられている。また、通常、高分子量液晶材料を配
向させるために、積層前に基材を直接ラビング処理した
り、あるいは基材にポリイミド等からなる配向膜を設け
ることによりラビング処理が施されている。
【0004】さらに、高分子量液晶材料を支持体に積層
する方法としては、一般には、溶液キャスト法が用いら
れており、この場合、高分子量液晶材料の配向は、液晶
相発現温度以上に加熱することにより行われている(例
えば、特開平3−87720号公報)。
【0005】高分子量液晶材料を積層する基材の中に
は、三酢酸セルロース等のように、それ自体に直接ラビ
ング処理を施して配向能を与えているものと、各種基材
の表面にポリイミド等の配向能を有する配向膜を設けて
いるものとがある。両者を比較した場合、配向膜を使用
しない方が生産性に優れ、コストも安価となるため、直
接ラビング処理された基材を用いる方が有利である。加
えて、三酢酸セルロース等のように基材の耐熱温度が配
向膜の焼成温度よりも低い場合には、ポリイミド等の配
向膜を形成してラビング処理を施すこと自体不可能であ
る。
【0006】他方、光学機能フィルムとして用いるもの
であるため、上記基材には透明性が高く、かつ残留位相
差ができるだけ少ないことが求められる。このような条
件を満たす材料として、ガラスや三酢酸セルロース等が
挙げられるが、耐衝撃性やフィルムの軽量化等を考慮す
ると、三酢酸セルロース等のプラスチックからなるもの
が好ましい。
【0007】そこで、特開平6−75214号公報に
は、プラスチック基材からなる偏光板の透明保護層の表
面を直接ラビング処理し、ラビング処理された面に高分
子量液晶材料を積層する方法が開示されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】特開平6−75214
号公報には、上記のように透明保護層の表面を直接ラビ
ングし高分子量液晶材料を積層する方法が開示されてい
るものの、高分子量液晶材料を分散させるための具体的
な溶媒や積層条件については、明瞭には記載されていな
い。また、この先行技術に記載の方法では、以下のよう
な種々の問題があった。
【0009】すなわち、配向膜を使用せずにプラスチッ
ク材表面を直接ラビングし、溶液キャスト法により高分
子量液晶材料を積層する場合、使用する溶媒によっては
基材を侵してしまうことがあった。また、肉眼では基材
表面が侵されていないように見えたとしても、微視的に
は基材の表面が乱されていることがあり、そのような場
合には、高分子量液晶材料を均一に配向させることが困
難であった。
【0010】また、上記表面保護層をセルロース系樹脂
で構成した場合には、通常のエンジニアリングプラスチ
ックスに比べて耐熱性が低いため、液晶性高分子溶液を
積層した後の溶剤を乾燥させる温度や配向処理に必要な
温度により基材が変形し、フィルムの平滑性が損なわれ
たり、均一な配向状態が達成されなくなったりすること
もあった。
【0011】上記のように、高分子量液晶材料の配向処
理温度における基材の耐熱性や、基材の高分子量液晶材
料の溶剤に対する耐溶剤性の問題を解決するために、特
開平3−333313号公報に記載されているように、
充分な耐熱性及び耐溶剤性を有するプラスチックフィル
ム上に高分子量液晶材料を塗工し、配向処理を行った後
に、透明性が高く、光学的に等方な三酢酸セルロース等
からなる基材に粘着剤を用いて転写する方法が提案され
ている。
【0012】しかしながら、上記粘着剤を用いて転写す
る方法では、高分子量液晶材料を転写するプロセスが余
分となるだけでなく、転写前に暫定的に高分子量液晶材
料を塗工するプラスチックフィルムを必要とするため、
生産コストが高くなる。
【0013】本発明の目的は、上述した先行技術の問題
点を解消し、配向膜を必要としない安価でかつ生産性に
優れた製造方法でありながら、溶媒の影響により基材の
平滑性及び高分子量液晶材料の配向が損なわれ難い光学
機能フィルムの製造方法、そのような製造方法により得
られる光学機能フィルム、並びに該光学機能フィルムを
用いた液晶表示装置を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】本願発明者は、上記課題
を達成すべく鋭意検討した結果、溶液キャスト法により
高分子量液晶材料を基材に積層して配向させた光学機能
フィルムの製造にあたり、高分子量液晶材料を積層する
ための基材として、特定の置換度のセルロース誘導体か
らなるフィルムを用い、かつ該フィルム表面にラビング
処理を施した後に、特定の溶媒を用いて高分子量液晶材
料溶液を塗工し、液晶相を発現温度以上に熱処理すれ
ば、溶剤による基材の欠陥がなく、高分子量液晶材料が
均一に配向されている光学機能フィルムを得ることがで
きることを見出し、本発明をなすに至った。
【0015】すなわち、請求項1に記載の発明は、置換
度が0.6〜2.8のセルロース誘導体のフィルムにラ
ビング処理を施し、芳香族エーテル及び/または芳香族
エステルを溶媒とした溶液キャスト法により前記セルロ
ース誘導体からなるフィルムに高分子量液晶材料を積層
し、配向させることを特徴とする光学機能フィルムの製
造方法である。
【0016】また、上記セルロース誘導体は、好ましく
は、請求項2に記載のように、酢酸セルロースで構成さ
れており、より好ましくは、請求項3に記載のように上
記セルロース誘導体は、偏光板の保護層として形成され
る。
【0017】請求項1〜3に記載の光学機能フィルムの
製造方法において、好ましくは、請求項4に記載のよう
に、上記芳香族エーテルとしては、アニソールまたはフ
ェネトールが用いられる。
【0018】請求項1〜4に記載の光学機能フィルムの
製造方法において、好ましくは、上記芳香族エステルと
して、安息香酸メチルまたは安息香酸エチルが用いられ
る。また、請求項6に記載の発明に係る光学機能フィル
ムの製造方法では、上記高分子量液晶材料として、ガラ
ス状態の液晶物質が用いられ、請求項7に記載の発明に
係る光学機能フィルムの製造方法では、上記高分子量液
晶材料としてポリエーテル系液晶高分子が用いられる。
【0019】また、好ましくは、請求項8に記載のよう
に、上記高分子量液晶材料がねじれネマチック配向を示
す材料により構成されている。請求項9に記載の発明に
係る光学機能フィルムは、上記請求項1〜8の何れかに
記載の光学機能フィルムの製造方法により得られたこと
を特徴とする。
【0020】請求項10に記載の発明は、請求項9に記
載の光学機能フィルムと、液晶表示セルとを備えること
を特徴とする液晶表示装置である。以下、本発明の詳細
を説明する。
【0021】基材 本発明において、高分子量液晶材料を積層するための基
材としては、透明性に優れており、応力が残り難いた
め、上記のように特定の置換度のセルロース誘導体のフ
ィルムが用いられる。
【0022】上記置換度とは、セルロースの水酸基の水
素が置換された一般式〔C6 7 2 (OH)
3 - m (OR)m n におけるmを示し、その値は、
0.6〜2.8の範囲であり、置換度が0.6未満で
は、水酸基が多いため湿気により表面状態が変化し、ラ
ビングの効果が損なわれ、高分子量液晶材料を均一に配
向させることができなくなる。また、置換度が2.8を
超えると、本発明で用いる溶媒に対し、外見上明らかに
侵されている形跡は認められないものの、微視的なレベ
ルでの表面の浸食によりラビングの効果が損なわれ、高
分子量液晶材料を均一に配向させることができなくな
る。
【0023】なお、置換基としてはアセチル基、プロピ
オニル基等のカルボン酸基、ニトロ基、アルキル基を例
示することができ、上記セルロース誘導体の例として
は、酢酸セルロース、酢酸・プロピオン酸セルロース、
酢酸・酪酸セルロース、ニトロセルロース、メチルセル
ロース、エチルセルロース等を挙げることができる。こ
のうち、酢酸セルロースが最も好ましく用いられる。
【0024】また、基材の厚みに関しては、特に限定さ
れるものではないが、位相差板等のように光学素子の一
部材として搭載する場合には、搭載時の取り扱い性を考
慮すると、10μm以上の厚みを有するものであること
が好ましい。
【0025】なお、セルロース誘導体の置換度を測定す
る方法としては、置換基を滴定する方法が採用される。
例えば、酢酸セルロースの場合には、試料をアセトンに
溶解した後に、水酸化ナトリウム水溶液でアセチル基を
けん化し、それに要した水酸化ナトリウム量を塩酸で滴
定し、アセチル化度を決定する方法が一般的である。
【0026】上記のようなセルロース誘導体の置換度の
定量方法については、「新版高分子分析ハンドブック」
(紀伊国屋書店発行)第748ページ〜第753ページ
に詳述されている。
【0027】ラビング処理 基材表面へのラビング処理については、従来より公知の
あらゆる手段を用いることができ、特に限定されるもの
ではない。ラビング処理の一例を示すと、長尺状の基材
フィルムを搬送しつつ、該基材フィルム上に長さ方向を
任意の角度に設定し得るラビングロールを設置し、ラビ
ングロールを回転させつつ基材表面に接触させ、基材表
面をラビング処理する方法が挙げられる。基材の搬送速
度、ラビング角度、ラビングロールの回転数及びラビン
グ圧等は、目的とするラビング処理に応じて適宜設定す
ればよい。
【0028】また、使用するラビングロール表面材等の
ラビング材の材質についても特に限定されるものではな
いが、本発明に係る光学機能フィルムの製造方法により
得られる光学機能フィルムが光学用途に用いられるもの
であることを考慮すると、ナイロン、綿、ポリエステル
等のフェルトのように傷がつきにくいものを選ぶことが
好ましい。
【0029】高分子量液晶材料の積層 ラビング処理が施された基材表面に高分子量液晶材料を
積層するにあたっては、芳香族エーテル、芳香族エステ
ルまたはこれらの2種以上の混合液を溶媒とした溶液キ
ャスト法が用いられる。これらの溶媒については、溶媒
乾燥時のフィルムの耐熱性を考慮すると、沸点が約20
0℃以下であるものが望ましい。従って、芳香族エーテ
ルとしては、請求項4に記載のようにアニソールまたは
フェネトールが好ましく、芳香族エステルとしては、請
求項5に記載のように安息香酸メチルまたは安息香酸エ
チル等が好ましい。
【0030】ラビング処理された基材の配向規制力を保
持させるためには、上記溶媒が好ましいため、本発明に
おいては、高分子量液晶材料は上述した溶媒に溶解し得
るものであることが必要である。もっとも、高分子量液
晶材料は、この条件を満たす限り、特に限定されるもの
ではないが、通常、分子量が1000以上、20万以下
の液晶材料が用いられる。
【0031】また、光学機能フィルムの通常の使用環境
のもとで配向を乱されないことが望ましいため、上記高
分子量液晶材料の液晶相発現温度は50℃以上であるこ
とが好ましい。さらに、配向処理温度で基材が変形して
はならないことを考慮すると、高分子量液晶材料の液晶
相発現温度は120℃以下であることが望ましい。
【0032】もっとも、光学機能フィルムの使用環境下
で配向を乱さないためには、ガラス転移点Tgが50℃
より低い高分子量液晶材料を使用することもでき、この
ような材料を使用する場合には、液晶材料を架橋するこ
とにより、配向を安定にすることができる。
【0033】高分子量液晶材料の具体的例としては、ガ
ラス状態の液晶物質の他、ポリエーテル系、ポリシロキ
サン系、ポリアクリレート系、ポリメタクリレート系、
ポリビニルエーテル系等の側鎖型液晶高分子を挙げるこ
とができる。
【0034】上記高分子量液晶材料の好ましいものとし
ては、ガラス状態の液晶物質が挙げられ、このような例
としては、WO 96/03476A1に開示されてい
るものが挙げられる。すなわち、WO 96/0347
6A1には、下記の一般式(1)で表される化合物を含
むガラス状の液晶高分子が開示されている。
【0035】
【化1】
【0036】なお、式(1)において、R1 は、炭素原
子数5〜24の芳香族基、炭素原子数6〜24の脂肪族
基を有する芳香族基、炭素原子数4〜24の複素環基、
または炭素原子数6〜24の脂環基を示し;R2 は、ス
ペーサー基に結合したH、非メソゲン基またはメソゲン
基を示し;R3 はR2 と同様の基から選ばれるが、
2 、R4 及びR5 とは独立に選択することができ;R
4 は、R2 と同様の基から選ばれるが、R2 、R3 及び
5 とは独立に選択することができ;R5 は、R2と同
様の基から選ばれるが、R2 、R3 及びR4 とは独立に
選択することができ;R2 、R3 、R4 及びR5 のすべ
ての内25%以下がHまたは非メソゲン基である。
【0037】より好ましいものは、ラジカル重合によっ
て得られるポリエーテル系液晶高分子であり、水酸基を
有する化合物とメソゲン基を有するモノエポキシドとを
含むモノマー組成物を重合することにより得られるもの
であり、WO 96/06145A1に開示されてい
る。
【0038】水酸基含有化合物がアクリレートアルコー
ルである場合には、アクリレート基を含有する液晶ポリ
エーテルが得られる。このようなポリエーテルは配向さ
せた後で、UV開始剤のもと、UV重合させたり、ジア
クリレートやトリアクリレートを追加してUV架橋させ
ることができ、ポリエーテルの安定度を増すことが可能
となる。勿論、UV重合に代えて熱重合を採用すること
も可能である。
【0039】上記WO 96/06145A1に開示さ
れているポリエーテル系液晶高分子では、好ましくは、
上記モノマー組成物中におけるエポキシ基とOH基との
割合がモル比で10:1〜2:1の範囲とされる。ま
た、より好ましくは、上記OH基含有化合物は、下記の
一般式(2)で表される1つのOH基を有する化合物で
ある。
【0040】
【化2】
【0041】なお、式(2)において、Zは、H、−O
−C(O)−CH=CH2 、−O−C(O)−C(CH
3 )=CH2 、炭素原子数4〜10の環式、芳香族系ま
たは複素環式化合物、−CH(CH2 −O−C(O)−
CH=CH2 2 、−C(CH2 −O−C(O)−CH
=CH2 3 、−C(CH2 −O−C(O)−CH=C
2 2 CH3 、−CH(CH2 −O−C(O)−C
(CH3 )=CH2 2、−C(CH2 −O−C(O)
−C(CH3 )=CH2 3 または−C(CH2−O−
C(O)−C(CH3 )=CH2 2 CH3 であり;Y
は、−CH2 −、−C(CH3 2 −、−CH(C
3 )−、−HC〔−(CH2 )m−O−ψ1−(Q)
n−ψ2 −R1 〕−を示し;種々のY基は、同一であっ
てもよく、異なっていてもよく;mは、0〜6の整数で
あり、ただし、上記OH基に対してαもしくはβの位置
にある酸素原子を有する化合物は除かれ;Y基の説明中
のQは、−C(O)−O−、−C=C−、−C=N−、
−N=C−、−O−C(O)−、
【0042】
【化3】
【0043】または−N=N−であり;R1 は、−O−
2 、−NO2 、−CN、−HC=C(CN)2 、−C
(CN)=C(CN)2 または−R2 であり;R2 は、
炭素原子数1〜15のアルキル基、−(CH2 )k−O
−C(O)−CH=CH2 、−(CH2 )k−O−C
(O)−C(CH3 )=CH2 または−(CH2 )x−
OHであり;xは0〜6の整数であり;kは0〜6の整
数であり;ただしR1 が−O−R2 の場合にはkは0で
もなく1でもない。ψ1 は、炭素原子数4〜10の、置
換されたまたは置換されていない環式、芳香族系または
複素環式化合物であり、ψ2 は、炭素原子数4〜10の
環式、芳香族系または複素環式化合物であり、nは0ま
たは1である。
【0044】本発明に係る光学機能フィルムに用いられ
る高分子量液晶材料は、ホモジニアス配向やねじれネマ
チック配向させることが可能である。STN液晶表示セ
ルに組み合わせて最良の位相差補償効果が得られるの
は、光学機能フィルムが、液晶表示セルの液晶と同じね
じれ角を持って逆方向にねじれている場合である。従っ
て、本発明に係る光学機能フィルムをSTN液晶表示セ
ルに組み合わせて位相差フィルムとして用いる場合に
は、光学機能フィルムの液晶高分子のねじれ角を、液晶
表示セルの液晶と同じねじれ角で逆方向にねじられてい
るように構成する。
【0045】本発明に係る光学機能フィルムにおいて
は、上記高分子量液晶材料のねじれ方向(右ねじれまた
は左ねじれ)を制御するため、所望のねじれ角を達成す
るために、高分子量液晶材料にカイラル剤と称されてい
る光学活性物質を添加してもよい。上記光学活性物質と
しては、任意の光学活性物質を使用することができ、例
えばコレステロール誘導体、4−(4−ヘキシルオキシ
ベンゾイルオキシ)安息香酸2−オクチルエステル等を
挙げることができる。上記光学活性剤は、通常、高分子
量液晶材料の全重量に対し10重量%以下の割合で添加
される。
【0046】また、上記高分子量液晶材料自体に光学活
性部位を導入してもよい。また、本発明において、上記
溶液キャストについては、公知の適宜の方法で行うこと
ができ、特に限定されるものではない。具体的には、ロ
ールコート法、ナイフコート法、ダイコート法、グラビ
アコート法、オフセットグラビアコート法、マイクログ
ラビアコート法、カーテンコート法、リップコート法、
浸漬法、スピンコート法等を挙げることができる。この
ような方法により高分子量液晶材料溶液を塗布した後、
熱風乾燥や赤外線加熱等により乾燥し、溶媒を除去す
る。
【0047】配向処理 高分子量液晶材料の配向処理については、高分子量液晶
材料がガラス状態から液晶相となる温度以上に熱処理し
た後に冷却することにより行われる。もちろん、この処
理温度は、基材の耐熱温度の範囲内でなければならな
い。
【0048】光学機能フィルム 請求項9に記載の発明に係る光学機能フィルムは、上述
した本発明の光学機能フィルムの製造方法により得られ
たものであり、基材上に、高分子量液晶材料が上記のよ
うにして積層されており、かつ配向されている。
【0049】液晶表示装置 請求項10に記載の発明は、請求項9に記載の発明に係
る光学機能フィルムと、液晶表示セルとを備えることを
特徴とするものであり、ここで、液晶表示セルについて
は、特に限定されるものではないが、位相差を補償する
ために用いる場合には、STN型液晶表示セル等が用い
られる。
【0050】応用 本発明に係る光学機能フィルムの製造方法により得られ
た光学機能フィルムは、上記のような液晶表示装置にお
いて位相差を補償するための位相差板の他、旋光子や選
択波長反射板等の光学機能フィルムとして用いることが
できる。
【0051】作用 本発明に係る光学機能フィルムの製造方法では、置換度
が0.6〜2.8のセルロース誘導体のフィルムを基材
として用いているので、ラビング処理による配向規制効
果が充分に得られ、かつ芳香族エーテル及び/または芳
香族エステルを溶媒として溶液キャスト法により高分子
量液晶材料を積層したとしても、基材が溶媒で侵され難
い。従って、高分子量液晶材料を所望の通り配向させる
ことができ、配向状態が乱されることがない。
【0052】すなわち、本発明に係る光学機能フィルム
の製造方法は、上記特定の置換度のセルロース誘導体の
フィルムを基材として用い、上記芳香族エーテル及び/
または芳香族エステルを溶媒として高分子量液晶材料を
積層したことにより、溶媒の影響による基材の損傷を抑
制しつつ、高分子量液晶材料の均一な配向を可能とした
ことに特徴を有する
【0053】
【実施例】以下、本発明の非限定的な実施例を説明す
る。 (高分子量液晶材料の調製)メトキシフェニル安息香酸
エステルのエポキシドと、メトキシフェニル−(2,3
−ジヒドロキシプロピルオキシ)安息香酸エステルとを
重量比で5対1の割合で混合し、ポリエーテル系液晶高
分子を調製した。この場合、各モノマーの調製及び重合
に際しては、WO 96/06145A1の実施例1の
方法を採用した。
【0054】上記のようにして得たポリエーテル系液晶
高分子の重量平均分子量は2984、ガラス転位温度T
gは45〜51℃、液晶から等方相への転移点Tcは1
46℃であった。
【0055】(実施例1)厚み80μmであり、置換度
2.5の酢酸セルロースフィルムに、ナイロン製フェル
トを用いてラビング処理を行った後、上記ポリエーテル
系液晶高分子の23重量%アニソール溶液をマイクログ
ラビアコーターを用いて塗工後の厚みが5μmとなるよ
うに連続塗工し、さらにそのライン上に配設された11
0℃の加熱ゾーンに3分間滞留させて溶媒を蒸発させ、
液晶高分子を配向させた。
【0056】(実施例2)置換度1.8の酢酸セルロー
スフィルム(厚み80μm)に、ポリエステル製フェル
トを用いてラビング処理を行った後、上記ポリエーテル
系液晶高分子の19重量%安息香酸メチル溶液を、オフ
セットグラビアコーターにより塗工後の厚みが4μmと
なるように連続塗工し、そのライン上に配設された12
0℃の加熱ゾーンに5分間滞留させて溶媒を蒸発させ、
液晶高分子を配向させた。
【0057】(実施例3)置換度0.9の酢酸セルロー
スフィルム(厚み60μm)に、ポリエステル製フェル
トを用いてラビング処理を行った後、上記ポリエーテル
系液晶高分子に対して5重量%のカイラル剤( Merck社
製、品番;CB15)を添加したものの26重量%フェ
ネトール溶液を、スピンコーターにより塗工後の厚みが
6μmとなるようにバッチ塗工し、その後115℃の加
熱乾燥機に4分間滞留させて溶媒を蒸発させ、液晶高分
子を配向させた。
【0058】(実施例4)置換度2.1のプロピオン酸
セルロースフィルム(厚み70μm)に、ポリエステル
製フェルトを用いてラビング処理を行った後、上記ポリ
エーテル系液晶高分子の23重量%アニソール溶液を、
マイクログラビアコーターにより塗工後の厚みが4μm
となるように連続塗工し、その後110℃の加熱乾燥機
に3分間滞留させて溶媒を蒸発させ、液晶高分子を配向
させた。
【0059】(実施例5)置換度2.5の酢酸セルロー
スフィルム(厚み80μm)に、ナイロン製フェルトを
用いてラビング処理を行った後、アニソールとフェネト
ールを重量比で2:1の比率で混ぜた混合溶媒に上記ポ
リエーテル系液晶高分子を濃度が23重量%となるよう
に溶解した溶液を、マイクログラビアコーターにより塗
工後の厚みが5μmとなるように連続塗工し、そのライ
ン上に配設された110℃の加熱ゾーンに4分間滞留さ
せて溶媒を蒸発させ、液晶高分子を配向させた。
【0060】(比較例1)置換度3.0の酢酸セルロー
スフィルム(厚み80μm)に、ナイロン製フェルトを
用いてラビング処理を行った後、上記ポリエーテル系液
晶高分子の23重量%アニソール溶液を、マイクログラ
ビアコーターにより塗工後の厚みが5μmとなるように
連続塗工し、そのライン上に配設された110℃の加熱
ゾーンに3分間滞留させて溶媒を蒸発させ、液晶高分子
を配向させた。
【0061】(比較例2)置換度0.4の酢酸セルロー
スフィルム(厚み80μm)に、ナイロン製フェルトを
用いてラビング処理を行った後、上記ポリエーテル系液
晶高分子の19重量%安息香酸メチル溶液を、マイクロ
グラビアコーターにより塗工後の厚みが4μmとなるよ
うに連続塗工し、そのライン上に配設された120℃の
加熱ゾーンに5分間滞留させて溶媒を蒸発させ、液晶高
分子を配向させた。
【0062】(比較例3)置換度2.5の酢酸セルロー
スフィルム(厚み80μm)に、ナイロン製フェルトを
用いてラビング処理を行った後、上記ポリエーテル系液
晶高分子の30重量%シクロヘキサノン溶液を、マイク
ログラビアコーターにより塗工後の厚みが5μmとなる
ように連続塗工し、そのライン上に配設された110℃
の加熱ゾーンに3分間滞留させて溶媒を蒸発させ、液晶
高分子を配向させた。
【0063】
【評価】上記のようにして得た実施例及び比較例の光学
機能フィルムについて、耐溶剤性及び配向の均一性
を下記の要領で評価した。
【0064】フィルムの耐溶剤性……実施例及び比較
例において、高分子量液晶材料の溶液を塗工した直後の
基材(セルロース誘導体フィルム)の表面を目視により
観察し、変質の有無を調べた。
【0065】配向の均一性……直交ニコル配置された
一対の偏光板間に高分子量液晶材料の配向軸が偏光板の
吸収軸と45度の角度をなすように、実施例及び比較例
で得た光学機能フィルムを挿入した場合の着色の均一性
を評価した。具体的には、25×25mmの範囲につい
て5mmピッチで位相差値を測定し、その平均値に対す
る標準偏差の割合(%)を配向均一性とした。
【0066】
【表1】
【0067】
【表2】
【0068】表2から明らかなように、比較例3では、
溶媒としてシクロヘキサノンを用いて溶液キャスト法に
より高分子量液晶材料を積層したため、塗工直後の酢酸
セルロース基材表面において腐食が認められた。また、
上記シクロヘキサノンを溶媒としたため、配向処理を行
っても、配向均一性が20.4%と非常に大きく、従っ
て、配向がかなり乱れていることがわかる。
【0069】比較例1では、溶媒としてアニソールを用
いたため、塗工直後の酢酸セルロース基材表面の腐食は
認められなかったが、置換度が3.0の酢酸セルロース
フィルムを用いたため、配向均一性が4.6%と比較的
大きかった。
【0070】同様に、比較例2においては、溶媒として
安息香酸メチルを用いたため、塗工直後の酢酸セルロー
スフィルム基材には腐食は認められなかったものの、置
換度が0.4の酢酸セルロースフィルムを用いたため、
配向均一性が9.7%と大きかった。
【0071】これに対して、実施例1〜5では、置換度
が本発明の範囲に入るセルロース誘導体フィルム基材を
用い、溶媒として芳香族エーテル及び/または芳香族エ
ステルを用いているため、塗工直後の基材表面における
腐食が認められなかっただけでなく、配向均一性につい
ても0.3%以下と非常に小さく、従って、高分子量液
晶材料が均一に配向されていることがわかる。
【0072】
【発明の効果】請求項1に記載の発明によれば、置換度
が0.6〜2.8のセルロース誘導体のフィルムにラビ
ング処理を施し、芳香族エーテル及び/または芳香族エ
ステルを溶媒とした溶液キャスト法により上記基材に高
分子量液晶材料を積層し、配向させているので、上記溶
媒の影響で基材が侵されたり、高分子量液晶材料の配向
が乱されたりし難い。従って、品質に優れた光学機能フ
ィルムを、配向膜を必要としない安価で生産性に優れた
工程を経て製造することが可能となる。
【0073】また、請求項2に記載の発明では、上記セ
ルロース誘導体が酢酸セルロースであり、透明性が高
く、残留位相差が少ないため、より一層高品質の光学機
能フィルムを提供することができる。
【0074】請求項3に記載の発明では、上記セルロー
ス誘導体が偏光板の保護層であるため、偏光板に本発明
に係る光学機能フィルムを積層するに際し、偏光板の保
護層自体を用いて本発明に係る光学機能フィルムの基材
を構成することができるので、光学特性に優れた構造を
少ない工程で得ることができる。
【0075】請求項4に記載の発明では、上記芳香族エ
ーテルとして、沸点が200℃以下であるアニソールや
フェネトールを用いているため、溶媒乾燥に際してのセ
ルロース誘導体のフィルムの変形を確実に防止すること
ができる。
【0076】同様に、請求項5に記載の発明では、芳香
族エステルとして、沸点が200℃以下である安息香酸
メチルまたは安息香酸エチルを用いているため、溶媒乾
燥時のセルロースフィルムの変形を確実に防止すること
ができる。
【0077】請求項6に記載の発明では、高分子量液晶
材料がガラス状態の液晶物質で構成されているため、配
向が容易に乱されないものとすることができる。請求項
7に記載の発明では、高分子量液晶材料としてポリエー
テル系液晶高分子を用いているため、本発明に特定した
溶媒に溶け易く、またTgが比較的低いために耐熱性の
低い基材での配向処理も容易となり、液晶高分子の配向
が安定な光学機能フィルムを得ることができる。
【0078】請求項8に記載の発明によれば、高分子量
液晶材料としてねじれネマチック配向を示す材料を用い
ているので、STN型液晶表示装置等の位相差を補償す
るための位相差板として好適な光学機能フィルムを得る
ことができる。
【0079】請求項9に記載の発明によれば、本発明に
係る光学機能フィルムの製造方法により得られた光学機
能フィルムであるため、上記のように液晶高分子の配向
が均一かつ安定であり、従ってSTN型液晶表示装置等
の位相差補償板として好適な光学機能フィルムを提供す
ることができる。
【0080】請求項10に記載の発明によれば、液晶表
示セルの位相差を光学機能フィルムで効果的に補償し得
る液晶表示装置が提供される。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 斉藤 隆央 京都市南区上鳥羽上調子町2−2 積水化 学工業株式会社内

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ラビング処理が施された置換度が0.6
    〜2.8のセルロース誘導体フィルムに、高分子量液晶
    材料を、芳香族エーテル及び/または芳香族エステルを
    溶媒としてキャスト法により積層し、配向させることを
    特徴とする光学機能フィルムの製造方法。
  2. 【請求項2】 前記セルロース誘導体が酢酸セルロース
    である請求項1に記載の光学機能フィルムの製造方法。
  3. 【請求項3】 前記セルロース誘導体が偏光板の保護層
    である請求項1または2に記載の光学機能フィルムの製
    造方法。
  4. 【請求項4】 前記芳香族エーテルが、アニソールまた
    はフェネトールである請求項1〜3の何れかに記載の光
    学機能フィルムの製造方法。
  5. 【請求項5】 前記芳香族エステルが、安息香酸メチル
    または安息香酸エチルである請求項1〜4の何れかに記
    載の光学機能フィルムの製造方法。
  6. 【請求項6】 前記高分子量液晶材料が、ガラス状態の
    液晶物質である請求項1〜5の何れかに記載の光学機能
    フィルムの製造方法。
  7. 【請求項7】 前記高分子量液晶材料がポリエーテル系
    液晶高分子である請求項1〜5の何れかに記載の光学機
    能フィルムの製造方法。
  8. 【請求項8】 前記高分子量液晶材料がねじれネマチッ
    ク配向を示す材料である請求項1〜7の何れかに記載の
    光学機能フィルムの製造方法。
  9. 【請求項9】 請求項1〜8の何れかに記載の製造方法
    により得られる光学機能フィルム。
  10. 【請求項10】 請求項9に記載の光学機能フィルムと、
    液晶表示セルとを備えることを特徴とする液晶表示装
    置。
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