JPH11243944A - 製パン用乾燥耐性実用パン酵母 - Google Patents
製パン用乾燥耐性実用パン酵母Info
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- JPH11243944A JPH11243944A JP10067672A JP6767298A JPH11243944A JP H11243944 A JPH11243944 A JP H11243944A JP 10067672 A JP10067672 A JP 10067672A JP 6767298 A JP6767298 A JP 6767298A JP H11243944 A JPH11243944 A JP H11243944A
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Abstract
合型aを有する1倍体酵母のATH1及び/又はNTH
1遺伝子を遺伝子破壊操作してなるATH1及び/又は
NTH1遺伝子破壊1倍体酵母と、2倍体にしたとき実
用パン酵母となる接合型αを有する1倍体酵母のATH
1及び/又はNTH1遺伝子を遺伝子破壊操作してなる
ATH1及び/又はNTH1遺伝子破壊1倍体酵母とを
交雑してなる2倍体実用パン酵母を用いて作成した製パ
ン用乾燥酵母。 【効果】 砂糖液で復元する必要がなく、水の存在のみ
ですぐに立ち上がり、迅速に且つ各種のしかも風味のす
ぐれたパンを製造することができる。
Description
乾燥耐性実用パン酵母に関するものである。従来にも乾
燥耐性のパン酵母は作られている。これらの酵母は、製
品形態としていわゆるドライイーストとして使用されて
おり、製品形態では長期間の保存に適している。しかし
現在市販されているドライイーストの種類は、1.比較
的糖濃度の低いパン(フランスパン等)用、2.比較的
糖濃度の高い高糖生地用(菓子パン等)の2種類しか生
産されておらず、特にこの酵母を用いて製造されたパン
が風味面で特徴があるものではなく、単に製パン生地中
の配合中の大雑把に2分された糖濃度にのみ注目し、生
地膨張力がその環境下で比較的強いことから選抜されて
いるものである。本発明では、生地中の糖濃度の違う環
境下における発酵力の強さのみではなく種々の特徴ある
美味な風味を有するパンを作ることができる実用パン酵
母の性能をそのままに、乾燥耐性を付与することが可能
になり、より多くの種類の実用パン酵母を製品形態とし
て保存性が優れたドライイーストとして供給することが
可能になり、この意味で本発明の乾燥耐性実用パン酵母
は格段にすぐれたものである。
性質を有する実用パン酵母で乾燥耐性を有していないも
のに対してATH1遺伝子あるいはNTH1遺伝子どち
らか一方のみを不活化するだけという新規構成を採用す
ることにより、通常の市販ドライイースト用のパン酵母
と同等もしくはそれ以上の乾燥耐性を、付与することが
可能となるのである。従って、本発明は、現在用途が多
様化する製パン方法に適し、保存性の高いドライイース
トの供給が可能となりパン業界に益するところきわめて
大である。
ーストという製品形態で製造されている。市販されてい
る製パン用ドライイーストは、その製法と性状から大き
く2種類に分類される。一方は、その製造に特殊な機器
を必要としない一般にアクティブドライイーストと呼称
されるもので水分含量10%程度で比較的保存可能期間
が短く通常粒状であり、使用に際しては砂糖を加えたぬ
るま湯に溶解して数十分間活性化を行った後パン生地に
混捏する。もう一方は、一般にインスタントドライイー
ストと呼称されるもので、水分含量が4%程度で長期間
(真空未開封であれば数年間)の保存が可能であり、使
用にさいしては、一旦ぬるま湯に溶解した直後あるいは
直接、活性化することなしに生地に混捏する。
製パン用ドライイーストにはバリエーションが少ないこ
とに鑑み、実用パン酵母の性能をそのまま有し(いわゆ
る立上がり早く、且つ各種タイプのパンでしかも風味や
食感がすぐれたパンを製造することができる性能)、乾
燥耐性を有するすぐれた実用パン酵母の開発が当業界に
おいて強く求められている。
ドライイーストの中でも特に前記したインスタントドラ
イイーストを製造するために必要な菌株に要求される特
性を言う。すなわち、工業的な培養条件で効率良く増殖
することが可能で、流動層乾燥という特殊な工業的乾燥
法で乾燥し保存した後に復水直後からパン生地を良く膨
張させる能力を言う。
力を高めることによって、冷凍生地耐性、高糖生地耐性
を獲得するのに成功し、既に特許出願等も行った(NT
H1(中性トレハラーゼ遺伝子)遺伝子破壊:特願平8
−297886号、ATH1(酸性トレハラーゼ遺伝
子)遺伝子破壊:特願平9−352016号、高野ら
(農水省、食総研):日本食品工学会大会(199
7))。
上昇させることによってのみ獲得できるものと考えら
れ、このための手法として、トレハラーゼ遺伝子の破壊
がJohnKimら(California大学)により示唆された(App
lied and Environmental Microbiology, Vol.62, No.5
(1996))。しかし、これらの研究は実験室株を用いて
行われたものであり、実用パン酵母においてこのATH
1遺伝子破壊が実際に有用性を持つことは実施されてい
ない。換言すれば、この研究は実際の製パン工業におい
て確認されたものではなく、現時点では工業上の利用性
は全く確認されていない。このように、実際には、トレ
ハロース含量の向上のみでは乾燥耐性を獲得することは
不可能であり、乾燥菌体(ドライイースト)の復水の際
のエネルギー源としてトレハロースが利用されるため、
NTH1遺伝子を破壊することによりその菌体内の中性
トレハラーゼ活性が0となる実験室株では獲得できない
性能である。同様にNTH1活性が実用菌株に比して低
い実験室株において、ATH1遺伝子を破壊した株にお
いてNTH1遺伝子のみで復水の際に必要なトレハラー
ゼ活性を有しているとは考えられない。
ン酵母として用いるためには、種として Saccharomyces
cerevisiae であることの他に、種々の実用面での要素
が必要である。例えば、1.工業的に培養が可能であるた
めには、現在パン酵母を工業的に培養する際一般的に用
いられている廃糖蜜培地での増殖性(増殖速度が早いこ
と、収量が多いこと)、パン酵母を培地より分離する際
の効率、パン酵母を製品形態にする際の脱水行程の効率
(この行程にはデハイドレーターという特殊な機器が用
いられる)。2.製品としては、長期間(2〜3週間程
度)の冷蔵保存期間に活性(パン生地膨張力)が維持さ
れること、この間軟化しにくいこと、廃糖蜜の色が吸着
しにくく白いこと等が基本的に必要な事項で、この他
に、各種の製パン方法に適合した性能が要求される。
験室株がそのまま実用パン酵母として用いることのでき
る可能性はほとんどない。また、これらの要素は通常1
つの遺伝子により支配されていることはまれで、複数の
遺伝子により規定されていることが一般的で、しかも実
用パン酵母の性能と遺伝子との関連を結び付けるような
研究例は極めて少ない。
次倍数体であることが多く、また胞子形成をしにくいた
め、実験室株で通常行われていた古典的な育種法を基に
した掛け合わせ/胞子分離による育種法を用いることさ
え非常に困難であり、優良な実用パン酵母の選別には、
専ら長年実用的に用いられてきた菌株の自然突然変異株
の選抜或いは自然界からのスクリーニングに頼ってい
た。古典的な育種法がパン酵母に初めて適用されたの
は、郡家らによるレアーメイティングの開発(Genetics,
Vol.70 (1972))以降で、応用例は1982年出願の特許公
報『サッカロマイセス・スペシーズFD612』(特公平1-1
6155号)に初めて記載された。
用ドライイーストにはバリエーションが少ない、これは
乾燥耐性が酵母細胞内のどのような因子に支配されてい
るかが未確定であるため、そのスクリーニングに多大な
労力を要するためであり、実際には、工業的な培養方法
である流加培養法で培養し適度の発酵力と適度のトレハ
ロース含有量とし、工業的に利用されているのと同等の
流動層乾燥装置を用いて乾燥適性試験をしなくてはなら
ないことに起因する。また、パン用ドライイーストを交
雑法により育種しようとする試みはほとんどなされてい
ない。
対応物質としてトレハロースに注目し、乾燥の際に必要
な保護物質として蓄積量の向上、これに加えて特に製パ
ン用ドライイーストに要求される復水時に細胞が活性を
取り戻すためのエネルギー源としての利用という観点か
ら、研究を進め完成にいたった。
は、ATH1遺伝子破壊によって乾燥によっても死滅し
にくい酵母は一応の造成は可能であるかもしれないが、
美味なパンを製造することのできる乾燥耐性実用パン酵
母が得られていないところから、本発明者らは、種々優
れた性能を有する実用パン酵母で乾燥耐性を有していな
いものに対して、種々優れた性能はそのままで、市販乾
燥耐性酵母と同等もしくはそれ以上の乾燥耐性を付与す
るために、出発酵母株から最終の乾燥酵母からのパンま
でを詳細に分析し、多くの実験を重ねた結果、本発明を
完成するに至った。
となる1倍体酵母のNTH1遺伝子を遺伝子破壊操作し
てなるNTH1遺伝子破壊1倍体酵母に関するものであ
る。また、本発明は、2倍体にしたとき実用パン酵母と
なる1倍体酵母のNTH1遺伝子を遺伝子破壊操作して
なるNTH1遺伝子破壊1倍体酵母を1もしくは2以上
用いて交雑してなる2倍体以上の乾燥耐性実用パン酵母
に関するものである。
ン酵母となる1倍体酵母のATH1遺伝子を遺伝子破壊
操作してなるATH1遺伝子破壊1倍体酵母に関するも
のである。また、本発明は、2倍体にしたとき実用パン
酵母となる1倍体酵母のATH1遺伝子を遺伝子破壊操
作してなるATH1遺伝子破壊1倍体酵母を1もしくは
2以上用いて交雑してなる2倍体以上の乾燥耐性実用パ
ン酵母に関するものである。
母となる1倍体の選抜、マーカーの付与) 本発明においては、遺伝子操作する酵母株の選別が必須
となるものである。まず、その酵母株としては1倍体酵
母を選び、その酵母がa型かα型かを知らなければなら
ない。選んだ1倍体酵母とあらかじめ用意したα型1倍
体酵母とを等量混合培養することによって数時間以内に
顕微鏡で接合を確認できるものであれば、その酵母はa
型と確定できる。また、別々にa型1倍体酵母と等量混
合培養によって接合を確認できるものであればα型と確
定できる。実験を目的とした場合には、この段階でマー
カーを付与する次行程に移ることができるが、実用パン
酵母の造成を目的とするには、以下の選抜行程が必須で
ある。
型の1倍体酵母と交雑させ、a/α型の2倍体酵母を造
成し、第1段階として先に述べた工業的に製造が可能で
あることを指標に大量培養試験により選抜した。さらに
第2段階としてここで培養した菌体が先に述べた製品と
しての要件を満たすことを指標に選抜した。最終的に
は、この2段階の選抜を受けた菌株を培養して得た菌体
を用いて各種のパンを作り、すぐれたパンが出来たもの
から選んで遺伝子操作する1倍体酵母を決定する。パン
には、食パン、ロールパン、クロワッサン、フランスパ
ン、菓子パンなど多くの種類があるので、すべてについ
て試食をして、それぞれについて1倍体酵母も同じもの
を用いたり、別の1倍体酵母を用いたりする。交雑する
相手のa型又はα型の1倍体酵母の選択によっても、パ
ンの特性にかなりの変化をもたらすために、遺伝子操作
する1倍体酵母の選別は困難をきわめるが、乾燥耐性実
用パン酵母を造成するためにはこの工程が必須である。
ーが必要となる。実用パン酵母にはマーカーが付与され
ておらず、そのまま遺伝子操作に供する場合、薬剤耐性
マーカー等、酵母の遺伝子以外のマーカーを用いること
も可能であるが、安全性の観点から好ましくない。セル
フクローニングの範疇で遺伝子操作をするためには、こ
の1倍体菌株に遺伝的なマーカーを付与する必要があ
り、この場合、酵母を薬剤等で変異させると有用な性能
が同時に欠落する恐れがあり、自然突然変異体を選抜す
る方法が好ましい。このマーカー遺伝子として、URA
3,LYS2,ADE2等が、欠損株を容易に選抜する
ことができ望ましい。
3(URA3欠損株)を付与するには、5−フルオロオ
ロチン酸含有培地での選抜による。すなわち、1倍体菌
株をYPD液体培地で培養した後、遠心分離により、菌
体を生理食塩水で洗浄し、約108個の細胞を、5−フ
ルオロオロチン酸を含む培地(0.7%YEAST NITROGEN
BASE(DIFCO),2%グルコース、0.1%5−フルオロ
オロチン酸、0.05%ウラシル、2%寒天)に塗布
し、3日間30℃で培養し、生育したコロニーを選別す
る。この培地で生育した菌株は、自然突然変異によりU
RA3遺伝子を欠損しており、106〜107個に1個の
頻度で得られる。これらの菌株は、ウラシルを除く培地
上で生育せず、URA3を含有するプラスミド、YCp
50等により形質転換することにより、ウラシルを除く
培地上で生育できるようになることにより、URA3を
欠損していることを確認することができる。
製) 本発明においては、1倍体酵母がもつ、図1、図2、図
3及び図4に示すNTH1(中性トレハラーゼ遺伝子
(J. B. C. 268 : 4766-4774(1993))内に配列番号4
に示すURA3(ウリジル酸合成酵素)(Gene, 29 : 1
13-124(1984))やADE2、LYS2などのマーカー
遺伝子を挿入すれば、NTH1遺伝子は破壊されて発現
しなくなり、代りに挿入されたURA3や栄養要求性マ
ーカー遺伝子が発現して、遺伝子破壊を確認することが
できる。挿入するURA3や他のマーカー遺伝子は、セ
ルフクローニングを達成するためにサッカロミセス・セ
レビシエ、特にパン酵母のものが好ましい。
が発現して中性トレハロース分解酵素を作り、これがト
レハロースを分解することを防止すれば目的を達成する
ので、NTH1の全部もしくは1部を削ってしまっても
よい。本発明では、URA3をNTH1遺伝子全部乃至
は1部領域内に挿入することによって、NTH1遺伝子
の破壊を行うのが好ましい。
9に図1、図2、図3及び図4に示されるNTH1遺伝
子の1部領域を挿入し、次いでこのNTH1遺伝子の1
部領域中に配列番号4に示すURA3遺伝子を挿入し、
得られたプラスミドを大腸菌で大量にふやして、このプ
ラスミドからNTH1(前半)−URA3−NTH1
(後半)の挿入遺伝子のみを切り出し、単離したものを
そのまま酢酸リチウム法によって、2倍体にしたとき実
用パン酵母となる1倍体酵母に形質転換する。
RA3−NTH1(後半)は、NTH1(全部あるいは
1部領域)にURA3を余すように結合・組換えをおこ
し、NTH1を、前半と後半に、URA3をはさんで、
完全に分断し、遺伝子破壊は完成する。
雑) ここに得られるNTH1遺伝子破壊1倍体酵母は、すで
にa型かα型かは定まっており、2倍体にしたとき実用
パン酵母になるすぐれた性質は有するもので、遺伝子破
壊操作ではNTH1遺伝子のみ破壊され、その他のすぐ
れた性質を生む遺伝子はそのままである。本発明では2
倍体にしたとき実用パン酵母となる1倍体酵母のNTH
1遺伝子を遺伝子破壊操作してなるNTH1遺伝子破壊
1倍体酵母を1もしくは2以上用いて交雑し、2倍体以
上の倍数体乾燥耐性実用パン酵母を得る。
倍体酵母とα型NTH1遺伝子破壊1倍体酵母を交雑し
て得られた2倍体酵母である。図5は、これを分りやす
く示したもので、得られるのは2倍体乾燥耐性実用パン
酵母である。得られた多くの2倍体乾燥耐性実用パン酵
母の内の1株は、パン酵母、Saccharomyces cerevisiae
T154(FERM BP-5678)として工技院生命研に寄託されて
いる。
燥耐性、特に工業的に培養し、工業的に乾燥し、製パン
用インスタントドライイーストとしたときの生地発酵力
がきわめてすぐれている。
ング) 酸性トレハラーゼ遺伝子ATH1のクローニングは、例
えばATH1遺伝子欠損株がトレハロースを唯一の炭素
源とした培地中で生育できないことを利用すること等に
より、通常のショットガンクローニング法により可能で
ある。しかし、酵母Saccharomyces cerevisiaeの染色体
の全塩基配列が既に決定されており、ATH1の様に配
列が既に解明されている様な遺伝子の取得には、PCR
法(ポリメラーゼチェーンリアクション)を用いてクロ
ーニングするのが常法となっている。また、遺伝子の不
活化(破壊)操作を目的とする場合、全領域をクローニ
ングする必要はなく、一部の領域のクローニングのみで
代替することが可能である。
築と遺伝子破壊操作) ATH1遺伝子の破壊は、ATH1遺伝子が発現して酸
性トレハロース分解酵素を作り、これがトレハロースを
分解することを防止すれば目的を達成するので、ATH
1の全部もしくは1部を削ってしまってもよい。本発明
では、URA3でATH1全部を置き換えるかまたはA
TH1内にURA3を挿入することによって、実質上A
TH1を不活化させることにより遺伝子の破壊を行うの
が好ましい。
−Tに配列番号3に示されるATH1遺伝子の1部領域
をPCR法により増幅し挿入し、次いでこのATH1遺
伝子の1部領域中に配列番号4に示すURA3遺伝子の
全領域を挿入し、得られたプラスミドを大腸菌で大量に
ふやして、このプラスミドからATH1(前半)−UR
A3−ATH1(後半)の挿入遺伝子のみを切り出し、
単離したものをそのまま酢酸リチウム法によって、2倍
体にしたとき実用パン酵母となる1倍体酵母に形質転換
する。1倍体酵母に導入されたATH1(前半)URA
3−ATH1(後半)は、1倍体酵母のATH1と部位
特異的組換えをおこし、URA3をはさんでATH1
を、前半と後半に完全に分断する。その結果、遺伝子破
壊は完成し、ATH1は実質上不活化される。
にa型かα型かは定まっており、また2倍体にしたとき
実用パン酵母になるすぐれた性質は有するもので、遺伝
子破壊操作ではATH1遺伝子のみ破壊され、その他の
すぐれた性質を生む遺伝子はそのままである。本発明で
は2倍体にしたとき実用パン酵母となる1倍体酵母のA
TH1遺伝子を遺伝子破壊操作してなるATH1遺伝子
破壊1倍体酵母を1もしくは2以上用いて交雑し、2倍
体以上の倍数体乾燥耐性実用パン酵母を得る。
倍体酵母の選別)野生株として保存する1倍体酵母菌株
中、25株について、a型かα型を確定し、それぞれに
ついて2倍体にしたとき実用パン酵母となり得るかどう
かを試験した結果、表15の8株を選抜した。これら8
株について、後述の方法でNTH1遺伝子破壊を行い、
破壊前と破壊後の中性トレハラーゼ活性を測定した。結
果は次の表15に示され、NTH1遺伝子破壊株の中性
トレハラーゼ活性が有意に低下しており、NTH1遺伝
子が破壊されていることを確認した。
伝子)NTH1は、パン酵母などの属する種であるSacc
haromyces cerevisiaeの第4染色体のセントロメアの極
く近傍に位置することが知られ、その遺伝子配列は図
1、図2、図3及び図4に示されている通りである。本
発明では一般に入手可能な酵母のベクターであるYCp
50の第4染色体のセントロメアを含む領域を用いて、
ジーンエピクション法によって、パン酵母株からNTH
1を得、図1、図2、図3及び図4の配列を確認した。
る。図6でNTH1の3′側に位置する、KpnIとそ
の上流に位置するEcoRIの両切断部位の間約 770bp
を市販の大腸菌用ベクターpUC19の同制限酵素
(KpnI及びEcoRI)切断部位に挿入しpNTH
1−KEを得た。得られたプラスミドをXhoI切断部
位で切断しDNAポリメラーゼで平滑末端化し、ここ
で、市販のYEp24に含まれる図6のURA3遺伝子
をHindIIIで切断分離、回収し、これをDNAポリ
メラーゼを用いて平滑末端として、その約1.170bp 断片
をリガーゼを用いた連結操作で挿入しpNTHd1を得
た。
NTH1(前半)−URA3−NTH1(後半)のDN
A断片を単離し、これを表15に示した1倍体酵母のN
o.2、No.7、No.12、No.13、No.1
4、No.18、No.19及びNo.21のそれぞれ
の株に酢酸リチウム法で酵母の形質転換を行った。
RIで分解し、各0.5μgをアガロースゲル電気泳動
に供し、サザンハイブリダイゼーションを行い遺伝子破
壊を確認し、図7に示した。図中、左側のカラムは、分
子量マーカー(λDNA−HindIII分解)のバンド
の位置を示す。
o.2,lane2:No.2−d,lane3:N
o.7,lane4:No.7−d,lane5:N
o.12,lane6:No.12−d,lane7:
No.13,lane8:No.13−d,lane
9:No.14,lane10:No.14−d,la
ne11:No.18,lane12:No.18−
d,lane13:No.19,lane14:No.
19−d,lane15:No.21,lane16:
No.21−d(ここでdはpNTHd1によって遺伝
子破壊操作したことを示す)である。(dの表示は他の
表でも同じ意味をもつ)図7の結果より、NTH1遺伝
子が破壊されていることが確認された。
倍体酵母の選別)野生株として保存する1倍体酵母25
株について、a型かα型を確定し、それぞれについて2
倍体にしたとき実用パン酵母となり得るかどうかを試験
した結果、表16の8株を選別した。これら8株につい
て、後述の方法でATH1遺伝子破壊を行い、破壊前と
破壊後の酸性トレハラーゼ活性を測定した。結果は表1
6に示され、ATH1遺伝子破壊株の酸性トレハラーゼ
活性が有意に低下しており、ATH1遺伝子が破壊され
ていることを確認した。
1遺伝子の部分配列をPromega社製のpGEM−Tベク
ターシステムを用いてクローニングした。概要を図8に
示す。
Vol.11,(1995))より、常法に従い、配列表の配列番号
1、配列番号2に示す各々20塩基のプライマーを設計
した。酵母Saccharomyces cerevisiae T019株より染色
体DNAを抽出・精製し、このDNAを鋳型とし、先に
述べた配列番号1及び2で示す合成DNAをプライマー
として用い、PCR法によりATH1遺伝子のコーディ
ング領域中の部分配列第481塩基〜第1,630塩基
間の1,150塩基対を増幅した。次いで常法により、
増幅したDNA断片を精製した後、この断片をpGEM
−Tベクターに、T4DNAリガーゼにより連結し、プ
ラスミドpCI1を得た。このプラスミドpCI1を常
法に従い、大腸菌に導入し(形質転換)、増幅後精製し
た。次いで、この精製プラスミドに唯一存在するATH
1遺伝子部分配列上の制限酵素HindIII切断部位
で、同酵素を用いて切断し、一方、プラスミドとして公
知のYep24のURA3遺伝子の全長を含む1,16
6塩基対のDNA断片を制限酵素HindIIIで切断
し、常法に従い精製後、両者をT4DNAリガーゼによ
り連結し、ATH1遺伝子破壊用プラスミドpCY1を
作成した。
型aの1倍体酵母(野生型株)を段落番号(0019)
に示した方法でura3とした株をATH1遺伝子破壊
用プラスミドpCY1を制限酵素PvuIIで切断後、酢
酸リチウム法により形質転換した。形質転換体はウラシ
ル要求性から、非要求性になることにより確認した。同
様に、接合型αの1倍体酵母(野生型株)を段落番号
(0019)に示した方法でura3とした株をATH
1遺伝子破壊用プラスミドpCY1を制限酵素PvuII
で切断後、ATH1部分配列とURA3を含むDNA断
片を分離精製し、このDNAで、酢酸リチウム法により
形質転換した。形質転換体はウラシル要求性から、非要
求性になることにより確認した。
当該遺伝子が破壊されていることはPCR法により確認
した。すなわち、野生型株と遺伝子破壊株より、全染色
体DNAを抽出し、このDNAを配列番号1および配列
番号2で示したプライマーを用いて、増幅し、増幅配列
の長さを比較することによって確認した。結果を図9に
示す。理論上野生型株では、1150塩基対、遺伝子破
壊株では、2,316塩基対のDNA断片が増幅される
が、図10に示す結果と合致しており、遺伝子破壊が確
認された。
遺伝子破壊の確認のため酸性トレハラーゼ活性の測定を
行った。各菌株のATH1遺伝子非破壊株(ATH1:
野生型株)と、ATH1遺伝子破壊株ath1)とを、
各々、18φの試験管中の5mlYPD培地(1%イー
ストエキス、2%ペプトン、2%グルコース)に、1白
金耳植菌し、48時間30℃で振とう培養した。この培
養菌体を用い、常法に従い酸性トレハラーゼ活性を測定
した。結果を表16に示した。各破壊株の酸性トレハラ
ーゼ活性は、破壊前の野生型株に比して明らかに活性が
低下し、その活性はほぼ0であり、ATH1遺伝子の不
活化が確認された。
製)実施例1に記載した方法で作成したNTH1遺伝子
破壊株8株はウラシル非要求性となっている。再び、 u
ra3 マーカーを用いるために、段落番号(0019)に
記したのと同一の方法で自然突然変異により、5FOA
含有培地上で耐性となった株を選抜することにより、N
TH1遺伝子破壊の際同遺伝子中に挿入された URA3 遺
伝子が自然突然変異により不活化した株を選択した。こ
の株を、さらに、実施例2に記したのと同一の方法でA
TH1遺伝子の破壊を行った。(ATH1遺伝子破壊の
確認)及び(ATH1遺伝子不活化の確認)は、実施例
2に記載した方法で行なった。ここで、2倍体にしたと
きに実用パン酵母となる。
雑)1.野生株とpNTHd1によって操作した株の組
合せを次の表17のメイティングマトリクス1に示す。
べてα型菌株であり、数字のあとにd−1がついたもの
はpNTHd1によって遺伝子破壊操作したことを示
し、d−1のないものは表17に示した野生株を示して
いる。表17における横列の株と縦列の株全てを1対ず
つ交雑して2倍体酵母64株を得た。(表17でT10
1からT164は株番号である。)
横の株はすべてa型で、縦の株はすべてα型であり、数
字のあとにd−AがついたものはpCY1によって遺伝
子破壊操作したことを示し、d−Aと付記のないものは
表18に示した野生型株を示している。表18における
横の株と縦の株すべてを1対ずつ交雑して2倍体酵母6
4株を得た。(表18でT101からT128,A30
1からA361は菌株番号である。)
横の株はすべてa型で、縦の株はすべてα型であり、数
字のあとにd−ATがついたものはpNTHd1及びp
CY1によってNTH1遺伝子及びATH1両遺伝子を
破壊操作したことを示す。表19における横の株と縦の
株すべてを1対ずつ交雑して2倍体酵母16株を得た。
々にYPD培地で30℃1日間培養して増殖させ、両菌
数を同程度として、両酵母を新たなYPD培地に入れ、
30℃12時間培養し、接合酵母を分離し、YPD寒天
培地に塗布して、1から2日間30℃で培養し、比較的
大きなコロニーを分離し、接合性を有していないこと
と、顕微鏡下で1倍体よりも大きくなっていることを観
察することにより、2倍体となっていることを確認し
た。
壊株、NTH1、ATH1遺伝子両破壊株の培養とトレ
ハロースの挙動試験を次のようにして行った。
件で各菌株を30Lジャーファーメンターを用いて培養
した。30Lジャー培養 種培養 本培養 糖量(蔗糖換算) 1035g 1400g 尿素 103g 140g リン酸1ナトリウム2水和物 20.7g 28g 種酵母量(湿量) 20g*1 420g*2 30Lジャー メーカー:オリエンタルバイオサービスK.K. 名 称:FERMENTER CONTROL SYSTEM MC-10 容 量:30L 攪拌子回転数:600rpm 通気量:16L/min
口フラスコに1白金耳植菌し、30℃で2日間培養した
のち、4本分全量をそのまま種酵母として用いた。 *2:種培養で得られた菌体を遠心分乾燥作によって分
離し、脱イオン水により洗滌した後、その一部を使用し
た。 全ての菌株において市販パン酵母菌株と同等に加えた糖
量に対し120−140%の収率が得られ、工業レベル
での培養が可能であり、NTH1遺伝子、ATH1遺伝
子あるいは双方の遺伝子の同時破壊により、増殖性、保
存性等、実用パン酵母に必要な要素が失われていないこ
とが確認できた。
上記段落番号(0054)〜(0056)の培養条件
は、一般に対数的増殖期と定常期に大きく分けることが
できる。前述の表17、表18及び表19記載の株のう
ち、T118株、T128株、これらのNTH1遺伝子
破壊株T154株、T164株、ATH1遺伝子破壊株
A318株、A328株およびこれらNTH1、ATH
1遺伝子両破壊株の計8株について、この各時期の初
期、中期、後期で、菌体をサンプリングし、各時点での
トレハロース含量を測定した。結果を図11に示した。
カロマイセス セレビシエ T118(Saccharomyces
cerevisiae T118)及びサッカロマイセス セレビシエ
T128(Saccharomyces cerevisiae T128)と命名
し、それぞれ工業技術院生命工学工業技術研究所(生命
研)にFERM BP−6096及びFERM BP−
6097として国際寄託した。また、これらのATH1
遺伝子破壊株であるA318株及びA328株は、これ
をサッカロマイセス セレビシエ A318(Saccharo
myces cerevisiae A318)及びサッカロマイセス セレ
ビシエ A328(Saccharomyces cerevisiae A328)
と命名し、それぞれ生命研にFERMBP−6039及
びFERM BP−6040として国際寄託した。
株であるT154株及びA318株との比較では、遺伝
子破壊により明らかに終点でのトレハロース含量が増加
し、破壊株では野生型株の約2倍のトレハロース含量を
示しNTH1遺伝子及びATH1遺伝子の破壊効果はほ
ぼ同一であった。また、T154株及びA318株とA
T418株との比較では両遺伝子を破壊することにより
相乗効果は認められなかった。これはトレハロースの蓄
積量は、トレハラーゼ遺伝子の破壊により増加し、AT
H1遺伝子の破壊効果はNTH1遺伝子の破壊効果より
遥かに大きく、また、相乗効果も認められるとした前記
John Kimら(California大学)の結果と大きく異なる。
これは、実験室株と実用株との差異、或いは実験で用い
られるバッチ培養法と工業的に用いられる流加培養法の
違いに起因すると思われる。
ゼ遺伝子破壊株であるT154株、A318株及びAT
418株との比較では培養終点でのトレハロース含量は
野生型株よりわずかに増加するに留まり、NTH1、A
TH1遺伝子破壊によるトレハロース蓄積に及ぼす効果
の優劣及び相乗効果は認められなかった。
述のような、工業的培養を模した流加培養をした菌体を
用いるが、この際その菌体内トレハロース含量は乾物あ
たり8±2%程度となり、T118株は、通常の実用パ
ン酵母菌株とはやや異なった含量を示す。また、実験室
用の酵母菌株では、このような培養にほとんどの場合適
していないのは前述の通りではあるが、生産効率を無視
して、試験的に培養すると、トレハロース含量は2〜4
%程度であり、実用菌株とは大きく異なる。表に記載の
他の実用パン酵母菌株での試験結果では、ATH1遺伝
子に関して野生型の菌株培養終点でのトレハロース含量
に関してT118株の様に実験室株のそれとほぼ同値を
示すものについては、NTH1遺伝子破壊あるいはAT
H1遺伝子破壊によりトレハロースの蓄積量が顕著に上
昇したが、野生型株で通常の実用パン酵母に近い蓄積量
を示すものは、その効果は僅かであり、この点が実験室
株と実用パン酵母との相違であると考えられる。
壊株、NTH1、ATH1遺伝子両破壊株の製パン性能
試験と冷凍生地試験を次のようにして行った。
製パン試験)実施例5で培養したT118株、T128
株、これらのNTH1遺伝子破壊株T154株、T16
4株、ATH1遺伝子破壊株A318株、A328株お
よびこれらNTH1、ATH1遺伝子両破壊株の計8株
の菌体、および市販パン酵母(オリエンタル酵母工業
製)を用いて、下記の配合及び表20に示す製パン条件に
より、日本イースト工業会パン用酵母試験法に準ずる製
パン試験を行った。
ン配合生地での製パンは、野生型株とトレハラーゼ遺伝
子破壊株間で有意な差異は認められなかった。
子破壊により製パン性能の向上が認められ特にT118
に比して、このATH1遺伝子破壊株A318、T12
8株に比して、このATH1遺伝子破壊株A328株で
顕著であった。これはトレハラーゼ遺伝子の破壊効果に
よりトレハロース含量及び保持力の向上により菌体内の
トレハロースが高濃度で推移する為に、菌体内の浸透圧
が高く保たれる為に高濃度の糖を含有する菓子パン生地
中でも菌体が高発酵力を維持できる為と考えられる。こ
れらの値は、市販パン酵母の値に比して充分対応できる
値である。
T118株、T128株、これらのNTH1遺伝子破壊
株T154株、T164株、ATH1遺伝子破壊株A3
18株、A328株およびこれらNTH1、ATH1遺
伝子両破壊株AT418株、AT428株の計8株の菌
体を用いて、下記の配合及び製パン条件により、日本イ
ースト工業会パン用酵母試験法に準ずる冷凍生地製パン
試験を行った。 (配合割合) 小麦粉 100g 砂糖 5g 食塩 2g イースト 2g ショートニング 5g 水 67ml
比してトレハラーゼ遺伝子の破壊株は明らかに高い冷凍
生地耐性を保有するようになった。これはトレハラーゼ
遺伝子の破壊によるトレハロース含量の上昇及び、トレ
ハロース保持力の向上による冷凍生地耐性の向上と考え
られる。
酵母と同等あるいはそれ以上の製パン性能を有すること
が分かった。又、トレハラーゼ遺伝子破壊株は野生型株
に比して明らかに高い冷凍生地耐性を保持している。
壊株、NTH1、ATH1遺伝子両破壊株の乾燥耐性試
験を次のようにして行った。
を、水分68%以下にまで脱水して圧搾生酵母とし、該
生酵母1.5kgを準備した。乾燥酵母あたり1.5〜
2.0%となるようにソルビタン脂肪酸エステルの水エ
マルジョンを添加、混合し、次にエクストルーダーによ
り0.4mmφのスクリーンメッシュをパスさせて糸状
とし、初期入り口温度50℃の温風により定率乾燥期を
約10分かけて流動乾燥させた。その後、品温が上昇し
始める直前に乾燥温度を38℃に適宜調節し、減率乾燥
期を約50分かけて回分方式で乾燥させた。品温は38
℃を上限とした。乾燥終点は赤外線水分計にて水分5±
0.3%になった時点とし、試料は真空パックさせて保
存させた。
よう溶解し、この酵母懸濁液5mlを15mlの13.
33%蔗糖液と混合し20mlの発酵液とし、日本イー
スト工業会パン用酵母試験法に準ずる液発酵力測定方法
で120分間のガス発生量を測定した。結果を図12、
図13に示す。
破壊により各菌株は乾燥耐性を獲得している。一方AT
H1、NTH1遺伝子を両方破壊した株では、野生型株
と同等あるいはそれ以下の乾燥耐性しか保有していない
ことは明らかである。図12、図13で示した様に、こ
れらの菌株は野生型株よりトレハロース含量が高く、単
にトレハロース含有量を高くしただけでは製パン用ドラ
イイーストに必要な乾燥耐性を獲得できないことを意味
している。トレハロースは、乾燥耐性、冷凍耐性、浸透
圧耐性に関与するがそのほかに実用製パン用酵母では保
存性(製品の日持ち)に関与して、保存中徐々にトレハ
ロース含量は低下してこの減少量分のトレハロースの消
費が活性を維持するためのエネルギー源となる。製パン
用ドライイーストには、乾燥の際保護剤としてトレハロ
ースが必要であるが、復水時にはトレハロースをこの際
に必要なエネルギー源として利用する。してみるとこの
復水時に充分なトレハラーゼ活性を有していないと、製
パン用ドライイーストに必要なエネルギーが確保できな
くなる。単に乾燥復水による酵母の死滅率が低いことが
即ち製パン用ドライイーストとして適していることには
ならない。
cerevisiae間でも菌体内の酵素活性は異なる。実用パン
酵母菌株においては高野ら(農水省、食総研)の報告
(日本食品工学会大会(1997)或いはATH1遺伝
子破壊:特願平9−352016号)と実験室株におい
てはMomoca Destruelleら(Freiburg大学)或いはHelmu
t Holzerら(Freiburg大学)により発表された報告(J.
B. C. Vol. 268, No7(1993))との比較から明らか
に、実用パン酵母菌株のトレハラーゼ活性は実験室株の
それに比して高い。実用菌株ではどちらか一方のトレハ
ラーゼ遺伝子を破壊することにより適度のトレハラーゼ
活性即ち乾燥耐性を得るのに必要なトレハロース含量を
維持し、かつ、復水時にトレハロースを消費し、パン生
地膨張活性を復活させるのに必要なエネルギーを獲得で
きる活性を持たせることができたが、実験室株では同様
な結果が得られるとは考えられない。
実験室株の標準株として公知(YEASTGENETIC STOCK CENT
ER (カリフォルニア大学)のカタログに記載)のX21
80−1A(a型)およびX2180−1B(α型)株
を用いて同様の操作により、NTH1遺伝子破壊2倍体
株およびATH1遺伝子破壊2倍体株を作成し、乾燥耐
性試験を行った結果を図14(乾燥耐性試験−3)に示
す。
NTH1遺伝子破壊株およびATH1、NTH1遺伝子
両破壊株は、非破壊株に比べ、各種製パン性能は同等で
あり、実用製パン用酵母として使用可能である。また、
野生型株に比して全て冷凍生地耐性の向上が認められ
る。また、ATH1遺伝子破壊株および、ATH1、N
TH1両遺伝子破壊株は高糖生地耐性の向上が認められ
た。しかし、乾燥耐性はATH1遺伝子破壊株およびN
TH1遺伝子破壊株によっては向上は認められたが、A
TH1、NTH1遺伝子両破壊株では、野生型株と同等
もしくはそれ以下に低下している。このことは本発明に
よって初めて明らかにされた事実で、これまでの実験室
株を用いた推論から容易に類推されるものではない。
1遺伝子破壊株は、きわめてすぐれた乾燥耐性実用パン
酵母であって、本パン酵母は、ドライイーストの形態に
しても、砂糖水で復元する必要はなく、水分の存在のみ
できわめて短時間で立上るため、これを直接生地にねり
込むだけですぐ立上げることができ、しかも、本パン酵
母は各種のパンの製造に広範に使用することができる。
示し、それぞれプライマー1及びプライマー2を示す。
配列番号3は、ATH1遺伝子のアミノ酸コード領域を
示し、配列番号4は、URA3遺伝子の全領域を示す。
下記表1〜14に、配列番号1〜4に示される各配列を
示す。
倍体乾燥耐性実用パン酵母の作成を示す。
る。
る。
ーン1は分子量マーカーを示し、レーン2、4、6、8
は、それぞれ菌株7、21、18、19より調整したD
NAのPCR産物を示し、レーン3、5、7、9は、そ
れぞれ菌株7dA、21dA、18dA、19dAより
調整したDNAのPCR産物を示す。
Claims (5)
- 【請求項1】 2倍体にしたとき実用パン酵母となる接
合型aを有する1倍体酵母のATH1遺伝子を遺伝子破
壊操作してなるATH1遺伝子破壊1倍体酵母と、2倍
体にしたとき実用パン酵母となる接合型αを有する1倍
体酵母のATH1遺伝子を遺伝子破壊操作してなるAT
H1遺伝子破壊1倍体酵母とを交雑してなる2倍体実用
パン酵母を用いて作成した製パン用乾燥酵母。 - 【請求項2】 2倍体にしたとき実用パン酵母となる接
合型aを有する1倍体酵母のNTH1遺伝子を遺伝子破
壊操作してなるNTH1遺伝子破壊1倍体酵母と、2倍
体にしたとき実用パン酵母となる接合型αを有する1倍
体酵母のNTH1遺伝子を遺伝子破壊操作してなるNT
H1遺伝子破壊1倍体酵母とを交雑してなる2倍体実用
パン酵母を用いて作成した製パン用乾燥酵母。 - 【請求項3】 遺伝子破壊操作がATH1遺伝子又はN
TH1遺伝子のどちらか一方の中にURA3などのマー
カー挿入によって行われること、を特徴とする請求項1
又は2に記載の製パン用乾燥酵母。 - 【請求項4】 請求項1〜3のいずれか1項に記載の製
パン用乾燥酵母を使用して調製してなる製パン用乾燥酵
母含有パン生地。 - 【請求項5】 請求項4に記載の製パン用乾燥酵母含有
パン生地を用いて作成してなるパン。
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|---|---|---|---|
| JP10067672A JPH11243944A (ja) | 1998-03-04 | 1998-03-04 | 製パン用乾燥耐性実用パン酵母 |
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Applications Claiming Priority (1)
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|---|---|---|---|---|
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- 1998-03-04 JP JP10067672A patent/JPH11243944A/ja active Pending
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1999
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- 1999-02-24 US US09/256,078 patent/US6551829B1/en not_active Expired - Lifetime
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