JPH11246809A - インクジェット用インク組成物とインクジェットプリント方法 - Google Patents

インクジェット用インク組成物とインクジェットプリント方法

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JPH11246809A
JPH11246809A JP10353025A JP35302598A JPH11246809A JP H11246809 A JPH11246809 A JP H11246809A JP 10353025 A JP10353025 A JP 10353025A JP 35302598 A JP35302598 A JP 35302598A JP H11246809 A JPH11246809 A JP H11246809A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】良好な品質と乾燥性の高い顔料ベースのインク
ジェット用インク組成物。 【解決手段】本発明は、非水性溶媒に溶ける顔料先駆物
質を利用し、好ましくは、水性の、二相系で、高沸点
の、水不溶性有機化合物と可溶化される先駆物質を含む
インク組成物である。また、水相及び有機相に混和する
第2の高沸点有機化合物と少なくともひとつの両親媒物
質を含有してもよい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、インクジェットプ
リンティングに使用するインク組成物に関し、特に、プ
リント媒体上で、化学物質、熱又は放射線等で処理され
た後に不溶性顔料(insoluble pigments)に転換する可溶
性顔料前駆体(soluble pigment precursors)を含有する
インクジェット用インク組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】インクジェットプリンティングは、紙、
透明フィルム又は織物のような、プリント媒体上にイン
ク液滴を堆積させる非衝撃プリントプロセスである。比
較的ノイズのない動作と相俟って、産品の低コスト及び
高品質のため、インクジェットプリンタは、コンピュー
タと併用される他方式プリンタに対して普及している代
替のプリンタである。本質的に、インクジェットプリン
ティングは、マイクロプロセッサによって生成される電
気信号に応答してプリント媒体上に微細なインク液滴を
噴射することを伴う。
【0003】インクジェットプリンティングにおけるイ
ンク液滴噴射を実施するために現在使われている手段に
は、サーマル型とピエゾ電気型の2通りがある。サーマ
ルインクジェットプリンティングでは、滴下噴射のエネ
ルギは、電気加熱型抵抗素子によって生成され、これ
が、マイクロプロセッサからの電気信号に応答して急速
に熱くなって蒸気バブルを発生し、その抵抗素子と組み
合わされたノズル群を通してインクを放出させる。ピエ
ゾ電気型インクジェットプリンティングでは、これもマ
イクロプロセッサからの電気信号に応答したピエゾ結晶
の振動によってインク液滴が噴射される。特定の順序で
インク液滴を噴射させることで、プリント媒体上に、英
数字、塗りつぶし、並びにその他のパターンを形成する
のである。
【0004】インクジェットプリンティングに用いられ
るインクジェットインクは、典型的には、顔料か染料の
何れかから構成される。顔料は、極めて小さい固体粒子
であって、その分子は、ファンデルワールス(van der W
aals)引力、パイーパイ(pi-pi)相互作用又は水素結合の
ような分子間力によって相互に強く結合されている。こ
れらの引力が、通常の溶媒類による分子の溶媒和を妨
げ、それらの染料対応物(their dye counterparts)に類
似した溶液を形成することはできない。従来、顔料は、
分散剤の支援による高エネルギ分散プロセスを用いて液
体媒質にそれらを懸濁することによってプリントインク
に使用する。顔料使用の欠点は、それらの分散は、本
来、熱力学的に不安定であり、顔料粒子は、沈降し易い
大きい粒子に塊状集積(集塊化)する場合がある。さら
に、顔料は、均一なサイズ分布を欠いている。集塊化し
た及び/又は不均一なサイズの粒子は、紙サブストレー
トのインク上に種々のカラーがプリントされる時、イン
クが相互に入り込む「にじみ」(bleeding)を招く。にじ
みに加えて、これらの顔料を使用すると、プリント媒体
上のインクの乾燥時間が比較的長くなり、ペン機構にお
けるインクの詰まり、閉塞(clogging)とクラスト形成、
硬結(crusting)に起因したペンの信頼性に関する諸問題
を招来することになる。
【0005】集塊度を減少さえ、より均一なサイズ分布
を実現するために顔料をカプセル化する技術が開発され
ている。顔料表面を溶媒での懸濁に適するようにカプセ
ル化を伴わない表面改質法も知られている。顔料集塊化
の問題に対して提案されたその他の解決法は、その両方
とも本願と同一の譲受人に譲渡された、米国特許第5,
531,816号及び米国特許第5,713,989号
に開示されている。これらの開示は、それぞれ、溶媒分
散型顔料ベース及び水性顔料ベースのインクジェット用
インク組成物のにじみ制御を扱っている。より詳細に
は、前述のインクのにじみ制御は、マイクロエマルショ
ンによって溶液に脱集塊化顔料を分散させて行うもので
ある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】これらの解決法は有望
であるが、集塊の低減、従って、にじみの低減、プリン
ト媒体との衝突の際の急速な乾燥及び性能上の信頼性の
向上を立証するインクジェットプリンティング用の顔料
をベースとしたインクを求める必要性は依然として存在
するのである。さらに、これらの性能利益を達成するた
めに、そのインク組成物のプリント品質を犠牲にしては
ならない。
【0007】最近の文献は、ファンデルワールス及びパ
イーパイ相互作用を崩壊させ及び/又は分子間水素結合
を形成する顔料分子のその機能を除去するところの置換
基を導入することによって不溶性顔料を有機溶媒に溶け
易くする改質方法が記述されている。その後、熱又は放
射線を印加して、これらの化学的に改質された顔料をそ
れらの未変性の形に変換し直すことが可能である。これ
らの顔料前駆体は、「潜伏性(latent)」顔料と呼ばれて
いるものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】発明に従い、水不溶性有
機溶媒に溶解できる潜伏性顔料(即ち顔料前駆体)を採
用したインクジェット用インク組成物が提供される。本
願明細書におけるその他の実施例は、それに加えて、水
と水不溶性有機化合物を可溶化するのに十分な量で存在
する少なくとも1つの両親媒性物質とを含んでいてよ
い。本発明のインクジェット用インクは、顔料前駆体が
その不連続な非水性相に溶けやすい、非水性もしくは水
性エマルション、マイクロエマルション又はリポソーム
の形であってよい。有機溶媒における顔料前駆体の溶解
性のため、安定な顔料ベースのインクにとって典型的に
必要とされる分散剤類、結合剤類、ポリマー類又はプレ
ポリマー類の添加を要せずにインク調合が可能となる。
【0009】本発明の使用に適する着色剤は、インクジ
ェットインク組成物における残留成分と相容性である。
本願明細書に用いられる時、用語「高沸点有機化合物(h
ighboiling organic compound)」は、水と比較して十分
低い蒸気圧を有していて、その結果、通常のインクジェ
ット動作中に水だけがインクから蒸発するような有機化
合物を指す。
【0010】上述のインクを生成させることとその同一
物をプリント媒体上にプリントすることを包含する、イ
ンクジェットプリンティングに対して、にじみを低減さ
せる方法も提供される。代表的なカラーインクジェット
プリンタは、3つのカラーインクと1つのブラックイン
クとから成るインクセットを採用しているので、にじみ
が低減された高品質のプリントを実現するために、その
4つのインクの何れか又は全てを本願発明に従って調合
できるようにすることを考えている。好ましくは、イン
クジェット用インクのセットの4インク全てを発明に従
って調合して、乾燥時間、にじみ制御、有効範囲(cover
age)と厚さの均一性の改善及び信頼性の向上という利点
をプリント品質に最適に生かすようにする。
【0011】本発明の非水性インクジェット用インクで
さえ速い乾燥時間とにじみ制御を示すのに、インク製造
者は、適当な両親媒性物質を選択することで水性エマル
ション、マイクロエマルション又はリポソームのインク
組成を調合する方をむしろ望むことがある。両親媒性物
質の存在は、水と水不溶性有機化合物間の界面張力を減
じ、従って、2相の安定系を形成するよう作用するもの
と考えられる。
【0012】本願発明のインクジェット・インク組成物
と、にじみを低減し且つペンの信頼性を向上させる方法
とは、連続した、ピエゾ式ドロップオンデマンド型プリ
ンタ及びサーマル又はバブルジェット式ドロップオンデ
マンド型プリンタのような様々なインクジェットプリン
タに採用してよい。プリントは、例として、紙、織物及
び透明媒体を含む、種々の媒体上に実施してよい。発明
の実施において達成されるにじみの低減及び乾燥時間の
改善によって、インクジェットプリンタは、コスト効果
のある方法で高い印刷品質をもたらし得るのである。
【0013】本願明細書における全ての濃度は、別途指
定されない限り、重量パーセントで表示する。全成分の
純度は、インクジェット用インクとして正常な業務実践
に用いられるそれである。
【0014】
【発明の詳細説明】
水不溶性有機化合物 本発明の実施において適切に用いてよい水不溶性有機化
合物の例には、限定するものではないが、水不溶性のエ
チレンオキシ−及びプロピレンオキシ−油類;水不溶性
モノ−又はポリグリコールエーテル類;水不溶性モノ−
又はポリグリコールフェニルエーテル類;水不溶性アル
コール類;水不溶性ポリオール類;水不溶性モノ−又は
ポリグリコールエステル類;水不溶性テルペン類;水不
溶性フェノール類;水不溶性アルデヒド類及びケトン
類;水不溶性炭化水素類;及び水不溶性ポリエーテル修
飾ポリシロキサンがある。一般に、任意の水不溶性有機
化合物又はその組合せは、それが顔料前駆体を可溶化す
る限り且つそれがインクジェットインク組成物において
他の成分と相容性である限り、本発明の実施に用いるこ
とができる。本発明の実施においてい好ましく用いられ
る水不溶性有機化合物の特定例には、(1)エチレン、プ
ロピレン、ポリエチレン及びポリプロピレングリコール
エーテル類;(2)エチレン、プロピレン、ポリエチレン
及びアクリル酸塩類のようなポリプロピレングリコール
エステル類;及び(3)ベンジルアルコール、等がある
が、本願発明はこれらに限定されるものではない。
【0015】加えて、炭化水素類の例には、トルエン、
キシレン、ナフタレン及びフェナントレンがある。水不
溶性有機化合物のさらに別の例には、アルファテルピネ
オール、シトロネラール、ヒドロキシシトロネラール、
シクロヘキシルメタノール、シクロヘキサノン及びその
アルキル(C1〜C8)誘導体類、シクロヘキサノール及び
そのアルキル(C1〜C8)誘導体類、シクロペンタノン及
びそのアルキル(C1〜C8)誘導体類、シクロペンタノー
ル及びそのアルキル(C1〜C8)誘導体類、オイゲノー
ル、1-ヘプタノール、n-ヘキサノール、2-ヘキサノー
ル、n-ペンタノール、シンナミルアルコール、2-エチル
-1,3-ヘキサンジオール、7-オクテン-1,2-ジオール、2,
2-ジエチル-1,3-プロパンジオール、1-ベンジル-2-ピロ
リジノン、ポリカプロラクトントリオール、シンナムア
ルデヒド、m-クレゾール、3-フェニル-1-プロパノー
ル、サリチルアルデヒド及びGenesee Polymers(ミシガ
ン州フリント)から市販のGP-226及びWacker(ミシガン州
アドリアン)から市販のAddid 210のような水不溶性ポリ
エーテル改質ポリシロキサン類がある。モノー及びジエ
チレングリコールフェニルエーテル類、モノー及びジプ
ロピレングリコールフェニルエーテル類、及びベンジル
アルコールも本発明の実施に好ましく用いられるもので
ある。
【0016】水不溶性有機化合物は、インクジェットイ
ンク組成物の重量で、約1%〜約99%、好ましくは、
約1%〜約70%、より好ましくは、約3%〜約30
%、の濃度範囲にあってよい。
【0017】顔料前駆体 顔料前駆体は、一般式B(Z)zで表され、ここで、B
は少なくとも1つのN原子を含んでいる着色剤のサブ構
造(substructure)であり、Zは、約1〜約6であり、Z
は、次の一般式で表わされる。
【0018】
【化1】
【0019】ここで、Rは、アルキル、アルケニル、ア
ルキニル、又は置換アルキル、アルケニル、アルキニル
基である。この基は、顔料をほとんどの溶媒において不
溶性にする因となる顔料分子間の分子間水素結合を崩壊
もしくは排除する機能を受け持つ。(フタロシアニンに
おけるような)平面最密系における分子間のパイ−パイ
及びファンデルワールス相互作用を弱めるためにサイズ
が十分大きくなるようにRを選択する。本願発明に適切
に用いられるR基の例には、エチル、tert-ブチル、ベ
ンジル、アリル、tert-アミル及びイソプロピル等が含
まれる。適切なR基の選択は、当業者の能力の範囲内と
考えられる。限定されなければ、置換又は未置換のR基
は、典型的には、約2〜約10個の炭素から構成される
ことになろう。
【0020】N原子を介してZの部位(moiety)をBサブ
構造に結合する。しかし、Bにおける全てのNがZ部位
に結合される必要はない。従って、分子B(Z)zは、
少なくともその1つがBで見出され且つZに連結される
ところの、数個のN基を含んでいてよい。
【0021】Bは、好ましくはキナクリドン−、アント
ラキノン−、ペリレン−、インジゴ−、キノフタロン
−、イソインドリノン−、イソインドリン−、ジオキサ
ジン−、ジケトピロロピロール−、フタロシアニン−又
はアゾ−系列から選択された、既知窒素含有発色団のサ
ブ構造である。
【0022】適切な顔料下部構造の例として、以下のも
のが含まれる。
【0023】
【化2】
【0024】
【化3】
【0025】
【化4】
【0026】
【化5】
【0027】
【化6】
【0028】
【化7】
【0029】
【化8】
【0030】
【化9】
【0031】
【化10】
【0032】
【化11】
【0033】
【化12】
【0034】
【化13】
【0035】
【化14】
【0036】
【化15】
【0037】
【化16】
【0038】
【化17】
【0039】
【化18】
【0040】
【化19】
【0041】
【化20】
【0042】
【化21】
【0043】顔料前駆体は、インク組成物の重量で、約
0.1%〜約10%に、好ましくは、約1%〜約4%
に、相当してよい。
【0044】インクジェットプリンティングに有用な顔
料(トップ構造)とそれらの前駆体(顔料構造の直ぐ
下)の例には、次のものがある。
【0045】
【化22】
【0046】
【化23】
【0047】
【化24】
【0048】
【化25】
【0049】
【化26】
【0050】
【化27】
【0051】
【化28】
【0052】
【化29】
【0053】
【化30】
【0054】
【化31】
【0055】さらに別の適切な顔料前駆体の説明に関し
ては、1995年5月24日に公開されたもので且つ発
明者としてSchadell等を挙げられているEP654,7
11参照。
【0056】前駆体からの顔料の生成は、この反応を実
施可能にする当該分野で周知の任意の手段によって行っ
てよい。典型的な方法は、加熱ドラム又は融解器(約4
0℃〜約400℃、好ましくは、約100℃〜約250
℃の温度に加熱)のような熱的手段;ライトバー(light
bar)(約20〜100mJ/cm2の出力の、約200nm〜約
500nmの波長の光に露光)、又は(約200〜600
nm間の、好ましくは約250〜500nmの波長の)レー
ザ;又は適当な有機又は無機酸又は塩基によるような化
学的処理が含まれる。
【0057】顔料前駆体の生成 顔料前駆体は、通常知られている任意の手段で生成して
よい。一般に、そのプロセスは、反応性窒素部位が、1
又は2以上の次の反応物:二炭酸塩類(dicarbonates)、
トリハロ酢酸エステル類、酸クロリド類、N−ヒドロキ
シスクシンイミジルエステル類/炭酸塩類、炭酸塩類又
はアルキルデンイミノオキシギ酸エステル類(alkyliden
eiminooxy formic acid esters)に結合された状態とな
る顔料サブ構造の反応を包含する。顔料前駆体生成の例
としては、米国特許第5,484,943号及び米国特
許5,561,232号を参照。
【0058】上記の顔料/顔料前駆体構造についての一
例では、顔料をジ(t-ブチル)−二炭酸塩と反応させてt-
ブトキシ-カルボニル化顔料前駆体を生成した。
【0059】
【化32】
【0060】二相系 本願発明のインクジェット・インクは、好ましくは、そ
の相の1つが水から成る2相系で調製することができ
る。これは、安価なインク調製、使用する有機溶媒の量
が減少することにより、環境及び毒性問題の軽減を斟酌
したものである。インク中の有機溶媒濃度の低減はまた
引火性、溶媒臭気及びインクジェットペンとの材料の適
合性の困難さも軽減する。
【0061】二相インクジェット用インクベヒクルは、
2つの液相:不連続非水性相及び連続水性相から成る。
顔料前駆体は、不連続相に存在する。初期のマイクロエ
マルションから成る顔料と違って、不連続相で可溶化さ
れた顔料前駆体を使えば、コロイド顔料表面を改質する
か又は別法で顔料を脱集塊化するために分散剤を用いる
必要性が緩和される。従って、本願発明のインクジェッ
ト用インク組成物は、連続水性相と不連続相の形態でよ
く、前記不連続相は、顔料前駆体と水不溶性有機化合物
とから成る。好ましくは、両相には少なくとも1つの両
親媒性物質が存在する。任意選択で、両相と混和性の少
なくとも第2の有機化合物が存在する。両親媒性物資
は、もし存在すれば、所望の二つの相系の種類に基づい
て選択する。一般に、水不溶性有機化合物を完全に可溶
化する量のヒドロトロープがあれば、図1の領域Bの、
澄んだ、安定なマイクロエマルションとなる。別々の比
率で入れれば、ヒドロトロープは、図の領域Aにおける
ようなエマルションを生成することができる。両親媒性
物質が界面活性剤である場合は、典型的には、二相系
は、マイクロエマルション、エマルション又はリポソー
ム分散の結果をまねく。二相化学の分野に熟練した当業
者なら、所望の系に向く適切な両親媒性物質を選択する
ことは容易にできる。
【0062】ヒドロトロープ類は、一般に、熱力学的に
安定な、等方性マイクロエマルション溶液を生成し、こ
の場合、生ずる等方性溶液は、相図において比較的大き
い面積を占め且つ界面活性剤を使って作った溶液のそれ
に較べ比較的高い表面張力を有することが考えられる。
典型的には、紙媒体上のプリント品質の改善には、ヒド
ロトロープを用いて、水不溶性有機化合物を可溶化すべ
きである。他方、織物媒体上のプリンティング等の、比
較的低いプリント品質で許容されるならば、界面活性剤
類を用いて水不溶性有機化合物を可溶化してよい。
【0063】更に、インクジェットペンの信頼性は、水
性及び非水性の両方の有機相と混和性である第二の有機
化合物を使って向上させることが考えられる。考えられ
ることは、その任意の第二の有機化合物が、ノズルプレ
ート上のクラスト(crusts)又はひげ(beards)の形成を阻
止し、従って、ペンの信頼性を高める、ということであ
る。本発明のインクを含むペンがあそんでいるとき、水
(但し、高沸点水不溶性有機化合物でも又は高沸点第二
有機溶媒でもない)が、ノズルから蒸発する。水混和性
の第二有機溶媒が存在すれば、連続相に存在する材料か
ら生ずる、(最悪の場合、ひげとしても知られている)
クラスト形成が阻止される。第二有機化合物によるこの
クラスト形成の阻止によって、インクジェットペンの信
頼性を向上させる。
【0064】混和性有機溶媒 第二有機溶媒又は共溶媒は、不連続相及び連続相のどち
らとも混和性である。本発明に適切に使用される有機溶
媒には、これらに限定されるものではないが、アルカノ
ールアミン類;2−ピロリドン等のラクタム類;グリコ
ール類;1,2−又は1,5−ペンタンジオール等のジ
オール類;トリオール類;グリコールエステル類;エチ
レングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコ
ールエーテル類、ジエチレングリコールモノエチル、ブ
チル、ヘキシルエーテル類、プロピレングリコールエー
テル、ジプロピレングリコールエーテル、及びトリエチ
レングリコールエーテルを含むモノ−及びジグリコール
エーテル類;2−ペンチルアルコール等の中鎖アルコー
ル類;Vista Chemical Co.(ヒューストン、テキサス州)
から市販されているAlfonic 610−3.5又は810
−2等のオキシアルキル化アルコール類;アセチレンポ
リエチレンの酸化物類及びポリエチレンとポリプロピレ
ンの酸化物類がある。第二溶媒は、インク組成物の重量
で、約0.1%〜約20%に相当してよい。好ましく
は、それは、インク組成物の約0.1%〜約15%に、
そしてより好ましくは約0.1%〜約10%に相当して
よい。トリエタノールアミン(TEA)、ペンタンジオー
ル(PDIOL),2−ピロリドン(2P)又はそれらの混
合物類も好ましい。
【0065】両親媒性物質 両親媒性物質は、水不溶性化合物類を可溶化するのに用
いる。二相組成の範囲内で、両親媒性物質の機能は、水
と水不溶性有機化合物間の界面張力を低下させ、よっ
て、安定な系を形成することにある。両親媒性物質類
は、主として、油−水の界面に存在する。しかし、それ
らはまた、それらの水中の溶解度に起因して水性相にも
存在する(ヒドロトロープ類の場合には特にそうであ
る)。
【0066】マイクロエマルションにとっては、この場
合の両親媒性物質類の最も好ましい種類は、ヒドロトロ
ープ類である。しかし、採用される両親媒性物質は、水
不溶性有機化合物と水のマイクロエマルションを生ずる
任意の両親媒性物質であってよい。適切なヒドロトロー
プ(hydrotropic)両親媒性物質類は、一般にその他の界
面活性剤類と同様に水不溶性有機化合物を極小の液滴に
こわしてこれらの液滴をマイクロエマルションに保持す
ることにより該化合物を可溶化する。しかし、他種類の
界面活性剤類とは異なり、ヒドロトロープ両親媒性物質
類は、相図において比較的大きいマイクロエマルション
領域を生じ、従って、それらをインクジェットの用途に
より相応しいものとする。相図における大きいマイクロ
エマルション領域は、インク調製のためにそこから選択
されるベヒクルの組成の範囲をより広いものに転換させ
る。相図における大きいマイクロエマルション領域はま
たペンがあそんでいるあいだの(例えば、蒸発による)
組成の変化がペンに悪影響を及ぼさないように、より強
靱なインク組成を備えるものである。
【0067】ここで使用される両親媒性物質類の例とし
ては、N,N−ジメチル−N−ドセシルアミンオキシド
(NDAO);N,N−ジメチル−N−テトラデシルア
ミンオキシド(NTAO);N,N−ジメチル−N−ヘ
キサデシルアミンオキシド(NHAO);N,N−ジメ
チル−N−オクタデシルアミンオキシド(NOAO);
及びN,N−ジメチル−N−(Z−9−オクタデセニル)
−N−アミンオキシド(OOAO)等のアミンオキシド
類から選択されるものが含まれる。
【0068】通常の非ヒドロトロープ両親媒性物質類
(界面活性剤類)には、アルキルスルホン酸塩類、アル
キル置換ベンゼンスルホン酸塩類、ナフタレンスルホン
酸塩類、アルキルアミンオキシド類、置換アンモニウム
塩類及び非イオン性物質類がある。
【0069】ヒドロトロープ両親媒性物質は、性質上、
アニオン性、カチオン性又は非イオン性であってよい。
本発明の実施に適切に用いられるアニオン向水性両親媒
性物質類の例には、安息香酸、サリチル酸、ベンゼン
酸、ベンゼンジスルホン酸、トルエンスルホン酸、キシ
レンスルホン酸、シメンスルホン酸、ケイ皮酸、オクタ
ンスルホン酸、ヘキサンスルホン酸、ブタンスルホン酸
及びデカンスルホン酸の塩類等が含まれる。これらの塩
類と結合されるカチオンは、Na+、K+、Li+又はN
4 +であってよい。
【0070】本発明の実施に適切に用いられるカチオン
向水性両親媒性物質類の例には、これらに限定されるも
のではないが、p−アミノ安息香酸塩酸塩、プロカイン
塩酸塩、カフェイン;及びアルキルピリジウム、アルキ
ルトリメチルアンモニウム、ベンジルトリアルキル(C1
〜C4)アンモニウム及びフェニルトリメチルアンモニウ
ムカチオン類の塩類がある。これらの塩類と結合される
アニオンは、ハライド類の何れか、特にClであってよ
い。
【0071】本発明の実施に適切に用いられる非イオン
性向水性両親媒性物質類の例には、限定するものではな
いが、レゾルシノールとピロガロールがある。
【0072】二相系における両親媒性物質類の適切な量
は、水不溶性有機化合物を可溶化する量である。注目さ
れることは、発明の実施に両親媒性物質類の混合物を用
いてよい、ということである。任意の両親媒性物質の量
とその濃度の決定は、本発明の教示に鑑みて過度の実験
操作を要しないものと思われる。
【0073】マイクロエマルション類 特定の二相系に適当に用いられる両親媒性物質の量は、
少なくとも2つの方法で、即ち省略法か又はより系統的
方法で決めてよい。省略法では、先ず、水不溶性有機化
合物(群)、オプションの第二有機化合物(群)及び水
を、インクジェット・インク組成物の所望の最終組成を
反映する比で結合しなければならない。得られる二相の
液体(エマルション)を、単一相溶液に達するほどの有
機化合物の可溶化度(solubilization)を表す、澄んだマ
イクロエマルションが得られるまで、選択した両親媒性
物質(群)を使って滴定する。約1%過剰の両親媒性物
質を適宜添加して安定なマイクロエマルションを確保す
るようにしてよい。このように、上述の滴定過程を経
て、水不溶性有機化合物(群)、第二有機化合物
(群)、水、及び両親媒性物質(群)の適切な相対濃度
が決定される。
【0074】より系統的なアプローチにおいて両親媒性
物質(群)の適当量を決定する方を選んだ場合は、最初
の処理は、水不溶性有機化合物、第二有機溶媒及び水の
組合せを表す相図の構成を含む。より詳細には、相図
は、水、水不溶性有機化合物(群)及びオプションの第
二有機溶媒(群)を種々の比率で結合し、相図の範囲内
で明らかな単一相領域が決められるまで(第一終点)両
親媒性物質(群)に対して各混合物を滴定することによ
り構成される。第一終点を越えて更に滴定を進めること
で、その他の多重相又は半固体組成の領域を決めること
ができる(第二終点)。これらの結果は、従来の三角プ
ロット上にプロットされると、部分的三元相図を表す。
従って、その組成が特定のインクジェットインク用途に
関する他の判定基準を満足する限り、発明の実施におい
てこの単一相領域から任意の組成を選択することができ
る。第二有機溶媒は、連続及び不連続相の間を分割す
る。
【0075】リポソーム類 リポソームベシクル(小胞体)は当分野で周知である。
一般に、用語「リポソーム形成材料」は、実際にリポソ
ームベシクルから成る1または2以上の一次成分を指
す。典型的には、リポソーム形成材料は、極性端と非極
性端部を有する。その分子は、それ自体を、深く且つ各
非極性端部が別の非極性端部と相互作用し、極性端部が
水性溶液に露出されるように配位した二層構造の2つの
分子を組織すると考えられる。このように、その二層
は、閉鎖した水性コンパートメントを含むベシクルを形
成する。
【0076】リポソーム形成材料の例は、コハク酸トコ
フェロール、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン
又は2−アミノ-エチル−1,3−プロパンジオールで
ある。トコフェロールベシクルに関連した方法のより詳
細な記述に関しては、参考までに本願明細書に引用され
ている、米国特許第5,234,634号参照。リポソ
ーム形成材料のその他の例には、ホスファチジコリン類
(phosphatidycholines)、ホスファチジルコリン類(ph
osphatidlcholines)、ホスファチジン酸類、ホスファチ
ジルセリン類、ホスファチジルエタノールアミン類、ス
フィンゴミエリン類、カルジオリピン類、糖脂質類、ガ
ングリオシド類、コレステロール、セレブロシド類、脂
肪酸類のポリエチレングリコールエステル類及びエーテ
ル類及びそれらの混合物類が含まれる。
【0077】典型的には、リポソーム形成材料は、最終
インク組成物の重量で、約1%〜約30%で含まれてい
る。好ましい量は、リポソーム形成材料に対する顔料の
比が、重量で約2:1〜約3:1の間になるような量で
ある。水不溶性物質を閉じ込めるか(enclosed)又はカプ
セル化する標準的方法はどれを用いてもよい。標準材料
及び技術の議論に関しては、参考としてここに引用され
ている、Liposome Technology,published by CRC Press
in 1993参照されたい。
【0078】付加的添加物 本発明の要件に矛盾しないで、様々な種類の添加物をイ
ンクに用いて、特定用途に使えるようインク組成物の諸
特性を最適化してよい。例えば、熟練した当業者に周知
のように、1又は2以上の殺生物剤類、殺真菌剤類及び
/又は殺粘液剤類(微生物剤類)を当該分野で通常実施
されているようにインク組成物に用いてよい。適切に用
いられる微生物剤の例には、NUOSEPT(Nudex,Inc.)、UCA
RCIDE(Union Carbide)、VANCIDE(RT Vanderbilt Co.)、
PROXEL(ICI America)等がある。さらに、EDTAのような
金属イオン封鎖剤(sequestering agent)を含有させて重
金属不純物の有害な影響を排除してよく、また、緩衝液
を用いてインクのpHを制御してもよい。表面張力を調節
するのに界面活性剤類を添加してもよい。粘度調節剤の
ようなその他の既知添加剤を添加してインク組成の各種
特性を思うように改善してもよい。
【0079】しかし、任意選択で、本発明の組成は、ポ
リマー類、分散剤類、樹脂類、(約10,000を越え
る分子量を有する)高分子量バインダー類及びデンプン
類が実質的に無い状態で調製してもよい。「実質的に無
い」とは、インク組成の重量で、約2%未満、好ましく
は、約1%未満を意味するものとする。さらに、第二の
混和性の有機溶媒を本発明の二相系に利用してよいとは
いえ、調製、水性及び特に非水性調製は、同様に第二溶
媒が実質的に無い状態も考えられる。
【0080】実施例I 2.95g(0.0102mole)の3,6−ジフェニル-
1,4-ジケト-ピロロ[3,4−c]ピロール(DPP)を10
0mlの分子ふるい乾燥テトラヒドロフランに加えて、顔
料懸濁液を調製した。次いで、その混合物に、5.59
g(0.0256mole)のdi-tert-ブチル二炭酸塩と、
0.65g(0.00529mole)の4−ジメチルアミ
ノピリジン(触媒)を加える。その赤色懸濁液を湿気の
ない室温で3時間攪拌して、緑色の溶液を得た。次い
で、真空下で溶媒を除去し、生ずる黄色の固体を炭酸水
素ナトリウムの5%溶液を使って洗浄し、続いて蒸留水
ですすいだ。次いで、生成物、N,N'-bis-(tert-ブト
キシカルボニル)−3,6−ジフェニル−1,4−ジケ
ト−ピロロ[3,4−c]ピロールを真空乾燥した。
【0081】
【化33】
【0082】実施例II 4.43g(0.0153mole)の3,6−ジフェニル
−1,4−ジケト-ピロロ[3,4−c]ピロール(DP
P)を150mlの分子ふるい乾燥テトラヒドロフランに
加えて、顔料懸濁液を調製した。次いで、その混合物
に、9.46g(0.0384mole)のdi-tert-ペンチル
二炭酸塩と、0.98g(0.00794mole)の4−ジ
メチルアミノピリジン(触媒)とを加えた。その赤色懸
濁液を湿気の無い室温で3時間攪拌して、緑色の溶液を
得た。次いで、真空下で溶媒を除去し、生ずる黄色の固
体を炭酸水素ナトリウムの5%水溶液を使って洗浄し、
続いて蒸留水ですすいた。次いで、生成物、N,N'−b
is-(tert-ペントキシカルボニル)−3,6−ジフェニル
−1,4−ジケト-ピロロ[3,4−c]ピロールを真空
乾燥した。
【0083】
【化34】
【0084】実施例 III 1.85g(0.00504mole)のC.I.Pigment Yellow
139を100mlの分子ふるい乾燥N,N−ジメチル
ホルムアミドに加えて、顔料懸濁液を調製した。次い
で、その混合物に、8.20g(0.0376mole)のdi
-tert-ブチル二炭酸塩と、0.35g(0.00286
mole)の4−ジメチルアミノピリジン(触媒)とを加え
た。そのオレンジ色の懸濁液を湿気の無い状態で7日間
攪拌した。次いで、その混合物を、強く攪拌されている
冷却蒸留水 300mlに加えて、30から45分間混合
した。次いで、その混合物をフィルターにかけ、そして
その原固体生成物を50mlのメタノールで溶解し、再度
フィルターをかけて不溶部分を除去した。その濾(ろ)
液に250 mlの蒸留水を加えた。次いで、生ずる沈殿
物を濾過して除去し、真空乾燥した。
【0085】
【化35】
【0086】実施例 IV 1.88g(0.00405mole)のC.I.Pigment Red
177を100mlの分子ふるい乾燥N、N−ジメチルホ
ルムアミドに加えて、顔料懸濁液を調製した。次いで、
その混合物に、12.13g(0.0556 mole)のdi-
tert-ブチル二炭酸塩と、0.23g(0.00188mo
le)の4-ジメチルアミノピリジン(触媒)とを加えて、
室温で24間攪拌した。次いで、その混合物を250ml
の低温蒸留水に注いで、30分間急速攪拌した。次い
で、黄色沈殿物を蒸留水で洗浄し、室温で減圧乾燥し
た。
【0087】
【化36】
【0088】実施例 V 3.0gのN,N-bis-(t-ブトキシカルボニル)−3,
6−ジフェニル−1,4−ジケト-ピロロ[3,4−c]
ピロール(実施例 I参照)を97.0gのキシレンに溶
解した。得られるインク組成を8時間混合した。
【0089】結果得たインク組成物を従来のインクジェ
ットカートリッジに入れて、サーマル又はピエゾ式イン
クジェットプリンタの何れかを使って普通紙上にプリン
トするのに使用する。プリント後、そのプリントした用
紙を10mm/秒の速度で180〜190℃の温度の
(レーザプリンタに使われているような)融解器(fuse
r)中に通した。プリントされた顔料前駆体は、二酸化炭
素とイソブテンのガス脱離によって黄色から原赤色(nat
ive red)顔料に転換され、プリントページ上で容易に見
えるようになる。このインク組成によって、ほとんど又
は全くにじみの無い高品質のプリントと、原赤色顔料使
用の従来のインクに対応する性能とがもたらされた。そ
の上、急速な乾燥時間がみられた。
【0090】実施例 VI 3.0gのN,N−bis−(t-ブトキシカルボニル)−
3,6−ジフェニル−1,4−ジケト−ピロロ[3,4
−c]ピロール(実施例 I参照)を30.0gのエチレ
ングリコールモノフェニルエーテルに溶解した。溶解
後、次いで、590.gの脱イオン水に溶かした80.
gのキシレンスルホン酸ナトリウムの溶液に顔料前駆体
の溶液を加え、そして十分混合してマイクロエマルショ
ンを生成させた。
【0091】結果得られたマイクロエマルションのイン
ク組成物を従来のインクジェットカートリッジに入れ
て、サーマル又はピエゾ式インクジェットプリンタの何
れかを使って普通紙上にプリントするのに使用した。プ
リント後、そのプリントした用紙を10mm/秒の速度
で180〜190℃の温度の(レーザプリンタ類及び複
写機類に使われているような)融解器中に通す。黄色の
顔料前駆体は、二酸化炭素とイソブテンのガス脱離によ
って原赤色(native red)顔料に転換し戻され、プリント
ページ上で容易に見えるようになる。このインク組成に
よって、ほとんど又は全くにじみの無い高品質のプリン
トと、原赤色顔料使用の従来のインクに対応する性能が
もたらされた。その上、急速な乾燥時間がみられた。
【0092】実施例 VII 3.0gのN,N'−bis-(t-ブトキシカルボニル)−
3,6−ジフェニル−1,4−ジケト-ピロロ[3,4−
c]ピロール(実施例 I参照)を30.0gのエチレン
グリコールモノフェニルエーテルに溶解した。溶解後、
次いで、62.0gの脱イオン水に溶かした5.0gの
キシレンスルホン酸ナトリウムの溶液に顔料前駆体の溶
液を加え、そして十分混合してエマルションを生成させ
た。
【0093】結果得たエマルションインク組成物を従来
のインクジェットカートリッジに入れて、サーマル又は
ピエゾ式インクジェットプリンタの何れかを使って普通
紙上にプリントするのに使用する。プリント後、そのプ
リントした用紙を10mm/秒の速度で180〜190
℃の温度の(レーザプリンタ類及び複写機類に使われて
いるような)融解器中に通す。黄色の顔料前駆体は、二
酸化炭素とイソブテンのガス脱離によって原赤色顔料に
転換し戻され、プリントページ上で容易に見えるように
なる。このインク組成によって、ほとんど又は全くにじ
みの無い高品質のプリントと、原顔料使用の従来のイン
クに対応する性能がもたらされた。その上、急速な乾燥
時間がみられた。
【0094】実施例 VIII 36.0gのN、N-bis-(t-ブトキシカルボニル)−
3,6−ジフェニル−1,4−ジケト-ピロロ[3,4−
c]ピロール(実施例 I参照)を100.0gのシクロ
ペンタノンに分散させた。次いで、顔料前駆体溶液を、
415gの脱イオン水、36.0gのジエチレングリコ
ール、10.6gのビタミンEコハク酸塩、及び2.4
gのトリス緩衝液と混合する。次いで、この混合物を、
粒子サイズが125nmに減少するまで10,000psi
の圧力で微小流動させる。次いで、上記顔料濃縮物7
5.0gを、脱イオン水中の25.0gの4%Triton C
F21界面活性剤で希釈して、最終インクを得た。
【0095】結果得たインク組成物を従来のインクジェ
ットカートリッジに入れて、サーマル又はピエゾ式イン
クジェットプリンタの何れかを使って普通紙上にプリン
トするのに使用した。プリント後、そのプリントした用
紙を10mm/秒の速度で180〜190℃の温度の
(レーザプリンタ類及び複写機類に使われているよう
な)融解器中に通す。黄色の顔料前駆体は、二酸化炭素
とイソブテンのガス脱離によって未変性赤色顔料に転換
し戻され、プリントページ上で容易に見えるようにな
る。このインク組成によって、ほとんど又は全くにじみ
の無い高品質のプリントと、原赤色顔料使用の従来のイ
ンクに対応する性能とがもたらされた。
【0096】産業上の用途 本願発明のインクジェット用インク組成と、本願明細書
に開示されたようにインクジェットプリンティングに際
して高い信頼性をもってにじみを制御し且つ乾燥時間を
短縮するための方法とは、インクジェットプリンティン
グにおいて業務上の用途を見出すものと期待される。明
らかな特性の種々の変更並びに修正は、発明の精神から
逸れることなく成し得ることは、熟練した当業者には自
明のことであり、容易に理解される。
【0097】以上、本発明の実施例について詳述した
が、以下、本発明の各実施態様の例を示す。 (実施態様1)水不溶性有機化合物と、化学的、熱的、
光分解的又は放射線的手段によって不溶性顔料に転換さ
せる顔料前駆体と含み、前記顔料前駆体は前記有機化合
物に溶解するることを特徴とするインクジェット用イン
ク組成物。 (実施態様2)前記水不溶性有機化合物は、水不溶性エ
チレンオキシ油類、水不溶性プロピレンオキシ油類、水
不溶性モノグリコールエーテル類、水不溶性ポリグリコ
ールエーテル類、水不溶性モノグリコールフェニルエー
テル類、水不溶性ポリグリコールフェニルエーテル類、
水不溶性アルコール類、水不溶性モノグリコールエステ
ル類、水不溶性ポリグリコールエステル類、水不溶性テ
ルペン類、水不溶性フェノール類、水不溶性アルデヒド
類及びケトン類、水不溶性ポリエーテル修飾ポリシロキ
サン、水不溶性炭化水素類及びそれらの混合物類から成
る群から選択されることを特徴とする前項(1)記載のイ
ンク組成物。 (実施態様3)前記1つの水不溶性有機化合物は、モノ
エチレングリコールフェニルエーテル類、ポリエチレン
グリコールフェニルエーテル類、モノプロピレングリコ
ールフェニルエーテル類、ポリプロピレングリコールフ
ェニルエーテル類、エチレングリコールエステル類、プ
ロピレングリコールエステル類、ポリエチレングリコー
ルエステル類、ポリプロピレングリコールエステル類、
トルエン、キシレン類、ナフタレン、フェナントレン、
ベンジルアルコール、アルファテルピネオール、シトロ
ネラール、ヒドロキシシトロネラール、シクロヘキシル
メタノール、シクロヘキサノン及びそのアルキル(C1
8)誘導体類、シクロヘキサノール及びそのアルキル
(C1〜C8)誘導体類、シクロペンタノン及びそのアルキ
ル(C1〜C8)誘導体類、シクロペンタノール及びそのア
ルキル(C1〜C8)誘導体類、オイゲノール、1-ヘプタノー
ル、n−ヘキサノール、2−ヘキサノール、n−ペンタ
ノール、シンナミルアルコール、シンナムアルデヒド、
m−クレゾール、3−フェニル−1−プロパノール、サ
リチルアルデヒド、2−エチル−1、3−ヘキサンジオ
ール、7−オクテン−1,2−ジオール、2,2−ジエ
チル−1,3−プロパンジオール、1−ベンジル−2−
ピロリジノン、ポリカプロラクトントリオール及びそれ
らの混合物類から成る群から選択されることを特徴とす
る前項(2)記載のインク組成物。 (実施態様4)前記顔料前駆体は、窒素含有発色団の顔
料下部構造から誘導されることを特徴とする前項(1)記
載のインク組成物。 (実施態様5)前記窒素含有発色団のサブ構造は、キナ
クリドン−、アントラキノン−、ペリレン−、インジゴ
−、キノーフタロン−、イソインドリノン−、イソイン
ドリン−、ジオキサジン−、ジケトピロロピロール−、
フタロシアニン−アゾ系列、及びそれらの混合物類から
成る群から選択されることを特徴とする前項(4)記載の
インク組成物。 (実施態様6)前記サブ構造群は、以下の式を有するこ
とを特徴とする前項(5)記載のインク組成物。
【化37】
【化38】
【化39】
【化40】
【化41】
【化42】
【化43】
【化44】
【化45】
【化46】
【化47】
【化48】
【化49】
【化50】
【化51】
【化52】
【化53】
【化54】
【化55】
【化56】 (実施態様7)前記水不溶性有機化合物は、約1〜約9
9重量の範囲の量で存在し、前記顔料前駆体は、約0.
1〜約10重量%の範囲の量で存在することを特徴とす
る前項(1)記載のインク組成物。 (実施態様8)少なくとも1つの水不溶性有機化合物
と、化学的、熱的、光分解的又は放射線的手段によって
不溶性顔料に転換させ得る少なくとも1つの顔料前駆体
と含む水不溶性有機相と、水相と含む顔料ベースのイン
ク組成物。 (実施態様9)前項(8)記載のインク組成物はさらに少
なくとも1つの両親媒性物質を含み、前記両親媒性物質
が前記水不溶性有機化合物を可溶化するのに十分な量で
存在することを特徴とするインク組成物。 (実施態様10)前記少なくとも1つの両親媒性物質
は、アルキルスルホン酸塩類、アルキル置換ベンゼンス
ルホン酸塩類、ナフタレンスルホン酸塩類、アルキルア
ミンオキシド類、置換アンモニウム塩類、非イオン性物
質類及びそれらの混合物類から成る群から選択されるこ
とを特徴とする前項(9)記載のインク組成物。 (実施態様11)前記インク組成物はマイクロエマルシ
ョンであることを特徴とする前項(9)記載のインク組成
物。 (実施態様12)前記インク組成物はエマルションであ
ることを特徴とする前項(9)記載のインク組成物。 (実施態様13)前記両親媒性物質は、ヒドロトロープ
であり、安息香酸、サリチル酸、ベンゼンスルホン酸、
ベンゼンジスルホン酸、トルエンスルホン酸、キシレン
スルホン酸、クメンスルホン酸、シメンスルホン酸、ケ
イ皮酸、オクタンスルホン酸、ヘキサンスルホン酸、ブ
タンスルホン酸、及びデカンスルホン酸、p-アミノ安息
香酸塩酸塩、プロカイン塩酸塩、カフェインの塩類、ア
ルキルピリジウム、アルキルトリメチルアンモニウム、
ベンジルトリアルキル(C1〜C4)アンモニウム、フェ
ニルトリメチルアンモニウムカチオン類、レゾルシノー
ル、ピロガロールの塩類及びそれらの混合物類から成る
群から選択されることを特徴とする前項(11)記載のイン
ク組成物。 (実施態様14)前記ヒドロトロープ両親媒性物質は、
キシレンスルホン酸ナトリウム、サリチル酸ナトリウ
ム、安息香酸ナトリウム及びそれらの混合物類から成る
群から選択されることを特徴とする前項(13)記載のイン
ク組成物。 (実施態様15)前項(8)記載のインク組成物はさらに
水相及び有機相の両方と混和できる第二の有機化合物を
含むことを特徴とするインク組成物。 (実施態様16)前記第二の有機溶媒は、アルカノール
アミン類、ラクタム類、グリコール類、ジオール類、ト
リオール類、グリコールエステル類、モノーグリコール
エーテル類、ジーグリコールエーテル類、中鎖アルコー
ル類、オキシアルキル化アルコール類、アセチレンポリ
エチレンオキシド類、ポリエチレンオキシド類、ポリプ
ロピレンオキシド類、及びそれらの混合物類から成る群
から選択されることを特徴とする前項(15)記載のインク
組成物。 (実施態様17)前記の第二有機溶媒が、2−ピロリド
ン、1,2−ペンタンジ オール、1,5−ペンタンジオール、エチレングリコー
ルモノブチルエーテル、ジエチレングリコールエーテル
類、ジエチレングリコールモノエチル、ジエチレングリ
コールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ
ヘキシルエーテル、プロピレングリコールエーテル、ジ
プロピレングリコールエーテル、トリエチレングリコー
ルエーテル、2-ペンチルアルコール、アセチレンポリエ
チレンオキシド、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレ
ンオキシド及びそれらの混合物類から成る群から選択さ
れることを特徴とする前項(16)記載のインク組成物。 (実施態様18)前項(8)記載のインク組成物はリポソ
ームの形態であることを特徴とするインク組成物。 (実施態様19)次の(イ)から(ロ)の工程を含むン
クジェットプリント方法。 (イ)少なくとも1つの水不溶性有機化合物と化学的、
熱的、光分解的、又は放射線的手段によって不溶性顔料
に転換させる少なくとも1つの顔料前駆体を含む水不溶
性有機相と、水相の二相組成の顔料ベースのインク組成
物を生成し、(ロ)前記インク組成をインクジェットペ
ンによりプリント媒体上にプリントする。 (実施態様20)前項(19)記載のインクジェットプリン
ト方法はさらに化学的、光分解的、熱的に、レーザ又は
照射源により、顔料前駆体から顔料を局部的に生成させ
る工程を含むことを特徴とするインクジェットプリント
方法。
【図面の簡単な説明】
図1は、有機化合物類、両親媒性物質、及び水の特定の
組合せを有する本願発明のインク組成物として使用され
る組成領域を示す三元相図。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C09K 9/02 C09K 9/02 Z B41J 3/04 101Y

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】水不溶性有機化合物と、化学的、熱的、光
    分解的又は放射線的手段によって不溶性顔料に転換させ
    る顔料前駆体と含み、前記顔料前駆体は前記有機化合物
    に溶解する
  2. 【請求項2】少なくとも1つの水不溶性有機化合物と、
    化学的、熱的、光分解的又は放射線的手段によって不溶
    性顔料に転換させ得る少なくとも1つの顔料前駆体と含
    む水不溶性有機相と、水相と含む顔料ベースのインク組
    成物。
  3. 【請求項3】次の(イ)から(ロ)の工程を含むンクジ
    ェットプリント方法。 (イ)少なくとも1つの水不溶性有機化合物と化学的、
    熱的、光分解的、又は放射線的手段によって不溶性顔料
    に転換させる少なくとも1つの顔料前駆体を含む水不溶
    性有機相と水相の二相組成の顔料ベースのインク組成物
    を生成し、 (ロ)前記インク組成をインクジェットペンによりプリ
    ント媒体上にプリントする。
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