JPH11250438A - 磁気記録媒体、磁気記録媒体の製造方法及び磁気記録装置 - Google Patents

磁気記録媒体、磁気記録媒体の製造方法及び磁気記録装置

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JPH11250438A
JPH11250438A JP5475398A JP5475398A JPH11250438A JP H11250438 A JPH11250438 A JP H11250438A JP 5475398 A JP5475398 A JP 5475398A JP 5475398 A JP5475398 A JP 5475398A JP H11250438 A JPH11250438 A JP H11250438A
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JP5475398A
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English (en)
Inventor
Hideyuki Akimoto
秀行 秋元
Tomoaki Okuyama
智明 奥山
Iwao Okamoto
巌 岡本
Masaki Shinohara
正喜 篠原
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Fujitsu Ltd
Original Assignee
Fujitsu Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 磁気記録媒体及び磁気記録媒体の製造方法に
関し、高いSN比を有し、高密度記録に適した磁気記録
媒体及びその製造方法を提供すること 【解決手段】 少なくとも磁性層5の下方に下地層を備
えた磁気記録媒体であって、該下地層は、酸化ニッケル
膜から成る第一下地層3と、前記第一下地層3の上に形
成されたCr系金属膜から成る第二下地層4とを有して
いる。この第一下地層3を形成する酸化ニッケル膜は、
NiO,NiO2 ,Ni3 4 及びNi2 3 のいずれ
かの単一組成膜又はこれらの混合物からなり、その膜厚
が3nm以下であることを特徴とする。なお、この磁性
層5は、Co系の磁性材料からなっており、第二下地層
4を形成するCr系金属膜はCrとMoを有している。
このような構成を採択することにより、磁気記録媒体
は、従来のそれに比較して、SN比が大幅に改善される
ことが判明した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、磁気記録媒体,磁
気記録媒体の製造方法及び磁気記録装置に関し、更に具
体的には、ノイズを下げ、SN比を向上させ、高密度記
録を実現させた磁気記録媒体,磁気記録媒体の製造方法
及び磁気記録装置に関する。
【0002】
【従来の技術】パーソナル・コンピュータ,エンジニア
リング・ワークステーション等のOA機器の外部記憶装
置として広く用いられている磁気ディスク駆動装置(以
下、「HDD」ともいう。)は、情報量の増大及び機器
の小型化に伴い益々大容量化及び小型化されつつある。
これらの要求から、HDDの主要構成部品の1つである
磁気ディスクの高記録密度化は、1991年以前は10
年に約10倍の割合で進行し、従来は2000年頃に面
記録密度が103 Mb/in2 (1Gb/in2)にな
ると予測されていた。
【0003】しかし、最近の高密度化の動きは予想以上
に速く、特に3.5インチ以下の小型HDDにおいて
は、新しいタイプの磁気ヘッド(MRヘッド)及び新し
いタイプの記録再生方式(PRML方式)の採用と相ま
って飛躍的に向上し、1995年頃に1Gb/in2
の面記録密度が実現されている。HDDの主要な構成要
素の1つである磁気ディスクは、現在まで、アルミナを
混合したγ酸化鉄を樹脂に分散して塗布,焼成,硬化す
る塗布型媒体、CoNiP等の磁性薄膜をメッキにより
被覆するメッキ型磁気ディスク及びγ酸化鉄薄膜をスパ
ッタリングで成膜するフェライト媒体が主として実用化
されてきた。
【0004】近年、5.25インチ以下の中・小型磁気
ディスクでは、CoNi,CoCrTa,CoPtCr
などのCo系金属磁性薄膜がスパッタリング法により成
膜さる金属スパッタ媒体が主流になっている。これは、
磁気特性が容易に制御でき、小型化による線速度の低下
を補える大きな残留磁気密度が得られるためである。一
方、磁気ディスクに対応する磁気ヘッドとして従来から
磁気誘導型ヘッドが広く使われているが、ディスク装置
の小型化・大容量化を実現するため、一層高性能なヘッ
ドとして磁気抵抗効果型ヘッド(Magneto-Resistive he
ad)が開発され、実用化されている。このようなMR素
子は従来の磁気誘導型に比べ極めて高い磁場検出能力を
持つため、同一条件で比較した場合、5〜10倍の高い
出力が得られ、記録密度向上が可能になっている。最近
では、スピンバルブ膜を典型例とする、更に高感度な巨
大磁気抵抗効果型ヘッド(Giant Magneto-Resistive he
ad)の開発も進んでいる。
【0005】ここで当然ながら、磁気ディスクの媒体ノ
イズも再生信号とともに高感度で検出されることにな
る。即ち、磁気ディスク装置のSN比が媒体ノイズに大
きく左右されることになり、超低ノイズの磁気ディスク
媒体の開発が不可欠となっている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】図6(A)は、従来技
術に係る磁気ディスク断面構造を示し、図6(B)はこ
の磁気ディスクの製造工程のフローを示す図である。図
6(A)及び(B)を参照すると、ステップS101に
おいて、アルミ合金基板100が形成される。
【0007】ステップS102において、Al合金基板
1の上に、NiPメッキ層200が形成される。ステッ
プS103において、NiPメッキされたアルミ合金基
板は、両面研磨加工される。ステップS104におい
て、両面研磨されたNiPメッキ・アルミ合金基板に対
し、テクスチャ加工が行われる。
【0008】ステップS105において、テクスチャ加
工が施されたNiPメッキ・アルミ合金基板は洗浄され
る。この洗浄工程を経た清浄なNiPメッキ・アルミ合
金基板は、対向ターゲット・スパッタリング装置を用い
て、Cr合金膜の下地層400(ステップS107)、
磁性層500(ステップS108)、カーボン保護膜6
00(ステップS109)の順にスパッタ膜が形成され
る。図6(B)において、これらの成膜工程を二重枠の
ブロックで表示する。なお、ここで、図6(B)に示す
製造工程フローでステップS106が抜けているのは、
後で図2を用いて説明する本発明の実施形態に係る製造
工程フローの対比において、その相違を明確にするため
である。
【0009】ステップS110において、カーボン保護
膜600の上に、潤滑層700が形成される。以上の製
造工程を経て、ステップS111において、仕上がった
磁気ディスクに対して評価試験を行う。しかし、このよ
うな、アルミ合金基板などの非磁性体の上に、Cr合金
膜400を用いた下地膜を介して、Coを主成分とする
合金を磁性膜400(記録膜)とする磁気ディスクにお
いては、十分なSN比が得られていない。
【0010】また、HDDの面記録密度は、トラック密
度と線記録密度で決定される。上述の磁性層の特性の改
善は、この内の線記録密度の改善に大きく寄与する。磁
気記録では、磁化の向きが反転した部分(磁化反転)に
データを対応させる。磁化反転の長さは、磁気ディスク
の特性に左右される。磁性層の保磁力Hcに反比例し、
残留磁束密度Brと厚さtの積に比例することが知られ
ている。従って、線記録密度の高い磁気ディスクを作る
には、磁性層のHcを高め、Br・tを小さくすればよ
い。
【0011】現在、MRヘッド,GMR ヘッド(例えば、
ヘッドスピンバルブ・ヘッド)等の磁気ヘッドと磁気デ
ィスクの組み合わせにおいて、磁気ディスクの磁性層5
00の膜厚tと残留磁束密度Brの積Br・tは、12
0Gμm以下にする必要があるといわれている。従っ
て、このBr・t≦120Gμmの要求も満足する必要
がある。
【0012】従って、本発明は、高いSN比を有し、高
密度記録に適した磁気記録媒体を提供することを目的と
する。更に本発明は、高いSN比を有し、磁性層の膜厚
と残留磁化の積Br・tが、120Gμm以下であり、
高密度記録に適した磁気記録媒体を提供することを目的
とする。
【0013】更に本発明は、高いSN比を有し、高密度
記録に適した磁気記録媒体の製造方法を提供することを
目的とする。更に本発明は、高いSN比を有し、高密度
記録に適した磁気記録装置を提供することを目的とす
る。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明は、少なくとも磁
性層の下方に下地層を備えた磁気記録媒体であって、該
下地層は、酸化ニッケル膜から成る第一下地層と、前記
第一下地層の上に形成されたCr系金属膜から成る第二
下地層とを有している。この第一下地層を形成する酸化
ニッケル膜は、NiO,NiO2 ,Ni3 4 及びNi
2 3 のいずれかの単一組成膜又はこれらの混合物から
なり、その膜厚が3nm以下であることを特徴とする。
なお、この磁性層は、Co系の磁性材料からなってお
り、第二下地層を形成するCr系金属膜はCrとMoを
有している。
【0015】このような構成を採択することにより、磁
気記録媒体は、従来のそれに比較して、SN比が大幅に
改善されることが判明した。本発明者等は、その原因
を、第一及び第二下地層の組み合わせによる格子整合、
第二下地層を形成する酸化ニッケル膜による磁性層の微
粒子化によるものと推定している。更に、本発明に係る
磁気記録媒体が磁気ディスクを構成している。
【0016】更に、本発明に係る磁気記録媒体が磁気デ
ィスクを構成し、該磁気ディスクは、NiPメッキされ
たアルミ・サブストレートと、前記アルミ・サブストレ
ートの上に形成された前記第一下地層と、該第一下地層
の上の形成された前記第二下地層と、前記第二下地層の
上に形成された前記磁性層と、前記磁性層の上に形成さ
れたカーボン保護膜と、前記カーボン保護膜の上に形成
された潤滑層とを有している。
【0017】このような磁気ディスクは、磁性層自体の
構成は従来と変更がないため、従来と同様に、磁性膜の
膜厚tと残留磁束Brの積Br・tが、120Gμm以
下である。更に本発明に係る磁気記録媒体の製造方法
は、少なくとも、酸化ニッケル膜から成る第一下地層を
成膜し、前記第一下地層の上にCr系金属膜から成る第
二下地層を成膜し、第二下地層の上に磁性層を成膜する
諸工程を有している。これら第一下地層の成膜工程,第
二下地層の成膜及び磁性層の成膜工程は、何れもスパッ
タリング法によっている。この際、第一下地層を形成す
る酸化ニッケル膜は、膜厚が3nm以下に成膜される。
【0018】磁気記録媒体の製造方法に関して、このよ
うな諸工程を採用することにより製造された磁気記録媒
体は、従来のそれに比較して、SN比が大幅に改善され
ることが判明した。その原因を、本発明者等は上述のよ
うに推定している。更に、本発明に係る磁気記録装置
は、少なくとも、請求項1に記載の磁気記録媒体と、該
磁気記録媒体に対向して配されたMRヘッド又はGMR ヘ
ッドから成る磁気ヘッドとを備えている。
【0019】MRヘッド又はGMR ヘッドの様な磁気ヘッ
ドは、高感度で信号を検出するため、再生信号と共にノ
イズも感度良く検出されるが、上述のようなSN比に優
れた磁気記録媒体を使用することで、磁気記録装置は一
層の高密度記録が達成できる。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る磁気記録媒
体,磁気記録媒体の製造方法及び磁気記録装置の各々の
実施の形態について、添付の図面を参照しながら説明す
る。 [磁気ディスク及びその製造方法] (磁気ディスクの構成及び製造方法)図1及び図2を参
照しながら本実施形態に係る磁気記録媒体及び磁気記録
媒体の製造方法について説明する。ここで、図1は、具
体的には磁気ディスク記録媒体の断面構造を示す図であ
り、図2は、具体的には磁気ディスク記録媒体の製造方
法を示す図である。
【0021】図1の磁気ディスク断面構造は、図6
(A)の従来のそれと比較して、第一下地層3が追加さ
れている点で相違する。これに対応して、図2の磁気デ
ィスク記録媒体の製造方法は、図6(B)のそれと比較
して、ステップS06の第二下地層形成工程が追加され
ている点で相違する。図2及び図1を対照しながら参照
すると、ステップS01において、ハード・ディスク用
ディスク基板として、アルミ合金基板1が形成される。
このアルミ合金としては、好ましくは、強度及び耐食性
が優れている、例えば、Al−Mg合金のAA−508
6をベースに種々改良された材料が使用される。このよ
うな磁気ディスクに許される欠陥の基準は、HDD(ハ
ード・ディスク駆動装置)においてエラー訂正の手法が
発達したものの、実質的には一層厳しくなりつつある。
【0022】アルミ合金材料としては、後工程において
欠陥を生じる原因の一つとなるAl−Fe,Mg−Si
などの金属間化合物の含有量を極力する少なくするため
に高純度化し、又、それらが存在する場合には欠陥を生
じない大きさにまで小さくし、均一に分散させる必要が
ある。得られたアルミ合金の箔板は、ブランキング(型
抜き)、熱処理、、面取り加工、砥石による研磨等の作
業を経て、アルミ合金基板(「アルミ・サブストレー
ト」とも称される。)に仕上げられる。アルミ・サブス
トレートは、物理的特性として、例えば、3.5インチ
磁気ディスクでは平面度8μm,面粗さRa0.04μ
m程度が要求されるが、高記録密度化のため要求仕様は
年々厳しくなっている。このようにして、図1のAl合
金基板1が形成される。
【0023】ステップS02において、Al合金基板1
の上に、NiPメッキ層2が形成される。NiPメッキ
層2の膜厚は、約10nmである。磁気ディスク基板と
しては、磁気ヘッドを低く浮上させるため平面度が良
く、表面が平滑であることが必要である。その為には上
述のアルミ・サブストレート自体の良好な平面度や面精
度が前提となるが、ディスク起動時と停止時におけるヘ
ッドとの接触に耐えるだけの充分な硬さ、及びディスク
表面を高精度に仕上げるための研磨加工を可能にする表
面硬度を持たせるため、柔らかいアルミ・サブストレー
ト上に硬質メッキ層が必要となる。このために、NiP
メッキ層2が設けられている。
【0024】また、このNiPメッキ層2は記録情報の
再生時にノイズが生じないよう、後述のスパッタ工程に
おける加熱を経ても非磁性であることが要求される。従
って、本来磁性であるNiに、無電界メッキ作業におい
てPを含有させて非晶質・非磁性化させている。ステッ
プS03において、NiPメッキされたアルミ合金基板
は、両面研磨加工される。NiPメッキ・アルミ合金基
板は、メッキ膜特有のノジュールなどの小突起を持ち面
粗さが大きいため、両面同時バフ研磨でアルミナ等の砥
粒を用い鏡面仕上げを行う。3.5インチ両面研磨され
たNiPメッキアルミ合金基板の一般的な仕様は、平面
度8μm,面粗さRa0.001μm程度である。この
ようにして、図1のNiPメッキ層2が形成される。
【0025】ステップS04において、両面研磨された
NiPメッキされたアルミ合金基板に対し、テクスチャ
加工が行われる。このテクスチャ加工は、ディスク起動
時と停止時時におけるヘッドの吸着を防止するため、機
械加工によって適度な粗さ(テクスチャ)を付与する工
程である。磁気ディスクがヘッドと接触する際の摩擦力
を減らし、適当な溝加工を行って両者の接触面積を小さ
くしている。
【0026】ステップS05において、テクスチャ加工
が施されたNiPメッキ・アルミ合金基板は洗浄され
る。洗浄工程を経た清浄なNiPメッキ・アルミ合金基
板は、対向ターゲット・スパッタリング装置を用いて、
第一下地層(ステップS06)、第二下地層(ステップ
S07)、磁性層(ステップS08)、カーボン保護膜
(ステップS09)の順にスパッタ膜が形成される。図
2において、これらの部分は、各工程のボックスが二重
枠で示してある。本実施形態では、静止対向式ターゲッ
ト・スパッタリング装置を用い、対向した2つのターゲ
ットの中間に基板を1枚ずつ搬送して停止し、任意所定
の膜厚に達するまでスパッタリング成膜する。成膜後、
基板は別のターゲット上に移送して停止し、成膜し、こ
うして4種類の材料を順次成膜する。しかし、成膜は、
静止対向式ターゲット・スパッタリング装置に限定され
ず、例えば基板搬送式(インライン・スパッタリング)
装置を使用してもよい。
【0027】良好な磁気特性を得るため、各成膜工程で
は、スパッタリング時のバックグランド圧力、アルゴン
圧、スパッタ電力等の条件は最適なものに制御される。
スパッタリング条件の違いによって、組成の他にも結晶
構造や粒子状態も変化し磁気特性の変化をもたらすから
である。以下、順に説明する。ステップS06におい
て、NiPメッキ層2の上に、第一下地層3が形成され
る。第一下地層3は、膜厚3nm以下のNiO膜から成
る。このNiO膜は、NiO,NiO2 ,Ni3 4
びNi2 3のいずれかの単一組成膜又はこれらの混合
物であってよい。ステップS06における第一下地層3
の具体的な形成は、RF(高周波)マグネトロン・スパ
ッタ法を用いて行われる。先ず、成膜前に、成膜室の真
空度を約3×10-7 Torr以下に排気し、アルミサ
ブストレートの温度を約280℃に加熱する。第一下地
層3の成膜時には、成膜室の真空度を約25mTorr
に保つように成膜室にArガスを導入し、印加バイアス
電圧はゼロボルトとして、成膜作業を行っている。この
ようにして、図1の第一下地層3が形成される。
【0028】ステップS07において、第一下地層3の
上に、第二下地層4が形成される。第二下地層4は、磁
性層5の磁気特性を発現させるため成膜され、Cr膜又
はCr系合金膜が用いられる。本実施形態では、第二下
地層4は膜厚約25nmのCr90Mo10膜(at%)が
用いられる。ステップS07における第二下地層4の具
体的な形成は、成膜時には、成膜室の真空度を約5mT
orrに保つように成膜室にArガスを導入し、印加バ
イアス電圧は−200ボルトとして、作業を行ってい
る。このようにして、図1の第二下地層4が形成され
る。
【0029】ステップS08において、第二下地層4の
上に、磁性層5が形成される。磁性層5は、Coを主成
分とし、保磁力などの磁気特性やノイズを制御するため
CrやPt等の添加物を加えたCoPtCr系合金薄膜
から成る。ここで、磁性層5における磁気特性やノイズ
制御特性に関しては、磁気異方性や結晶構造が反映する
ので、Co,Pt,Crの組成及び第二下地層4の膜厚
等の最適化によりノイズ特性の改善が図られている。こ
のため、磁性層5の下層にはCr系の第二下地層4を用
い、また、アルミサブストレートにはステップS04の
テクスチャ加工が施されている。
【0030】本実施形態では、磁性層5は膜厚25nm
のCo72Cr19Pt5 Ta2 Nb2膜(at%)が用い
られる。ステップS08における磁性層5の具体的な成
膜条件は、第二下地層のそれと同じである。即ち、成膜
時には、成膜室の真空度を約5mTorrに保つように
成膜室にArガスを導入し、印加バイアス電圧は−20
0ボルトとして、作業を行っている。磁性層5として
は、所望により、その他の材料、例えば、CoNiC
r,CoCrTa等の合金膜を用いることもできる。こ
のようにして、図1の磁性層5が形成される。
【0031】ステップS09において、磁性層5の上
に、カーボン保護膜6が形成される。この工程で形成さ
れる保護膜と次工程で形成される潤滑層は、磁性層5を
磁気ヘッドの接触摺動による破壊から防御するために設
けられている。従って、保護膜及び潤滑層は、夫々の特
性の他に両者の界面の特性が重要となる。カーボン保護
膜6には、硬度,ヤング率,内部応力,付着力等の機械
的等特性が必要とされる。本実施形態では、図1のカー
ボン保護膜6は、例えば、膜厚約8nmの炭素皮膜から
成る。ステップS09におけるカーボン保護膜6の具体
的な成膜条件は、成膜室の真空度を約10mTorrに
保つように成膜室にArガスを導入し、印加バイアス電
圧はゼロ ボルトとして、作業を行っている。このよう
にして、図1のカーボン保護膜6が形成される。
【0032】ステップS10において、カーボン保護膜
6の上に、潤滑層7がディッピング式によって形成され
る。潤滑層形成は、低いグライド高さ(ヘッド浮上高
さ)と耐摺動性とを両立させるためである。従って、潤
滑層7には、摩擦係数,境界潤滑性,自己修復性,ステ
ィクション特性,スピンオフ特性,耐蒸発性,耐分解性
等が重要な特性である。
【0033】ここで、スティクション特性とは極めて平
滑な面間に液体が存在すると、その表面エネルギーによ
りその2面間に大きな力が働く現象をいい、スピンオフ
特性とは、磁気ディスクの回転に伴う遠心力により潤滑
剤が飛散する特性をいう。また、潤滑分子は保護膜表面
に物理吸着又は化学吸着により付着し、且つ潤滑性を有
する必要がある。
【0034】潤滑層7としては、一般に、PFPE(パ
ーフロロポリエーテル)系の潤滑剤が最も広く使用され
ている。本実施形態では、図1の潤滑層7は膜厚約20
〜30ÅのPFPEから成る液体潤滑剤が用いられ、デ
ィップ式により潤滑層が形成されている。しかし、この
潤滑層7は、所望により、例えばスプレー式のような他
の方式によって形成することもできる。このようにし
て、図1の潤滑層7が形成される。
【0035】以上の製造工程を経て、ステップS11に
おいて、図1に示すように仕上がった磁気ディスクに対
して評価試験を行う。評価試験は、主として、グライド
テスト及びサーティファイから成る。グライドテスト
は、所定のグライド高さを保証するため、予め出力校正
されたピエゾ素子を搭載したヘッドを保証すべき高さで
浮上させ、ディスク保証領域においてヘッド・ディスク
間の接触が全く無いことを確認する試験である。
【0036】サーティファイは、完成した磁気ディスク
をディスク駆動装置に搭載し、実際に駆動して、記録再
生特性、欠陥数等を検査し、要求仕様を満足しているか
否かを確認する試験である。 (第一及び第二下地層の機能)現在までの所、上述した
Co系磁性層5の下地として、NiO膜から成る第一下
地層3とCr系第二下地層4とを設けたことによる、磁
気ディスク基板のノイズ減少に影響する金属学的な理論
究明は成されていない。然し、現時点で本発明者等は、
次の二点で、後述するような磁気ディスクのSN比の向
上が達成されたものと考えている。
【0037】(1)第一下地層,第二下地層及び磁性層
の格子整合により、結晶配向性が制御可能となり、磁性
層のc軸(磁化容易軸)が容易に面内に向けられる。 (2)第一下地層のNiO膜の存在により、その上に設
けられた磁性層5の結晶が微細化する。 先ず、従来技術では、図6(A)に関連して説明したよ
うに、Cr合金膜から成る下地層400の上に、直接、
Co系合金膜から成る磁性層500を設けている。この
場合、Cr系合金膜はbcc構造をとり、その格子定数
が決まっている。このCr系合金膜の上に、Co系合金
膜から成る磁性層500がスパッタされると、Cr系合
金膜の(100)面の格子(間隔0.288nm)の対
角線の長さに、hcp構造(六方晶)を持つCo系合金
膜の(001)面の格子の一辺が略一致している。この
ため、Co系合金膜の(001)面が膜面に対して面内
に向いている状態にあり、高い保磁力Hcを持つことが
できる。
【0038】本実施例に係る磁気ディスクでは、図1に
関連して説明したように、NiO膜から成る第一下地層
3の上にCr系第二下地層4を設け、更にこの第二下地
層の上にCo系磁性層5を設けている。即ち、従来技術
に比較して、第一下地層3が追加されている。図3に示
すように、この場合、第一下地層3のNiO膜の(10
0)面の格子の一辺a1(0.419nm)は、その上
に存在する第二下地層4のCr系合金膜の(100)面
の格子間隔a2(0.288nm)の対角線長(0.4
07nm)と略一致するため、NiO膜の上にCr系合
金膜はエピタキシャル成長する。
【0039】次ぎに、このCr系合金膜の上に、磁性膜
であるCo系合金膜が成長する段階は、従来技術と同じ
である。その為、従来技術と同じように、第一下地層3
を追加することにより、第二下地層の上に成膜されるC
o系合金磁性膜のc軸が面内になるよう結晶配向性を制
御することが可能である。このように第一下地層3,第
二下地層4及び磁性層5が、順に格子整合することによ
り、従来技術に比較して、一層、Co系合金磁性膜のc
軸(磁化容易軸)を面内に向けることが容易に成るもの
と思われる。更に、反強磁性体であるNiO膜と強磁性
体であるCo系合金磁性膜との交換相互作用により、磁
性膜の磁化が熱的にも安定になるものと思われる。
【0040】更に、第一地下層3を形成するNiO膜は
化合物であり、このNiO膜をスパッタリングで成膜す
るとき、NiO粒子は基板(NiPメッキアルミ合金基
板)に付着した際に動き(拡散し)難い性質を有してい
る。基板に付着した直後に拡散移動すると粒子サイズが
大形化する。しかし、NiO粒子はほとんど拡散移動し
ないので、従って、NiO粒子自体が微細化する傾向に
ある。このため磁気ディスクのノイズ減少に良い影響を
与えているものと思われる。 何れにしても、本実施形
態に係る図1及び図2に関連して説明した磁気ディスク
は、次ぎに説明するようなノイズ減少の効果を有してい
ることを確認している。 [磁気ディスクの評価結果]図4は、本実施例に係る磁
気ディスク(図1参照)のノイズ特性の測定結果のグラ
フである。試料として用いた磁気ディスクは、Niメッ
キのAl合金から成るアルミ・サブストレート上に、第
一下地層4としてNi5050膜、第二下地層5としてC
90Mo10膜,磁性層6としてCo72Cr19Pt5 Ta
2 Nb2 膜を夫々成膜したものである。
【0041】図4中、横軸は第一下地層(NiO膜)4
の膜厚を0〜10nmまで変化させ、縦軸はSN比(信
号振幅に対する雑音振幅の比)をデシベル単位で表して
いる。従って、第一下地層4の膜厚ゼロ、換言すれば第
一下地層4が存在しないときのデータは、従来技術その
ものである。そのため、図4は、本実施形態に係る磁気
ディスクの第一下地層4を変化させたときのSN比と従
来技術に係る磁気ディスクのSN比との比較データであ
る。
【0042】図4を参照すると、従来技術の磁気ディス
クでは、SN比は約19.6dBであるのに対し、本実
施形態の磁気ディスクは、第一下地層4の膜厚約1.0
nmで20.4dB、膜厚約3.0nmで約19.6d
Bの値を示している。特に、第一下地層4の膜厚約1.
0nmでは、+1dB近くも改善している。従って、第
一下地層4の膜厚tが0<t<3.0nmの範囲で、従
来技術に対して良好なSN比を有する磁気ディスクが得
られることが判明した。
【0043】また、本実施形態に係る磁気ディスクを使
用した場合の磁気ディスクの磁性層の膜厚tと残留磁化
Brの積Br・tは、表1に示すとおりである。
【0044】
【表1】
【0045】ここで、本実施形態に係る磁気ディスクの
磁性層の膜厚tと残留磁化Brは、磁性層5を変更して
いないため、従来技術のそれらと何等変わらない。従っ
て、本実施形態に係る磁気ディスクも、従来技術に係る
それと同様に、Br・t≦120Gμmの要求仕様を満
足している。 [磁気ディスク駆動装置]図1に示すような構成を有
し、図2に示すような製造工程で製造された磁気ディス
クを用いたHDD(磁気ディスク駆動装置)を簡単に説
明する。
【0046】図5は、HDDの要部を示す図である。磁
気記録媒体として、上述した磁気ディスク8が搭載さ
れ、回転駆動される。この磁気ディスク8の表面に対向
し、約20nm程度の浮上量でMRヘッド又はGMR ヘッ
ド9が配置され、記録再生動作が行われる。ヘッドの位
置決めは、通常のアクチュエータと電磁式微動アクチュ
エータを組み合わせた2段式アクチュエータ10を採用
している。更に、吸着フリー・スライダ11を採用して
スライダと磁気ディスクの吸着を防いでいる。
【0047】
【発明の効果】本発明によれば、高いSN比を有し、高
密度記録に適した磁気記録媒体を提供することができ
る。更に本発明によれば、高いSN比を有し、磁性層の
膜厚と残留磁化の積Br・tが、120Gμm以下であ
り、高密度記録に適した磁気記録媒体を提供することが
できる。
【0048】更に本発明によれば、高いSN比を有し、
高密度記録に適した磁気記録媒体の製造方法を提供する
ことができる。更に本発明によれば、高いSN比を有
し、高密度記録に適した磁気記録装置を提供することが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、磁気ディスク断面構造を示す図であ
る。
【図2】図2は、図1の磁気ディスクの製造工程のフロ
ーを示す図である。
【図3】図1の、磁気ディスクの第1及び第2下地層の
格子面間隔の関係を説明する図である。
【図4】図4は、図1の磁気ディスクのノイズ特性の測
定結果のグラフである。
【図5】図4は、図1の磁気ディスクを使用した磁気デ
ィスク装置を示す図である。
【図6】図6(A)は、従来の磁気ディスクをの断面構
造を示す図であり、図6(B)はこの磁気ディスクの製
造工程のフローを示す図である。
【符号の説明】
1,100:Al合金基板、 2,200:NiPメッ
キ層、 3:第一下地層、 4:第二下地層、 5,5
00:磁性層、 6,600:カーボン保護層、 7,
700:潤滑層、 400:下地層
フロントページの続き (72)発明者 岡本 巌 神奈川県川崎市中原区上小田中4丁目1番 1号 富士通株式会社内 (72)発明者 篠原 正喜 神奈川県川崎市中原区上小田中4丁目1番 1号 富士通株式会社内

Claims (20)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも磁性層の下方に下地層を備え
    た磁気記録媒体に於いて、該下地層は、 酸化ニッケル膜から成る第一下地層と、 前記第一下地層の上に形成されたCr系金属膜から成る
    第二下地層とを有する、磁気記録媒体。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の磁気記録媒体に於い
    て、 前記磁性層は、Co系の磁性材料から成る、磁気記録媒
    体。
  3. 【請求項3】 請求項2に記載の磁気記録媒体に於い
    て、 前記磁性層は、Co,Cr,Pt,Ta,Nbを含んで
    いる、磁気記録媒体。
  4. 【請求項4】 請求項1に記載の磁気記録媒体に於い
    て、 前記第一下地層を形成する酸化ニッケル膜は、膜厚が3
    nm以下である、磁気記録媒体。
  5. 【請求項5】 請求項1に記載の磁気記録媒体に於い
    て、 前記第一下地層を形成する酸化ニッケル膜は、膜厚が約
    2nmである、磁気記録媒体。
  6. 【請求項6】 請求項1に記載の磁気記録媒体に於い
    て、 前記第一下地層を形成する前記酸化ニッケル膜は、Ni
    O,NiO2 ,Ni34 及びNi2 3 のいずれかの
    単一組成膜又はこれらの混合物からなる、磁気記録媒
    体。
  7. 【請求項7】 請求項1に記載の磁気記録媒体に於い
    て、 前記第二下地層を形成する前記Cr系金属膜は、膜厚が
    約25nmである、磁気記録媒体。
  8. 【請求項8】 請求項1に記載の磁気記録媒体に於い
    て、 前記第二下地層を形成する前記Cr系金属膜は、Crと
    Moを含んでいる、磁気記録媒体。
  9. 【請求項9】 請求項1に記載の磁気記録媒体に於い
    て、 前記磁気記録媒体は磁気ディスクである、磁気記録媒
    体。
  10. 【請求項10】 請求項1に記載の磁気記録媒体に於い
    て、前記磁気ディスクは、 NiPメッキされたアルミ・サブストレートと、 前記アルミ・サブストレートの上に形成された前記第一
    下地層と、 該第一下地層の上の形成された前記第二下地層と、 前記第二下地層の上に形成された前記磁性層と、 前記磁性層の上に形成されたカーボン保護膜と、 前記カーボン保護膜の上に形成された潤滑層とを有して
    いる、磁気記録媒体。
  11. 【請求項11】 請求項9又は10に記載の磁気記録媒
    体に於いて、 前記磁性膜の膜厚tと残留磁束Brの積Br・tが、1
    20Gμm以下である、磁気記録媒体。
  12. 【請求項12】 少なくとも、酸化ニッケル膜から成る
    第一下地層を成膜し、 前記第一下地層の上にCr系金属膜から成る第二下地層
    を成膜し、 前記第二下地層の上に磁性層を成膜する諸工程を有す
    る、磁気記録媒体の製造方法。
  13. 【請求項13】 請求項12に記載の磁気記録媒体の製
    造方法において、 前記第一下地層の成膜工程,前記第二下地層の成膜工程
    及び前記磁性層の成膜工程は、何れもスパッタリング法
    による、製造方法。
  14. 【請求項14】 請求項12に記載の磁気記録媒体の製
    造方法において、 前記第一下地層の成膜工程はRFマグネトロン・スパッ
    タリング法による、製造方法。
  15. 【請求項15】 請求項12に記載の磁気記録媒体の製
    造方法において、 前記第二下地層の成膜工程はDCマグネトロン・スパッ
    タリング法による、製造方法。
  16. 【請求項16】 請求項12に記載の磁気記録媒体の製
    造方法において、 前記磁性層はCo系の磁性材料から成る、製造方法。
  17. 【請求項17】 請求項12に記載の磁気記録媒体の製
    造方法において、 前記第一下地層を形成する酸化ニッケル膜は、膜厚が3
    nm以下に成膜される、製造方法。
  18. 【請求項18】 請求項12に記載の磁気記録媒体の製
    造方法において、 前記第一下地層を形成する酸化ニッケル膜は、NiO,
    NiO2 ,Ni3 4及びNi2 3 のいずれかの単一
    組成膜又はこれらの混合物から成膜される、製造方法。
  19. 【請求項19】 請求項12に記載の磁気記録媒体の製
    造方法において、 前記第二下地層を形成する前記Cr系金属膜は、Crと
    Moを含んでいる、製造方法。。
  20. 【請求項20】 少なくとも、請求項1に記載の磁気記
    録媒体と、該磁気記録媒体に対向して配されたMRヘッ
    ド又はGMR ヘッドから成る磁気ヘッドとを備えた磁気記
    録装置。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7670694B2 (en) 2006-12-22 2010-03-02 Hitachi Global Storage Technologies Netherlands B.V. Media for recording devices
JP2012230733A (ja) * 2011-04-26 2012-11-22 Toshiba Corp 磁気記録媒体、その製造方法、及び磁気記録再生装置
JP2012230732A (ja) * 2011-04-26 2012-11-22 Toshiba Corp 垂直磁気記録媒体、その製造方法、及び磁気記録再生装置
CN112051522A (zh) * 2019-06-05 2020-12-08 苏州矩阵光电有限公司 一种磁传感部件、磁传感器及磁传感部件的制备方法

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