JPH11252960A - 物体の位置制御方法および物体の位置制御装置 - Google Patents

物体の位置制御方法および物体の位置制御装置

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JPH11252960A
JPH11252960A JP6068498A JP6068498A JPH11252960A JP H11252960 A JPH11252960 A JP H11252960A JP 6068498 A JP6068498 A JP 6068498A JP 6068498 A JP6068498 A JP 6068498A JP H11252960 A JPH11252960 A JP H11252960A
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electromagnetic coil
ferromagnetic
controlled
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axial direction
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JP6068498A
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Jun Nakagawa
準 中川
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 気相中において、電磁コイルによる磁気力を
利用して物体に力を及ぼし、これにより物体の位置を制
御するに際し、電磁コイル自体が発生する磁気力を増強
する。また、位置制御の際に、被制御物体の電磁コイル
に対する相対的位置変動を抑える。 【解決手段】 電磁コイルの内側空間に強磁性物体を配
置し、この強磁性物体の近傍に被制御物体を配置し、被
制御物体がこれよりも体積磁化率の大きい常磁性気体雰
囲気中に存在する状態で電磁コイルにより磁場を発生さ
せることにより、強度勾配を有する磁場を被制御物体に
印加して、被制御物体の位置を制御する物体の位置制御
方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、磁気的な力を利用
して物体の位置を制御する方法およびこの方法に用いる
装置に関する。
【0002】
【従来の技術】磁場を印加することにより反磁性体を浮
上させることは、既に知られている。このとき反磁性体
に働く力は、磁束密度Bと、重力方向zにおけるBの勾
配との積B・dB/dzに依存する。
【0003】従来、空気中において水等の反磁性物質を
磁気浮上させて保持するには、B・dB/dzが150
0T2/m程度以上である強力な磁場および大きな磁場勾
配が必要であった。したがって、通常、最大磁場が約2
0T以上である特別な磁石が必要であった。
【0004】なお、強磁性体を分散させた液体(磁性流
体)中で非磁性物質を浮上させて分離を行う方法が知ら
れており、この方法では空気中での磁気浮上に比べ、必
要とされるB・dB/dzが小さいことも知られてい
る。しかし、この作用は液相中だけで生じるため、気相
中での浮上保持には適用できない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、気相
中において、電磁コイルによる磁気力を利用して物体に
力を及ぼし、これにより物体の位置を制御するに際し、
電磁コイル自体が発生する磁気力を増強することであ
る。また、本発明の他の目的は、位置制御の際に、被制
御物体の電磁コイルに対する相対的位置変動を抑えるこ
とである。
【0006】
【課題を解決するための手段】このような目的は、下記
(1)〜(12)のいずれかの構成により達成される。 (1) 電磁コイルの内側空間に強磁性物体を配置し、
この強磁性物体の近傍に被制御物体を配置し、被制御物
体がこれよりも体積磁化率の大きい常磁性気体雰囲気中
に存在する状態で電磁コイルにより磁場を発生させるこ
とにより、強度勾配を有する磁場を被制御物体に印加し
て、被制御物体の位置を制御する物体の位置制御方法。 (2) 被制御物体に加わる力のうち電磁コイルの軸方
向成分が、強磁性物体を設けることにより増強される上
記(1)の物体の位置制御方法。 (3) 被制御物体に加わる力のうち電磁コイルの軸に
向かう方向の成分が、強磁性物体を設けることにより増
強される上記(1)の物体の位置制御方法。 (4) 被制御物体に加わる力のうち電磁コイルの軸方
向成分および電磁コイルの軸に向かう方向の成分が、強
磁性物体を設けることにより増強される上記(1)の物
体の位置制御方法。 (5) 強磁性物体が、柱状であって、その軸方向が電
磁コイルの軸方向とほぼ一致するように配置されている
上記(2)の物体の位置制御方法。 (6) 強磁性物体が、筒状であって、その軸方向が電
磁コイルの軸方向とほぼ一致するように配置されている
上記(3)の物体の位置制御方法。 (7) 強磁性物体が、被制御物体と対向する面に、環
状突起または環状に並ぶ突起列を、電磁コイルの軸を囲
むように有する柱状体であり、強磁性物体の軸方向が電
磁コイルの軸方向とほぼ一致するように配置されている
上記(4)の物体の位置制御方法。 (8) 電磁コイルを、その軸方向が重力方向とほぼ一
致するように配置し、被制御物体を強磁性物体の上方に
配置することにより、被制御物体に浮上力を与える上記
(1)〜(7)のいずれかの物体の位置制御方法。 (9) 常磁性気体が加圧されたものである上記(1)
〜(8)のいずれかの物体の位置制御方法。 (10) 常磁性気体が大気中の酸素分圧よりも高い分
圧の酸素ガスを含む上記(1)〜(8)のいずれかの物
体の位置制御方法。 (11) 電磁コイルと、この電磁コイルの内側空間に
配置された強磁性物体とを有し、この強磁性物体の近傍
に配置される被制御物体が存在する雰囲気の種類および
/または圧力を制御する手段を備える物体の位置制御装
置。 (12) 上記(1)〜(10)のいずれかの物体の位
置制御方法に用いられる上記(11)の物体の位置制御
装置。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明では、被制御物体を、これ
よりも体積磁化率の大きい常磁性気体雰囲気中に配置し
た状態で、強度勾配を有する磁場を印加する。この磁場
印加により、被制御物体は磁場強度勾配に応じた方向に
力を受ける。例えば、物体付近の磁場が、重力方向に強
度勾配をもち、かつ重力方向上側ほど強度が低いもので
ある場合、物体は浮上する方向に力を受ける。このよう
に、物体がそれよりも体積磁化率の大きい常磁性気体か
ら受ける浮上力を、本明細書では磁気アルキメデス効果
による浮上力という。
【0008】本発明では、このような磁気アルキメデス
効果を利用し、かつ、被制御物体の位置におけるB・d
B/dzを制御することにより、被制御物体の位置を自
在に制御することができる。具体的には、電磁コイルを
その軸が重力方向に向くように配置し、かつ被制御物体
を電磁コイルの軸方向中央よりも上方側に配置すれば、
被制御物体には重力をキャンセルする方向の力(浮上
力)が加わり、重力と浮上力とが釣り合う位置に被制御
物体を浮上保持できる。また、一対の電磁コイルを用
い、両電磁コイルの間に、それぞれの電磁コイルの軸が
貫くように被制御物体を配置すれば、被制御物体はそれ
ぞれの電磁コイルから遠ざかる方向の力を受けるため、
両電磁コイルの間に安定して保持されることになる。一
対の電磁コイルを用いるこの方法は、例えば無重力状態
における被制御物体の位置固定に有用である。
【0009】そして、本発明では、電磁コイルの軸方向
中央から遠ざかる方向の力を増強するため、および/ま
たは、被制御物体の位置変動を抑えるために、電磁コイ
ルの内部空間に、強磁性物体を配置する。
【0010】図1に、本発明の制御方法の第1の具体例
を説明する断面図を示す。なお、図1では、奥行き方向
を省略して端面だけを示してあり、これは以降の断面図
においても同様である。
【0011】図1に示す電磁コイル2は、その軸方向が
重力方向とほぼ一致するように配置されている。電磁コ
イル2の内部空間には、柱状の強磁性物体3が、その軸
方向と電磁コイル2の軸方向とがほぼ一致するように配
置されている。強磁性物体3の近傍には、被制御物体4
が配置されており、この被制御物体4は、電磁コイル2
の軸方向中央よりも上方に存在する。電磁コイル2、強
磁性物体3および被制御物体4は、被制御物体4よりも
体積磁化率の大きな常磁性気体雰囲気中に存在してい
る。
【0012】電磁コイルの軸方向には、磁場強度勾配が
存在する。磁場強度は、電磁コイル軸方向中央で最大で
あり、ここから離れるにしたがって減少する。図中に
は、電磁コイルの軸(z軸)方向位置とそこでの磁場強
度Hとの関係を示すグラフを併記してある。このような
磁場中に被制御物体4が存在すると、雰囲気ガスに対し
て相対的に体積磁化率の小さい被制御物体4は、磁場強
度勾配に沿って磁場強度が低い側に押し出される力を受
けるため、電磁コイルから離れる方向に力を受けて浮上
する。
【0013】そして、柱状の強磁性物体3を電磁コイル
2内に配置することにより、強磁性物体3の軸方向外側
(上方および下方)において磁束密度Bが向上すると共
にdB/dzも向上し、その結果、その位置でのB・d
B/dzが大きくなる。したがって、強磁性物体3を設
けることにより、被制御物体4に働く浮上力を、図中に
矢印で示すように向上させることができる。
【0014】なお、この具体例における強磁性物体は、
通常、円柱状とすればよいが、必要に応じて角柱状等の
他の柱状体としてもよい。
【0015】図2に、本発明の制御方法の第2の具体例
を説明するための断面図を示す。
【0016】第2の具体例では、筒状の強磁性物体3
を、その軸方向が電磁コイル2の軸方向とほぼ一致する
ように電磁コイル2の内部空間に配置する。このほかの
構成は第1の具体例と同じである。筒状の強磁性物体3
を電磁コイル2内に配置すると、電磁コイル2の軸から
水平方向(電磁コイルの軸と直交する方向)に強磁性物
体3の周壁位置に向かって磁束密度Bが増大する。水平
方向位置(原点は電磁コイル2の軸上)をrとすると、
dB/drも増大する。したがって、電磁コイル2の軸
から水平方向に強磁性物体3の周壁位置に向かってB・
dB/drが増大することになるので、電磁コイル2の
軸の上方に配置された被制御物体4A、4Bは、電磁コ
イル2の軸に向かう方向の力(図中に矢印で示す)を受
ける。このため、被制御物体4A、4Bは、電磁コイル
2の軸上位置から外れにくくなり、磁場強度勾配の不均
一さ、外力、電磁コイルの動きなどによる電磁コイルと
被制御物体との相対的位置変動を抑えることができる。
【0017】図2には、水平方向位置rとそこでの磁場
強度Hとの関係を示すグラフを併記してある。図2の下
側のグラフの曲線HAは、被制御物体4Aが存在する高
さAにおけるr−H曲線であり、上側のグラフの曲線H
Bは、被制御物体4Bが存在する高さBにおけるr−H
曲線である。また、比較のために、強磁性物体を設けな
い電磁コイルについての曲線HAと曲線HBとを、図4に
示す。被制御物体の水平方向位置を電磁コイル2の軸付
近で安定化させるためには、r−H曲線が電磁コイル2
の軸付近で最も低くなっていればよい。電磁コイル2の
軸方向中央に近い位置(高さA)でのr−H曲線(曲線
HA)は、両図共にこの条件を満足しているが、曲線HA
の勾配は強磁性物体3を設けた図2のほうが大きくなる
ので、安定化効果はより大きくなる。一方、電磁コイル
2の軸方向中央から遠い位置(高さB)でのr−H曲線
(曲線HB)は、図2では曲線HAと同様に電磁コイル2
の軸付近で最も低くなるが、図4の空芯コイルでは、電
磁コイル2の軸付近で最も高くなってしまうので、安定
性は極端に悪くなる。すなわち、被制御物体がどの位置
にあっても、筒状の強磁性物体を設けることにより被制
御物体の浮上安定性を向上させることができる。なお、
図4に示すような空芯コイルでは、雰囲気ガスの種類や
圧力などによっても異なるが、一般に、電磁コイルの内
部空間においてr−H曲線は下に凸となり、電磁コイル
の軸方向外側においてr−H曲線は上に凸となる傾向が
ある。
【0018】なお、この具体例における強磁性物体は、
通常、円筒状とすればよいが、必要に応じて角筒状等の
他の筒状体としてもよい。
【0019】図3に、本発明の制御方法の第3の具体例
を説明するための断面図を示す。
【0020】第3の具体例では、被制御物体4と対向す
る面に、環状突起または環状に並ぶ突起列を有する柱状
の強磁性物体3を、その軸方向が電磁コイル2の軸方向
とほぼ一致するように電磁コイル2の内部空間に配置す
る。環状突起または環状に並ぶ突起列は、電磁コイル2
の軸を囲むように設ける。このほかの構成は第1の具体
例と同じである。
【0021】強磁性物体3に設けた環状突起および突起
列には磁束が集中するため、環状突起および突起列の近
傍では、電磁コイル2の軸付近に比べ磁束密度が高くな
る。したがって、第2の具体例と同様に、電磁コイル2
の軸方向に向かう力が被制御物体4に働いて、径方向の
位置変動を抑えることができる。また、電磁コイル2の
軸付近でも、強磁性物体3を設けない場合よりは磁束密
度が高くなるので、第1の具体例と同様に、被制御物体
4に働く浮上力が増強される。
【0022】このように第3の具体例では、第1の具体
例および第2の具体例のそれぞれにおいて得られる作用
効果が共に実現し、被制御物体4は、図中に矢印で示す
方向の力を受ける。
【0023】強磁性物体3に設ける環状突起は、通常、
円環状とすればよいが、必要に応じ多角環状としてもよ
い。また、その断面形状も特に限定されず、三角形状、
方形状等のいずれであってもよい。また、突起列を環状
に並べる場合、各突起の形状は、円錐や角錐等の錐体
状、円柱や角柱等の柱状などのいずれであってもよい。
環状突起や突起列の高さ、基部の幅などについても特に
限定されず、浮上安定性と浮上力増大とについて所望の
効果が得られるように、適宜決定すればよい。
【0024】なお、強磁性物体の突起以外の部分は、通
常、円柱状とすればよいが、必要に応じて角柱等の他の
柱状体としてもよい。
【0025】本発明において用いる強磁性物体の構成材
料は特に限定されず、例えば、鉄およびこれを含む合
金、コバルトおよびこれを含む合金、ニッケルおよびこ
れを含む合金、酸化物強磁性体などから適宜選択すれば
よい。ただし、強磁性物体構成材料の飽和磁化が高いほ
ど本発明の効果は高くなるので、好ましくは純鉄を用い
るか、Fe−Co合金等の鉄基合金を用いる。
【0026】超伝導電磁コイル等の強力な電磁コイルを
用いた場合、強磁性物体3は磁気飽和するが、本発明の
効果は、強磁性物体の磁気飽和の有無にかかわらず実現
する。
【0027】本発明において雰囲気ガスとして用いる常
磁性気体は特に限定されないが、酸素ガスは体積磁化率
χが1.80×10-6と比較的大きいため、酸素ガスを
用いれば被制御物体の選択の幅が広くなる。なお、この
χはSI単位の体積磁化率であって、大気圧下、室温付
近における気体状態での値である。ただし、本発明で
は、使用時の圧力および温度において被制御物体よりも
体積磁化率の大きい常磁性気体であれば、純酸素ガス以
外でも利用することができる。例えば、空気は酸素ガス
を含み、常磁性気体として振る舞うので、本発明に使用
することができる。空気の約80%を占める窒素は、体
積磁化率が酸素に比べ著しく小さいため、物体の位置制
御にはほとんど寄与しない。酸素のほかに本発明に好適
な気体としては、酸素と同様に体積磁化率がプラスであ
って比較的大きいもの、例えばNOやSなどが挙げられ
る。
【0028】本発明では、加圧した常磁性気体、また
は、大気中よりも分圧の高い酸素ガスを含む常磁性気体
を用いることも好ましい。加圧した常磁性気体では、体
積磁化率が常圧の場合よりも大きくなる。また、大気中
よりも分圧の高い酸素ガスを含む常磁性気体、例えば約
0.21気圧を超える純酸素ガス中や加圧した空気中で
も、体積磁化率が常圧の空気よりも大きくなる。したが
って、B・dB/dzを従来より小さくしても、同等以
上の力を物体に及ぼすことができる。具体的には、1気
圧の空気中において磁気浮上を実現するためにはB・d
B/dzを1500T2/m程度以上とする必要がある
が、本発明において例えば1気圧を超える分圧の酸素ガ
スを用いれば、B・dB/dzが例えば1200T2/m
程度以下であっても磁気浮上を実現することができ、酸
素ガス分圧を5気圧以上とすれば、B・dB/dzが7
00T2/m程度以下であっても、また、酸素ガス分圧を
10気圧以上とすれば、B・dB/dzが500T2/m
程度以下であっても、磁気浮上が可能となる。図5に、
水を磁気浮上させるために必要なB・dB/dzの酸素
分圧依存性を示す。なお、図5はシミュレーションの結
果であり、表面張力やB・dB/dzの不均一さなどに
よる影響は考慮していない。したがって、実用的には、
図5に示すB・dB/dzよりも大きな値が必要とな
る。
【0029】被制御物体としては、使用する常磁性気体
よりも体積磁化率の小さい各種物質からなるものが使用
できる。被制御物体は、液体状態であっても固体状態で
あってもよく、例えばゲル状であってもよい。具体的に
は、例えば酸素ガスと組み合わせて使用できる被制御物
体としては、無機液体(水等)、無機固体(氷、Bi、
NaCl等)、水溶液(NaCl溶液等)や、各種有機
液体、各種有機固体などが挙げられる。
【0030】被制御物体に印加する磁場の強度勾配は特
に限定されず、使用する常磁性気体の種類およびその圧
力や、被制御物体の種類およびその状態等に応じて適宜
決定すればよいが、本発明では、前述したようにB・d
B/dzが1200T2/m程度以下の磁場の使用が可能
である。
【0031】被制御物体が受ける力は、磁場の最大強度
自体には依存せず、被制御物体の位置での磁場強度およ
び磁場強度勾配に依存するので、磁場の最大強度は特に
限定されない。ただし、B・dB/dzとして1200
T2/m程度を達成するためには、最大強度は少なくとも
5T程度以上あることが好ましく、10T程度以上ある
ことがより好ましい。
【0032】被制御物体が受ける力の向きは、磁場強度
勾配の向きに依存し磁場の向きには依存しないため、磁
場の向きは特に限定されない。
【0033】本発明では、通常、静磁場を利用するが、
必要に応じ、交番磁場等の静磁場以外の磁場を利用する
こともできる。
【0034】なお、空気以外の常磁性気体を用いたり、
雰囲気ガスを加圧したりする場合には、雰囲気制御手段
が必要となる。雰囲気制御を容易にするためには、被制
御物体4と常磁性気体とを容器中に封入すればよい。た
だし、雰囲気制御された空間(気密室等)内に磁場発生
装置を設ける構成としてもよい。
【0035】なお、上記具体例の説明においては、磁気
力により重力をキャンセルする構成を例に挙げたが、本
発明ではこのような構成に限らず、例えば、磁気力を任
意の方向に任意の強さで作用させる構成も利用できる。
また、上記具体例では、固体全体の位置を制御する構成
を例に挙げたが、被制御物体の一部、例えば流動体の一
部についてだけ位置制御を行うことも可能である。
【0036】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明す
る。
【0037】発生する磁場の最大強度が10Tであり、
直径10cmの円柱状の磁場発生空間(電磁コイル2内の
空間)を有する超伝導磁石を用意した。
【0038】上記磁場発生空間に、図6(a)に示す寸
法の円柱状の強磁性物体3を図1に示すように配置し、
磁場発生装置1とした。
【0039】また、上記磁場発生空間に、図6(b)に
示す寸法の円筒状の強磁性物体3を図2に示すように配
置し、磁場発生装置2とした。
【0040】また、上記磁場発生空間に、図6(c)に
示す寸法の強磁性物体3を図3に示すように配置し、磁
場発生装置3とした。この強磁性物体3は、円柱の上下
面に、断面三角形の円環状突起を設けたものである。
【0041】また、比較のために、上記磁場発生空間に
強磁性物体を配置しない磁場発生装置0も用意した。
【0042】なお、各装置の強磁性物体3は、いずれも
純鉄製とした。
【0043】各装置について、電磁コイルの軸(z軸)
上、すなわち、強磁性物体の軸上における磁束密度Bと
そのz軸方向の勾配dB/dzとの積B・dB/dzを
求めた。結果を図7に示す。なお、z軸の原点は、図6
の(a)、(b)および(c)にそれぞれ記載してある
が、各装置におけるz=0の位置は、電磁コイルの軸方
向中央と一致する。また、各装置について、電磁コイル
の軸からの水平方向距離がrである位置での磁束密度B
とその水平方向における勾配dB/drとの積B・dB
/drを求めた。結果を図8に示す。なお、図8におけ
るB・dB/drの測定高さは、電磁コイルの軸方向中
央の上方99mm(z=99mm)である。
【0044】図7から、装置1および装置3では、強磁
性物体を設けなかった装置0に比べB・dB/dzが大
きく、浮上力が向上していることがわかる。また、図8
から、装置2および装置3では、電磁コイルの軸から水
平方向に離れるにしたがいB・dB/drが増大し、こ
の増大の程度が装置0におけるものよりも大きいことが
わかる。すなわち、装置2および装置3では浮上安定性
が良好であることがわかる。
【0045】これらの装置を用いて、以下の実験を行っ
た。
【0046】耐圧50気圧のガラス製の透明な耐圧容器
内に、反磁性物質である水を3ccを入れ、さらに、8気
圧の酸素ガスを封入した。
【0047】上記各装置の強磁性物体の上方に耐圧容器
を保持し、発生磁場強度を10Tとした。この結果、装
置1および装置3では水滴が浮上したが、装置2および
装置0では浮上しなかった。装置2および装置0におい
て、耐圧容器内の酸素ガス圧力を増加させて実験を繰り
返したところ、これら両装置では酸素ガス圧力が12気
圧のときに水滴の浮上が認められた。この結果から、装
置1および装置3では、浮上力が増強されたことがわか
る。
【0048】次に、装置0、装置2および装置3につい
て、電磁コイルと耐圧容器との相対的位置関係を固定し
た状態で両者に振動を加えることにより、水滴の浮上安
定性を調べた。この結果、装置0では耐圧容器内壁面に
水滴が接触したが、装置2および装置3では水滴の接触
は認められなかった。また、耐圧容器だけを水平方向に
移動させることにより耐圧容器内壁面に水滴を接触させ
た後、耐圧容器を元の位置に復帰させたところ、装置2
および装置3では水滴が内壁面から脱離したが、装置0
では内壁面に付着したままであった。これらの結果か
ら、装置2および装置3では、水滴が電磁コイルの軸付
近に安定して浮上することが確認された。
【0049】なお、耐圧容器内に入れる被制御物体とし
て、反磁性物質である氷、5%NaCl水溶液、エチル
アルコール、ヘキサン、または、常磁性物質である硫酸
銅水溶液を用い、上記と同様な実験を行ったところ、こ
れらの被制御物体すべてについて、装置1および装置3
では装置0を用いた場合よりも低い酸素ガス圧力または
低い磁場強度で浮上することが確認された。また、これ
らの被制御物体を用いた実験においても、上記した水滴
と同様に、装置2および装置3が装置0よりも浮上安定
性に優れることが確認できた。
【0050】以上の実施例の結果から、本発明の効果が
明らかである。
【0051】
【発明の効果】本発明では、強力な磁場を印加するため
の特別に高価な磁界発生手段を必要とせず、最大強度が
10T程度以下、条件によっては5T程度以下の磁場に
より磁気浮上等の物体の位置制御が可能である。このた
め、物体の位置制御に磁場を利用する方法が、工業的に
利用可能となる。
【0052】本発明の物体の位置制御方法では、物体に
加わる重力をキャンセルでき、また、物体を容器や他の
位置保持手段に接触させずに気相中に安定して保持でき
る。したがって、例えば溶液系における反応や結晶化な
どに極めて有用であり、反磁性体や常磁性体を用いたプ
ロセス等への活用が期待できる。また、本発明法は、重
力をキャンセルするために利用するだけではなく、重力
と同じ方向に磁気力を加えたり、水平方向に力を加える
など、任意の方向に任意の磁気力を加えることが可能で
あり、広い範囲の応用が考えられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の具体例を説明するための断面図
である。
【図2】本発明の第2の具体例を説明するための断面図
である。
【図3】本発明の第3の具体例を説明するための断面図
である。
【図4】強磁性物体を設けない場合の例を示す断面図で
ある。
【図5】水を磁気浮上させるために必要なB・dB/d
zの酸素分圧依存性を示すグラフである。
【図6】(a)、(b)および(c)は、それぞれ本発
明の実施例に用いた強磁性物体の断面図である。
【図7】図6の(a)、(b)および(c)にそれぞれ
示される強磁性物体を用いた磁場発生装置ならびに強磁
性物体を設けない磁場発生装置における、電磁コイルの
軸(z軸)上でのB・dB/dzの値を示すグラフであ
る。
【図8】図6の(a)、(b)および(c)にそれぞれ
示される強磁性物体を用いた磁場発生装置ならびに強磁
性物体を設けない磁場発生装置における、電磁コイルの
軸からの水平方向距離rとB・dB/drとの関係を示
すグラフである。
【符号の説明】
2 電磁コイル 3 強磁性物体 4、4A、4B 被制御物体

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電磁コイルの内側空間に強磁性物体を配
    置し、この強磁性物体の近傍に被制御物体を配置し、被
    制御物体がこれよりも体積磁化率の大きい常磁性気体雰
    囲気中に存在する状態で電磁コイルにより磁場を発生さ
    せることにより、強度勾配を有する磁場を被制御物体に
    印加して、被制御物体の位置を制御する物体の位置制御
    方法。
  2. 【請求項2】 被制御物体に加わる力のうち電磁コイル
    の軸方向成分が、強磁性物体を設けることにより増強さ
    れる請求項1の物体の位置制御方法。
  3. 【請求項3】 被制御物体に加わる力のうち電磁コイル
    の軸に向かう方向の成分が、強磁性物体を設けることに
    より増強される請求項1の物体の位置制御方法。
  4. 【請求項4】 被制御物体に加わる力のうち電磁コイル
    の軸方向成分および電磁コイルの軸に向かう方向の成分
    が、強磁性物体を設けることにより増強される請求項1
    の物体の位置制御方法。
  5. 【請求項5】 強磁性物体が、柱状であって、その軸方
    向が電磁コイルの軸方向とほぼ一致するように配置され
    ている請求項2の物体の位置制御方法。
  6. 【請求項6】 強磁性物体が、筒状であって、その軸方
    向が電磁コイルの軸方向とほぼ一致するように配置され
    ている請求項3の物体の位置制御方法。
  7. 【請求項7】 強磁性物体が、被制御物体と対向する面
    に、環状突起または環状に並ぶ突起列を、電磁コイルの
    軸を囲むように有する柱状体であり、強磁性物体の軸方
    向が電磁コイルの軸方向とほぼ一致するように配置され
    ている請求項4の物体の位置制御方法。
  8. 【請求項8】 電磁コイルを、その軸方向が重力方向と
    ほぼ一致するように配置し、被制御物体を強磁性物体の
    上方に配置することにより、被制御物体に浮上力を与え
    る請求項1〜7のいずれかの物体の位置制御方法。
  9. 【請求項9】 常磁性気体が加圧されたものである請求
    項1〜8のいずれかの物体の位置制御方法。
  10. 【請求項10】 常磁性気体が大気中の酸素分圧よりも
    高い分圧の酸素ガスを含む請求項1〜8のいずれかの物
    体の位置制御方法。
  11. 【請求項11】 電磁コイルと、この電磁コイルの内側
    空間に配置された強磁性物体とを有し、この強磁性物体
    の近傍に配置される被制御物体が存在する雰囲気の種類
    および/または圧力を制御する手段を備える物体の位置
    制御装置。
  12. 【請求項12】 請求項1〜10のいずれかの物体の位
    置制御方法に用いられる請求項11の物体の位置制御装
    置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2007189796A (ja) * 2006-01-12 2007-07-26 Railway Technical Res Inst 重量物の支持が可能な超電導磁石装置

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