JPH11256256A - 電気・電子部品用銅合金 - Google Patents

電気・電子部品用銅合金

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JPH11256256A
JPH11256256A JP10073607A JP7360798A JPH11256256A JP H11256256 A JPH11256256 A JP H11256256A JP 10073607 A JP10073607 A JP 10073607A JP 7360798 A JP7360798 A JP 7360798A JP H11256256 A JPH11256256 A JP H11256256A
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copper alloy
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隆 松井
Kenji Kanao
健志 金尾
Masaaki Isono
誠昭 磯野
Takahiro Manako
隆弘 真名子
Satoshi Maruo
聡 丸尾
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Kobe Steel Ltd
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    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C22METALLURGY; FERROUS OR NON-FERROUS ALLOYS; TREATMENT OF ALLOYS OR NON-FERROUS METALS
    • C22CALLOYS
    • C22C9/00Alloys based on copper
    • C22C9/06Alloys based on copper with nickel or cobalt as the next major constituent

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 Cu−Ni−Si系合金の強度、導電率、耐
応力緩和特性、めっき性などを良好に保ちつつ、スタン
ピング加工性(スタンピング金型の摩耗及び打抜き加工
された銅合金におけるバリ、だれの低減)をさらに向上
させる。 【解決手段】 Ni:0.1〜4.0wt%、Si:
0.01〜1.0wt%、Zn:0.01〜5.0wt
%、S:0.0001〜0.005wt%を含有し、さ
らにSe:0.00003〜0.003wt%、Te:
0.00003〜0.003wt%、Sb:0.000
03〜0.003wt%、Bi:0.00003〜0.
003wt%の群より選択した元素の1種又は2種以上
を合計で0.00003〜0.005wt%含有し、残
部がCu及び不可避不純物からなる銅合金。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、半導体リードフレ
ーム、端子、コネクター、リレー、スイッチなどの電気
・電子部品に用いるスタンピング加工性、めっき性、耐
応力緩和率に優れる高力銅合金に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、電気・電子部品の小型化、軽量
化、高集積化に伴って、実装体積を低減するためにリー
ドフレームのリード間隔の縮小あるいはコネクタの極間
ピッチの縮小、及び肉厚の低減が図られている。このた
め、これらの素材に対しては、従来よりの高強度、高導
電率化の要求はもとより、耐マイグレーション性、耐ウ
ィスカー性(Snめっきのウィスカー抑制)に対する要
求がさらに厳しくなっている。このような厳しい要求に
対応するために、Cu−Ni−Si系銅合金として、例
えば特開平8−319527号公報に規定されているよ
うな、Ni:0.4〜4.0wt%、Si:0.1〜
1.0wt%、Zn:1.0越〜2.0wt%、Cr:
0.0001〜0.01wt%、Mg:0.0001〜
0.001wt%、及び必要に応じて、Mn:0.01
〜0.1wt%、Al:0.0001〜0.01wt%
を含有する銅合金が提案されている。
【0003】リードフレームや端子は、銅合金素材から
通常スタンピングにより製造される。スタンピングにお
いては、打抜き回数の増大に伴って、金型が磨耗し、打
抜き製品にバリ、だれなどが発生する。それらが許容限
界を超えると製品の寸法精度、残留応力などが規格値を
越えるため、操業を停止し、金型を研磨することが必要
となる。このように、生産性及び歩留りの観点から、リ
ードフレーム、端子に用いる銅合金には、前述の特性以
外にも、金型を磨耗させないこと、及びスタンピング加
工されたときに発生するバリ、だれなどが極力少ないこ
とが強く要求されるようになってきた。上記銅合金にお
いても、スタンピング加工に関しては十分とはいえず、
一層の改善が求められている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は前述のCu−
Ni−Si系合金の強度、導電率、耐応力緩和特性、め
っき性などを良好に保ちつつ、スタンピング加工性(ス
タンピング金型の摩耗及び打抜き加工された銅合金にお
けるバリ、だれの低減)をさらに向上させるためになさ
れたものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明に係る電気・電子
部品用銅合金は、Ni:0.1〜4.0wt%、Si:
0.01〜1.0wt%、Zn:0.01〜5.0wt
%、S:0.005wt%以下を含有し、Se:0.0
03wt%以下、Te:0.003wt%以下、Sb:
0.003wt%以下、Bi:0.003wt%以下の
群より選択した元素の1種又は2種以上を0.005w
t%以下含有し、残部がCu及び不可避不純物からな
る。Sについては、0.0001〜0.005wt%の
範囲内で、Se、Te、Sb、Bi(以上をA群元素と
いう)については、Se:0.00003〜0.003
wt%、Te:0.00003〜0.003wt%、S
b:0.00003〜0.003wt%、Bi:0.0
0003〜0.003wt%の範囲内で、これらの1種
又は2種以上を合計で0.00003〜0.005wt
%含有するのが好ましい。
【0006】上記電気・電子部品用銅合金は、さらに、
Pb:0.0001〜0.05wt%、C:0.00
01〜0.01wt%の群(B元素という)より選択し
た元素の1種又は2種を合計で0.0001〜0.05
wt%、P:0.0001〜0.1wt%、Al:
0.0005〜0.3wt%の群(C群元素という)か
ら選択した1種又は2種を合計で0.0001〜0.3
wt%、Mg:0.001〜1.5wt%、Mn:
0.001〜0.5wt%、Fe:0.001〜0.0
3wt%未満、Co:0.001〜0.1wt%、A
g:0.0003〜0.1wt%、Cr:0.0005
〜0.01wt%、Zr:0.0005〜0.01wt
%、Ti:0.0005〜0.01wt%の群(D群元
素という)から選択した1種又は2種以上を合計で0.
0003〜0.7wt%を、B〜D、Mgをそれぞれ単
独又はこれらを適宜組み合わせて含有することができ
る。
【0007】上記電気・電子部品用銅合金は、酸素含有
量を30ppm以下、水素含有量を10ppm以下に規
制することが望ましい。また、上記電気・電子部品用銅
合金は、さらにSn:0.01〜8.0wt%を含有す
ることができる。
【0008】
【発明の実施の形態】以下本発明に係る銅合金の成分の
限定理由を説明する。 (Ni)NiはSiとともに添加することにより、Ni
−Si化合物を生成させ、強度、耐熱性及び耐応力緩和
特性を向上させる効果を有する。0.1wt%未満では
この効果が小さく、また4.0wt%を超えて含有する
と、熱間加工性及び冷間加工性が劣化するので好ましく
ない。従って、Niの含有量は0.1〜4.0wt%と
する。 (Si)SiはNiとともに添加することにより、Ni
−Si化合物を生成させ、強度、耐熱性及び耐応力緩和
特性を向上させる効果を有する。0.01wt%未満で
はこの効果が小さく、また1.0wt%を超えて含有す
ると、熱間加工性及び冷間加工性が劣化するので好まし
くない。従って、Siの含有量は0.01〜1.0wt
%とする。
【0009】(Zn)耐マイグレーション性の向上、S
n及びSn合金めっきのウィスカー発生の抑制、Sn及
びSn合金めっきの耐熱剥離性改善、耐マイグレーショ
ン性の改善、スタンピング金型の摩耗低減、酸化膜の密
着性の向上、溶湯の脱酸効果、溶湯の脱水素などの効果
を有する。0.01wt%未満ではその効果がなく、
5.0wt%を越えると導電率が低下し、はんだ濡れ性
が悪化する。従って、その含有量を0.01〜5.0w
t%とする。
【0010】(S)銅合金に添加されると、プレス金型
の摩耗を小さくする作用を有し、スタンピング加工材の
バリ、だれをも少なくするなど、スタンピング加工性を
向上させる。S含有量が0.0001wt%未満ではそ
の効果が十分でない。S含有量が多いほどその効果は大
きくなるが、0.005wt%を越えて含有するとAg
めっき性を劣化させる。すなわち、合金中において形成
されるMg−S化合物の量が増加し、Agめっきを行っ
た際に、合金表面に存在するMg−S化合物を起点とし
て、Agが突起状に異常析出しやすくなる(以後Ag突
起という)。このAg突起は、本合金をAgめっきを行
うリードフレームとして用いた場合にボンディングワイ
アの接合やめっきの密着性に対する信頼性を低下させる
ため問題となる。従って、S含有量は0.0001〜
0.005wt%とする。
【0011】(A群元素:Se、Te、Sb、Bi)こ
れらの元素はごく微量でも銅合金に添加されると、潤滑
作用によってプレス金型の摩耗を小さくする作用を有
し、スタンピング加工材のバリ、だれをも少なくするな
ど、スタンピング加工性を向上させる。従って、プレス
金型の寿命(再研磨までの打抜き回数)を向上させ、ス
タンピング加工されたリードフレーム、端子などの電気
・電子部品の寸法精度、平面性などを向上させ、リード
間隔の一層の微細化を可能とする。
【0012】前述の効果はSe、Te、Sb、Biの合
計での含有量が多いほど大きくなるが、いずれかの含有
量が0.003wt%を越え、またはこれらの合計含有
量が0.005wt%を越えた場合には、その合金にA
gめっき(無光沢、半光沢、光沢)を行うと、これらの
元素同士の化合物、あるいはこれらの元素とS、Cu、
Al、Ag、Co、Cr、Fe、Ni、Sn、Pb、Z
n、Oなどとの単独又は複合化合物の存在する部分にお
いてAgめっきの異常析出が発生し、光沢異常又は光沢
むらとして観察される。さらには、鋳造時、鋳塊加熱時
又は熱延時の鋳塊割れが発生しやすい。従って、これら
の元素の含有量は、Se:0.003wt%以下、T
e:0.003wt%以下、Sb:0.003wt%以
下、Bi:0.003wt%以下の群より選択した元素
の1種又は2種以上を0.005wt%以下でなければ
ならない。これらの元素はごく微量でも上述の効果を有
するが、Se:0.00003〜0.003wt%、T
e:0.00003〜0.003wt%、Sb:0.0
0003〜0.003wt%、Bi:0.00003〜
0.003wt%の群より選択した1種又は2種以上の
合計含有量が0.00003〜0.005wt%である
ことが望ましい。
【0013】なお、合金板材表面に存在する上述の化合
物粒子とAgめっきの光沢異常の発生条件との関係を調
べたところ、前述の粒子のうち0.1μm以上のものが
1000個/mm2を越えるとAgめっきの光沢異常が
発生しやすいことがわかった。従って、板表面に存在す
る化合物粒子は、0.1μm以上のものが1000個/
mm2以下であることが必要である。
【0014】(B群元素:Pb、C)これらの元素は、
いずれも本合金のスタンピング加工性を向上させる(ス
タンピング加工材のバリ、だれが少ない、スタンピング
金型の摩耗を低減する)効果を有する。PbとCがとも
に0.0001wt%未満のときは、前述の効果が十分
でない。また、Pb:0.05wt%越え又はC:0.
01wt%越えると、あるいはこれらの合計含有量が
0.05wt%を越えると、鋳造時又は鋳塊加熱時の鋳
塊の割れが発生しやすく、また熱間加工性が低下する。
従って、Pb:0.0001〜0.05wt%、C:
0.0001〜0.01wt%の群より選択した元素の
1種又は2種を合計で0.0001〜0.05wt%と
する。
【0015】(C群元素:P、Al)これらの元素は、
いずれも本合金溶湯に添加すると脱酸効果を発揮し、溶
解鋳造時のMgの酸化を防止し、鋳塊の内部品質及び表
面品質を改善する効果を有する。P:0.0001wt
%未満、Al:0.0005wt%未満のときは、前述
の効果が十分でない。また、これらの元素のいずれかが
P:0.1wt%越え、Al:0.3wt%越えると、
あるいはこれらの1種又は2種の合計が0.3wt%を
越えると、導電率が低下し、Sn及びSn合金めっきの
耐熱剥離性が低下する。従って、P:0.0001〜
0.1wt%、Al:0.0005〜0.3wt%の群
から選択した1種又は2種を合計で0.0001〜0.
3wt%とする。
【0016】(Mg)銅合金に添加すると、導電率を大
きく低下させることなく、強度を向上させることが可能
である。さらに、耐マイグレーション性の向上、ばね限
界値の向上、対応力緩和率の向上、スタンピング加工性
の向上(スタンピング加工材のバリ、だれが少ない、ス
タンピング金型の摩耗低減)、溶湯の脱酸効果などを有
する。また、溶湯中のSをMg−S化合物として固定
し、熱間加工性を改善する。0.001wt%未満では
その効果がなく、1.5wt%を越えると、溶湯の粘性
上昇による鋳塊の健全性の低下及び熱延時の粒界割れが
発生しやすくなる。また、加工硬化が大きくなり、冷延
時の耳割れ、曲げ加工性の劣化などの問題も発生するた
め、その含有量を0.001〜1.5wt%に制限す
る。なお、MgはSと化合物を形成し、スタンピング加
工性のみならず銀めっき性にも影響を与える。スタンピ
ング加工性の面からはMg及びSは多い方が望ましい
が、銅合金中に存在するMg−S化合物が増加し、銀め
っきを行った場合に板表面に存在するMg−S化合物の
部分でAgの局部的な析出が発生し、Ag突起が形成さ
れる。この現象を防止するには銅合金母相に固溶するM
g量を増加させるとよく、合金のMg含有量(wt%)
を[Mg]、S含有量(wt%)を[S]としたとき、
下記式を満足する割合で含有させることが望ましい。
0.25[Mg]≧[S]
【0017】(D群元素:Mn、Fe、Co、Ag、C
r、Zr、Ti)これらの元素はいずれも本合金の強
度、対応力緩和特性、耐熱性を向上させる。これらの元
素がいずれもMn:0.001wt%未満、Fe:0.
001wt%未満、Co:0.001wt%未満、A
g:0.0003wt%未満、Cr:0.0005wt
%未満、Zr:0.0005wt%未満、Ti:0.0
005wt%未満、あるいはこれらの1種又は2種以上
の合計が0.0003wt%未満では、その効果が十分
でない。また、これらの元素のいずれかが、Mn:0.
5wt%越え、Fe:0.03wt%以上、Co:0.
1wt%越え、Ag:0.1wt%越え、Cr:0.0
1wt%越え、Zr:0.01wt%越え、Ti:0.
01wt%越えると、あるいはこれらの1種又は2種以
上の合計が0.7wt%を越えると、材料の延性及び導
電率が低下する。従って、Mn:0.001〜0.5w
t%、Fe:0.001〜0.03wt%未満,、C
o:0.001〜0.1wt%、Ag:0.0003〜
0.1wt%、Cr:0.0005〜0.01wt%、
Zr:0.0005〜0.01wt%、Ti:0.00
05〜0.01wt%の群から選択した1種又は2種以
上を合計で0.0003〜0.7wt%とする。なお、
本合金は必須元素としてSiを含み、C群元素からPを
添加した場合は、加工熱処理条件によってはD群元素の
珪化物又は/及びりん化物が形成され、強度、耐熱性、
対応力緩和特性、導電率の向上に対してさらに寄与す
る。
【0018】(酸素)前記銅合金の酸素含有量が30p
pmを越えると、はんだ付け性の低下、めっき性の低下
などを発生させ、はんだ、めっきの耐熱剥離性をも低下
させる。また、合金中に酸化物が増加するため冷間加工
中の延性低下によって、冷延材の割れ、曲げ加工性の低
下などの現象が発生し、プレス打抜き性を低下させる。
従って、その含有量を30ppm以下とする。本合金に
おいて、酸素含有量の望ましい範囲は20ppm以下、
さらに望ましい範囲は15ppm以下である。なお、本
合金における酸素含有量は、その合金中に固溶している
酸素及び銅又は/及び添加元素の酸化物として存在する
ものの総量とする。
【0019】(水素)本合金の水素含有量が10ppm
を越えると、熱間加工性の劣化、Agめっき、Niめっ
きなどを行った後の加熱によって膨れなどが起きやすく
なり、目的とする電気・電子部品としての使用が難しく
なる。従って、その含有量を10ppm以下とする。本
合金において、水素含有量の望ましい範囲は5ppm以
下、さらに望ましい範囲は3ppm以下である。なお、
本合金への酸素、水素の含有量は原材料の十分な乾燥
や、溶解鋳造工程における雰囲気の制御によって、製品
薄板中において[H]2[O]=3〜100の範囲に保
つことができる([H]:合金中に含有される水素量
(ppm)、[O]:合金中に含まれる酸素量(pp
m))。
【0020】(Sn)Cu母相に固溶して、あるいはM
gと化合物を形成してMgを含有する本合金の強度、ば
ね限界値をさらに向上させる。0.01wt%未満では
その効果が小さく、8.0wt%を越えると熱間加工が
難しくなり、導電率の低下も大きくなる。従って、Sn
の含有量は0.01〜8.0wt%とする。
【0021】本発明に係る銅合金は、連続鋳造によって
造塊した鋳塊を熱間圧延し、その後冷間圧延と熱処理を
組合せて所定の厚さにする工程によって製造することが
可能である。これ以外にも、熱間圧延を採用せず、横型
連続鋳造で造塊した5〜30mmの厚さの鋳塊を熱処理
と冷間圧延を行って所定の厚さとすることが可能であ
る。
【0022】本発明に係る銅合金は熱間圧延性、冷間圧
延性とも良好で、それぞれの工程で割れなどの問題を生
じることはなく、特に熱延材のスカルピングなどのよう
に工程中に切削加工を行う場合においても切削性が非常
に優れるため、スカルパーの刃を磨耗させたり、表面に
焼付きが発生することも少ない。また、本発明の銅合金
は母相中にNi−Si化合物を析出させて強化されるた
め、溶体化処理及び時効処理が必要である。溶体化処理
としては、熱延終了直後の熱延材の水冷による急冷、又
は/及び冷延材の所定温度の連続加熱炉に通板後急冷す
る方式などで行うことができる。析出処理としては、溶
体化処理によって固溶したNiとSiを十分に析出させ
るために、バッチ式の加熱炉を用いることが望ましい
が、Ni及びSiの添加量が少ない場合や析出量が少な
くても差し支えない場合には連続熱処理炉を用いてもよ
い。溶体化処理及び時効処理の条件はNi及びSiの含
有量、目的とする機械的性質、導電率、結晶粒径などを
考慮して決定されるが、熱延材の溶体化処理のためには
600℃以上の温度から、連続熱処理炉を用いる場合に
はその雰囲気温度を650℃以上とすることが望まし
い。本発明の銅合金の時効処理条件は、加熱温度400
〜600℃、保持時間5〜600分を採用すればよい。
【0023】また、本発明の合金は時効処理上り又はそ
の後冷延を加えて冷延上りとしても、あるいは冷延材に
さらに延性回復、歪み改善、ばね限界値向上などを目的
とする熱処理を行ってもよい。冷延上りの場合の加工率
は、板厚の減少率で3〜80%が適当である。最終冷延
後に熱処理を行う場合も、バッチ式、連続式どちらの方
式で行ってもよい。バッチ式の加熱炉を用いる場合は、
200〜500℃×5分〜5時間保持(材料到達温度×
到達後保持時間)、連続焼鈍炉を用いる場合は300〜
800℃×10〜300秒保持(材料到達温度×到達後
保持時間)の条件で目的を達成することができる。冷延
後、テンションレベリング、テンションアニーリングな
どの工程を適用しても、又は冷延−焼鈍後、さらにテン
ションレベリング、テンションアニーリングなどの工程
を適用して、歪みを矯正してもよい。
【0024】上記のように、冷延上り又は熱処理上りい
ずれの調質で用いる場合においても、その圧延方向に平
行な薄板断面における板厚方向の結晶粒径が20μm以
下であればよい。なお、圧延加工率の増大に伴って圧延
方向に平行な断面において、結晶粒は板厚方向に偏平と
なり、最終的には繊維状組織となるが、本発明において
は、この板厚方向における結晶粒径が20μm以下であ
ればよい。その結晶粒径が20μmを越えると、スタン
ピング加工したときのばりの発生が大きくなる。また、
スタンピング後の曲げ加工時に曲げ部において、オレン
ジピールと呼ばれる肌荒れ及びそれに起因する割れが発
生しやすくなる。さらには、強度低下をも招く。そのた
め、合金の結晶粒径は20μm以下であることが望まし
い。スタンピング加工時のばり、曲げ加工時の肌荒れ、
曲げ部の割れ及び強度の点からは、結晶粒径は15μm
以下がより望ましく、10μm以下であることがさらに
望ましい。そして、結晶粒径が上記範囲であれば、本発
明の銅合金はエッチング加工性も良好であり、エッチン
グ加工用のリードフレーム素材としても用いることがで
きる。
【0025】本合金の用途であるリードフレームは、S
iチップの実装−パッケージング工程において200〜
350℃に加熱される。ワイヤボンディングの工程にお
いては、加熱時の酸化を防止するために通常は窒素−水
素混合ガスなどの非酸化性雰囲気で加熱されるが、加熱
炉への大気の侵入を完全に防止することが難しいため、
また不測の事態に伴うライン停止が発生した場合などに
は炉中に滞在する時間も長くなるため、侵入する大気に
よって酸化を受ける。リードフレームの表面に生成した
酸化膜と母材との間の密着強度が低いと樹脂モールディ
ング後、酸化膜が母材から剥離して生じる隙間から水分
が侵入し、ICの信頼性を著しく低下させる。このた
め、リードフレームに用いる場合には、酸化膜の密着性
が重要な要求特性となる。本合金の表面粗さが、中心線
平均粗さ(Ra)が0.2μm越え、又は最大高さ(R
max)が1.0μm越えになると酸化膜の密着性が低
下する。この点から、表面粗さは、Ra:0.2μm以
下、かつRmax:1.0μm以下であることが望まし
い。そして、その表面粗さにおいてこの条件を満足する
とき、めっき性、曲げ加工性などにおいても問題なく、
リードフレーム、端子、コネクターなどの電気・電子部
品用として好適である。
【0026】さらに、本発明合金においては、以上述べ
た元素以外に、B、Ca、Sc、V、Ge、As、S
r、Y、Nb、Mo、Rh、Pd、Cd、In、希土類
元素、Hf、Ta、W、Re、Os、Pt、Auなどか
ら選ばれる1種又は2種以上の元素を各元素0.000
1wt%〜0.1wt%、総計0.0001〜0.3w
t%までなら導電率、スタンピング加工性、めっき性な
どを大きく低下させずに、耐熱性、対応力緩和特性及び
耐食性を向上させるため、含有させてもよい。
【0027】
【実施例】以下、本発明に係る電気・電子部品用銅合金
の実施例を説明する。 (実施例1) <試料の作製>大気中で木炭被覆しながら表1〜表4に
示すNo.1〜24の組成の合金をクリプトル炉により
溶解し、ブックモールドに鋳造し、厚さ50mm、幅9
0mm、長さ200mmの鋳塊を作製した。また、溶湯
への水素の侵入を防止する目的から、原料、フラック
ス、鋳型、治具などの乾燥、木炭の赤熱などの対策を行
った(No.23を除く)。
【0028】
【表1】
【0029】
【表2】
【0030】
【表3】
【0031】
【表4】
【0032】この鋳塊を930℃に1時間加熱後、厚さ
15mmまで熱間圧延して、750℃以上で熱延を終了
し、水冷した。なお、Mg含有量が1.5%を越えるN
o.18合金、Sn含有量が8%を越えるNo.19合
金及びPの含有量の多いNo.21合金は、熱延割れの
おそれがあるため、均質化のために700℃で1時間加
熱後、750〜850℃に昇温し、熱間圧延を行った。
No.16、No.19及びNo.21合金は熱延途中
で割れが発生し、厚さ15mmの状態でその後の冷延が
不可能と思われたため、以後の工程を適用しなかった。
また、No.23合金は熱延中端面部において軽い耳割
れが発生したが、耳割れ部を除去してその後の工程を適
用した。
【0033】熱延材は、表面の酸化スケールを機械的に
除去し、0.357mmtまで冷間圧延した。ただし、
No.18は冷延途中で耳割れが激しくなったため圧延
を中止し、以後の工程を適用しなかった。その後、溶体
化のために650〜850℃に20秒間加熱した後、水
中急冷した。さらに、表面の酸化膜を酸洗除去後、厚さ
減少率30%の冷間圧延を行って板厚0.25mmと
し、440〜500℃で2時間の熱処理を行った。熱処
理後の材料は表面の酸化膜を酸洗により除去し、試験に
供した。以下、この実施例で行った合金元素等の分析方
法及び合金特性の試験方法について説明する。
【0034】<合金元素の含有量とガス量の分析> [合金元素]薄板より試料を採取し、十分に脱脂を行っ
て、JISに規定されている方法(Zn、Mn、Ni、
Fe、Co、Cr、P、Si、Al、Se、Te、P
b、As)、ICP−MS、GD−MS、原子吸光法な
どを用いて分析した。なお、各元素について2回分析を
行い、その平均値を含有量とした。 [ガス]薄板より試料を採取し、塩酸中で電解研磨して
表面の酸化膜を十分除去してから、分析を行った。この
うち酸素は、JIS−H1067に規定されている方法
(不活性ガス融解赤外線吸収法)で測定した。本法で
は、酸化物も融解する温度まで加熱して測定するため、
測定される酸素量は銅合金中に固溶している酸素と、銅
及び/又は他の元素と酸化物を形成している酸素の和と
なる。各試料について3回測定し、それらの平均値を測
定値として用いた。水素は、JIS−Z2614に規定
されている方法で測定した。各試料について3回測定
し、それらの平均値を測定値として用いた。
【0035】<試験方法> [機械的性質]試験片の長手方向を圧延方向に平行にし
たJIS5号試験片を加工し、引張り強さと伸びを測定
した。試験片の数は各試料3個ずつとし、それらの測定
値の平均値を測定結果とした。 [導電率]JISH0505に規定されている方法に基
づき、測定には横川電機製ダブルブリッジ5752を用
いた。試験片は各試料2個ずつとし、それらの測定値の
平均値を測定結果とした。 [ばね限界値]JISH3130に基づき、モーメント
式試験により室温における永久たわみ量を測定し、Kb
0.1を算出した。試験片の長手方向は圧延方向に平行と
した。試験片は各試料10個ずつとし、それらの測定値
の平均値を測定結果とした。 [応力緩和特性]
【0036】図1及び図2に示すように、幅10mmの
試験片1を片持ち梁式にて、長さ(l)80mmの位置
に試験片の耐力の80%の曲げ応力を付加し、応力を付
加した状態で160℃で1000時間保持した後応力を
除去した。応力を負荷したときの負荷点での試験片のた
わみ量(δ:10mm)と応力を除去したときの変位量
(ε1)を測定し、次式によって応力緩和率を測定し
た。各試料から試験片を10個ずつ採取し、それらの測
定値の平均値を測定結果として用いた。 応力緩和率(%)=(ε1/δ)×100 なお、曲げ応力(σ)は次式によって算出される。 σ=(3×E×t×δ)/(2×l2) ただし、 σ:曲げ応力=試験片の耐力×0.8 E:試験片のヤング率(N/mm2) t:試験片の板厚=0.25mm
【0037】[結晶粒径]結晶粒径は圧延方向に平行な
板断面において板厚方向の結晶粒径をJIS−H050
1に規定する切断法で測定する。各試料から試験片を5
個ずつ採取し、各試験片について3視野ずつ光学顕微鏡
写真を撮影した(倍率100〜200倍)。撮影写真に
対して、切断法による測定を行い、15個のデータの平
均値を結晶粒径とした。 [Sn及びSn合金めっきの耐熱剥離性]本発明の合金
においては、Snめっき及びSn合金めっきのどちらを
行っても同様な結果が得られるため、本実施例において
ははんだめっきを行って耐熱剥離性を調査した。幅10
mm、長さ50mmの試験片を各試料から10個ずつ採
取した。はんだめっきとしては、アルカノールスルフォ
ン酸第一錫193g/l、アルカノールスルフォン酸鉛
3.5g/l、アルカンスルフォン酸100g/l、添
加剤30cc/lからなる90Sn/10Pbはんだめ
っき浴(40℃)で電流密度3A/dm2にてめっき厚
さ10μmの90Sn/10Pbはんだめっきを施し
た。その後、150℃オーブン中で1000時間加熱
し、2mmRで180°曲げた後平板に曲げ戻し、曲げ
部においてはんだめっきの剥離の有無を目視で観察し
た。また、剥離を起こしていない試験片については、曲
げ部の断面を研磨してめっき−母材の界面を光学顕微鏡
で観察し、ミクロ的な剥離の有無まで確認した。
【0038】[Agめっき性]各試料より幅25mm、
長さ50mmの試験片を10個ずつ採取し、各試験片に
脱脂、酸洗後、シアン系Agめっき浴を用いて厚さ1μ
mの無光沢Agめっきを行った。その後、Agめっき表
面の光沢の有無を目視調査し、光沢発生部が観察されな
かった場合○、観察された場合×と評価し、その後さら
に400℃で1分間加熱して、ふくれの有無を調査し、
膨れが観察されなかった場合○、観察された場合×と評
価した。また、その表面を観察し、突起の有無を調査し
た。5μm以上のものを突起として数え、1cm2あた
り1個以下を合格○とした。
【0039】[Se、Te、Sb又はBiを含む化合物
粒子]各試料より10mm×10mmの試験片を2個ず
つ採取してその表面をEDXで観察し(倍率:×100
0〜3000)、表面に観察される粒子のEDXスペク
トルをとり、Se、Te、Sb又はBiのうちの1種以
上が含まれる粒子で、かつその直径が0.1μmを越え
るものの個数を求めた。各試験片について1mm×1m
mの面積を2回ずつ、従って各試料については1mm×
1mmの面積を4回測定して、その平均値を測定結果と
して用い、直径0.1μmを越えるものの個数が100
0個/mm2以下のものを○と評価し、1000個/m
2を越えるものを×と評価した。なお、観察には、日
本電子製JSM5800LV走査型電子顕微鏡(SEM
/EDX)を用い、加速電圧は15kVである。
【0040】<結果>各試料の調査結果を表5及び表6
に示す。
【0041】
【表5】
【0042】
【表6】
【0043】本発明に規定した組成を有するNo.1〜
No.14は、リードフレーム、端子コネクターなどの
電機電子部品に要求される強度、導電率、ばね特性など
に優れるだけでなく、めっき性、耐応力緩和特性などに
おいても優れた特性を発揮することがわかる。これに対
して、No.15は、Ni及びMgの含有量が本発明の
下限値を下回るため、強度が低く、Agめっきした表面
に突起が発生した。そして、Ni及びSiの含有量が本
発明の上限値を越えるNo.16は、熱延中に割れが発
生し、それ以上冷延を継続することが実質的に不可能で
あった。Zn含有量が本発明の下限値を下回るNo.1
7は、はんだめっきが500時間で剥離し、Mg含有量
が本発明の上限値を越えるNo.18は、冷延中激しい
耳割れが発生して、それ以降の冷延が行えなかった。S
n含有量が本発明の上限値を越えるNo.19は熱延温
度及び加熱時間を変化させても、熱延時の割れを防止す
ることが難しく、熱延方式による製造は困難なため、試
験を行わなかった。
【0044】D群(Mn、Fe、Co、Ag、Cr、Z
r、Ti)の元素の含有量が本発明の上限値を越えるN
o.20はNo.4と比べて伸びが十分でなく、曲げ加
工を行うと割れが発生しやすい。また、導電率も低めで
ある。C群(P、Al)の元素の含有量が本発明の上限
値を越えるNo.21は熱延割れが発生し、それ以後の
工程を進めることが不可能であった。A群(Se、T
e、Sb、Bi)の元素の含有量が本発明の上限値を越
えるNo.22はこれらの元素を含む化合物が大量に発
生し、無光沢Agめっきを行っても光沢むら(前記化合
物の覆い部分でめっきに光沢が出る)が発生し、リード
フレーム、端子への適用が難しい。水素の含有量が本発
明の上限値を越えるNo.23は熱延時に耳割れが発生
し、熱延性が低下し、またAgめっき後の加熱試験でふ
くれが発生し、Agめっきを行う用途に適用することが
難しい。酸素の含有量が本発明の上限値を越えるNo.
24は製造工程上は特に問題が生じなかったが、伸びが
低いため曲げ加工性が悪い。また、Agめっき後の加熱
試験でふくれが発生し、Agめっきを行う用途に適用す
ることがやはり難しい。
【0045】(実施例2) <試料の製作>表7に示す6種類の組成の合金につい
て、大気中で木炭被覆しながらコアレス炉により溶解
し、半連続鋳造によって、厚さ150mm、幅600m
m、長さ5000mmの鋳塊を作製した。溶解鋳造にお
いては溶解炉及び樋のカバーを十分に行い、溶湯の酸化
及び水素ガス吸収を防止した。
【0046】
【表7】
【0047】この鋳塊を930℃に1時間加熱後、厚さ
15mmまで熱間圧延して、700℃から水冷した。熱
延材は、表面の酸化スケールをスカルパーで除去し、冷
間圧延を行って0.357mmtのコイルを作製した。
これらのコイルを850℃の連続焼鈍炉に通板して、溶
体化処理を行った。組成ごとに予め求めておいた適正な
速度で通板した。溶体化処理したコイルを酸洗後、厚さ
減少率30%の冷間圧延を行って板厚0.25mmと
し、440〜500℃で2時間の熱処理を行った。熱処
理後の材料は表面の酸化膜を酸洗により除去し、試験に
供した。各試料のコイルについて、実施例1の要領で、
引張り強さ、伸び、導電率及び結晶粒径を測定した後、
以下の要領でスタンピング加工を行い、打抜き加工性を
調査した。なお、コイルの全長及び幅方向において、成
分、組織、機械的性質及び導電率を調査したところ、そ
れらのばらつきはほとんどないことが確認された。
【0048】[打抜き加工性]各試料の元コイルを、幅
30mmにスリットして幅狭コイルとした。元コイルの
幅方向の中央部付近からスリットした試料を用いて、幅
0.5mm、長さ20mmのリードをプレス(ブルーダ
ラー製)によって連続打抜き加工し、打抜かれたリード
部のバリが0.01mmとなり、金型の再研磨が必要と
なるストローク数を測定した。ストローク数が300万
回を越えるものを○、300万回に達しないものを×で
評価した。なお、ブレス金型は超鋼製、そのクリアラン
スは片側0.025mm(リード幅の5%)、プレス打
抜き条件は、打抜き速度約500ショット/分である。
【0049】<結果>各試料の調査結果を表8に示す。
【0050】
【表8】
【0051】本発明に規定した組成を有するNo.25
〜No.28は、優れた打抜き加工性を有することがわ
かる。これに対して、No.29は、Mg及びA群(S
e、Te、Sb、Bi)の元素の含有量が本発明の下限
値を下回るため打抜き加工性が劣る。
【0052】(実施例3) <試料の製作>実施例2のNo.27合金について、
0.357mmの冷延材コイルを連続焼鈍する際その通
板速度を変化させ、結晶粒径の異なるものを作製した。
それらを0.25mmtに冷延し、440〜500℃に
加熱して時効処理を行った。
【0053】<試験方法>以下に示す方法でスタンピン
グ時のバリ高さに及ぼす結晶粒径の影響及び曲げ加工時
の肌荒れに及ぼす結晶粒径の影響を調査した。 [スタンピングバリ高さ]実施例2において用いたプレ
スを用いて、リードを打抜き加工し、各結晶粒径の試料
に対して10000ショット打抜いた時点のリード部
(リード長手方向は圧延方向に直角)のバリ高さを走査
電子顕微鏡で観察した。観察数は1試料について20個
とし、その平均値を各試料のバリ高さとした。 [曲げ部外観]CESM0002金属材料曲げ試験方法
に規定されているB型曲げ治具で幅10mm、長さ35
mmの試験片をはさみ、島津製作所製万能試験機RH−
30を使い、1Tonの荷重で曲げ半径0.25mmの
曲げ加工を行った。なお、曲げ線は圧延方向に直角とな
るように、各試料について5個ずつの試料を用いて試験
を行った。その後、曲げ部の外側をオリンパス光学製S
ZH型光学式実体顕微鏡を用い、倍率40倍で観察し
て、結晶粒径の数倍程度で現れる肌荒れ発生の有無を調
査した。
【0054】<試験結果>結果を表9に示す。
【0055】
【表9】
【0056】結晶粒径が20μm以下であるNo.27
−1〜No.27−4においては、スタンピングバリの
発生量が小さく、曲げ試験後の肌荒れの発生もなく、良
好なスタンピング性及び曲げ加工性を有する。一方、結
晶粒径が20μmを越えるNo.27−5及びNo.2
7−6においては、スタンピングバリの発生量が急に大
きくなり、曲げ試験後の肌荒れが発生するようになる。
【0057】(実施例4) <試料の製作>実施例2において用いたNo.27試料
を用いた。コイル外周より100mの位置より25mm
×50mmの試験片を切り出し、粗さの異なるば布で研
磨することによって表面粗さを変化させた。粗さ調整を
行った試料はアセトンに浸漬して超音波洗浄後、さらに
電解脱脂を行い、加熱試料とした。各試料について試験
片の個数は5個ずつとした。なお、加熱前に試験片表面
をX線光電子分析装置(VG製ESCALAB−210
D)て測定し(Mg、Kα、15kV、20mA)、初
期酸化状態を調査した。酸素ピーク強度と銅ピーク強度
の比(O1s)/(Cu2p)は各試験片とも0.4
で、初期酸化状態は一定であった。
【0058】<試験方法>以下に示す方法で酸化膜密着
性に及ぼす表面粗さの影響を調査した。 [表面粗さ]アセトンで超音波洗浄した各試験片につい
て圧延方向に平行に、長さ5mmにわたりプローブを走
査して粗さを測定した。各試料の5個の試験片はほぼ同
一の表面粗さを示した。各試料の表面粗さとしては5個
のデータの平均値を用いた。表面粗さの測定は触針式表
面粗さ測定器(Taylor Hobson製)を用い
た。なお、表面粗さの定義はJIS−B0601(表面
粗さの定義と表示)による。
【0059】[酸化膜の密着性]300℃に保持したホ
ットプレート(SEFI社製ホットプレートHHP−4
01)の上に各表面粗さの試験片を置いて30分間加熱
した。所定時間経過後、室温に冷却し、市販のアセテー
ト粘着テープ(スリーエムNo.810)を張付け、直
ちに引き剥がしてテープ粘着面への酸化膜の付着の有無
を目視で調査した。粘着面への酸化膜の付着がないもの
を○、粘着面に少しでも酸化膜が付着しているものを×
と評価した。なお、ホットプレートによる加熱及び引き
剥がし試験は、25℃、相対湿度60%の室内で実施し
た。
【0060】<試験結果>結果を表10に示す。
【0061】
【表10】
【0062】表面粗さがRa:0.2μm以下、Rma
x:1.0μm以下であるNo.27−7及びNo.2
7−8においては、酸化膜が剥離しないが、表面粗さが
上記範囲を越えるNo.27−9及びNo.27−10
においては、酸化膜が剥離する。
【0063】
【発明の効果】本発明に係る銅合金は、電気・電子部品
として要求される強度、導電率、はんだの耐熱剥離性な
どの特性を満足するとともに、スタンピング加工性(ス
タンピング金型の磨耗が小さく、発生するバリ、だれが
小さい)、めっき性にも優れる。従って、本発明は電気
・電子部品の生産性及び信頼性向上に大きく寄与する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 応力緩和特性を評価する方法を説明するため
の斜視図である。
【図2】 その側面図である。
【符号の説明】
1 試験片
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 真名子 隆弘 山口県下関市長府港町14番1号 株式会社 神戸製鋼所長府製造所内 (72)発明者 丸尾 聡 山口県下関市長府港町14番1号 株式会社 神戸製鋼所長府製造所内

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Ni:0.1〜4.0wt%、Si:
    0.01〜1.0wt%、Zn:0.01〜5.0wt
    %、S:0.005wt%以下を含有し、Se:0.0
    03wt%以下、Te:0.003wt%以下、Sb:
    0.003wt%以下、Bi:0.003wt%以下の
    群より選択した元素の1種又は2種以上を合計で0.0
    05wt%以下含有し、残部がCu及び不可避不純物か
    らなることを特徴とするスタンピング加工性に優れる電
    気・電子部品用銅合金。
  2. 【請求項2】 Ni:0.1〜4.0wt%、Si:
    0.01〜1.0wt%、Zn:0.01〜5.0wt
    %、S:0.0001〜0.005wt%を含有し、S
    e:0.00003〜0.003wt%、Te:0.0
    0003〜0.003wt%、Sb:0.00003〜
    0.003wt%、Bi:0.00003〜0.003
    wt%の群より選択した元素の1種又は2種以上を合計
    で0.00003〜0.005wt%含有し、残部がC
    u及び不可避不純物からなることを特徴とするスタンピ
    ング加工性に優れる電気・電子部品用銅合金。
  3. 【請求項3】 さらにPb:0.0001〜0.05w
    t%、C:0.0001〜0.01wt%の群より選択
    した元素の1種又は2種を合計で0.0001〜0.0
    5wt%含有することを特徴とする請求項1又は2に記
    載されたスタンピング加工性に優れる電気・電子部品用
    銅合金。
  4. 【請求項4】 さらにP:0.0001〜0.1wt
    %、Al:0.0005〜0.3wt%の群から選択し
    た1種又は2種を合計で0.0001〜0.3wt%含
    有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載
    されたスタンピング加工性に優れる電気・電子部品用銅
    合金。
  5. 【請求項5】 さらにMg:0.001〜1.5wt%
    含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記
    載されたスタンピング加工性に優れる電気・電子部品用
    銅合金。
  6. 【請求項6】 さらにMn:0.001〜0.5wt
    %、Fe:0.001〜0.03wt%未満、Co:
    0.001〜0.1wt%、Ag:0.0003〜0.
    1wt%、Cr:0.0005〜0.01wt%、Z
    r:0.0005〜0.01wt%、Ti:0.000
    5〜0.01wt%の群から選択した1種又は2種以上
    を合計で0.0003〜0.7wt%含有することを特
    徴とする請求項1〜5のいずれかに記載されたスタンピ
    ング加工性に優れる電気・電子部品用銅合金。
  7. 【請求項7】 さらに酸素含有量30ppm以下、水素
    含有量10ppm以下含有することを特徴とする請求項
    1〜6のいずれかに記載されたスタンピング加工性に優
    れる電気・電子部品用銅合金。
  8. 【請求項8】 さらにSn:0.01〜8.0wt%含
    有することを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載
    されたスタンピング加工性に優れる電気・電子部品用銅
    合金。
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