JPH11259066A - 音楽音響信号分離方法、その装置およびそのプログラム記録媒体 - Google Patents

音楽音響信号分離方法、その装置およびそのプログラム記録媒体

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JPH11259066A
JPH11259066A JP10056986A JP5698698A JPH11259066A JP H11259066 A JPH11259066 A JP H11259066A JP 10056986 A JP10056986 A JP 10056986A JP 5698698 A JP5698698 A JP 5698698A JP H11259066 A JPH11259066 A JP H11259066A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 音程やリズムの変動が大きい場合でも、高い
品質で音楽音響信号分離ができる。 【解決手段】 入力音響信号から瞬時周波数成分が手段
1で抽出され(3−4)、一方パート譜情報から音符の
音高とタイミング情報を得(3−2)、その基本周波数
軌跡を2次減衰振動系の応答で近似し(3−3)、これ
と、手段1で抽出した対応する周波数成分を参照して、
時間軸の伸縮を行って、実際の入力に即した基本周波数
軌跡の対応付けを行い(3−5)、その基本波の周波数
軌跡と、手段1の抽出成分の各時刻における瞬時周波数
を参照して、この例では基本周波数軌跡成分を除去し
(3−6)、その残りを抽出周波数成分の時刻、振幅、
位相情報に基づき合成される区分的な正弦波を各時刻に
おいて、同時に存在する周波数成分の数だけ加算して音
響信号波形(3−7)を得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、複数のパート
(旋律)を含む音楽演奏の音響信号に対して、ある旋律
だけを抽出するか、またはある旋律だけを除去すること
によって、たとえば歌唱だけを抽出したり、原楽曲から
カラオケを作成したりすることなどを目的とする、音楽
音響信号を分離する方法、その装置およびプログラム記
録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、音楽音響信号分離方法として、
「音楽演奏に含まれる旋律の分離抽出および分離除去方
法」(特願平9−327076)で、複数の旋律(パー
ト)を含む音楽演奏の音響信号に対して、ある旋律だけ
を抽出するか、またはある旋律だけを除去することによ
って、たとえば歌唱だけを抽出したり、原楽曲からカラ
オケを作成したりすることなどを目的とする装置を提案
した。
【0003】この提案した方法は図2に示すように周波
数成分抽出手段1で音楽演奏の音響信号に対し、周波数
解析を行って、周波数軸方向のローカルピークを時間方
向に接続することによって周波数成分を抽出し、各周波
数成分の各時刻における瞬時周波数を取得する。周波数
成分選択手段2は、周波数成分抽出手段1で抽出した周
波数成分の各時刻における瞬時周波数と、別の手段で与
えられる各単音の時刻および周波数とを参照することに
よって、抽出または除去の対象となる単音を構成する周
波数成分を選択する。波形加算合成手段3は、周波数成
分選択手段2で選択された周波数成分の時刻、振幅、位
相の情報に基づいて合成される区分的な正弦波を、各時
刻において同時に存在する周波数成分の数だけ加算する
ことによって出力音響信号波形を生成する。
【0004】周波数成分抽出手段1では、図5に示すよ
うにまず装置への入力となる音楽演奏の音響信号波形を
読み込む(ステップ101)、次に、読み込んだ波形に
対し周波数解析を行って、スペクトログラムを得る(ス
テップ102)。スペクトログラムは、音響信号に含ま
れるパワーを横軸時間、縦軸周波数の平面上に表現した
ものである。スペクトログラムは、例えば高速フーリエ
変換の手法を用いて得る。続いて、ステップ102で得
たスペクトログラムに対して、周波数成分を抽出する。
周波数成分とは、スペクトログラム上における一連のロ
ーカルピークのことである。周波数成分抽出は、スペク
トログラムをまず周波数方向に走査してパワーのローカ
ルピークを検出し(ステップ103)、このローカルピ
ークの時間方向の連続性を検出して、連続するローカル
ピークを接続する(ステップ104)ことによって行
う。
【0005】一般に、高速フーリエ変換の手法では、周
波数方向の分解能は分析時間窓の長さ(ポイント数)す
なわち時間分解能によって決まり、音楽演奏を対象とし
た場合、十分な時間分解能を得ようとすると、十分な周
波数分解能が得られない。例えば、標本化周波数48k
Hzのとき、40ミリ秒の時間分解能を得ようとすれ
ば、分析フレーム長を2048サンプルかそれより短い
時間区間としなければならないが、このとき周波数分解
能は高々約23Hzとなる。ところが、音楽では半音の
周波数差が約6%であるから、例えば、歌唱の代表的音
域である220HzのAの音と233HzのA#の音と
を区別するためには13Hzの周波数分解能が必要であ
り、上記分析では周波数分解能が不足する。しかし、ス
テップ104で検出された周波数成分をその連続性を用
いることにより精密な周波数の値を推定する(ステップ
105)。
【0006】これは例えば次のように行うことができ
る。この方法は、まず位相の連続性を用いて各時刻にお
ける位相を近似し、その時間微分として周波数を求める
ものである。なお、このようにして求めた周波数値を瞬
時周波数と呼ぶ。k番目の分析フレームと、これと時間
的に隣接したk+1番目の分析フレームを考え、それぞ
れのフレームにおいて検出されたローカルピーク成分
の、フーリエ変換によって得られる周波数値ωと位相値
θをそれぞれωk,ωk+1,θk,θk+1とする。
位相は連続的に変化しているはずなので、低次の多項式
で位相の時問変化を表現することを考える。そこで、時
刻tにおける位相θ(t)を3次式で近似することにす
れば、次式のようになる。
【0007】 θ(t)=θk +ωk t+αt2 +βt3 …(1) ここで、αとβは、次式によって求めることができる。 ただしTは隣接フレーム間の時間間隔であり、Mは次の
x′に最も近い整数である。
【0008】x′=(1/2π)(θk −θk+1 +(ω
k+1 +ωk )T/2) この計算で得られたθ(t)を時間微分することによっ
て瞬時周波数値ω(t)が計算できる。瞬時周波数の計
算では、フーリエ変換のフレーム長に依存して決まる周
波数分解能の影響を直接には受けないため、上記の時間
分解能と周波数分解能の関係によって分解能が不足する
という間題点は解消することができる。
【0009】しかし、上記の計算では、実際には演算精
度等の点から、常に信頼性の高い瞬時周波数値ω(t)
が計算できるとは限らない。このような場含には、ω
(t)の時系列に対してローパスフィルタあるいはメジ
アンフィルタ(一定区間ごとにその中央値を出力する)
等の演算を行うことができる。メジアンフィルタを用い
る場合、例えば、サンプリング周波数48kHz、フレ
ーム長2048サンプル、隣接フレーム間の時間差32
サンプル(直前のフレームと2016サンプルは同一)
の場合で、対象フレームの前後10フレーム分について
計算されたω(t)の中間値を対象フレームの瞬時周波
数値として用いると、後続の再合成処理等において良好
な結果が得られる。
【0010】上記のような計算を行った結果得られた瞬
時周波数値ω(t)と振幅値とをバッファに格納し(ス
テップ106)、ステップ101に戻って、入力された
全ての音響信号を処理し終わるまで、逐次各フレームの
処理を行う。周波数成分選択手段2では、図6に示すよ
うにはじめに、周波数成分抽出手段1で得た周波数成分
抽出結果を読み込み(ステップ201)、それぞれの周
波数成分を一つずつ選択しながら処理を行う。まず、選
択した周波数成分が、別途装置に与えられている処理対
象の旋律に含まれる単音の情報、対応する楽譜情報に該
当しているかどうかを検査する(ステップ202)。す
なわち周波数成分の時刻と瞬時周波数とが、処理対象の
単音の時間区間と周波数とに一致するかどうかを調べ
る。もしこれらが一致していれば、その成分は基本周波
数成分であると判定できるのでステップ203に進む。
もし一致していなければ、ステップ201に戻る。基本
周波数成分と判定された成分は、まずその成分自身を選
択し(ステップ203)、次にその成分の高調波成分
(すなわち瞬時周波数値がその成分の瞬時周波数値のほ
ぼ整数倍となっている成分)を選択する(ステップ20
4)、選択された成分を周波数成分バッファに格納し
(ステップ205)、ステップ201に戻る。
【0011】なおステップ202の検査に当って、入力
音楽の音響信号に対する楽譜の音符記号から各時刻に発
生(入力)する音の周波数と継続時間とを予め求めてお
き、これを入力音響信号に同期させて入力させればよ
い。波形加算合成手段3では、図7に示すようにまず、
周波数成分抽出手段1で生成された周波数成分のうちで
未処理のものを検索し(ステップ301)、未処理の単
音がなければ処理を終了する。未処理の周波数成分があ
れば、周波数成分選択手段2の出力を参照して、その成
分が合成に用いるべき成分であるかどうかを判定する
(ステップ302)。もし、与えられた単音を分離抽出
したい場合には、周波数成分選択手段2の出力に含まれ
る成分のみを合成に用いるので、ステップ303に進
む。もし、与えられた単音を分離除去したい場合には、
周波数成分選択手段2の出力に含まれる成分を合成に用
いないので、ステップ301に戻る。ステップ302に
おいて合成に用いられると判定された成分については、
その成分の時刻、位相、および振幅の情報を用いて正弦
波波形を計算する(ステップ303)。なおステップ3
02において、合成に用いるか用いないかの二値的な判
断をするのではなく、抽出または除外する程度に応じて
0から1までの範囲の値をとる係数を計算して、ステッ
プ303で用いる振幅値に積算してもよい。ステップ3
03の計算結果を波形バッファに加算格納し(ステップ
304)、ステッブ301に戻る。
【0012】この提案した方法では、音程やリズムの変
動が大きい場合には、分離の対象となる単音の音高やタ
イミングの情報と、実際の周波数成分との対応づけが難
しいため、分離が十分に行えない場合があるという欠点
があった。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】この発明は、音程やリ
ズムの変動が大きい場合であっても適用することのでき
る、音楽音響信号分離方法、その装置、プログラム記録
媒体を提供し、公知の方法に比較して、高い品質で音楽
音響信号分離処理を行うことを目的としている。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、この発明は、周波数成分抽出過程で、音楽音響信号
に含まれている周波数成分を抽出し、パート譜情報から
得られる、音符の音高とタイミングに関する情報を利用
して、前記のパート譜に対応する実際の基本周波数の時
間変化を基本周波数軌跡追跡過程で追跡し、上記周波数
成分抽出過程で抽出した周波数成分に対して、上記基本
周波数軌跡追跡過程で追跡した基本周波数軌跡の情報を
用いて、出力に用いるべき周波数成分とその時間範囲と
を周波数成分選択過程で選択し、上記周波数成分選択過
程で選択された周波数成分の時刻、振幅、位相の情報に
基づいて波形加算合成過程で波形を合成加算することに
よって出力音響信号波形を生成することを特徴とする。
【0015】特に、前記「音楽演奏に含まれる旋律の分
離抽出および分離除去方法」(特願平9−32707
6)の方法に比べて、特にパート譜情報から得られる、
音符の音高とタイミングに関する情報を利用して、実際
の音に対応づけた情報を生成し、つまり前記のパート譜
に対応する実際の基本周波数の時間変化を追跡して前記
基本周波数の対応付け情報を得る基本周波数軌跡追跡過
程を備える点に特徴がある。なお音符の音高とタイミン
グに関する情報は楽譜情報のみならず、これと同等の、
例えばMIDIデータに含まれる情報を用いてよいこと
は明らかである。
【0016】
【発明の実施の形態】次に、この発明の実施形態につい
て図面を用いて説明する。図1は、この発明方法を適用
した音楽音響信号分離装置の一実施形態を示すブロック
図である。この実施形態の音楽音響信号分離装置は、周
波数成分抽出手段1と、基本周波数軌跡追跡手段2と、
周波数成分選択手段3と、波形加算合成手段4とで構成
され、音楽音響信号とパート譜情報をそれぞれ端子11
と12から入力とし、入力音響信号から入力楽譜情報に
対応した旋律のみを抽出した音響信号、または入力音響
信号から入力楽譜情報に対応した旋律のみを除去した音
響信号を出力端子13から出力する。
【0017】周波数成分抽出手段1は、図2の周波数成
分抽出手段1と同様のものである。基本周波数軌跡追跡
手段5は、端子12から入力されたパート譜情報から得
られる、音符の音高とタイミングに関する情報を利用し
て、前記のパート譜に対応する実際の基本周波数の時間
変化を追跡する。この追跡手法は後で詳細に説明する。
【0018】周波数成分選択手段6は、周波数成分抽出
手段1で抽出した周波数成分の各時刻における瞬時周波
数と、基本周波数軌跡追跡手段5で追跡した基本周波数
軌跡とを参照することによって、抽出または除去の対象
となる単音を構成する周波数成分を選択する。波形加算
合成手段3は、図2の正弦波加算合成手段3と同様のも
のである。
【0019】次に、上述した基本周波数軌跡追跡手段5
における各処理の流れを具体的に説明する。基本周波数
軌跡追跡手段5では、はじめに、端子12からパート譜
情報を読み込む。この発明では、基本的には、パート譜
以外の成分を選択することによりそのパートを除去する
ことができる(逆に、パート譜の成分を選択すればその
パートを抽出できる)。しかし普通、音楽演奏は音程も
リズムも必ずしもパート譜通りなわけではない。そこで
この発明では、「基本周波数調整モデル」による基本周
波数遷移と、DP(Dynamic Programm
ing:動的計画法)による時間軸伸縮を組み合わせて
基本周波数の内部モデルを作り、これと入力の周波数成
分とを対応づける。この方法を図3に示す。
【0020】例えば、歌唱に対する基本周波数調整モデ
ルは、以下のように組み立てられる。まず、歌手の基本
周波数の制御を、2次減衰振動系でモデル化する。すな
わち、発声しようとする目標基本周波数の対数値をx
(t)としたとき、実際に発声される基本周波数の対数
値y(t)が次式に従うと仮定する。 md2 y(t)/dt2 =−k{y(t)−x(t)}−pdy(t)/dt (1) ここでm,k,pは物理系からの類推によって仮定した
係数である。式(1)をラプラス変換して整理すれば、
Y(s)は、X(s)に対する2次系H(s)の応答と
みなせる。ここで H(s)=ω2 /(s2 +2γs+ω2 ) (2) である。ただしω2 =k/m,γ=p/2mである。H
(s)をステップ関数で駆動したときの応答で、通常の
歌唱における基本周波数軌跡を近似でき、また正弦波や
ランプ関数に対する応答で、ビブラートやポルタメント
が近似できると考えられる。なお、基本周波数軌跡を2
次系の応答で近似する考え方は、既に、スピーチにおい
て藤崎らが提案しているが、この基本周波数調整モデル
は、歌唱が対象であることから、目標周波数値に近づけ
るような制御としてモデル化している点が異なってい
る。このようにしてあるパートの楽譜情報3−1中の音
符の音高とタイミングに関する情報から、ステップ的に
変化する周波数と時間の関係3−2が得られ、これが式
(1)に従って減衰振動系でモデル化されて、周波数の
精緻化がなされた基本周波数調整モデル3−3が得られ
る。
【0021】次に、この基本周波数調整モデル3−3に
対し時間軸方向の精緻化を行う。すなわち、入力信号に
対する周波数成分の抽出結果3−4を参照しながら、基
本周波数の調整モデル3−3が、入力信号に含まれる周
波数成分3−4中の対応するものに最も適合するよう
に、DPの手法を用いて時間軸を非線型伸縮させて基本
周波数の内部モデル3−5を得る。
【0022】以上の処理により、周波数・時間の両方向
にゆらぎのある演奏に対して、基本周波数成分を追跡す
ることができる。基本周波数軌跡追跡手段5で求めた内
部モデル(基本周波数軌跡)3−5を周波数成分抽出手
段1の抽出瞬時周波数3−4から除去することを周波数
成分選択手段6で行うと、その結果3−6が得られる。
【0023】これを波形加算合成手段3で各時刻におい
て同時に存在する周波数成分を区分的な正弦波に合成す
ると音響信号波形3−7となる。なお、歌唱以外の楽器
に対する基本周波数の内部モデルも、各楽器の発音形態
等を考慮することにより、同様に構築できる。
【0024】
【発明の効果】次に、この発明を適用した装置の動作実
験例を示す。この実験は、著作権フリー音楽の1曲(サ
ウンドワークスナッシュスタジオ・ボーカルコレクショ
ンI−115)を題材とした。CDでオリジナルカラオ
ケが提供されているので、これに、別途収録した女声歌
唱をミキシングしたものを装置への入力とした。
【0025】パート譜情報として装置に与えたのは、通
常の楽譜に準じて、各音符の音高(半音単位)、音価
(四分、八分など音符の種類)、休符の音価、速度記号
(1分間あたりの四分音符数)、および歌詞で、その一
部を図4に示す。このうち速度記号は、DPによる時間
軸伸縮の初期値として用いた。また歌詞は、歌詞の無声
部と有声部において基本周波数調整モデルの初期値を制
御するために用いた。即ち二つの音符が有声で連続する
場合、後の音符に対する基本周波数の初期値は、前の音
符の周波数値を用い、無声区間を含んで連続する場合に
は基本周波数の初期値をリセットする。
【0026】入力信号のサンプリング周波数は44.1
kHz、量子化精度は16bit、2チャネルステレオ
入力とした。ただし2チャネルの処理は、ただ同じ処理
を2回繰り返しているだけであり、音源位置等の情報は
全く使用していない。この実験の結果、聴感上は、歌唱
の高調波成分のうちの消え残ったものが聞こえ、また異
音も聞こえるが、カラオケやマイナスワン等の用途には
おおむね使用できる程度の出力が得られることが分かっ
た。
【0027】特に、実験結果を、この発明によらない場
合、図2に示した基本周波数軌跡の追跡を行わず、基本
周波数の階段状の変化を仮定した場合と比較すると、図
2に示した手法の場合には、歌唱の各音節の立上り部分
で消え残りが発生して聴感上の品質はかなり悪化した。
この例のように、市販CDを用いて、この発明を適用し
た装置を動作させたところ、提案されている方法より
も、聴感上品質の高い出力音響信号が得られることが確
かめられた。
【0028】この種の装置の定量的評価は簡単ではない
が、いま、装置から出力される歌唱を除去した音響信号
の、歌唱をミキシングする前のオリジナルカラオケの音
響信号に対するスペクトル歪み率Dを計算した。この発
明方法によればD=14.6%となった。ただしDは5
12サンプルのハニング窓をかけて256サンプルずつ
窓を移動させた振幅スペクトルを用いて、次のように定
義した。
【0029】D= 100・Σt f {S(t,f)−R(t,f)}2
/Σt f R(t,f)2 [%] S(t,f)は離散時刻t、離散周波数fにおける装置
の出力の振幅スペクトル、R(t,f)はオリジナルカ
ラオケの振幅スペクトルである。簡易的なカラオケ作成
方法として、左右チャネルの差分演算に基づく方法が知
られている。先の実験対象の曲について差分法によるス
ペクトル歪み率を計算してみると、D=44.1[%]
となった。これより、差分法よりスペクトル歪み率が著
しく小さいことが理解される。
【0030】以上、説明したように、この発明によれ
ば、楽譜情報をもとに実際の基本周波数軌跡を推定し、
また時間軸の精密な対応をとることによって、音程やリ
ズムの変動が大きい場合であっても、提案されている方
法(図2)に比較して、高い品質で音楽音響信号分離処
理を行うことができるという利点がある。特に周波数抽
出手段1において図5を参照して示したように位相補間
瞬時周波数計算処理(105)を行うと、これと、基本
周波数軌跡追跡手段5の処理とよくマッチして音節の立
上り部分が消え残りが発生したりすることなく、聴感上
の品質がよくなるとが確認されている。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明による音楽音響信号分離装置の一実施
形態の機能的構成を示すブロック図。
【図2】先に提案した音楽音響信号分離装置の機能的構
成を示すブロック図。
【図3】図1中の基本周波数軌跡追跡手段5の処理の流
れを示す図。
【図4】この発明の実験に用いたパート譜情報の一部を
示す図。
【図5】図2中の周波数成分抽出手段1の処理手順の例
を示す流れ図。
【図6】図2中の周波数成分選択手段2の処理手順の例
を示す流れ図。
【図7】図2中の正弦波加算手段3の処理手順の例を示
す流れ図。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数の楽器音や歌唱など複数パートが混
    在する音楽音響信号から、あるパートの音を分離除去し
    たり、あるパートの音だけを分離抽出したりする音楽音
    響信号分離方法において、分離対象のパートの楽譜情報
    から得られる音符の音高とタイミングに関する情報を、
    実際の音に対応付けた情報を作り、この情報を利用する
    ことを特徴とする音楽音響信号分離方法。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の音楽音響信号分離方法
    において、 上記音楽音響信号に含まれている周波数成分を抽出する
    周波数成分抽出過程と、 パート譜情報から得られる、音符の音高とタイミングに
    関する情報を利用して、上記のパート譜に対応する実際
    の基本周波数の時間変化を追跡して、上記実際の音に対
    応付けた情報を生成する基本周波数軌跡追跡過程と、 上記周波数成分抽出過程で抽出した周波数成分に対し
    て、上記基本周波数軌跡追跡過程で追跡した上記基本周
    波数軌跡の対応付け情報を用いて、出力に用いるべき周
    波数成分とその時間範囲とを選択する周波数成分選択過
    程と、 上記周波数成分選択過程で選択された周波数成分の時
    刻、振幅、位相の情報に基づいて波形を合成加算するこ
    とによって出力音響信号波形を生成する波形加算合成過
    程と、 を備えることを特徴とする音楽音響信号分離方法。
  3. 【請求項3】 上記基本周波数軌跡追跡過程は、パート
    譜情報から得られる、音符の音高とタイミングに関する
    情報を用いて、前記のパート譜に対応する基本周波数軌
    跡を2次減衰振動系の応答で近似することで、より精密
    な基本周波数軌跡の推定値を得ることを特徴とする請求
    項2に記載の音楽音響信号分離方法。
  4. 【請求項4】 上記基本周波数軌跡追跡過程は、パート
    譜情報から得られる、音符の音高とタイミングに関する
    情報を用いるとともに、上記周波数成分抽出過程で抽出
    した周波数成分を参照し、時間軸の伸縮を行うことによ
    って、実際の入力に即した基本周波数軌跡の対応付け情
    報を得ることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載
    の音楽音響信号分離方法。
  5. 【請求項5】 入力された音楽音響信号に含まれている
    周波数成分を抽出する周波数成分抽出手段と、 パート譜情報から得られる、音符の音高とタイミングに
    関する情報を利用して、上記パート譜に対応する実際の
    基本周波数の時間変化を追跡する基本周波数軌跡追跡手
    段と、 上記周波数成分抽出手段で抽出した周波数成分に対し
    て、上記基本周波数軌跡追跡手段で追跡した基本周波数
    軌跡の情報を用いて、出力に用いるべき周波数成分とそ
    の時間範囲とを選択する周波数成分選択手段と、 上記周波数成分選択手段で選択された周波数成分の時
    刻、振幅、位相の情報に基づいて、波形を合成/加算す
    ることによって出力音響信号波形を生成する波形加算合
    成手段と、 記憶手段と、 上記各手段の順次制御、上記抽出した周波数成分、追跡
    した基本周波数軌跡などの上記記憶手段に対する書込
    み、読出しなどを行う制御手段と、 を具備する音楽音響信号分離装置。
  6. 【請求項6】 入力された音楽音響信号に含まれている
    周波数成分を抽出する周波数成分抽出過程と、 パート譜情報から得られる、音符の音高とタイミングに
    関する情報を利用して、上記パート譜に対応する実際の
    基本周波数の時間変化を追跡する基本周波数軌跡追跡過
    程と、 上記周波数成分抽出過程で抽出した周波数成分に対し
    て、上記基本周波数軌跡追跡過程で追跡した基本周波数
    軌跡の情報を用いて、出力に用いるべき周波数成分とそ
    の時間範囲とを選択する周波数成分選択過程と、 上記周波数成分選択過程で選択された周波数成分の時
    刻、振幅、位相の情報に基づいて、波形を合成/加算す
    ることによって出力音響信号波形を生成する波形加算合
    成過程と、 をコンピュータに実行させるプログラムを記録した記録
    媒体。
  7. 【請求項7】 上記基本周波数軌跡追跡過程は、パート
    譜情報から得られる、音符の音高とタイミングに関する
    情報を用いて、前記のパート譜に対応する基本周波数軌
    跡を2次減衰振動系の応答で近似することで、より精密
    な基本周波数軌跡の推定値を得る過程であることを特徴
    とする請求項6に記載の記録媒体。
  8. 【請求項8】 上記基本周波数軌跡追跡過程は、パート
    譜情報から得られる、音符の音高とタイミングに関する
    情報を用いるとともに、上記入力音楽音響信号の周波数
    抽出成分を参照し、時間軸の伸縮を行うことによって、
    実際の入力に即した基本周波数軌跡の推定値を得る過程
    であることを特徴とする請求項6又は請求項7に記載の
    記録媒体。
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