JPH11268008A - 木質材料の難燃化用組成物及び難燃化処理方法 - Google Patents

木質材料の難燃化用組成物及び難燃化処理方法

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JPH11268008A
JPH11268008A JP7679998A JP7679998A JPH11268008A JP H11268008 A JPH11268008 A JP H11268008A JP 7679998 A JP7679998 A JP 7679998A JP 7679998 A JP7679998 A JP 7679998A JP H11268008 A JPH11268008 A JP H11268008A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 アンモニア臭が無く、ホルムアルデヒドを発
生せず無毒性で、燃焼時にダイオキシン発生の原因とな
るハロゲン化合物を用いることのない難燃化用組成物、
及び、当該難燃化用組成物を用いて難燃化処理を容易に
作業性良く行える木質材料の難燃化処理方法を得るこ
と。 【解決手段】 本発明に係る木質材料の難燃化用組成物
は、オルトリン酸と尿素を水に溶解してなるものであ
り、または、オルトリン酸と尿素の水溶液にアルコール
を加えてなるものである。そして、本発明に係る木質材
料の難燃化処理方法は、前記それぞれの難燃化用組成物
を木質材料に塗布したのち、その木質材料を乾燥するも
のであり、あるいは、木質材料を難燃化用組成物に浸漬
したのち、その木質材料を乾燥するものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば木材単板,
パーティクルボード,合板など(これらを総じて、木質
材料と称する)に難燃性を付与する難燃化用組成物、及
びこの難燃化用組成物を用いた木質材料の難燃化処理方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】先ず、一般的な木質材料の難燃化処理方
法について概説する。一般に木質材料に用いられる難燃
化用組成物は、比較的限定された種類の元素によって構
成されている。これらの元素は、N,P,Sbのような
Vb族の元素群、ハロゲンであるVIIb族の元素群、A
l,B,S,Zrなどの元素群である。因みに、Nはそ
れ自身に難燃作用は認められないが、Pとの組み合わせ
によって難燃化の相乗効果を呈する。また、SbはBr
と組み合わせて用いられる。これらの元素を含む化合物
は固相反応(熱分解反応過程)や界面反応を制御し、酸
素や熱の移動を断って燃焼を抑制する。ハロゲンを含有
する化合物は、一般に気相反応を制御して燃焼を抑止す
ることで知られている[(社)日本木材保存協会編,
「保存処理廃材のリサイクル技術ならびに安全廃棄技
術」(1994)]。
【0003】そして、防炎効果を発現するには、物理的
作用によるものと化学的作用によるものが知られてい
る。前者は、ホウ酸,ホウ砂などによるものがある。ホ
ウ酸は熱分解して酸化ホウ素となり、この酸化ホウ素が
可燃物を覆って酸素や熱を遮断する。また、アミノ系樹
脂などを用いて発泡させる方法もある。アミノ系樹脂は
燃焼時に生じた生成物が可燃物を被覆することで炎を遮
断するため難燃性が発現する。溶融によって発泡する場
合には泡が空気及び炎の障害物となり燃焼を妨げる。1
kgの木質材料を燃焼させるために必要な空気量は約4
km3 と比較的多いので、発泡により空気を断てば燃焼
が抑制される。そして、水酸化アルミニウムは吸熱効果
を示し、熱的作用によって難燃性が発現する。
【0004】また、水,CO2 ,NH3 ,SO2 ,SO3 などは
不燃性ガスであり難燃効果を有している。このような不
燃性ガスを発生させる化合物としては、炭酸アルカリ,
重炭酸アルカリ,ハロゲン化アンモニウム,オルトリン
酸塩,塩化物,スルファミン酸塩,硫酸塩などが知られ
ている。これらの化合物は270℃よりも低い温度で分
解して不燃性ガスを生成する[井上嘉幸,「木材保護化
学」(1969),内田老鶴舗新社]。
【0005】次に、化学的作用によるものとして、ハロ
ゲン系の難燃化用組成物は、組成物自体の気化あるいは
熱分解によって生成した気体がラジカル捕捉剤として気
体燃焼時のラジカル連鎖反応を止める化学的作用を呈す
ることで知られている[林業試験場編,「新版木材工業
ハンドブック」,1967,丸善株式会社]。加えて、
含ハロゲン発生ガス自身の希釈による燃焼抑制作用も呈
する。
【0006】更に、ハロゲン系の難燃化用組成物はセル
ロースに対して固相でも作用し、炭化残さの生成を促進
する。この場合、組成物に含まれるハロゲン化合物はラ
ジカル補捉剤として働き、燃焼の連鎖反応を抑制する。
ハロゲンによる連鎖反応抑制効果はCl<Br<Iの順
とされている[久保田静男,染色工業,32(2),7
4(1984);S Kubota, POLYMERIC MATERIALS ENC
YCLOPEDIA ,Volume 4(F-G), p.2389 ,CRC Press
(1996)、井上嘉幸,「木材保護化学」(196
9)内田老鶴舗新社]。
【0007】一方、セルロースの難燃化に関しては、オ
ルトリン酸が知られている。オルトリン酸は脱水触媒と
して働き、セルロースの水酸基と反応してセルロースを
炭素と水に熱分解することで知られている。このオルト
リン酸を含む難燃化用組成物では、まずオルトリン酸が
セルロースの6位炭素のOH基とエステル化により結合
し、ついで水が脱離してC=Cを生成する。このオルト
リン酸は木質材料(セルロース)の熱分解機構を変え、
可燃性ガス(レボグルコサンなど)の生成を抑制する。
すなわち、発炎までの間に反応性に富むセルロース側鎖
遊離基をなくす方法によって、セルロースからレボグル
コサンへの分解ルートを断ち、難燃効果を発現させてい
る[久保田静男,染色工業,32(2),74(198
4);S Kubota, POLYMERIC MATERIALS ENCYCLOPEDIA
,Volume 4 (F-G), p.2389 ,CRC Press (199
6)、井上嘉幸,「木材保護化学」(1969),内田
老鶴舗新社]。
【0008】そこで、実際上、木質材料に使用されてい
る難燃化用組成物としては、セルロースの難燃化用組成
物と同じく、リンや窒素を含有する化合物が知られてい
る。例えば、第一及び第二リン酸アンモニウム,オルト
リン酸とメラミン樹脂(メチロールメラミン)の混合物
などである。また、木質材料に用いられる塩化物として
は、例えば、クロム化塩化亜鉛(塩化亜鉛と重クロム酸
ナトリウムの混合物),塩化ゴム,塩化パラフィンなど
が知られている[林業試験場編,「新版木材工業ハンド
ブック」,1967,丸善株式会社]。
【0009】すなわち、木質材料用の難燃化用組成物と
して、リン酸アンモニウムなどのリン酸化合物及びジシ
アンジアミドなどが知られており、難燃化処理時もしく
は燃焼時の加熱によりオルトリン酸エステルとなって、
セルロースの分解経路をブロックすることにより脱水炭
化を促進させ、炎の発生を防ぐようになっている。かか
る難燃化用組成物を用いた処理方法として、例えば特開
昭53−20402号公報には、特公昭49−4860
0号公報のセルロース難燃化処理方法を改良して木質材
料の難燃化に適用したものが開示されている。この公報
開示の処理方法によれば、リン酸と尿素を加熱して縮合
させた縮合リン酸アンモニウム水溶液に、木質材料を浸
漬し乾燥させたのち、所定温度に加熱して反応させるこ
とにより、木質材料に難燃性を付与するようになってい
る。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】ところで、木質材料を
難燃化処理する場合、ホウ酸化合物によって難燃化処理
された木質材料はリン酸化合物により難燃化処理された
ものよりも難燃性が劣る。これは、炭化の際に生ずる水
蒸気によってホウ酸が失われるためと考えられている。
また、被膜の形成、ガラス状溶融物の生成、あるいは発
泡などには断熱作用があり、炭酸カリウム,シアン化
物,酢酸塩などは炭化相を形成し、これによって断熱す
る。しかし、これらの化合物は熱分解の際に強アルカリ
を生成する欠点がある。また、ハロゲン(塩素、臭素)
を含有する難燃化用組成物は燃焼時にダイオキシンを発
生するという問題がある。
【0011】他方、難燃化用組成物をセルロースと反応
させて定着するための薬剤(例えば、N−メチロールジ
メチルホスホノプロピオンアミド(チバガイギー社のピ
ロバテックスCP)やメラミン樹脂)は、加工時はもと
より製品からもホルムアルデヒドを発生し、室内空気汚
染を引き起こす原因となっている。また、上記した難燃
化用組成物の中には、その組成物自体の難燃効果が認め
られるものの、木質材料の特性を考えると大量の組成物
を必要としたり、難燃化処理に多大な時間や手間を要す
るものが多い。
【0012】また、前述した特開昭53−20402号
公報で用いられる難燃化用組成物は、リン酸と尿素を縮
合させて縮合リン酸アンモニウムを得るために、加熱工
程が必要である。また、難燃化処理の際に加熱されてア
ンモニアが発生し悪臭がするという欠点がある。更に、
縮合リン酸アンモニウムのように、リンと窒素を含有す
る化合物はそれらの相乗効果により特にセルロースに対
し効果があるが、縮合反応を適切に行わせるためにはリ
ン酸と尿素の配合比を所定の比率にしなければならな
い。また、木質材料に難燃化用組成物を塗布または浸漬
した後に加熱して定着させる必要があり、定着のための
大がかりな熱処理器を要するので、加熱処理できる木質
材料の寸法に制限があった。更に、これらの難燃化用組
成物を合成するためには、大掛りな反応装置が必要であ
り、反応も長時間を要する。そして、難燃化用組成物の
中でもオルトリン酸エステルには、トリス(2,3−ジ
ブロモプロピル)ホスフェートなどのように毒性の高い
ものもある。
【0013】一方、ポリエチレングリコールなどを浸透
剤として用いた難燃化用組成物を木質材料に含浸させた
場合、風乾はもとより加熱乾燥であっても、ポリエチレ
ングリコールは蒸散することなく木質材料内に滞留して
いるので、有効成分の定着状態が悪く、雨水などにより
難燃化用組成物の有効成分がポリエチレングリコールと
ともに容易に流脱してしまうといった問題がある。ま
た、ラクチトールをキャリア剤として含む難燃化用組成
物を木質材料に含浸させた場合は、防虫効果や防黴効果
が薄れるという問題があった。
【0014】本発明は、上記の問題点に鑑みてなされた
ものであって、アンモニア臭が無く、ホルムアルデヒド
を発生せず無毒性で、燃焼時にダイオキシン発生の原因
となるハロゲン化合物を用いることのない難燃化用組成
物、及び、当該難燃化用組成物を用いて難燃化処理を容
易に作業性良く行える木質材料の難燃化処理方法を得る
ことを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】上記した従来の問題点を
解決するために、本発明者は、優れた難燃効果を有する
オルトリン酸に着目し、これを主成分とする簡素な組成
でありながら、上記のような問題点のない難燃化用組成
物を見出せないものかと鋭意検討した結果、本発明を完
成するに至ったのである。すなわち、本発明は、オルト
リン酸と尿素を水に溶解してなる木質材料の難燃化用組
成物、または、かかるオルトリン酸と尿素の水溶液にア
ルコールを加えてなる木質材料の難燃化用組成物を要旨
とし、更には、前記それぞれの難燃化用組成物を木質材
料に塗布したのち、その木質材料を乾燥するか、あるい
は、木質材料を難燃化用組成物に浸漬したのち、その木
質材料を乾燥する木質材料の難燃化処理方法を要旨とし
ている。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を説明
する。上記構成の本発明に用いるオルトリン酸と尿素
は、ごく一般に入手可能な水溶性の化学薬品であり毒性
はない。なかでも、尿素は木質材料を膨潤させ難燃化用
組成物の浸透をよくし、また寸法安定性に寄与し、木質
材料の厚さによるが難燃性も発現する。
【0017】本発明におけるオルトリン酸と尿素の混合
比は、実用的な範囲内であれば特に限定されない。例え
ば、従来のように化学反応(エステル化反応)を期待す
る組成物の場合はリンと窒素の比が規定されているのに
対し、本発明のオルトリン酸と尿素の混合比は、処理さ
れる木質材料の性質に応じて自由に変更することができ
る。尚、木質材料のセルロースとオルトリン酸との反応
によって難燃化が進むことから、オルトリン酸の配合割
合が多いほうが好ましいと考えられるが、結果的にはオ
ルトリン酸と尿素の混合重量比として、1:9から6:
4の間で木質材料を処理することにより難燃性が高くな
った。一方、尿素自体は難燃効果がないことで知られて
いるが、オルトリン酸と併存する場合は相乗効果により
オルトリン酸単独使用の場合と比べて高い難燃性を示し
ている。オルトリン酸:尿素=1:9よりも尿素を多く
配合した難燃化用組成物を用いる場合は、木質材料表面
に尿素が析出して難燃性の持続力を損なうおそれがあ
る。
【0018】そして、オルトリン酸及び尿素の、水溶液
全体重量に対する重量パーセントは5%〜80%である
のが望ましく、より好ましくは30%〜60%である。
5%以下では木質材料に難燃効果が付与されないおそれ
があり、80%以上では木質材料の表面がベタつくこと
がある。
【0019】本発明にアルコールを用いる場合、アルコ
ールは乾燥時に蒸散しやすく比較的安価で入手容易なも
のが好適である。かかるものとしては例えば、エチルア
ルコール,メチルアルコール,またはイソプロピルアル
コールなどが挙げられる。かかるアルコールは、最終的
に得られる難燃化用組成物の全体重量に対し10〜60
重量%添加するのが好ましい。これにより、難燃化処理
後のベタツキ感が解消され、材料厚さ方向への組成物浸
透性も向上する。従って、厚手の木質材料を難燃化処理
する場合に好適となる。尚、アルコール添加量が10重
量%を下回ると木質材料への浸透力が小さくなり、これ
に伴って難燃性が低下する。他方、アルコール添加量が
60重量%を上回る場合は木質材料の奥深くまで浸透し
やすくなる反面、浸透部位における難燃化用組成物の絶
対濃度が希薄すぎるため同じく難燃性が低下する。
【0020】そして、アルコールを含む難燃化用組成物
の調製にあたっては、まず、オルトリン酸と尿素を水に
溶かして水溶液とする。このようにしておけば、その
後、水溶液にアルコールを添加しても支障を生じない。
これに対し、予め水とアルコールを混ぜたものに、オル
トリン酸と尿素を添加した場合は白濁液となる。このよ
うな白濁液を木質材料の表面に塗布した場合は、有効成
分(オルトリン酸と尿素)が木質材料の表面で均一にな
らないため、難燃効果が低減する。
【0021】上記のように構成された難燃化用組成物の
水溶液またはアルコール水溶液は、親水性で低粘度であ
るため、高含水率の木質材料に対しても浸透性がよい。
これは、尿素の保有する膨潤化作用や適度の保湿作用に
起因しているものと思われる。尚、本発明に係る難燃化
用組成物に対し、ホウ酸やホウ砂などの防腐剤を添加し
ても構わない。
【0022】本発明方法により木質材料を難燃化処理す
るにあたっては、難燃化用組成物を所定の手段で木質材
料に定着させる必要がある。すなわち、木質材料に対し
難燃化用組成物を表面塗布したり、あるいは材料全体を
1〜48時間程度浸漬したのち乾燥するだけで、熱処理
を行うことなく材料表面付近に定着させることができ、
木質材料に難燃性を付与できる。
【0023】塗布処理または浸漬処理した後の木質材料
を乾燥させるにあたっては、風乾などによる自然乾燥、
または加熱による強制乾燥であっても構わない。乾燥の
態様は木質材料の大きさや厚みあるいは周囲環境条件に
応じて、適宜の態様を採用すればよい。
【0024】本発明による難燃化用組成物を所定の手段
で含浸処理をした木質材料は防腐性や防蟻性にも優れて
いる。これは、蝕害を与える蟻の腸内に本発明における
組成物成分の消化酵素が存在せず蟻が養分にできないこ
とから、耐腐朽効果や耐蝕害効果の発現につながってい
るものと思われる。
【0025】尚、本発明の難燃化用組成物で処理される
木質材料としては、木材単板はいうまでもなく、ファイ
バーボード,パーティクルボード,合板なども含むもの
とする。木質材料に用いられる樹種としては、例えば、
スギ,松,桧,栂,米松などに代表される針葉樹や、ぶ
な,カシ,ナラ,マカンバ,シイノ木,ラワン,アピト
ンなどに代表される広葉樹が挙げられる。
【0026】
【実施例】引続き、実施例によって本発明をいっそう具
体的に説明する。 〔実施例1〕オルトリン酸と尿素の重量割合が「9対
1」の混合物を調製し、この混合物から50重量%濃度
の水溶液を作製して難燃化用組成物とした。この難燃化
用組成物を、長さ300mm×幅120mm×厚さ1m
mの試験体(木材単板(樹種:米松))に「塗布」した
のち風乾して定着させたものを試験に供した。試験はJ
IS−L−1091による繊維の燃焼試験方法(ミクロ
バーナ法(薄手試験体用))に従って実施した。
【0027】前記の燃焼試験方法は、45度に傾けて配
置した試験体に火炎をあて、燃焼の広がり程度その他を
測定するものである。燃焼の広がり程度は、試験体が炭
化した部分の面積(炭化面積)や、炭化した部分の最大
長さ(炭化距離)で評価される。尚、試験体が傾けて置
かれるので炭化部分がおのずと楕円形になりやすいこと
と、木質材料が繊維の方向性を有しているので火炎のあ
たる箇所が必ずしも炭化部分の中心にあるとは限らない
ことから、炭化面積及び炭化長の双方から難燃性を判断
することとした。実施例1における試験結果は、表1に
示すように、炭化面積59.3cm2 、炭化長12.0
cmであった。この場合、木材単板の表面にベタツキ感
があった。尚、以下の実施例2〜5の試験結果も併せて
表1に示す。
【0028】
【表1】
【0029】〔実施例2〕オルトリン酸と尿素の重量割
合が「7対3」の混合物から難燃化用組成物を調製した
以外は、実施例1と同様に試験を行った。その結果は、
炭化面積55.0cm2 、炭化長8.8cmであった。
この例でもベタツキ感があった。
【0030】〔実施例3〕オルトリン酸と尿素の重量割
合が「5対5」の混合物から難燃化用組成物を調製した
以外は、実施例1と同様に試験を行った。その結果は、
炭化面積32.1cm2 、炭化長7.0cmであった。
【0031】〔実施例4〕オルトリン酸と尿素の重量割
合が「3対7」の混合物から難燃化用組成物を調製した
以外は、実施例1と同様に試験を行った。その結果は、
炭化面積29.5cm2 、炭化長7.0cmであった。
【0032】〔実施例5〕オルトリン酸と尿素の重量割
合が「1対9」の混合物から難燃化用組成物を調製した
以外は、実施例1と同様に試験を行った。その結果は、
炭化面積35.9cm2 、炭化長9.5cmであった。
上記した実施例3〜実施例5においては、木質材料表面
にベタツキ感が感じられなかった。
【0033】〔比較例1〕既述した特開昭53−204
02号公報開示の難燃化処理方法における実施例1と同
じ処方で難燃化用組成物を調製した。すなわち、重量割
合でオルトリン酸と尿素が「1対3」に配合されたもの
を加熱して縮合物を生成し、この縮合物に水を加えて4
0重量%濃度の水溶液を作製し、更にこの水溶液にその
重量に対し5重量%の尿素を添加して難燃化用組成物と
した。この難燃化用組成物に、長さ300mm×幅12
0mm×厚さ1mmの木材単板(樹種:米松)を「浸
漬」して乾燥させたものを供試した。試験はJIS−L
−1091による繊維の燃焼試験方法(ミクロバーナ
法)に従って実施した。この試験結果は、表2に示すよ
うに、炭化面積61.9cm2 、炭化長14.5cmで
あった。次の比較例2による結果も表2に示す。
【0034】
【表2】
【0035】〔比較例2〕比較例1と同じ処方で調製し
た難燃化用組成物を、比較例1と同じ試験体に浸漬した
のち風乾し、更に当該開示公報の実施例2に基づき15
0℃で6分間加熱処理により試験体に定着させた。この
ように調製した試験体をJIS−L−1091による繊
維の燃焼試験方法(ミクロバーナ法)に供した。その結
果は、炭化面積71.8cm2 、炭化長15.0cmで
あった。また、比較例1,2とも木質材料表面にベタツ
キ感が生じた。
【0036】上記したように、各実施例1〜5による難
燃化用組成物では、風乾により水が蒸散してオルトリン
酸と尿素が木材単板の表面や深層部に定着している。因
みに、オルトリン酸と尿素にはそれぞれ木質材料に対す
る難燃効果が認められるが、これらを併用してあるので
互いに相乗効果を発揮する。そのため、実施例1〜5の
難燃化用組成物は、比較例1,2が「浸漬」処理されて
いるにも拘らず、これらと比べ格別の難燃効果を呈して
いる。また、一定範囲の配合比(実施例3〜実施例5)
であれば、ベタツキ感がなくなる。
【0037】〔実施例6〕オルトリン酸と尿素の重量割
合が「3対7」の混合物を調製し、この混合物から50
重量%の水溶液を作製して難燃化用組成物とした。この
難燃化用組成物を満たした浸漬槽に、長さ300mm×
幅120mm×厚さ1mmの木材単板(樹種:米松)を
「浸漬」したのち、取り出して風乾したものを試験に供
した。試験はJIS−L−1091による繊維の燃焼試
験方法(ミクロバーナ法)に従って実施した。この試験
結果は、表3に示すように、炭化面積16.0cm2
炭化長5.0cmであった。この実施例6のように「浸
漬」で処理すると、同じ条件で調製した難燃化用組成物
を「塗布」で処理した場合(実施例4)と比べ、材料内
部への浸透が行き渡り、難燃性が大幅に向上しているの
が判る。
【0038】
【表3】
【0039】〔実施例7〕オルトリン酸と尿素の重量割
合が「3対7」の混合物を調製し、この混合物から30
重量%濃度の水溶液を作製して難燃化用組成物とした。
この難燃化用組成物を、長さ300mm×幅120mm
×厚さ1mmの中密度繊維板(以下、MDFと略称す
る)に塗布したのち風乾したものを試験に供した。試験
はJIS−L−1091による繊維の燃焼試験方法(ミ
クロバーナ法)に従って実施した。この試験結果は、表
4に示すように、炭化面積34.9cm2 、炭化長7.
5cmであった。尚、以下の実施例8〜10についても
併せて表4に示す。
【0040】
【表4】
【0041】〔実施例8〕実施例7と同じ処方で調製し
た難燃化用組成物を、長さ300mm×幅120mm×
厚さ1mmのスギ板に塗布したものを試験に供した。試
験はJIS−L−1091による繊維の燃焼試験方法
(ミクロバーナ法)に従って実施した。その結果は、炭
化面積44.1cm2 、炭化長8.5cmであった。
【0042】〔実施例9〕オルトリン酸と尿素の重量割
合が「5対5」の混合物を調製し、濃度として50重量
%の水溶液を作製して難燃化用組成物とした。この難燃
化用組成物を、長さ300mm×幅120mm×厚さ2
mmのMDFに塗布したのち風乾したものを試験に供し
た。試験はJIS−L−1091による繊維の燃焼試験
方法(ミクロバーナ法)に従って実施した。その結果
は、炭化面積27.1cm2 、炭化長6.0cmであっ
た。
【0043】〔実施例10〕実施例9と同じ処方で調製
した難燃化用組成物を、長さ300mm×幅120mm
×厚さ2mmのスギ板に塗布したのち風乾したものを試
験に供した。試験はJIS−L−1091による繊維の
燃焼試験方法(ミクロバーナ法)に従って実施した。そ
の結果は、炭化面積29.3cm2 、炭化長6.5cm
であった。
【0044】上記した各実施例7〜10のように、木質
材料としてMDFやスギを用いた場合でも、比較例1,
2と比べ難燃性及びベタツキ感が優れており、また木質
材料の種類によらず、各実施例の難燃化用組成物が好適
であることがわかる。
【0045】〔実施例11〕オルトリン酸と尿素の重量
割合が「5対5」の混合物を調製し、この混合物から3
0重量%濃度の水溶液を作製し、更に最終組成物の総重
量に対し「30重量%」の「エチルアルコール」を加え
て難燃化用組成物とした。この難燃化用組成物を、長さ
300mm×幅120mm×厚さ2mmのMDFに塗布
したのち風乾したものを試験に供した。試験はJIS−
L−1091による繊維の燃焼試験方法(メッケルバー
ナ法(厚手試験体用))に従って実施した。この試験結
果は、表5に示すように、炭化面積66.4cm2 、炭
化長11.5cmであった。尚、以下の実施例12〜1
5についても併せて表5に示す。
【0046】
【表5】
【0047】〔実施例12〕実施例11と同じ処方で調
製した難燃化用組成物を、長さ300mm×幅120m
m×厚さ2mmのオリエンテッドストランドボード(以
下、OSBと略称する)に塗布したのち風乾したものを
試験に供した。試験はJIS−L−1091による繊維
の燃焼試験方法(メッケルバーナ法)に従って実施し
た。その結果は、炭化面積67.6cm2 、炭化長1
2.5cmであった。
【0048】〔実施例13〕実施例11と同じ処方で調
製した難燃化用組成物を、長さ300mm×幅120m
m×厚さ2mmのスギ板に塗布したのち風乾したものを
試験に供した。試験はJIS−L−1091による繊維
の燃焼試験方法(メッケルバーナ法)に従って実施し
た。その結果は、炭化面積87.9cm2 、炭化長1
2.5cmであった。
【0049】〔実施例14〕オルトリン酸と尿素の重量
割合が「5対5」の混合物を調製し、この混合物から5
0重量%濃度の水溶液を作製し、更に最終組成物の総重
量に対して「50重量%」のエチルアルコールを加えて
難燃化用組成物とした。この難燃化用組成物を、長さ3
00mm×幅120mm×厚さ2mmのOSBに塗布し
たのち風乾したものを試験に供した。試験はJIS−L
−1091による繊維の燃焼試験方法(メッケルバーナ
法)に従って実施した。その結果は、炭化面積45.8
cm2、炭化長11.5cmであった。
【0050】〔実施例15〕実施例14と同じ処方で調
製した難燃化用組成物を、長さ300mm×幅120m
m×厚さ2mmのスギ板に塗布したものを試験に供し
た。試験はJIS−L−1091による繊維の燃焼試験
方法(メッケルバーナ法)に従って実施した。その結果
は、炭化面積44.6cm2 、炭化長10.5cmであ
った。
【0051】上記したように、実施例11〜実施例15
では、エチルアルコールの添加による浸透性向上効果を
見越して、厚手(2mm)の木質材料を用いているが、
難燃性及びベタツキ感のいずれに関しても相応の好結果
が得られている。この場合、エチルアルコールを多量
(50重量%、実施例14,15)に添加したほうが、
予想通り高い難燃性を示した。また、ベタツキ感も表中
では差が現れてないが、アルコール添加量が多いほど感
触は良好であった。
【0052】
【発明の効果】以上述べたように、本発明に係る難燃化
用組成物は、オルトリン酸と尿素を水に溶解させただけ
の簡素な組成であることから、組成物製造に大掛りな設
備を必要とせず長い反応時間も不要となる。また、オル
トリン酸と尿素の縮合反応を起こさせる必要がないた
め、これらの配合比は任意ですむ。これらの配合比を適
宜に調整することにより、難燃性の度合いやベタツキ感
の有無を調節することができる。そのうえ、「リン酸と
尿素を加熱して縮合物を得、更に縮合物の水溶液を得て
難燃化用組成物とし、これに木質材料を浸漬し乾燥した
のちに加熱定着させる」ようにした従来公報技術と比
べ、前述のように簡素な組成であるにも拘らず、オルト
リン酸と尿素が相乗効果を発揮して格段の難燃効果を呈
している。そして、乾燥工程で水を蒸散させることによ
りオルトリン酸と尿素の定着がなされるので、従来技術
のような難燃化処理のための定着用加熱工程を必要とし
ない。
【0053】また、アルコールを添加した場合は、難燃
化用組成物が木質材料の深層部分まで浸透しやすくな
る。ここで用いるアルコールは沸点が低く蒸散しやすい
ので、風乾などの自然乾燥であっても、材料表面近傍の
みならず深層部分のアルコールが蒸散してオルトリン酸
と尿素の定着を促進する。従って、アルコールを用いた
ことで、特に厚手の木質材料を難燃化処理する場合に好
適となる。また、難燃化処理後における木質材料表面の
ベタツキ感がいっそうなくなる。
【0054】そして、本発明の難燃化処理方法によれ
ば、木質材料の表面に難燃化用組成物を塗布して乾燥さ
せるだけで、難燃化用組成物が定着する。従って、定着
用の熱処理が不要となり、難燃化処理を容易に行うこと
ができる。更に、この難燃化用組成物は流動性に富んで
いるので、木質材料を「浸漬処理」すると、難燃化用組
成物が木質材料内に多量に浸透して難燃性がいっそう向
上し、雨水などによっても流脱しにくい。
【0055】すなわち、本発明に係る難燃化用組成物ま
たは難燃化処理方法により処理した木質材料は、極めて
高い難燃性を示すとともに、見栄えが良く、耐久性に優
れている。また、たとえ高含水率の木質材料であっても
難燃化しやすく、表面に不自然な発色がなく自然な木質
感を失わない。塩素や臭素を含まないため燃焼時にダイ
オキシンやブロムダイオキシンの発生がなく、アンモニ
アやホルムアルデヒドが加工時はもとより製品となって
からも発生せず無害である。更には、塗料の密着性に優
れ、防腐効果や防蟻効果も付与されているのである。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 オルトリン酸と尿素を水に溶解してなる
    ことを特徴とする木質材料の難燃化用組成物。
  2. 【請求項2】 オルトリン酸と尿素を水に溶解し、当該
    水溶液にアルコールを加えてなることを特徴とする木質
    材料の難燃化用組成物。
  3. 【請求項3】 請求項1または請求項2に記載の難燃化
    用組成物を木質材料に塗布したのち、当該木質材料を乾
    燥することを特徴とする木質材料の難燃化処理方法。
  4. 【請求項4】 請求項1または請求項2に記載の難燃化
    用組成物に木質材料を浸漬したのち、当該木質材料を乾
    燥することを特徴とする木質材料の難燃化処理方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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