JPH11270531A - 遅れ破壊特性の優れた高強度ボルトおよびその製造方法 - Google Patents
遅れ破壊特性の優れた高強度ボルトおよびその製造方法Info
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- JPH11270531A JPH11270531A JP7104198A JP7104198A JPH11270531A JP H11270531 A JPH11270531 A JP H11270531A JP 7104198 A JP7104198 A JP 7104198A JP 7104198 A JP7104198 A JP 7104198A JP H11270531 A JPH11270531 A JP H11270531A
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Abstract
属組織、保持温度、冷却時間を調節することにより、遅
れ破壊特性の優れた高強度ボルト並びにその製造方法を
提供する。 【解決手段】 C,Si,Mn,Al,Ti,B,Cr,Mo,Ni,Cu,V,Nb,Ta,W
を特定した鋼において、マルテンサイトまたは焼き戻し
マルテンサイトあるいはベイナイトもしくはパーライト
を主体とした組織を有する鋼をAc3 〜Ac1 の温度範囲に
加熱し、ねじ転造した後、10℃/秒以上の冷却速度で冷
却し、次いで 200〜600 ℃の温度範囲に焼き戻すことに
より、表層から少なくとも深さ50μmの深さまでの領域
が、マルテンサイトとフェライトの層状組織からなり、
さらに引張強さが1300MPa 以上であることを特徴とする
遅れ破壊特性の優れた高強度ボルトおよびその製造方法
である。
Description
引張強度を有する耐遅れ破壊性(以下、遅れ破壊特性と
いう)の優れた高強度ボルトおよびその製造方法に関す
るものである。
れている高強度ボルトは、例えばJIS G 410
4,JIS G 4105に規定されているSCr,S
CM等の、C量が0.20〜0.35%の中炭素鋼を用
いて焼き入れ・焼き戻し処理をすることによって製造さ
れている。しかし、どの品種についても引張強度が13
00MPa を超えると遅れ破壊の危険性が高まることがよ
く知られており、例えば現在使用されている建築用ボル
トの強度は1150MPa 級が上限となっているのが現状
である。
従来の知見として、例えば、特公平3−243744号
公報では、旧オーステナイト粒を微細化させること、組
織をベイナイト化させることが有効であると提案してい
る。確かに、ベイナイト組織は遅れ破壊に対して有効で
あるが、ベイナイト化処理は製造コストが高くなる。
特公昭64−4566号公報や特公平3−243745
号公報でも提案されている。また、特公昭61−648
15号公報は、Caを添加することを提案している。し
かしながら、いずれの提案も本発明者らの試験では、大
幅な遅れ破壊特性の改善には至っていない。
特性を抜本的に向上させた高強度ボルトを製造すること
には限界があった。
実状に鑑みなされたものであって、遅れ破壊特性が良好
で、且つ強度が1300MPa 以上の高強度ボルトを実現
すると共に、その製造方法を提供することを目的とする
ものである。
入れ・焼き戻し処理によって製造した種々の強度レベル
のボルト用鋼を用いて、遅れ破壊挙動を詳細に解析し
た。遅れ破壊が鋼材中の水素に起因して発生しているこ
とは既に明らかであるので、遅れ破壊特性について、遅
れ破壊が発生しない「限界拡散性水素量」を求めること
により評価した。この方法は、電解水素チャージにより
種々のレベルの拡散性水素量を含有させた後、遅れ破壊
試験中に試料から大気中に水素が抜けることを防止する
ためにCdめっきを施し、その後、大気中で所定の荷重
を負荷し、遅れ破壊が発生しなくなる拡散性水素量を評
価するものである。
の破断時間の関係について解析した一例を示す。試料中
に含まれる拡散性水素量が少なくなるほど遅れ破壊に至
るまでの時間が長くなり、拡散性水素量がある値以下で
は遅れ破壊が発生しなくなる。この水素量を「限界拡散
性水素量」と定義する。限界拡散性水素量が高いほど鋼
材の耐遅れ破壊特性は良好であり、鋼材の成分、熱処理
等の製造条件によって決まる鋼材固有の値である。な
お、試料中の拡散性水素量はガスクロマトグラフで容易
に測定することができる。
を増加させる手段、即ち遅れ破壊特性を上げるべく、オ
ーステナイト結晶粒度、焼き入れ・焼き戻し条件の影響
等について検討を重ねた。この結果、上記の要因のいず
れを大きく変化させても、遅れ破壊特性は大幅に向上で
きないことが分かった。遅れ破壊が旧オーステナイト粒
界に沿った粒界割れであることから、遅れ破壊特性の大
幅な向上を達成するためには、粒界割れの発生を防止す
ることが重要であるとの結論に達した。
防止する手段について、種々検討を重ねた結果、マルテ
ンサイトあるいは焼き戻しマルテンサイトとフェライト
の層状組織、または各組織の長軸方向をボルトの軸方向
に配向させたマルテンサイトあるいは焼き戻しマルテン
サイトとフェライトの層状組織を形成させれば、130
0MPa を超えるような高強度域でもオーステナイト粒界
割れを防止できること、即ち破壊形態が粒内割れになる
ため、限界拡散性水素量が大幅に増加し、耐遅れ破壊特
性が格段に向上するという知見を見出したのである。
選択することによって、マルテンサイトとフェライトの
層状組織にさせることが可能であること、および転造温
度条件と転造前の鋼材組織を選択することによって、ボ
ルトの軸方向に配向したマルテンサイトとフェライトの
層状組織にさせることが可能である技術を確立した。
形態、熱処理条件またはねじ転造条件を最適に選択すれ
ば、遅れ破壊特性に優れた高強度ボルトを実現できると
いう結論に達し、本発明を成したものである。
のであって、その要旨とするところは、下記の通りであ
る。 (1)表層から少なくとも50μmの深さまでの領域
が、マルテンサイトとフェライトの層状組織からなり、
さらに引張強さが1300MPa 以上であることを特徴と
する遅れ破壊特性の優れた高強度ボルト。 (2)表層から少なくとも50μmの深さまでの領域
が、焼き戻しマルテンサイトとフェライトの層状組織か
らなり、さらに引張強さが1300MPa 以上であること
を特徴とする遅れ破壊特性の優れた高強度ボルト。
までの領域が、ボルトの軸方向に配向したマルテンサイ
トとフェライトの層状組織からなり、さらに引張強さが
1300MPa 以上であることを特徴とする遅れ破壊特性
の優れた高強度ボルト。 (4)表層から少なくとも50μmの深さまでの領域
が、ボルトの軸方向に配向した焼き戻しマルテンサイト
とフェライトの層状組織からなり、さらに引張強さが1
300MPa 以上であることを特徴とする遅れ破壊特性の
優れた高強度ボルト。
ルテンサイトとフェライトの層状組織において、マルテ
ンサイト間あるいは焼き戻しマルテンサイト間の距離が
10μm以下であることを特徴とする前記(1)ないし
(4)項のいずれか1項に記載の遅れ破壊特性の優れた
高強度ボルト。 (6)重量%で、C :0.15〜0.50%、 S
i:0.05〜2.0%、Mn:0.2〜2.0%、
Al:0.005〜0.1%を含有し、残部がFe
および不可避的不純物よりなることを特徴とする前記
(1)ないし(5)項のいずれか1項に記載の遅れ破壊
特性の優れた高強度ボルト。
0%、 Si:0.05〜2.0%、Mn:0.2〜
2.0%、 Al:0.005〜0.1%を含有
し、さらにTi:0.005〜0.05%、B :0.
0003〜0.0050%、Cr:0.05〜2.0
%、 Mo:0.05〜1.0%、Ni:0.05〜
5.0%、 Cu:0.05〜1.0%、V :0.
05〜0.5%、 Nb:0.005〜0.2%、T
a:0.005〜0.5%、 W :0.05〜0.5
%の1種または2種以上を含有することを特徴とする前
記(1)ないし(5)項のいずれか1項に記載の遅れ破
壊特性の優れた高強度ボルト。 (8)重量%で、C :0.15〜0.50%、 S
i:0.05〜2.0%、Mn:0.2〜2.0%、
Al:0.005〜0.1%を含有し、残部がFe
および不可避的不純物よりなり、マルテンサイトまたは
焼き戻しマルテンサイトあるいはベイナイトもしくはパ
ーライトを主体とした組織を有する鋼をAc3 〜Ac1
の温度範囲に加熱した後、10℃/秒以上の冷却速度で
冷却することを特徴とする遅れ破壊特性の優れた高強度
ボルトの製造方法。
0%、 Si:0.05〜2.0%、Mn:0.2〜
2.0%、 Al:0.005〜0.1%を含有
し、残部がFeおよび不可避的不純物よりなり、マルテ
ンサイトまたは焼き戻しマルテンサイトあるいはベイナ
イトもしくはパーライトを主体とした組織を有する鋼を
Ac3 〜Ac1 の温度範囲に加熱した後、10℃/秒以
上の冷却速度で冷却し、次いで200〜600℃の温度
範囲に焼き戻すことを特徴とする遅れ破壊特性の優れた
高強度ボルトの製造方法。 (10)重量%で、C :0.15〜0.50%、 S
i:0.05〜2.0%、Mn:0.2〜2.0%、
Al:0.005〜0.1%を含有し、残部がF
eおよび不可避的不純物よりなり、マルテンサイトまた
は焼き戻しマルテンサイトあるいはベイナイトもしくは
パーライトを主体とした組織を有する鋼をAc3 〜Ac
1 の温度範囲に加熱し、ねじ転造した後、10℃/秒以
上の冷却速度で冷却することを特徴とする遅れ破壊特性
の優れた高強度ボルトの製造方法。
0%、 Si:0.05〜2.0%、Mn:0.2〜
2.0%、 Al:0.005〜0.1%を含有
し、残部がFeおよび不可避的不純物よりなり、マルテ
ンサイトまたは焼き戻しマルテンサイトあるいはベイナ
イトもしくはパーライトを主体とした組織を有する鋼を
Ac3 〜Ac1 の温度範囲に加熱し、ねじ転造した後、
10℃/秒以上の冷却速度で冷却し、次いで200〜6
00℃の温度範囲に焼き戻すことを特徴とする遅れ破壊
特性の優れた高強度ボルトの製造方法。 (12)重量%で、さらにTi:0.005〜0.05
%、 B:0.0003〜0.0050%、Cr:0.
05〜2.0%、 Mo:0.05〜1.0%、N
i:0.05〜5.0%、 Cu:0.05〜1.
0%、V :0.05〜0.5% Nb:0.0
05〜0.2%、Ta:0.005〜0.5%、 W
:0.05〜0.5%の1種または2種以上を含有す
ることを特徴とする前記(8)ないし(11)項のいずれ
か1項に記載の遅れ破壊特性の優れた高強度ボルトの製
造方法。
て説明する。 (組織形態)まず、本発明の目的である高強度ボルトの
遅れ破壊特性の向上に対して最も重要な点である組織形
態の限定理由について述べる。
イトもしくは焼き戻しマルテンサイトとフェライトの層
状組織の走査電子顕微鏡観察結果を図2および図3に示
す。図2,3共にマルテンサイトの場合であるが、図2
ではマルテンサイトとフェライトが微細な層状組織にな
っていることが分かる。図3ではボルトの軸方向に配向
したマルテンサイトとフェライトの微細な層状組織にな
っていることが分かる。このようなマルテンサイトとフ
ェライトの微細な層状組織、またはこれを焼き戻して焼
き戻しマルテンサイトとフェライトの微細な層状組織に
制御することによって、遅れ破壊特性を向上させること
が可能になる。
析した例を図4に示す。マルテンサイトもしくは焼き戻
しマルテンサイトとフェライトの微細な層状組織に制御
することにより、従来の焼き入れ・焼き戻しによる焼き
戻しマルテンサイト組織と比較して限界拡散性水素量が
大幅に高くなること、ボルトの軸方向に配向した、マル
テンサイトもしくは焼き戻しマルテンサイトとフェライ
トの微細な層状組織に制御することにより、限界拡散性
水素量がさらに向上することが分かる。
せるためには、上記の層状組織において、マルテンサイ
ト間もしくは焼き戻しマルテンサイト間の距離は10μ
m以下が望ましく、より望ましい条件は5μm以下であ
る。
分率の範囲は10〜70%が望ましい。これは、10%
未満では限界拡散性水素量の向上の効果が期待できず、
70%を超えると1300MPa 以上の高強度を得ること
が困難なためである。より望ましい条件は20〜60%
である。
は焼き戻しマルテンサイトの層状組織、およびボルトの
軸方向に配向したフェライトとマルテンサイトもしくは
焼き戻しマルテンサイトの層状組織は、ボルトの全断面
内で実現される必要はなく、表層から少なくとも50μ
m以上の深さまでの領域において上記層状組織が得られ
れば、限界拡散性水素が向上する。より望ましい条件
は、表層から300μm以上の深さまでの領域で上記層
状組織が得られることである。
の成分の限定理由について述べる。C:Cはボルトの強
度を確保する上で必須の元素であるが、0.15%未満
では所要の強度が得られず、一方、0.50%を超える
と靭性を劣化させると共に、耐遅れ破壊特性も劣化させ
るために、0.15〜0.50%の範囲に制限した。
を高める作用がある。0.05%未満では前記作用が発
揮できず、一方、2.0%を超えると添加量に見合う効
果が期待できないために、0.05〜2.0%の範囲に
制限した。
るばかりでなく、マルテンサイト組織を得るための焼入
性を高めるために有効な元素であるが、0.2%未満で
は上記の効果が得られず、一方、2.0%を超えるとオ
ーステナイト域加熱時に粒界に偏析し、粒界を脆化させ
ると共に、耐遅れ破壊特性を劣化させるために、0.2
〜2.0%の範囲に制限した。
AlNを形成することにより、オーステナイト粒の粗大
化を防止する効果と共に、Nを固定する効果も有してい
るが、0.005%未満ではこれらの効果が発揮され
ず、0.1%を超えても効果が飽和するため、0.00
5〜0.1%の範囲に限定した。
あるが、本発明においては、さらにこの鋼にTi:0.
005〜0.05%、B :0.0003〜0.005
0%、Cr:0.05〜2.0%、 Mo:0.05
〜1.0%、Ni:0.05〜5.0%、 Cu:
0.05〜1.0%、V :0.05〜0.5%
Nb:0.005〜0.1%、Ta:0.005〜0.
5%、 W :0.05〜0.5%の1種または2種以
上を含有せしめることができる。
理時においてTiNを形成することにより、オーステナ
イト粒の粗大化を防止する効果と共に、Nを固定する効
果も有しているが、0.005%未満ではこれらの効果
が発揮されず、0.05%を超えても効果が飽和するた
め、0.005〜0.05%の範囲に限定した。
を向上させる効果がある。さらに、Bはオーステナイト
粒界に偏析することにより、焼入性を著しく高めるが、
0.0003%未満では前記の効果が発揮されず、0.
0050%を超えても効果が飽和するため、0.000
3〜0.0050%に制限した。
処理時の軟化抵抗を増加させるために有効な元素である
が、0.05%未満ではその効果が十分に発揮できず、
一方、2.0%を超えると靭性の劣化、冷間加工性の劣
化を招くために、0.05〜2.0%に限定した。
化抵抗を有し、熱処理後の引張強さを高めるために有効
な元素であるが、0.05%未満ではその効果が少な
く、一方、1.0%を超えるとその効果は飽和し、コス
トの上昇を招くために0.05〜1.0%に制限した。
性を向上させると共に、熱処理時の焼入性を向上させて
引張強さを増加させるために添加されるが、0.05%
未満ではその効果が少なく、一方、5.0%を超えても
添加量に見合う効果が発揮できないため、0.05〜
5.0%の範囲に制限した。
めに有効な元素であるが、0.05%未満では効果が発
揮できず、1.0%を超えると熱間加工性が劣化するた
め、0.05〜1.0%に制限した。
を生成することにより、オーステナイト粒を微細化させ
る効果があるが、0.05%未満では前記作用の効果が
得られず、一方、0.5%を超えても効果が飽和するた
め、0.05〜0.5%に限定した。
ることにより、オーステナイト粒を微細化させるために
有効な元素であるが、0.005%未満では上記効果が
不十分であり、一方、0.1%を超えるとこの効果が飽
和するため、0.005〜0.1%に制限した。
粒の微細化効果を有しているが、0.005%未満では
前記の効果が発揮されず、0.5%を超えて添加しても
効果が飽和するため、0.005〜0.5%に限定し
た。
上させるために有効な元素であるが、0.05%未満で
は前記の効果が発揮されず、一方、0.5%を超えて添
加しても効果が飽和するため、0.05〜0.5%の範
囲に限定した。
遅れ破壊特性を向上させる観点から、それぞれ0.01
5%以下が好ましい範囲である。
を生成することにより、オーステナイト粒の細粒化効果
があるため、0.003〜0.015%が好ましい範囲
である。さらにNについては、Al,V,Nb,Tiの
窒化物を形成することによって、旧オーステナイト粒の
微細化、降伏強度の増加の効果があるため、0.002
〜0.015%が望ましい範囲である。
方法は、上記成分の鋼をAc1 〜Ac3 の温度範囲に加
熱した後に10℃/秒以上の冷却速度で冷却するか、も
しくは冷却後に200〜600℃の温度範囲で焼き戻す
もの、または上記成分の鋼をAc1 〜Ac3 の温度範囲
でねじ転造した後に10℃/秒以上の冷却速度で冷却す
るか、あるいは冷却後に200〜600℃の温度範囲で
焼き戻すものである。
明は、鋼材をフェライトとオーステナイトの2相域に加
熱してから冷却する、あるいは2相域に加熱して転造し
てから冷却することによってフェライトとマルテンサイ
トの層状組織を得るものであり、加熱温度がAc1 未満
あるいはAc3 を超えると上記の層状組織を得られない
ため、加熱温度域をAc1 以上Ac3 以下とした。より
望ましい条件は、Ac1 +10℃〜Ac3 −10℃の範
囲である。
冷却後にフェライトとマルテンサイトの層状組織の微細
化を図る上で、加熱前の鋼材の組織は、マルテンサイト
もしくは焼き戻しマルテンサイト、あるいはベイナイト
を主体とした組織に調整しておくことが望ましい。より
望ましい条件は、これらの組織においてフェライト分率
が10%未満であることである。
と、冷却中に多量のフェライト、パーライト、ベイナイ
トが生成する可能性が大きいため、10℃/秒以上とし
た。より望ましい条件は50℃/秒以上である。
200℃未満では焼き戻しの効果が少なく、600℃を
超えると1300MPa 以上の高強度を得ることが困難な
ため、200〜600℃以下とした。より望ましい条件
は400℃以上である。
体的に説明する。表1に示す化学組成を有する供試材
を、種々の条件で熱処理してマルテンサイト、焼き戻し
マルテンサイト、フェライト+パーライト、ベイナイト
の組織に調整した後、様々な温度に加熱した後、一部の
材料について転造し、続いて種々の速度で冷却し、さら
に一部の材料については冷却後に焼き戻しを行った。
態、遅れ破壊特性について評価した結果を表2に示す。
遅れ破壊特性は、前に述べた限界拡散性水素量で評価を
行い、負荷応力は引張強さの90%の条件で実施した。
その他は比較例である。同表に見られるように、本発明
例はいずれもボルトの引張強さが1300MPa 以上であ
り、且つフェライトとマルテンサイト、もしくは焼き戻
しマルテンサイトとの層状組織である。これらは遅れ破
壊形態が粒内割れとなっており、限界拡散性水素量が従
来のボルトに比べて高く、遅れ破壊特性の優れたボルト
が実現されている。
熱時の温度がAc3 より高いため、焼き戻しマルテンサ
イトの単相の組織である。このため、遅れ破壊形態が粒
界割れであり、限界拡散性水素量が低く、遅れ破壊特性
が悪い例である。
Ac1 より低く、所定の強度が得られていない。No.
14,16は、加熱前の組織がF+P、またはPであっ
たため、最終的な組織が微細化していない例である。
であったため、最終的な組織がF+P+Mとなり、遅れ
破壊特性が向上していない。
19は、いずれも鋼の化学成分が不適切な例である。即
ち、No.15はC含有量が低すぎるために、本発明で
目的とする1300MPa 以上の高強度のボルトが実現で
きていない。また、No.18はC含有量が高すぎるた
めに、No.19はMn含有量が高すぎるために、いず
れも遅れ破壊特性が悪かった例である。
明はフェライトとマルテンサイトもしくは焼き戻しマル
テンサイトの層状組織を微細化させることによって、ボ
ルトの遅れ破壊形態を粒界割れから粒内割れにさせて、
引張強さが1300MPa 以上の高強度ボルトの遅れ破壊
特性を大幅に向上させることを可能にすると共に、鋼の
化学成分、熱処理条件および熱処置前の組織を最適に選
択することによって、その製造方法を確立したものであ
り、産業上の効果は極めて顕著なものがある。
す図である。
を示す図である。
テンサイトの微細な層状組織を示す図である。
ルテンサイトの平均間隔と限界拡散性水素量の関係を示
す図である。
Claims (12)
- 【請求項1】 表層から少なくとも50μmの深さまで
の領域が、マルテンサイトとフェライトの層状組織から
なり、さらに引張強さが1300MPa 以上であることを
特徴とする遅れ破壊特性の優れた高強度ボルト。 - 【請求項2】 表層から少なくとも50μmの深さまで
の領域が、焼き戻しマルテンサイトとフェライトの層状
組織からなり、さらに引張強さが1300MPa 以上であ
ることを特徴とする遅れ破壊特性の優れた高強度ボル
ト。 - 【請求項3】 表層から少なくとも50μmの深さまで
の領域が、ボルトの軸方向に配向したマルテンサイトと
フェライトの層状組織からなり、さらに引張強さが13
00MPa 以上であることを特徴とする遅れ破壊特性の優
れた高強度ボルト。 - 【請求項4】 表層から少なくとも50μmの深さまで
の領域が、ボルトの長手方向に配向した焼き戻しマルテ
ンサイトとフェライトの層状組織からなり、さらに引張
強さが1300MPa 以上であることを特徴とする遅れ破
壊特性の優れた高強度ボルト。 - 【請求項5】 マルテンサイトあるいは焼き戻しマルテ
ンサイトとフェライトの層状組織において、マルテンサ
イト間あるいは焼き戻しマルテンサイト間の距離が10
μm以下であることを特徴とする請求項1ないし4のい
ずれか1項に記載の遅れ破壊特性の優れた高強度ボル
ト。 - 【請求項6】 重量%で、 C :0.15〜0.50%、 Si:0.05〜2.0% Mn:0.2〜2.0%、 Al:0.005〜0.1% を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物よりなるこ
とを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載
の遅れ破壊特性の優れた高強度ボルト。 - 【請求項7】 重量%で、 C :0.15〜0.50%、 Si:0.05〜2.0%、 Mn:0.2〜2.0%、 Al:0.005〜0.1% を含有し、さらに Ti:0.005〜0.05%、 B :0.0003〜0.0050%、 Cr:0.05〜2.0%、 Mo:0.05〜1.0%、 Ni:0.05〜5.0%、 Cu:0.05〜1.0%、 V :0.05〜0.5%、 Nb:0.005〜0.2%、 Ta:0.005〜0.5%、 W :0.05〜0.5% の1種または2種以上を含有することを特徴とする請求
項1ないし5のいずれか1項に記載の遅れ破壊特性の優
れた高強度ボルト - 【請求項8】 重量%で、 C :0.15〜0.50%、 Si:0.05〜2.0%、 Mn:0.2〜2.0%、 Al:0.005〜0.1% を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物よりなり、
マルテンサイト、焼き戻しマルテンサイト、ベイナイ
ト、パーライトのいずれかを主体とした組織を有するボ
ルトをAc3 〜Ac1 の温度範囲に加熱した後、10℃
/秒以上の冷却速度で冷却することを特徴とする遅れ破
壊特性の優れた高強度ボルトの製造方法。 - 【請求項9】 重量%で、 C :0.15〜0.50%、 Si:0.05〜2.0%、 Mn:0.2〜2.0%、 Al:0.005〜0.1% を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物よりなり、
マルテンサイト、焼き戻しマルテンサイト、ベイナイ
ト、パーライトのいずれかを主体とした組織を有するボ
ルトをAc3 〜Ac1 の温度範囲に加熱した後、10℃
/秒以上の冷却速度で冷却し、次いで200〜600の
温度範囲に焼き戻すことを特徴とする遅れ破壊特性の優
れた高強度ボルトの製造方法。 - 【請求項10】 重量%で、 C :0.15〜0.50%、 Si:0.05〜2.0%、 Mn:0.2〜2.0%、 Al:0.005〜0.1% を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物よりなり、
マルテンサイト、焼き戻しマルテンサイト、ベイナイ
ト、パーライトのいずれかを主体とした組織を有する鋼
をAc3 〜Ac1 の温度範囲に加熱し、ねじ転造した
後、10℃/秒以上の冷却速度で冷却することを特徴と
する遅れ破壊特性の優れた高強度ボルトの製造方法。 - 【請求項11】 重量%で、 C :0.15〜0.50%、 Si:0.05〜2.0%、 Mn:0.2〜2.0%、 Al:0.005〜0.1% を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物よりなり、
マルテンサイト、焼き戻しマルテンサイト、ベイナイ
ト、パーライトのいずれかを主体とした組織を有する鋼
をAc3 〜Ac1 の温度範囲に加熱し、ねじ転造した
後、10℃/秒以上の冷却速度で冷却し、次いで200
〜600℃の温度範囲に焼き戻すことを特徴とする遅れ
破壊特性の優れた高強度ボルトの製造方法。 - 【請求項12】 重量%で、 C :0.15〜0.50%、 Si:0.05〜2.0%、 Mn:0.2〜2.0%、 Al:0.005〜0.1% を含有し、さらに Ti:0.005〜0.05%、 B :0.0003〜0.0050%、 Cr:0.05〜2.0%、 Mo:0.05〜1.0%、 Ni:0.05〜5.0%、 Cu:0.05〜1.0%、 V :0.05〜0.5%、 Nb:0.005〜0.2%、 Ta:0.005〜0.5%、 W :0.05〜0.5% の1種または2種以上を含有する鋼を用いることを特徴
とする請求項8ないし11のいずれか1項に記載の遅れ
破壊特性の優れた高強度ボルトの製造方法。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP7104198A JPH11270531A (ja) | 1998-03-19 | 1998-03-19 | 遅れ破壊特性の優れた高強度ボルトおよびその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP7104198A JPH11270531A (ja) | 1998-03-19 | 1998-03-19 | 遅れ破壊特性の優れた高強度ボルトおよびその製造方法 |
Publications (1)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH11270531A true JPH11270531A (ja) | 1999-10-05 |
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ID=13449052
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP7104198A Pending JPH11270531A (ja) | 1998-03-19 | 1998-03-19 | 遅れ破壊特性の優れた高強度ボルトおよびその製造方法 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JPH11270531A (ja) |
Cited By (5)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| US20100135745A1 (en) * | 2007-04-12 | 2010-06-03 | Bernard Resiak | Microalloyed steel with good resistance to hydrogen for the cold-forming of machine parts having high properties |
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-
1998
- 1998-03-19 JP JP7104198A patent/JPH11270531A/ja active Pending
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