JPH11276572A - ポリ(γ−グルタミン酸)塩複合体からなる医療材料 - Google Patents
ポリ(γ−グルタミン酸)塩複合体からなる医療材料Info
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- JPH11276572A JPH11276572A JP10086825A JP8682598A JPH11276572A JP H11276572 A JPH11276572 A JP H11276572A JP 10086825 A JP10086825 A JP 10086825A JP 8682598 A JP8682598 A JP 8682598A JP H11276572 A JPH11276572 A JP H11276572A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 生体適合性に優れ結節保持力が高く、柔軟で
結紮しやすい手術縫合糸、柔軟性、密着性、水分透過
性、および抗菌性に優れ創傷治癒を促進する創傷被覆
材、またはアレルギー作用がなく、生体内で分解がコン
トロールできる適度な生体適合性を有し、外科的損傷な
どの損傷後の患部の癒着を防ぐぎ、癒着防止材内部器官
の出血を阻止する止血材を提供すること。 【解決手段】 ポリ(γ−グルタミン酸)塩と、該ポリ
(γ−グルタミン酸)塩のカルボキシアニオンに水素結
合可能な部位を有する化合物とから構成されるポリ(γ
−グルタミン酸)塩からなる医療材料。
結紮しやすい手術縫合糸、柔軟性、密着性、水分透過
性、および抗菌性に優れ創傷治癒を促進する創傷被覆
材、またはアレルギー作用がなく、生体内で分解がコン
トロールできる適度な生体適合性を有し、外科的損傷な
どの損傷後の患部の癒着を防ぐぎ、癒着防止材内部器官
の出血を阻止する止血材を提供すること。 【解決手段】 ポリ(γ−グルタミン酸)塩と、該ポリ
(γ−グルタミン酸)塩のカルボキシアニオンに水素結
合可能な部位を有する化合物とから構成されるポリ(γ
−グルタミン酸)塩からなる医療材料。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、生体適合性に優
れ、生体吸収性を有するポリ(γ−グルタミン酸)塩複
合体からなる医療材料に関するものである。更に詳しく
は、本発明は、生体適合性に優れ結節保持力が高く、柔
軟で結紮しやすい手術縫合糸、柔軟性、密着性、水分透
過性、および抗菌性に優れ、創傷治癒を促進する創傷被
覆材、アレルギー作用がなく、生体内で分解がコントロ
ールできる適度な生体適合性を有し、外科的損傷などの
損傷後の患部の癒着を防ぐ癒着防止材、並びに損傷によ
って生ずる内部器官の出血を阻止する止血材に関するも
のである。
れ、生体吸収性を有するポリ(γ−グルタミン酸)塩複
合体からなる医療材料に関するものである。更に詳しく
は、本発明は、生体適合性に優れ結節保持力が高く、柔
軟で結紮しやすい手術縫合糸、柔軟性、密着性、水分透
過性、および抗菌性に優れ、創傷治癒を促進する創傷被
覆材、アレルギー作用がなく、生体内で分解がコントロ
ールできる適度な生体適合性を有し、外科的損傷などの
損傷後の患部の癒着を防ぐ癒着防止材、並びに損傷によ
って生ずる内部器官の出血を阻止する止血材に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】現在、絹糸製やポリエチレン繊維、アラ
ミド繊維、ポリビニルアルコール系繊維の手術縫合糸が
高強度であるため臨床で多く用いられている。これらの
手術縫合糸は、腹壁などの体表面組織を接着した後に抜
糸が行われるが、大血管、心臓、臓器の移植、腱、靱
帯、骨髄、骨膜のなどの体内での縫合には、接着後もそ
のまま体内に放置されている。これらの繊維は生体親和
性に劣り、その改善が望まれていた。また生体組織とく
に体内の生体組織の縫合においては、縫合時には柔軟か
つ高強力で十分な結節強度を有しハンドリング性が優れ
るが、組織が接着された後は消化されて消失されるもの
が理想である。
ミド繊維、ポリビニルアルコール系繊維の手術縫合糸が
高強度であるため臨床で多く用いられている。これらの
手術縫合糸は、腹壁などの体表面組織を接着した後に抜
糸が行われるが、大血管、心臓、臓器の移植、腱、靱
帯、骨髄、骨膜のなどの体内での縫合には、接着後もそ
のまま体内に放置されている。これらの繊維は生体親和
性に劣り、その改善が望まれていた。また生体組織とく
に体内の生体組織の縫合においては、縫合時には柔軟か
つ高強力で十分な結節強度を有しハンドリング性が優れ
るが、組織が接着された後は消化されて消失されるもの
が理想である。
【0003】重度の火傷、外傷、腫瘍などの切除後の患
部など人間の皮膚の重要な領域の創傷を被覆保護するた
めに創傷被覆材が用いられている。これは創傷部を一時
的に被覆し、流体損失を減少させたり感染を防止し、治
癒を促進するもので、たとえば乾燥豚皮、カタバスキ
ン、キチン膜、キトサン膜などが提案されている。この
うち、乾燥豚皮、カタバスキンは生体由来であるので、
供給と保存安定性と人工皮膚として使った場合の抗原性
などの生体適合性の問題が残る。またキチン・キトサン
には止血作用があり、創傷治癒を促進するので、人工皮
膚として優れている。しかし、その原料の由来が蟹やエ
ビなどの甲殻類であることから、キチン・キトサンで作
った膜は堅く、人工皮膚として使う場合にはさらに柔軟
性が付与されることが望まれていた。
部など人間の皮膚の重要な領域の創傷を被覆保護するた
めに創傷被覆材が用いられている。これは創傷部を一時
的に被覆し、流体損失を減少させたり感染を防止し、治
癒を促進するもので、たとえば乾燥豚皮、カタバスキ
ン、キチン膜、キトサン膜などが提案されている。この
うち、乾燥豚皮、カタバスキンは生体由来であるので、
供給と保存安定性と人工皮膚として使った場合の抗原性
などの生体適合性の問題が残る。またキチン・キトサン
には止血作用があり、創傷治癒を促進するので、人工皮
膚として優れている。しかし、その原料の由来が蟹やエ
ビなどの甲殻類であることから、キチン・キトサンで作
った膜は堅く、人工皮膚として使う場合にはさらに柔軟
性が付与されることが望まれていた。
【0004】創傷被覆材の形態としては、患部の痛みを
緩和し、その治療痕を目立たなくするために、創傷面に
与える刺激をできるだけ少なくし、一方で、創傷面を適
度な水分状態に保ちうる天然高分子素材の柔らかい素材
であることが多い。これら素材は創傷が治癒するに従
い、生体組織に分解吸収されることにより体内に残留し
ても問題の無いようにする試みが最近なされているが、
創傷面で過剰に分解されて溶解してしまい、創傷面を十
分に保持できない場合もあるなど、生分解性の速度制御
は困難である。創傷被覆材に適し、アレルギー作用を示
すことなく、かつ過剰に溶解することのない適度な生体
適合性を有する素材が求められているが、そのような素
材を利用した創傷被覆材は知られていない。
緩和し、その治療痕を目立たなくするために、創傷面に
与える刺激をできるだけ少なくし、一方で、創傷面を適
度な水分状態に保ちうる天然高分子素材の柔らかい素材
であることが多い。これら素材は創傷が治癒するに従
い、生体組織に分解吸収されることにより体内に残留し
ても問題の無いようにする試みが最近なされているが、
創傷面で過剰に分解されて溶解してしまい、創傷面を十
分に保持できない場合もあるなど、生分解性の速度制御
は困難である。創傷被覆材に適し、アレルギー作用を示
すことなく、かつ過剰に溶解することのない適度な生体
適合性を有する素材が求められているが、そのような素
材を利用した創傷被覆材は知られていない。
【0005】癒着は、非常に多くの医学的条件や、外科
的措置から発生する。癒着形成に関与する疾病には、感
染症または子宮内膜炎から発生する骨盤炎症あるいは他
の骨盤または腹部炎症などがある。これらの疾病、およ
び嚢腫、腫瘍など、他の病理学的状態が必要とする外科
的措置も、癒着形成をもたらす場合がある。癒着は、輸
卵管閉塞などを誘発したり、卵管機能を干渉するなどに
より、不妊症をもたらす場合がある。例えば卵子ピック
アッブ(pick‐up)の抑止等が挙げられる。
的措置から発生する。癒着形成に関与する疾病には、感
染症または子宮内膜炎から発生する骨盤炎症あるいは他
の骨盤または腹部炎症などがある。これらの疾病、およ
び嚢腫、腫瘍など、他の病理学的状態が必要とする外科
的措置も、癒着形成をもたらす場合がある。癒着は、輸
卵管閉塞などを誘発したり、卵管機能を干渉するなどに
より、不妊症をもたらす場合がある。例えば卵子ピック
アッブ(pick‐up)の抑止等が挙げられる。
【0006】癒着の形成は漿膜表面に対する外傷と、そ
の後のフイブリノゲンを多量に含んでいる渉出物の放
出、そしてフイブリン形成から発生すると考えられてい
る。これは、骨盤器官ないし組織を架橋する厚い、ある
いは薄膜性の癒着帯の形成か、あるいはこれらの構造の
相互の固定化をもたらす可能性がある。骨盤または腹部
癒着の存在は、ヒトの女性においては、不妊症の主要な
原因であることが知られている。
の後のフイブリノゲンを多量に含んでいる渉出物の放
出、そしてフイブリン形成から発生すると考えられてい
る。これは、骨盤器官ないし組織を架橋する厚い、ある
いは薄膜性の癒着帯の形成か、あるいはこれらの構造の
相互の固定化をもたらす可能性がある。骨盤または腹部
癒着の存在は、ヒトの女性においては、不妊症の主要な
原因であることが知られている。
【0007】長年にわたって、非常に多くの天然あるい
は人工移植片が外傷性表面における癒着形成を減らすた
めに使われてきているが、それほどめざましい成果は得
られていない。天然の物質としては、腹膜、網膜、脂
肪、および羊膜、そして羊膜プラス奨膜などがある。ポ
リビニル・アルコール薄膜およびタンタル・フオイルな
どの人工的な物質が過去においては用いられたが、最近
になってから、ゲルフイルムおよびゲルフォーム(アッ
プジョン社製)、サージゲル(ジョンソン・アンド・ジョ
ンソン社製)、およびシラステック(ダウ・コーニング社
製)などによって構成されるバリアーや、ゴアテックス
(ゴア-テックス社製)およびインターシード(ジョンソン
・アンド・ジョンソン社製)のメッシュなどが用いられ
ている。しかし、肝臓やすい臓、脾臓、腎臓などの内臓
に対する出血をもたらすような損傷は、十分な効果があ
がらず、器官の喪失や死亡をもたらすなど、長年、問題
となってきた。
は人工移植片が外傷性表面における癒着形成を減らすた
めに使われてきているが、それほどめざましい成果は得
られていない。天然の物質としては、腹膜、網膜、脂
肪、および羊膜、そして羊膜プラス奨膜などがある。ポ
リビニル・アルコール薄膜およびタンタル・フオイルな
どの人工的な物質が過去においては用いられたが、最近
になってから、ゲルフイルムおよびゲルフォーム(アッ
プジョン社製)、サージゲル(ジョンソン・アンド・ジョ
ンソン社製)、およびシラステック(ダウ・コーニング社
製)などによって構成されるバリアーや、ゴアテックス
(ゴア-テックス社製)およびインターシード(ジョンソン
・アンド・ジョンソン社製)のメッシュなどが用いられ
ている。しかし、肝臓やすい臓、脾臓、腎臓などの内臓
に対する出血をもたらすような損傷は、十分な効果があ
がらず、器官の喪失や死亡をもたらすなど、長年、問題
となってきた。
【0008】また、上記以外の医療材料の用途について
も、生体適合性に優れ生体吸収性を有する材料はなく、
そのような材料の提供が切望されていた。
も、生体適合性に優れ生体吸収性を有する材料はなく、
そのような材料の提供が切望されていた。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】従来技術の実状に鑑
み、生体適合性に優れ結節保持力が高く、柔軟で結紮し
やすい手術縫合糸を提供すること、柔軟性、密着性、水
分透過性および抗菌性に優れ創傷治癒を促進する創傷被
覆材を提供すること、アレルギー作用がなく、生体内で
分解がコントロールできる適度な生体適合性を有し、外
科的損傷などの損傷後の患部の癒着を防ぐ癒着防止材を
提供すること、損傷によって生ずる内部器官の出血を阻
止する止血材を提供すること、さらに生体吸収性に優れ
かつ生体適合性を有する人工骨充填材、血管吻合用スプ
リント、軟組織補綴材、吸収性膜、人工血管、腸管吻合
用スプリント、人工靱帯、人工膀胱などの医療材料を提
供することが切望されていた。
み、生体適合性に優れ結節保持力が高く、柔軟で結紮し
やすい手術縫合糸を提供すること、柔軟性、密着性、水
分透過性および抗菌性に優れ創傷治癒を促進する創傷被
覆材を提供すること、アレルギー作用がなく、生体内で
分解がコントロールできる適度な生体適合性を有し、外
科的損傷などの損傷後の患部の癒着を防ぐ癒着防止材を
提供すること、損傷によって生ずる内部器官の出血を阻
止する止血材を提供すること、さらに生体吸収性に優れ
かつ生体適合性を有する人工骨充填材、血管吻合用スプ
リント、軟組織補綴材、吸収性膜、人工血管、腸管吻合
用スプリント、人工靱帯、人工膀胱などの医療材料を提
供することが切望されていた。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決すべく、
本発明者らは鋭意検討の結果、ポリ(γ−グルタミン
酸)塩と、該ポリ(γ−グルタミン酸)塩のカルボキシ
アニオンに水素結合可能な部位を有する化合物とから構
成されるポリ(γ−グルタミン酸)塩複合体を医療材料
として用いることを見いだし、本発明を完成した。
本発明者らは鋭意検討の結果、ポリ(γ−グルタミン
酸)塩と、該ポリ(γ−グルタミン酸)塩のカルボキシ
アニオンに水素結合可能な部位を有する化合物とから構
成されるポリ(γ−グルタミン酸)塩複合体を医療材料
として用いることを見いだし、本発明を完成した。
【0011】即ち、本発明の第1は、ポリ(γ−グルタ
ミン酸)塩と、該ポリ(γ−グルタミン酸)塩のカルボ
キシアニオンに水素結合可能な部位を有する化合物とか
ら構成されるポリ(γ−グルタミン酸)塩複合体からな
る医療材料に関する。好適な実施態様としては、該医療
材料が手術縫合糸であることを特徴とする医療材料に関
する。
ミン酸)塩と、該ポリ(γ−グルタミン酸)塩のカルボ
キシアニオンに水素結合可能な部位を有する化合物とか
ら構成されるポリ(γ−グルタミン酸)塩複合体からな
る医療材料に関する。好適な実施態様としては、該医療
材料が手術縫合糸であることを特徴とする医療材料に関
する。
【0012】別の好適な実施態様としては、該医療材料
が創傷被覆材であることを特徴とする医療材料に関す
る。また別の好適な実施態様としては、該医療材料が癒
着防止材であることを特徴とする医療材料に関する。さ
らに別の好適な実施態様としては、止血材であることを
特徴とする医療材料に関する。
が創傷被覆材であることを特徴とする医療材料に関す
る。また別の好適な実施態様としては、該医療材料が癒
着防止材であることを特徴とする医療材料に関する。さ
らに別の好適な実施態様としては、止血材であることを
特徴とする医療材料に関する。
【0013】
【発明の実施の形態】以下に本発明について詳細に説明
する。本発明に用いられるポリ(γ−グルタミン酸)は
公知の物質であり、例えば化学結合法、発酵法、半合成
法等の種々の方法により得ることができる。しかし、ポ
リ(γ−グルタミン酸)を効率よく入手するには、例え
ば特開平7−135991に記載されているような発酵
法による方法が好ましい。
する。本発明に用いられるポリ(γ−グルタミン酸)は
公知の物質であり、例えば化学結合法、発酵法、半合成
法等の種々の方法により得ることができる。しかし、ポ
リ(γ−グルタミン酸)を効率よく入手するには、例え
ば特開平7−135991に記載されているような発酵
法による方法が好ましい。
【0014】本発明に用いられるポリ(γ−グルタミン
酸)塩の塩としては、ナトリウム、カリウム、リチウム
などのアルカリ金属、マグネシウム、カルシウム、バリ
ウムなどのアルカリ土類金属、およびアンモニウム塩が
例示される。本発明のポリ(γ−グルタミン酸)塩は、
これらのいずれの塩を用いても良く、また2種類以上の
塩が複合されていてもよい。
酸)塩の塩としては、ナトリウム、カリウム、リチウム
などのアルカリ金属、マグネシウム、カルシウム、バリ
ウムなどのアルカリ土類金属、およびアンモニウム塩が
例示される。本発明のポリ(γ−グルタミン酸)塩は、
これらのいずれの塩を用いても良く、また2種類以上の
塩が複合されていてもよい。
【0015】本発明におけるポリ(γ−グルタミン酸)
塩は、ポリ(γ−グルタミン酸)を水に分散後、室温に
て炭酸水素ナトリウム、炭酸アンモニウム、水酸化ナト
リウム等の水溶液又は微粉末を添加し、5〜30分撹拌
後、凍結乾燥によってポリ(γ−グルタミン酸)塩の粉
末を得ることにより作製される。本発明におけるポリ
(γ−グルタミン酸)塩は、通常500万(g/mo
l)以下の平均分子量を有するものが好ましい。分子量
がこれより高いものは製造も困難で実用的でないからで
ある。
塩は、ポリ(γ−グルタミン酸)を水に分散後、室温に
て炭酸水素ナトリウム、炭酸アンモニウム、水酸化ナト
リウム等の水溶液又は微粉末を添加し、5〜30分撹拌
後、凍結乾燥によってポリ(γ−グルタミン酸)塩の粉
末を得ることにより作製される。本発明におけるポリ
(γ−グルタミン酸)塩は、通常500万(g/mo
l)以下の平均分子量を有するものが好ましい。分子量
がこれより高いものは製造も困難で実用的でないからで
ある。
【0016】本発明に用いられるポリ(γ−グルタミン
酸)塩複合体を形成するための水素結合可能な部位を有
する化合物としては、水溶液または水性溶液中でポリ
(γ−グルタミン酸)塩のカルボキシアニオン(COO
-)の少なくとも一部に水素結合を介して結合しうるも
のであれば、任意の化合物が使用可能である。そのよう
な化合物として、キトサンやそのカルボキシメチル誘導
体、ヒドロキシエチル誘導体、O−アシル誘導体が好ま
しい。
酸)塩複合体を形成するための水素結合可能な部位を有
する化合物としては、水溶液または水性溶液中でポリ
(γ−グルタミン酸)塩のカルボキシアニオン(COO
-)の少なくとも一部に水素結合を介して結合しうるも
のであれば、任意の化合物が使用可能である。そのよう
な化合物として、キトサンやそのカルボキシメチル誘導
体、ヒドロキシエチル誘導体、O−アシル誘導体が好ま
しい。
【0017】キトサンは止血作用とともに創傷治癒を促
進する効果を有するので,本発明のポリ(γ−グルタミ
ン酸)塩複合体を形成するための水素結合可能な部位を
有する化合物としては、キトサンを用いるのが特に好ま
しい。キトサンはキチンの脱アセチル化物であり、いか
なる製法により製造されたものでも用いることができ
る。キトサンの重合度および脱アセチル化度は、キトサ
ンの溶解性、安定性等に影響を及ぼし、重合度の低いも
のほど、溶解性は良好であるが、複合膜の強度が低下す
る傾向があり、脱アセチル化度が低いものほど、反応性
が乏しく溶解性が劣る傾向がある。それらの性質から、
キトサンの重合度および脱アセチル化度は適宜選択され
る。
進する効果を有するので,本発明のポリ(γ−グルタミ
ン酸)塩複合体を形成するための水素結合可能な部位を
有する化合物としては、キトサンを用いるのが特に好ま
しい。キトサンはキチンの脱アセチル化物であり、いか
なる製法により製造されたものでも用いることができ
る。キトサンの重合度および脱アセチル化度は、キトサ
ンの溶解性、安定性等に影響を及ぼし、重合度の低いも
のほど、溶解性は良好であるが、複合膜の強度が低下す
る傾向があり、脱アセチル化度が低いものほど、反応性
が乏しく溶解性が劣る傾向がある。それらの性質から、
キトサンの重合度および脱アセチル化度は適宜選択され
る。
【0018】本発明に用いられるポリ(γ−グルタミン
酸)塩とポリ(γ−グルタミン酸)塩のカルボキシアニ
オンに水素結合可能な部位を有する化合物とから構成さ
れる複合体を作成するには、例えば消毒剤、抗生剤等の
抗菌剤、アクトシン、プロスタグランジンE1(PGE
1)等の血行改善薬、ステロイド、インドメタシン等の
消炎鎮痛剤、形質転換因子(TCFβ)、血小板由来成
長因子(PDCF)、繊維芽細胞成長因子(FGF)等
の成長因子、ウリナスタチン、金属プロティナーゼの組
織阻害因子(TIMP)等の酵素阻害剤、骨誘導因子
(BMP)、副甲状腺ホルモン(PTH)等の骨細胞成
長因子、インターロイキン1(IL−1)阻害剤、ビス
ホスホネート、カルシトニン等の骨吸収抑制因子、ネオ
カルチノスタチン、アドリアマイシン等の抗癌剤、ステ
ロイド、非ステロイド性抗炎症剤等の炎症剤などの薬剤
を複合体に内包させてもよく、例えば、冨田らの報告
(H. Tomita et al. Chem. Pharm. Bull.,42, 979-981
(1994))などの公知の方法が使用できる。
酸)塩とポリ(γ−グルタミン酸)塩のカルボキシアニ
オンに水素結合可能な部位を有する化合物とから構成さ
れる複合体を作成するには、例えば消毒剤、抗生剤等の
抗菌剤、アクトシン、プロスタグランジンE1(PGE
1)等の血行改善薬、ステロイド、インドメタシン等の
消炎鎮痛剤、形質転換因子(TCFβ)、血小板由来成
長因子(PDCF)、繊維芽細胞成長因子(FGF)等
の成長因子、ウリナスタチン、金属プロティナーゼの組
織阻害因子(TIMP)等の酵素阻害剤、骨誘導因子
(BMP)、副甲状腺ホルモン(PTH)等の骨細胞成
長因子、インターロイキン1(IL−1)阻害剤、ビス
ホスホネート、カルシトニン等の骨吸収抑制因子、ネオ
カルチノスタチン、アドリアマイシン等の抗癌剤、ステ
ロイド、非ステロイド性抗炎症剤等の炎症剤などの薬剤
を複合体に内包させてもよく、例えば、冨田らの報告
(H. Tomita et al. Chem. Pharm. Bull.,42, 979-981
(1994))などの公知の方法が使用できる。
【0019】本発明に用いられるポリ(γ−グルタミン
酸)塩と、該ポリ(γ−グルタミン酸)塩のカルボキシ
アニオンに水素結合可能な部位を有する化合物の割合
は、ポリ(γ−グルタミン酸)塩に対し該ポリ(γ−グ
ルタミン酸)塩のカルボキシアニオンに水素結合可能な
部位を有する化合物の割合は3〜97重量%の範囲で選
ばれ、医療用途により使い分けられる。この割合が前記
範囲を外れる場合にはイオン対のバランスの点から複合
体を作成することが困難となる。
酸)塩と、該ポリ(γ−グルタミン酸)塩のカルボキシ
アニオンに水素結合可能な部位を有する化合物の割合
は、ポリ(γ−グルタミン酸)塩に対し該ポリ(γ−グ
ルタミン酸)塩のカルボキシアニオンに水素結合可能な
部位を有する化合物の割合は3〜97重量%の範囲で選
ばれ、医療用途により使い分けられる。この割合が前記
範囲を外れる場合にはイオン対のバランスの点から複合
体を作成することが困難となる。
【0020】本発明の医療材料は、手術縫合糸、創傷被
覆材、癒着防止材、止血材、人工骨充填材、血管吻合用
スプリント、軟組織補綴材、吸収性膜、人工血管、腸管
吻合用スプリント、人工靱帯、人工膀胱等として用いる
ことができる。本発明の手術縫合糸は、ポリ(γ−グル
タミン酸)塩と、該ポリ(γ−グルタミン酸)塩のカル
ボキシアニオンに水素結合可能な部位を有する化合物と
から構成されるポリ(γ−グルタミン酸)塩複合体を紡
糸することにより得られた縫合糸として使用することが
できる。紡糸する手段としては、公知の方法、例えば特
開平7−138364に示されるように湿式形成法、乾
湿式形成法、乾式形成法のいずれの方法も用いることが
できる。
覆材、癒着防止材、止血材、人工骨充填材、血管吻合用
スプリント、軟組織補綴材、吸収性膜、人工血管、腸管
吻合用スプリント、人工靱帯、人工膀胱等として用いる
ことができる。本発明の手術縫合糸は、ポリ(γ−グル
タミン酸)塩と、該ポリ(γ−グルタミン酸)塩のカル
ボキシアニオンに水素結合可能な部位を有する化合物と
から構成されるポリ(γ−グルタミン酸)塩複合体を紡
糸することにより得られた縫合糸として使用することが
できる。紡糸する手段としては、公知の方法、例えば特
開平7−138364に示されるように湿式形成法、乾
湿式形成法、乾式形成法のいずれの方法も用いることが
できる。
【0021】本発明の創傷被覆材、癒着防止材、及び止
血材は、ポリ(γ−グルタミン酸)塩と、該ポリ(γ−
グルタミン酸)塩のカルボキシアニオンに水素結合可能
な部位を有する化合物とから構成されるポリ(γ−グル
タミン酸)塩複合体をシート成形したフィルムとして使
用することができる。シート成形する手段としては、公
知の方法、例えば特開平7−138364に示されるよ
うに湿式形成法、乾湿式形成法、乾式形成法のいずれの
方法も用いることができる。
血材は、ポリ(γ−グルタミン酸)塩と、該ポリ(γ−
グルタミン酸)塩のカルボキシアニオンに水素結合可能
な部位を有する化合物とから構成されるポリ(γ−グル
タミン酸)塩複合体をシート成形したフィルムとして使
用することができる。シート成形する手段としては、公
知の方法、例えば特開平7−138364に示されるよ
うに湿式形成法、乾湿式形成法、乾式形成法のいずれの
方法も用いることができる。
【0022】また該複合体を粉末または含水ゲル状態で
患部に噴霧塗布してもよい。該複合体は水に不溶である
ため、ヒドロゲルを形成する性質を持っている。実際の
操作は公知の方法、例えばサキヤマらの方法(T. Sakiy
ama et al. J. Appl.Polym. Sci., 50, 2021-2025(199
3))などで行うことができる。このゲルを高強度化する
ためにさらに架橋試薬や放射線照射などにより架橋して
も良い。
患部に噴霧塗布してもよい。該複合体は水に不溶である
ため、ヒドロゲルを形成する性質を持っている。実際の
操作は公知の方法、例えばサキヤマらの方法(T. Sakiy
ama et al. J. Appl.Polym. Sci., 50, 2021-2025(199
3))などで行うことができる。このゲルを高強度化する
ためにさらに架橋試薬や放射線照射などにより架橋して
も良い。
【0023】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
るが、本発明はこれらの実施例により限定されるもので
はない。 実施例1 ポリ(γ−グルタミン酸)塩複合体からなる
医療材料の作成 [ポリ(γ−グルタミン酸)塩の調整]ポリ(γ−グル
タミン酸)(以下「γPGA」と略す。明治製菓株式会
社製)1.3gを水50mlに溶解後、室温25℃にて
炭酸水素ナトリウム0.84gを添加した。60分撹拌
後、凍結乾燥によってポリ(γ−グルタミン酸)ナトリ
ウム塩(γPGANa)の粉末を得た。 [キトサン第4級アミンの調整]キトサン(和光純薬工
業株式会社製)0.16gを60%に希釈したギ酸溶液
10mlに溶解させることによって第4級アミン塩を得
た。 [ポリ(γ−グルタミン酸)塩複合体の調整]上述のよ
うにして得られたポリ(γ−グルタミン酸)ナトリウム
塩水溶液を、上述のようにして得たキトサンの第4級ア
ミン塩の溶液に室温で撹拌しながら、ポリ(γ−グルタ
ミン酸)ナトリウム塩とキトサンアミンのモル比(0:10
0, 25:75, 50:50, 100:0)を変化させて混合し、全体で
2%の濃度の溶液になるように調整した。 [ポリ(γ−グルタミン酸)塩複合体からなる医療材料
の形成]得られたポリ(γ−グルタミン酸)塩複合体溶
液をフィルムキャスト法により室温で48時間蒸発させ
ることにより、膜(厚さ100μm)を得ることができ
た。 実施例2 ポリ(γ−グルタミン酸)塩複合体の生体吸
収性試験 供試動物は7週齢Crj:CD(SD)系の雄性ラット
で構成されたグループAからFまで各5匹であり、電気
バリカンにて背部を除毛したこれらのラットにネンブタ
ール35mg/kg(i.p)麻酔下で肩胛骨付近の皮
膚を正中線に沿って切開し、両側腋下付近の皮下に左右
に1平方センチ角のフィルム断片(グループAはγPG
A、グループBはキトサン、グループCはγPGA−キ
トサン(25:75)、グループD,E,FはγPGA−キト
サン(50:50))を埋め込み切開部を縫い合わせた。
るが、本発明はこれらの実施例により限定されるもので
はない。 実施例1 ポリ(γ−グルタミン酸)塩複合体からなる
医療材料の作成 [ポリ(γ−グルタミン酸)塩の調整]ポリ(γ−グル
タミン酸)(以下「γPGA」と略す。明治製菓株式会
社製)1.3gを水50mlに溶解後、室温25℃にて
炭酸水素ナトリウム0.84gを添加した。60分撹拌
後、凍結乾燥によってポリ(γ−グルタミン酸)ナトリ
ウム塩(γPGANa)の粉末を得た。 [キトサン第4級アミンの調整]キトサン(和光純薬工
業株式会社製)0.16gを60%に希釈したギ酸溶液
10mlに溶解させることによって第4級アミン塩を得
た。 [ポリ(γ−グルタミン酸)塩複合体の調整]上述のよ
うにして得られたポリ(γ−グルタミン酸)ナトリウム
塩水溶液を、上述のようにして得たキトサンの第4級ア
ミン塩の溶液に室温で撹拌しながら、ポリ(γ−グルタ
ミン酸)ナトリウム塩とキトサンアミンのモル比(0:10
0, 25:75, 50:50, 100:0)を変化させて混合し、全体で
2%の濃度の溶液になるように調整した。 [ポリ(γ−グルタミン酸)塩複合体からなる医療材料
の形成]得られたポリ(γ−グルタミン酸)塩複合体溶
液をフィルムキャスト法により室温で48時間蒸発させ
ることにより、膜(厚さ100μm)を得ることができ
た。 実施例2 ポリ(γ−グルタミン酸)塩複合体の生体吸
収性試験 供試動物は7週齢Crj:CD(SD)系の雄性ラット
で構成されたグループAからFまで各5匹であり、電気
バリカンにて背部を除毛したこれらのラットにネンブタ
ール35mg/kg(i.p)麻酔下で肩胛骨付近の皮
膚を正中線に沿って切開し、両側腋下付近の皮下に左右
に1平方センチ角のフィルム断片(グループAはγPG
A、グループBはキトサン、グループCはγPGA−キ
トサン(25:75)、グループD,E,FはγPGA−キト
サン(50:50))を埋め込み切開部を縫い合わせた。
【0024】A〜Dのグループは14日後に、Eのグル
ープは28日後に、Fのグループは84日後に各動物に
再び切開手術を行い、断片の存在あるいは不在を調べ
た。残存割合は断片を取り出し重量を測定することによ
り算出した。結果を表1に示す。
ープは28日後に、Fのグループは84日後に各動物に
再び切開手術を行い、断片の存在あるいは不在を調べ
た。残存割合は断片を取り出し重量を測定することによ
り算出した。結果を表1に示す。
【0025】
【表1】
【0026】この結果から明らかなようにポリ(γ−グ
ルタミン酸)塩と、該ポリ(γ−グルタミン酸)塩のカ
ルボキシアニオンに水素結合可能な部位を有する化合物
で構成される複合体は、混合比率を変えることにより生
体適合性及び生体吸収性を制御することが可能であるこ
とがわかった。この複合体を使用することにより,生体
適合性に優れ結節保持力が高く、柔軟で結紮しやすい手
術縫合糸、または柔軟性、密着性、水分透過性および抗
菌性に優れ創傷治癒を促進する創傷被覆材、またはアレ
ルギー作用がなく、生体内で分解がコントロールできる
適度な生体適合性を有し、外科的損傷などの損傷後の患
部の癒着を防ぐ癒着防止材、損傷によって生ずる内部器
官の出血を阻止する止血材等の医療材料が作成できる。 実施例3 手術縫合糸の作成 1.4gのγPGANaとキトサンをそれぞれ5cm3
のギ酸に溶かし、1:3の割合で混合し、遠心分離器に
かけ脱泡し紡糸溶液とした。紡糸は湿式紡糸で行った。
すなわち100%エタノールの凝固浴に0.21mmφ
×28穴のノズルで押しだし、得られた糸は弛緩状態で
乾燥させた。乾燥後70%エタノール中で保存した。こ
の繊維束6本を芯糸とし、12本を鞘糸として組紐に
し、直径0.6mmの縫合糸を作成した。この縫合糸は
柔軟性に優れ、結節保持力は3.8g/dであり、結紮
部の滑りは無かった。 実施例4 手術縫合糸の生体吸収性試験 得られた縫合糸を実験用ラットの背部を切開し皮下に埋
め込むと共に、縫合を行い84日後に観察した。縫合し
た糸および皮下に埋め込んだ糸はいずれも吸収され存在
が認められなかった。 実施例5 創傷被覆材 実施例1と同様の方法でγPGA−キトサン(25:75)
フィルム(厚さ210μm)を作成し、創傷被覆材を得
た。
ルタミン酸)塩と、該ポリ(γ−グルタミン酸)塩のカ
ルボキシアニオンに水素結合可能な部位を有する化合物
で構成される複合体は、混合比率を変えることにより生
体適合性及び生体吸収性を制御することが可能であるこ
とがわかった。この複合体を使用することにより,生体
適合性に優れ結節保持力が高く、柔軟で結紮しやすい手
術縫合糸、または柔軟性、密着性、水分透過性および抗
菌性に優れ創傷治癒を促進する創傷被覆材、またはアレ
ルギー作用がなく、生体内で分解がコントロールできる
適度な生体適合性を有し、外科的損傷などの損傷後の患
部の癒着を防ぐ癒着防止材、損傷によって生ずる内部器
官の出血を阻止する止血材等の医療材料が作成できる。 実施例3 手術縫合糸の作成 1.4gのγPGANaとキトサンをそれぞれ5cm3
のギ酸に溶かし、1:3の割合で混合し、遠心分離器に
かけ脱泡し紡糸溶液とした。紡糸は湿式紡糸で行った。
すなわち100%エタノールの凝固浴に0.21mmφ
×28穴のノズルで押しだし、得られた糸は弛緩状態で
乾燥させた。乾燥後70%エタノール中で保存した。こ
の繊維束6本を芯糸とし、12本を鞘糸として組紐に
し、直径0.6mmの縫合糸を作成した。この縫合糸は
柔軟性に優れ、結節保持力は3.8g/dであり、結紮
部の滑りは無かった。 実施例4 手術縫合糸の生体吸収性試験 得られた縫合糸を実験用ラットの背部を切開し皮下に埋
め込むと共に、縫合を行い84日後に観察した。縫合し
た糸および皮下に埋め込んだ糸はいずれも吸収され存在
が認められなかった。 実施例5 創傷被覆材 実施例1と同様の方法でγPGA−キトサン(25:75)
フィルム(厚さ210μm)を作成し、創傷被覆材を得
た。
【0027】仙骨部に褥瘡を受傷しており、脳障害のた
め半身不随となり寝たきりになった75才の男性患者を
このフィルムを用いて治療した。治療開始時の傷は5c
m×9cmの楕円径で、深さは筋肉部に達していた。治
療はまず患部をオキシウルで浸した局方ガーゼで十分洗
浄殺菌した後、フィルムを創面に軽く圧迫装着した。そ
の上からガーゼをあて、粘着テープで固定した。交換は
2日おきに行い、処置方法は最初の時と同様に行った。
その結果、一週間頃から良質な肉芽の生成がみられ、日
数の経過とともに良好となり、傷の面積も収縮してき
た。7週間後には完全に傷がふさがり、完治した。 実施例6 ゲル状態のポリ(γ−グルタミン酸)塩複合
体の作成 キトサンとγPGANa0.2gを4.8gの1%酢酸
溶液、蒸留水にそれぞれ溶かした。それぞれの溶液にN
aClを5%となるように加えた。キトサンとγPGA
が25:75となるように熱水中で混合し、脱泡するた
めに遠心分離を30分行い、5度で1日放置した。その
後ゲルを蒸留水に浸し、5日間脱塩を行った。 実施例7 癒着防止実験 供試動物は,3.5kg以上の体重を有する複数の子を
出産した雌のニュージーランド・ウサギを10匹用い
た。これらウサギの子宮内膜凹部に延びている子宮角の
漿膜および筋肉層に粘膜を引き剥がすことによってつけ
た一連の刻み目の損傷を実験的に与えた。5匹には、実
施例6で作成したゲルの層で損傷部を覆い、他の5匹の
グループではそのまま腹部を閉じた。30日後に再び開
腹手術を行い、癒着の様子を観察した。ゲルで覆わなか
ったグループでは、すべてに癒着がみられた。一方、ゲ
ルで覆ったグループでは癒着は観察されなかった。 実施例8 内臓出血防止実験 実施例6で作成したゲル、肝臓、膵臓、脾臓、腎臓など
の内臓が損傷し出血している部分を包んだり、被覆した
りしたところ、出血を止めるのに有効に作用した。従っ
て,本発明のゲルは癒着防止とともに止血にも有効であ
ることがわかった。
め半身不随となり寝たきりになった75才の男性患者を
このフィルムを用いて治療した。治療開始時の傷は5c
m×9cmの楕円径で、深さは筋肉部に達していた。治
療はまず患部をオキシウルで浸した局方ガーゼで十分洗
浄殺菌した後、フィルムを創面に軽く圧迫装着した。そ
の上からガーゼをあて、粘着テープで固定した。交換は
2日おきに行い、処置方法は最初の時と同様に行った。
その結果、一週間頃から良質な肉芽の生成がみられ、日
数の経過とともに良好となり、傷の面積も収縮してき
た。7週間後には完全に傷がふさがり、完治した。 実施例6 ゲル状態のポリ(γ−グルタミン酸)塩複合
体の作成 キトサンとγPGANa0.2gを4.8gの1%酢酸
溶液、蒸留水にそれぞれ溶かした。それぞれの溶液にN
aClを5%となるように加えた。キトサンとγPGA
が25:75となるように熱水中で混合し、脱泡するた
めに遠心分離を30分行い、5度で1日放置した。その
後ゲルを蒸留水に浸し、5日間脱塩を行った。 実施例7 癒着防止実験 供試動物は,3.5kg以上の体重を有する複数の子を
出産した雌のニュージーランド・ウサギを10匹用い
た。これらウサギの子宮内膜凹部に延びている子宮角の
漿膜および筋肉層に粘膜を引き剥がすことによってつけ
た一連の刻み目の損傷を実験的に与えた。5匹には、実
施例6で作成したゲルの層で損傷部を覆い、他の5匹の
グループではそのまま腹部を閉じた。30日後に再び開
腹手術を行い、癒着の様子を観察した。ゲルで覆わなか
ったグループでは、すべてに癒着がみられた。一方、ゲ
ルで覆ったグループでは癒着は観察されなかった。 実施例8 内臓出血防止実験 実施例6で作成したゲル、肝臓、膵臓、脾臓、腎臓など
の内臓が損傷し出血している部分を包んだり、被覆した
りしたところ、出血を止めるのに有効に作用した。従っ
て,本発明のゲルは癒着防止とともに止血にも有効であ
ることがわかった。
【0028】
【発明の効果】本発明の医療材料は、生体適合性に優れ
結節保持力が高く、柔軟で結紮しやすい手術縫合糸、ま
たは柔軟性、密着性、水分透過性および抗菌性に優れ創
傷治癒を促進する創傷被覆材、またはアレルギー作用が
なく、生体内で分解がコントロールできる適度な生体適
合性を有し、外科的損傷などの損傷後の患部の癒着を防
ぐ癒着防止材、損傷によって生ずる内部器官の出血を阻
止する止血材等として使用することができる。
結節保持力が高く、柔軟で結紮しやすい手術縫合糸、ま
たは柔軟性、密着性、水分透過性および抗菌性に優れ創
傷治癒を促進する創傷被覆材、またはアレルギー作用が
なく、生体内で分解がコントロールできる適度な生体適
合性を有し、外科的損傷などの損傷後の患部の癒着を防
ぐ癒着防止材、損傷によって生ずる内部器官の出血を阻
止する止血材等として使用することができる。
Claims (5)
- 【請求項1】 ポリ(γ−グルタミン酸)塩と、該ポリ
(γ−グルタミン酸)塩のカルボキシアニオンに水素結
合可能な部位を有する化合物とから構成されるポリ(γ
−グルタミン酸)塩複合体からなる医療材料。 - 【請求項2】 手術縫合糸であることを特徴とする請求
項1記載の医療材料。 - 【請求項3】 創傷被覆材であることを特徴とする請求
項1記載の医療材料。 - 【請求項4】 癒着防止材であることを特徴とする請求
項1記載の医療材料。 - 【請求項5】 止血材であることを特徴とする請求項1
記載の医療材料。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP10086825A JPH11276572A (ja) | 1998-03-31 | 1998-03-31 | ポリ(γ−グルタミン酸)塩複合体からなる医療材料 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP10086825A JPH11276572A (ja) | 1998-03-31 | 1998-03-31 | ポリ(γ−グルタミン酸)塩複合体からなる医療材料 |
Publications (1)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH11276572A true JPH11276572A (ja) | 1999-10-12 |
Family
ID=13897599
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP10086825A Pending JPH11276572A (ja) | 1998-03-31 | 1998-03-31 | ポリ(γ−グルタミン酸)塩複合体からなる医療材料 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JPH11276572A (ja) |
Cited By (7)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2005348881A (ja) * | 2004-06-09 | 2005-12-22 | Meiji Seika Kaisha Ltd | 創傷被覆材 |
| WO2006054624A1 (ja) * | 2004-11-18 | 2006-05-26 | Keio University | 癒着防止材および癒着防止方法 |
| KR100691869B1 (ko) | 2004-07-01 | 2007-03-12 | 주식회사 바이오폴 | 키토산/폴리 감마 글루탐산 고분자전해질 복합체의 제조방법 |
| WO2013100715A1 (en) | 2011-12-30 | 2013-07-04 | Samyang Biopharmaceuticals Corporation | IN SITU CROSSLINKING HYDROGEL COMPRISING γ-POLYGLUTAMIC ACID AND METHOD FOR PRODUCING THE SAME |
| WO2014027545A1 (ja) * | 2012-08-16 | 2014-02-20 | ニプロ株式会社 | 癒着防止材 |
| JP2019076169A (ja) * | 2017-10-20 | 2019-05-23 | ニプロ株式会社 | ポリ−γ−グルタミン酸を用いたシート状止血材およびその製造方法 |
| KR20220067417A (ko) | 2020-11-17 | 2022-05-24 | 동국제약 주식회사 | 가교 폴리감마글루탐산 하이드로겔의 제조방법 |
-
1998
- 1998-03-31 JP JP10086825A patent/JPH11276572A/ja active Pending
Cited By (14)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2005348881A (ja) * | 2004-06-09 | 2005-12-22 | Meiji Seika Kaisha Ltd | 創傷被覆材 |
| KR100691869B1 (ko) | 2004-07-01 | 2007-03-12 | 주식회사 바이오폴 | 키토산/폴리 감마 글루탐산 고분자전해질 복합체의 제조방법 |
| AU2005307448C1 (en) * | 2004-11-18 | 2012-07-05 | Keio University | Adhesion preventive and method of preventing adhesion |
| JPWO2006054624A1 (ja) * | 2004-11-18 | 2008-05-29 | 学校法人慶應義塾 | 癒着防止材および癒着防止方法 |
| AU2005307448B2 (en) * | 2004-11-18 | 2011-01-27 | Keio University | Adhesion preventive and method of preventing adhesion |
| US7955789B2 (en) | 2004-11-18 | 2011-06-07 | Keio University | Adhesion-preventing material and process for preventing adhesion |
| WO2006054624A1 (ja) * | 2004-11-18 | 2006-05-26 | Keio University | 癒着防止材および癒着防止方法 |
| JP5003998B2 (ja) * | 2004-11-18 | 2012-08-22 | 学校法人慶應義塾 | 癒着防止材および癒着防止方法 |
| WO2013100715A1 (en) | 2011-12-30 | 2013-07-04 | Samyang Biopharmaceuticals Corporation | IN SITU CROSSLINKING HYDROGEL COMPRISING γ-POLYGLUTAMIC ACID AND METHOD FOR PRODUCING THE SAME |
| US9254348B2 (en) | 2011-12-30 | 2016-02-09 | Samyang Biopharmaceuticals Corporation | In situ crosslinking hydrogel comprising γ-polyglutamic acid and method for producing the same |
| WO2014027545A1 (ja) * | 2012-08-16 | 2014-02-20 | ニプロ株式会社 | 癒着防止材 |
| US10744234B2 (en) | 2012-08-16 | 2020-08-18 | Nipro Corporation | Method for preventing postoperative adhesion of an organ in a wound site |
| JP2019076169A (ja) * | 2017-10-20 | 2019-05-23 | ニプロ株式会社 | ポリ−γ−グルタミン酸を用いたシート状止血材およびその製造方法 |
| KR20220067417A (ko) | 2020-11-17 | 2022-05-24 | 동국제약 주식회사 | 가교 폴리감마글루탐산 하이드로겔의 제조방법 |
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