JPH11279706A - 親水性に優れた高強度複相組織ステンレス鋼帯および鋼板およびその製造方法 - Google Patents
親水性に優れた高強度複相組織ステンレス鋼帯および鋼板およびその製造方法Info
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- JPH11279706A JPH11279706A JP10174698A JP10174698A JPH11279706A JP H11279706 A JPH11279706 A JP H11279706A JP 10174698 A JP10174698 A JP 10174698A JP 10174698 A JP10174698 A JP 10174698A JP H11279706 A JPH11279706 A JP H11279706A
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- Cleaning And De-Greasing Of Metallic Materials By Chemical Methods (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【課題】 親水性に優れた高強度複相組織ステンレス鋼
板を提供する。 【解決手段】 10〜17%のCrを含有しC含有量が
0.15%以下、Si含有量が1.0〜6.0の低炭素
マルテンサイト系ステンレス鋼の熱延鋼帯、冷延鋼帯ま
たは焼鈍鋼帯を製造し、この鋼帯を熱処理炉にて、(A
s+30℃)以上でAf点以下の温度範囲(ただし90
0℃以下の範囲)に加熱して、マルテンサイト相の一部
を逆変態オーステナイト相とし、マルテンサイト相とオ
ーステナイト相の間に組成の再分配を生じせしめた後、
室温に冷却して5μm径または1μm幅以下の微細なオー
ステナイト相とマルテンサイト相の複相組織とし、その
後、酸洗してオーステナイト相を優先的に腐食すること
により表面に5μm以下の間隔で0.5μm深さ以上の微細な
凹凸を付与することで親水性を得る。
板を提供する。 【解決手段】 10〜17%のCrを含有しC含有量が
0.15%以下、Si含有量が1.0〜6.0の低炭素
マルテンサイト系ステンレス鋼の熱延鋼帯、冷延鋼帯ま
たは焼鈍鋼帯を製造し、この鋼帯を熱処理炉にて、(A
s+30℃)以上でAf点以下の温度範囲(ただし90
0℃以下の範囲)に加熱して、マルテンサイト相の一部
を逆変態オーステナイト相とし、マルテンサイト相とオ
ーステナイト相の間に組成の再分配を生じせしめた後、
室温に冷却して5μm径または1μm幅以下の微細なオー
ステナイト相とマルテンサイト相の複相組織とし、その
後、酸洗してオーステナイト相を優先的に腐食すること
により表面に5μm以下の間隔で0.5μm深さ以上の微細な
凹凸を付与することで親水性を得る。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は親水性に優れた高強
度複相組織ステンレス鋼帯および鋼板に関する。
度複相組織ステンレス鋼帯および鋼板に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、ステンレス鋼板は優れた耐食性と
強度を有することから建材をはじめ車両、機器、厨房用
品等の広い範囲にわたって使用されている。近年特に、
建築や車両関係分野にてステンレス鋼の優れた耐食性や
強度を生かすべく、屋外環境で大気に暴露して裸状態で
使用するケースも多くなっている。この場合、乾燥した
状態が継続する環境では発錆、腐食発生等の耐候性の問
題は特にない。しかし、海岸近くで海塩粒子が飛来した
り、工業地帯で亜硫酸ガス濃度が高い等の悪環境や、粉
塵の多い場所では、ステンレス鋼といえども使用部位に
よっては錆が発生する場合が多々ある。この場合、高級
感のあるステンレス鋼に軽度とは言えども、錆が発生す
れば意匠性が低下してステンレス鋼としてのイメージは
ダウンするし、発錆により母材の腐食が促進される。ま
た、構造部材として使用した場合、発錆部の下で孔食が
発生・成長して構造体の寿命低下の問題が生じる等の問
題があるため、耐候性に優れたステンレス鋼の開発が望
まれている。
強度を有することから建材をはじめ車両、機器、厨房用
品等の広い範囲にわたって使用されている。近年特に、
建築や車両関係分野にてステンレス鋼の優れた耐食性や
強度を生かすべく、屋外環境で大気に暴露して裸状態で
使用するケースも多くなっている。この場合、乾燥した
状態が継続する環境では発錆、腐食発生等の耐候性の問
題は特にない。しかし、海岸近くで海塩粒子が飛来した
り、工業地帯で亜硫酸ガス濃度が高い等の悪環境や、粉
塵の多い場所では、ステンレス鋼といえども使用部位に
よっては錆が発生する場合が多々ある。この場合、高級
感のあるステンレス鋼に軽度とは言えども、錆が発生す
れば意匠性が低下してステンレス鋼としてのイメージは
ダウンするし、発錆により母材の腐食が促進される。ま
た、構造部材として使用した場合、発錆部の下で孔食が
発生・成長して構造体の寿命低下の問題が生じる等の問
題があるため、耐候性に優れたステンレス鋼の開発が望
まれている。
【0003】ステンレス鋼の耐候性を改善する方法とし
て、ステンレス鋼中のCr量を増加したり、MoやNの
添加による方法がある。しかし、高価な元素を多量に添
加する方法では価格が上昇し、他材料との競争力が低下
する。また、高強度ステンレス鋼にあっては、高強度を
得るべく成分調整がしてあるため、これらの元素を耐発
錆性のみの目的で添加・調整するには制約が生じる、等
の問題がある。
て、ステンレス鋼中のCr量を増加したり、MoやNの
添加による方法がある。しかし、高価な元素を多量に添
加する方法では価格が上昇し、他材料との競争力が低下
する。また、高強度ステンレス鋼にあっては、高強度を
得るべく成分調整がしてあるため、これらの元素を耐発
錆性のみの目的で添加・調整するには制約が生じる、等
の問題がある。
【0004】また、ステンレス鋼の表面を塗料やめっき
で表面被覆することで耐候性を改善する方法があるが、
本方法はステンレス鋼製造工程に新たな表面処理工程の
追加が必要になることから、これらの処理に要する経費
のために高価な材料となったり、工程増による生産性の
低下等の問題を有する。
で表面被覆することで耐候性を改善する方法があるが、
本方法はステンレス鋼製造工程に新たな表面処理工程の
追加が必要になることから、これらの処理に要する経費
のために高価な材料となったり、工程増による生産性の
低下等の問題を有する。
【0005】一方、屋外での耐候性や発錆性は使用環境
に大きく左右されることは一般的な話である。最近、使
用部位により、耐候性や発錆性が大きく異なることも明
確となってきた。例えば、ステンレス鋼で屋根や壁の施
工を行なった場合、屋根上面や壁下部分のように雨降り
時の雨水で十分洗い流される部分は発錆が少なく、軒下
のように雨水が十分降りそそがず、水滴が長時間滞留す
る部分において発錆の多いことが明確となってきた。こ
の理由は、雨水で十分洗い流される部分は海塩粒子等の
腐食発生物が洗い流されて、これらの濃化が生じないこ
とや、塵埃等も洗い流されて、塵埃付着固化物との間で
の隙間腐食が発生し難いためと考えられている。従っ
て、雨水が付着しても水滴とならず、垂れ流される状態
の方が発錆に対して優位となることも明確になりつつあ
る。
に大きく左右されることは一般的な話である。最近、使
用部位により、耐候性や発錆性が大きく異なることも明
確となってきた。例えば、ステンレス鋼で屋根や壁の施
工を行なった場合、屋根上面や壁下部分のように雨降り
時の雨水で十分洗い流される部分は発錆が少なく、軒下
のように雨水が十分降りそそがず、水滴が長時間滞留す
る部分において発錆の多いことが明確となってきた。こ
の理由は、雨水で十分洗い流される部分は海塩粒子等の
腐食発生物が洗い流されて、これらの濃化が生じないこ
とや、塵埃等も洗い流されて、塵埃付着固化物との間で
の隙間腐食が発生し難いためと考えられている。従っ
て、雨水が付着しても水滴とならず、垂れ流される状態
の方が発錆に対して優位となることも明確になりつつあ
る。
【0006】ステンレス鋼に雨水が付着しても水滴とな
らず、垂れ流される状態を得るには、ステンレス鋼の表
面の親水性を高めることで可能となる。すなわち、水滴
状態で長時間放置されて雨水が徐々に蒸発し、最終蒸発
部に耐侯性、耐発錆性を阻害する物質を洗い流して無害
化するか、又は親水性(濡れ性)によって、阻害する物
質を広範囲に拡散させて濃度を低下させれば無害化でき
るのである。従って、親水性の優れた表面を有するステ
ンレス鋼が耐候性、耐発錆性に優れることになる。
らず、垂れ流される状態を得るには、ステンレス鋼の表
面の親水性を高めることで可能となる。すなわち、水滴
状態で長時間放置されて雨水が徐々に蒸発し、最終蒸発
部に耐侯性、耐発錆性を阻害する物質を洗い流して無害
化するか、又は親水性(濡れ性)によって、阻害する物
質を広範囲に拡散させて濃度を低下させれば無害化でき
るのである。従って、親水性の優れた表面を有するステ
ンレス鋼が耐候性、耐発錆性に優れることになる。
【0007】
【発明の解決しようとする課題】このようなことから、
本発明が目的としたのは、製造工程が少なく安価で、優
れた親水性を有する高強度ステンレス鋼板を開発するこ
とであった。
本発明が目的としたのは、製造工程が少なく安価で、優
れた親水性を有する高強度ステンレス鋼板を開発するこ
とであった。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を解
決すべく鋭意重ねられた本発明者等の研究成果に基づい
て完成されたものであり、10〜17質量%のCrを含
有しC含有量が0.15質量%以下、 Si含有量が
1.0〜6.0質量%の範囲の低炭素マルテンサイト系
ステンレス鋼の熱延、冷延または焼鈍鋼帯および鋼板を
製造し、この鋼帯および鋼板を熱処理炉にて、(As+
30℃)以上でAf点以下の温度範囲(ただし900℃
以下の範囲)に加熱(逆変態処理)して、マルテンサイ
ト相の一部を逆変態オーステナイト相とし、マルテンサ
イト相とオーステナイト相の間に組成の再分配を生じせ
しめた後、室温に冷却して5μm径または1μm幅以下の微
細なオーステナイト相とマルテンサイト相の複相組織と
し、その後、酸洗してオーステナイト相を優先的に腐食
することにより表面に5μm以下の間隔で0.5μm深さ以上
の微細な凹凸を付けた点に大きな特徴がある。
決すべく鋭意重ねられた本発明者等の研究成果に基づい
て完成されたものであり、10〜17質量%のCrを含
有しC含有量が0.15質量%以下、 Si含有量が
1.0〜6.0質量%の範囲の低炭素マルテンサイト系
ステンレス鋼の熱延、冷延または焼鈍鋼帯および鋼板を
製造し、この鋼帯および鋼板を熱処理炉にて、(As+
30℃)以上でAf点以下の温度範囲(ただし900℃
以下の範囲)に加熱(逆変態処理)して、マルテンサイ
ト相の一部を逆変態オーステナイト相とし、マルテンサ
イト相とオーステナイト相の間に組成の再分配を生じせ
しめた後、室温に冷却して5μm径または1μm幅以下の微
細なオーステナイト相とマルテンサイト相の複相組織と
し、その後、酸洗してオーステナイト相を優先的に腐食
することにより表面に5μm以下の間隔で0.5μm深さ以上
の微細な凹凸を付けた点に大きな特徴がある。
【0009】この方法によれば、従来の、下工程で親水
性を改善するための、ステンレス鋼板の機械的な表面の
粗面化や化学的表面前処理が施されなくても、親水性に
優れた高強度ステンレス鋼板を得ることができる。な
お、As点は昇温過程でマルテンサイト相からオーステ
ナイト相へ変態が開始する温度であり、Af点は昇温過
程でマルテンサイト相からオーステナイト相へ変態が終
了する温度である。
性を改善するための、ステンレス鋼板の機械的な表面の
粗面化や化学的表面前処理が施されなくても、親水性に
優れた高強度ステンレス鋼板を得ることができる。な
お、As点は昇温過程でマルテンサイト相からオーステ
ナイト相へ変態が開始する温度であり、Af点は昇温過
程でマルテンサイト相からオーステナイト相へ変態が終
了する温度である。
【0010】
【発明の実施の形態】900℃を超えない温度であって
(As+30℃)以上、Af点以下の温度範囲の加熱で
あれば、マルテンサイト相の一部をオーステナイト相に
逆変態させることができ、この逆変態で生成したオース
テナイト相は5μm径または1μm幅以下の微細な結晶粒と
なっている。また、この熱処理で生じた逆変態オーステ
ナイト相と未変態のマルテンサイト相の間で組成の再分
配が生じる。すなわち、逆変態オーステナイト相には
C,N、Si、Ni等のオーステナイト安定化元素が移
動して濃度が高くなり、オーステナイト相の安定度は高
くなる。一方、未変態のマルテンサイト相は、耐食性を
支配するCrの濃度が高くなる。
(As+30℃)以上、Af点以下の温度範囲の加熱で
あれば、マルテンサイト相の一部をオーステナイト相に
逆変態させることができ、この逆変態で生成したオース
テナイト相は5μm径または1μm幅以下の微細な結晶粒と
なっている。また、この熱処理で生じた逆変態オーステ
ナイト相と未変態のマルテンサイト相の間で組成の再分
配が生じる。すなわち、逆変態オーステナイト相には
C,N、Si、Ni等のオーステナイト安定化元素が移
動して濃度が高くなり、オーステナイト相の安定度は高
くなる。一方、未変態のマルテンサイト相は、耐食性を
支配するCrの濃度が高くなる。
【0011】従って、室温に冷却した際は、安定なオー
ステナイト相はそのまま残留し、5μm以下の微細なオ
ーステナイト相と未変態のマルテンサイト相の複相組織
となる。また、酸洗した場合は相対的にCr濃度の低い
オーステナイト相が優先的に腐食されるため5μm以下
の微細な単位で腐食差が生じる。この腐食差を大きくす
べく、通常のステンレス製造工程では適用しない過酸洗
状態にすれば、5μm以下の間隔で0.5μm深さ以上の微細
凹凸が表面に形成される。
ステナイト相はそのまま残留し、5μm以下の微細なオ
ーステナイト相と未変態のマルテンサイト相の複相組織
となる。また、酸洗した場合は相対的にCr濃度の低い
オーステナイト相が優先的に腐食されるため5μm以下
の微細な単位で腐食差が生じる。この腐食差を大きくす
べく、通常のステンレス製造工程では適用しない過酸洗
状態にすれば、5μm以下の間隔で0.5μm深さ以上の微細
凹凸が表面に形成される。
【0012】また、逆変態処理で得られた微細なオース
テナイト相はHool−Petchの関係からも推察さ
れるように高い強度を持ち、また、未変態のマルテンサ
イト相は本来高い強度を示すことから、結果的に高い強
度を維持することができるのである。また、オーステナ
イト相は本来高い延性を有し、その上、加工によるひず
みでマルテンサイト変態を誘発してTRIP効果により
高い延性が得られ、高強度でありながら高い延性を有す
る材料が得られる。
テナイト相はHool−Petchの関係からも推察さ
れるように高い強度を持ち、また、未変態のマルテンサ
イト相は本来高い強度を示すことから、結果的に高い強
度を維持することができるのである。また、オーステナ
イト相は本来高い延性を有し、その上、加工によるひず
みでマルテンサイト変態を誘発してTRIP効果により
高い延性が得られ、高強度でありながら高い延性を有す
る材料が得られる。
【0013】親水性については、現時点で理由はよくわ
からないが、微細な凹凸を表面に形成すると水との接触
角が低下し、親水性が増大する。また、製造工程最終の
熱処理後に酸洗を施し、太陽光下に約1週間放置した後
の親水性は、Si含有量が増加するほど良くなることが
わかった。
からないが、微細な凹凸を表面に形成すると水との接触
角が低下し、親水性が増大する。また、製造工程最終の
熱処理後に酸洗を施し、太陽光下に約1週間放置した後
の親水性は、Si含有量が増加するほど良くなることが
わかった。
【0014】本発明の逆変態を生じせしめる熱処理炉は
Bell型や箱型のバッヂ炉でも、カテナリー型や縦型
の連続焼鈍炉でも可能である。雰囲気は、鋼帯の酸化防
止を考慮する場合は還元性ガスや不活性ガスが望ましい
が、大気雰囲気でも特に支障はない。その際、加熱は電
気発熱体方式、ガス、油等の燃焼方式等いかような方式
の加熱炉でもよい。
Bell型や箱型のバッヂ炉でも、カテナリー型や縦型
の連続焼鈍炉でも可能である。雰囲気は、鋼帯の酸化防
止を考慮する場合は還元性ガスや不活性ガスが望ましい
が、大気雰囲気でも特に支障はない。その際、加熱は電
気発熱体方式、ガス、油等の燃焼方式等いかような方式
の加熱炉でもよい。
【0015】逆変態処理で生じた表面酸化層を除去する
と共に、本発明の、5μm以下の間隔で0.5μm深さ以上の
微細な凹凸を表面に形成すべく酸洗工程が必要となる
が、この酸洗工程はいかような酸洗設備でもよい。効率
的に本発明鋼を製造するには、連続焼鈍・酸洗設備で連
続的に逆変態処理した後、引き続いて酸洗槽で連続的に
過酸洗することが望ましい。
と共に、本発明の、5μm以下の間隔で0.5μm深さ以上の
微細な凹凸を表面に形成すべく酸洗工程が必要となる
が、この酸洗工程はいかような酸洗設備でもよい。効率
的に本発明鋼を製造するには、連続焼鈍・酸洗設備で連
続的に逆変態処理した後、引き続いて酸洗槽で連続的に
過酸洗することが望ましい。
【0016】本発明の特徴は、このようにして熱処理し
た際にマルテンサイト相から微細なオーステナイト相が
逆変態で生じて微細な複相組織となるとともに二相間で
組成の再分配が生じて、この微細な複相組織を室温冷却
後も維持し、表面が5μm以下の間隔で0.5μm深さ以上の
凹凸となるよう過酸洗することで親水性に優れた高強度
複相組織ステンレス鋼板を得ることにある。
た際にマルテンサイト相から微細なオーステナイト相が
逆変態で生じて微細な複相組織となるとともに二相間で
組成の再分配が生じて、この微細な複相組織を室温冷却
後も維持し、表面が5μm以下の間隔で0.5μm深さ以上の
凹凸となるよう過酸洗することで親水性に優れた高強度
複相組織ステンレス鋼板を得ることにある。
【0017】したがって安定した微細な二相組織を得る
ことが鍵となる。(As点+30℃)未満の熱処理では
生成される逆変態オーステナイト相の量が少なすぎるた
め、またAf点を超える温度または900℃を超える温
度域での熱処理では逆変態オーステナイト相の量が多く
なりすぎて組成の再分配が不十分となり、オーステナイ
トが残留しなくなる。したがって、熱処理は(As点+
30℃)以上でAf点以下の温度範囲(ただし900℃
以下の範囲)で行う必要がある。
ことが鍵となる。(As点+30℃)未満の熱処理では
生成される逆変態オーステナイト相の量が少なすぎるた
め、またAf点を超える温度または900℃を超える温
度域での熱処理では逆変態オーステナイト相の量が多く
なりすぎて組成の再分配が不十分となり、オーステナイ
トが残留しなくなる。したがって、熱処理は(As点+
30℃)以上でAf点以下の温度範囲(ただし900℃
以下の範囲)で行う必要がある。
【0018】本発明法を適用するステンレス鋼は、焼鈍
状態でマルテンサイト組織を呈するマルテンサイト系ス
テンレス鋼が本旨である。逆変態処理を行う前の鋼板の
組織状態は実質的にマルテンサイト組織であることが必
要であり、このマルテンサイト組織は鋼中の成分とも関
係するが、焼鈍ままでマルテンサイト組織である焼鈍鋼
板、この鋼板を冷間圧延した冷延鋼板(場合によっては
冷間圧延によって加工誘起マルテンサイトを生成させた
冷延鋼板)や熱延板、およびこれらの鋼帯である。
状態でマルテンサイト組織を呈するマルテンサイト系ス
テンレス鋼が本旨である。逆変態処理を行う前の鋼板の
組織状態は実質的にマルテンサイト組織であることが必
要であり、このマルテンサイト組織は鋼中の成分とも関
係するが、焼鈍ままでマルテンサイト組織である焼鈍鋼
板、この鋼板を冷間圧延した冷延鋼板(場合によっては
冷間圧延によって加工誘起マルテンサイトを生成させた
冷延鋼板)や熱延板、およびこれらの鋼帯である。
【0019】しかし、100%マルテンサイト相である
必要は必ずしもなく、約20%容量までのフェライト相
或いはオーステナイト相が存在するものでもよい。いず
れにしても、逆変態処理によって得られた微細な二相組
織の状態で組成の再分配が生じると共に、引張強さが1
000N/mm2クラス以上の高強度を得ることを本発
明の一方の柱とするものであり、この要件を満たす範囲
の鋼の成分と組成割合を本発明は包含するものである。
必要は必ずしもなく、約20%容量までのフェライト相
或いはオーステナイト相が存在するものでもよい。いず
れにしても、逆変態処理によって得られた微細な二相組
織の状態で組成の再分配が生じると共に、引張強さが1
000N/mm2クラス以上の高強度を得ることを本発
明の一方の柱とするものであり、この要件を満たす範囲
の鋼の成分と組成割合を本発明は包含するものである。
【0020】鋼の成分については、10〜17質量%の
Cr、0.15質量%以下のCと1.0〜6.0質量%
のSiを含有する低炭素マルテンサイト系ステンレス鋼
を中心とする。Niも主要な成分の一つとすることがで
き、また、前記の要件を満たす限り、この種の鋼に含有
させる通常の合金元素の添加も勿論可能である。
Cr、0.15質量%以下のCと1.0〜6.0質量%
のSiを含有する低炭素マルテンサイト系ステンレス鋼
を中心とする。Niも主要な成分の一つとすることがで
き、また、前記の要件を満たす限り、この種の鋼に含有
させる通常の合金元素の添加も勿論可能である。
【0021】その代表的な化学成分と含有量を挙げると
次の通りである。C:0.15質量%以下、Si:1.
0〜6.0質量%以下、Mn:10.0質量%以下、N
i:8.0質量%以下、Cr:10.0〜17.0質量
%、N:0.3質量%以下、Mo:4.0質量%以下、
Cu:4.0質量%以下、Co:4.0質量%以下、さ
らに、Ti、Al、Nb、V,Zr,B、希土類元素を
総量で1.0質量%以下を含有することができる。
次の通りである。C:0.15質量%以下、Si:1.
0〜6.0質量%以下、Mn:10.0質量%以下、N
i:8.0質量%以下、Cr:10.0〜17.0質量
%、N:0.3質量%以下、Mo:4.0質量%以下、
Cu:4.0質量%以下、Co:4.0質量%以下、さ
らに、Ti、Al、Nb、V,Zr,B、希土類元素を
総量で1.0質量%以下を含有することができる。
【0022】ただし、Ti、Al、Nb、V,Zr,
B、希土類元素を含まない組成の場合は、 Nieq=Ni+Mn+Cu+Mo+0.2Co+0.5Cr+0.3Si+20(C+N) Ti、Al、Nb、V,Zr,B、希土類元素を含む組
成の場合は、 Nieq=Ni+Mn+Cu+Mo+0.2Co+0.5Cr+0.3Si で定義される、Nieq(Ni当量)の値が10.0〜1
7.5の範囲内となるよう各成分を調整する。これら主
要元素の含有量範囲をこのように規制するのは次のよう
な理由による。
B、希土類元素を含まない組成の場合は、 Nieq=Ni+Mn+Cu+Mo+0.2Co+0.5Cr+0.3Si+20(C+N) Ti、Al、Nb、V,Zr,B、希土類元素を含む組
成の場合は、 Nieq=Ni+Mn+Cu+Mo+0.2Co+0.5Cr+0.3Si で定義される、Nieq(Ni当量)の値が10.0〜1
7.5の範囲内となるよう各成分を調整する。これら主
要元素の含有量範囲をこのように規制するのは次のよう
な理由による。
【0023】Cは強力なオーステナイト生成元素であ
り、(As点+30℃)以上、Af点以下の温度域での熱
処理により生成される逆変態オーステナイト相の安定化
に有効に作用すると共に、逆変態オーステナイト相とマ
ルテンサイト相の強化に有効に作用する。しかしなが
ら、多量に含有すると逆変態処理時にCr炭化物が生成
され耐食性が劣化するため、その上限を0.15質量%
とする。
り、(As点+30℃)以上、Af点以下の温度域での熱
処理により生成される逆変態オーステナイト相の安定化
に有効に作用すると共に、逆変態オーステナイト相とマ
ルテンサイト相の強化に有効に作用する。しかしなが
ら、多量に含有すると逆変態処理時にCr炭化物が生成
され耐食性が劣化するため、その上限を0.15質量%
とする。
【0024】SiはAs点とAf点の温度範囲を広げるこ
とから、オーステナイト相とマルテンサイト相の安定し
た二相組織を得るのに有効に作用し、熱処理後の逆変態
オーステナイト相とマルテンサイト相の強化にも有効な
元素である。また、親水性を改善する目的でも有効な元
素である。しかし、1.0質量%未満では親水性の改善
効果が顕著でないことから下限を1.0質量%とする。
また、多量に含有するとδフェライト相が生成して熱間
加工性を損ねるため、6.0質量%を上限として含有さ
せるのがよい。
とから、オーステナイト相とマルテンサイト相の安定し
た二相組織を得るのに有効に作用し、熱処理後の逆変態
オーステナイト相とマルテンサイト相の強化にも有効な
元素である。また、親水性を改善する目的でも有効な元
素である。しかし、1.0質量%未満では親水性の改善
効果が顕著でないことから下限を1.0質量%とする。
また、多量に含有するとδフェライト相が生成して熱間
加工性を損ねるため、6.0質量%を上限として含有さ
せるのがよい。
【0025】MnはNiと同様にオーステナイト生成元
素であり(As点+30℃)以上、Af点以下の温度域で
の熱処理により生成される逆変態オーステナイト相の安
定化に有効に作用する。しかし、多量に含有すると溶製
時にMnヒュームが生成する等、製造性が低下するので
10.0質量%以下とするのがよい。
素であり(As点+30℃)以上、Af点以下の温度域で
の熱処理により生成される逆変態オーステナイト相の安
定化に有効に作用する。しかし、多量に含有すると溶製
時にMnヒュームが生成する等、製造性が低下するので
10.0質量%以下とするのがよい。
【0026】Crはステンレス鋼の基本成分であり、良
好な耐食性を得るには10質量%以上含有させる必要が
ある。しかしながら、Crはフェライト生成元素であ
り、多量に含有すると多量のδフェライト相が生成され
焼鈍後、常温でマルテンサイト単相組織が得られ難くな
るため、上限を17.0質量%とする。
好な耐食性を得るには10質量%以上含有させる必要が
ある。しかしながら、Crはフェライト生成元素であ
り、多量に含有すると多量のδフェライト相が生成され
焼鈍後、常温でマルテンサイト単相組織が得られ難くな
るため、上限を17.0質量%とする。
【0027】Niはオーステナイト生成元素で(As点
+30℃)以上、Af点以下の温度域での熱処理により
生成される逆変態オーステナイト相の安定化に有効に作
用する。しかし、多量に含有すると焼鈍後、常温でマル
テンサイト単相組織が得られ難くなるので8.0質量%
以下の範囲で含有させるのがよい。
+30℃)以上、Af点以下の温度域での熱処理により
生成される逆変態オーステナイト相の安定化に有効に作
用する。しかし、多量に含有すると焼鈍後、常温でマル
テンサイト単相組織が得られ難くなるので8.0質量%
以下の範囲で含有させるのがよい。
【0028】NはCと同様にオーステナイト生成元素
で、As点+30℃以上、Af点以下の温度域での熱処理
により生成される逆変態オーステナイト相の安定化に有
効に作用すると共に、逆変態オーステナイト相とマルテ
ンサイト相の強化に有効に作用する。また、逆変態オー
ステナイト相とマルテンサイト相の強化にも有効な元素
である。しかしながら、多量に含有すると溶製時にブロ
ーホールが生成し、健全な鋼塊が得られなくなるので
0.30質量%以下とするのがよい。
で、As点+30℃以上、Af点以下の温度域での熱処理
により生成される逆変態オーステナイト相の安定化に有
効に作用すると共に、逆変態オーステナイト相とマルテ
ンサイト相の強化に有効に作用する。また、逆変態オー
ステナイト相とマルテンサイト相の強化にも有効な元素
である。しかしながら、多量に含有すると溶製時にブロ
ーホールが生成し、健全な鋼塊が得られなくなるので
0.30質量%以下とするのがよい。
【0029】Moは耐食性を向上させるとともに、熱処
理後の逆変態オーステナイト相とマルテンサイト相の強
化に有効な元素である。しかしながら、Moはフェライ
ト生成元素であり、多量に含有するとδフェライト相が
多量に生成され、焼鈍後に常温でマルテンサイト単相の
組織が得られ難くなるので4.0質量%以下とするのが
よい。
理後の逆変態オーステナイト相とマルテンサイト相の強
化に有効な元素である。しかしながら、Moはフェライ
ト生成元素であり、多量に含有するとδフェライト相が
多量に生成され、焼鈍後に常温でマルテンサイト単相の
組織が得られ難くなるので4.0質量%以下とするのが
よい。
【0030】CuはNiと同様にオーステナイト生成元
素であり、熱処理後のオーステナイト相の形成に有効で
あるが、多量に含有すると熱間加工性が低下するので
4.0質量%以下とするのがよい。
素であり、熱処理後のオーステナイト相の形成に有効で
あるが、多量に含有すると熱間加工性が低下するので
4.0質量%以下とするのがよい。
【0031】CoはNiと同様にオーステナイト生成元
素であり、熱処理後のオーステナイト相の形成に有効で
あるが、多量に含有すると鋼が高価になるので、4.0
質量%以下とするのがよい。
素であり、熱処理後のオーステナイト相の形成に有効で
あるが、多量に含有すると鋼が高価になるので、4.0
質量%以下とするのがよい。
【0032】Ti、Al、Nb、V,Zr,Bはいずれ
も逆変態処理によって生成したオーステナイト+マルテ
ンサイトの二相組織を安定にし、微細かつ均一な組織を
維持するに有効であると共に、Cr炭化物の生成を抑制
して耐食性を維持したり、親水性の改善にも有効な元素
である。しかしながら、多量に含有すると製造性が低下
するのでそれぞれ1.0質量%以下とするとともにこれ
らの合計量も1.0質量%以下とするのがよい。
も逆変態処理によって生成したオーステナイト+マルテ
ンサイトの二相組織を安定にし、微細かつ均一な組織を
維持するに有効であると共に、Cr炭化物の生成を抑制
して耐食性を維持したり、親水性の改善にも有効な元素
である。しかしながら、多量に含有すると製造性が低下
するのでそれぞれ1.0質量%以下とするとともにこれ
らの合計量も1.0質量%以下とするのがよい。
【0033】Nieq(Ni当量)については次の通りで
ある。本発明では、熱処理時にマルテンサイト相から微
細なオーステナイト相が逆変態で生じて、微細な複相組
織となり、この微細な複相組織を維持することにより、
高強度複相組織ステンレス鋼が得られる。また、この微
細な二相組織間で生じる組成の再分配によって各々の組
織間で腐食速度に差を生じさせ、微細凹凸を得、この凹
凸で親水性を改善する。従って、本発明では安定した微
細な複相組織を得ることが鍵となる。Nieqが10.0
未満であると(As点+30℃)以上、Af点以下の温度
域での熱処理を施しても逆変態オーステナイト相の量が
少なくなり、またNieqが17.5を越えると逆変態オ
ーステナイト相の量が多すぎるようになり、いずれも安
定した微細な複相組織を得難くなる。したがって、Ni
eqが10.0〜17.5となるよう各成分を調整するの
が好ましい。
ある。本発明では、熱処理時にマルテンサイト相から微
細なオーステナイト相が逆変態で生じて、微細な複相組
織となり、この微細な複相組織を維持することにより、
高強度複相組織ステンレス鋼が得られる。また、この微
細な二相組織間で生じる組成の再分配によって各々の組
織間で腐食速度に差を生じさせ、微細凹凸を得、この凹
凸で親水性を改善する。従って、本発明では安定した微
細な複相組織を得ることが鍵となる。Nieqが10.0
未満であると(As点+30℃)以上、Af点以下の温度
域での熱処理を施しても逆変態オーステナイト相の量が
少なくなり、またNieqが17.5を越えると逆変態オ
ーステナイト相の量が多すぎるようになり、いずれも安
定した微細な複相組織を得難くなる。したがって、Ni
eqが10.0〜17.5となるよう各成分を調整するの
が好ましい。
【0034】
【実施例】表1に示す組成の鋼を常法にて溶製し、鍛
造、熱間圧延により6mm厚さとし、溶態化処理後、酸
洗を施して冷間圧延、焼鈍し、次いで所定の圧延率とな
るよう中間圧延・焼鈍を施して、仕上げ冷間圧延で1m
mの冷間圧延材とした。一部の冷間圧延材は1030℃
で焼鈍を施して供試材とした。また、熱延材の試料とし
て6mm厚の熱延材も試料作製工程中に採取し供試材と
した。なお、表1にはAs、Af点も合わせて示すが、
これらの変態点は電気抵抗測定装置により各供試材を1
℃/minの加熱速度で昇温して得た、温度−電気抵抗
の関係曲線の変曲点から求めた。
造、熱間圧延により6mm厚さとし、溶態化処理後、酸
洗を施して冷間圧延、焼鈍し、次いで所定の圧延率とな
るよう中間圧延・焼鈍を施して、仕上げ冷間圧延で1m
mの冷間圧延材とした。一部の冷間圧延材は1030℃
で焼鈍を施して供試材とした。また、熱延材の試料とし
て6mm厚の熱延材も試料作製工程中に採取し供試材と
した。なお、表1にはAs、Af点も合わせて示すが、
これらの変態点は電気抵抗測定装置により各供試材を1
℃/minの加熱速度で昇温して得た、温度−電気抵抗
の関係曲線の変曲点から求めた。
【0035】
【表1】
【0036】これらの供試材を用いて第2表に示す種々
の条件により熱処理を施した後、60℃の(弗酸:3%
+硝酸:12%+残:水)酸洗液で酸洗を施した。通常
の酸洗は熱処理時の酸化皮膜が除去できた時点で終了す
るが、本発明では表面に微細な凹凸を付与するために、
通常3分の酸洗時間の3倍、すなわち9分間酸洗した。
の条件により熱処理を施した後、60℃の(弗酸:3%
+硝酸:12%+残:水)酸洗液で酸洗を施した。通常
の酸洗は熱処理時の酸化皮膜が除去できた時点で終了す
るが、本発明では表面に微細な凹凸を付与するために、
通常3分の酸洗時間の3倍、すなわち9分間酸洗した。
【0037】酸洗が終了した材料は、建材がさらされる
条件と同様になるよう太陽光下に1週間放置後親水性を
調査した。親水性の試験は温度20℃、湿度60%の部
屋で、蒸留水 10μl(0.010ml)を試料上に
滴下し、30秒後にCCDカメラにて液滴を横方向から
拡大撮影して接触角を求めた。また、同材料から引張試
験片を採取して機械的性質も調査した。
条件と同様になるよう太陽光下に1週間放置後親水性を
調査した。親水性の試験は温度20℃、湿度60%の部
屋で、蒸留水 10μl(0.010ml)を試料上に
滴下し、30秒後にCCDカメラにて液滴を横方向から
拡大撮影して接触角を求めた。また、同材料から引張試
験片を採取して機械的性質も調査した。
【0038】
【表2】
【0039】表2の結果から明らかなように、本発明方
法によれば各供試材はいずれも耐力が800N/mm
2、引張強さが1000N/mm2以上を示し、処理後
のオーステナイト粒径も5μm以下である。試験No.
12と13は熱処理前の状態が焼鈍状態であるため、逆
変態オーステナイトはマルテンサイト ラスを起点とし
て核発生・成長するためラメラー状となるので、0.3
〜0.4μm×15〜10μmとなったものである。し
かも、酸洗後の表面凹部の深さが0.5μm以上の深さ
を示し、優れた親水性を有している。なお、表面凹部の
深さが0.5μm以上としたのは深さを計る計器の触針
の関係で0.5μm以上が測定できないためである。ま
た、親水性はSi含有量が多いほど良くなる結果になっ
ている。これに対し、表2中の比較法の試験No.1,
2はSiが低いため、耐力、引張強さが高いにもかかわ
らず、親水性は十分でない。試験No.4、9、16は
熱処理温度が本発明条件から外れているため、微細な金
属組織が得られず、表面凹部の深さも1μmとなってい
る。そのため、本発明法と比較して耐力が低く親水性も
低い。試験No.8、14は酸洗条件が本願から外れて
いるため耐力や引張強さは高いものの、酸洗後の表面凹
部の深さは0.3μmで、親水性が十分でない。試験N
o.19,20はNieqが本発明から外れているた
め、耐力、引張強さが低く、親水性にも劣る。
法によれば各供試材はいずれも耐力が800N/mm
2、引張強さが1000N/mm2以上を示し、処理後
のオーステナイト粒径も5μm以下である。試験No.
12と13は熱処理前の状態が焼鈍状態であるため、逆
変態オーステナイトはマルテンサイト ラスを起点とし
て核発生・成長するためラメラー状となるので、0.3
〜0.4μm×15〜10μmとなったものである。し
かも、酸洗後の表面凹部の深さが0.5μm以上の深さ
を示し、優れた親水性を有している。なお、表面凹部の
深さが0.5μm以上としたのは深さを計る計器の触針
の関係で0.5μm以上が測定できないためである。ま
た、親水性はSi含有量が多いほど良くなる結果になっ
ている。これに対し、表2中の比較法の試験No.1,
2はSiが低いため、耐力、引張強さが高いにもかかわ
らず、親水性は十分でない。試験No.4、9、16は
熱処理温度が本発明条件から外れているため、微細な金
属組織が得られず、表面凹部の深さも1μmとなってい
る。そのため、本発明法と比較して耐力が低く親水性も
低い。試験No.8、14は酸洗条件が本願から外れて
いるため耐力や引張強さは高いものの、酸洗後の表面凹
部の深さは0.3μmで、親水性が十分でない。試験N
o.19,20はNieqが本発明から外れているた
め、耐力、引張強さが低く、親水性にも劣る。
【0040】図1に試験材の表面を走査電子顕微鏡で観
察した結果を示す。図中a)は本発明方法によるもの
で、耐力、引張強さが高く、しかも優れた親水性を示し
た、試験No.13の表面である。本材料は焼鈍材に逆
変態処理を施したことから、逆変態処理前の微細なラス
マルテンサイトを基に逆変態が生じたため、微細なラメ
ラー状の逆変態オーステナイトが生じて0.3μm間隔
のラメラー状の微細な凹凸状の表面が形成されている。
図中b)も本発明方法によるもので、耐力、引張強さが
高く、しかも優れた親水性を示した、試験No.15の
表面である。本材料は冷延材に逆変態処理を施したこと
から、逆変態処理前の微細なラスマルテンサイトに多量
の圧延ひずみが加わった状態から逆変態が生じている。
そのため、逆変態発生核がランダムとなり、結果的に等
方の球状逆変態オーステナイトが生じて、この部分が過
酸洗されたため1μm間隔の微細な凹凸状の表面が形成
されている。一方、図中c)は比較法の試験No.9の
表面であるが、本発明方法から外れた熱処理では結晶粒
間での組成の再分配が生じておらず、酸洗時間を長くし
ても結晶粒間での腐食度差は少ない。その結果、表面に
は本発明方法で得られるような、微細な凹凸は生じてい
ない。
察した結果を示す。図中a)は本発明方法によるもの
で、耐力、引張強さが高く、しかも優れた親水性を示し
た、試験No.13の表面である。本材料は焼鈍材に逆
変態処理を施したことから、逆変態処理前の微細なラス
マルテンサイトを基に逆変態が生じたため、微細なラメ
ラー状の逆変態オーステナイトが生じて0.3μm間隔
のラメラー状の微細な凹凸状の表面が形成されている。
図中b)も本発明方法によるもので、耐力、引張強さが
高く、しかも優れた親水性を示した、試験No.15の
表面である。本材料は冷延材に逆変態処理を施したこと
から、逆変態処理前の微細なラスマルテンサイトに多量
の圧延ひずみが加わった状態から逆変態が生じている。
そのため、逆変態発生核がランダムとなり、結果的に等
方の球状逆変態オーステナイトが生じて、この部分が過
酸洗されたため1μm間隔の微細な凹凸状の表面が形成
されている。一方、図中c)は比較法の試験No.9の
表面であるが、本発明方法から外れた熱処理では結晶粒
間での組成の再分配が生じておらず、酸洗時間を長くし
ても結晶粒間での腐食度差は少ない。その結果、表面に
は本発明方法で得られるような、微細な凹凸は生じてい
ない。
【0041】図2に親水試験の結果の一部を示す。図中
a)およびb)は比較法の試験No.1、14である
が、接触角が大きく親水性に劣る。図中c)は本発明方
法の試験No.17のものであるが、接触角が小さくな
り親水性が大きく改善されている。
a)およびb)は比較法の試験No.1、14である
が、接触角が大きく親水性に劣る。図中c)は本発明方
法の試験No.17のものであるが、接触角が小さくな
り親水性が大きく改善されている。
【0042】表2、図1、図2からわかるように、本発
明法の優れた親水性は、この微細な凹凸が改善に大きく
寄与していることがわかる。
明法の優れた親水性は、この微細な凹凸が改善に大きく
寄与していることがわかる。
【0043】
【発明の効果】以上のように本発明鋼では、従来のよう
に後工程で親水性を改善するための、ステンレス鋼板の
機械的な表面の粗面化や化学的表面前処理が施されなく
ても、親水性が優れるため、安価で親水性に優れた高強
度複相組織ステンレス鋼板を提供することが可能とな
る。
に後工程で親水性を改善するための、ステンレス鋼板の
機械的な表面の粗面化や化学的表面前処理が施されなく
ても、親水性が優れるため、安価で親水性に優れた高強
度複相組織ステンレス鋼板を提供することが可能とな
る。
【図1】 本発明および比較鋼の表面を走査電子顕微鏡
で観察した写真。
で観察した写真。
【図2】 本発明方法で得られた材料の接触角を観察し
た写真。
た写真。
Claims (4)
- 【請求項1】 10〜17質量%のCrを含有し、C含
有量が0.15質量%以下、Si含有量が1.0〜6.
0質量%の範囲であるステンレス鋼であって、表面に5
μm以下の間隔で0.5μm深さ以上の凹凸を有するこ
とを特徴とする親水性に優れた高強度複相組織ステンレ
ス鋼帯および鋼板。 - 【請求項2】 請求項1に記載の成分に加えて、さらに
Mn:10.0質量%以下、Ni:8.0質量%以
下、N:0.3質量%以下、 Mo:4.0質量%以
下、Cu:4.0質量%以下、Co:4.0質量%以下
の一種以上を含有し、かつ下記に定義するNieqが1
0.0〜17.5の範囲であり、表面に5μm以下の間
隔で0.5μm深さ以上の凹凸を有することを特徴とす
る親水性に優れた高強度複相組織ステンレス鋼帯および
鋼板。ただし、 Nieq=Ni+Mn+Cu+Mo+0.2Co+0.5Cr+0.3Si+
20(C+N) である。 - 【請求項3】 請求項2の成分に加えて、さらにTi、
Al、Nb、V,Zr,B、希土類元素の一種以上を総
量で1質量%含有し、かつ下記に定義するNieqが1
0.0〜17.5の範囲であり、表面に5μm以下の間
隔で0.5μm深さ以上の凹凸を有することを特徴とす
る親水性に優れた高強度複相組織ステンレス鋼帯および
鋼板。ただし、 Nieq=Ni+Mn+Cu+Mo+0.2Co+0.5Cr+0.3Si
である。 - 【請求項4】 請求項1または2または3に記載の組成
を有するステンレス鋼の熱延、冷延または焼鈍鋼帯およ
び鋼板を、熱処理炉にて(As+30℃)以上、Af点
以下の温度範囲(ただし900℃以下の範囲)に加熱し
て、マルテンサイト相の一部を逆変態オーステナイト相
とし、マルテンサイト相とオーステナイト相の間に組成
の再分配を生じせしめた後、室温に冷却して5μm径ま
たは1μm幅以下の微細なオーステナイト相とマルテン
サイト相の複相組織とし、その後、酸洗してオーステナ
イト相を優先的に腐食することにより表面に5μm以下
の間隔で0.5μm深さ以上の凹凸を付けることを特徴
とする親水性に優れた高強度複相組織ステンレス鋼帯お
よび鋼板の製造方法。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP10174698A JPH11279706A (ja) | 1998-03-31 | 1998-03-31 | 親水性に優れた高強度複相組織ステンレス鋼帯および鋼板およびその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP10174698A JPH11279706A (ja) | 1998-03-31 | 1998-03-31 | 親水性に優れた高強度複相組織ステンレス鋼帯および鋼板およびその製造方法 |
Publications (1)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH11279706A true JPH11279706A (ja) | 1999-10-12 |
Family
ID=14308819
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP10174698A Withdrawn JPH11279706A (ja) | 1998-03-31 | 1998-03-31 | 親水性に優れた高強度複相組織ステンレス鋼帯および鋼板およびその製造方法 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JPH11279706A (ja) |
Cited By (14)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2002146485A (ja) * | 2000-11-14 | 2002-05-22 | Nippon Steel Corp | 耐応力腐食割れ性に優れた燃料タンク用表面被覆オーステナイト系ステンレス鋼 |
| US6679954B1 (en) * | 1999-02-18 | 2004-01-20 | Nippon Steel Corporation | High-strength, high-toughness stainless steel excellent in resistance to delayed fracture |
| JP2007119856A (ja) * | 2005-10-28 | 2007-05-17 | Nisshin Steel Co Ltd | 親水性ステンレス鋼板及びその製造方法 |
| CN102851620A (zh) * | 2012-09-14 | 2013-01-02 | 虞海香 | 防爆无火花铁合金 |
| CN102851619A (zh) * | 2012-09-14 | 2013-01-02 | 虞海香 | 无火花铁合金材料 |
| CN102851621A (zh) * | 2012-09-14 | 2013-01-02 | 虞海香 | 防爆铁合金材料 |
| CN102864388A (zh) * | 2012-09-14 | 2013-01-09 | 虞海盈 | 一种无火花铁合金 |
| CN102864390A (zh) * | 2012-09-14 | 2013-01-09 | 虞海盈 | 一种防爆铁合金材料 |
| CN102864387A (zh) * | 2012-09-14 | 2013-01-09 | 黄宣斐 | 替代铜的防爆铁合金材料 |
| CN102864391A (zh) * | 2012-09-14 | 2013-01-09 | 黄宣斐 | 一种替代铜的无火花铁合金材料 |
| CN102864389A (zh) * | 2012-09-14 | 2013-01-09 | 虞海盈 | 一种防爆铁合金 |
| CN102864392A (zh) * | 2012-09-14 | 2013-01-09 | 黄宣斐 | 一种替代铜的无火花防爆铁合金 |
| CN102864394A (zh) * | 2012-09-14 | 2013-01-09 | 黄宣斐 | 一种替代铜的防爆无火花铁合金 |
| JP2019026908A (ja) * | 2017-08-01 | 2019-02-21 | Jfeスチール株式会社 | ステンレス鋼板 |
-
1998
- 1998-03-31 JP JP10174698A patent/JPH11279706A/ja not_active Withdrawn
Cited By (14)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| US6679954B1 (en) * | 1999-02-18 | 2004-01-20 | Nippon Steel Corporation | High-strength, high-toughness stainless steel excellent in resistance to delayed fracture |
| JP2002146485A (ja) * | 2000-11-14 | 2002-05-22 | Nippon Steel Corp | 耐応力腐食割れ性に優れた燃料タンク用表面被覆オーステナイト系ステンレス鋼 |
| JP2007119856A (ja) * | 2005-10-28 | 2007-05-17 | Nisshin Steel Co Ltd | 親水性ステンレス鋼板及びその製造方法 |
| CN102864388A (zh) * | 2012-09-14 | 2013-01-09 | 虞海盈 | 一种无火花铁合金 |
| CN102851619A (zh) * | 2012-09-14 | 2013-01-02 | 虞海香 | 无火花铁合金材料 |
| CN102851621A (zh) * | 2012-09-14 | 2013-01-02 | 虞海香 | 防爆铁合金材料 |
| CN102851620A (zh) * | 2012-09-14 | 2013-01-02 | 虞海香 | 防爆无火花铁合金 |
| CN102864390A (zh) * | 2012-09-14 | 2013-01-09 | 虞海盈 | 一种防爆铁合金材料 |
| CN102864387A (zh) * | 2012-09-14 | 2013-01-09 | 黄宣斐 | 替代铜的防爆铁合金材料 |
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| CN102864392A (zh) * | 2012-09-14 | 2013-01-09 | 黄宣斐 | 一种替代铜的无火花防爆铁合金 |
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| JP2019026908A (ja) * | 2017-08-01 | 2019-02-21 | Jfeスチール株式会社 | ステンレス鋼板 |
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