JPH1128097A - ラセミ体1級アルコールの微生物学的光学分割法 - Google Patents

ラセミ体1級アルコールの微生物学的光学分割法

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JPH1128097A
JPH1128097A JP20231897A JP20231897A JPH1128097A JP H1128097 A JPH1128097 A JP H1128097A JP 20231897 A JP20231897 A JP 20231897A JP 20231897 A JP20231897 A JP 20231897A JP H1128097 A JPH1128097 A JP H1128097A
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alcohol
racemic
primary alcohol
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racemic primary
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Shinobu Oda
忍 小田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 界面バイオリアクターを用いてラセミ体1級
アルコールを微生物学的に光学分割する方法を提供する
こと。 【解決手段】 糖質を含む液体培地を含有する親水性固
定化担体と、ラセミ体1級アルコールを含む有機溶媒と
が界面接触している界面バイオリアクターにおいて、該
親水性固定化担体表面に、1級アルコールをエナンチオ
選択的にアセチル化するアルコールアセチルトランスフ
ェラーゼの産生能をもつピシア(Pichia)属に属する微
生物菌体を植菌し増殖させ、該ラセミ体1級アルコール
をエナンチオ選択的にアセチル化することを特徴とする
ラセミ体1級アルコールの微生物学的光学分割法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明に属する技術】本発明は界面バイオリアクターを
用いるラセミ体1級アルコールの微生物学的光学分割法
に関する。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】近
年、医薬品、農薬、強誘電性液晶材料などの合成原料と
して、光学活性なアルコールの需要が拡大しつつある。
これら光学活性アルコールのうち、2級アルコール類の
酵素的調製法として、リパーゼを用いる方法が種々報告
されている[例えば、Kakeya、H., et al., Agric,Bio
l.Chem., 55、1877(1991);Cambou,B.and Klibano
v,A.M., Biotechnol.Bioeng., 26、1449(1984);M
organ,B., et al., J.Org.Chem., 57、3231(1992)
など参照]。
【0003】しかし、ラセミ体1級アルコール類の酵素
的光学分割法は一般にエナンチオ選択性がさほど高くな
く、特に、シトロネロールのような反応点から不斉点が
離れている基質については、ほとんどエナンチオ選択性
が期待できなかった[例えば、Kawamoto,T., et al.,
Biocatalysis、1、137(1987);Iwai,M., et al.,Agr
ic.Biol.Chem., 44、2731(1980)など参照]。唯
一、ブタ肝臓カルボキシエステラーゼを用いたラセミ体
シトロネロールの高エナンチオ選択的分割が報告されて
いるが[Cambou,B.and Klibanov.A.M., J.Am.Che
m.Soc., 106、2687(1984)参照]、この酵素の大量供
給は困難であり、量産には不向きな方法である。
【0004】一方、光学活性な1級アルコールの有機合
成法としては、BINAP 塩を用いた不斉水素添加法が知ら
れている[Takaya,H., et al., J.Am.Chem.Soc., 1
09、1596(1987)参照]が、これら不斉試薬は一般に高
価であり、低コストで効率のよい光学活性1級アルコー
ルの調製法の開発が望まれている。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、先に、新
規な酢酸エステル合成法として、界面バイオリアクター
の担体に添加したグルコースの代謝産物であるアセチル
コエンザイムA(以下、「アセチル−CoA」と略すこ
ともある)をアセチルドナーとし、固定化担体と有機溶
媒相との固/液界面に増殖する微生物のアルコールアセ
チルトランスフェラーゼの触媒作用下に、有機溶媒相に
添加した1級アルコールをアセチル化するシステム(以
下、代謝−微生物変換融合システムと称する)を報告し
た[Oda,S., et al., Appl.Bnviron.Microbiol.,6
2、2216(1996)参照]。しかしながら、この報告で用
いた微生物、具体的にはハンゼヌラ・サチュールナス
(Hansenula saturnus)IFO 0809には、シト
ロネロールのようなラセミ体1級アルコールの光学分割
能はなく、シトロネロールは(S)−、(R)−体とも
に同程度の速度でアセチル化を受ける。したがって、本
発明者らがこれまでに報告してきた代謝−微生物変換融
合システムは、あくまでも非エナンチオ選択的な新規ア
セチル化システムにすぎず、光学分割を指向するもので
はなかった。
【0006】そこで本発明者は、代謝−微生物変換融合
能、すなわち、界面バイオリアクターを用いてアセチル
ドナー非添加系で酢酸シトロネリルを生成し得る微生物
をスクリーニングした結果、ピシア(Pichia)属系の野
生酵母の中に酢酸シトロネリルの蓄積能を有する菌体が
存在すること、その中でも特にピシア・クルイベリ(Pi
chia kluyveri)IFO 1165が(S)−シトロネ
ロールを高いエナンチオ選択性をもって優先的にアセチ
ル化する能力を有していることを見いだし、本発明を完
成するに至った。
【0007】かくして、本発明に従えば、糖質を含む液
体培地を含有する親水性固定化担体と、ラセミ体1級ア
ルコールを含む有機溶媒とが界面接触している界面バイ
オリアクターにおいて、該親水性固定化担体表面に、1
級アルコールをエナンチオ選択的にアセチル化するアル
コールアセチルトランスフェラーゼの産生能をもつピシ
ア(Pichia)属に属する微生物菌体を植菌し増殖させ、
該ラセミ体1級アルコールをエナンチオ選択的にアセチ
ル化することを特徴とするラセミ体1級アルコールの微
生物学的光学分割法が提供される。
【0008】以下、本発明の微生物学的光学分割法につ
いてさらに詳細に説明する。
【0009】本発明の方法に使用する界面バイオリアク
ターは、微生物菌体が資化する糖類を含む液体培地を含
有する(含浸させた)親水性固定化担体と、該担体表面
に接触する基質としてのラセミ体1級アルコールを含む
有機溶媒とから構成される。使用される親水性固定化担
体としては、例えば、アルギン酸、カラギーナン、デン
プンマトリクス、寒天、濾過板のようなセルロース材な
どの天然高分子;ポリビニルアルコール、ウレタンポリ
マー、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸などの合成
高分子:泡ガラス板のような無機多孔質材料の板状化物
などを挙げることができる。担体を繰り返し再生使用す
る場合には、ゲル状合成高分子や無機多孔質材料の板状
化物などを用いるのが好ましく、また、強度を付与する
ために、強固なろ過板や泡ガラス板のような多孔質の板
やステンレス等の板状または棒状物などを担体の骨格と
して用いるのが好ましい。
【0010】この親水性固定化担体には、微生物が資化
する糖類を含む液体培地が含浸せしめられる。液体培地
に添加される糖類は、微生物がそれを資化してアセチル
コエンザイムA(アセチル−CoA)を代謝生産するこ
とのできる単糖類又は多糖類が好適であり、例えば、グ
ルコース、フルクトース、スターチ等が挙げられる。液
体培地には、該糖質以外に、例えば特開平5−9187
8号公報に記載されている一般的な培地成分を含ませる
ことができる。該液体培地中の糖質の濃度は特に制限さ
れるものではないが、通常1〜35重量%、特に10〜
30重量%の範囲内が適当である。
【0011】上記の液体培地を含浸させた親水性固定化
担体には、本発明に従い、1級アルコールをエナンチオ
選択的にアセチル化するアルコールアセチルトランスフ
ェラーゼの産生能をもつピシア属に属する微生物菌体
(以下、ピシア属微生物菌体という)を植菌し、12時
間ないし3日間程度前培養を行なうことによって、担体
表面に微生物膜を成長させる。
【0012】本発明に従い固定化担体に植菌しうるピシ
ア属微生物菌体は、糖質を資化してアセチル−CoAを
代謝し、且つ1級アルコールをエナンチオ選択的にアセ
チル化するアルコールトランスフェラーゼを産生する能
力を有するものであれば特に制限されなく、例えば、 ピシア・クエルキューム(P. quercuum)IFO 09
49、 ピシア・グイリエルモンデ(P. guilliermondii)IF
O 10107、 ピシア・クルイベリ(P. kluyveri)IFO 1165 等が使用可能であり、中でも、ピシア・クルイベリ I
FO 1165はラセミ体1級アルコールのエナンチオ
選択的アセチル化能に優れており好適である。
【0013】なお、ピシア・クルイベリ IFO 11
65は比較的強いシトロネロールの酸化能を有している
が、担体中のグルコース等の糖質の濃度を高く設定して
やれば、この不要な酸化反応を抑止することが可能であ
る。この酸化反応の抑止は、高濃度糖質の存在によって
酸化酵素アルコールデヒドロゲナーゼの生成が抑止され
ることに起因するが[Schimpfessel,L., Biochim. Bio
phys. Acta,151、317(1968)参照]、大量のアセチル
−CoAを自家生産させる上でも高濃度糖質の存在は好
ましい。また、界面バイオリアクターに用いられる有機
溶媒、例えばデカン等のパラフィン類は水の10倍程度
の酸素溶解性を有しているため、大量のアセチル−Co
Aが好気的かつ大量に自家生産されることになる。
【0014】次いで、この微生物膜を有する固定化担体
表面に、ラセミ体1級アルコールを含む有機溶媒を接触
させながら培養を行ない、ピシア属微生物菌体を培殖さ
せる。その際の培養条件は、使用する微生物菌体の種類
により異なるが、通常、約20〜約30℃の温度におい
て約1〜約50日間静置又は振とう培養することができ
る。なお、微生物の植菌法、反応管理等は、例えば、特
許第2542766号、Oda, S., et al., J. Ferment.
Bioeng., 80、559(1995)に記載の界面バイオリアク
ターならびに実働方法を採用することができる。その結
果、ピシア属微生物菌体が産生するアルコールアセチル
トランスフェラーゼの触媒下に、糖質を資化して代謝さ
れるアセチル−CoAが有機溶媒中から微生物菌体内に
取り込まれたラセミ体1級アルコールに作用して、該ラ
セミ体1級アルコールがエナンチオ選択的にアセチル化
される。すなわち、該ラセミ体1級アルコールのうちの
(S)−体及び(R)−体の一方のみが選択的にアセチ
ル化され、光学活性1級アルコールと1級アルコールの
光学活性酢酸エステルとの混合物が生成する。
【0015】これら1級アルコールのエナンチオ選択的
なアセチル化によって生成する光学活性酢酸エステル及
び残余の光学活性アルコールは、界面バイオリアクター
の有機溶媒相に自動的に移行するが、界面バイオリアク
ターは一般に、疎水性毒物の毒性回避能に優れているた
め[Oda,S.and Ohta,H., Biosci.Biotech.Bioche
m., 56、1515(1992);Oda, S., et al., J. Ferment.
Bioeng., 78、149(1994)]、該リアクター中の担体
/有機溶媒相の固/液界面に位置するピシア属微生物菌
体はこれら酢酸エステル及び残余アルコールの毒性を回
避でき、結果的にこれら産物は非常に高い濃度で有機溶
媒相に蓄積される。
【0016】また、光学分割に供されるラセミ体1級ア
ルコールが非常に強毒性である場合には、このアルコー
ルを流加(フェドバッチ添加)することによって、その
毒性を極力回避することができる。
【0017】なお、代謝によるアセチルコエンザイムA
生産とアルコールアセチルトランスフェラーゼ触媒下で
のアセチル化との融合は、界面バイオリアクター法以外
にも、例えば、水−有機溶媒二相系反応法[Hocknull,
M.D., and Lilly, M.D., Appl. Microbiol. Biotechno
l., 33、148(1990)参照]によっても実施可能ではあ
るが、該二相系反応法では十分な基質アルコールの毒性
回避効果は発揮されず、また、液−液界面や生体触媒を
含んだ水相中での基質あるいは産物の透過拡散が律速と
なるため、界面バイオリアクターを用いて実現される成
績を凌駕することはできない。
【0018】生成する1級アルコールの光学活性酢酸エ
ステルと光学活性1級アルコールとの混合物からの一方
の光学活性成分の分離は、例えば、クロマトグラフィー
等の分離操作によって、あるいは例えば、酢酸エステル
には作用せずアルコールのみを選択的に酸化する微生物
を該混合物に作用させ、酢酸エステルとカルボン酸の混
合物に誘導した後、抽出または蒸留操作に付すことによ
って行うことができる。
【0019】例えば、ラセミ体1級アルコールとしてラ
セミ体シトロネロールを本発明の方法に従って処理する
ことにより、定量的に(S)−酢酸シトロネリルと
(R)−シトロネロールの混合物が得られる。この混合
物はカラムクロマトグラフィーに付すことにより両者を
分離することが可能であるが、例えば、該混合物を、酢
酸シトロネリルの加水分解能をもたないがアルコールの
酸化能を有する微生物(例えば、ピシア・アングスタ
(Pichia angusta)、イサチエンキア・オリエンタリ
ス(Issatchenkia orientalis)など)によって処理
し、(R)−シトロネロールのみを(R)−シトロネル
酸に酸化誘導した後、例えば抽出操作または蒸留操作に
付すことにより、(R)−シトロネル酸から(S)−酢
酸シトロネリルを容易に分離することができ、この分離
された(S)−酢酸シトロネリルを加水分解すれば、定
量的に(S)−シトロネロールを回収することができ
る。
【0020】本発明の光学分割に供しうるラセミ体1級
アルコールとしては、上記のラセミ体シトロネロールの
ほか、例えば、ラセミ体2−フェニル−1−プロパノー
ル、2−フェニル−1−ブタノール、3−フェニル−1
−ブタノール等の強毒性芳香族アルコールが挙げられ
る。
【0021】一方、これらラセミ体1級アルコールを溶
解する有機溶媒としては、疎水性で固定化された微生物
菌体に対して実質的に毒性を示さないものが好ましく、
具体的には例えば、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノ
ナン、デカン等の炭素数6〜20のメタン系炭化水素に
代表されるノルマルパラフィン類または流動パラフィン
類;イソオクタン等のイソパラフィン類;ペンチルベン
ゼン、ヘキシルベンゼン、ヘプチルベンゼン、オクチル
ベンゼン等の脂肪族鎖の炭素数が5〜15のノルマルア
ルキルベンゼン類;キュメン等のイソアルキルベンゼン
類;シクロヘキサン等の脂環式炭化水素類;ジヘキシル
エーテル類の脂肪族エーテル類;ジブチルフタレート等
の芳香族エステル類;デカン酸エチル等の脂肪族エステ
ル類;ポリジメチルシロキサン等のシリコンオイル等を
例示することができる。
【0022】しかして、界面バイオリアクターの具体例
としては、例えば、反応溶媒としてパラフィン類を用
い、固定化担体としてポリビニルアルコール被覆のろ過
板を使用して、これを反応溶媒中に横配列もしくは縦配
列に充填したものを挙げることができる。
【0023】
【発明の効果】一般に、1級アルコールのリパーゼある
いはエステラーゼによる酵素的光学分割は非常に困難で
あり、特にシトロネロールのような不斉点(キラル中
心)と反応点(CH2OH)とが離れた1級アルコール
の酵素的光学分割は、実際上不可能であった[Kawamot
o, T., et al., Biocatalysis, 1、137(1987)]。
【0024】本発明は、水不溶性基質の微生物交換反応
に威力を発揮する界面バイオリアクターを用い、これま
で有用なエステルの合成や光学分割への応用が皆無であ
ったエステル化酵素であるアルコールアセチルトランス
フェラーゼを初めて光学分割に応用したものである。
【0025】本発明は、生育微生物菌体を用いることに
より、該酵素反応に必要なアセチル−CoA(非常に高
価)を自家生産させることができるので、原材料コスト
を著しく低く設定し得るという効果がある。
【0026】
【実施例】以下、実施例により、本発明の界面バイオリ
アクターを用いた代謝−微生物変換融合法によるラセミ
体1級アルコールの光学分割について、さらに具体的に
説明する。
【0027】実施例1 栄養源としてペプトン5.0g、酵母エキス3.0g、
麦芽エキス3.0g、硫酸マグネシウム・7水塩7.0
g、グルコース200g及び蒸留水850literを
含んだ栄養寒天平板(寒天20.0g、pH6.0)を
直径21cmのガラスシャーレに容量500ml/シャ
ーレで調製した。この寒天平板にピシア・クルイベリ
IFO 1165懸濁液3mlを均一に植菌し、1日間
前培養して微生物膜を生長させた。その後、50mlの
ラセミ体シトロネロールの2%デカン溶液を重層し、温
度30℃、振とう数40storokes/min.で振とう培養し
た。デカン相は毎日サンプリングし、ガスクロマトグラ
フィーによってデカン相中のシトロネロールおよび生成
してくる酢酸シトロネリルの濃度を定量した。シトロネ
ロールの減少および酢酸シトロネリルの蓄積は反応開始
1日目より認められ、5日間の反応で、前者の残存濃度
10.7mg/ml後者の蓄積濃度11.2mg/ml
となった。この時点でデカン相を回収し、蒸留によって
デカンを半量まで除去した後、シリカゲルカラムによる
カラムクロマトグラフィーによって酢酸シトロネリルお
よびシトロネロールを分離回収した。後者については、
ジョーンズ酸化によってシトロネル酸に誘導した後、
(R)−1−(ナフチルエチル)アミンによって修飾し
た後、液体クロマトグラフィーを用いてその光学純度を
測定した。また、前者については、エタノール添加後ア
ルカリ加水分解してシトロネロールとした後、同様の手
法によってアミン誘導体として光学純度を測定した。そ
の結果、生成した酢酸シトロネリルの絶対配置は(S)
であり、そのエナンチオ過剰度は94%e.e.(enantio
meric excess)であった。また、残余シトロネロール
の絶対配置は(R)であり、そのエナンチオ過剰度は9
2%e.e.であった。
【0028】実施例2 実施例1において、ピシア・クルイベリ IFO 11
65に代えてピシア・グイリエルモンデ IFO 10
107を使用した以外は同様にしてシトロネロールの光
学分割を行った。シトロネロールの残存濃度は9.8g
/ml及び酢酸シトロネリルの蓄積濃度は11.2g/
mlであった。
【0029】ついで、光学純度を測定した結果、生成し
た酢酸シトロネリルの絶対配置は(R)であり、そのエ
ナンチオ過剰度は69%e.e.であった。また残余シト
ロネロールの絶対配置は(S)であり、そのエナンチオ
過剰度は66%e.e.であった。
【0030】比較例1 実施例1と同様の方法でハンゼヌラ・サチュールナス
IFO 0809によるラセミ体シトロネロールのアセ
チル化を実施した。その結果、反応開始5日目ではラセ
ミ体シトロネロールアルコールはほぼ定量的に酢酸シト
ロネリルへと変換されており、そのアセチル化にはエナ
ンチオ選択性は認められなかった。
【0031】実施例3 実施例1と同様にして、ラセミ体3−フェニル−1−ブ
タノールのアセチル化を試みた。基質濃度は1%とし、
デカン溶液の形で添加した。反応は開始1日目から順調
に進行し、反応開始4日目には生成酢酸エステル濃度と
残余アルコール濃度はほぼ等しくなった(前者は5.3
mg/ml、後者は5.5mg/ml)。この時点でデ
カン相を回収し、デカンを半量留去した後、カラムクロ
マトグラフィーによって酢酸エステルと残余アルコール
を分離した。これら両者の光学純度は光学分割用カラム
を装着した液体クロマトグラフィーを用いて、また施光
性は施光光度計を用いて測定した。その結果、生成した
酢酸エステルは(+)を示し、93.2%e.e.のエナ
ンチオ過剰度を示した。一方、残余アルコールは(−)
を示し、96.6%e.e.のエナンチオ過剰度を示し
た。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 糖質を含む液体培地を含有する親水性固
    定化担体と、ラセミ体1級アルコールを含む有機溶媒と
    が界面接触している界面バイオリアクターにおいて、該
    親水性固定化担体表面に、1級アルコールをエナンチオ
    選択的にアセチル化するアルコールアセチルトランスフ
    ェラーゼの産生能をもつピシア(Pichia)属に属する微
    生物菌体を植菌し増殖させ、該ラセミ体1級アルコール
    をエナンチオ選択的にアセチル化することを特徴とする
    ラセミ体1級アルコールの微生物学的光学分割法。
  2. 【請求項2】 ラセミ体1級アルコールが芳香族系アル
    コール、脂肪族系アルコール、複素環式アルコール及び
    テルペンアルコールから選ばれる請求項1記載の光学分
    割法。
  3. 【請求項3】 ラセミ体1級アルコールが水に実質的に
    不溶性ないし難溶性である請求項1又は2記載の光学分
    割法。
  4. 【請求項4】 ピシア属に属する微生物菌体がピシア・
    クエルキューム(Pichia quercuum)IFO 094
    9、ピシア・グイリエルモンデ(Pichia guilliermond
    ii)IFO 10107及びピシア・クルイベリ(Pich
    ia kluyveri)IFO 1165から選ばれる請求項1
    記載の光学分割法。
  5. 【請求項5】 糖質がグルコース、フルクトース及びス
    ターチから選ばれる請求項1記載の光学分割法。
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