JPH11286786A - 超低鉄損一方向性珪素鋼板の製造設備 - Google Patents

超低鉄損一方向性珪素鋼板の製造設備

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JPH11286786A
JPH11286786A JP10089718A JP8971898A JPH11286786A JP H11286786 A JPH11286786 A JP H11286786A JP 10089718 A JP10089718 A JP 10089718A JP 8971898 A JP8971898 A JP 8971898A JP H11286786 A JPH11286786 A JP H11286786A
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steel sheet
silicon steel
treatment
iron loss
insulating film
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JP10089718A
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Masao Iguchi
征夫 井口
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Kawasaki Steel Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 鉄損が格段に優れた一方向性珪素鋼板を、従
来に比べて極めて安価にしかも高生産性の下で得る。 【解決手段】 仕上焼鈍済みの一方向性珪素鋼板の表面
に張力絶縁被膜を被成する処理設備として、 SiCl4を主
成分とする塩化物浴からなる前処理槽ならびにその後に
乾燥および熱処理を施す第1の熱処理炉と、この前処理
後の珪素鋼板の表面に、リン酸塩とコロイダルシリカを
主成分とする張力絶縁被膜用コーティング液を水で薄め
た希釈液中にSi, Fe, AlおよびBのうちから選んだ1種
または2種以上を含む無機化合物を微量添加した処理液
を塗布する下地処理槽ならびにその後に乾燥および熱処
理を施す第2の熱処理炉と、この下地被膜を形成した珪
素鋼板の表面に、リン酸塩とコロイダルシリカを主成分
とする張力絶縁被膜用コーティング液を塗布する張力絶
縁被膜コーティング槽ならびにその後に乾燥および焼付
け処理を施す焼鈍炉とを配置する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、超低鉄損一方向性
珪素鋼板の製造設備に関し、特に仕上焼鈍済みの珪素鋼
板の表面に張力絶縁被膜を被成する場合に、該張力絶縁
被膜の珪素鋼板に対する密着性を効果的に向上させるこ
とによって、鉄損特性の一層の改善を低コストの下で実
現しようとするものである。
【0002】
【従来の技術】一方向性珪素鋼板は、主として変圧器そ
の他の電機機器の鉄心として利用され、磁化特性として
磁束密度(B8 値で代表される)が高く、鉄損(W
17/50 で代表される)が低いことが要求される。
【0003】一方向性珪素鋼板の磁気特性を向上させる
ためには、第一に鋼板中の2次再結晶粒の〈001〉軸
を圧延方向に高度に揃える必要があり、第二には最終製
品中に残存する不純物や析出物をできるだけ少なくする
必要がある。
【0004】このため、N.P.Gossによって一方向性珪素
鋼板の2段冷延による基本的な製造技術が提案されて以
来、その製造技術に数多くの改良が重ねられ、一方向性
珪素鋼板の磁束密度および鉄損値は年を追って改善され
てきた。その中で特に代表的なものは、SbとMnSeまたは
MnSとをインヒビターとして利用する特公昭51-13469号
公報に記載の方法、もう一つはAlNとMnSをインヒビタ
ーとして利用する特公昭33−4710号公報、特公昭40-156
44号公報および特公昭46-23820号公報等に記載の方法で
あり、これらの方法によればB8 が1.88Tを超える高磁
束密度を有する製品が得られるようになった。
【0005】さらに高磁束密度の製品を得るために、特
公昭57-14737号公報では素材中にMoを複合添加したり、
また特公昭62-42968号公報では素材中にMoを複合添加さ
せたのち、最終冷延直前の中間焼鈍後に急冷処理を施す
などの改良を加えて、B8 が1.90T以上の高磁束密度
で、かつ鉄損W17/50 が 1.05 W/kg(製品板厚:0.30m
m) 以下の低鉄損が得られることが、開示提案されてい
るが、なお十分な低鉄損化については改善すべき余地が
残されていた。
【0006】とくに、十数年前のエネルギー危機を境と
して電力損失を極力低減することへの要請が著しく強ま
り、それに伴って鉄心材料の用途でもより一層の改善が
望まれている。そのため、渦電流損をできる限り小さく
することを目的として、製品板厚を薄くした0.23mm厚
(9mil)以下のものが数多く使用されるようになってき
た。
【0007】これとは別に、一方向性珪素鋼板の絶縁被
膜の観点からも、大幅な改良が加えられた。すなわち、
現在商品化されている珪素鋼板は、鋼板とフォルステラ
イト系下地被膜の絶縁被膜の熱膨張係数の差を利用する
ことによって、鋼板に張力を加えることによって鉄損の
低減と磁歪の改善が図られている。この代表的な絶縁被
膜形成方法として、特公昭53-28375号公報に開示された
リン酸アルミニウムとコロイダルシリカと無水クロム酸
を主成分とするコ−ティング液を利用する方法、および
特公昭56-52117号公報に開示されたリン酸マグネシウム
とコロイダルシリカと無水クロム酸を主成分とするコ−
ティング液を利用する方法が挙げられる。
【0008】上記した技術はいずれも、主に冶金学的な
手法であるが、これらの方法とは別に、特公昭57−2252
号公報に提案されているような、仕上焼鈍後の鋼板の表
面にレーザー照射やプラズマ照射(B.Fukuda, K.Sato,
T.Sugiyama, A.Honda and Y.Ito : Proc. of ASM Con.
of Hard and Soft Magnetic Materials, 8710-008,(US
A), (1987) )を行い、人為的に 180°磁区幅を減少さ
せて鉄損を低減する方法(磁区細分化技術)が開発され
た。この技術の開発により、一方向性珪素鋼板の鉄損
は、大幅に低減された。しかしながら、この技術は、高
温での焼鈍に耐え得ないという欠点があり、用途が歪取
焼鈍を必要としない積鉄心変圧器に限定されるという問
題があった。
【0009】この点、歪取焼鈍に耐え得る磁区細分化技
術として、一方向性珪素鋼板の仕上焼鈍後の鋼板表面
に、線状の溝を導入し、溝による反磁界効果を応用して
磁区の細分化を図る方法が工業化された(H.Kobayashi,
E.Sasaki, M.Iwasaki and N.Takahashi : Proc. SMM-
8., (1987), P.402 )。また、これとは別に、一方向性
珪素鋼板の最終冷延板に局所的な電解エッチングを施す
ことによって溝を形成し、磁区を細分化する方法(特公
平8−6140号公報)も開発され、工業化されている。
【0010】さらに、上記した珪素鋼板の製造方法とは
別に、特公昭55-19976号公報、特開昭56−127749号公報
および特開平2−3213号公報に開示されているように、
非晶質合金が通常の電力用トランスや高周波トランス等
の材料として注目されている。しかしながら、このよう
な非晶質材料では、通常の一方向性珪素鋼板に比較して
非常に優れた鉄損特性が得られる反面、熱的安定性に欠
ける、占積率が悪い、切断が容易でない、あまりにも薄
く脆いためトランスの組み立て工数のコストアップが大
きい等実用上の不利が多いことから、現状では大量に使
用されるまでには至っていない。
【0011】その他にも、特公昭52-24499号公報におい
て、珪素鋼板の仕上焼鈍後に形成されるフォルステライ
ト下地被膜を除去し、鋼板表面を研磨した後、この鋼板
表面に金属メッキを施すことからなる方法が提案されて
いる。しかしながら、この方法は、低温では低鉄損が得
られるものの、高温処理を施すと金属が珪素鋼板中に拡
散するため、かえって鉄損が劣化するという欠点があっ
た。
【0012】この点、発明者らは先に、上記の不利を解
消するものとして、特公昭63-54767号公報等において、
研磨により平滑化した一方向性珪素鋼板上にCVDやイ
オンプレーティング, イオンインプランテーション等の
ドライプレーティング(PVD)により、Si, Mn, Cr,
Ni, Mo, W,V,Ti, Nb, Ta, Hf, Al,Cu, ZrおよびB
の窒化物、炭化物のうちから選んだ1種または2種以上
の張力被膜を被成させることによって超低鉄損が得られ
ることを開示した。この製造法により、電力用トランス
や高周波トランス等の材料として非常に優れた鉄損特性
が得られるようになったが、それでもなお、最近の低鉄
損化に対する要求に対しては十分に応えているとはいい
難かった。
【0013】そこで、発明者らは、従来に比べて鉄損の
一層の低減を図るべく、あらゆる観点から根本的な再検
討を加えた。すなわち、発明者は、安定した工程で平滑
化した一方向性珪素鋼板表面上に種々の窒化物、炭化物
のうちから選んだ1種または2種以上の張力被膜を被成
させて超低鉄損の製品を得るためには、一方向性珪素鋼
板の素材成分から最終の処理工程に至るまでの根本的な
再検討が必要であるとの認識に立って、珪素鋼板の集合
組織の追跡から、鋼板表面の平滑度や最終のCVDやP
VD処理工程に至るまで鋭意検討を重ねた。その結果、
以下に述べる知見を得た。
【0014】(1) 珪素鋼板に被覆したセラミック (代表
例として TiN膜を使用) の薄膜は、1.5 μm 以上の厚み
に被成しても、鉄損向上の度合いは少なくなる。すなわ
ち1.5 μm 以上の厚みのTiN 膜は、鉄損については僅か
の向上しか期待できず、むしろ占積率および磁束密度の
劣化を招く。 (2) この場合の TiNの役割は、セラミック特有の張力付
加に加えて、珪素鋼板との密着性の役割の方がより重要
である。すなわち TiN横断面の透過電子顕微鏡観察 (井
口征夫:日本金属学会誌, 60 (1996), P.781〜786 参
照) では、10nmの横縞が観察され、これは珪素鋼板の
〔011〕方向のFe−Fe原子の5原子層に相当する。 (3) TiN 被覆領域および化学研磨領域のX線による二層
の集合組織の同時測定(Y.Inokuti:ISIJ Internationa
l, 36 (1996), P.347〜352 参照) では、研磨領域のFe
の{200}ピーク形状は円形である。しかし TiN被覆
領域でのFeの{200}ピーク形状は楕円形であり、珪
素鋼板の〔100〕si-steel方向に強力に張力付加され
た状況になっている。 (4) TiN 薄膜の張力 (井口征夫、鈴木一弘、小林康宏:
日本金属学会誌、60 (1996), P.674〜678 参照) は8〜
10 MPaで、これにより 0.014〜0.016 T程度の磁束密度
の向上が期待できる。(これは約1°のGoss方位集積度
を向上させたことに相当する。)
【0015】以上が、セラミック被覆についての新規知
見であるが、さらにセラミック膜と鋼板の表面状態に関
し、以下に述べる知見を得た。 (5) 珪素鋼板の最終冷延板に局所的な電解エッチングを
施すことによって溝を形成し、さらに2次再結晶処理後
の鋼板表面を研磨により平滑化した後、 TiNセラミック
膜を被覆した場合には、導入した溝に起因した反磁界効
果による磁区細分化に加えて、さらにセラミック被膜に
よる張力付加により、効果的に鉄損が低減する。 (6) セラミック被覆前に、鋼板表面上に凹状の溝を形成
した場合の引張りによる鉄損の低減効果は、通常の研磨
により平滑化した珪素鋼板の場合よりも大きい(特公平
3-32889号公報参照)。すなわち、溝を導入した場合に
は珪素鋼板表面上に異張力が作用し、引張り張力による
鉄損の低減度合いが増大する。 (7) 凹状の溝を形成した珪素鋼板上にセラミック膜を被
覆した場合は、通常の研磨により平滑化しセラミック膜
を被覆した場合よりも、鉄損の低減効果がより効果的で
ある。( 例えば、特公昭63-35686号公報参照) すなわ
ち、線状の溝を導入し、溝による反磁界効果を応用して
磁区を細分化したのち、セラミック張力被膜を被成し
て、さらに 180°主磁区を細分化する方が一層効果的
で、超低鉄損が得られる。 (8) 珪素鋼板の最終冷延板に局所的な電解エッチングを
施すことによって溝を形成した場合は、2次再結晶処理
を施した後の鋼板表面を研磨により平滑化しない表面状
態で TiNセラミック膜を被成した場合であっても、かな
りの鉄損低減効果が発揮される。すなわち、研磨により
平滑化しない状態、例えば酸洗処理等により表面に小さ
な凹凸が存在する状態であっても、熱膨張係数の小さな
セラミック膜を被覆することによって、珪素鋼板の表面
に強力な張力を付加することが可能であり、これによっ
て鉄損を有利に低減することができる。
【0016】そこで、発明者は、上記の新規知見を基
に、所期した目的を達成すべく数多くの実験と検討を重
ねた結果、表面を平滑化した珪素鋼板および線状の溝を
導入した珪素鋼板いずれであっても、該珪素鋼板の表面
に被成するセラミック張力被膜を複数種とし、しかもこ
のセラミック張力被膜について、その熱膨張係数が外側
にいくほど小さくすることが、鉄損の低減に極めて有効
であることの知見を得、これに基づき極めて鉄損の低い
一方向性珪素鋼板を新たに開発した(特願平9−328042
号明細書)。
【0017】かくして得られた一方向性珪素鋼板は、極
めて薄く、かつ密着性に優れたセラミック膜の張力被膜
をそなえ、超低鉄損の達成が可能なだけでなく、絶縁性
を具備し、しかも占積率にも優れているため、まさに理
想的な珪素鋼板といえる。
【0018】しかしながら、このような緻密なセラミッ
ク膜を被成するには、真空中で高プラズマ雰囲気下での
処理が不可欠であり、かような方法ではセラミック膜の
高速成膜ができず、生産性が低いため、工業化に際し
て、コストアップになるというところに問題を残してい
た。
【0019】なお、これとは別に、最近、特許第 26624
82号および 2664326号各公報において、平滑化した鋼板
の表面に酸化Al−酸化B系の複合膜を形成させることに
よって、被膜密着性と鉄損を改善した低鉄損一方向性珪
素鋼板が提案された。しかしながら、この方法による珪
素鋼板の鉄損値W17/50 は、0.2 mm板厚の製品で0.77〜
0.83 W/kg 程度にすぎず、製品板厚が薄いにもかかわら
ずこの程度の到達鉄損値では、やはり改良すべき余地が
残されているといわざるを得ない。さらに、この方法で
製造した酸化Al−酸化B系の複合セラミック膜は、真空
プラズマを利用して作成したセラミック膜に比較して、
緻密さや平滑性の面で劣ることから、この一方向性珪素
鋼板の絶縁被膜は、化学的安定性が十分でなく耐食性、
耐水性の改善が指摘されている。
【0020】そこで、発明者らは、上記の新規知見を基
に、再度、珪素鋼板の表面状態、さらにはその表面に被
成するセラミック張力被膜について検討を行った。その
結果、珪素鋼板の表面に、リン酸塩とコロイダルシリカ
を主成分とする張力絶縁被膜を被成するに先立ち、この
張力絶縁被膜用のコーティング液を水で希釈し、かつそ
の希釈液中にFe, Si, AlおよびBのうちから選んだ1種
または2種以上を含む無機化合物を添加した処理液を薄
く塗布し、鋼板の表面に微量のFe等を含む無機化合物を
付着させたのち、非酸化性雰囲気中で短時間の熱処理を
施してやると、基本的に張力絶縁被膜と同じ被膜成分に
なる極薄被膜が形成されると共に、該被膜中に存在する
Fe等を含む無機化合物が活性度の高いFe等の窒化・酸化
物に変化し、これが鋼板表面に強固に固着する結果、上
記極薄被膜は高い密着性の下で鋼板表面に被成され、一
方この極薄被膜はその上に被成する張力絶縁被膜と同質
であるため、これらの密着性も極めて良好であることか
ら、結果として、従来に比較して密着性が格段に優れた
張力絶縁被膜を鋼板の表面に被成することができ、かく
して鉄損の極めて低い一方向性珪素鋼板を、生産性良
く、また低コストの下で製造できることを見出し、特願
平10-43238号明細書において開示した。
【0021】さらに、上記の技術を継続して研究した結
果、上記したように、鋼板の表面にFe, Si, AlおよびB
等の窒化・酸化物を微細に分散させた極薄下地被膜を形
成したのち、その上に重ねて被成する張力絶縁被膜中に
も少量のSi窒化・酸化物を微細に分散させることが、密
着性ひいては鉄損特性の改善に一層有利であることを見
出し、特願平10-43239号明細書において開示した。
【0022】またさらに、これらの開発研究を続けた結
果、上記したようなFe, Si, AlおよびB等の窒化・酸化
物を微細に分散させた極薄下地被膜を鋼板の表面に被成
するに先立ち、SiCl4 を主成分とする塩化物の水溶液中
に浸漬して地鉄表面を若干溶解することが、密着性ひい
ては鉄損特性の改善により一層有効であることを見出
し、特願平10-74274号明細書において開示した。
【0023】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記したよ
うな超低鉄損一方向性珪素鋼板を製造する場合に用いて
好適な超低鉄損一方向性珪素鋼板の製造設備を提案する
ことを目的とする。
【0024】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は、仕
上焼鈍済みの一方向性珪素鋼板の表面に張力絶縁被膜を
被成する処理設備であって、SiCl4を主成分とする塩化
物浴からなる前処理槽ならびにその後に乾燥および非酸
化性雰囲気下で熱処理を施す第1の熱処理炉と、前処理
後の珪素鋼板の表面に、リン酸塩とコロイダルシリカを
主成分とする張力絶縁被膜用コーティング液を水で薄め
た希釈液中にSi, Fe, AlおよびBのうちから選んだ1種
または2種以上を含む無機化合物を微量添加した処理液
を塗布する下地処理槽ならびにその後に乾燥および非酸
化性雰囲気下で熱処理を施す第2の熱処理炉と、下地被
膜を形成した珪素鋼板の表面に、リン酸塩とコロイダル
シリカを主成分とする張力絶縁被膜用コーティング液を
塗布する張力絶縁被膜コーティング槽ならびにその後に
乾燥および非酸化性雰囲気下で焼付け処理を施す焼鈍炉
とを備えることを特徴とする超低鉄損一方向性珪素鋼板
の製造設備である。
【0025】本発明において、仕上焼鈍済みの一方向性
珪素鋼板の表面に、圧延方向と交差する向きに2〜10mm
の間隔で、幅:50〜500 μm 、深さ:0.1 〜50μm の線
状の凹領域を設けておくことは有利である。また、本発
明において、仕上焼鈍済みの一方向性珪素鋼板の表面
は、平滑化処理を施した表面であっても、かような平滑
化処理を施さない、酸洗処理ままの表面であっても良
い。
【0026】
【発明の実施の形態】以下、本発明を具体的に説明す
る。図1に、本発明に従う製造設備の好適例を模式で示
し、図中番号1は前処理槽、2は第1の熱処理炉、3は
下地処理槽、4は第2の熱処理炉、5は張力絶縁被膜コ
ーティング槽、そして6が焼鈍炉である。
【0027】さて、同図に示したように、仕上焼鈍後、
表面の酸化物を酸洗により除去した珪素鋼板またはその
後さらに電解研磨等により表面を平滑化した珪素鋼板
を、まず前処理槽1内に導いて、鋼板の表面を若干溶解
する。このような、前処理を施す理由は、地鉄表面のFe
成分をある程度溶解することによって、地鉄表面の活性
度を高め、その後に被成する極薄下地被膜との密着性を
向上させるためである。そのためには、この前処理槽1
は、 SiCl4を主成分とする塩化物浴とすることが肝要で
ある。ここに、 SiCl4以外の塩化物としては、MgCl2, C
aCl2, SrCl2, BaCl2等が有利に適合するが、極微量であ
ればTiCl3, ZrCl4, NbCl5, TaCl5, CrCl3, CoCl3, NiCl
2, CuCl2, ZnCl2, TlCl3等も使用することができる。塩
化物の濃度は、1リットル当たり 0.5〜300 cc程度で良
く、また浴温および浸漬時間はそれぞれ、80〜100 ℃、
3〜5秒程度が好ましい。
【0028】なお、場合によっては、仕上焼鈍後、表面
の酸化物除去や電解研磨等による平滑化処理を施さず
に、そのまま前処理槽1に導いても良く、この場合、こ
の前処理はいわゆる酸洗処理に該当する。また、塩化物
浴への珪素鋼板の浸漬処理に代えて、かような塩化物水
溶液を鋼板表面に噴霧あるいは噴射するようにしても良
い。
【0029】ついで、第1の熱処理炉2において、乾燥
した後、非酸化性雰囲気下で熱処理を施す。加熱手段に
ついては、特に限定されることはないが、ラジアントチ
ュ−ブが特に好適であり、処理温度および処理時間につ
いては 900〜1000℃、1〜100 秒間程度で十分である。
【0030】その後、下地処理槽3に導いて、鋼板の表
面に下地被膜形成用の処理液を塗布する。この下地被膜
形成用の処理液は、張力絶縁被膜用のコーティング液を
水で薄めた希釈液中にFe, Si, AlおよびBのうちから選
んだ1種または2種以上を含む無機化合物を微量添加し
たものである。ここに、リン酸塩とコロイダルシリカを
主成分とする張力絶縁被膜用コーティング液としては、
例えば特公昭53-28375号公報に開示のような、コロイド
状シリカ:4〜16wt%、リン酸アルミニウム:3〜24wt
%、無水クロム酸および/またはクロム酸塩:0.2 〜4.
5 wt%を添加したコ−ティング液や、特公昭56-52117号
公報に開示のような、コロイド状シリカ:7〜24wt%、
リン酸マグネシウム:5〜30wt%(ただし、リン酸マグ
ネシウムとコロイド状シリカとのモル比:20/80〜30/
70)、さらに必要に応じて無水クロム酸、クロム酸塩お
よび/または重クロム酸塩:0.01〜5wt%を添加したコ
−ティング液が有利に適合する。
【0031】また、上記コーティング液の希釈程度につ
いては、1〜60%程度好ましくは10〜20%(例えば、15
00ccの水溶液中に 100〜1000ccのコーティング液を溶解
した程度の量)程度まで希釈することが好ましい。とい
うのは、地鉄に強固に密着した下地被膜を被成するため
には、下地処理液中に含有させたFe, Si, AlおよびB等
の無機化合物を窒化・酸化物に変化させる必要がある
が、この下地処理液の濃度が濃すぎると、その際の処理
雰囲気(好適には N2(50%)+H2(50%) 混合ガス雰囲気)
では無機化合物をうまく窒化・酸化物に変化させること
が難しく、かかる窒化・酸化を効果的に促進させるため
には適量の水で希釈することが効果的だからである。
【0032】さらに、Fe, Si, AlおよびBのうちから選
んだ1種または2種以上を含む無機化合物の希釈液中に
おける添加量は、無機化合物の量にして1リットル当た
り5〜500 g程度(0.001〜0.5 mol/l 程度)とすること
が好ましい。というのは、これらの無機化合物の量が少
なすぎるとその効果を発揮することができず、一方多す
ぎる場合には経済的でないだけでなく、かえって被膜特
性が劣化するからである。ここに、上記した各種無機化
合物のうち、Feを含む無機化合物としてはFeCl3,Fe(N
O3)3等が、Siを含む無機化合物としてはSiCl4, Na2Si
O3, SiO2等が、Alを含む無機化合物としてはAlCl3, Al
(NO3)3, AlPO4等が、Bを含む無機化合物としてはH3B
O3, Na2B4O7等がとりわけ有利に適合する。
【0033】なお、下地処理槽の浴温度は、50〜100 ℃
程度、また浸漬時間は1〜100 秒程度とすることが望ま
しい。また、下地処理液の塗布量は、0.01〜0.5 g/m2程
度とすることが好ましく、この程度の量を塗布したのち
熱処理を施すことにより、最終的に 0.001〜3.0 μm程
度の好適厚みになる極薄下地被膜を得ることができる。
さらに、処理液の塗布方法については、上述した浸漬処
理の他、通常のロールコーター等による塗布法、また処
理液を鋼板表面に直接噴霧あるいは噴射する方法、さら
には電解処理法など公知の方法いずれもが使用できる。
【0034】ついで、第2の熱処理炉4において、乾燥
したのち、非酸化性雰囲気下で短時間の熱処理を施し
て、極薄の下地被膜を形成する。このように、鋼板の表
面に、微量のFe, Si, AlおよびB等を含む無機化合物を
付着させたのち、非酸化性雰囲気中で短時間の熱処理を
施してやると、基本的に張力絶縁被膜と同じ被膜成分に
なる極薄被膜が形成されると共に、該被膜中に存在する
Fe等を含む無機化合物が活性度の高いFe等の窒化・酸化
物に変化し、これが鋼板表面に強固に固着する結果、上
記極薄被膜は高い密着性の下で鋼板表面に被成されるの
である。
【0035】加熱手段としては、第1の熱処理炉2の場
合と同じく、ラジアントチュ−ブが特に有利に適合する
が、これだけに限定されるものではない。処理雰囲気と
しては、窒化の促進を図るため含N非酸化性雰囲気とす
ることが好ましく、例えば(N2+H2)混合ガス雰囲気お
よびアンモニアを含む(NH3+H2)混合雰囲気がとりわけ
好適である。また、処理温度は 200〜1100℃程度(好ま
しくは 500〜900 ℃程度)、処理時間は1〜100 分間程
度(好ましくは3〜30分間程度)が好適である。
【0036】その後、張力絶縁被膜コーティング槽5に
導いて、上記した極薄下地被膜の表面に、常法に従いコ
ロイダルシリカとリン酸塩を主成分とする張力絶縁被膜
用コーティング液を塗布した後、焼鈍炉6において、 5
00〜1000℃程度の温度で焼き付けて、張力絶縁被膜(0.5
〜5μm 厚程度)を形成する。上記した張力絶縁被膜用
のコーティング液としては、前掲特公昭53-28375号公報
に開示された、コロイド状シリカとリン酸アルミニウム
と無水クロム酸等を主成分とするコ−ティング液や、特
公昭56-52117号公報に開示された、コロイド状シリカと
リン酸マグネシウムと無水クロム酸等を主成分とするコ
−ティング液が有利に適合する。また、焼鈍雰囲気とし
ては、窒素雰囲気がとりわけ好適である。
【0037】ここに、上記した極薄下地被膜とその上に
被成した張力絶縁被膜は同質であるので、これらの密着
性は極めて高く、それ故結果として、従来に比較して格
段に密着性に優れた張力絶縁被膜を鋼板の表面に被成す
ることができ、かくして鉄損の極めて低い一方向性珪素
鋼板を、生産性良く、また低コストの下で得ることがで
きるのである。
【0038】
【作用】本発明の素材である含珪素鋼としては、従来公
知の成分組成いずれもが適合するが、代表組成を掲げる
と次のとおりである。 C:0.01〜0.08wt% Cは、0.01wt%より少ないと熱延集合組織の抑制が不十
分となって大きな伸長粒が形成されるため磁気特性が劣
化し、一方0.08wt%より多いと脱炭工程で脱炭に時間が
かかり経済的でないので、0.01〜0.08wt%程度とするの
が好ましい。
【0039】Si:2.0 〜4.0wt % Siは、 2.0wt%より少ないと十分な電気抵抗が得られな
いため渦電流損が増大して鉄損の劣化を招き、一方 4.0
wt%より多いと冷延の際に脆性割れが生じ易くなるの
で、 2.0〜4.0 wt%程度の範囲とすることが好ましい。
【0040】Mn:0.01〜0.2 wt% Mnは、一方向性珪素鋼板の2次再結晶を左右する分散析
出相としてのMnSあるいはMnSeを決定する重要な成分で
ある。Mn量が0.01wt%を下回ると2 次再結晶を生じさせ
るのに必要なMnS等の絶対量が不足し、不完全2次再結
晶を起こすと同時に、ブリスタ−と呼ばれる表面欠陥が
増大する。一方、 0.2wt%を超えると、スラブ加熱等に
おいてMnS等の解離固溶が行われたとしても、熱延時に
析出する分散析出相が粗大化し易く、抑制剤として望ま
れる最適サイズ分布が損なわれて磁気特性が劣化するの
で、Mnは0.01〜0.2 wt%程度とすることが好ましい。
【0041】S:0.008 〜0.1 wt%、Se:0.003 〜0.1
wt% SおよびSeはいずれも、 0.1wt%以下、中でもSは 0.0
08〜0.1 wt%、またSeは 0.003〜0.1 wt%の範囲とする
ことが好ましい。というのは、これらが 0.1wt%を超え
ると熱間および冷間加工性が劣化し、一方それぞれ下限
値に満たないとMnS、MnSeとしての1 次粒成長抑制機能
に格別の効果を生じないからである。その他、インヒビ
タ−として従来公知のAl, Sb, Cu, SnおよびB 等を複合
添加しても、本発明の効果を妨げるものではない。
【0042】次に、本発明に従う超低鉄損一方向性珪素
鋼板の製造工程について説明する。まず、素材を溶製す
るには、LD転炉、電気炉、平炉、その他公知の製鋼炉
を用い得ることは勿論のこと、真空溶解やRH脱ガス処
理を併用することもできる。
【0043】本発明に従い、素材中に含有されるS、Se
あるいはその他の1 次粒成長抑制剤を溶鋼中に微量添加
する方法としては、従来公知の何れの方法を用いても良
く、例えばLD転炉、RH脱ガス終了時あるいは造塊時
の溶鋼中に添加することができる。また、スラブ製造
は、コスト低減、さらにはスラブ長手方向における成分
あるいは品質の均一性等の経済的・技術的利点のため連
続鋳造法の採用が有利ではあるが、従来の造塊スラブの
使用を妨げるものではない。
【0044】連続鋳造スラブは、スラブ中のインヒビタ
−を解離・固溶させるために、1300℃以上の温度に加熱
される。その後、このスラブは熱間粗圧延ついで熱間仕
上圧延が施されて、通常厚み 1.3〜3.3 mm程度の熱延板
とされる。
【0045】次に熱延板は、必要に応じ 850〜1100℃程
度の温度範囲で熱延板焼鈍(均一化焼鈍ともいう)を施
したのち、1回または中間焼鈍を挟む2回の冷間圧延を
施して最終板厚とするが、高磁束密度で低鉄損の特性を
有する製品を得るには最終冷延率(通常55〜90%)に注
意を払う必要がある。このとき、珪素鋼板の渦電流損を
できるかぎり小さくする観点から、製品厚の上限は0.5
mmに、またヒステリシス損の弊害を避けるために板厚の
下限は0.05mmに限定した。
【0046】鋼板表面に線状の溝を形成する場合には、
この最終冷延を終え製品板厚となった鋼板に対して行う
のがとりわけ有利である。すなわち、最終冷延板または
2次再結晶前後の鋼板の表面に、圧延方向と交差する向
きに2〜10mmの間隔で、幅:50〜500 μm 、深さ:0.1
〜50μm の線状の凹領域を形成させるのである。ここ
に、線状凹領域の間隔を2〜10mmの範囲に限定したの
は、2mmに満たないと鋼板凹凸があまりにも顕著で磁束
密度が低下し経済的でなくなり、一方10mmを超えると磁
区細分化効果が小さくなるからである。また、凹領域の
幅が50μm に満たないと反磁界効果を利用することが困
難となり、一方 500μm を超えると磁束密度が低下し経
済的でなくなるので、凹領域の幅は50〜500 μm の範囲
に限定した。さらに、凹領域の深さが 0.1μm に満たな
いと反磁界効果を効果的に利用することができず、一方
50μm を超えると磁束密度が低下し経済的でなくなるの
で、凹領域の深さは 0.1〜50μm の範囲に限定した。な
お、線状凹領域の形成方向は、圧延方向と直角方向すな
わち板幅方向とするのが最適であるが、板幅方向に対し
±30°以内であればほぼ同様の効果を得ることができ
る。
【0047】さらに、線状凹領域の形成方法としては、
最終冷延板の表面に、印刷によりエッチングレジストを
塗布、焼き付けた後、エッチング処理を施し、しかるの
ち該レジストを除去する方法が、従来のナイフの刃先や
レーザー等を用いる方法に比較して、工業的に安定して
実施できる点、および引張り張力により一層効果的に鉄
損を低減できる点で有利である。
【0048】以下、上記のエッチングによる線状溝形成
技術の典型例について具体的に説明する。最終冷延板の
表面に、アルキド系樹脂を主成分とするエッチングレジ
ストインキをグラビアオフセット印刷により、非塗布部
が圧延方向にほぼ直角に幅:200μm 、間隔:4mmで線
状に残存するように塗布したのち、 200℃で約20秒間焼
き付ける。このとき、レジスト厚は2μm 程度とする。
このようにしてエッチングレジストを塗布した鋼板に、
電解エッチングまたは化学エッチングを施すことによ
り、幅:200 μm 、深さ:20μm の線状の溝を形成し、
ついで有機溶剤中に浸漬してレジストを除去する。この
時の電解エッチング条件は、NaCl電解液中で電流密度:
10 A/dm2、処理時間:20秒程度、また化学エッチング条
件は、HNO3液中で浸漬時間:10秒間程度とすれば良い。
【0049】ついで、鋼板には脱炭焼鈍が施される。こ
の焼鈍は、冷延組織を1次再結晶組織にすると同時に、
最終焼鈍(仕上焼鈍とも呼ばれる)で{110}〈00
1〉方位の2次再結晶粒を発達させる場合に有害なCを
除去することを目的とし、例えば 750〜880 ℃の湿水素
中で行う。
【0050】最終焼鈍は、{110}〈001〉方位の
2次再結晶粒を十分発達させるために施されるもので、
通常箱焼鈍によって直ちに1000℃以上に昇温し、その温
度に保持することによって行われる。この最終焼鈍は通
常、マグネシア等の焼鈍分離剤を塗布して行い、表面に
フォルステライトと呼ばれる下地被膜も同時に形成す
る。しかしながら、この発明では、フォルステライト下
地被膜を形成させたとしても、次工程でこの下地被膜を
除去するため、かようなフォルステライト下地被膜を形
成させないような焼鈍分離剤の方が有利である。すなわ
ち、フォルステライト下地被膜を形成させる MgOの含有
比率を低減し(50%以下)、代わってかかる被膜を形成
させない CaO, Al2O3, CaSiO3, SiO2 等の含有比率を高
く(50%以上)した焼鈍分離剤が有利である。
【0051】この発明において{110}〈001〉方
位に高度に集積した2次再結晶組織を発達させるために
は、 820℃から900 ℃の低温で保定焼鈍する方が有利で
あるが、その他、例えば 0.5〜15℃/h程度の昇温速度の
徐熱焼鈍でも良い。
【0052】この純化焼鈍後に、鋼板表面のフォルステ
ライト下地被膜や酸化物被膜は、公知の酸洗などの化学
的方法や切削、研磨などの機械的方法またはそれらの組
み合わせにより除去して、鋼板表面を平滑化する。すな
わち、鋼板表面の種々の被膜を除去した後、化学研磨、
電解研磨等の化学研磨やバフ研磨等の機械的研磨あるい
はそれらの組み合わせなど従来の手法により、中心線平
均粗さRaで 0.4μm 以下程度まで鋼板表面を平滑化す
る。
【0053】なお、珪素鋼板の表面を必ずしも平滑化す
る必要はない。従ってこの場合には、コストアップを伴
う平滑化処理を行わなくても、酸洗処理のみで十分な鉄
損低減効果を発揮できるという利点がある。とはいえ、
やはり平滑化処理を施すことが有利であることに変わり
はない。また、この段階で鋼板表面に凹形状の溝を導入
することもできる。溝の導入方法は、最終冷延板または
2次再結晶前後の鋼板の表面に施す場合と同じ方法を用
いれば良い。
【0054】ついで、前掲図1に示した製造ラインに導
き、所定の処理を施すことによって被膜密着性ひいては
鉄損特性に優れた一方向性珪素鋼板を製造するのであ
る。
【0055】
【実施例】以下、前掲図1に示した製造ラインを用い
て、超低鉄損方向性珪素鋼板を製造した実施例について
説明する。実施例1 C:0.076 wt%, Si:3.43wt%, Mn:0.071 wt%, Se:
0.020 wt%, Sb:0.025 wt%, Al:0.020 wt%, N:0.
072 wt%およびMo:0.012 wt%を含有し、残部は実質的
にFeの組成になる珪素鋼連鋳スラブを、1350℃で5時間
の加熱処理後、熱間圧延を施して厚み:2.2 mmの熱延板
とした。ついで1000℃の均一化焼鈍を施した後、1050℃
の中間焼鈍を挟む2回の冷間圧延を施して0.23mm厚の最
終冷延板とした。ついで、 840℃の湿H2中で脱炭・1次
再結晶焼鈍を行った後、鋼板表面にMgO(10%),CaO (20
%), Al2O3(40%), SiO2(30%)の組成になる焼鈍分離剤を
スラリ−塗布し、ついで 850℃で15時間の焼鈍後、 850
℃から12℃/hの速度で1100℃まで昇温してゴス方位に強
く集積した2次再結晶粒を発達させた後、1220℃の乾H2
中で純化処理を施した。
【0056】かくして得られた珪素鋼板の表面の酸化物
被膜を除去した後、(A) 化学研磨による平滑化処理、
(B)10%HCl による酸洗処理を施し、ついで図1に示した
設備に導いて、次の処理を行った。まず、前処理槽1に
おいて、 SiCl4(20cc/l)を溶解させた80℃の水溶液中
に3秒間浸積したのち、第1の熱処理炉2に導いて、 N
2(50%)+H2(50%) 混合ガス中にて 900℃,3秒間の熱処
理を施した。その後、下地処理槽3において、リン酸マ
グネシウムとコロイダルシリカを主成分とする張力絶縁
被膜用コーティング液を蒸留水で薄めた希釈液(100cc/
l)中に SiCl4(20cc/l), AlPO4(10g/l)およびH3BO4(10g/
l)を複合添加した処理液(80℃)中に2秒間浸漬したの
ち、第2の熱処理炉に導いて、 N2(93%)+H2(7%)混合ガ
ス中にて 900℃, 5秒間の熱処理を施した。その後、張
力絶縁被膜コーティング槽5において、リン酸マグネシ
ウムとコロイダルシリカを主成分とする張力絶縁被膜用
コーティング液をリンガ−ロ−ルを用いて塗布したの
ち、焼鈍炉6に導いて 800℃の焼き付け処理を施し、
1.5μm厚の張力絶縁被膜を被成した。
【0057】かくして得られた製品の磁気特性および密
着性は次のとおりであった。 (A) 平滑化処理を施した場合 磁気特性 B8 : 1.93 T W17/50 : 0.65 W/kg 密着性 直径:15mmの丸棒上で 180°曲げを行っても剥離が無く、良好で あった。 (B) 酸洗処理を施した場合 磁気特性 B8 : 1.92 T W17/50 : 0.68 W/kg 密着性 直径:15mmの丸棒上で 180°曲げを行っても剥離が無く、良好で あった。
【0058】実施例2 C:0.073 wt%, Si:3.46wt%, Mn:0.071 wt%, Se:
0.019 wt%, Sb:0.023 wt%, Al:0.019 wt%, N:0.
073 wt%およびMo:0.013 wt%を含有し、残部は実質的
にFeの組成になる珪素鋼連鋳スラブを、1350℃で5時間
の加熱処理後、熱間圧延を施して厚み:2.0 mmの熱延板
とした。ついで980 ℃の均一化焼鈍を施した後、1020℃
の中間焼鈍を挟む2回の冷間圧延を施して0.23mm厚の最
終冷延板とした。ついで、最終冷延板の表面に、アルキ
ド系樹脂を主成分とするエッチングレジストインキをグ
ラビアオフセット印刷により、非塗布部が圧延方向とほ
ぼ直角な方向に幅:200 μm 、圧延方向の間隔:4mmで
線状に残存するように塗布したのち、200 ℃で約20秒間
焼付けた。このときのレジスト厚は2μm であった。こ
のようにしてエッチングレジストを塗布した鋼板に、電
解エッチングを施すことにより、幅:200 μm 、深さ:
20μm の線状の溝を形成し、ついで有機溶剤中に浸漬し
てレジストを除去した。この時の電解エッチングは、Na
Cl電解液中で電流密度:10 A/dm2、処理時間:20秒間の
条件で行った。
【0059】その後、 850℃の湿H2中で脱炭・1次再結
晶焼鈍を行った後、鋼板表面にMgO(5%), CaO(25%),Al2O
3(30%), CaSiO3(10%), SiO2(30%) の組成になる焼鈍分
離剤をスラリ−塗布し、ついで 850℃で15時間の焼鈍
後、 850℃から12℃/hの速度で1050℃まで昇温してゴス
方位に強く集積した2次再結晶粒を発達させた後、1200
℃の乾H2中で純化処理を施した。かくして得られた珪素
鋼板の表面の酸化物被膜を除去した後、化学研磨により
鋼板表面を平滑化し、ついで図1に示した設備に導い
て、次の処理を行った。
【0060】まず、前処理槽1において、 SiCl4(20cc
/l)を溶解させた80℃の水溶液中に3秒間浸積したの
ち、第1の熱処理炉2に導いて、 N2(50%)+H2(50%) 混
合ガス中にて 900℃,3秒間の熱処理を施した。その
後、下地処理槽3において、リン酸アルミニウムとコロ
イダルシリカを主成分とする張力絶縁被膜用コーティン
グ液を蒸留水で薄めた希釈液(100cc/l)中に SiCl4(20c
c/l), AlPO4(10g/l)およびH3BO4(10g/l)を複合添加した
処理液(80℃)中に2秒間浸漬したのち、第2の熱処理
炉に導いて、 N2(93%)+H2(7%)混合ガス中にて 900℃,
5秒間の熱処理を施した。その後、張力絶縁被膜コーテ
ィング槽5において、リン酸アルミニウムとコロイダル
シリカを主成分とする張力絶縁被膜用コーティング液を
リンガ−ロ−ルを用いて塗布したのち、焼鈍炉6に導い
て 800℃の焼き付け処理を施し、 1.5μm厚の張力絶縁
被膜を被成した。
【0061】かくして得られた製品の磁気特性および密
着性は次のとおりであった。 磁気特性 B8 : 1.91 T W17/50 : 0.58 W/kg 密着性 直径:10mmの丸棒上で 180°曲げを行っても剥離が無く、良好で あった。 その後、この製品に 800℃での3時間の歪み取り焼鈍を
行った時の磁気特性は次のとおりであった。 このように歪取焼鈍にも耐える珪素鋼板であることがわ
かる。
【0062】
【発明の効果】かくして、本発明によれば、鉄損特性に
優れた一方向性珪素鋼板を、従来に比べて極めて安価に
しかも高生産性の下で得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に従う一方向性珪素鋼板の製造ラインを
示す模式図である。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 仕上焼鈍済みの一方向性珪素鋼板の表面
    に張力絶縁被膜を被成する処理設備であって、 SiCl4を主成分とする塩化物浴からなる前処理槽ならび
    にその後に乾燥および非酸化性雰囲気下で熱処理を施す
    第1の熱処理炉と、 前処理後の珪素鋼板の表面に、リン酸塩とコロイダルシ
    リカを主成分とする張力絶縁被膜用コーティング液を水
    で薄めた希釈液中にSi, Fe, AlおよびBのうちから選ん
    だ1種または2種以上を含む無機化合物を微量添加した
    処理液を塗布する下地処理槽ならびにその後に乾燥およ
    び非酸化性雰囲気下で熱処理を施す第2の熱処理炉と、 下地被膜を形成した珪素鋼板の表面に、リン酸塩とコロ
    イダルシリカを主成分とする張力絶縁被膜用コーティン
    グ液を塗布する張力絶縁被膜コーティング槽ならびにそ
    の後に乾燥および非酸化性雰囲気下で焼付け処理を施す
    焼鈍炉とを備えることを特徴とする超低鉄損一方向性珪
    素鋼板の製造設備。
  2. 【請求項2】 請求項1において、仕上焼鈍済みの一方
    向性珪素鋼板の表面が、圧延方向と交差する向きに2〜
    10mmの間隔で、幅:50〜500 μm 、深さ:0.1 〜50μm
    の線状の凹領域をそなえることを特徴とする超低鉄損一
    方向性珪素鋼板の製造設備。
  3. 【請求項3】 請求項1または2において、仕上焼鈍済
    みの一方向性珪素鋼板の表面が、平滑化処理を施した表
    面である超低鉄損一方向性珪素鋼板の製造設備。
  4. 【請求項4】 請求項1または2において、仕上焼鈍済
    みの一方向性珪素鋼板の表面が、平滑化処理を施さな
    い、酸洗処理ままの表面である超低鉄損一方向性珪素鋼
    板の製造設備。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN107058716A (zh) * 2017-04-01 2017-08-18 天龙科技炉业(无锡)有限公司 转毂式炉热处理自动生产线
CN118489016A (zh) * 2022-01-21 2024-08-13 杰富意钢铁株式会社 预处理液和带有绝缘覆膜的电磁钢板的制造方法

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