JPH11287257A - 車両用摩擦係合装置の温度推定装置 - Google Patents

車両用摩擦係合装置の温度推定装置

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JPH11287257A
JPH11287257A JP10087304A JP8730498A JPH11287257A JP H11287257 A JPH11287257 A JP H11287257A JP 10087304 A JP10087304 A JP 10087304A JP 8730498 A JP8730498 A JP 8730498A JP H11287257 A JPH11287257 A JP H11287257A
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勝司 山下
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 温度の推定精度を一層高めることができる車
両用摩擦係合装置の温度推定装置を提供する。 【解決手段】 温度推定手段210により、電磁クラッ
チ30の外周部に位置して入力軸58を回転可能に支持
するベアリング(入力側軸受)56および出力軸62を
回転可能に支持するベアリング(出力側軸受)60の発
熱状態に基づいて、電磁クラッチ30の温度Tempcが推
定されることから、軸方向或いは軸に直角な方向の負荷
を受けつつ回転させられることにより比較的多くの熱を
発生するベアリング56、60の発熱状態が考慮され、
電磁クラッチ30の温度Tempcが一層正確に推定され
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、車両の動力伝達経
路に設けられた摩擦係合装置の温度を推定する車両用摩
擦係合装置の温度推定装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】車輪へ伝達されるトルクを制御するため
に車両の動力伝達経路に設けられて作動させられる摩擦
係合装置が知られている。このような摩擦係合装置は、
その作動温度が耐久性に影響を与えることから、温度推
定装置を用いてその作動温度を推定することが提案され
ている。たとえば、特開平1−122728号公報に記
載された装置がそれである。
【0003】このような車両用摩擦係合装置の温度推定
装置においては、その摩擦係合装置の前後回転数差すな
わち入力側回転部材と出力側回転部材との間の回転速度
差、およびその摩擦係合装置の伝達トルクに基づいて発
熱量を算出し、その発熱量に基づいて、発熱が抑制され
るように摩擦係合装置を制御する技術が開示されてい
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来の車両用摩擦係合装置の温度推定装置では、単に摩擦
材における発熱量しか考慮されていないことから、摩擦
係合装置の温度の推定精度が充分に得られず、車両用摩
擦係合装置の耐久性が損なわれる可能性があった。
【0005】本発明は以上の事情を背景として為された
ものであり、その目的とするところは、温度の推定精度
を一層高めることができる車両用摩擦係合装置の温度推
定装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、以上の事
情を背景として種々検討を重ねた結果、摩擦係合装置の
入力軸および出力軸を回転可能に支持する軸受の発熱
が、摩擦係合装置の発熱に無視できない大きさで影響し
ていることを見いだした。本発明はかかる知見に基づい
て成されたものである。
【0007】すなわち、本発明の要旨とするところは、
車両の動力伝達経路に設けられた摩擦係合装置の温度を
推定する車両用摩擦係合装置の温度推定装置であって、
前記摩擦係合装置の外周部に位置する部材の発熱状態に
基づいてその摩擦係合装置の温度を推定する温度推定手
段を、含むことにある。
【0008】
【発明の効果】このようにすれば、温度推定手段は、摩
擦係合装置の外周部に位置する部材の発熱状態に基づい
てその摩擦係合装置の温度を推定することから、摩擦係
合装置の温度の推定精度が一層高められる。
【0009】
【発明の他の態様】ここで、好適には、前記摩擦係合装
置の外周部に位置する部材は、その摩擦係合装置の入力
軸を回転可能に支持する入力側軸受およびその摩擦係合
装置の出力軸を回転可能に支持する出力側軸受の少なく
とも一方である。このようにすれば、軸方向或いは軸に
直角な方向の負荷を受けつつ回転させられることによ
り、比較的多くの熱を発生する入力側軸受および出力側
軸受の少なくとも一方の発熱状態に基づいて摩擦係合装
置の温度が正確に推定される。
【0010】また、好適には、前記温度推定手段により
推定された前記摩擦係合装置の温度に基づいてその摩擦
係合装置を制御する摩擦係合制御手段がさらに設けられ
る。このようにすれば、温度推定手段による推定温度に
基づいて摩擦係合装置が制御されるので、摩擦係合装置
の耐久性が高められる。
【0011】また、好適には、前記温度推定手段により
逐次推定される温度を、前記摩擦係合装置における温度
上昇の時定数よりも短い値の時定数で逐次平滑化処理す
る平滑化処理手段が、さらに設けられる。このようにす
れば、前記温度推定手段により逐次推定される温度が平
滑化処理手段によって逐次平滑化されるので、信号変動
の影響を受け難くなって安定した推定が行われる。ま
た、平滑化処理手段により、前記摩擦係合装置における
温度上昇の時定数よりも短い値の時定数で推定温度が平
滑化されるので、実際の温度よりも早期に温度上昇を把
握できる利点がある。
【0012】また、好適には、前記車両は4輪駆動車両
であり、前記摩擦係合装置は、その車両のトランフファ
と前部差動歯車装置或いは後部差動歯車装置との間に設
けられて前輪或いは後輪へのトルク配分を行うトルク配
分クラッチである。
【0013】また、好適には、前記摩擦係合制御手段
は、前記温度推定手段により逐次推定され且つ前記平滑
化処理手段により逐次平滑化された推定温度が予め設定
された判断基準値を越えると、前記摩擦係合装置を解放
させるものである。このようにすれば、摩擦係合装置の
過熱状態となるとその摩擦係合装置が解放されるので、
その摩擦係合装置の耐久性が高められる。
【0014】また、好適には、前記温度推定手段は、前
記摩擦係合装置の摩擦部材の仕事率に関連する量と前記
軸受の仕事率に関連する量とに基づいて、その摩擦係合
装置の温度を推定するものである。このようにすれば、
摩擦係合装置の摩擦部材の仕事率と軸受の仕事率とに基
づいて摩擦係合装置の温度が推定されるので、温度の推
定精度が一層高められる。
【0015】
【発明の好適な実施の形態】以下、本発明の一実施例を
図面に基づいて詳細に説明する。
【0016】図1は、本発明の一実施例の温度推定装置
を備えた車両の動力伝達装置を示している。図におい
て、原動機として機能するエンジン10には、トルクコ
ンバータ付自動変速機12、前部差動歯車装置14、お
よびトランスファ16を収容するトランクアクスルハウ
ジング18が締結されている。これにより、エンジン1
0の出力トルクは、トルクコンバータ付自動変速機1
2、前部差動歯車装置14、左右1対の車軸20、22
を介して左右1対の前輪24、26へ伝達される一方、
上記トルクコンバータ付自動変速機12、トランスファ
16、プロペラシャフト28、トルク配分クラッチとし
て機能する電磁クラッチ30、後部差動歯車装置32、
左右1対の車軸34、36を介して左右1対の後輪3
8、40へ伝達されるようになっている。
【0017】上記電磁クラッチ30は、エンジン10か
ら前輪24、26と後輪38、40とへそれぞれ伝達さ
れるトルクの割合を調節するためのトルク配分クラッチ
として機能するものであって、プロペラシャフト28に
接続されてそれと共に回転する入力側摩擦板42と、後
部差動歯車装置32のドライブピニオン44に接続され
てそれと共に回転する出力側摩擦板46と、それら入力
側摩擦板42と出力側摩擦板46とを電磁力に従って押
圧することにより相互に摩擦係合させる電磁ソレノイド
48とを基本的に備える摩擦係合装置であって、後述の
電子制御装置110からの指令値tref に対応した大き
さの伝達トルクを発生するように構成されている。上記
電磁クラッチ30が解放された場合には、エンジン10
から出力されるトルクの100%が前輪24、26へ伝
達されるが、電磁クラッチ30が完全係合された場合に
は、エンジン10から出力されるトルクの50%が前輪
24、26へ伝達され、残りの50%が後輪38、40
へ伝達されるので、本実施例では、上記電磁クラッチ3
0によるトルク配分調節範囲は、前輪と後輪との重量配
分比が0.5:0.5である場合には、1:0から0.
5:0.5の間までのトルク配分比範囲となっている。
一般には、電磁クラッチ30が完全係合された場合に
は、前後輪の重量配分相当に前後輪のトルクが分配され
る。本実施例では、電磁クラッチ30により前輪駆動状
態から直結4WDまで前後輪のトルクを調節できる。
【0018】図2に詳しく示すように、電磁クラッチ3
0は、プロペラシャフト28に連結されるユニバーサル
ジョイント50およびクラッチドラム52を両軸端に有
し、クラッチハウジング54によりベアリング(入力側
軸受)56を介して回転可能に支持された入力軸58
と、その入力軸58に対して同心となる状態でクラッチ
ハウジング54によりベアリング(出力側軸受)60を
介して回転可能に支持された出力軸62と、入力軸58
の軸端面に相対回転可能に嵌合された状態でその入力軸
58と連結されたクラッチロータ64と、回転不能とな
るように非回転部材であるクラッチハウジング54の突
起65に係合させられた状態でベアリング66を介して
入力軸58に支持された電磁ソレノイド48と、電磁ソ
レノイド48の磁力により吸引される環状磁性部材68
を有してクラッチドラム52の内周面とクラッチロータ
64の外周面との間に設けられ、その電磁ソレノイド4
8の磁力によって比較的小さな摩擦トルクが発生させら
れるコントロール(パイロット)クラッチ70と、その
コントロールクラッチ70からの摩擦トルクが伝達され
るカムリング72とそのカムリング72に接触するボー
ルカム74とを有し、上記コントロールクラッチ70を
介して伝達された比較的小さな回転力をスラスト方向
(軸心方向)の力に変換し且つ倍力して環状押圧部材7
6に伝達する押圧装置78と、軸方向において互いに重
ねられた状態でクラッチドラム52の内周面およびクラ
ッチロータ64の外周面に対して軸方向の移動可能且つ
軸まわりの相対回転不能に設けられて、上記環状押圧部
材76からのスラスト方向の力により押圧される前記入
力側摩擦板42および出力側摩擦板46とを備え、たと
えば図3に示す特性に従って、電磁ソレノイド48に供
給される駆動電流に対応した大きさの伝達トルクを発生
させる。
【0019】図1に戻って、車両には、4輪駆動モード
を選択するときに操作される4輪駆動選択スイッチ8
0、左前輪24の回転速度を検出する車輪速度センサ8
2、右前輪26の回転速度を検出する車輪速度センサ8
4、左後輪38の回転速度を検出する車輪速度センサ8
6、右後輪40の回転速度を検出する車輪速度センサ8
8、車両の前後加速度すなわち走行方向の加速度GX
検出する前後Gセンサ90、車両の左右加速度すなわち
横方向の加速度GY を検出する左右Gセンサ92、ステ
アリングホイール93により操作される車両の舵角を検
出する舵角センサ94、アクセルペダルにより操作され
るスロットル開度を検出するスロットルセンサ96、エ
ンジン10の回転速度を検出するエンジン回転速度セン
サ98、自動変速機12の実際のギヤ段すなわちシフト
位置を検出するシフト位置センサ100、ブレーキペダ
ル102が操作されたことを検出するブレーキセンサ1
04、パーキングブレーキレバー106が操作されたこ
とを検出するPBブレーキセンサ108がそれぞれ設け
られており、それらのスイッチ或いはセンサからは、4
輪駆動モードを選択されたことを示す信号S4WD、左
前輪24の回転速度N FLを示す信号SNFL、右前輪26
の回転速度NFRを示す信号SNFR、左後輪38の回転速
度NRLを示す信号SNRL、右後輪40の回転速度NRR
示す信号SNRR、前後加速度GX を示す信号SGX 、左
右(横)加速度GY を示す信号SGY 、車両の舵角δを
示す信号Sδ、スロットル開度θthを示す信号Sθ、エ
ンジン10の回転速度NE を示す信号SNE 、シフト位
置SPを示す信号SSP、ブレーキペダル102の操作
を示す信号SBK、パーキングブレーキレバー106の
操作を示す信号SPBが、トルク配分制御用の電子制御
装置110へ供給される。
【0020】上記前後Gセンサ90および左右Gセンサ
92は、比較的大きな質量をもった部材とその部材に作
用する力すなわち加速度を検出する圧電素子とを備えた
圧電型や、比較的大きな質量をもった部材とその部材に
加えられる加速度による変位を元位置に保つような平衡
力を電磁力にて発生させる電磁コイルとを備えてその電
磁コイルの駆動電流に基づいて加速度を検出するサーボ
型などにより構成されている。
【0021】上記電子制御装置110は、CPU、RA
M、ROM、入出力インターフェースなどを含む所謂マ
イクロコンピュータであって、CPUはRAMの記憶機
能を利用しつつ予めROMに記憶されたプログラムを実
行することにより上記の入力信号を処理し、電磁クラッ
チ30へ制御信号を出力するとともに、電磁クラッチ3
0の作動中を示す作動表示灯112および電磁クラッチ
30の異常を示す異常表示灯114を表示させる。図4
は、上記電子制御装置110の構成例を詳細に示すもの
である。エンジン制御および変速制御用電子制御装置1
15からは、スロットル開度θth、自動変速機12のギ
ヤ段、エンジン系のフェイルを表す信号とエンジン10
の回転速度に対応した周波数のエンジンパルス信号が電
子制御装置110に供給される。電子制御装置110
は、ABS用制御装置116および4WD用制御装置1
17と、指令値tref を表す指令信号に応じて電磁クラ
ッチ30に制御電流を出力する駆動回路118とを備え
ている。
【0022】図5は、上記電子制御装置110の制御機
能の要部を説明する機能ブロック線図である。図5にお
いて、トルク配分クラッチ制御手段120は、たとえば
発進時制御、旋回走行時制御、通常走行時制御、制動時
制御など、車両の前輪および後輪のトルク配分を制御す
る複数種類の制御モードの中のいずれか1つを、車両状
態に基づいて択一的に選択し、選択した制御モードにお
いて予め設定された制御式に従って、電磁クラッチ30
の伝達トルク或いはその電磁クラッチ30に供給すべき
駆動電流に対応する大きさの指令値tref を表す制御信
号SCを出力すると共に、作動表示灯112を点灯させ
る。たとえば、4輪駆動選択スイッチ80によって4輪
駆動モードが選択されているとき、ブレーキセンサ10
4により主ブレーキの操作が検出されると制動時制御が
選択される。また、たとえば図6に示す関係から車速V
と車両舵角δとで示される走行状態に基づいて発進時制
御(図6の)、旋回走行時制御(図6の)、通常走
行時制御(図6の)のいずれかが選択されるのであ
る。
【0023】上記発進時制御では、車両状態に応じた最
大のトラクションを得るために、前輪24、26と後輪
38、40とに対する車両の重量配分に相当するトルク
配分となるように電磁クラッチ30が制御されたり、舵
角δに応じて後輪38、40への伝達トルクを制限する
ように電磁クラッチ30が制御される。また、上記旋回
走行時制御では、特に路面摩擦係数が小さい圧雪路或い
は凍結路における旋回走行中の操縦安定性を高めるため
に、たとえばアンダーステアとオーバーステアとの中間
の中立ステアとなる目標ヨーレート(重心を通る鉛直線
まわりの旋回角速度)に実際のヨーレートが追従するよ
うに、電磁クラッチ30が制御される。また、上記通常
走行時制御では、基本的には重量配分に対応したトルク
配分となるように電磁クラッチ30の入力側および出力
側の回転速度差が発生すると伝達トルクが大きくなるよ
うにされるが、燃費を高めるために直進走行などのよう
な4輪駆動が不要なときには可及的に締結力を小さくす
るように、電磁クラッチ30が制御される。また、上記
制動時制御では、ABS制御やVSC制御との制御干渉
を回避するために、ブレーキペダル102が操作される
と、ABS制御が開始されるまでは電磁クラッチ30が
締結されてエンジンブレーキ力を4輪に分配させるが、
ABS制御が開始されると締結力が小さくされ、またV
SC制御が開始されると解放されるように、電磁クラッ
チ30が制御される。
【0024】入力トルク算出手段122は、エンジン1
0のプロペラシャフト28まわりの出力トルク(車両の
駆動トルク)すなわち電磁クラッチ30の入力トルクt
in(N・m)を、たとえば図7に示す予め記憶された関
係から実際のエンジン回転速度NE (rpm)およびス
ロットル開度θth(%)或いは吸入空気量Qに基づいて
逐次算出する。この入力トルク算出手段122では、予
め設定された時間幅を有して時間経過とともに移動させ
られる移動区間内に得られた複数個の入力トルクtin
平均値すなわち移動平均値として入力トルクtinavが算
出される。ここで、上記入力トルクtinは、前輪24、
26側へ配分されるトルクtf と電磁クラッチ30から
後輪38、40側へ配分されるトルクtr との和(tin
=tf +tr )として定義される。上記後輪38、40
側へ配分されるトルクtr は電磁クラッチ30の伝達ト
ルクであり、定常状態では電磁クラッチ30に対する指
令値tref に対応している。
【0025】回転速度差算出手段124は、電磁クラッ
チ30の入力軸58の回転速度Nfを前輪回転速度NFL
およびNFRの平均値〔(NFL+NFR)/2〕と前部差動
歯車装置14のギヤ比とに基づいて算出するとともに、
電磁クラッチ30の出力軸62の回転速度Nr を後輪回
転数度NRLおよびNRRの平均値〔(NRL+NRR)/2〕
と後部差動歯車装置32のギヤ比とに基づいて算出し、
入力軸58の回転速度Nf から出力軸62の回転速度N
r を差し引くことにより、入力軸58と出力軸62との
回転速度差ΔN(rpm)すなわち電磁クラッチ30の
差動(スリップ)回転数ΔN(=Nf −Nr )を算出
し、温度推定手段210へ供給する。
【0026】温度推定手段210は、数式1に示す予め
記憶された温度推定式から、実際の入力軸回転速度
f 、出力軸回転速度Nr 、回転速度差ΔN、電磁クラ
ッチ30の伝達トルクtr (≒トルク指令値tref )に
基づいて、電磁クラッチ30の温度飽和状態における温
度Tempcを逐次推定する。この数式1において、KA
よびKB は、予め実験的に求められた定数である。ま
た、TC は、最高外気温度に対応する定数である。数式
1において、その右辺第1項は、電磁クラッチ30の入
力軸58を回転可能に支持するベアリング56の仕事率
に対応するものであり、定数KA はその仕事率が継続し
たときに到達する飽和温度に対応させるものである。ま
た、その数式1の右辺第2項は、電磁クラッチ30の出
力軸62を回転可能に支持するベアリング60の仕事率
に対応するものであり、定数KB はその仕事率が継続し
たときに到達する飽和温度に対応させるものである。ま
た、数式1の右辺第3項は、電磁クラッチ30の摩擦板
42、46の仕事率に対応するものであり、定数KC
その仕事率が継続したときに到達する飽和温度に対応さ
せるものである。
【0027】
【数1】 Tempc=KA ・Nf +KB ・Nr +KC ・tr ・ΔN+TC ・・・(1)
【0028】平滑化処理手段212は、図8に示すよう
に、上記温度推定手段210により逐次推定される電磁
クラッチ30の推定温度Tempcを、たとえばローパスフ
ィルタ処理などを用いて逐次平滑化し、平滑化した推定
温度Tempc1 を推定温度Tem pcとして出力する。このロ
ーパスフィルタ処理では、その時定数が前記電磁クラッ
チ30の実際の温度上昇の時定数(数十分程度)よりも
充分に短い値に設定されている。これにより、図9に示
すように、推定温度Tempc(図9の1点鎖線)に基づい
て実際の温度上昇(図9の実線)よりも早期に電磁クラ
ッチ30の温度を知ることができ、その推定温度Tempc
により過熱が判断されれば、電磁クラッチ30の損傷を
回避できる。上記ローパスフィルタ処理は、たとえば数
式2に従って実行される。数式2において、KLP1は、ロ
ーパスフィルタのカットオフ周波数f(Hz)とロジック
演算周期のタイムステップΔとの函数〔KLP1=1/(2
πfΔ+1)〕であり、KLP2も、ローパスフィルタのカ
ットオフ周波数fとタイムステップΔとの函数{KLP2=
〔1−1/(2πfΔ+1)〕}である。上記ローパス
フィルタのカットオフ周波数fを小さくするほど、フィ
ルタ処理値である推定温度Tempc1 の時間的変化率が抑
制され、パラメータの変動やノイズによる影響が好適に
防止される。
【0029】
【数2】 Tempc1 =KLP1・Tempc1 +KLP2・Tempc ・・・(2)
【0030】温度判定手段214は、上記平滑化された
推定温度Tempc1 が予め設定された温度判断基準値TJ
を越えたか否かを判断し、越えた場合には過熱信号を前
記トルク配分クラッチ制御手段120へ出力してそれに
電磁クラッチ30を優先的に解放させる。すなわち、ト
ルク配分クラッチ制御手段120は、その温度判定手段
214から過熱信号が出力されると、電磁クラッチ30
へ出力される指令値t ref を零として電磁クラッチ30
を優先的に解放させるのである。この意味において、ト
ルク配分クラッチ制御手段120は、温度推定手段21
0により推定された電磁クラッチ30の推定温度Tempc
に基づいてその電磁クラッチ30を制御する摩擦係合制
御手段としても機能している。なお、上記温度判断基準
値TJ は、電磁クラッチ30の摩擦板42、46や電磁
ソレノイド48などの耐久性に影響を与える程の過熱温
度であるか否かを判断するための値であり、その過熱温
度或いはそれより余裕値だけ小さい値に設定される。
【0031】図10は、電子制御装置110の制御作動
の要部を説明するフローチャートであって、電磁クラッ
チ30の温度を推定するルーチンを示している。図10
のステップ(以下、ステップを省略する)SK1におい
て入力信号が読み込まれた後、前記回転速度差算出手段
124に対応するSK2において、電磁クラッチ30の
入力軸58の回転速度Nf が前輪回転速度NFLおよびN
FRの平均値〔(NFL+NFR)/2〕と前部差動歯車装置
14のギヤ比とに基づいて算出されるとともに、電磁ク
ラッチ30の出力軸62の回転速度Nr が後輪回転数度
RLおよびNRRの平均値〔(NRL+NRR)/2〕と後部
差動歯車装置32のギヤ比とに基づいて算出され、それ
ら入力軸58の回転速度Nf から出力軸62の回転速度
r を差し引くことにより、入力軸58と出力軸62と
の回転速度差ΔN(rpm)が算出される。
【0032】次いで、前記温度推定手段210に対応す
るSK3において、数式1に示す予め記憶された温度推
定式から、実際の入力軸回転速度Nf 、出力軸回転速度
r、回転速度差ΔN、電磁クラッチ30の伝達トルク
r (≒トルク指令値tref)に基づいて、電磁クラッ
チ30の温度飽和状態における温度Tempcが逐次推定さ
れる。また、前記平滑化処理手段212に対応するSK
4においては、上記SK3において逐次推定される電磁
クラッチ30の推定温度Tempcが、たとえばローパスフ
ィルタ処理などを用いて逐次平滑化される。
【0033】前記温度判定手段214に対応するSK5
では、上記SK4において平滑化された推定温度T
empc1 が予め設定された温度判断基準値TJ を越えたか
否かが判断される。このSK5の判断が否定された場合
は、SK6が実行されないが、肯定された場合は、電磁
クラッチ30の過熱状態或いは過熱が予想される状態で
あるから、前記摩擦係合制御手段に対応するSK6にお
いて、電子制御装置110から電磁クラッチ30へ出力
されるトルク指令値(制御量)tref が「0」に設定さ
れ、続くSK7においてそのトルク指令値tref (=
0)が駆動回路118へ出力されることにより、電磁ク
ラッチ30が優先的に解放される。
【0034】上述のように、本実施例によれば、温度推
定手段210(SK3)により、電磁クラッチ(摩擦係
合装置)30の外周部に位置する部材であるベアリング
56、60の発熱状態に基づいてその電磁クラッチ30
の温度Tempcが推定されることから、電磁クラッチ30
の温度の推定精度が一層高められる。すなわち、電磁ク
ラッチ30の外周部に位置して入力軸58を回転可能に
支持するベアリング(入力側軸受)56および出力軸6
2を回転可能に支持するベアリング(出力側軸受)60
の発熱状態に基づいて、電磁クラッチ30の温度Tempc
が推定されることから、軸方向或いは軸に直角な方向の
負荷を受けつつ回転させられることにより比較的多くの
熱を発生するベアリング56、60の発熱状態が考慮さ
れ、電磁クラッチ30の温度Tempcが一層正確に推定さ
れるのである。
【0035】また、本実施例によれば、温度推定手段2
10(SK3)により推定された電磁クラッチ30の推
定温度Tempcに基づいてその電磁クラッチ30を制御す
るトルク配分クラッチ(摩擦係合)制御手段120(S
K6)が設けられていることから、電磁クラッチ30の
耐久性が高められる。
【0036】また、本実施例によれば、温度推定手段2
10(SK3)により逐次推定される推定温度T
empcを、電磁クラッチ30における温度上昇の時定数よ
りも短い値の時定数で逐次平滑化処理する平滑化処理手
段212(SK4)が設けられていることから、温度推
定手段210(SK3)により逐次推定される温度T
empcが平滑化処理手段212(SK4)によって逐次平
滑化されるので、信号変動の影響を受け難くなって安定
した推定が行われる。また、その平滑化処理手段212
(SK4)により、電磁クラッチ30における温度上昇
の時定数よりも短い値の時定数で推定温度Tempcが平滑
化されるので、実際の温度よりも早期に温度上昇を把握
できる利点がある。
【0037】また、本実施例によれば、トルク配分クラ
ッチ(摩擦係合)制御手段120(SK6)は、温度推
定手段210(SK3)により逐次推定され且つ平滑化
処理手段212(SK4)により逐次平滑化された推定
温度Tempc1 が予め設定された判断基準値TJ を越える
と、電磁クラッチ30を解放させるものであることか
ら、電磁クラッチ30の過熱状態或いはそれが予測され
る状態となるとそれが直ちに解放されるので、その電磁
クラッチ30の耐久性が高められる。
【0038】また、本実施例によれば、温度推定手段2
10(SK3)は、電磁クラッチ30の摩擦板42、4
6の仕事率に関連する量とベアリング56、60の仕事
率に関連する量とに基づいて、その電磁クラッチ30の
温度を推定するものであるので、電磁クラッチ30の温
度の推定精度が一層高められる。
【0039】以上、本発明の一実施例を図面に基づいて
説明したが、本発明はその他の態様においても適用され
る。
【0040】たとえば、前述の温度推定手段210は、
入力軸58を回転可能に支持するベアリング56、およ
び出力軸62を回転可能に支持するベアリング60の仕
事率を加味した算出式(数式1)から電磁クラッチ30
の推定温度Tempcを算出していたが、それらベアリング
56および60のうちの相対的に影響度の大きい側だけ
を加味した算出式により電磁クラッチ30の推定温度T
empcを算出してもよい。
【0041】また、前記ベアリング56および60は、
複数個の転動体を備えたころがり軸受であったが、摺接
面を介して荷重を受けるメタル軸受であっても差し支え
ない。
【0042】また、前記温度推定手段210において
は、ベアリング56および60の仕事率を加味して推定
温度Tempcを算出するために、数式1に示す右辺第1項
および第2項において、入力軸回転速度Nf および出力
軸回転速度Nr が用いられていたが、それらの入力軸回
転速度Nf および出力軸回転速度Nr に替えて、電磁ク
ラッチ30のハウジングから温度センサにより検出され
る温度が用いられてもよい。要するに、電磁クラッチ3
0の外周部に位置する部材の発熱状態を表すパラメータ
が用いられればよいのである。
【0043】また、前述の平滑化処理手段212は、ロ
ーパスフィルタ処理を用いて推定温度Tempcを平滑化す
るものであったが、予め設定された移動区間内の平均値
を求めることにより平滑化するものであってもよい。
【0044】また、前述の実施例の電磁クラッチ30
は、プロペラシャフト28と後部差動歯車装置32との
間に設けられるものであったが、所謂センターデフの差
動を制限するためにそれに並列に設けられた差動制限ク
ラッチ、トランスファと前部差動歯車装置との間に設け
られたクラッチ、プロペラシャフト28とそれに連結さ
れた差動歯車装置の出力側の1対の車軸との3軸のうち
の何れかの2軸間に設けられたクラッチなどであっても
よい。要するに、原動機から複数の車輪へそれぞれ伝達
されるトルクの割合を調節する電磁式、油圧式などのト
ルク配分クラッチであればよいのである。
【0045】また、前述の実施例において、原動機とし
て機能するエンジン10は、電気モータや電気モータと
エンジンとのハイブリッドであっても差し支えない。
【0046】その他一々例示はしないが、本発明は当業
者の知識に基づいて種々の変更、改良を加えた態様で実
施することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の電磁クラッチ用温度推定装
置を備えた車両の動力伝達経路を説明する図である。
【図2】前輪および後輪のトルク配分を行うために、図
1の動力伝達経路に設けられた電磁クラッチの構成を説
明する断面図である。
【図3】図2の電磁クラッチのクラッチ特性を説明する
特性図である。
【図4】図1の電子制御装置の構成例を詳細に説明する
図である。
【図5】図1の電子制御装置の制御機能の要部を説明す
る機能ブロック線図である。
【図6】図5のトルク配分クラッチ制御手段において複
数種類の制御モードを切り換えるために予め記憶された
関係を示す図である。
【図7】図5の入力トルク算出手段において入力トルク
を算出するために予め記憶された関係を示す図である。
【図8】図5の温度推定手段により求められた推定温度
empcと、平滑化処理手段により平滑化された後の推定
温度Tempc1 とを対比して例示する図である。
【図9】図5の温度推定手段により求められ且つ平滑化
処理手段により平滑化された後の推定温度Tempcと、電
磁クラッチの実際の温度とを対比して例示する図であ
る。
【図10】図4の電子制御装置の制御作動の要部を説明
するためのフローチャートであって、クラッチ温度推定
ルーチンを示す図である。
【符号の説明】
30:電磁クラッチ(トルク配分クラッチ、摩擦係合装
置) 56:ベアリング(入力側軸受) 60:ベアリング(出力側軸受) 120:トルク配分クラッチ制御手段(摩擦係合制御手
段) 124:回転速度差算出手段 210:温度推定手段 212:平滑化処理手段
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山下 勝司 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内 (72)発明者 池田 暁彦 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車両の動力伝達経路に設けられた摩擦係
    合装置の温度を推定する車両用摩擦係合装置の温度推定
    装置であって、 前記摩擦係合装置の外周部に位置する部材の発熱状態に
    基づいて該摩擦係合装置の温度を推定する温度推定手段
    を、含むことを特徴とする車両用摩擦係合装置の温度推
    定装置。
  2. 【請求項2】 前記温度推定手段により推定された前記
    摩擦係合装置の温度に基づいて該摩擦係合装置を制御す
    る摩擦係合制御手段をさらに含むものである請求項1の
    車両用摩擦係合装置の温度推定装置。
  3. 【請求項3】 前記温度推定手段により逐次推定される
    温度を、前記摩擦係合装置における温度上昇の時定数よ
    りも短い値の時定数で逐次平滑化処理する平滑化処理手
    段を、さらに含むものである請求項1または2の車両用
    摩擦係合装置の温度推定装置。
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