JPH11293355A - ルテニウムとロジウムの分離方法 - Google Patents

ルテニウムとロジウムの分離方法

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JPH11293355A
JPH11293355A JP10097021A JP9702198A JPH11293355A JP H11293355 A JPH11293355 A JP H11293355A JP 10097021 A JP10097021 A JP 10097021A JP 9702198 A JP9702198 A JP 9702198A JP H11293355 A JPH11293355 A JP H11293355A
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hydrochloric acid
nitrite
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 塩酸浸出液のような白金族元素を含む水溶液
からルテニウムとロジウムを抽出法により分離するに際
して、ルテニウムとの反応以外に消費される高価な薬品
の使用量を抑え、且つ塩酸や塩化物が大過剰に存在する
条件下でも適用可能な分離方法を提供する。 【解決手段】 ルテニウム及びロジウムを含む水溶液の
pHを0以上2以下に調整し、ルテニウムに対して3倍
モル以上の亜硝酸塩を添加した後、pHを0以下に再調
整し、トリブチルフォスフェイトと混合することにより
ルテニウムを選択的に抽出する。亜硝酸塩の添加後、水
溶液を60℃以上に加熱することが好ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、非鉄金属製錬工程
等で発生する白金族元素を含む塩酸浸出液のような水溶
液から、各白金族元素を分離精製する技術、特にルテニ
ウム(Ru)とロジウム(Rh)を分離する方法に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】水溶液中の白金族元素の分離、特にロジ
ウムとルテニウムを分離する方法としては、Rev.
Metal. Madrid,31(4)、1995に
記載されているように、主としてルテニウムの選択的蒸
留法が採用されており、一部でルテニウムの溶媒抽出法
も利用されている。
【0003】上記の蒸留法は、ルテニウムをハロゲン等
の強酸化剤により酸化して揮発性のRuO4を生成させ
た後、液を加熱してルテニウムを気体として分離し、吸
収剤に捕集する方法である。しかしながら、RuO4
同様の揮発法により分離される酸化オスミウムOsO4
に比べると化学的に不安定であるため、自己分解により
爆発する危険性が高かった。また、RuO4は強力な酸
化作用があるため、気体回収部分の装置材料が腐食しや
すく、ガラス等の高度な耐食性を有する材料を使用しな
ければならないという問題点があった。
【0004】更に、蒸留法において、ルテニウムを塩酸
浸出液のような塩化物水溶液から完全に揮発させるため
には、液のpHを4以上まで上昇させ、塩化物イオンに
よる還元作用を抑制する必要がある。しかし、この条件
では、ルテニウム及びロジウムを含め共存する種々の金
属イオンが沈澱したり、加水分解して、後工程である蒸
留残液の溶媒抽出工程あるいはイオン交換工程で障害と
なる白金族のヒドロキソ錯体を形成しやすいという問題
点があった。
【0005】この問題を回避するためには、蒸留終了後
の残液に大過剰の塩酸を添加し、長時間高温にて加熱を
続け、ヒドロキソ錯体をクロロ錯体に戻すという操作が
必要であった。従って、蒸留前に塩酸浸出液を中和し、
蒸留後に再度酸性に戻すため、アルカリと酸の消費量が
非常に大きく経済的にも問題であるばかりか、塩酸で再
度酸性にする際に塩化アルカリの結晶が晶出し、白金族
元素が一部沈澱して失われるという問題もあった。
【0006】一方、溶媒抽出法は、水溶液中のルテニウ
ム化合物を、トリブチルフォスフェイト(TBP)によ
り抽出可能なペンタクロロニトロシルルテニウム(II
I)酸塩の形態に変換し、TBPで抽出する方法であ
る。共存するロジウム化合物は比較的不安定であるた
め、ペンタクロロニトロシルルテニウム(III)酸塩が
定量的に形成できれば、この方法でロジウムとルテニウ
ムの分離が可能である。この溶媒抽出法の鍵となるペン
タクロロニトロシルルテニウム(III)酸塩の形成方法
としては、新実験化学講座8「無機化合物の合成III」
(日本化学会編、丸善株式会社刊)、1303頁、19
79に記載されているように、塩化ルテニウムのよう
なルテニウム(III)化合物の水溶液に一酸化窒素又は
一酸化窒素と二酸化窒素の混合ガスを吸収させ、塩酸を
添加して加熱する方法、又は、ルテニウム(III)化
合物の水溶液に亜硝酸塩を発泡が終了するまで添加し、
6モル/lになるように塩酸を加えて濃縮する方法があ
る。
【0007】また、「化学大辞典8」(共立出版刊)、
544頁、1979に記載されているように、ルテニ
ウム化合物を濃硝酸と共に濃縮し、金属塩化物を加える
方法、更には、Rev. Metal. Madrid、
31(4)、1995に記載されているように、還元
剤の存在下でルテニウム化合物に硝酸を作用させる方法
が知られている。
【0008】しかしながら、上記の窒素酸化物を吸収
させる方法では、一酸化窒素の水への溶解度が十分高く
ないために吸収効率が悪く、大部分のガスが無駄に消費
されてしまうという問題があった。また、の亜硝酸塩
を発泡が終了するまで添加する方法では、この方法を遊
離塩酸濃度が高い浸出液に適用すると、大部分の亜硝酸
塩が塩酸により分解され、ごく一部の亜硝酸塩しか有効
に作用しないため、亜硝酸塩の添加量が膨大になり、経
済的な方法ではなかった。
【0009】また、上記の濃硝酸を添加して、蒸発濃
縮する方法では、通常の白金族元素を含有する塩酸浸出
液には塩酸や塩化物が大過剰存在するため、硝酸は過剰
の塩化物イオンと反応して分解し、窒素酸化物に変化す
る。その窒素酸化物は、塩酸が大過剰に存在する条件下
ではルテニウムイオンと反応し難いため、通常の浸出液
に適用するには液中の大部分の塩酸を駆遂するまで硝酸
を添加し、加熱しつづけなければならなかった。の硝
酸と還元剤を作用させる方法でも、塩酸や塩化物が大過
剰に存在する一般的な塩酸浸出液に対しては、前記の
方法と同様の理由により反応効率が悪かった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
従来の事情に鑑み、塩酸浸出液のような白金族元素を含
む水溶液からルテニウムとロジウムを分離するに際し
て、爆発の危険性や高度の耐食性を有する装置を必要と
する蒸留法によらず、トリブチルフォスフェイトによる
抽出法を用いて、ルテニウムとの反応以外に消費される
高価な薬品の使用量を抑え、且つ塩酸や塩化物が大過剰
に存在する条件下でも適用可能な、ルテニウムとロジウ
ムの分離法を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明が提供するルテニウムとロジウムの分離方法
は、ルテニウム及びロジウムを含む水溶液のpHを0以
上2以下に調整し、ルテニウムに対して3倍モル以上の
亜硝酸塩を添加した後、pHを0以下に再調整し、トリ
ブチルフォスフェイトと混合することによりルテニウム
を選択的に抽出することを特徴とする。
【0012】本発明のルテニウムとロジウムの分離方法
においては、亜硝酸塩の添加後、水溶液を60℃以上に
加熱することが好ましい。また、トリブチルフォスフェ
イトと共に塩酸を混合するか、又はトリブチルフォスフ
ェイトで抽出した有機相に塩酸を混合することにより、
有機相中に含まれるロジウムを選択的に水相に分離する
ことができる。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明方法では、水溶液中のルテ
ニウム化合物を亜硝酸塩及び塩酸によりペンタクロロニ
トロシルルテニウム(III)酸塩の形態に変換して、ト
リブチルフォストフェイトにより抽出するが、亜硝酸塩
等の無駄な消費を無くしてペンタクロロニトロシルルテ
ニウム(III)酸塩の定量的な生成及び抽出を可能にす
ると共に、共存するロジウムの共抽出を防止して、ルテ
ニウムのみを選択的に抽出分離するものである。
【0014】ルテニウム化合物を含む水溶液に添加され
た亜硝酸塩は、下記化学式1に示すように、クロロルテ
ニウム(IV)酸塩の還元及びペンタクロロニトロシルル
テニウム(III)酸塩の形成に使用される:
【化1】[RuCl62-+2NO2 -→[RuCl5(N
O)]2-+Cl-+NO3 -
【0015】しかし、水溶液が塩酸浸出液のように強酸
性である場合には、亜硝酸塩は分解して二酸化窒素と一
酸化窒素を生成し、生成する一酸化窒素の一部はペンタ
クロロニトロシルルテニウム(III)酸塩の形成に使用
されるが、大部分は自己分解して酸の中和剤として消費
される。このため、ルテニウムとの反応以外に使用され
る亜硝酸塩が増大し、効率が悪く経済的にも不利であ
る。
【0016】そこで本発明では、水溶液のpHをアルカ
リの添加により予め調整し、亜硝酸塩が分解しない塩酸
濃度まで低下させた後、亜硝酸塩を作用させることによ
り、上記化学式2のペンタクロロニトロシルルテニウム
(III)酸塩の生成反応を定量的に進行させる。このた
めには、水溶液のpHを0以上に調整する必要がある
が、pHが2を越えるとルテニウム、ロジウム及び共存
不純物の一部が加水分解して沈澱する恐れがあるため、
pH2を起えないことが必要である。
【0017】亜硝酸塩の理論上の必要量は、上記化学式
1によればルテニウムの2倍モルであるが、実際には、
共存元素や僅かに残留する酸により亜硝酸塩が若干消費
される場合があるため、3倍モル以上の添加が望まし
い。亜硝酸塩濃度が高いほど錯形成はより完全に進行す
るが、ほぼ20倍モルの添加で既に完全にニトロシル錯
体への変換が可能であるから、それ以上の添加は無駄な
だけである。
【0018】尚、使用する亜硝酸塩としては、カリウム
塩、ルビジウム塩、セシウム塩では難溶性の結晶を生成
しやすく、アンモニウム塩は化学的に不安定であり、そ
れ以外の金属の塩も入手困難で高価であるため、実用的
には亜硝酸ナトリウムが好ましい。
【0019】水溶液中にルテニウムと共にロジウムが共
存する場合、ルテニウムのニトロシル錯体の生成と同時
に、下記化学式2に示すように、ロジウム(III)イオ
ンのニトロ錯体も生成する:
【化2】[RhCl63-+6NO2 -→[Rh(N
2)63-+6Cl-
【0020】このロジウムのニトロ錯体も、上記ルテニ
ウムのニトロシル錯体と同様に親油性の高い化合物であ
るから、そのままの状態では、ルテニウムと共に有機相
に抽出されてしまう。また、このロジウムのニトロ錯体
は、ルテニウムのニトロシル錯体と同様に非常に安定な
化合物であるが、ルテニウムのニトロシル錯塩と異な
り、酸性領域では配位子の亜硝酸イオンが不安定となり
徐々に分解する。
【0021】そこで本発明においては、亜硝酸塩添加後
の水溶液のpHを下げる再調整を行うことにより、一旦
形成されたロジウムのニトロ錯体を選択的に分解して、
有機相に抽出されない形態とする。このとき再調整する
pHが低いほどロジウムのニトロ錯体の分解が促進され
るが、亜硝酸の酸解離定数がpKaが3.15であるこ
とを考慮すると、亜硝酸塩はpH1において99%以
上、pH0において99.9%以上が不安定な遊離酸に
変化するため、pHを0以下に再調整すれば良いが、反
応を促進するには−0.5程度までpHを下げることが
望ましい。
【0022】しかしながら、水溶液中にルテニウムやロ
ジウムとしばしば共存することがあるイリジウムをクロ
ロ錯体としてルテニウムと共抽出する場合には、4.5
モル/l前後程度まで塩酸濃度が高い方が有利である
が、6モル/l以上の塩酸濃度になると、塩化アルカリ
の結晶が晶出しやすくなるうえ、不経済であるため、一
般には好ましくない。
【0023】また、上記したロジウムのニトロ錯体の分
解は、高温ほど二酸化窒素ガスの放出が促進されるため
好ましく、具体的には60℃以上であれば、完全に脱気
により反応を完結することが可能である。従って、亜硝
酸塩の添加後に水溶液を60℃以上に加熱することが好
ましいが、亜硝酸塩の添加前から加熱昇温を行えば、ル
テニウムイオンと亜硝酸イオンとの反応促進、及び他の
不安定な錯塩の生成防止等の効果も期待できる。尚、温
度を上昇させるほかに、空気を吹き込み曝気する方法も
ある程度の効果があり、昇温と組み合わせるとより効果
的である。
【0024】このようにして、水溶液中に形成されたル
テニウムのペンタクロロニトロシルルテニウム(III)
酸塩は、その後の溶媒抽出により選択的に有機相に抽出
分離することができる。使用する抽出剤としては、原理
的には溶媒和型抽出剤であれば良いが、入手が容易であ
り、且つ溶媒和能力が高いという点で、トリブチルフォ
スフェイト(TBP)が最適である。
【0025】TBPによる通常の抽出操作では、ロジウ
ムの共抽出を完全に防止することは困難であるが、一度
有機相に抽出されたルテニウムのニトロシル錯体は非常
に安定であるため、この有機相を塩酸などで洗浄するこ
とにより、有機相中に共抽出されたロジウムのみを水相
に選択的に分離することが可能である。また、抽出時に
TBPと共に塩酸を混合しても、同様の効果を得ること
ができる。
【0026】有機相に抽出されたルテニウムのニトロシ
ル錯体は、酸や酸化剤に対しても安定であるため、逆抽
出時には還元剤、錯形成剤などにより分解して、回収す
る必要がある。例えば、亜硫酸又は亜硫酸塩の水溶液を
使用すると、ニトロシル錯体の還元分解と同時にスルフ
ィト錯塩が形成され、水に可溶な形態で逆抽出すること
ができる。しかも、このルテニウムのスルフィト錯塩
は、酸化剤や塩酸での処理によって、一般にルテニウム
を取り扱うときの形態であるヘキサクロロルテニウム
(IV)酸に容易に変換することができる。
【0027】
【実施例】実施例1 Ruの含有量が1.17g/l及びRhの含有量が34.
5g/lであり、pHが−0.38の原液を用いて、R
uの錯体形成時のpHの影響を調べた。まず、上記の原
液30mlに1.0gの亜硝酸ナトリウム(NaNO2
を添加し、20分間撹拌した後、新しいTBPを相比O
/A=1/1にて混合し、3回繰り返し抽出した。各抽
出により得られた有機相及び水相の組成を下記表1に示
した。
【0028】
【表1】抽出段数と液相 液量(ml) Ru(g/l) Rh(g/l) 抽出1段有機相 32.5 0.34 0.43 抽出2段有機相 29.0 0.065 0.21 抽出3段有機相 27.0 0.033 0.20 抽出3段水相 24.0 0.67 5.51
【0029】次に、上記と同じ原液を使用したが、50
0g/lの水酸化ナトリウム水溶液を加えて液のpHを
1.0に調整した。その後、上記と同様に亜硝酸ナトリ
ウム1.0gを添加し、20分間撹拌した。更に、6.7
mlの35%塩酸を添加し、液のpHを−0.5に再調
整した。尚、pHの再調整時に、最大40℃まで液温度
が上昇した。液量が41.5mlに増加したため、相比
O/A=30/41.5にて、新しいTBPを用いて3
回繰り返し抽出した。各抽出により得られた結果を下記
表2に示した。
【0030】
【表2】抽出段数と液相 液量(ml) Ru(g/l) Rh(g/l) 抽出1段有機相 32.0 0.76 0.37 抽出2段有機相 30.5 0.021 0.19 抽出3段有機相 28.5 0.004 0.19 抽出3段水相 35.5 0.018 3.98
【0031】これらの結果から分かるように、pH未調
整の原液に亜硝酸ナトリウムを添加した場合(表1)に
はルテニウムが約46.2%しか抽出されなかったのに
対して、pH調整をした場合(表2)には約97.5%
が抽出された。しかし、共存するロジウムは、いずれの
場合でも約14%以上抽出され、選択性は十分高いとは
言いがたかった。尚、pH調整をした場合には温度が4
0℃程度まで上昇したが、ロジウムのニトロ錯体の分解
は不完全であった。
【0032】実施例2 上記実施例1と同じ原液30mlに500g/lの水酸
化ナトリウム水溶液を加えてpHを1.0に調整した
後、60℃に加熱し、亜硝酸ナトリウム1.0gを添加
した。この水溶液を60℃に加熱し、その温度で20分
間撹拌した後、塩酸を6.7ml添加して、更に20分
撹拌した。この水溶液の温度を21℃まで放冷し、pH
を測定したところ−0.47であった。液量が38ml
になっていたので、相比O/A=30/38にて、新し
いTBPを用いて3回繰り返し抽出した。各抽出により
得られた有機相及び水相の組成を下記表3に示した。
【0033】
【表3】抽出段数と液相 液量(ml) Ru(g/l) Rh(g/l) 抽出1段有機相 31.5 0.80 0.18 抽出2段有機相 30.5 0.012 0.097 抽出3段有機相 28.5 0.002 0.068 抽出3段水相 32.5 0.005 4.99
【0034】上記条件のうち、加熱時の水溶液の温度を
90℃に高め、また抽出時の相比をO/A=30/3
1.5に変えた以外は、上記と同じ試験を実施した。そ
の結果得られた有機相及び水相の組成を下記表4に示し
た。
【0035】
【表4】抽出段数と液相 液量(ml) Ru(g/l) Rh(g/l) 抽出1段有機相 32.0 0.78 0.050 抽出2段有機相 29.5 0.077 0.019 抽出3段有機相 27.5 0.007 0.018 抽出3段水相 25.5 0.011 6.85
【0036】上記表4において、ルテニウムの抽出率は
約99.4%、ロジウムの抽出率は約6.1%である。ま
た、表5においては、ルテニウムの抽出率は約99.0
%、ロジウムの抽出率は約1.5%である。この結果か
ら、加熱温度が高いほど、ルテニウムの抽出率を高く保
ちつつ、同時にロジウムの共抽出を抑制することがで
き、選択性を向上できることが分かる。
【0037】実施例3 上記実施例1で使用した原液90mlに500g/lの
水酸化ナトリウムを加えてpHを1.0に調整した後、
その水溶液を3等分し、各水溶液を加熱して液温を60
℃に昇温した。次に、各水溶液にそれぞれ亜硝酸ナトリ
ウムを0.05g(Ruの2倍モル)、0.20g(Ru
の8倍モル)、0.5g(Ruの20倍モル)添加し
た。液温60℃にて15分間維持した後、塩酸6.7m
lを添加して、更に20分間維持し、その後液温21℃
まで冷却した。
【0038】得られた各水溶液は39mlであったた
め、いずれも相比O/A=30/39にて、新しいTB
Pで3回繰り返し抽出した。3回抽出後の水相である抽
残液の液量と組成、並びにルテニウムとロジウムの抽出
率を下記表5に示した。尚、抽出率は、抽出1〜3段の
各有機相中及び抽出3段の水相中のルテニウム及びロジ
ウムの量の合計を100%として計算した。
【0039】
【表5】
【0040】上記表5より、亜硝酸ナトリウムの添加量
が理論量に相当するRuの2倍モルでは、反応は不完全
であり、過剰に添加する必要があると判断される。亜硝
酸ナトリウムの添加量の増大に伴い、ロジウムの共抽出
量が若干増大しているが、前記実施例2の表4の結果か
らも分かるように、亜硝酸ナトリウムをRuに対して4
0倍モルも使用した場合でも、加熱温度の上昇によりロ
ジウムの共抽出率を抑制することができる。
【0041】実施例4 Ruの含有量が4.43g/l及びRhの含有量が6.5
5g/lであり、塩酸濃度が4.5N(pH−0.65)
の未調整原液252mlを用い、これに500g/lの
水酸化ナトリウム水溶液を加えてpHを1.06に調整
した。続いて、亜硝酸ナトリウム15.2g(Ruに対
して20倍モル)を添加し、液温を60℃に昇温した後
その温度で15分間維持した。その後、更に35%塩酸
を97ml添加して20分間維持し、室温まで放冷した
水溶液を抽出用原液とした。この抽出用原液の組成はR
uが2.55g/l及びRhが3.78g/lであり、塩
酸濃度が2.5N(pH−4.0)であった。
【0042】この抽出用原液を用いて、図1に示すよう
な、抽出5段及びスクラビング2段を想定したバッチシ
ミュレーションを実施した。図1において、「原液」の
表示は抽出用原液40mlを混合する操作を、「洗液」
の表示は4.5N塩酸20mlを混合する操作を、また
「TBP」の表示は抽出剤であるTBPを40ml混合
する操作を表す。抽出のための混合時間は、いずれも1
0分間とした。
【0043】この各抽出段及びスクラビング段における
結果を下記表6に示した。尚、多段向流抽出において抽
出1〜5段は、図中の〜にそれぞれ対応する。同様
にスクラビング1〜2段は、図中の’〜’に対応す
る。
【0044】
【表6】
【0045】上記表6により、ルテニウムの回収対象と
なるスクラビング2段の有機相のRu品位はRu/(R
u+Rh)として99.7%であり、ロジウムの回収対象
となる抽出5段の水相のRh品位はRh/(Ru+Rh)
として99.96%であることが分かる。
【0046】また、スクラビング2段の有機相及び抽出
5段の水相の液量及び濃度から計算した結果によれば、
ルテニウムの収率は99.96%以上、ロジウムの収率
は99.3%であった。このように、多段抽出及び有機
相の洗浄を行うことにより、選択的且つ高収率でロジウ
ムとルテニウムとの分離回収が可能である。
【0047】
【発明の効果】本発明によれば、爆発の危険性や高度の
耐食性を有する装置を必要とする蒸留法を用いることな
く、トリブチルフォスフェイトによる抽出法により、塩
酸浸出液のような白金族元素を含む水溶液からルテニウ
ムとロジウムを簡単に且つ効率良く分離することができ
る。
【0048】本発明のルテニウムとロジウムの分離方法
は、水溶液中の金属元素を沈澱させることなく、ルテニ
ウムとの反応以外に消費される高価な薬品の使用量を極
力抑え、且つ塩酸や塩化物が大過剰に存在する条件下で
も適用が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明方法による抽出5段及びスクラビング2
段の多段向流抽出を想定したバッチシミュレーションの
操作図である。
【符号の説明】
図1において、○は混合抽出の操作を表し、右下へ向か
う矢印は有機相の混合を、左下へ向かう矢印は水相の混
合を、及び真下へ向かう矢印は抽出用原液の混合をそれ
ぞれ表す。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ルテニウム及びロジウムを含む水溶液の
    pHを0以上2以下に調整し、ルテニウムに対して3倍
    モル以上の亜硝酸塩を添加した後、pHを0以下に再調
    整し、トリブチルフォスフェイトと混合することにより
    ルテニウムを選択的に抽出することを特徴とするルテニ
    ウムとロジウムの分離方法。
  2. 【請求項2】 亜硝酸塩の添加後、水溶液を60℃以上
    に加熱することを特徴とする、請求項1に記載のルテニ
    ウムとロジウムの分離方法。
  3. 【請求項3】 トリブチルフォスフェイトと共に塩酸を
    混合するか、又はトリブチルフォスフェイトで抽出した
    有機相に塩酸を混合し、有機相中のロジウムを選択的に
    水相に分離することを特徴とする、請求項1又は2に記
    載のルテニウムとロジウムの分離方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN112924267A (zh) * 2019-12-06 2021-06-08 南京理工大学 检测模拟高放废液蒸发浓缩过程中核素挥发比的方法

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