JPH11293398A - 高密度エネルギービーム溶接に適した熱延鋼板およびその製造方法 - Google Patents

高密度エネルギービーム溶接に適した熱延鋼板およびその製造方法

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JPH11293398A
JPH11293398A JP9357298A JP9357298A JPH11293398A JP H11293398 A JPH11293398 A JP H11293398A JP 9357298 A JP9357298 A JP 9357298A JP 9357298 A JP9357298 A JP 9357298A JP H11293398 A JPH11293398 A JP H11293398A
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less
hot
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energy beam
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JP9357298A
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Akio Tosaka
章男 登坂
Yasushi Kitani
靖 木谷
Osamu Furukimi
古君  修
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JFE Steel Corp
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Kawasaki Steel Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高密度エネルギービーム溶接における優れた
溶接性と、溶接後の成形性に優れた熱延鋼板を提供す
る。 【解決手段】 C、Si、Mn、P、S、Al、N量を適正量
とし、重量%でNb:0.005 〜0.20%、Ti:0.005 〜0.20
%、V:0.005 〜0.20%のうちから選ばれた1種または
2種以上を含有する組成として、熱間圧延の仕上げ圧延
温度と巻取温度を調整することにより、、平均結晶粒径
15μm 以下の母相と、面積率で20%以下の第2相を含む
組織し、均一伸び10%以上、局部伸び5%以上を有する
熱延板とする。さらにBと、Cu、Ni、Cr、Moのうちから
選ばれた1種または2種以上とのうち少なくとも一方を
含有してもよい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高密度エネルギー
ビーム溶接に好適な熱延鋼板に係り、とくに高密度エネ
ルギービーム溶接性に優れ、さらに溶接後のプレス成形
性に優れた熱延鋼板に関する。本発明における鋼板は、
鋼板、鋼帯を含むものとする。
【0002】
【従来の技術】近年、地球環境保全の観点から、炭酸ガ
スの排出を規制する動きが活発となっており、自動車の
軽量化による燃費改善が注目されている。自動車の軽量
化を進めるうえでは、自動車車体で多くの割合を占める
鋼板を薄肉化するのが有効な手段であり、鋼板の薄肉化
のために、高強度化した自動車用鋼板の開発が進められ
ている。しかしながら、部品の高剛性が要求される部位
においては、単純に、薄肉化した高強度鋼板を適用する
ことはできない。また、高剛性が要求される部位の板厚
に他の部材の板厚を適合させると、成形部材の重量が不
必要に重くなる。
【0003】このような問題に対し、従来は、個々にプ
レス成形された部材をスポット溶接により組み立てて構
成部材としていたが、最近、異なる板厚、異なる材質の
素材を平板の状態で部品形状に合わせてブランク(剪断
打抜きまたは剪断切出し)し、レーザビームなどの高密
度エネルギービーム溶接により接合したのち、プレス成
形を行う、いわゆるテーラードブランクと呼ばれる技術
が開発されている。技術内容としては、例えば(社)自
動車技術会 学術講演会前刷集901,1990-5,P245 などに
紹介されている。また、この改良技術として、例えば特
開昭63-168286号公報には、厚さの異なる金属板を溶加
材を付加しないレーザビーム突き合わせ溶接を用いて、
レーザビームの方向を板表面に対し傾斜し、かつレーザ
ビームの方向成分のひとつを厚い方の金属板の切断縁に
向けて溶接したのち、溶接された金属板をプレス成形、
深絞り成形する成形部材の製造方法が開示されている。
【0004】このテーラードブランクと呼ばれる技術を
適用すれば、余分な板厚増加を防止でき、大幅な軽量化
が達成できる。例えば、高剛性が要求される部位のみを
厚肉とし、他の高剛性を要求されていない部位では、高
張力鋼板を適用し薄肉とすることができる。しかしなが
ら、このテーラードブランク技術の適用に当たり、部材
の溶接部の溶接不良が、見栄えや成形性の点から問題と
なっていた。この見栄えの問題に対しては、例えば特開
平5-84585 号公報には、シャー切断された複数の薄鋼板
を切断面のばりの方向を同じにして突き合わせ、切断面
のダレ側にフィラーを供給し、ダレ側からレーザ光を照
射してレーザ溶接しレーザ光照射側の反対面をパネル外
板面とする自動車パネルの製造方法が開示されている。
また、成形性の問題に対しては、特開平5-50275 号公報
には、突き合わせ間隔、レーザ光の照射開始位置と鋼板
の溶接開始側端面との距離、レーザ光の照射終了位置と
鋼板の溶接終了側端面との距離、レーザ光照射開始時期
とフィラー供給開始時期のずれ、レーザ光照射終了時期
とフィラー供給終了時期のずれ、を所定の範囲としてレ
ーザ溶接を行うプレス成形用鋼板のレーザ溶接方法が開
示され、この方法により伸びフランジ成形性が高まると
している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、本発明者ら
は、上記した溶接方法でもなお、溶接時に突き合わせ面
となる鋼板の切断面の形状精度が低い場合には、安定し
て部材の溶接接合を行うことが困難な場合があることを
知見し、溶接施工性から高密度エネルギービーム溶接を
行う各部材の突き合わせ面の形状精度の向上が必要であ
ることに想到した。また、平板状態では問題なく接合さ
れていても、溶接部の健全性に問題がある時にはその後
のプレス成形時に接合部にプレス割れを生じる等の不具
合を生じる場合があった。さらに、溶接熱影響部の軟化
が著しい場合には、プレス成形時に割れ、ネッキングな
どの不具合を発生するなど、高密度エネルギービーム溶
接した部材の溶接部および熱影響部の特性や成形性が劣
るという問題が残されていた。
【0006】本発明は、上記した従来技術の問題を有利
に解決し、高密度エネルギービーム溶接における優れた
溶接性を有し、かつ溶接後の成形性に優れた高密度エネ
ルギービーム溶接用熱延鋼板を提供することを目的とす
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、高密度エ
ネルギービーム溶接を安定して施工するためには、まず
部材の突き合わせ面となる鋼板の切断面の形状精度が重
要であることを見いだした。とくに、剪断により所定の
寸法に切断された鋼板においては、切断面の破面形態が
重要であり、通常実施される板厚10%程度のクリアラン
ス設定で剪断した場合には、鋼板の全厚に対し、65%以
上、好ましくは75%以上の剪断面と、20%以下、好まし
くは15%以下の破断面と、15%以下、好ましくは10%以
下の「だれ」、10%以下の「かえり」とからなる破面形
態とするのがよいことを見いだした。剪断により鋼板を
切断した場合の破面形態は、一般に図1に示すように、
剪断面とそれに続く破断面と、剪断開始側のだれと、剪
断終了側のかえりから構成されている。
【0008】さらに、本発明者らは、種々の強化機構を
組み合わせて高強度化した熱延鋼板について、剪断条件
を変化した剪断を行い切断部の破面形態を観察し、通常
の剪断条件で、上記した高密度エネルギービーム溶接の
溶接施工に好適な破面形態とするための素材組織につい
て検討した。その結果、素材として、鋼の化学成分を規
制し、均一微細な組織とすることが必要で、具体的に
は、鋼板組織を平均結晶粒径が15μm 以下の母相と、面
積率で20%以下の第2相を含む組織とするのがよいとい
う知見を得た。
【0009】また、本発明者らは、高エネルギービーム
溶接部の特性を改善するために、種々の強化機構を組み
合わせて高強度化した熱延鋼板について、高密度エネル
ギービーム溶接を実施し、溶接部特性について検討し
た。その結果、Nb、Ti、Vを単独または複合して添加
し、これらの炭窒化物による析出強化を用いて、あるい
はさらにCu、Ni、Cr、MoおよびBを用いて高強度化する
ことにより、高エネルギービーム溶接を行っても、溶接
部および溶接熱影響部の強度・延性の劣化はなく、また
溶接熱影響部の軟化もなく、プレス成形性が著しく向上
するという知見を得た。
【0010】本発明は、上記した知見に基づいて完成さ
れたものである。すなわち、本発明は、重量%で、C:
0.001 〜0.20%、Si:0.005 〜1.5 %、Mn:0.05〜3.5
%、P:0.005 〜0.15%、S:0.02%以下、Al:0.005
〜0.2 %、N:0.02%以下を含み、Nb:0.005 〜0.20
%、Ti:0.005 〜0.20%、V:0.005 〜0.20%のうちか
ら選ばれた1種または2種以上を含有し、残部Feおよび
不可避的不純物からなる組成と、平均結晶粒径15μm 以
下の母相と、面積率で20%以下の第2相を含む組織とか
らなり、均一伸び10%以上、好ましくは20%以上、局部
伸び5%以上を有することを特徴とする高密度エネルギ
ービーム溶接に適した熱延鋼板であり、前記組成に加え
て、さらにB:0.0005〜0.005 %と、Cu、Ni、Cr、Moの
うちから選ばれた1種または2種以上を合計で0.005 〜
0.20%とのうち少なくとも一方を含有してもよい。
【0011】また、本発明は、重量%で、Nb:0.005 〜
0.20%、Ti:0.005 〜0.20%、V:0.005 〜0.20%のう
ちから選ばれた1種または2種以上を含有する組成の鋼
素材に、仕上げ圧延温度を800 ℃以上、巻取温度を500
℃以上とする熱間圧延を施し、均一伸び10%以上、好ま
しくは20%以上、局部伸び5%以上を有する熱延板とす
ることを特徴とする高密度エネルギービーム溶接に適し
た熱延鋼板の製造方法である。なお、本発明では、前記
熱間圧延の仕上げ圧延終了後、好ましくは2秒以内に急
冷を開始し、好ましくは30℃/s以上の冷却速度で 600
〜750 ℃まで急冷し、その後好ましくは3〜20s間、緩
冷したのち、好ましくは30℃/s以上の冷却速度で巻取
り温度まで急冷するのが好ましい。また、本発明では、
前記組成を、重量%で、C:0.001 〜0.20%、Si:0.00
5 〜1.5 %、Mn:0.05〜3.5 %、P:0.005 〜0.15%、
S:0.02%以下、Al:0.005 〜0.2 %、N:0.02%以下
を含み、Nb:0.005 〜0.20%、Ti:0.005 〜0.20%、
V:0.005 〜0.20%のうちから選ばれた1種または2種
以上を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなる組
成とするのが好ましく、また本発明では、前記組成に加
えて、さらにB:0.0005〜0.005 %と、Cu、Ni、Cr、Mo
のうちから選ばれた1種または2種以上を合計で0.005
〜0.20%とのうち少なくとも一方を含有してもよい。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明でいう高密度エネルギービ
ームとは、レーザビーム、電子ビーム、プラズマビーム
などを指す。本発明による熱延鋼板を各部材として使用
し、各部材間を高密度エネルギービーム溶接することに
より成形用部材を構成すると、その後の成形が容易とな
る。
【0013】まず、本発明における化学組成の限定理由
について説明する。Nb:0.005 〜0.20%、Ti:0.005 〜
0.20%、V:0.005 〜0.20%のうちから選ばれた1種ま
たは2種以上Nb、Ti、Vは、鋼板組織を均一かつ微細化
する有効な元素であり、それぞれ0.005 %以上添加する
ことにより効果が認められる。これら元素は1種または
2種以上複合して添加できる。しかし、いずれの元素で
も、それぞれ0.20%を超えて添加すると効果が飽和し、
添加量に見合う効果が期待できない。そのため、Nb、T
i、Vはそれぞれ0.005 〜0.20%の範囲に限定した。な
お、複合して添加される場合には、Nb、Ti、Vの合計量
が0.20%を超えると効果が飽和する傾向を示し好ましく
ない。
【0014】また、Nb、Ti、Vは、強化元素としての作
用に加え、鋼板を剪断した場合の切断面の破面形態およ
び切断面の精度を高密度エネルギービーム溶接に好適な
範囲とする効果を有している。Nb、Ti、Vにより析出強
化された鋼板では、高密度エネルギービーム溶接を行っ
てもその溶接部の硬さ分布は比較的平坦な分布となり、
極端な硬化部や軟化部がなく、溶接部の延性低下も少な
い。このため、溶接後のプレス成形に際しても、溶接線
を挟んでほぼ均一な歪分布となり、溶接部の成形性は著
しく向上する。
【0015】C:0.001 〜0.20% Cは、鋼板の強度を確保するうえで重要な元素である。
C量が0.001 %未満では、溶接熱影響部の結晶粒が粗大
化し、溶接後のプレス成形時に割れ、ネッキングが発生
する。一方、C量が0.20%を超えると、溶接部の硬化が
著しく、延性が劣化するため、溶接後のプレス成形時に
割れが発生し、成形性が劣化する。このため、Cは0.00
1 〜0.20%に限定した。なお、さらなる成形性向上の観
点から好ましくは 0.002〜0.15%である。
【0016】Si:0.005 〜1.5 % Siは、鋼板の延性低下を最小限に抑えて鋼板を強化する
ために有効な元素である。この効果は0.005 %以上の添
加で認められる。しかし、1.5 %を超える添加は、鋼板
の強度を著しく増加させるため、例えば熱間圧延等の鋼
板製造工程における負荷が大きく製造にあたり障害とな
る。このため、Siは0.005 〜1.5 %の範囲に限定した。
なお、溶接性の観点からは0.05〜1.0 %に限定するのが
好ましい。
【0017】Mn:0.05〜3.5 % Mnは、鋼板組織の微細化および低温変態組織の形成に有
効な元素である。このような効果は0.05%以上の添加で
認められるが、3.5 %を超えて添加すると効果が飽和
し、さらに熱間圧延等の鋼板製造工程の負荷が増大す
る。このため、Mnは0.05〜3.5 %に限定した。
【0018】P:0.005 〜0.15% Pは、鋼板を固溶強化するために有効な元素であるが、
この効果が認められるためには0.005 %以上の添加が必
要である。一方、0.15%を超えて添加した場合には鋼板
の溶接性が低下する。このため、Pは0.005 〜0.15%の
範囲に限定した。なお、好ましくは0.01〜0.10%であ
る。
【0019】S:0.02%以下 Sは、鋼板の延性を低下させるため、できるだけ低減す
るのが好ましい。延性確保の観点からは、0.02%まで許
容できる。とくに高い延性が要求される場合には、0.01
0 %以下とするのが好ましい。 Al:0.005 〜0.2 % Alは、脱酸元素として作用し、0.005 %以上の添加で鋼
中の酸化物量を十分低減できる。0.2 %を超える添加
は、アルミナクラスターを形成し表面欠陥が多発すると
ともに、熱間延性が低下する。このため、Alは0.005 〜
0.2 %の範囲に限定した。なお、表面性状の観点からは
0.005 〜0.15%の範囲とするのが好ましい。
【0020】N:0.02%以下 Nは、鋼中に固溶して鋼板の強度を増加する元素である
が、耐時効性を劣化するため、耐時効性を劣化させない
範囲で添加し高強度化を図ることができる。しかも、過
剰な添加は、鋼板表面にブローホールを発生させるた
め、Nは0.02%以下に限定する。延性が要求される用途
の場合には、Nは0.007 %以下とするのが好ましい。
【0021】B:0.0005〜0.005 % Bは、焼入れ性を増加する元素であり、第2相としてベ
イナイト組織を形成するうえで有用な元素であり、必要
に応じ添加できる。第2相として、ベイナイト組織を有
する組織は、高密度エネルギービーム溶接性や、高密度
エネルギービーム溶接後の成形性向上に有効である。B
が0.0005%未満では、上記した効果が期待できない。一
方、0.005 %を超える添加では、鋼板の表面性状が劣化
する。このため、Bは0.0005〜0.005 %の範囲とするの
が好ましい。なお、材質の安定化の観点からより好まし
くは0.0010〜0.0020%である。
【0022】Cu、Ni、Cr、Moのうちから選ばれた1種ま
たは2種以上を合計で0.005 〜0.20% Cu、Ni、Cr、Moは、焼入れ性を増加させる元素であり、
鋼板の高強度化のために必要に応じこれら元素のうちか
ら1種または2種以上添加できる。Cu、Ni、Cr、Moはそ
れぞれ0.005 %以上の添加で効果が認められるが、0.20
%を超える添加は鋼板の硬質化が顕著になり、高密度エ
ネルギービーム溶接性や、高密度エネルギービーム溶接
後の成形性が劣化する。このため、Cu、Ni、Cr、Moはそ
れぞれ0.005 〜0.20%の範囲とするのが好ましい。ま
た、複合して添加する場合は、合計量で0.20%を超える
添加は、高密度エネルギービーム溶接性や、高密度エネ
ルギービーム溶接後の成形性が劣化する。このため各元
素の合計量を0.20%以下に限定するのが好ましい。
【0023】つぎに、組織の限定理由について説明す
る。 母相:平均結晶粒径15μm 以下 本発明の熱延鋼板は、フェライトを母相とする組織であ
り、母相の面積率は少なくとも80%以上とするのが成形
性を確保するために好ましい。母相の平均結晶粒径は15
μm 以下とする。母相の平均結晶粒径が15μm を超える
と、鋼板を剪断により切断した場合に破面にだれ、かえ
りの形成が顕著となり、また、破断面の面積率が増加し
て、切断面の精度が低下し高密度エネルギービーム溶接
が安定して施工できなくなる。なお、平均結晶粒径は、
圧延方向に平行な板厚断面における全厚平均(ただし、
最表面より 100μm までは除く)で求めた。
【0024】第2相:面積率で20%以下 第2相は、実質的にベイナイト、あるいはマルテンサイ
トあるいはこれらの混合とするのが強度と延性を両立さ
せるうえで好ましい。なお、前記のいずれかを含んでい
れば残留オーステナイトもしくはパーライトの混在も許
容される。第2相の面積率が20%を超えると、延性が低
下し、また、特に高精度の剪断面形状を得るために小さ
なクリアランスでの剪断を行った場合に加工面の状態が
顕著に悪化するようになる。なお、第2相は強度の向上
の観点から面積率で5%以上形成するのが好ましい。
【0025】上記した組成と組織とすることにより、熱
延鋼板は、均一伸び10%以上、局部伸び5%以上を有
し、延性、成形性に優れた鋼板となり、高密度エネルギ
ービーム溶接に好適な剪断加工破面形態を示し、優れた
高密度エネルギービーム溶接部特性と高密度エネルギー
ビーム溶接後の成形性を示す。なお、各相の比率は板厚
1/4 〜1/2 深さにおける圧延方向に平行な板厚断面のS
EM像により測定した。
【0026】つぎに、本発明の熱延鋼板の製造条件につ
いて説明する。上記した組成の溶鋼を、転炉、電気炉等
の通常公知の溶製方法で溶製し、連続鋳造法等の凝固手
段を用いて鋼素材とする。鋼素材は、ついで加熱あるい
は加熱することなく、熱間圧延を施される。熱間圧延の
ための加熱温度は、とくに限定されないが、1000〜1300
℃とするのが好ましい。1000℃未満では、所定の仕上げ
圧延温度とすることが困難となり、1300℃を超えると、
結晶粒が顕著に粗大化する。
【0027】熱間圧延の仕上げ圧延温度:800 ℃以上、 本発明では、母相の平均結晶粒径を15μm 以下とするた
めに、鋼組成に加え、熱間圧延条件のうち仕上げ圧延温
度を800 ℃以上とする。熱延の仕上げ圧延温度が800 ℃
未満では、均一かつ微細な組織を得ることが困難とな
り、剪断加工後の破面が不均一化するという問題が生じ
る。また、第2相や炭化物の量が安定して制御できなく
なる。なお、熱間圧延の圧下率は、最終製品組織の均一
かつ微細化の観点から1000℃〜 850℃の温度範囲でトー
タルで80%以上とするのが好ましい。
【0028】巻取温度:500 ℃以上 熱間圧延を施し熱延板としたのち、500 ℃以上好ましく
は 700℃以下で巻取る。巻取温度が 700℃を超えると、
スケールの生成が著しく、酸洗効率が悪くなり、さらに
コイルの長手・幅方向で材質が変動するという問題が発
生する。また、巻取温度が 500℃未満では、鋼板形状が
悪くなる。
【0029】以上のように熱間圧延され巻取処理を施さ
れた熱延板は、調質圧延等を施されてもよい。調質圧延
は、5%以下の圧下率とするのが材質安定性の観点から
好ましい。圧下率が5%を超えると、降伏点が急激に増
加し、延性が急激に低下するという問題を生ずる。な
お、Ti、Nb、Vの炭化物を析出させ、かつ20%以下の第
2相(実質的にマルテンサイトまたはベーナイトまたは
その混合)を得るためには、熱間圧延後の冷却パターン
を制御するのが好ましい。具体的条件は鋼組成および目
的とする材質(強度・延性等)により異なるが、圧延後
速やかに 600〜 750℃まで急冷し(前段冷却)、その
後、好ましくは3〜20秒間緩冷(例えば空冷)したの
ち、巻取り温度まで急冷する(後段冷却)ことが通常好
適である。前段冷却、後段冷却とも30℃/s以上の冷却速
度が好ましく、また前段冷却は熱間圧延後2秒以内に開
始することが好ましい。
【0030】前段冷却もしくは後段冷却が不十分である
と、第2相の面積率が過剰となる可能性が高まる。ま
た、緩冷温度域が 600〜 750℃の範囲を外れると溶接性
を確保するのに十分な炭化物析出を得ることができない
可能性がある。また、熱延板表面のスケールを剥離する
場合には、酸洗を施してもよい。熱延板のスケール剥離
の目的で行う酸洗は、通常公知の条件でよい。例えば、
60℃−3〜15%塩酸を使用するのが好ましい。
【0031】これら熱延板は、そのまま使用するか、さ
らに必要に応じ熱延板焼鈍を施されて冷延板用母板とし
て使用してもよい。
【0032】
【実施例】(実施例1)表1に示す化学組成の溶鋼を、
転炉で溶製し、連続鋳造法でスラブに鋳造した。これら
スラブを表2に示すスラブ加熱温度に加熱したのち、表
2に示す熱間圧延条件で板厚 1.8mmと 1.4mmの熱延鋼板
とした。いずれの板厚の鋼板についてもほぼ同様の組織
と機械的特性を確認した。また原板となるこれら鋼板に
ついて引張試験を行った際の応力−歪曲線から均一伸び
および局部伸びを測定した。これら熱延鋼板を、酸洗し
たのちナイフクリアランスを板厚の5%とする剪断によ
り所定の寸法の鋼板とし、切断破面形態を観察した。破
面形態の評価は、○:良好、△:やや劣る、×:劣る、
で行った。○(良好)は、全厚に対する剪断面比率75%
以上、破断面比率15%以下、だれ、かえりとも10%以
下、△(やや劣る)は、剪断面比率65%〜75%未満、破
断面比率15%超〜20%、だれ10%超〜15%のいずれかに
該当、×(劣る)は、剪断面比率65%未満、破断面比率
20%超、だれ15%超、かえり10%超のいずれかに該当す
る場合とした。
【0033】これら熱延鋼板の剪断面を突き合わせ、炭
酸ガスレーザを用いて、突き合わせ溶接により成形用部
材とした。レーザ溶接条件はつぎのとおりである。 レーザ出力: 4.0kW 溶接速度 :5m/min 集光レンズの焦点距離: 250mm 焦点位置:− 0.5mm(板表面より板内部側を正とする) シールドガス:Ar シールドガス流量:20 l/min 上記した条件で突合せ溶接を行い、施工の安定性を調査
した。溶接施工の安定性の評価は、溶接長 500mmの全長
の外観を観察し、アンダーカット、穴あきがあったもの
を×(欠陥)とし、ないものを○(良好)とした。
【0034】また、これら成形用部材溶接部から、硬さ
試験片を採取し、溶接部の硬さ試験を実施し、溶接部の
硬さ分布を調査した。また、液圧バルジ試験を実施し
て、溶接部の成形性を調査した。液圧バルジ試験は、つ
ぎの条件で実施した。 張出し径: 150mmの一定 溶接部 :張出し円の中心部におく この方法は、摩擦による変形の不均一がないため、溶接
継手部の変形特性を正しく評価することができる。溶接
部の成形性は破断寸前の塑性ひずみ、すなわち変形限界
ひずみで評価した。各10枚のサンプルに対してバルジ加
工を行い限界ひずみが比較値(溶接なしの原板( 1.4mm
厚)における変形限界ひずみ)より1枚でも大幅に下回
った(1/2 以下)場合を×とした。 これらの結果を表
2に示す。
【0035】
【表1】
【0036】
【表2】
【0037】表2から、本発明例は、剪断加工の破面形
態も所望の形態となって、溶接施工の安定性が高い。ま
た、溶接熱影響部の軟化が鋼板No.15 を除いてなく、ま
た溶接部の硬度も過剰にならず適正で、高密度エネルギ
ービーム溶接性に優れ、さらに溶接部を張出し成形して
も割れ等の発生はみられず、成形性は良好であった。な
お、本発明例の鋼板No.15 は熱延後の冷却において、緩
冷部をなくし後段の冷却速度を低くした、いわゆる前段
急冷型の冷却パターンとした。前段、後段急冷型の方が
良好な特性を得やすいものの、前段急冷型の冷却条件で
も鋼組成に合わせて適正化したものであれば、高エネル
ギービーム溶接性を改善することができる。
【0038】(実施例2)表2に示す鋼板の中から表3
に示す鋼板組合せで原板1および原板2を選択し、実施
例1と同じ条件で炭酸ガスレーザを用いて突合せ溶接
し、成形用部材を作製した。これら部材について実施例
1と同様に、溶接施工性、溶接部硬さ、液圧バルジ試験
によるプレス成形性を調査し、高密度エネルギービーム
溶接性を評価した。その結果を表3に示す。なお、溶接
後のバルジ加工における限界ひずみの比較値としては、
溶接した2種の原板のうち低い方の値を採用した。ま
た、軟化部の有無も低い方の母材硬度を基準に評価し
た。本発明の鋼板同士の組み合わせは、いずれも良好な
結果を示した。なお、本発明の鋼板と比較鋼との組み合
わせでは、比較鋼同士の溶接よりは良好であった。すな
わち、試験したサンプル数(10枚)ではプレス成形に問
題はなかった。ただし、軟化部がわずかに見られたた
め、総合評価は△とした。
【0039】
【表3】
【0040】
【発明の効果】本発明によれば、成形性を損なうことな
く、自動車車体の軽量化や部材の歩留り向上を図ること
ができ、産業上格段の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】剪断加工により形成された鋼板切断面の破面形
態を示す模式図である。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量%で、 C:0.001 〜0.20%、 Si:0.005 〜1.5 %、 Mn:0.05〜3.5 %、 P:0.005 〜0.15%、 S:0.02%以下、 Al:0.005 〜0.2 %、 N:0.02%以下を含み、 Nb:0.005 〜0.20%、Ti:0.005 〜0.20%、V:0.005
    〜0.20%のうちから選ばれた1種または2種以上を含有
    し、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成と、平均
    結晶粒径15μm 以下の母相と、面積率で20%以下の第2
    相を含む組織とからなり、均一伸び10%以上、局部伸び
    5%以上を有することを特徴とする高密度エネルギービ
    ーム溶接に適した熱延鋼板。
  2. 【請求項2】 前記組成に加えて、さらにB:0.0005〜
    0.005 %と、Cu、Ni、Cr、Moのうちから選ばれた1種ま
    たは2種以上を合計で0.005 〜0.20%とのうち少なくと
    も一方を含有することを特徴とする請求項1に記載の熱
    延鋼板。
  3. 【請求項3】 重量%で、Nb:0.005 〜0.20%、Ti:0.
    005 〜0.20%、V:0.005 〜0.20%のうちから選ばれた
    1種または2種以上を含有する組成の鋼素材に、仕上げ
    圧延温度を800 ℃以上、巻取温度を500 ℃以上とする熱
    間圧延を施し、均一伸び10%以上、局部伸び5%以上を
    有する熱延板とすることを特徴とする高密度エネルギー
    ビーム溶接に適した熱延鋼板の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記組成が、重量%で、 C:0.001 〜0.20%、 Si:0.005 〜1.5 %、 Mn:0.05〜3.5 %、 P:0.005 〜0.15%、 S:0.02%以下、 Al:0.005 〜0.2 %、 N:0.02%以下を含み、 Nb:0.005 〜0.20%、Ti:0.005 〜0.20%、V:0.005
    〜0.20%のうちから選ばれた1種または2種以上を含有
    し、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成であるこ
    とを特徴とする請求項3に記載の熱延鋼板の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記組成に加えて、さらにB:0.0005〜
    0.005 %と、Cu、Ni、Cr、Moのうちから選ばれた1種ま
    たは2種以上を合計で0.005 〜0.20%とのうち少なくと
    も一方を含有することを特徴とする請求項3または4に
    記載の熱延鋼板の製造方法。
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