JPH11293430A - 高靱性アルミニウム合金鋳物の製造方法およびそれにより得られる高靱性アルミニウム合金鋳物 - Google Patents
高靱性アルミニウム合金鋳物の製造方法およびそれにより得られる高靱性アルミニウム合金鋳物Info
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- JPH11293430A JPH11293430A JP9768498A JP9768498A JPH11293430A JP H11293430 A JPH11293430 A JP H11293430A JP 9768498 A JP9768498 A JP 9768498A JP 9768498 A JP9768498 A JP 9768498A JP H11293430 A JPH11293430 A JP H11293430A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 短時間の熱処理により高靱性アルミニウム合
金鋳物を得る製造方法およびそれにより得られる高靱性
アルミニウム合金鋳物を提供することである。 【解決手段】 本発明の高靱性アルミニウム合金鋳物の
製造方法は、質量比率で、Si3.5〜5.0%、Mg
0.15〜0.4%、Cu1.0%以下、改良処理剤、
残部実質的にAlおよび不可避的不純物のうち特にFe
0.2%以下の組成を含有する鋳造後のアルミニウム合
金鋳物を、823K(550°C)を超え848K(5
75°C)未満の温度で2〜4時間保持した後急冷する
溶体化処理を行い、しかる後に433K(160°C)
〜453K(180°C)の温度で1〜3時間の時効処
理を施すことを特徴とする。本発明の製造方法により得
られる高靱性アルミニウム合金鋳物は、アルミニウム基
地中の共晶Si粒子の面積が6μm2以下、かつ円形度
が0.55以上を有し、伸びが23%以上、衝撃値が2
3×104J/m2以上を有する。また、引張強さが29
0MPa以上、耐力が200MPa以上である。
金鋳物を得る製造方法およびそれにより得られる高靱性
アルミニウム合金鋳物を提供することである。 【解決手段】 本発明の高靱性アルミニウム合金鋳物の
製造方法は、質量比率で、Si3.5〜5.0%、Mg
0.15〜0.4%、Cu1.0%以下、改良処理剤、
残部実質的にAlおよび不可避的不純物のうち特にFe
0.2%以下の組成を含有する鋳造後のアルミニウム合
金鋳物を、823K(550°C)を超え848K(5
75°C)未満の温度で2〜4時間保持した後急冷する
溶体化処理を行い、しかる後に433K(160°C)
〜453K(180°C)の温度で1〜3時間の時効処
理を施すことを特徴とする。本発明の製造方法により得
られる高靱性アルミニウム合金鋳物は、アルミニウム基
地中の共晶Si粒子の面積が6μm2以下、かつ円形度
が0.55以上を有し、伸びが23%以上、衝撃値が2
3×104J/m2以上を有する。また、引張強さが29
0MPa以上、耐力が200MPa以上である。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高靱性アルミニウ
ム合金鋳物(以下、「アルミ鋳物」という)の製造方法
およびアルミ鋳物に関し、より詳しくは、アルミ鋳物に
最適な熱処理を施すことで、鍛造法に匹敵する大きい伸
び、および高い衝撃性を付与して、自動車用足廻り部品
のホイールやクロスメンバー、冷凍機、圧縮機の高速回
転部品のインペラーなどに適用できるアルミ鋳物の製造
方法およびアルミ鋳物に関する。
ム合金鋳物(以下、「アルミ鋳物」という)の製造方法
およびアルミ鋳物に関し、より詳しくは、アルミ鋳物に
最適な熱処理を施すことで、鍛造法に匹敵する大きい伸
び、および高い衝撃性を付与して、自動車用足廻り部品
のホイールやクロスメンバー、冷凍機、圧縮機の高速回
転部品のインペラーなどに適用できるアルミ鋳物の製造
方法およびアルミ鋳物に関する。
【0002】
【従来の技術】自動車用足廻り部品のホイールは、鋼板
を加工して製作されるものもあるが、軽量化、意匠(デ
ザイン)性などから、アルミ鋳物(例えば(JIS)A
C4CH材)でも製作されてきている。また、クロスメ
ンバーも、軽量化を目的にアルミ鋳物で製作されようと
している。しかし、従来のアルミ鋳物は、まだまだ伸び
や衝撃値などの靱性や、強度が小さい。このため、アル
ミ鋳物は、ホイールやクロスメンバーでも比較的中型以
下の自動車に適用されているにすぎず、トラック用のホ
イールなど比較的大型の自動車にはアルミニウム合金鍛
造品(例えば(JIS)H400での合金番号6061
(化学成分は重量%で、Si:0.40〜0.8%、F
e:0.7%以下、Cu:0.15〜0.40%、M
n:0.15%以下、Mg:0.8〜1.2%、Cr:
0.04〜0.35%、Zn:0.25%以下、Ti:
0.15%以下、その他:0.15%以下、残部Al)
など)が用いられてきている。
を加工して製作されるものもあるが、軽量化、意匠(デ
ザイン)性などから、アルミ鋳物(例えば(JIS)A
C4CH材)でも製作されてきている。また、クロスメ
ンバーも、軽量化を目的にアルミ鋳物で製作されようと
している。しかし、従来のアルミ鋳物は、まだまだ伸び
や衝撃値などの靱性や、強度が小さい。このため、アル
ミ鋳物は、ホイールやクロスメンバーでも比較的中型以
下の自動車に適用されているにすぎず、トラック用のホ
イールなど比較的大型の自動車にはアルミニウム合金鍛
造品(例えば(JIS)H400での合金番号6061
(化学成分は重量%で、Si:0.40〜0.8%、F
e:0.7%以下、Cu:0.15〜0.40%、M
n:0.15%以下、Mg:0.8〜1.2%、Cr:
0.04〜0.35%、Zn:0.25%以下、Ti:
0.15%以下、その他:0.15%以下、残部Al)
など)が用いられてきている。
【0003】アルミニウム合金鍛造品は、靱性および伸
びが大きく、また内部欠陥が少ないので強度に優れるな
ど、信頼性が高い。しかし製造コストが高く、更に好み
の意匠を得ることが難しいなどの課題がある。一方、ト
ラック用のホイールなど比較的大型の部品をアルミ鋳物
で製造しようとしてアルミ鍛造品と同等の靱性や強度を
与えるには、部品を厚肉に構成しなければならならず、
重量が増加してしまい、軽量化することが難しい。
びが大きく、また内部欠陥が少ないので強度に優れるな
ど、信頼性が高い。しかし製造コストが高く、更に好み
の意匠を得ることが難しいなどの課題がある。一方、ト
ラック用のホイールなど比較的大型の部品をアルミ鋳物
で製造しようとしてアルミ鍛造品と同等の靱性や強度を
与えるには、部品を厚肉に構成しなければならならず、
重量が増加してしまい、軽量化することが難しい。
【0004】アルミ鋳物で、アルミニウム合金鍛造品並
みの高強度、高靱性を出そうと、特開平5−5148号
公報には、重量%で、Si:2.5〜4.4%、Cu:
1.5〜2.5%、Mg:0.2〜0.5%、またはさ
らにSr:0.005〜0.2%を含み、残部Alとな
る溶湯を250〜1500kgf/mm2で加圧して金
型に鋳込み、得られた部材を溶体化処理する開示があ
る。
みの高強度、高靱性を出そうと、特開平5−5148号
公報には、重量%で、Si:2.5〜4.4%、Cu:
1.5〜2.5%、Mg:0.2〜0.5%、またはさ
らにSr:0.005〜0.2%を含み、残部Alとな
る溶湯を250〜1500kgf/mm2で加圧して金
型に鋳込み、得られた部材を溶体化処理する開示があ
る。
【0005】一方、本発明者らは、先に特開平7−31
0150号公報および特開平7−310151号公報と
して、(JIS)AC4CHなどのAl−Si系で鋳造
したアルミ鋳物を、急速に昇温して共晶点近傍(例えば
570℃)に到達した後急冷、または離型後直ちに急冷
し、しかる後時効処理を行う、特に高温短時間の溶体化
処理により、通常行われる793K(520℃)〜82
3K(550℃)で4〜6時間の溶体化処理に匹敵する
引張強さ、衝撃値を経済的に得る提案をしている。
0150号公報および特開平7−310151号公報と
して、(JIS)AC4CHなどのAl−Si系で鋳造
したアルミ鋳物を、急速に昇温して共晶点近傍(例えば
570℃)に到達した後急冷、または離型後直ちに急冷
し、しかる後時効処理を行う、特に高温短時間の溶体化
処理により、通常行われる793K(520℃)〜82
3K(550℃)で4〜6時間の溶体化処理に匹敵する
引張強さ、衝撃値を経済的に得る提案をしている。
【0006】しかしながら、上記特開平5−5148号
公報では、Si:2.5〜4.4重量%として、金型へ
の加圧鋳造により伸びを10〜12%として引張強さを
向上させているが、反面、Cuをこのように多量に含有
させると耐食性が劣化するおそれがある。トラック用ホ
イールのように頻繁に雨水に曝される部品等の場合に
は、引張強さが損われない範囲でCu含有量は少ないほ
うがよい。また、特開平5−5148号公報では、加圧
鋳造法のうち溶湯鍛造により製造しているが、トラック
用ホイールなどの大型部品に対しては加圧鋳造装置が大
がかりとなってコストが上昇し、経済的に製造すること
が難しい。また、Cu:1.5〜2.5重量%含有させ
ると共晶Siの偏析が発生し易く、機械的性質がバラツ
クことがある。
公報では、Si:2.5〜4.4重量%として、金型へ
の加圧鋳造により伸びを10〜12%として引張強さを
向上させているが、反面、Cuをこのように多量に含有
させると耐食性が劣化するおそれがある。トラック用ホ
イールのように頻繁に雨水に曝される部品等の場合に
は、引張強さが損われない範囲でCu含有量は少ないほ
うがよい。また、特開平5−5148号公報では、加圧
鋳造法のうち溶湯鍛造により製造しているが、トラック
用ホイールなどの大型部品に対しては加圧鋳造装置が大
がかりとなってコストが上昇し、経済的に製造すること
が難しい。また、Cu:1.5〜2.5重量%含有させ
ると共晶Siの偏析が発生し易く、機械的性質がバラツ
クことがある。
【0007】自動車用足廻り部品のホイールやクロスメ
ンバー、冷凍機、圧縮機の高速回転部品のインペラーな
どの部品においては、特に、伸び、衝撃値、引張強さ、
耐力などの機械的性質が重要である。前記特開平5−5
148号公報、特開平7−310150号公報および特
開平7−310151号公報によっても、伸びは7〜1
2%程度、衝撃値は8〜13×104J/m2 程度であ
り、また、引張 強さは260〜330MPa程度であ
り、自動車用足廻り部品や高速回転部品などに適用する
には機械的性質を更に向上する必要がある。
ンバー、冷凍機、圧縮機の高速回転部品のインペラーな
どの部品においては、特に、伸び、衝撃値、引張強さ、
耐力などの機械的性質が重要である。前記特開平5−5
148号公報、特開平7−310150号公報および特
開平7−310151号公報によっても、伸びは7〜1
2%程度、衝撃値は8〜13×104J/m2 程度であ
り、また、引張 強さは260〜330MPa程度であ
り、自動車用足廻り部品や高速回転部品などに適用する
には機械的性質を更に向上する必要がある。
【0008】本発明者らは、前記特開平5−5148号
公報、特開平7−310150号公報および特開平7−
310151号公報に開示の特性をさらに向上させよう
と、特開平9−272942号公報として、重量比率
で、Si:1.65〜5.0%、Mg:0.2〜0.4
%、Fe:0.2%以下、残部実質的にAlおよび不可
避的不純物の組成を含有する鋳造後のアルミ鋳物を、8
23K(550℃)をこえ848K(575℃)の温度
に到達後急冷する溶体化処理を行い、しかる後に413
K(140℃)〜473K(200℃)の温度で8〜5
5時間の時効処理を行う熱処理を施すことで、Si含有
量の少ないアルミ鋳物で、伸び、衝撃値などの靱性に加
え、引張強さ、耐力を確保する技術を開示している。
公報、特開平7−310150号公報および特開平7−
310151号公報に開示の特性をさらに向上させよう
と、特開平9−272942号公報として、重量比率
で、Si:1.65〜5.0%、Mg:0.2〜0.4
%、Fe:0.2%以下、残部実質的にAlおよび不可
避的不純物の組成を含有する鋳造後のアルミ鋳物を、8
23K(550℃)をこえ848K(575℃)の温度
に到達後急冷する溶体化処理を行い、しかる後に413
K(140℃)〜473K(200℃)の温度で8〜5
5時間の時効処理を行う熱処理を施すことで、Si含有
量の少ないアルミ鋳物で、伸び、衝撃値などの靱性に加
え、引張強さ、耐力を確保する技術を開示している。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、特開平
9−272942号公報では、熱処理のうちの時効処理
に要する時間が8〜55時間と長時間になり、まだまだ
経済的ではない。このため、さらに経済的に、伸び、衝
撃値などの靱性に加え、引張強さ、耐力を確保できる製
造方法の開発が望まれていた。本発明の課題は、経済的
に、機械的性質すなわち伸び、衝撃値などの靱性に加
え、引張強さ、耐力を有するアルミ鋳物の製造方法およ
びアルミ鋳物を得ることにある。
9−272942号公報では、熱処理のうちの時効処理
に要する時間が8〜55時間と長時間になり、まだまだ
経済的ではない。このため、さらに経済的に、伸び、衝
撃値などの靱性に加え、引張強さ、耐力を確保できる製
造方法の開発が望まれていた。本発明の課題は、経済的
に、機械的性質すなわち伸び、衝撃値などの靱性に加
え、引張強さ、耐力を有するアルミ鋳物の製造方法およ
びアルミ鋳物を得ることにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、経済的に
製造できて、かつ上記特性を得るために、Si量を低く
抑えて靱性を確保し、かつCu量を少なくして耐食性を
確保したアルミ合金組成とし、この組成に溶体化処理お
よび時効処理を組み合わせ、継続して鋭意研究を行っ
た。そして、Si:3.5〜4.5%と低く抑え、鋳造
後のアルミ鋳物を、823K(550℃)を超え848
K(575℃)未満の温度で2〜4時間保持した後急冷
する溶体化処理を行い、しかる後に433K(160
℃)〜453K(180℃)の温度で1〜3時間の時効
処理を施すことにより、時効処理時間を含む熱処理時間
が短縮され、しかも、伸び、衝撃値などの靱性が格段に
優れるアルミ鋳物が得られることを見出し本発明に想到
した。
製造できて、かつ上記特性を得るために、Si量を低く
抑えて靱性を確保し、かつCu量を少なくして耐食性を
確保したアルミ合金組成とし、この組成に溶体化処理お
よび時効処理を組み合わせ、継続して鋭意研究を行っ
た。そして、Si:3.5〜4.5%と低く抑え、鋳造
後のアルミ鋳物を、823K(550℃)を超え848
K(575℃)未満の温度で2〜4時間保持した後急冷
する溶体化処理を行い、しかる後に433K(160
℃)〜453K(180℃)の温度で1〜3時間の時効
処理を施すことにより、時効処理時間を含む熱処理時間
が短縮され、しかも、伸び、衝撃値などの靱性が格段に
優れるアルミ鋳物が得られることを見出し本発明に想到
した。
【0011】すなわち、第1発明の高靱性アルミ鋳物の
製造方法は、質量比率で、Si:3.5〜4.5%、M
g:0.15〜0.4%、Cu:1.0%以下、改良処
理剤、残部実質的にAlおよび不可避的不純物のうち特
にFe:0.2%以下の組成を含有する鋳造後のアルミ
鋳物を、823K(550℃)を超え848K(575
℃)未満の温度で2〜4時間保持した後急冷する溶体化
処理を行い、しかる後に433K(160℃)〜453
K(180℃)の温度で1〜3時間の時効処理を施すこ
とを特徴とする。
製造方法は、質量比率で、Si:3.5〜4.5%、M
g:0.15〜0.4%、Cu:1.0%以下、改良処
理剤、残部実質的にAlおよび不可避的不純物のうち特
にFe:0.2%以下の組成を含有する鋳造後のアルミ
鋳物を、823K(550℃)を超え848K(575
℃)未満の温度で2〜4時間保持した後急冷する溶体化
処理を行い、しかる後に433K(160℃)〜453
K(180℃)の温度で1〜3時間の時効処理を施すこ
とを特徴とする。
【0012】また、第2発明の高靱性アルミ鋳物は、質
量比率で、Si:3.5〜4.5%、Mg:0.15〜
0.4%、Cu:1.0%以下、改良処理剤、残部実質
的にAlおよび不可避的不純物のうち特にFe:0.2
%以下の組成を含有する鋳造後のアルミニウム合金鋳物
を、823K(550℃)を超え848K(575℃)
未満の温度で2〜4時間保持した後急冷する溶体化処理
を行い、しかる後に433K(160℃)〜453K
(180℃)の温度で1〜3時間の時効処理を施すこと
により、アルミニウム基地中の共晶Si粒子の面積が6
μm2以下、かつ円形度が0.55以上を有し、伸びが
23%以上、かつ衝撃値が23×104J/m2以上有す
ることを特徴とする。
量比率で、Si:3.5〜4.5%、Mg:0.15〜
0.4%、Cu:1.0%以下、改良処理剤、残部実質
的にAlおよび不可避的不純物のうち特にFe:0.2
%以下の組成を含有する鋳造後のアルミニウム合金鋳物
を、823K(550℃)を超え848K(575℃)
未満の温度で2〜4時間保持した後急冷する溶体化処理
を行い、しかる後に433K(160℃)〜453K
(180℃)の温度で1〜3時間の時効処理を施すこと
により、アルミニウム基地中の共晶Si粒子の面積が6
μm2以下、かつ円形度が0.55以上を有し、伸びが
23%以上、かつ衝撃値が23×104J/m2以上有す
ることを特徴とする。
【0013】また、第3発明の高靱性アルミ鋳物は、質
量比率で、Si:3.5〜4.5%、Mg:0.15〜
0.4%、Cu:1.0%以下、改良処理剤、残部実質
的にAlおよび不可避的不純物のうち特にFe:0.2
%以下の組成を含有する鋳造後のアルミニウム合金鋳物
を、823K(550℃)を超え848K(575℃)
未満の温度で2〜4時間保持した後急冷する溶体化処理
を行い、しかる後に433K(160℃)〜453K
(180℃)の温度で1〜3時間の時効処理を施すこと
により、アルミニウム基地中の共晶Si粒子の面積が6
μm2以下、かつ円形度が0.55以上 を有し、伸びが
23%以上、かつ衝撃値が23×104J/m2以上、引
張強さが290MPa以上、耐力が200MPa以上を
有することを特徴とする。なお、第1発明〜第3発明で
の改良処理剤としては、Sr:0.0004〜0.00
2%および/またはTi:0.25%以下である。
量比率で、Si:3.5〜4.5%、Mg:0.15〜
0.4%、Cu:1.0%以下、改良処理剤、残部実質
的にAlおよび不可避的不純物のうち特にFe:0.2
%以下の組成を含有する鋳造後のアルミニウム合金鋳物
を、823K(550℃)を超え848K(575℃)
未満の温度で2〜4時間保持した後急冷する溶体化処理
を行い、しかる後に433K(160℃)〜453K
(180℃)の温度で1〜3時間の時効処理を施すこと
により、アルミニウム基地中の共晶Si粒子の面積が6
μm2以下、かつ円形度が0.55以上 を有し、伸びが
23%以上、かつ衝撃値が23×104J/m2以上、引
張強さが290MPa以上、耐力が200MPa以上を
有することを特徴とする。なお、第1発明〜第3発明で
の改良処理剤としては、Sr:0.0004〜0.00
2%および/またはTi:0.25%以下である。
【0014】以下、本発明での化学組成(質量%)およ
び熱処理条件の限定理由を説明する。 (1)Si:3.5〜4.5% Siは、伸び、衝撃値などの靱性、および湯流れ性など
鋳造性等に影響を及ぼす。Siが3.5%未満では湯流
れ性が悪くなる。一方、Siが4.5%を超えると、ア
ルミニウム基地中の共晶Si粒子の面積が増加し、共晶
Siがネットワーク状になって、伸び、衝撃値などの靱
性を低下させる。従って、Si:3.5〜4.5%とす
る。最も好ましくは、Si:4.0〜4.5%とする。
び熱処理条件の限定理由を説明する。 (1)Si:3.5〜4.5% Siは、伸び、衝撃値などの靱性、および湯流れ性など
鋳造性等に影響を及ぼす。Siが3.5%未満では湯流
れ性が悪くなる。一方、Siが4.5%を超えると、ア
ルミニウム基地中の共晶Si粒子の面積が増加し、共晶
Siがネットワーク状になって、伸び、衝撃値などの靱
性を低下させる。従って、Si:3.5〜4.5%とす
る。最も好ましくは、Si:4.0〜4.5%とする。
【0015】(2)Mg:0.15〜0.4% Mgは、溶体化処理および時効処理を施す熱処理によ
り、Mg2Siを析出して強度の向上に有効に寄与す
る。Mgが0.15%未満では強度の向上に効果が少な
い。一方、Mgが0.4%を超えると、Mg2Siの析
出が過多となるきらいがあり、靱性を低下させる。従っ
て、Mg:0.15〜0.4%とする。最も好ましく
は、Mg:0.15〜0.2%とする。
り、Mg2Siを析出して強度の向上に有効に寄与す
る。Mgが0.15%未満では強度の向上に効果が少な
い。一方、Mgが0.4%を超えると、Mg2Siの析
出が過多となるきらいがあり、靱性を低下させる。従っ
て、Mg:0.15〜0.4%とする。最も好ましく
は、Mg:0.15〜0.2%とする。
【0016】(3)Cu:1.0%以下 Cuは、強度向上に有効であるが、耐食性を劣化させ
る。トラック用ホイールのように頻繁に雨水に曝される
部品等の場合には、強度が損われない限り、Cuは少な
いほうがよい。従ってCu:1.0%以下とする。好ま
しくはCu:0.3%以下とする。
る。トラック用ホイールのように頻繁に雨水に曝される
部品等の場合には、強度が損われない限り、Cuは少な
いほうがよい。従ってCu:1.0%以下とする。好ま
しくはCu:0.3%以下とする。
【0017】(4)Fe:0.2%以下 不可避的不純物としてFeは、多量に存在すると針状晶
を形成し、0.2%を超えると靱性の低下を 招く。従
って、Fe:0.2%以下とする。
を形成し、0.2%を超えると靱性の低下を 招く。従
って、Fe:0.2%以下とする。
【0018】(5)Sr:0.0004〜0.002% Srは、共晶Siの微細化および球状化による改良処理
に有効な元素である。共晶Siの微細化により強度およ
び靱性ともに改善される。Srが0.0004%未満で
は、靱性、強度の改良効果が少ない。一方、Srが0.
002%を超えると、引けに及ぼす影響が大きく、また
ピンホールなどの鋳造欠陥の発生を助長する。従って、
Sr:0.0004〜0.002%とする。好ましく
は、Sr:0.0008〜0.010%とする。
に有効な元素である。共晶Siの微細化により強度およ
び靱性ともに改善される。Srが0.0004%未満で
は、靱性、強度の改良効果が少ない。一方、Srが0.
002%を超えると、引けに及ぼす影響が大きく、また
ピンホールなどの鋳造欠陥の発生を助長する。従って、
Sr:0.0004〜0.002%とする。好ましく
は、Sr:0.0008〜0.010%とする。
【0019】(6)Ti:0.25%以下 Tiは、結晶粒を微細化させ、靱性の向上に有効な元素
であるが、0.25%を超えて含有させてもその効果の
向上は望めず、かえってAl−Ti系の化合物を晶出し
て靱性を低下させる。従って、Ti:0.25%以下と
する。好ましくは、Ti:0.2%以下とする。
であるが、0.25%を超えて含有させてもその効果の
向上は望めず、かえってAl−Ti系の化合物を晶出し
て靱性を低下させる。従って、Ti:0.25%以下と
する。好ましくは、Ti:0.2%以下とする。
【0020】(7)溶体化処理:823K(550℃)
を超え848K(575℃)未満の温度で2〜4時間保
持した後、冷水による急冷 550℃を超え575℃未満の温度に到達したらただち
に水中焼入れ急冷する溶体化処理により、凝固過程で生
じた偏析の多くがアルミ基地中に固溶され均一分散され
る。またSiやMgも同様に固溶され均一分散される。
そして、その後に行う時効処理によってMg2Si析出
し、鋳造後のアルミ鋳物に靱性と引張強さなどの機械的
性質を向上させる。823K(550℃)以下の温度で
溶体化処理したのでは、共晶Si粒子の真円度の向上、
共晶Si粒子の微細化および分散化効果が少なく、これ
らの効果を付与するには長時間を必要とするが、823
K(550℃)を超える高温で短時間の溶体化処理によ
って、共晶Si粒子の真円度が向上し、共晶Si粒子の
微細化および分散化が起こる。一方、溶体化処理温度が
848K(575℃)以上では共晶地が溶融するので、
上限温度を848K(575℃)未満とする。従って溶
体化処理温度は、823K(550℃)を超え848K
(575℃)未満とする。また、823K(550℃)
を超え848K(575℃)未満の温度に2〜4時間保
持することにより、上記効果が得られる。
を超え848K(575℃)未満の温度で2〜4時間保
持した後、冷水による急冷 550℃を超え575℃未満の温度に到達したらただち
に水中焼入れ急冷する溶体化処理により、凝固過程で生
じた偏析の多くがアルミ基地中に固溶され均一分散され
る。またSiやMgも同様に固溶され均一分散される。
そして、その後に行う時効処理によってMg2Si析出
し、鋳造後のアルミ鋳物に靱性と引張強さなどの機械的
性質を向上させる。823K(550℃)以下の温度で
溶体化処理したのでは、共晶Si粒子の真円度の向上、
共晶Si粒子の微細化および分散化効果が少なく、これ
らの効果を付与するには長時間を必要とするが、823
K(550℃)を超える高温で短時間の溶体化処理によ
って、共晶Si粒子の真円度が向上し、共晶Si粒子の
微細化および分散化が起こる。一方、溶体化処理温度が
848K(575℃)以上では共晶地が溶融するので、
上限温度を848K(575℃)未満とする。従って溶
体化処理温度は、823K(550℃)を超え848K
(575℃)未満とする。また、823K(550℃)
を超え848K(575℃)未満の温度に2〜4時間保
持することにより、上記効果が得られる。
【0021】(8)時効処理:高温溶体化処理後、続い
て高温度で短時間の時効処理 前記高温溶体化処理に続いて、433K(160℃)〜
453K(180℃)の温度で1〜3時間保持する高温
で短時間の時効処理を行う。通常の時効処理は、418
K(145℃)×6時間で行われるが、本発明において
は、433K(160℃)以上の温度で1時間以上保持
することでMg2Siの析出量を増加促進させて強度の
向上を図る。一方、時効処理温度を453K(180
℃)を超えて高くしてもMg2Siの促進が飽和し、こ
れを超えて行うと過時効状態となりMg2Siが再固溶
して強度が低下する。
て高温度で短時間の時効処理 前記高温溶体化処理に続いて、433K(160℃)〜
453K(180℃)の温度で1〜3時間保持する高温
で短時間の時効処理を行う。通常の時効処理は、418
K(145℃)×6時間で行われるが、本発明において
は、433K(160℃)以上の温度で1時間以上保持
することでMg2Siの析出量を増加促進させて強度の
向上を図る。一方、時効処理温度を453K(180
℃)を超えて高くしてもMg2Siの促進が飽和し、こ
れを超えて行うと過時効状態となりMg2Siが再固溶
して強度が低下する。
【0022】
【発明の実施の形態】以下、発明の実施の形態を説明す
る。 (実施の形態) Si:3〜4%、Mg:0.3〜0.4%、0.3%、
Fe:0.1%、Cu:0.5%、Sr:80〜100
ppm、Ti:0.15〜0.2%、残部実質的にAl
および不可避的不純物のアルミニウム合金となるように
溶湯を調整し、低圧鋳造装置により鋳造してトラック用
ホイールを作製した。低圧鋳造装置は、金型に形成され
たトラック用ホイールのキャビティと、キャビティと溶
湯の保持炉を接続するストークとを備えている。保持炉
では溶湯を温度が720℃となるよう保持および加熱を
行い、保持炉内を2MPaに加圧し、ストークを介して
上部の金型キャビティ内に注入した。このとき、金型温
度は350℃に制御しながら行った。キャビティ内でア
ルミ鋳物が凝固した後、低圧鋳造装置から取り出し、熱
処理(T6処理)を施した。
る。 (実施の形態) Si:3〜4%、Mg:0.3〜0.4%、0.3%、
Fe:0.1%、Cu:0.5%、Sr:80〜100
ppm、Ti:0.15〜0.2%、残部実質的にAl
および不可避的不純物のアルミニウム合金となるように
溶湯を調整し、低圧鋳造装置により鋳造してトラック用
ホイールを作製した。低圧鋳造装置は、金型に形成され
たトラック用ホイールのキャビティと、キャビティと溶
湯の保持炉を接続するストークとを備えている。保持炉
では溶湯を温度が720℃となるよう保持および加熱を
行い、保持炉内を2MPaに加圧し、ストークを介して
上部の金型キャビティ内に注入した。このとき、金型温
度は350℃に制御しながら行った。キャビティ内でア
ルミ鋳物が凝固した後、低圧鋳造装置から取り出し、熱
処理(T6処理)を施した。
【0023】以下、(1)溶体化処理条件の共晶Si粒
子の形態に及ぼす影響、(2)溶体化処理条件と機械的
性質との関係、(3)時効処理条件と機械的性質との関
係について、順次説明する。 (1)溶体化処理条件の共晶Si粒子の形態に及ぼす影
響 溶体化処理条件を表1の〜の6条件で溶体化処理を
行い、共晶Si粒子の形態を調べた。そして、光学顕微
鏡で観察した金属組織写真を図1〜図6(図1〜図6と
も同倍率)に示す。
子の形態に及ぼす影響、(2)溶体化処理条件と機械的
性質との関係、(3)時効処理条件と機械的性質との関
係について、順次説明する。 (1)溶体化処理条件の共晶Si粒子の形態に及ぼす影
響 溶体化処理条件を表1の〜の6条件で溶体化処理を
行い、共晶Si粒子の形態を調べた。そして、光学顕微
鏡で観察した金属組織写真を図1〜図6(図1〜図6と
も同倍率)に示す。
【0024】
【表1】 溶体化処理 No. 温度(K)(℃) 保持時間 共晶Si粒子の形態 1 854K(581℃) なし 図1 2 848K(575℃) なし 図2 3 848K(575℃) 3時間 図3 4 838K(565℃) なし 図4 5 838K(565℃) 3時間 図5 6 838K(565℃) 8時間 図6
【0025】No.1は、高温の854K(581℃)
で、保持時間なしの条件で溶体化処理したにもかかわら
ず、図1の金属組織顕微鏡写真に示すとおり一部に溶解
がみられる。No.2の、848K(575℃)で、保
持時間なしで溶体化処理したものは、図2に示すとお
り、共晶Si粒子が微細ではあるが、円形度が0.55
未満の約0.52と悪い。なお、円形度1が真円であ
る。No.3の、848K(575℃)で、3時間保持
して溶体化処理したものは、図3に示すとおり、共晶S
i粒子の凝集が生じて粗大化している。No.4の、8
38K(565℃)で、保持時間なしで溶体化処理した
ものは、図4に示すとおり、共晶Si粒子が微細ではあ
るが、円形度が0.55未満の約0.52と悪い。N
o.5の838K(565℃)で、3時間保持して溶体
化処理を施した場合には、共晶Si粒子が微細で、かつ
円形度も0.52以上の0.58と良好であった。N
o.6の、838K(565℃)で、8時間保持して溶
体化処理したものは、図6に示すとおり、共晶Si粒子
の凝集が生じて粗大化している。
で、保持時間なしの条件で溶体化処理したにもかかわら
ず、図1の金属組織顕微鏡写真に示すとおり一部に溶解
がみられる。No.2の、848K(575℃)で、保
持時間なしで溶体化処理したものは、図2に示すとお
り、共晶Si粒子が微細ではあるが、円形度が0.55
未満の約0.52と悪い。なお、円形度1が真円であ
る。No.3の、848K(575℃)で、3時間保持
して溶体化処理したものは、図3に示すとおり、共晶S
i粒子の凝集が生じて粗大化している。No.4の、8
38K(565℃)で、保持時間なしで溶体化処理した
ものは、図4に示すとおり、共晶Si粒子が微細ではあ
るが、円形度が0.55未満の約0.52と悪い。N
o.5の838K(565℃)で、3時間保持して溶体
化処理を施した場合には、共晶Si粒子が微細で、かつ
円形度も0.52以上の0.58と良好であった。N
o.6の、838K(565℃)で、8時間保持して溶
体化処理したものは、図6に示すとおり、共晶Si粒子
の凝集が生じて粗大化している。
【0026】そこで、図1〜図6について、共晶Si粒
子の面積、円形度を測定した。なお、円形度=(粒子面
積)/(計測した粒子と同じ周囲長さ(I)を持つ円の
面積)=4πS/I2で表す。画像解析でSi粒子を5
00〜1000ケぐらい測定し、その後統計処理にて求
める。共晶Si粒子の面積(μm2 )と溶体化処理時間
との関係を図7に、また共晶Si粒子の円形度と溶体化
処理時間との関係を図8に示す。なお、図7と図8にお
いて、黒四角印で示す「As Cast」は「鋳放し状
態のもの」、白三角印で示す「854K S.T.」は
「854K(581℃)の温度で溶体化処理(Solu
tion Treatment)を施したもの」、白丸
印で示す「848K S.T.」は「848K(575
℃)の温度で溶体化処理を施したもの」、および黒菱形
印で示す「838K S.T.」は「838K(565
℃)の温度で溶体化処理を施したもの」を意味する。
子の面積、円形度を測定した。なお、円形度=(粒子面
積)/(計測した粒子と同じ周囲長さ(I)を持つ円の
面積)=4πS/I2で表す。画像解析でSi粒子を5
00〜1000ケぐらい測定し、その後統計処理にて求
める。共晶Si粒子の面積(μm2 )と溶体化処理時間
との関係を図7に、また共晶Si粒子の円形度と溶体化
処理時間との関係を図8に示す。なお、図7と図8にお
いて、黒四角印で示す「As Cast」は「鋳放し状
態のもの」、白三角印で示す「854K S.T.」は
「854K(581℃)の温度で溶体化処理(Solu
tion Treatment)を施したもの」、白丸
印で示す「848K S.T.」は「848K(575
℃)の温度で溶体化処理を施したもの」、および黒菱形
印で示す「838K S.T.」は「838K(565
℃)の温度で溶体化処理を施したもの」を意味する。
【0027】図7と図8において、白丸印で示す溶体化
処理温度が848K(575℃)のものでは、溶体化処
理時間の増加に伴って共晶Si粒子の面積が増加し、溶
体化処理時間が5時間では面積が17.3μm2と大き
い。一方、共晶Si粒子の円形度は溶体化処理時間の増
加に伴って逆に低下し、溶体化処理時間が5時間では円
形度は0.52と低くなる。溶体化処理温度が最高の8
54K(581℃)では、図1に示すように、一部に溶
融が見られたので、854K(581℃)で所定時間保
持する加熱処理は省略している。
処理温度が848K(575℃)のものでは、溶体化処
理時間の増加に伴って共晶Si粒子の面積が増加し、溶
体化処理時間が5時間では面積が17.3μm2と大き
い。一方、共晶Si粒子の円形度は溶体化処理時間の増
加に伴って逆に低下し、溶体化処理時間が5時間では円
形度は0.52と低くなる。溶体化処理温度が最高の8
54K(581℃)では、図1に示すように、一部に溶
融が見られたので、854K(581℃)で所定時間保
持する加熱処理は省略している。
【0028】黒菱形印で示す溶体化処理温度838K
(565℃)では、溶体化処理時間の増加に伴って共晶
Si粒子の面積も増加し、溶体化処理時間3〜5時間で
ほぼその増加が飽和し、面積約6μm2と小さく、溶体
化処理時間の変化に対してもその変化は小さい。一方、
円形度は溶体化処理時間5時間で最大の約0.6に達
し、他の溶体化処理温度で処理したものよりも高い値を
示した。以上より、溶体化処理温度は838K(565
℃)が好ましい。
(565℃)では、溶体化処理時間の増加に伴って共晶
Si粒子の面積も増加し、溶体化処理時間3〜5時間で
ほぼその増加が飽和し、面積約6μm2と小さく、溶体
化処理時間の変化に対してもその変化は小さい。一方、
円形度は溶体化処理時間5時間で最大の約0.6に達
し、他の溶体化処理温度で処理したものよりも高い値を
示した。以上より、溶体化処理温度は838K(565
℃)が好ましい。
【0029】(2)溶体化処理条件と機械的性質との関
係 次に、溶体化処理条件と機械的性質との関係について説
明する。図9〜図11に、溶体化処理条件と、0.2%
耐力、破断伸びおよび吸収エネルギー(衝撃値)の関係
を示す。白丸印で示す溶体化処理温度848K(575
℃)では、0.2%耐力は溶体化処理時間の増加に対し
て向上する(図9)が、破断伸びおよび吸収エネルギー
(衝撃値)は逆に著しい低下を示してる(図10および
図11)。黒菱形印で示す溶体化処理温度が838K
(565℃)では、溶体化処理時間の増加に対して0.
2%耐力は約140MPaと変わらないが、破断伸びお
よび吸収エネルギー(衝撃値)は、破断伸びが約25%
以上で、吸収エネルギー(衝撃値)は約34×104J
/m2以上となり、本実施例においては溶体化処理を、
温度838K(565℃)で3時間保持したものが最も
良好な結果を得た。
係 次に、溶体化処理条件と機械的性質との関係について説
明する。図9〜図11に、溶体化処理条件と、0.2%
耐力、破断伸びおよび吸収エネルギー(衝撃値)の関係
を示す。白丸印で示す溶体化処理温度848K(575
℃)では、0.2%耐力は溶体化処理時間の増加に対し
て向上する(図9)が、破断伸びおよび吸収エネルギー
(衝撃値)は逆に著しい低下を示してる(図10および
図11)。黒菱形印で示す溶体化処理温度が838K
(565℃)では、溶体化処理時間の増加に対して0.
2%耐力は約140MPaと変わらないが、破断伸びお
よび吸収エネルギー(衝撃値)は、破断伸びが約25%
以上で、吸収エネルギー(衝撃値)は約34×104J
/m2以上となり、本実施例においては溶体化処理を、
温度838K(565℃)で3時間保持したものが最も
良好な結果を得た。
【0030】(3)時効処理条件と機械的性質との関係 次に、時効処理条件と機械的性質との関係について説明
する。時効処理を高温側の443K(170℃)と低温
側の418K(145℃)で行い、時効処理条件に対す
る、引張強さ、0.2%耐力、破断伸びなどの機械的性
質を調べた。その結果を、図12〜図15に示す。な
お、図12〜図15において横軸に示す時効処理時間は
ks(キロ秒)を対数目盛表示である。図12の時効処
理時間と引張強さとの関係を示す図から、時効処理時間
の増加に対して引張強さは向上(増加)している。白三
角印で示す高温側の443K(170℃)の場合、約1
04秒(約2.8時間)で引張強さは飽和し、最高値は
約320MPaである。一方、白丸印で示す低温側の4
18K(145℃)の場合、約7×102キロ秒(約1
90時間、即ち約8日)の長時間 で引張強さは飽和
し、高温側の443K(170℃)で約2.8時間の時
効処理で得られる引張強さ約320MPaと同等あるい
は若干高い値を示している。図13の時効処理時間と
0.2%耐力との関係を示す図から、図12の時効処理
時間と引張強さとの関係と同様に、時効処理時間の増加
に対して0.2%耐力が向上(増加)している。
する。時効処理を高温側の443K(170℃)と低温
側の418K(145℃)で行い、時効処理条件に対す
る、引張強さ、0.2%耐力、破断伸びなどの機械的性
質を調べた。その結果を、図12〜図15に示す。な
お、図12〜図15において横軸に示す時効処理時間は
ks(キロ秒)を対数目盛表示である。図12の時効処
理時間と引張強さとの関係を示す図から、時効処理時間
の増加に対して引張強さは向上(増加)している。白三
角印で示す高温側の443K(170℃)の場合、約1
04秒(約2.8時間)で引張強さは飽和し、最高値は
約320MPaである。一方、白丸印で示す低温側の4
18K(145℃)の場合、約7×102キロ秒(約1
90時間、即ち約8日)の長時間 で引張強さは飽和
し、高温側の443K(170℃)で約2.8時間の時
効処理で得られる引張強さ約320MPaと同等あるい
は若干高い値を示している。図13の時効処理時間と
0.2%耐力との関係を示す図から、図12の時効処理
時間と引張強さとの関係と同様に、時効処理時間の増加
に対して0.2%耐力が向上(増加)している。
【0031】一般に、低温側での時効処理では、引張強
さおよび0.2%耐力が最高値に達して飽和するのに長
時間を要し、高温側での時効処理では、引張強さおよび
0.2%耐力が最高値に達して飽和するのに短時間で済
む。引張強さおよび0.2%耐力の最高値は、低温側で
長時間の時効処理するよりも、高温側で時効処理する方
が、低い値で飽和すると言われている。しかし、満足で
きる所望の強度が短時間の処理で得られることが作業効
率向上やエネルギー低減等の面から良いので、高温短時
間の時効処理を採用する方が好ましい。ここで、靱性に
主眼をおき、所望の引張強さを290MPa以上とする
と、時効処理時間は443K(170℃)で7200秒
(2時間)、同様に0.2%耐力を200MPa以上と
すると、時効処理時間は443K(170℃)で720
0秒(2時間)となる。
さおよび0.2%耐力が最高値に達して飽和するのに長
時間を要し、高温側での時効処理では、引張強さおよび
0.2%耐力が最高値に達して飽和するのに短時間で済
む。引張強さおよび0.2%耐力の最高値は、低温側で
長時間の時効処理するよりも、高温側で時効処理する方
が、低い値で飽和すると言われている。しかし、満足で
きる所望の強度が短時間の処理で得られることが作業効
率向上やエネルギー低減等の面から良いので、高温短時
間の時効処理を採用する方が好ましい。ここで、靱性に
主眼をおき、所望の引張強さを290MPa以上とする
と、時効処理時間は443K(170℃)で7200秒
(2時間)、同様に0.2%耐力を200MPa以上と
すると、時効処理時間は443K(170℃)で720
0秒(2時間)となる。
【0032】図14、図15は、時効処理温度および時
効処理時間と、破断伸びおよび吸収エネルギー(衝撃
値)の関係を示す図である。時効処理時間の増加に従っ
て破断伸びおよび吸収エネルギー(衝撃値)は低下し、
前述の引張強さおよび0.2%耐力の場合とは逆の傾向
を示している。これは、時効処理によってアルミ基地中
にMg2Siが析出して粘さが低下したことを示し、一
方、Mg2Siの析出量が多いほど引張強さおよ び耐力
が向上することを示している。図14、図15から、時
効処理時間が7200秒(2時間)で、伸びが23%
で、吸収エネルギー(衝撃値)が23×104J/m2と
なり、高靱性アルミ鋳物を製造することができる。
効処理時間と、破断伸びおよび吸収エネルギー(衝撃
値)の関係を示す図である。時効処理時間の増加に従っ
て破断伸びおよび吸収エネルギー(衝撃値)は低下し、
前述の引張強さおよび0.2%耐力の場合とは逆の傾向
を示している。これは、時効処理によってアルミ基地中
にMg2Siが析出して粘さが低下したことを示し、一
方、Mg2Siの析出量が多いほど引張強さおよ び耐力
が向上することを示している。図14、図15から、時
効処理時間が7200秒(2時間)で、伸びが23%
で、吸収エネルギー(衝撃値)が23×104J/m2と
なり、高靱性アルミ鋳物を製造することができる。
【0033】つまり、本発明での最も好ましい形態は、
Si:4〜4.5%、Mg:0.15〜0.20%、T
i:0.2%、Sr:80〜100ppm、Cu:0.
3%以下、残部実質的にAlおよび不可避的不純物のう
ち特にFe:0.2%以下の組成からなる靱性材のアル
ミ鋳物を溶体化処理条件が838K(565℃)で3時
間保持として、水焼入れ(急冷)後、時効処理条件は4
43K(170℃)で2時間保持の熱処理を行う。およ
びこれにより得られる高靱性アルミ鋳物である。本発明
の実施の形態での高温側の時効処理温度は443K(1
70℃)の場合について述べたが、その前後の温度であ
る433K(160℃)または453K(180℃)の
温度を採用しても本発明の高温短時間の時効処理の効果
は期待できる。例えば、433K(160℃)の時効処
理温度では時効処理時間を3時間程度とし、また453
K(180℃)の時効処理温度では時効処理時間を1〜
2時間程度とするのが好ましい。
Si:4〜4.5%、Mg:0.15〜0.20%、T
i:0.2%、Sr:80〜100ppm、Cu:0.
3%以下、残部実質的にAlおよび不可避的不純物のう
ち特にFe:0.2%以下の組成からなる靱性材のアル
ミ鋳物を溶体化処理条件が838K(565℃)で3時
間保持として、水焼入れ(急冷)後、時効処理条件は4
43K(170℃)で2時間保持の熱処理を行う。およ
びこれにより得られる高靱性アルミ鋳物である。本発明
の実施の形態での高温側の時効処理温度は443K(1
70℃)の場合について述べたが、その前後の温度であ
る433K(160℃)または453K(180℃)の
温度を採用しても本発明の高温短時間の時効処理の効果
は期待できる。例えば、433K(160℃)の時効処
理温度では時効処理時間を3時間程度とし、また453
K(180℃)の時効処理温度では時効処理時間を1〜
2時間程度とするのが好ましい。
【0034】(比較例)(JIS)AC4CH相当材の
アルミ鋳物について、793K(520℃)〜823K
(550℃)で6時間保持した後急冷する溶体化処理の
後、418K(145℃)の温度で4〜6時間保持の時
効処理を行った。その結果、破断伸びは7〜12%程
度、衝撃値が8〜10×104J/m2と本発明に比べて
低い値であった。
アルミ鋳物について、793K(520℃)〜823K
(550℃)で6時間保持した後急冷する溶体化処理の
後、418K(145℃)の温度で4〜6時間保持の時
効処理を行った。その結果、破断伸びは7〜12%程
度、衝撃値が8〜10×104J/m2と本発明に比べて
低い値であった。
【0035】
【発明の効果】以上詳細に説明のとおり、本発明の高靱
性アルミ鋳物の製造方法およびこの製造方法により得ら
れる高靱性アルミ鋳物は、Si含有量を低く抑えた組成
で鋳造後、823K(550℃)をこえ848K(57
5℃)未満の温度で2〜4時間保持した後急冷する高温
溶体化処理を施し、続いて433K(160℃)〜45
3K(180℃)の温度で1〜3時間保持する時効処理
を施すことで、靱性と強度に優れ、用途に応じた要求特
性の確保に対応できる。このため、例えばホイールやク
ロスメンバーなどの自動車用足廻り部品や、冷凍機、圧
縮機のインペラーなどの高速回転部品などを薄肉にして
軽量化でき、産業上きわめて有用である。特に従来の低
温側での長時間時効処理に比べ、高温側での短時間時効
処理により所要の特性を確保できる点で工業的にその効
果は極めて大きい。
性アルミ鋳物の製造方法およびこの製造方法により得ら
れる高靱性アルミ鋳物は、Si含有量を低く抑えた組成
で鋳造後、823K(550℃)をこえ848K(57
5℃)未満の温度で2〜4時間保持した後急冷する高温
溶体化処理を施し、続いて433K(160℃)〜45
3K(180℃)の温度で1〜3時間保持する時効処理
を施すことで、靱性と強度に優れ、用途に応じた要求特
性の確保に対応できる。このため、例えばホイールやク
ロスメンバーなどの自動車用足廻り部品や、冷凍機、圧
縮機のインペラーなどの高速回転部品などを薄肉にして
軽量化でき、産業上きわめて有用である。特に従来の低
温側での長時間時効処理に比べ、高温側での短時間時効
処理により所要の特性を確保できる点で工業的にその効
果は極めて大きい。
【図1】854K(581℃)、保持時間なしの条件で
溶体化処理した金属組織顕微鏡写真を示す図である。
溶体化処理した金属組織顕微鏡写真を示す図である。
【図2】848K(575℃)、保持時間なしで溶体化
処理した金属組織顕微鏡写真を示す図である。
処理した金属組織顕微鏡写真を示す図である。
【図3】848K(575℃)、3時間保持して溶体化
処理した金属組織顕微鏡写真を示す図である。
処理した金属組織顕微鏡写真を示す図である。
【図4】838K(565℃)、保持時間なしで溶体化
処理した金属組織顕微鏡写真を示す図である。
処理した金属組織顕微鏡写真を示す図である。
【図5】838K(565℃)、3時間保持して溶体化
処理を施した金属組織顕微鏡写真を示す図である。
処理を施した金属組織顕微鏡写真を示す図である。
【図6】838K(565℃)、8時間保持して溶体化
処理した金属組織顕微鏡写真を示す図である。
処理した金属組織顕微鏡写真を示す図である。
【図7】溶体化処理時間と共晶Si粒子の面積との関係
を示す図である。
を示す図である。
【図8】溶体化処理時間と円形度との関係を示す図であ
る。
る。
【図9】溶体化処理時間と0.2%耐力との関係を示す
図である。
図である。
【図10】溶体化処理時間と破断伸びとの関係を示す図
である。
である。
【図11】溶体化処理時間と吸収エネルギー(衝撃値)
との関係を示す図である。
との関係を示す図である。
【図12】時効処理時間と引張強さとの関係を示す図で
ある。
ある。
【図13】時効処理時間と0.2%耐力との関係を示す
図である。
図である。
【図14】時効処理時間と破断伸びとの関係を示す図で
ある。
ある。
【図15】時効処理時間と吸収エネルギー(衝撃値)と
の関係を示す図である。
の関係を示す図である。
(なし)。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C22F 1/00 630 C22F 1/00 630B 691 691B 691C
Claims (4)
- 【請求項1】 質量比率で、Si:3.5〜4.5%、
Mg:0.15〜0.4%、Cu:1.0%以下、改良
処理剤、残部実質的にAlおよび不可避的不純物のうち
特にFe:0.2%以下の組成を含有する鋳造後のアル
ミニウム合金鋳物を、823Kを超え848K未満の温
度で2〜4時間保持した後急冷する溶体化処理を行い、
しかる後に433K〜453Kの温度で1〜3時間の時
効処理を施すことを特徴とする高靱性アルミニウム合金
鋳物の製造方法。 - 【請求項2】 質量比率で、Si:3.5〜4.5%、
Mg:0.15〜0.4%、Cu:1.0%以下、改良
処理剤、残部実質的にAlおよび不可避的不純物のうち
特にFe:0.2%以下の組成を含有する鋳造後のアル
ミニウム合金鋳物を、823Kを超え848K未満の温
度で2〜4時間保持した後急冷する溶体化処理を行い、
しかる後に433K〜453Kの温度で1〜3時間の時
効処理を施すことにより、アルミニウム基地中の共晶S
i粒子の面積が6μm2以下、かつ円形度が0.60以
上を有し、伸びが23%以上、かつ衝撃値が23×10
4J/m2以上有することを特徴とする高靱性アルミニウ
ム合金鋳物。 - 【請求項3】 質量比率で、Si:3.5〜4.5%、
Mg:0.15〜0.4%、Cu:1.0%以下、改良
処理剤、残部実質的にAlおよび不可避的不純物のうち
特にFe:0.2%以下の組成を含有する鋳造後のアル
ミニウム合金鋳物を、823Kを超え848K未満の温
度で2〜4時間保持した後急冷する溶体化処理を行い、
しかる後に433K〜453Kの温度で1〜3時間の時
効処理を施すことにより、アルミニウム基地中の共晶S
i粒子の面積が6μm2以下、かつ円形度が0.55以
上 を有し、伸びが23%以上、かつ衝撃値が23×1
04J/m2以上、引張強さが290MPa以上、耐力が
200MPa以上を有することを特徴とする高靱性アル
ミニウム合金鋳物。 - 【請求項4】 請求項1乃至請求項3の何れか1項に記
載の改良処理剤が、Sr:0.0004〜0.002%
および/またはTi:0.25%以下であることを特徴
とする高靱性アルミニウム合金鋳物。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP9768498A JPH11293430A (ja) | 1998-04-09 | 1998-04-09 | 高靱性アルミニウム合金鋳物の製造方法およびそれにより得られる高靱性アルミニウム合金鋳物 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP9768498A JPH11293430A (ja) | 1998-04-09 | 1998-04-09 | 高靱性アルミニウム合金鋳物の製造方法およびそれにより得られる高靱性アルミニウム合金鋳物 |
Publications (1)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH11293430A true JPH11293430A (ja) | 1999-10-26 |
Family
ID=14198814
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP9768498A Pending JPH11293430A (ja) | 1998-04-09 | 1998-04-09 | 高靱性アルミニウム合金鋳物の製造方法およびそれにより得られる高靱性アルミニウム合金鋳物 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JPH11293430A (ja) |
Cited By (4)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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| CN115505799A (zh) * | 2022-09-23 | 2022-12-23 | 重庆慧鼎华创信息科技有限公司 | 一种高强韧重力铸造铝合金及其制备方法和应用 |
-
1998
- 1998-04-09 JP JP9768498A patent/JPH11293430A/ja active Pending
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