JPH11295207A - 尿中赤血球の鑑別装置および方法 - Google Patents

尿中赤血球の鑑別装置および方法

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JPH11295207A
JPH11295207A JP10135887A JP13588798A JPH11295207A JP H11295207 A JPH11295207 A JP H11295207A JP 10135887 A JP10135887 A JP 10135887A JP 13588798 A JP13588798 A JP 13588798A JP H11295207 A JPH11295207 A JP H11295207A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 尿中の赤血球の由来を精度良く鑑別する 【解決手段】尿試料をシース液に包んで尿試料流を形成
するシースフローセルと、尿試料流に光を照射する光照
射手段と、尿試料流中の各粒子が放出する光信号を検出
する光検出手段と、検出した光信号に基づいて尿試料流
中の粒子から赤血球を同定する同定手段とによって同定
された赤血球の粒度分布に、赤血球の形態を保持してい
る赤血球が残っていないのかを監視することにより赤血
球の由来を精度良く鑑別する鑑別装置および方法を提供
する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、尿中に含まれる粒子
の分析をする装置および方法に関し、さらに詳しくは、
尿中に含まれる赤血球の由来および種類を鑑別する装置
および方法に関する。
【0002】
【従来の技術】尿中に赤血球が混じる血尿の原因として
は2通りある。それは腎糸球体由来の血尿は腎炎などの
内科的疾患によって起こり、非糸球体由来の血尿は膀胱
癌、腎癌、尿路結石などの泌尿器科的疾患によって起こ
る。血尿の場合にはその原因を追求しなければならな
い。尿中赤血球を腎糸球体由来(内科的疾患)か非糸球
体由来(泌尿器科疾患)かを鑑別する方法として、
(a)顕微鏡を用いて赤血球の形態の違いを鑑別すると
いう方法と(b)自動血球計数装置を用いて赤血球の大
きさの違いにより鑑別する方法が従来から知られてい
る。
【0003】しかし、(a)の方法には、検査のための
作業が煩雑であり時間がかかるという問題や、人間の目
視判定に基づくため信頼性を維持することが難しく熟練
をようするなどの問題がある。(b)の方法には、尿試
料の電気伝導度を一定にして測定する必要があるため予
め遠心分離などの前処理を必要とする問題や、細菌や結
晶成分などの赤血球以外のものを赤血球と誤検出し判定
精度を低下させるという問題がある。
【0004】上記の課題を解決するために、(c)フロ
ーサイトメータから得られる粒子の散乱光や蛍光強度信
号の光信号を処理することにより、赤血球、白血球、上
皮細胞、円柱および細菌を弁別して、弁別された赤血球
の粒度分布の偏り状態に基づいて尿中の赤血球を鑑別す
る装置が新たに知られている。(特開平8−24052
0)
【0005】これは、糸球体由来の赤血球が非糸球体由
来のものに比べて一般的に粒度が小さいという特徴を利
用し、粒度分布が粒度の小さい方に偏ったものを糸球体
由来型、大きい方に偏ったものを非糸球体由来型と分類
する装置である。
【0007】具体的には赤血球粒度分布において、粒度
下限値La,上限値をLz,設定値をL1とL2(La
<L1<L2<Lz)とするとき、LaとLzとの間に
属する赤血球数Razと、LaとL2との間に属する赤
血球数Ra2と、L1とLzとの間に属する赤血球数R
1zを算出する。そしてRa2/Razが第1所定値よ
り以上であれば赤血球を糸球体由来型と判定し、Ra2
/Razが第2所定値以上であれば赤血球を非糸球体由
来型と判定する。また、いずれでもない場合には両者の
混合型と判定し、いずれも満たす場合は非糸球体由来型
と判定するとされている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】従来法(c)の判定
は、非糸球体由来の赤血球粒度分布はピークが大きなサ
イズの方にあり、糸球体由来の赤血球粒度分布はピーク
が小さいサイズの方にあるが、両者間にはサイズの重な
る部分(オーバーラップ)が存在することより考案され
た方法である。即ち、サイズの重なる部分を含めたある
大きさ以上の赤血球の比率により非糸球体由来赤血球を
捉え、サイズの重なる部分を含めたある大きさ以下の赤
血球の比率により糸球体由来赤血球を捉えて、赤血球の
由来を判定する方法である。
【0009】しかし、この判定を実際に検査室で用いて
も鏡検の観察等とあまり合致しないことがしばしば見受
けられた。その原因としては、この判定が非糸球体由来
赤血球は血液中と同じような形態を保持していると仮定
し、赤血球の信号が小さなサイズであれば糸球体由来赤
血球であると判定していた。しかし、赤血球は尿中でダ
メージを受けて信号のサイズが小さくなってしまうこと
がある。このダメージと酸性尿や低張尿などでは、膀胱
内滞留中や利尿後尿試料中で起こる赤血球のダメージを
指す。尚、糸球体由来型とは変形赤血球の比率が多い尿
を指し、変形赤血球とは腎臓の糸球体を通過することに
よって、特徴的な形態となった赤血球を指し、酸性尿や
低張尿などでダメージを受けた赤血球とは形態が異な
る。即ち、従来法で鑑別できるのは赤血球が尿中でダメ
ージを受けていない条件下に限られてしまう。
【0010】この発明は、酸性尿や低張尿でも尿中の赤
血球の由来および種類を精度よく判定できる装置および
方法を提供するものである。
【0011】
【課題を解決するための手段と作用】この発明は尿試料
をシース液に包んで尿試料流を形成するシースフローセ
ルと、尿試料流に光を照射する光照射手段と、尿試料流
中の各粒子が放出する光信号を検出する光検出手段と、
検出した光信号に基づいて尿試料流中の粒子から赤血球
を同定する同定手段と、同定した赤血球の粒度分布図を
作成する粒度分布作成手段と、粒度分布の小さいほうか
らの累積赤血球数が総赤血球数の可過半数である所定値
となる赤血球の大きさの値に基づいて赤血球の由来を判
定する判定手段と、判定結果を出力する出力手段を備え
てなる尿中赤血球の鑑別装置およびその方法によって、
前記の課題の解決を提供するものである。
【0012】この発明における尿試料とは、例えば、原
尿あるいは尿を希釈液で希釈したのち蛍光染料を加えて
染色したものである。
【0013】また、尿試料流を形成するシースフローセ
ルとは、尿試料をシース液で包んで流すことにより流体
力学効果によって細い試料流を形成させることのできる
フローセルであり、これには、従来公知のものを用いる
ことができる。
【0014】尿試料流に光を照射する光照射手段とは、
尿試料流に連続的に光を照射する手段であり、これに
は、例えば、レーザ、ハロゲンランプ又はタングステン
ランプのような光源をもちいることができる。
【0015】尿試料流の各粒子とは、尿に含まれる有形
成分、つまり、赤血球、白血球、上皮細胞、細菌、酵母
様真菌および精子などである。粒子が放出する光の強度
を検出する光検出手段には、例えば、散乱光の強度を検
出する光検出手段として、フォトダイオードやフォトト
ランジスタを、蛍光の強度を検出する光検出手段とし
て、フォトマルチプライヤを用いることができる。
【0016】また、尿試料流中の粒子から赤血球を同定
する同定手段とは、例えば、各粒子から検出された散乱
光強度と蛍光強度をパラメータとして2次元スキャッタ
グラム(分布図)を作成し、所定の分布領域内に分布す
る粒子を赤血球として判定するものである。
【0017】つまり、尿試料中の粒子は、その散乱光強
度と蛍光強度について、表1と図3に示すような特徴を
有することが既知であるので、スキャッタグラム上にお
いて、散乱光強度40〜140ch、蛍光20〜30c
hの領域に含まれるものは赤血球であると同定できる。
このchは散乱光強度の相対度数を表わし、100ch
が赤血球サイズに換算すると約5μmに相当した。な
お、赤血球の同定方法は、これに限定されるものではな
い。
【表1】
【0018】同定した赤血球の光信号強度に基づいて赤
血球の粒度分布を作成する粒度分布作成手段とは、一般
に散乱光強度、特に前方散乱光度が粒子の断面積(粒
径)に対応する性質を有するため、散乱光強度をパラメ
ータとするヒストグラムを粒度分布図として作成するよ
うにしたものである。側方散乱光強度の場合、赤血球の
形状あるいは表面状態の影響を受けやすいが、前方散乱
光の代りに用いることも可能である。
【0019】粒度分布の小さいほうからの累積赤血球数
が総赤血球数の可過半数である所定値となる赤血球の大
きさの値に基づいて赤血球の由来を判定するとは、赤血
球粒度分布の中央値(メディイアン)より大きい方に所
定の値に設定された粒度分布位置の赤血球の大きさの値
に基づいて、尿中の赤血球の発生源が糸球体由来か非糸
球体由来かを判定することである。
【0020】この判定は、尿中の赤血球のダメージは膀
胱滞留などで起こるため、赤血球によってダメージを受
ける条件は異なり、赤血球の膜抵抗性自体も赤血球によ
って異なるため、赤血球によってはもとの形態もしくは
もとに近い形態を保持しているものが残っていることに
注目したものである。つまり、赤血球粒度分布の中央値
(メディアン)より大きい方に設定された所定のところ
の赤血球の大きさの値をみることにより、形態を保持し
ている赤血球が残っていないのかを監視する。これは、
この赤血球の大きさの値が所定値より大きければ、形態
を保持している赤血球が残ってるので非糸球体由来型で
あることを判定する。逆にこの赤血球の大きさが小さけ
れば、形態を保持している赤血球が残っていないので非
糸球体由来型であることを判定するものである。またこ
の赤血球の大きさの設定値を2つ設け、その間であれば
どちらの型とも判定されない混合型と判定することもで
きる。
【0021】具体的には、所定値A%(50<A<10
0)を設定し、赤血球粒度分布の小さいほうからの累積
赤血球数が総赤血球数のA%となる個所を演算して、そ
の位置での赤血球の大きさXchを演算する。そして赤
血球の大きさの設定値Qchを設けて、X<Qであれば
糸球体由来型と判定し、X≧Qであれば非糸球体由来型
と判定して、判定結果を表示する。さらに第1設定値Q
1chと第2設定値Q2chを設定し(Q1<Q2)、
X<Q1であれば糸球体由来型と推定し、X≧Q2であ
れば非糸球体由来型と推定し、Q1≦X<Q2であれば
糸球体由来と非糸球体由来のどちらにも推定されない混
合型と判定することができる。
【0022】赤血球粒度分布の中央部領域分布幅の値に
基づいて赤血球の種類を判定するとは、赤血球粒度分布
の中央部領域分布幅の値を監視することによって尿中の
赤血球の種類が単一なのか多彩なのかを判定することで
ある。これは尿中の赤血球が、ダメージを受けていない
非糸球体由来赤血球の単一な型なのか、ダメージを受け
ている多彩な型なのかを判定するものである。ダメージ
を受けている多彩な型とはこぶ状赤血球やリング状赤血
球などの糸球体由来赤血球だけではなく、浸透圧の影響
によるコンペイ糖状赤血球や溶血した赤血球をも含め
る。
【0023】具体的には、粒度分布の幅として、粒度分
布中央に赤血球累積数が赤血球総数のB%となる領域を
演算しその領域の赤血球の大きさの幅Ychを演算す
る。そして幅の設定値Wchを設定し、Y<Wであれば
単一型と判定し、Y≧Wであれば多彩型と判定する。
【0024】さらに、赤血球粒度分布の中央部領域分布
幅の値に基づいて、赤血球の由来をも判定することがで
きる。具体的には、粒度分布の幅として、粒度分布中央
に赤血球累積数が赤血球総数のB%となる領域を演算し
その領域の赤血球の大きさの幅Ychを演算する。そし
て幅の設定値W1ch、W2ch(W1<W2)を設定
し、Y<W1であれば非糸球体由来型と判定し、W1≦
Y<W2であれば糸球体由来型と判定し、W2≦Yであ
れば糸球体由来と非糸球体由来のどちらにも推定されな
い混合型と判定する。
【0025】さらにこの赤血球の大きさXchと大きさ
の幅Ychを組み合わせることによって、赤血球の形態
を反映した情報により由来および種類をより精度良く判
定することができる。具体的には、Q2≦Xの領域をY
<Wであれば単一型である非糸球体由来型、これはダメ
ージをあまり受けず形態が保持されている非糸球体由来
赤血球の単一な型と判定し、Q2≦XでもW<Yであれ
ば多彩型、これはダメージをあまり受けず形態が保持さ
れている非糸球体由来赤血球だけではなくダメージをう
けた赤血球が含まれるため、非糸球体由来型とは推定さ
れず混合型と判定することができる。この組合せは目的
に応じて種々の設定をすることができる。
【0026】
【発明の実施例】以下、図面に示す実施例に基づいてこ
の発明を詳述する。これによってこの発明が限定される
ものではない。 赤血球鑑別装置の構成 図1はこの発明の尿中赤血球鑑別装置であるフローサイ
トメータの光学系の構成を示す構成図である。図1にお
いて、シースフローセル1は、予め蛍光染色処理された
尿試料をサンプルノズル2よりシース液に包んで尿試料
流を形成する。アルゴンレーザ光3が尿試料流の粒子4
を照射する。尿試料流を直接透過する光はビームストッ
パ5で遮断され、粒子4が放出する前方散乱光および前
方蛍光はコレクターレンズ6で集光され、前方散乱光は
ダイクロイックフィルター7で反射されてフォトダイオ
ード8により検出される。一方、前方蛍光はダイクロイ
ックフィルター7を通過してフォトマル9により検出さ
れる。フォトダイオード8およびフォトマル9の検出信
号はそれぞれ信号処理装置10に入力される。
【0027】このような構成による基本動作を図2のフ
ローチャートを用いて説明する。まず尿を希釈液で希釈
したのち染色液を加えて作成した尿試料をサンプルノズ
ル2より、シース液と共にシースフローセル1に供給し
尿試料流を形成する(ステップ1)。それと同時にアル
ゴンレーザ光3を尿試料流に照射し、各粒子4が発する
前方散乱光と前方蛍光をそれぞれフォトダイオード8と
フォトマルチプライヤ9で検出し、検出した前方散乱光
強度と前方蛍光強度を信号処理装置10に格納する(ス
テップ2)。
【0028】次に、信号処理装置10は、前方蛍光強度
と前方散乱光強度とをパラメータとする2次元スキャッ
タグラムを作成して表示する(ステップ3)。図3は本
装置の「蛍光一散乱光」強度の2次元分布図(スキャッ
タグラム)の例を示す。FSCは前方散乱光強度で細胞
の断面積を、FLは蛍光の染色強度を表わす。核染色で
はDNA、RNAの量を反映する。染色は核染色のみで
は結晶と核を持たない物と赤血球を区別できないので膜
染色も同時に行っている。このようにして粒子の大きさ
と蛍光強度より赤血球、白血球、上皮細胞、細菌、真
菌、円柱、結晶成分を明確に分けることが可能であり、
各々の数を測定できる(ステップ4)。
【0029】次に同定された赤血球の粒度分布図、ここ
では前方散乱光強度をパラメータとするヒストグラムが
作成される(ステップ5)。前方散乱光強度について、
赤血球の大きさの値に対する第1設定値Q1ch、第2
設定値Q2chおよび赤血球の大きさの幅に対する第3
設定値Wchを設定する(ステップ6)。赤血球粒度分
布の大きさが小さい方からの赤血球累積数が赤血球総数
のA%(50<A≦100)となるところの赤血球の大
きさXchと、粒度分布の中央に赤血球総数のB%とな
る領域の赤血球の大きさの幅Ychとが、それぞれ算出
される(ステップ7)。
【0030】次に設定値Q1ch、Q2ch、Wchが
設定されるとLA<Q1の場合には赤血球は糸球体由来
型、Q1≦X<Q2の場合には赤血球は非糸球体由来と
糸球体由来の混合型、Q2≦XかつY<Wの場合には赤
血球は非糸球体由来型、Q2≦XかつW<Yの場合には
赤血球は非糸球体由来と糸球体由来の混合型、と判定さ
れ、判定結果が表示される(ステップ8)。
【0031】鑑別の試料としては、病院の検査室にて糸
球体由来型、非糸球体由来型および混合型の当日尿66
検体を上記の装置にて測定した。鑑別結果の対照として
は、レーザ顕微鏡を用い、変形赤血球が70%以上含ま
れている尿を糸球体由来型、変形赤血球が30%以上7
0%未満含まれている尿を混合型、変形赤血球が30%
未満しか含まれていない尿を非糸球体由来型と分類し
た。
【0032】まず、従来法にてこの試料の赤血球鑑別を
行なってみた。設定条件としては、実施例にあげられて
いる設定値である、L1を84ch、L2を126ch
として、Ra2/Raz≧0.8以上であれば糸球体由
来型、Ra1/Raz≧0.8以上であれば非糸球体由
来型と判定し、いずれでもない場合は混合型、いずれも
満たす場合は非糸球体由来型と判定するようにした結果
を表2に示す。鏡検による非糸球体由来型と判定された
34検体のうち、14検体を糸球体由来型と従来法では
誤判定してしまう。
【表2】
【0033】実施例1 粒度分布の中心より大きい方に設定された所定の粒度分
布値が、大きさの保持された非糸球体由来赤血球の存在
を反映するように、赤血球粒度分布の大きさが小さい方
からの赤血球累積数が赤血球総数A%となる位置とす
る。Aの値については、Aが50%に近い値では粒度の
中心と同様な値となりダメージを受けた赤血球の影響を
受けやすく、100%に近い値では極少数の非糸球体由
来赤血球の影響を受けるため精度が出にくく、Aは60
〜90%が好ましい。Aの値を70%と設定して、その
粒度分布値の赤血球の大きさXchを表わしたのが図4
である。
【0034】糸球体由来型と判定する第1設定値Q1を
80chとし、非糸球体由来型と判定する第2設定値Q
2を100chとして、その間を混合型と判定した結果
が表3である。従来法では非糸球体由来型34検体のう
ち14検体をも糸球体由来型と誤判定していたが、本判
定では糸球体由来型と誤判定したものは4検体と大幅な
改善がみられた。
【表3】
【0035】図5は本装置の分析による非糸球体由来型
の典型的な粒度分布を示す。この検体は非糸球体由来赤
血球が尿中でダメージを受けておらず、その分布の中心
が大きなサイズの方にあり、分布幅も狭い粒度分布とな
る。このような検体は粒度分布が大きいサイズに偏って
いるので従来法でRa2/Raz=0.07、Ra1/
Raz=0.99で非糸球体由来型と正しく判定され
る。本法でもX=148chで非糸球体由来型と正しく
判定される。
【0036】図6は本装置の分析による糸球体由来型の
典型的な粒度分布を示す。この分布の中心が小さいサイ
ズの方にあり、分布幅が広い粒度分布となる。このよう
な検体は粒度分布が小さいサイズに偏っているので従来
法でRa2/Raz=0.97、Ra1/Raz=0.
14で糸球体由来型と正しく判定される。本法でもX=
61chで糸球体由来型と正しく判定される。
【0037】図7は本装置の分析による尿中でダメージ
を受けた非糸球体由来型の粒度分布の例を示す。この検
体は粒度分布分布は全体的に小さいサイズの方にシフト
した例である。このような検体は粒度分布は小さいサイ
ズに偏っているため従来法ではRa2/Raz=0.9
2、Ra1/Raz=0.70で糸球体由来型と誤判定
してしまう。しかしある程度形態を保持した赤血球が残
っているので本法ではX=113chで非糸球体由来型
と正しく判定される。
【0038】図8は本装置の分析による尿中でダメージ
を受けた非糸球体由来型の別の粒度分布例を示す。この
検体はダメージを大きく受けた度合いが赤血球によって
異なり2つのピークができた例である。従来法ではこの
ような検体は粒度分布が小さいサイズの方に偏っている
ためRa2/Raz=0.89、Ra1/Raz=0.
44と糸球体由来型赤血球と判定してしまう。しかしあ
る程度形態を保持した赤血球が残っているので本法では
X=103chで糸球体由来型と正しく判定される。
【0039】実施例2 赤血球の種類を判定するため、赤血球の粒度分布の幅情
報として、粒度分布の中央に赤血球累積数が総赤血球数
のB%となる領域を設定し、その領域の赤血球の大きさ
の分布幅Yを判定に用いた。Bの値については、粒度分
布全般が反映されるように、50〜90%が好ましい。
Bの値を60%と設定して、その粒度分布値の赤血球の
分布幅Ychを表わしたのが図10である。
【0040】赤血球の種類を判定する設定値Wを40c
hとして、Y≧40を多彩型、Y<40を単一型と判定
した結果が表4である。この判定によって、赤血球が糸
球体由来もしくは非糸球体由来かの単一型かどちらの由
来とも判定されない混合型である多彩型かを判定するこ
とができる。非糸球体由来型の検体で多彩型と判定され
ているのは、非糸球体由来赤血球であるが、ダメージを
受けて形態を保持していない状態にあることを示す。
【表4】
【0041】実施例3 さらにこの粒度分布の幅Yと大きさXを組み合わせるこ
とにより、赤血球の形態を反映した情報により由来およ
び種類をより精度良く判定することができる。この赤血
球の分布幅Ychと実施例1の赤血球の大きさXchと
をプロットしたのが図10である。具体的には、赤血球
の大きさXchがX≧100chである非糸球体由来型
の領域を、赤血球の幅Ychにて、Y<50chであれ
ば単一型である非糸球体由来型、これはダメージをあま
り受けず形態が保持されている非糸球体由来赤血球の単
一な型と判定し、Y≧50chであれば多彩型である混
合型、ダメージをうけた赤血球が含まれる混合型と判定
することができる。尚、図8の検体は赤血球の幅Yが6
8chのため、多彩型である混合型と判定される。この
ようにして判定した結果を表5に示す。
【表5】
【0042】臨床的な運用としては、X≧Q2かつY<
Wとなる領域に現れる検体は形態を保持した非糸球体由
来型と判定し、それ以外の領域に現れる検体を形態の保
持されていない検体として、レーザ顕微鏡で赤血球の形
態を調べるようにすれば、効率的かつ精密に検査を行う
ことができる。
【0043】実施例4 また、この分布幅Yと赤血球の由来との関係に注目して
みると、この分布幅Yの値だけでも赤血球の由来を判定
することができる。単一型と判定された検体をさらに調
べてみると非糸球体由来型は糸球体由来型よりもこの分
布幅Yの値が小さい。具体的には赤血球の由来を判定す
るための設定値として、第1設定値W1を40ch、第
2設定値W2を32chとして、Y≧W1を混合型、W
1>Y≧W2を糸球体由来型、W2>Yを非糸球体由来
型と分類することができる。その結果を表わしたものが
表6である。
【表6】
【0044】尚、鏡検での判定基準については現状統一
されていなく、由来型を判定する変形赤血球の比率もま
ちまちである。よって、この判定方法も目的とする感度
に合わせ判定値を変えて運用してゆくことができる。
【0045】
【発明の効果】この発明は、酸性尿や低張尿などで赤血
球がダメージを受けることがあっても尿中の赤血球の形
態を監視し、赤血球の由来および種類を精度よく判定す
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例の装置の光学系を示す構成説明図。
【図2】実施例の装置の基本動作を示すフローチャー
ト。
【図3】実施例の装置の「蛍光―散乱光」強度のスキャ
ッタグラムの例。
【図4】実施例の判定パラメータである赤血球の大きさ
Xの説明図。
【図5】実施例の装置による赤血球粒度分布例
【図6】実施例の装置による赤血球粒度分布例
【図7】実施例の装置による赤血球粒度分布例
【図8】実施例の装置による赤血球粒度分布例
【図9】実施例の判定パラメータである赤血球の幅Yの
説明図。
【図10】実施例の判定パラメータである赤血球の大き
さXと赤血球の幅Yをプロットしたグラフ。
【符号の説明】
1 シースフローセル 2 サンプルノズル 3 アルゴンレーザー光 4 粒子 5 ビームストッパー 6 コレクターレンズ 7 ダイクロックフィルター 8 フォトダイオード 9 フォトマル 10 信号処理装置 11 赤血球出現領域 12 細菌出現領域 13 酵母様真菌・精子出現領域 14 白血球出現領域

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】尿試料をシース液に包んで尿試料流を形成
    するシースフローセルと、尿試料流に光を照射する光照
    射手段と、尿試料流中の各粒子が放出する光信号を検出
    する光検出手段と、検出した光信号に基づいて尿試料流
    中の粒子から赤血球を同定する同定手段と、同定した赤
    血球の粒度分布図を作成する粒度分布作成手段と、粒度
    分布の小さいほうからの累積赤血球数が総赤血球数の過
    半数である所定値となる赤血球の大きさの値に基づいて
    赤血球の由来を判定する判定手段と、判定結果を出力す
    る出力手段を備えてなる尿中赤血球の鑑別装置。
  2. 【請求項2】判定手段として、粒度分布の小さいほうか
    らの累積赤血球数が総赤血球数の過半数である所定値と
    なる赤血球の大きさの値と、赤血球粒度分布の中央部領
    域分布幅の値に基づいて赤血球の由来及び種類を判定す
    る判定手段を備えてなる請求項1記載の尿中赤血球の鑑
    別装置。
  3. 【請求項3】尿試料をシース液に包んで尿試料流を形成
    するシースフローセルと、尿試料流に光を照射する光照
    射手段と、尿試料流中の各粒子が放出する光信号を検出
    する光検出手段と、検出した光信号に基づいて尿試料流
    中の粒子から赤血球を同定する同定手段と、同定した赤
    血球の粒度分布図を作成する粒度分布作成手段と、前記
    赤血球粒度分布の中央部領域分布幅の値に基づいて赤血
    球の種類を判定する判定手段を備えてなる尿中赤血球の
    鑑別装置。
  4. 【請求項4】判定手段として、赤血球粒度分布中央部に
    設定される所定の領域の光信号の分布幅の値に基づいて
    赤血球の由来を判定する判定手段を備えてなる請求項3
    記載の尿中赤血球の鑑別装置。
  5. 【請求項5】尿試料をシースフローセル内でシース液に
    包んで尿試料流を形成し、光照射手段により尿試料に光
    を照射し、尿試料流中の各粒子が放出する光信号を光検
    出手段により検出して、検出した光信号に基づいて同定
    手段により尿試料流中の粒子から赤血球を同定し、粒度
    分布作成手段により同定された赤血球の粒度分布図を作
    成して、粒度分布の小さいほうからの累積赤血球数が総
    赤血球数の過半数である所定値となる赤血球の大きさの
    値に基づいて赤血球の由来を判定する尿中赤血球の鑑別
    方法。
  6. 【請求項6】判定手段として、粒度分布の小さいほうか
    らの累積赤血球数が総赤血球数の過半数である所定値と
    なる赤血球の大きさの値と、赤血球粒度分布の中央部領
    域分布幅の値に基づいて赤血球の由来及び種類を判定す
    る請求項5記載の尿中赤血球の鑑別方法。
  7. 【請求項7】尿試料をシースフローセル内でシース液に
    包んで尿試料流を形成し、光照射手段により尿試料に光
    を照射し、尿試料流中の各粒子が放出する光信号を光検
    出手段により検出して、検出した光信号に基づいて同定
    手段により尿試料流中の粒子から赤血球を同定し、粒度
    分布作成手段により同定された赤血球の粒度分布図を作
    成して、赤血球粒度分布の中央部領域分布幅の値に基づ
    いて赤血球の種類を判定する尿中赤血球の鑑別方法。
  8. 【請求項8】判定方法として、赤血球粒度分布中央部に
    設定される所定の領域の光信号の分布幅の値に基づいて
    赤血球の由来を判定する請求項7記載の尿中赤血球の鑑
    別方法。
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