JPH11295525A - 位相差フィルムの製造方法 - Google Patents

位相差フィルムの製造方法

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JPH11295525A
JPH11295525A JP10096139A JP9613998A JPH11295525A JP H11295525 A JPH11295525 A JP H11295525A JP 10096139 A JP10096139 A JP 10096139A JP 9613998 A JP9613998 A JP 9613998A JP H11295525 A JPH11295525 A JP H11295525A
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film
layer
deposition
vapor deposition
retardation film
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Application number
JP10096139A
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English (en)
Inventor
Akiko Shimizu
朗子 清水
Takahiro Hishinuma
高広 菱沼
Koji Azuma
浩二 東
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Sumitomo Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Chemical Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 TN型液晶表示装置の視野角特性を改良する
のに適し、容易に大面積のものを安価に得ることができ
る位相差フィルムを提供する。 【解決手段】 透明高分子フィルムの少なくとも片面
に、正の屈折率異方性を有しかつ光学主軸がフィルム法
線方向から20度〜70度傾斜している少なくとも一層
の無機誘電体の単一層からなる斜方蒸着層を、蒸着材料
として金属を用い成膜中に酸素ガスを導入する反応性蒸
着法により形成してなる位相差フィルム。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は位相差フィルムの製
造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】液晶表示装置(以下、LCDと表わす)
として現在最もよく用いられているものは、吸収軸が直
交となるように配置された一対の直線偏光フィルムの間
に、透明電極を形成した一対のガラス基板の間にガラス
基板法線方向に螺旋軸を有し、そのネジレ角度が約90
度であるような配向構造を有したネマチック液晶を挟持
した液晶セルを挟んだ、ノーマリホワイト(以下、NW
と表わす)モードのツイステッドネマチック型LCD
(以下、TN−LCDと表わす)である。NWモードの
TN−LCDは、電圧を印加しない状態では入射した直
線偏光が液晶セルの旋光性により90度回転して出射さ
れるため白状態となり、電圧を印加した状態では液晶分
子がガラス基板に対して起き上がり、旋光性が消失し、
入射した直線偏光はその状態を保ったまま出射されるた
め黒状態となる。また、この白状態、黒状態とその中間
状態を利用することで、階調表示を行っている。しか
し、LCDに用いられるネマティック液晶は、分子構造
が棒状をしており分子軸方向の屈折率が大きい正の屈折
率異方性を示すものであり、LCDを斜めに通過する光
の偏光状態の変化はこの液晶の屈折率異方性による位相
差のためにLCDの法線方向とは異なったものとなる。
このため、LCD法線方向から外れた角度から表示を見
た場合、コントラストが低下したり、階調表示が逆転す
る階調反転などの現象が起こるという視野角特性を示
す。
【0003】この視野角特性は液晶分子の屈折率異方性
が原因であることから、液晶分子の屈折率異方性による
位相差を補償するための液晶とは逆の屈折率異方性を示
す位相差フィルムを用いた改良が検討されている。視野
角特性の改良は黒表示即ち電圧印加状態における視野角
特性を改良することで大きな効果が得られる。電圧印加
状態では液晶分子はガラス基板に垂直に近い状態に配向
していることから、この状態をガラス基板法線方向に光
学軸を有する正の屈折率異方体と見なして、これを補償
する位相差フィルムとしてフィルム法線方向に光学軸を
有しかつ負の屈折率異方性を有する位相差フィルムを用
いる方法が特開平2−015239号公報や特開平3−
103823号公報などに開示されている。また、実際
のLCDにおいては電圧印加状態にあってもガラス基板
付近の液晶は基板の配向膜の拘束力のためにガラス基板
に近い部分では傾斜状態のままであることから、位相差
フィルムの光学軸がフィルム法線方向から傾斜した方向
にありかつ負の屈折率異方性を有する位相差フィルムを
用いる方法も特開昭63−239421号公報や特開平
6−214116号公報などに記載されている。また別
の方法として、液晶と同じ正の屈折率異方性を持ちなが
らも、光学軸をフィルム法線方向から傾斜させた状態と
した位相差板を用いても視野角特性を改良できること
が、特開平5−080323号公報、特開平7−306
406号公報やWO96/10773号公報などに記載
されている。
【0004】最近TN−LCDはパーソナルコンピュー
タを初めとする多様な用途に利用されるようになり、大
型化、高精細化、広視野角化、軽量化や低コスト化だけ
でなく耐久性の向上が強く求められている。しかしなが
ら、フィルム法線方向に光学軸を有しかつ負の屈折率異
方性を有する位相差フィルムを用いた場合には、視野角
の改良効果が必ずしも十分ではない。また、光学軸がフ
ィルム法線方向から傾斜した方向にありかつ負の屈折率
異方性を有する位相差フィルムでは、視野角の改良効果
は大きいものの、特開昭63−239421号公報に開
示されているような負の屈折率異方性を示すように配向
した高分子ブロックから光学軸がフィルム法線方向から
傾斜した方向となるように切りだす方法では均一でかつ
大面積の位相差フィルムを効率よく得ることは難しく、
特開平6−214116号公報に開示されているような
円盤状の液晶化合物を用いる方法では液晶化合物の製造
や液晶の均一配向が難しくコスト的に不利である。
【0005】光学軸がフィルム法線方向から傾斜した方
向にありかつ正の屈折率異方性を有する位相差フィルム
を用いた場合でも、視野角の改良効果は大きいものの、
特開平5−080323号公報に開示されているような
正の屈折率異方性を示すように配向した高分子ブロック
から光学軸がフィルム法線方向から傾斜した方向となる
ように切り出す方法では均一でかつ大面積の位相差フィ
ルムを効率よく得ることは難しく、また、特開平7−3
06406号公報に開示されているApplied O
ptics 28巻(1989年)、2466頁〜24
82頁に記載されているようなガラス基板上への無機誘
電体の斜方蒸着による方法や、WO96/10773号
公報に開示されているようなガラス基板上へのTa25
の斜方蒸着による方法では、光学軸が法線方向から傾斜
した方向にありかつ正の屈折率異方性を有している位相
差板を得ることはできるが、これらの方法ではガラス基
板を用いるため、重く、柔軟性に欠け、量産性に劣る位
相差板しか得ることはできない。
【0006】このようにTN−LCDの視野角特性の改
良に用いられる位相差フィルムについては、視野角特性
の改良性能以外の性質も含めて市場の要望を満足する位
相差フィルムは見いだされていない状況にあった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】かかる状況に鑑み、本
発明者らは透明高分子フィルムの少なくとも片面に、特
定の金属を用いた酸素反応性蒸着法により無機誘電体か
らなる少なくとも1層の斜方蒸着層を設けることによ
り、光学軸がフィルム法線方向から傾斜した、大面積で
軽量で量産性および均一性に優れた位相差フィルムを開
発することができ、本発明を完成するに至った。
【0008】
【課題を解決するための手段】すなわち本発明は、透明
高分子フィルムの少なくとも片面に、正の屈折率異方性
を有しかつ光学主軸がフィルム法線方向から20度〜7
0度傾斜している少なくとも1層の特定の無機誘電体か
らなる斜方蒸着層を形成してなる位相差フィルムの製造
方法である。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明に用いる透明高分子フィル
ムとしては、透明性に優れ、均一なものであれば特に制
限されないが、フィルムの製造のしやすさなどの点で熱
可塑性の高分子からなるものが好ましく用いられる。熱
可塑性高分子としては、セルロース系高分子、ポリカー
ボネート系高分子、ポリアリレート系高分子、ポリエス
テル系高分子、アクリル系高分子、ポリサルフォン、ポ
リエーテルサルフォンなどを例示することができる。中
でもポリサルフォン、ポリエーテルサルフォンなど耐熱
性に優れた高分子が蒸着については有利であるが、コス
ト的に安価で均一なフィルムが入手可能であるセルロー
ス系高分子フィルム、ポリカーボネート系高分子フィル
ムも好ましく用いられる。また、透明高分子フィルムの
フィルム面内のレターデーション値(Rb=(nbx
−nby)×db、nbx:透明高分子フィルムのフィ
ルム面内の遅相軸方向の屈折率、nby:透明高分子フ
ィルムのフィルム面内の進相軸方向の屈折率、db:透
明高分子フィルムの厚み)が小さいものが適している用
途については、固有複屈折が小さいセルロース系高分子
フィルム、アクリル系高分子フィルムが特に好ましく用
いられ、数十nmのレターデーション値が必要な場合に
は固有複屈折が大きいポリカーボネート系高分子フィル
ム、ポリエステル系高分子フィルム、ポリサルフォンフ
ィルム、ポリエーテルサルフォンフィルムなどが好まし
く用いられる。特に連続フィルム上に無機誘電体の斜方
蒸着層を設ける場合には、蒸着時の熱とフィルム搬送の
ために生じる応力によるフィルムの変形が少ないトリア
セチルセルロースフィルムやポリエーテルサルフォンフ
ィルムが好ましく用いられる。
【0010】透明高分子フィルムの製膜方法としては、
溶剤キャスト法やフィルムの残留応力を小さくできる精
密押出法などを用いることができるが、均一性の点で溶
剤キャスト法が好ましく用いられる。特にRb値が小さ
いフィルムを作製するには溶剤キャスト法が好ましい。
このようにして製膜されたフィルム、中でも溶剤キャス
ト法により製膜されたフィルムはRb値は小さいが、製
膜時の高分子の面内配向性によりフィルム厚み方向の屈
折率(nbt)がフィルム面内の平均屈折率(nbp)よ
りも小さいという屈折率構造を持つようになる。このた
め、この透明高分子フィルムはこのフィルム厚み方向の
複屈折性により厚み方向のレターデーション値(R’b
=(nbp −nbt)×db)を有するようになり、単
なる蒸着のための基材ではなく、本発明による正の屈折
率異方性を有しかつ光学主軸がフィルム法線方向から傾
斜している無機誘電体からなる斜方蒸着層と組み合わせ
て用いられる光学軸がフィルム法線方向にある負の屈折
率異方性を有する位相差フィルムとして利用することが
できるようになる。この透明高分子フィルムのR’b値
は0nm〜250nm程度の範囲で用いられる。また、
透明高分子フィルムのR’b値が所定の値に対して不足
する場合には、透明高分子フィルム上に特開平5−19
6819号公報に記載されている無機層状化合物を含む
層を形成してR’b値の大きさを調整することもでき
る。
【0011】一方、透明高分子フィルムをRb値を有す
る一軸配向性のフィルムとして用いることもでき、この
場合には溶剤キャスト法や精密押出法により製膜したフ
ィルムをロール間延伸法、テンター延伸法などを用いて
延伸することにより得ることができる。一軸配向性のフ
ィルムとした場合のRb値は、通常100nm以下の範
囲に設定されるが、必要に応じて任意に調整することが
できる。また、本発明における一軸配向性とは、完全一
軸配向だけでなく、フィルム面内にR値を有する二軸配
向性も含むものである。
【0012】これらの透明高分子フィルムの厚みは、特
に制限はないが、通常、約50μm〜500μmのもの
が用いられる。
【0013】本発明において、透明高分子フィルムの少
なくとも片面に無機誘電体からなる斜方蒸着層を設ける
際に、無機誘電体からなる斜方蒸着層が位相差フィルム
として用いるための所定のレターデーション値を発現す
るためには、反射防止層などを誘電体の多層蒸着膜で形
成する場合の膜厚と比較して蒸着層の厚みがかなり厚く
なるため、密着性を上げて蒸着層の割れを防止する中間
層を設けることが好ましい。
【0014】本発明に用いる中間層としては、アクリル
系樹脂、ウレタン系樹脂、シリコン系樹脂、カルド樹脂
またはポリシラザンからなる高分子膜が例示される。
【0015】これら高分子膜の形成方法としては、高分
子化されたものを溶剤に溶解して透明高分子フィルムに
塗布する方法や、低分子モノマーまたはオリゴマーと重
合開始剤を含む組成物を透明高分子フィルムに塗布した
後に光硬化または熱硬化により高分子化する方法などが
用いられる。透明高分子フィルムへの塗布方法には特に
制限はなく、コンマコート法、ダイコート法、ダイレク
ト・グラビア法、バーコート法などの公知の塗布方法を
用いることができる。
【0016】セルロース系高分子フィルムやポリカーボ
ネート系高分子フィルムやポリエステル系高分子フィル
ムには紫外線硬化型のアクリル系樹脂膜が好ましく用い
られ、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォンなどの
耐熱性が高い高分子フィルムには熱硬化型のポリシラザ
ン膜も用いることができる。
【0017】中間層としての高分子膜の膜厚は密着性改
良が実現される厚みであれば特に制限はなく、約0.2
μm〜10μmの範囲に設定される。約0.2μmより
薄いとコーティングによる均一な膜が得られにくく、ま
た約10μmより厚くなると透明高分子フィルムと中間
層の密着性が低下するようになるため好ましくない。
【0018】本発明で形成される斜方蒸着層の無機誘電
体としては、酸素を導入した反応性蒸着により薄膜の形
成が可能で、斜方蒸着を行った場合に正の屈折率異方性
を発現し、その光学主軸がフィルム法線方向から20度
〜70度傾斜した光学特性を発現するものであり、透明
性に優れ、かつ膜質が硬い金属酸化物が好ましい。さら
に、生産性の点においては斜方蒸着した場合に屈折率異
方性が発現しやすく、なるべく薄い膜厚で必要な光学特
性が得られるものが好ましい。そのような特性を有する
無機誘電体としてはTa25〔酸化タンタル(V)〕あ
るいはTiO2〔酸化チタン(IV)〕を主成分とする
金属酸化物を挙げることができる。ここでいうTa25
あるいはTiO2を主成分とする金属酸化物とは、Ta2
5あるいはTiO2を80重量%以上100重量%以下
含むものを指す。
【0019】斜方蒸着の角度は、図4および図5に示す
ように蒸着源からのフィルム上の蒸着点を結んだ線とフ
ィルム面の法線がなす角度により定義される。この時、
蒸着源から引いた垂線(22、44)とフィルム面との
交点における、蒸着源から引いた垂線とフィルム面の法
線がなす角度を蒸着中心角度と定義する。具体的な蒸着
中心角度は、用いる透明高分子フィルムと蒸着物質との
組み合わせや必要とする光学特性により異なるため適宜
設定されるが、無機誘電体からなる斜方蒸着層の光学主
軸とフィルム法線方向がなす角度を約20度〜70度の
所定の角度となるようにするためには、この蒸着中心角
度を約50度〜85度の範囲に設定することが好まし
い。また、蒸着源から引いた垂線とフィルム面との交点
までの距離を蒸着距離と定義する。具体的な蒸着距離
は、用いる透明高分子フィルムの耐熱性、蒸着装置の冷
却能力、フィルムの搬送速度などにより異なるため適宜
設定されるが、約800mmを越えると製膜速度が遅く
なったり、耐久性が悪くなることがあるため、通常80
0mm以下に設定されることが好ましい。
【0020】斜方蒸着された無機誘電体からなる斜方蒸
着層の厚さは、蒸着物質の成長に異方性を生じて複屈折
性を示す膜厚以上であれば特に制限されないが、無機誘
電体からなる斜方蒸着層のフィルム面内のレターデーシ
ョン値(Ra=(nax −nay)×da、nax:
斜方蒸着層のフィルム面内の遅相軸方向の屈折率、na
y:斜方蒸着層のフィルム面内の進相軸方向の屈折率、
da:斜方蒸着層の厚み)が約10nm〜200nmの
範囲にある所定のレターデーション値を得られる厚みと
する。この厚みは、使用する物質の複屈折率と光学主軸
のフィルム法線方向からの傾斜角度により異なるが、通
常、約0.2μm〜5μmの範囲であり、好ましくは約
0.4μm〜1μmの範囲で設定される。
【0021】斜方蒸着による誘電体層の形成において
は、通常のフィルム面垂直方向からの蒸着と比較して蒸
着効率が落ちるために長時間の蒸着が必要であるが、こ
の時のフィルム基材の温度上昇を抑えるために同一傾斜
角度で多数回に分けて蒸着層を積層する方法などの採用
が考えられる。バッチ式の蒸着装置を用いる場合には、
蒸着層の傾斜角度が一定に保たれるために、図1に示す
ように実際には多層であっても単一層として斜方蒸着層
を形成することができる。
【0022】連続フィルム上への斜方蒸着には、例えば
図5に示すフィルムに連続して斜方蒸着できる蒸着装置
を用いて、不要な蒸着角度で飛来してくる無機誘電体を
カットして、キャンロール(34)上にあるフィルムに
所定の蒸着角度で飛来してくる無機誘電体のみを選択的
に蒸着させる方法を用いることができる。不要な蒸着角
度で飛来してくる無機誘電体をカットするためには蒸着
源(36)とフィルムの間に防着板(35)やスリット
を設け、蒸着開始角度(41)および蒸着終了角度(4
2)を設定する。蒸着物質の成長に異方性を生じて複屈
折性を効率良く発現させるには蒸着開始角度が85度〜
60度であることが好ましく、蒸着終了角度は60度〜
30度でかつ蒸着開始角度よりも小さい角度であること
が好ましい。この時、無機誘電体が効率良くフィルム上
に蒸着されるように、蒸着源から引いた垂線(44)が
フィルム面との交点でなす蒸着中心角度(43)が蒸着
開始角度と蒸着終了角度の間となるように蒸着源、防着
板およびフィルムを配置する。なお、ここで定義される
各蒸着角度はフィルム面の法線方向となす角度である。
このような装置で連続して斜方蒸着フィルムを作成した
場合、蒸着開始角度から蒸着終了角度まで蒸着角度が変
化する。これに従い連続で斜方蒸着を行った場合には、
蒸着物質の成長方向も変化し、図2に例示されるように
蒸着物質の成長方向が湾曲したものとなる。このため、
連続蒸着で斜方蒸着層を積層すると、図3に例示するよ
うにその界面が不連続面となり単一層とすることができ
ない。この界面においては密度差が発生していると推定
され、不要な干渉色が発生することがある。このため、
連続フィルム上に連続して斜方蒸着層を形成する場合に
は1回の蒸着により単一層として斜方蒸着層を形成する
ことが好ましい。このように1回の斜方蒸着で必要とす
る光学特性を得るには、フィルムの搬送速度を低速にす
ることが必要となるため、蒸着の際に高分子フィルムの
温度が上昇し、フィルムに変形を誘発するなどの不具合
が発生する危険がある。これを回避するため、余分な輻
射熱が加わらないように輻射熱の遮断板を複数設けるな
どすることが好ましい。
【0023】フィルムの変形が起こることは問題である
が、斜方蒸着時のフィルム温度により形成される誘電体
層の特性が変わるため、蒸着部でのフィルム温度を適宜
制御できるようにキャンロールだけでなく、フィルムの
ガイドロールおよび防着板を温度制御可能なものとする
ことが好ましい。温度の制御範囲は、高分子のガラス転
移温度未満であり、好ましくは熱変形温度未満である
が、室温以下に冷却できることがより好ましい。
【0024】本発明で用いる斜方蒸着層の形成方法とし
ては、蒸着材料として金属を用い、抵抗加熱法、電子ビ
ーム蒸着法など公知の真空蒸着法により金属を蒸発させ
ながら真空槽内に酸素ガスを導入して酸化反応させるこ
とにより金属酸化物層を形成するという、反応性蒸着法
を用いることが好ましい。Ta25等の半溶融性の金属
酸化物による斜方蒸着層を形成する場合、酸化物を蒸着
材料として用いると、全体が溶融せずに電子ビームが当
たった部分の周辺のみが溶融して蒸発するためるつぼ内
で蒸着材料の蒸発面が平滑にならず、均一に蒸発させる
ことが困難であるため、均一な斜方蒸着層が安定して得
られないという問題がある。しかし、蒸着材料として金
属Taを用いる反応性蒸着の場合には、金属Taは完全
に溶融する性質を有するために蒸着源のるつぼ内に平滑
な溶融面が形成され、蒸着材料が安定して蒸発するた
め、均一性に優れた蒸着層を安定して得ることが可能で
ある。またTiO2等の溶融性の金属酸化物による斜方
蒸着層を形成する場合には、蒸着材料としてTiO2
るいはTi35のようなTi酸化物を用いてもこれらの
酸化物は溶融性であるためるつぼ内に平滑な溶融面が得
られるが、金属Tiを用いる反応性蒸着の場合にはこれ
らの酸化物よりさらに低い温度で溶融し、蒸着が可能と
なるため、基材のフィルムにより損傷を与えることなく
均一性に優れた斜方蒸着層を形成することができる。
【0025】蒸着材料としては、Ta25を主成分とす
る金属酸化物からなる無機誘電体の斜方蒸着層を酸素導
入による反応性蒸着法により形成する場合には、Taを
80重量%以上含有する金属材料を用いることができ
る。同様に、TiO2を主成分とする金属酸化物からな
る無機誘電体の斜方蒸着層を酸素導入による反応性蒸着
法により形成する場合には、Tiを80重量%以上含有
する金属材料を用いることができる。これらの金属には
必要に応じて、20%未満の副成分を含んでいてもよ
い。
【0026】蒸発した金属と反応させるために蒸着機内
に導入する酸素ガスの導入量は、蒸着装置の容積と排気
能力等に応じて適宜選択される。導入量が少なすぎると
金属を酸化する効果が十分でなく、逆に導入量が多すぎ
る場合は気圧が上昇して蒸着速度が低下することがある
ため注意が必要である。一般的には、真空槽内の気圧が
10-3Torrより大きくならないように導入量を調節
する。このとき、導入する酸素ガスには場合によっては
何らかの副成分を含んでいるものを用いることも可能で
ある。酸素ガスの導入については、例えば、酸素導入口
を図4(15)、図5(46)の位置に設置してフィル
ム面に吹き付ける方向に導入するか、あるいは、酸素導
入口を図4(16)または(17)、図5(47)また
は(48)の位置に設置してフィルム面に沿ってガスが
流れていくような方向に導入する、等の方法を用いるこ
とができる。
【0027】さらに、蒸発した金属と酸素の反応性を上
げるため、プラズマビーム照射や高周波電界、アーク放
電等により酸素プラズマを発生させる、イオンプレーテ
ィング法を利用することも可能である。
【0028】本発明において、透明高分子フィルムの少
なくとも片面に無機誘電体の斜方蒸着層を設ける際、無
機誘電体の斜方蒸着層と基材の透明高分子フィルムある
いは中間層を設けた透明高分子フィルムとの密着性を向
上させるため、透明高分子フィルムおよび中間層の蒸着
する側の表面に何らかの表面処理を施した後に蒸着を行
うことも可能である。表面処理方法については特に限定
されないが、一般的に用いられているものとしては真空
中での加熱処理や、コロナ処理、イオンボンバード処
理、プラズマ処理、紫外線照射、酸・アルカリ処理等を
挙げることができる。表面処理方法や処理の程度は、使
用する透明高分子フィルムや中間層、蒸着材料、および
最終的に得られる位相差フィルムに必要な機械的強度、
耐久性、光学特性により適宜選択される。
【0029】本発明の位相差フィルムは、TN−LCD
の視野角改良用位相差フィルムとして用いるものである
が、同様にスーパーツイステッドネマチック(STN)
型LCDの視野角改良用位相差フィルムとしても用いる
ことができる。この場合、無機誘電体の斜方蒸着層の光
学主軸のフィルム法線に対する傾斜角度やRa値の大き
さ、透明高分子フィルムのRb値などは適宜変更して設
定される。
【0030】
【発明の効果】本発明の位相差フィルムは、TN−LC
Dの視野角特性を改良するのに適した光学主軸がフィル
ム法線方向から傾斜した方向にありかつ正の屈折率異方
性を有する位相差フィルムであって、本発明によって均
一性に優れた大面積のものを容易に安価に得ることがで
きる。
【0031】
【実施例】以下、実施例により本発明を詳細に説明する
が、本発明はこれに限定されるものではない。なお、実
施例におけるRa値及びRb値の測定は、偏光顕微鏡を
用いて波長546nmの単色光で常法により行った。ま
た、光学主軸のフィルム法線方向からの傾斜角度はフィ
ルム面内の進相軸を傾斜軸とした時のレターデーション
値(透明高分子フィルムが複屈折性を有する場合には透
明高分子フィルムのレターデーション値を差し引いた
値)の傾斜角依存性から常法により求めた。
【0032】実施例1 トリアセチルセルロースフィルム(商品名 フジTAC
UV−80 富士写真フィルム(株)製、Rb≒11
nm)上にコンマコーターにより紫外線硬化型のアクリ
ル系樹脂をコート後、紫外線照射により硬化させて、中
間層として厚さ約5μmのアクリル系樹脂膜を形成した
透明高分子フィルムを得た。この中間層を形成した透明
高分子フィルムを図4に示す真空蒸着機内のホルダーに
セットし、気圧2×10-5Torrまで排気し、電子ビ
ーム蒸着法により、蒸着中心角度75度、フィルムの蒸
着中心と基板間の距離400mm、電子銃出力9KW、
蒸着材料としてTa(金属)を用い、酸素ガスを気圧2
×10-4Torrになるまで導入し、厚さ5450Åの
単一層からなるTa酸化物の斜方蒸着層を形成し、位相
差フィルムを得た。このとき蒸着材料は、るつぼ内で表
面全体が溶融し、るつぼ内に平滑な溶融面が形成されて
いた。この位相差フィルムの外観を目視により評価した
ところ、蒸着時の輻射熱による基材の変形もなく、また
クラック等の蒸着膜の剥離も認められなかった。この位
相差フィルムはフィルム面内のレターデーション値が4
7nmであり、光学主軸がフィルム法線方向から約33
度傾斜したものであった。
【0033】実施例2 実施例1と同様にして得た中間層を形成した透明高分子
フィルムを図4に示す真空蒸着機内のホルダーにセット
し、気圧2×10-5Torrまで排気し、電子ビーム蒸
着法により、蒸着中心角度75度、フィルムの蒸着中心
と基板間の距離300mm、電子銃出力4KWで、蒸着
材料としてTi(金属)を用いて、酸素ガスを気圧1×
10-4Torrになるまで導入し、厚さ8300Åの単
一層からなる斜方蒸着層を形成し、位相差フィルムを得
た。このとき蒸着材料は、るつぼ内で表面全体が溶融
し、るつぼ内に平滑な溶融面が形成されていた。この位
相差フィルムの外観を目視により評価したところ、蒸着
時の輻射熱による基材の変形もなく、またクラック等の
蒸着膜の剥離も認められなかった。この位相差フィルム
はフィルム面内のレターデーション値が44nmであ
り、光学主軸がフィルム法線方向から約28度傾斜した
ものであった。
【0034】実施例3 トリアセチルセルロースフィルム(商品名 フジTAC
UV−80 富士写真フィルム(株)製、Rb≒11
nm)の連続フィルム上にコンマコーターにより紫外線
硬化型のアクリル系樹脂をコート後、紫外線照射により
硬化させて、中間層として厚さ約5μmのアクリル系樹
脂膜を形成した透明高分子フィルムを得た。このフィル
ムを125mm幅にスリットした連続フィルムを得た。
この表面処理を施した透明高分子フィルムを図5の連続
真空蒸着機内にセットし、気圧5×10-5Torrまで
排気し、電子ビーム蒸着法により、蒸着開始角度80
度、蒸着終了角度45度、蒸着中心角度60度、フィル
ムの蒸着中心と基板間の距離約340mm、となるよう
に防着板を配置し、EBガン出力8KW、搬送速度0.
25m/分、キャンロールの冷却温度−10℃、蒸着材
料としてTi(金属)を用いて、酸素ガスを気圧7×1
-4Torrになるまで導入し、厚さ8500Åの単一
層からなる斜方蒸着層を連続的に形成して位相差フィル
ムを得た。この位相差フィルムの外観を目視により評価
したところ、蒸着時の輻射熱による基材の変形もなく、
またクラック等の蒸着膜の剥離も認められなかった。こ
の位相差フィルムはフィルム面内のレターデーション値
が38nmであり、光学主軸は、連続蒸着時の蒸着角度
の変化に対応してフィルム厚み方向に連続して変化して
いるが、変化していないものと仮定して求めた値はフィ
ルム法線方向から約33度傾斜したものであった。
【0035】比較例1 実施例1と同様にして得た中間層を形成した透明高分子
フィルムを図4に示す真空蒸着機内にセットし、気圧2
×10-5Torrまで排気し、電子ビーム蒸着法によ
り、蒸着中心角度75度、フィルムの蒸着中心と基板間
の距離300mm、電子銃出力3.5KWで、蒸着材料
としてTa25を主成分としたTaとの混合物(オプト
ロン社製、商品名:OA−100)を用いて、厚さ15
300Åの単一層からなる斜方蒸着層を形成し、位相差
フィルムを得た。蒸着中、蒸着材料はるつぼ内では電子
ビームが照射されている部分のみが溶融して蒸発し、後
の部分はそのまま残るため、蒸着の進行に従いるつぼ内
で段差が生じ、均一な蒸発面を得ることはできなかっ
た。この位相差フィルムの外観を目視により評価したと
ころ、蒸着時の輻射熱による基材の変形もなく、またク
ラック等の蒸着膜の剥離も認められなかったが、蒸着層
の厚み、面内のレターデーション値、光学主軸方向にや
や分布があった。この位相差フィルムは平均的にはフィ
ルム面内のレターデーション値が79nmであり、光学
主軸がフィルム法線方向から約33度傾斜したものであ
った。
【図面の簡単な説明】
【図1】バッチ式真空蒸着装置を用いて透明高分子フィ
ルム上に単一層からなる斜方蒸着層が形成された位相差
フィルムの断面の模式図。
【図2】連続真空蒸着装置を用いて連続した透明高分子
フィルム上に単一層からなる斜方蒸着層が形成された位
相差フィルムの断面の模式図。
【図3】連続真空蒸着装置を用いて連続した透明高分子
フィルム上に多層からなる斜方蒸着層が形成された位相
差フィルムの断面の模式図。
【図4】バッチ式真空蒸着装置により斜方蒸着層の形成
を実施するための装置の概略図。
【図5】連続真空蒸着装置により斜方蒸着層の形成を実
施するための装置の概略図。
【符号の説明】
1 バッチ法による斜方蒸着層 2 連続蒸着法による斜方蒸着層 3 中間層 4 透明高分子フィルム 11 ホルダー 12 透明高分子フィルム 13 防着板 14 蒸着源 15 酸素導入口 16 酸素導入口 17 酸素導入口 21 蒸着中心角度 22 蒸着からの垂線 31 連続フィルム巻き出し部 32 連続フィルム書き取り部 33 ガイドロール 34 キャンロール 35 防着板 36 蒸着源 37 透明高分子連続フィルム 41 蒸着開始角度 42 蒸着終了角度 43 蒸着中心角度 44 蒸着源から引いた垂線 45 連続フィルム進行方向 46 酸素導入口 47 酸素導入口 48 酸素導入口

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】透明高分子フィルムの少なくとも片面に、
    正の屈折率異方性を有しかつ光学主軸がフィルム法線方
    向から20度〜70度傾斜している少なくとも1層の無
    機誘電体からなる斜方蒸着層を形成してなる位相差フィ
    ルムの製造方法であって、蒸着材料として金属を使い、
    成膜中に酸素ガスを導入する反応性蒸着法により金属酸
    化物層を形成することを特徴とする位相差フィルムの製
    造方法。
  2. 【請求項2】透明高分子フィルムの少なくとも片面に、
    正の屈折率異方性を有しかつ光学主軸がフィルム法線方
    向から20度〜70度傾斜している少なくとも1層のT
    25を主成分とする無機誘電体からなる斜方蒸着層を
    形成してなる位相差フィルムの製造方法であって、蒸着
    材料としてTaを80重量%以上含有する金属を使い、
    成膜中に酸素ガスを導入する反応性蒸着法によりTa酸
    化物層を形成することを特徴とする位相差フィルムの製
    造方法。
  3. 【請求項3】透明高分子フィルムの少なくとも片面に、
    正の屈折率異方性を有しかつ光学主軸がフィルム法線方
    向から20度〜70度傾斜している少なくとも1層のT
    iO 2を主成分とする無機誘電体からなる斜方蒸着層を
    形成してなる位相差フィルムの製造方法であって、蒸着
    材料としてTiを80重量%以上含有する金属を使い、
    成膜中に酸素ガスを導入する反応性蒸着法によりTi酸
    化物層を形成することを特徴とする位相差フィルムの製
    造方法。
  4. 【請求項4】透明高分子フィルムは、その少なくとも片
    面に、中間層を介して、正の屈折率異方性を有しかつ光
    学主軸がフィルム法線方向から20度〜70度傾斜して
    いる少なくとも1層の無機誘電体からなる斜方蒸着層が
    形成されてなる請求項1または請求項2または請求項3
    記載の位相差フィルムの製造方法。
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