JPH11299879A - 人工生体適合構造・機能部品、その作製方法及び装置 - Google Patents

人工生体適合構造・機能部品、その作製方法及び装置

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JPH11299879A
JPH11299879A JP10105087A JP10508798A JPH11299879A JP H11299879 A JPH11299879 A JP H11299879A JP 10105087 A JP10105087 A JP 10105087A JP 10508798 A JP10508798 A JP 10508798A JP H11299879 A JPH11299879 A JP H11299879A
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artificial
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alumina
coating layer
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Chikara Hayashi
主税 林
Yasuo Mihara
康雄 美原
Seiichiro Kashu
誠一郎 賀集
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Vacuum Metallurgical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 生体の一部を構成する構造・機能部品の代替
えとなる人工生体適合構造・機能部品、それを作製する
方法及びそのための装置の提供。 【解決手段】 生体の一部を構成する構造・機能部品と
しての骨、関節又は歯根の代替えとなる人工部品に対
し、その表面にガスデポジション法により生体適合材料
の微粒子を堆積・焼結して表面コーティングすること。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、人工生体適合構造
・機能部品、その作製方法及び装置に関し、特に医療の
分野で人体の一部の代替えとして、その構造と機能を保
持するように、人工部品の表面を、ガスデポジション法
により生体適合材料のバイオセラミックスの微粒子でコ
ーティングして得られる代替えの生体適合構造・機能部
品、その作製方法及び装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年の医療技術の進歩にともない、人体
の骨、関節、及び歯科の部品である歯根などで生体の一
部として機能しなくなった人体部品の代替えとして、人
工の代替え部品が利用されている。しかしその場合、そ
の代替え部品が従来の生体の一部と同様の働きをはたす
ためには、同レベルもしくはそれ以上の構造と機能とを
保持すると共に、さらに生体と適合するために、物理化
学的、生化学的、生物学的な生体の特性をすべて網羅し
ていなければ、生体適合材料としての人工生体適合構造
・機能部品として利用できない。
【0003】そのため、生体適合材料として、最近、バ
イオセラミックスを用いる研究がすすめられ、一部実用
化されている。例えば、キャスタブル・セラミックスの
ような生体適合性の良好なセラミックスの粉体を用い
て、造形・焼結により一体化をはかり形状などの解決を
図っている。キャスタブル・セラミックスは従来金属粉
末の分野で行われていたスリップ・キャスティングの手
法で用いられるものである。バイオセラミックス粉末に
耐火性骨材のアルミナセメントあるいはリン酸塩化合物
を配合し、さらに水を加えて混練し、所定の型に流し込
み、水分が型に吸水されて手で取り扱える程度に硬化し
た時点で型から取りだし、乾燥及び高温焼成して所定の
代替え部品を作製するものであり、一部の代替え部品に
は使用されている。
【0004】また、チタンやチタン合金で代表される精
密鋳造の分野では、最近、鋳造時の遠心鋳造や鋳型内の
吸引、加圧を併用して行う歯科用チタン鋳造機を使用し
てチタン鋳物部品が製作されており、この鋳造部品は構
造・強度や形状の面では満足できるものである。
【0005】人工骨頭部及びそのためのソケットからな
る人工股関節と骨盤との概略配置を示す図1によれば、
人工股関節は、内面半球状のソケット(又はカップ)1
の内面(凹面)と大腿骨側2の外面半球状の骨頭部3の
外周面(凸面)とが嵌合し、互いに摺動する構造になっ
ている。ソケット1はその外周面が骨セメント4で覆わ
れて骨盤5内に埋設されており、骨頭部3は直径が28
mm前後の大きさで、大腿骨側のステム6に結合され、
このステムの周辺は骨セメント4で覆われている。通
常、ステムはステンレス又はチタン合金等で作製され、
また、ソケットと骨頭部は焼結アルミナ等で作製されて
いる。ソケットの骨盤への結合、また、骨頭部のステム
への結合に用いられる骨セメントとしては通常アルミナ
セメントが使用されている。アルミナ粉末の焼結温度
は、アルミナ粉末が大きい(通常、数μm)ため、ホッ
トプレスで焼結助剤を用いたとしても1,100℃以上
必要であり、さらにその焼結をするために通常1hr以
上の保持時間が必要である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】生体適合材料としては
生体適合性と共に複雑な形状と高度な特性が要求される
ので、バイオセラミックスを使用する場合、たとえある
種のバイオセラミックスが生体適合性に優れていても、
その材料のみで必要とする形状や特性の成形体を作製す
るには、現在、なお多くの問題点を解決することが必要
である。そのため、前記したように、キャスタブル・セ
ラミックスのような生体適合性の良好なセラミックスの
粉体を用いているが、これらは構造や強度などの特性を
満足していない。このように、人体の構造・機能部品の
代替え部品として用いるには、バイオセラミックスとい
えども形状や構造・機能と生体適合との両面で問題が多
いのが現状である。また、チタンやチタン合金で代表さ
れる精密鋳造により得られる鋳造物は、生体適合面では
生体内での環境になじみ易いとしても、生体適合材料と
してはいまだ完全に満足できるものではない。
【0007】キャスタブル・セラミックスを用いてスリ
ップ・キャスティングにより所望の部品を得るために、
バイオセラミックスを素材として前記したような組成物
を用いて成型品を得て、これを一部の代替え部品として
使用しているが、複雑な、特に薄肉の形状や強度面の信
頼性などの問題、また製作時間の長いこと等の難点があ
る。また、上記したような歯科用チタン鋳造機を使用し
てチタン鋳物部品を製作する場合、チタンは融点が高く
(1,700±25℃)、かつ高温で酸化されやすいな
どの特有の性質を有するため、良質のチタン鋳物部品の
製作には高度の技術を必要とする。チタン鋳物部品はチ
タンの耐摩耗性が低いため、人工関節として使用する場
合、その摺動部で磨耗しやすいという問題が生じ、生体
反応の点からも使用を制限される場合がある。
【0008】生体代替え構造・機能部品としては、基材
としての人工部品が構造、形状、強度などの必要条件を
満たすと共に、体内での各種環境下でその人工部品が生
体と接触することから、その部品表面の生体との適合が
要求されるが、これらの点を解決したものはいまだにな
く、その開発が望まれている。
【0009】前記従来の人工股関節の場合、ソケット及
び骨頭部を構成する焼結アルミナは、擦れ合っても摩耗
が少なく、摩耗片や金属イオンの溶出もないので、材質
としては好ましいが、焼結アルミナ自体の脆性や強度不
足の問題がある。また、アルミナセメントによる結合部
は長期間の経過で劣化が生じるという欠点がある。さら
に、アルミナ粉末の焼結温度が高く、かつ、焼結時間が
長いという問題もある。
【0010】従って、本発明の目的は、上記従来技術の
問題点を解消し、生体の一部を構成する構造・機能部品
の代替えとなる有用な人工生体適合構造・機能部品、そ
れを作製する方法及びそのための装置を提供することに
ある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、代替え人
工生体適合構造・機能部品を別の材料からなる基材とし
ての人工部品とその表面を被覆する被覆層とから構成せ
しめることにより、すなわち、形状、構造・機能、強度
の面や、生体適合の面で満足できる材料をそれぞれ選択
して、その基材表面に被覆層材料をガスデポジション法
によってコーティングすることにより、上記目的を達成
しうることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0012】本発明の代替えの人工生体適合構造・機能
部品の作製方法は、生体の一部を構成する構造・機能部
品としての骨、関節又は歯根の代替えとなる人工部品の
表面に、ガスデポジション法により生体適合材料の微粒
子を堆積・焼結して表面コーティングすることからな
る。前記人工部品がチタン、チタン合金、ステンレス
鋼、Co−Cr合金又はセラミックスから得られるもの
であり、前記生体適合材料がアルミナ、アパタイト又は
リン酸カルシウムであり、前記人工部品が人工骨頭部及
びその骨頭部のソケットからなる人工関節であることが
望ましい。
【0013】チタン合金は、機械強度特性として比強度
が大きく、人体の骨等により近い弾性係数を有する材料
であると共に、生体との適合性では生体内の環境になじ
み易く、各種の腐食に対して耐食性がある。しかし、一
方では種々の加工、特に鋳造加工が難しいことから、所
望とする形状によってはステンレス鋼やCo−Cr合金
材を代替え品として用いることもある。このCo−Cr
合金は医用金属材料として一般に使用されており、ステ
ンレス鋼は医用部品の基材として、その表面に溶射アル
ミナコーティングを設けて使用され得る。
【0014】本発明の人工生体適合構造・機能部品は、
前記人工部品とその表面に被覆された前記生体適合材料
被覆層とからなる。
【0015】本発明の人工生体適合構造・機能部品の作
製装置は、キャリヤガスと生体適合材料の微粒子とから
構成されるエアロゾルの供給部、被覆層形成室内に、被
覆される基材に対して該エアロゾルを噴射するノズル
と、該基材に近接して設けられた該基材の表面を加熱す
るための加熱装置と、該微粒子が堆積される基材表面の
温度を測定するためのセンサーを備えた温度測定器と、
該基材を取付けかつ移動するための手段を有する基材取
付け移動系とを気密に備えた被覆層形成部、該基材取付
け移動系に連結され、該ノズルの先端と該微粒子が堆積
される基材表面との間隔を一定に保持しながら該微粒子
がその堆積面に対してほぼ直角にノズルから噴射される
ように、該基材のX−Y−Z方向への移動を制御する移
動系コントローラー、該基材自体を加熱するための加熱
手段、該被覆層形成室を排気するための真空排気系、及
び該エアロゾル供給部と該被覆層形成部とを連結する搬
送管からなっている。該加熱装置は、セラミックス微粒
子を基材上に堆積する際に、基材表面を加熱して基材と
微粒子の接合を強固にすると共に、基材表面に堆積する
微粒子同士の接合をも助ける役目があり、基材表面の加
熱が主で、基材全体の加熱は補助的である。
【0016】また、該基材取付け移動系が、取り付けら
れた基材を回転するための手段をさらに備えていてもよ
い。
【0017】
【発明の実施の形態】本発明の人工生体適合構造・機能
部品の作製方法によれば、現在すでに医用金属材料とし
て用いられているステンレス鋼やCo−Cr合金を素材
としたものも含めて、チタン、チタン合金又はセラミッ
クスを素材として予め所望の形状に加工された代替え人
工部品を基材として用意し、その人工部品の表面に、バ
イオセラミックス、例えばアルミナ、アパタイト(例え
ば、水酸アパタイト)、又はリン酸カルシウムなどの、
使用される生体内の環境に適したバイオセラミックスの
微粒子をガスデポジション法により数10〜約200μ
mの厚さでコーティングすることが望ましい。その際、
人工部品の表面ないしは堆積する微粒子を所定の温度に
加熱しておけば、堆積と同時に焼結も起こり、望ましい
被覆層が短い作製時間で容易に得られる。
【0018】本発明の場合、人工生体適合構造・機能部
品に対する形状、構造、強度等の要求に対しては基材の
金属などの材料が分担し、生体との適合(なじみ)につ
いては表面被覆層のバイオセラミックスが機能する。
【0019】前記したような被覆された人工部品では、
基材とその表面の被覆層との間には十分な付着強度が必
要であり、さらに被覆層はピンホールが皆無で、十分な
膜強度が要求されるが、本発明によれば、微細なバイオ
セラミックス粒子(その粒径は<1μm)を使用してガ
スデポジション法で特定のバイオセラミックス堆積膜を
作成しているので、バイオセラミックス堆積膜は基材と
の付着強度が十分高く、また、バイオセラミックス粒子
同士の結合も強いので、ピンホールもなく、膜強度も十
分高い。
【0020】また、本発明によれば、エアロゾル式ガス
デポジション法によるセラミックス微粒子の堆積の際
に、基材自体はヒータ等の加熱手段により好ましくは約
400〜500℃に加熱されており、また基材表面及び
堆積する微粒子自体は加熱装置により一般に350〜6
50℃、好ましくは約550〜650℃に加熱されるの
で、堆積と同時に焼結も進行し、従来法の成形→焼結→
接合工程の場合よりも工程を簡略化できる。堆積するセ
ラミックス微粒子の焼結温度は従来法の場合(アルミナ
の場合は1,100℃以上、アパタイトの場合は1,0
00℃以上)のほぼ1/2程度の低い温度で十分であ
る。また、堆積時の温度が従来法の焼結工程での処理温
度よりも格段に低いので、基材と堆積膜との接合の界面
に異常な介在物が生成することがない。例えば、チタン
合金(例えば、Ti−6Al−4V)上にアルミナを積
層する場合、数μmの粒径のアルミナ粒子を焼結する
と、アルミナ中の酸素原子がチタン合金表面から侵入し
て拡散し、そのためチタン合金表層に脆化層が生成し、
アルミナ堆積膜との付着強度が低下するが、本発明によ
ればそのようなこともなく、基材とアルミナ堆積膜との
間の付着強度は満足しうる範囲にある。
【0021】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面を参照して説明
する。
【0022】(実施例1)本実施例では、本発明を人工
股関節に適用した場合について説明する。
【0023】図1に示した骨頭部3とステム6とをチタ
ン合金(Ti−6Al−4V)である金属材料で精密鋳
造し、骨頭部3の外周面にアルミナ層を形成した。骨頭
部は直径28mm前後の半球状で、表面は±2μmの表
面粗度に仕上げた。骨頭部3の外周面にアルミナ層を形
成するためのエアロゾル式ガスデポジション装置を図2
に示す。
【0024】図2に示すように、被覆すべき骨頭部を有
するチタン合金製骨頭部/ステム11(以下、基材とも
いう)は膜形成室12内の基材取付け移動系13にセッ
トされ、エアロゾル容器14内には堆積せしめるアルミ
ナ微粒子(平均粒径0.1μm)15がチャージされる
ようになっている。膜形成室12とエアロゾル容器14
とは内径2.4mmのステンレス製の搬送管16で気密
に接続され、膜形成室内の搬送管16の先端部にはノズ
ル17が取り付けられている。そのノズルの形状は内径
1.5mm、長さ25mmである。エアロゾル容器14
には内径2mmのステンレス製のガス導入パイプ18が
組み込まれ、その先端はアルミナ微粒子の底近くに突っ
込まれている。このガス導入パイプ18は流量調整バル
ブ19を介してArガスボンベ20に配管接続されてい
る。膜形成室12及びエアロゾル容器14にはそれぞれ
圧力計21及び22が設けられ、また、膜形成室12は
真空バルブ23を介して真空ポンプ24に接続してい
る。
【0025】基材取付け移動系13は、ノズル17の先
端とアルミナ微粒子が堆積される骨頭部外表面との間隔
を一定(通常、約2mmの間隔)に保ちながら、アルミ
ナ微粒子が堆積面に対してほぼ直角にノズル17から噴
射されるように、X−Y−Z方向に3次元の移動が出来
るようになっている。この移動系13は基材を加熱する
ためのヒーターを内蔵し、このヒーターは加熱電源25
に接続されている。この基材の移動は移動系コントロー
ラー26によりプログラム制御できるようになってい
る。
【0026】アルミナ堆積部(骨頭部外周面)の加熱は
ハロゲンランプ27を光源とした赤外線加熱で行うが、
その赤外線は、膜形成室12内に気密に挿入されている
直径20mm、長さ250mmの石英ロッド28内を通
過し、堆積面(骨頭部外周面)上に直径10mmのスポ
ットで集束される。温度測定はスポット赤熱部からの赤
外線の放射をセンサー29で検出して温度表示器30で
表示する。
【0027】次に、半球状の骨頭部表面にアルミナ微粒
子を堆積する方法を説明する。
【0028】先ず、基材としてのチタン合金製骨頭部/
ステム11を膜形成室12内の基材取付け移動系13に
セットし、エアロゾル容器14内に平均粒径20nmの
アルミナ微粒子15を20gチャージした。基材の取り
付けられた該移動系13に接続された移動系コントロー
ラー26には骨頭部外周面へのノズル17からのアルミ
ナ微粒子噴射時の作業プログラムが組み込まれている。
骨頭部/ステム11の骨頭部の被覆面を赤外線加熱で6
50℃に加熱し、該移動系13に内蔵されているヒータ
ーにより、基材自体を、アルミナ微粒子の場合通常50
0℃に加熱し、ノズル17をその先端の位置が骨頭部の
堆積スタートの位置にくるように設定した。
【0029】次いで、真空ポンプ24で膜形成室12内
を0.3Paまで排気した後、ガス導入バルブを開け
て、Arガスボンベ20からArガスを流量5L/mi
nでエアロゾル容器14に導入した。Arガスはエアロ
ゾル容器19の底部でアルミナ微粒子を吹き上げてエア
ロゾル状態とする。このAr/アルミナ微粒子の混合エ
アロゾルを圧力差で搬送管19を通して膜形成室12に
搬送し、骨頭部外周面と約2mmの間隔を保ったノズル
17の先端から平均流速約50m/sの高速で噴射して
骨頭部外周面に衝突せしめた。この場合、骨頭部が停止
しているとアルミナ微粒子は骨頭部の堆積面上で円錐状
に約10μm/sの速度で積み上がるが、骨頭部は移動
系コントローラー26に組み込まれている作業プログラ
ムに従って任意にX−Y−Z方向に連続して移動するよ
うになっているので、骨頭部の外周面上に連続した焼結
堆積膜が形成された。このときのエアロゾル容器14の
圧力は85kPa、また、膜形成室12の圧力は64P
aであった。エアロゾルの噴出速度が低下すると堆積さ
れた膜内での粒子密度が低下し、また基材との付着強度
が低下した。
【0030】骨頭部外周面に堆積するアルミナ微粒子の
膜厚は骨頭部の移動速度で決まり、アルミナ微粒子の噴
出量が一定の場合、骨頭部の移動速度に反比例する。
0.15mm/sの速度で移動すると約100μm厚さ
の堆積膜が形成される。上記方法によれば、連続した約
50minの堆積操作で半球状の骨頭部外周面に厚さ1
00μmのアルミナ微粒子堆積膜が形成された。骨頭部
内表面と堆積膜との接合の界面に異常な介在物としての
脆化層が生成せず、骨頭部外周面とアルミナ微粒子堆積
膜との付着強度も満足するものであった。
【0031】また、上記と同じ方法で半球状のソケット
内面(凹面)にも厚さ100μmのアルミナ微粒子堆積
膜を形成した。ソケット内面と堆積膜との接合の界面に
異常な介在物としての脆化層が生成せず、ソケット内面
とアルミナ微粒子堆積膜との付着強度も満足するもので
あった。
【0032】その後、アルミナ微粒子膜の堆積された骨
頭部外周面(凸面)及び半球状のソケット内面(凹面)
にアルコール中に懸濁したアルミナ微粒子を極めて薄く
(数μm程度)塗布し、この凹凸面をかみ合わせて機械
的に摺動を約1時間行い、その後両面をアルコールで洗
浄することにより、形成された両アルミナ微粒子堆積膜
を表面仕上げし、一対の人工股関節とした。
【0033】得られた人工股関節は、生体の股関節の代
替えとなる人工股関節として、形状、構造・機能、強度
の面や、生体適合の面で満足できるものであった。
【0034】(実施例2)本実施例では、本発明を人工
歯根に適用した場合について説明する。
【0035】図3に示すようなスクリュー型人工歯根4
1を、チタン合金(Ti−6Al−4V)から精密鋳造
で作製し、この人工歯根41の歯内骨内への埋め込み部
(ねじ部)42に所望の厚さの水酸アパタイト微粒子の
堆積膜を形成する。図中、43は義歯冠合部を示す。
【0036】水酸アパタイト微粒子堆積膜の形成は、図
2に示す装置に図4に示す要素を付加したものを用いて
行った。すなわち、図2の基材取付け移動系13上に図
4に示すような真空モーター51に直結してチャック5
2を結合し、基材としてのチタン合金製人工歯根53を
挟み込み、この人工歯根を一定速度で回転すると共にX
方向への移動を与えるようにして堆積膜の形成を行う構
造になっている。
【0037】先ず、水酸アパタイト微粒子(平均粒径:
0.2μm)をエアロゾル容器内に約20gチャージし
た。その後の微粒子のエアロゾル化→搬送→ノズルから
の噴射→基材(人工歯根)表面の加熱→基材表面への堆
積の工程は、実施例1と同じ方法で行った。基材表面は
550℃に加熱し、基材自体は400℃に加熱して行っ
た。この場合、人工歯根の埋め込み部42であるねじ部
表面へアパタイト粒子を堆積するに際し、ねじの山と谷
との深さの上下移動(通常1〜2mm程度)をねじのピ
ッチに合わせて行って均一な膜が堆積されるようにし
た。得られた堆積膜の厚さは約100μmであり、該ね
じ部へのアパタイト堆積膜の付着強度は15MPaであ
った。アパタイト微粒子の場合、基材表面の加熱温度は
550℃で十分な堆積膜の強度が得られ、基材の歯内骨
内埋め込み部42の表面と堆積膜との接合の界面に異常
な介在物としての脆化層が生成せず、該埋め込み部42
の表面とアパタイト微粒子堆積膜との付着強度も満足す
るものであった。かかるアパタイト微粒子堆積膜の形成
により、口腔内での組織親和性が向上した。
【0038】また、上記工程において、人工歯根表面の
温度を350℃とした場合、人工歯根表面に堆積したア
パタイト堆積膜の付着強度は6MPaであり、満足する
ものであった。
【0039】人工歯根の場合の膜厚は厳密な制御は不要
であり、目標値100μmに対して±15%程度は実用
上許容され得る。
【0040】(実施例3)実施例2で用いた水酸アパタ
イトの代わりにリン酸カルシウム(平均粒径0.2μ
m)を用いて実施例2の手順を繰り返したところ、得ら
れたリン酸カルシウム堆積膜は実施例2の場合と同程度
の特性を有していた。
【0041】
【発明の効果】本発明の人工生体適合構造・機能部品の
作製方法及び作製装置によれば、ガスデポジション法で
人工部品の表面に生体適合材料の微粒子を堆積・焼結し
て表面コーティングするので、必要な形状、構造・機
能、強度を備えると共に生体への適合性でも満足でき
る、生体部品の代替えとなる有用な人工生体適合構造・
機能部品が簡単かつ容易に提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】人工股関節について説明するための概略線図。
【図2】本発明の装置の一実施例を説明するための概略
線図。
【図3】本発明により得られる被覆人工歯根について説
明するための模式的側面図。
【図4】本発明による人工歯根の作製装置の歯根取付部
の一部を示す模式的側面図。
【符号の説明】
1 ソケット 2 大腿骨側 3 骨頭部 4 骨セメント 5 骨盤 6 ステム 11 骨頭部/ステム(基材) 12 膜形成室 13 基材取り付け移動系 14 エアロゾ
ル容器 15 アルミナ微粒子 16 搬送管 17 ノズル 18 ガス導入
パイプ 19 流量調整バルブ 20 ガスボン
ベ 21、22 圧力計 23 真空バル
ブ 24 真空ポンプ 25 加熱電源 26 移動系コントローラー 27 ハロゲン
ランプ 28 石英ロッド 29 センサー 30 温度表示器 41 人工歯根 42 埋め込み部 43 義歯冠合
部 51 真空モーター 52 チャック 53 人工歯根

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 生体の一部を構成する構造・機能部品と
    しての骨、関節又は歯根の代替えとなる人工部品の表面
    に、ガスデポジション法により生体適合材料の微粒子を
    堆積・焼結して表面コーティングし、代替えの人工生体
    適合構造・機能部品を作製することを特徴とする人工生
    体適合構造・機能部品の作製方法。
  2. 【請求項2】 前記人工部品がチタン、チタン合金、ス
    テンレス鋼、Co−Cr合金又はセラミックスから得ら
    れるものであり、前記生体適合材料がアルミナ、アパタ
    イト又はリン酸カルシウムである請求項1記載の作製方
    法。
  3. 【請求項3】 前記人工部品が人工骨頭部及びその骨頭
    部のためのソケットからなる人工関節である請求項1又
    は2記載の作製方法。
  4. 【請求項4】 生体の一部を構成する構造・機能部品と
    しての骨、関節又は歯根の代替えとなる、チタン、チタ
    ン合金、ステンレス鋼、Co−Cr合金又はセラミック
    スから得られた人工部品と、その表面に被覆されたアル
    ミナ、アパタイト又はリン酸カルシウムの生体適合材料
    被覆層とからなることを特徴とする人工生体適合構造・
    機能部品。
  5. 【請求項5】 キャリヤガスと生体適合材料の微粒子と
    から構成されるエアロゾルの供給部、被覆層形成室内
    に、被覆される基材に対して該エアロゾルを噴射するノ
    ズルと、該基材に近接して設けられた該基材の表面を加
    熱するための加熱装置と、該微粒子が堆積される基材表
    面の温度を測定するためのセンサーを備えた温度測定器
    と、該基材を取付けかつ移動するための手段を有する基
    材取付け移動系とを気密に備えた被覆層形成部、該基材
    取付け移動系に連結され、該ノズルの先端と該微粒子が
    堆積される基材表面との間隔を一定に保持しながら該微
    粒子がその堆積面に対してほぼ直角にノズルから噴射さ
    れるように、該基材のX−Y−Z方向への移動を制御す
    る移動系コントローラー、該基材自体を加熱するための
    加熱手段、該被覆層形成室を排気するための真空排気
    系、及び該エアロゾル供給部と該被覆層形成部とを連結
    する搬送管からなることを特徴とする人工生体適合構造
    ・機能部品の作製装置。
  6. 【請求項6】 前記基材取付け移動系が、取り付けられ
    る基材を回転するための手段をさらに備えている請求項
    5記載の装置。
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