JPH11302156A - ポリペプチドの微粒子化方法 - Google Patents

ポリペプチドの微粒子化方法

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JPH11302156A
JPH11302156A JP10527298A JP10527298A JPH11302156A JP H11302156 A JPH11302156 A JP H11302156A JP 10527298 A JP10527298 A JP 10527298A JP 10527298 A JP10527298 A JP 10527298A JP H11302156 A JPH11302156 A JP H11302156A
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JP
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polypeptide
polyethylene glycol
molecular weight
aqueous solution
organic solvent
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JP10527298A
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English (en)
Inventor
Takehiko Suzuki
健彦 鈴木
Takahiro Morita
孝広 森田
Hiroshi Yamahara
弘 山原
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Tanabe Pharma Corp
Original Assignee
Tanabe Seiyaku Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 回収率が高く、変性を伴わずに高純度のポリ
ペプチド微粒子を調製する方法を提供する。 【解決手段】 ポリペプチドおよびポリエチレングリコ
ールの混合水溶液を凍結乾燥し、得られた固形物に、ポ
リペプチドは溶解しえないがポリエチレングリコールは
溶解しうる有機溶媒を加え、該固形物中のポリエチレン
グリコールを溶解させてポリペプチド微粒子を得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリペプチドの微
粒子化方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、生理活性を有するポリペプチド
が、ヒトまたは動物の種々の疾患の治療、予防に広く利
用されている。
【0003】従来、これらポリペプチドは、ほとんどの
場合が毎日注射にて投与されていたが、投与法の煩雑
さ、患者への負担などの問題から、より簡便な投与方法
が検討されている。
【0004】このような方法の一例として、経肺投与が
あげられる。しかしながら、経肺投与においては小さい
粒子ほど肺胞内に達することができるため、確実に肺胞
内まで到達させるためには、ポリペプチドを微粒子化す
る必要がある。
【0005】また、生体内分解性ポリマー中にポリペプ
チドを封入してマイクロスフェアとすることにより長期
徐放化を図り、これを注射により生体内に局所投与する
検討も進められている。
【0006】このようなマイクロスフェアの製法として
は、まず、ポリペプチドの水溶液を、生体内分解性ポリ
マーを溶解させた塩化メチレン等の有機溶媒中に乳化し
てW/Oエマルションを調製し、これを水中に乳化して
マイクロスフェアを得る方法が知られている。
【0007】しかしながら、一般にポリペプチドの多く
は、水に溶解した状態で有機溶媒と接触すると、変性を
受け、活性を失ってしまうという問題がある。
【0008】この問題を回避するために、ポリペプチド
を粉末のまま生体内分解性ポリマーを溶解させた有機溶
媒中に分散して油相とし、これを用いてマイクロスフェ
アを調製することも検討されているが、この方法におい
ては、ポリペプチドの粒子径が大きいと、高い包含率が
得られない上、溶出初期における多量放出(初期バース
ト現象)が生じるため、エアロゾル製剤同様、ポリペプ
チドを微粒子化する必要があった。
【0009】ポリペプチドの微粒子化方法としては、
(1)ゼラチン等の水溶性高分子物質と水溶性ポリペプ
チドとの混合水溶液をスプレードライヤーを用いて微粒
子化する方法(特開平4−36233)、(2)水溶性
ポリペプチドと水溶性高分子物質との混合水溶液を凍結
乾燥し、この凍結乾燥物をジェットミルを用いて微粉砕
する方法(特開平8−225454)、(3)界面活性
剤とポリペプチドとを水中で混合し、これを急速乾燥す
る方法(特開平9−315997)などがあげられる。
【0010】しかしながら、(1)、(2)の方法は共
に、熱や物理的衝突からポリペプチドの失活を防ぐため
に多量の水溶性高分子物質を配合しており、このため高
純度のポリペプチド微粒子は得られない上、回収率も非
常に低く、(3)の方法においては、界面活性剤を用い
ているため、ポリペプチドの種類によっては、その立体
構造が変化してしまい、生理活性を失ってしまう、など
の問題があった。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、回収
率が高く、変性を伴わずに高純度のポリペプチド微粒子
を調製する方法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、ポリペプ
チドとポリエチレングリコールの混合水溶液を凍結乾燥
すると、両者の間で相分離が起こり、得られた固形物
に、ポリペプチドは溶解しえないがポリエチレングリコ
ールは溶解しうる有機溶媒を添加してポリエチレングリ
コールのみを溶解させることにより、高純度のポリペプ
チド微粒子が懸濁液として得られることを見出し、本発
明を完成するに至った。
【0013】本方法によれば、熱や物理的衝撃力などが
加わることなく、さらには溶液状態で有機溶媒と接触す
ることもないのでポリペプチドの変性や失活がほとんど
起こらない。
【0014】すなわち、本発明は、ポリペプチドおよび
ポリエチレングリコールの混合水溶液を凍結乾燥し、得
られた固形物に、ポリペプチドは溶解しえないがポリエ
チレングリコールは溶解しうる有機溶媒を加えることを
特徴とするポリペプチドの微粒子化方法に関する。
【0015】
【発明の実施の形態】本発明においては、まずポリペプ
チドおよびポリエチレングリコールを含む混合水溶液
(以下、単に混合水溶液と称す)を調製する。
【0016】ポリペプチドとしては、哺乳動物にとって
有用な生理活性を有し、臨床上用いることができる種々
のペプチドまたはタンパク質が挙げられる。該ポリペプ
チドは、その分子量がモノマーとして、例えば1000
〜200000のものが用いられ、特に好ましくは50
00〜70000のものが汎用される。これらポリペプ
チドには、生化学の分野で高次構造を有すると云われる
タンパク質に分類される高分子も含まれる。本発明で用
いられるポリペプチドの種類は、本発明の目的が達成さ
れる限り特に限定されないが、ある一定の水溶性を有す
るものが好ましく、その溶解度は水に対して、20℃で
約0.01mg/ml以上、好ましくは約1mg/ml
以上である。
【0017】ポリペプチドの具体例としては、例えばホ
ルモン類、酵素類、サイトカイン類成長因子類などが挙
げられる。より具体的には、例えば以下のポリペプチド
が挙げられる。
【0018】ホルモン類としては、例えば成長ホルモン
(GH)、成長ホルモン放出因子(GRF)、インスリ
ン、グルカゴン、ガストリン、プロラクチン、副腎皮質
刺激ホルモン(ACTH)、甲状腺刺激ホルモン(TS
H)、卵胞刺激ホルモン(FSH)、黄体形成ホルモン
(LH)、ヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)、カル
シトニンなどが挙げられる。
【0019】酵素類としては、例えば組織プラスミノー
ゲン・アクチベータ(tPA)、ウロキナーゼ(U
K)、ストレプトキナーゼ、プロテインC、メタロプロ
テアーゼ類、スーパーオキシド・ディスムターゼ(SO
D)、第VIII及びIX因子、ペルオキシダーゼなど
が挙げられる。
【0020】サイトカイン類としては、例えばインター
フェロン類(IFN−α,−β,−γなど)、インター
ロイキン類(IL−1〜IL−11など)、カケクチ
ン、オンコスタチン、コロニー刺激因子類(G−,M
−,GM−CSFなど)、トロンボポエチン(TP
O),エリスロポエチン(EPO)などが挙げられる。
【0021】成長因子類としては、例えば神経成長因子
(NGF−1,NGF−2など)、神経栄養因子(NT
F)、上皮細胞成長因子(EGF)、血小板由来増殖因
子(PDGF)、インスリン様成長因子(IGF−1,
IGF−2,IGF−3など)、繊維芽細胞増殖因子
(aFGF,bFGF)、骨形成原成長因子(BMP−
1,BMP−2,BMP−3,BMP−4など)、心房
性ナトリウム利尿因子(ANP)、軟骨誘導因子などが
挙げられる。
【0022】これらのうち特に好ましいポリペプチドと
しては、例えば成長ホルモン(例えば、22キロダルト
ンヒト成長ホルモン、20キロダルトンヒト成長ホルモ
ンなど)、インターフェロン類、エリスロポエチンなど
が挙げられる。
【0023】これらのポリペプチドは糖鎖を有していて
もよく、またその糖鎖構造が異なっていてもよい。さら
に、これらはムテイン、誘導体、類縁体および活性フラ
グメントなども含む。
【0024】本発明で用いられるポリペプチドは、天然
由来あるいは遺伝子組換え技術によって得られたものい
ずれでもよい。
【0025】また、本発明で用いられるポリペプチドと
しては、金属塩であってもよく、かかる金属塩における
金属としては、例えばアルカリ土類金属(例えば、カル
シウム、マグネシウムなど)、亜鉛(II価)、鉄(II
価、III価)、銅(II価)、スズ(II価、IV価)、アル
ミニウム(II価、III価)などが挙げられ、本明細書で
は、これら金属塩になっているものも含めて、ポリペプ
チドと称する。
【0026】本発明において用いられるポリエチレング
リコールは、製剤技術の分野において通常用いられるも
のであれば特に限定されず、かかるポリエチレングリコ
ールとしては、平均分子量が、400〜500000の
もの、好ましくは2000〜100000のもの、とり
わけ好ましくは6000〜70000のものがあげられ
る。
【0027】混合水溶液の調製方法は、水にポリペプチ
ド、ポリエチレングリコールの両者を一度に溶解させて
もよいし、一方を溶解させたのちもう一方を溶解させて
もよく、またポリペプチド水溶液とポリエチレングリコ
ール水溶液とを混合してもよい。要は、最終的にポリペ
プチドとポリエチレングリコールが水に溶解していれば
よく、調製法はとくに制限されない。
【0028】混合水溶液におけるポリペプチド濃度は、
ポリペプチドが溶解する範囲内であれば特に限定されな
いが、あえて例示するとすれば、0.1〜200mg/
ml、好ましくは1〜100mg/mlである。
【0029】混合水溶液におけるポリエチレングリコー
ルの濃度は、ポリエチレングリコールが溶解する範囲内
であれば特に限定されないが、あまり高くしすぎると水
溶液中でペプチドが沈殿してしまうこともあり好ましく
ない。好ましいポリエチレングリコールの濃度をあえて
例示するとすれば、0.025〜200mg/ml、好
ましくは0.25〜100mg/mlである。
【0030】次いで、混合水溶液を凍結乾燥し、得られ
た固形物に、ポリペプチドは溶解しえないがポリエチレ
ングリコールは溶解しうる有機溶媒を添加し、ポリエチ
レングリコールを溶解することにより、目的のポリペプ
チド微粒子が有機溶媒懸濁液として得られる。
【0031】混合水溶液を凍結乾燥するにあたっては、
まず混合水溶液を凍結させるが、凍結は、混合水溶液の
温度が急激に降下するような条件よりも、徐々に降下す
るような条件が好ましい。このような条件は、設定温度
が−20〜−60℃の通常用いられる冷凍庫もしくは凍
結乾燥機を用いて凍結させれば容易に達せられるが、よ
り具体的にこのような条件を明示するとすれば、初期降
温速度(冷却開始後1分当たりの混合水溶液の降下温
度)が約2〜40℃/分、好ましくは約10〜30℃/
分である。
【0032】凍結させた混合水溶液は、引続き凍結乾燥
機内で、常法に従い、減圧し水分を昇華させればよい。
【0033】本発明においては、凍結乾燥工程の凍結過
程において、混合水溶液中の水から最初に凝固を開始す
るため、非氷晶の部分においてポリペプチドおよびポリ
エチレングリコール濃度の濃縮が起こり、その結果、ポ
リペプチドに富んだ相とポリエチレングリコールに富ん
だ相との相分離が起こる。
【0034】この相分離現象は、ポリエチレングリコー
ルに富んだ相の中にポリペプチドに富んだ相が微小液滴
を形成する場合と、ポリペプチドに富んだ相の中にポリ
エチレングリコール相が微小液滴を形成する場合があ
り、どちらの相分離形態になるかは、混合水溶液中のポ
リエチレングリコール/ポリペプチドの濃度比率によっ
て決定される。この濃度比率が、ポリペプチドの種類お
よびポリエチレングリコールの分子量により決定される
ある一定値(転相比率と称す)以上であれば、ポリエチ
レングリコールに富んだ相の中にポリペプチドに富んだ
相が微小液滴を形成することとなる。一般に、濃度比率
を転相比率以上にすると、より粒子径の小さな球形の微
粒子が得られ、濃度比率を転相比率以下にすると、粒子
径がやや大きく、不定形な形状をした粒子が得られる。
したがって、より粒子径の小さな微粒子、例えば、平均
粒子径が10μm以下の微粒子を得るには、濃度比率を
転相比率以上にすることが好ましい。
【0035】転相比率は、用いるポリペプチドの種類お
よびポリエチレングリコールの分子量によって変動する
が、適宜、種々の濃度比率の混合水溶液を用いて微粒子
を調製し、その粒子径およびその形状を調べることによ
り、容易に決定することができる。しかしながら、転相
比率は、分子量6000以上のポリエチレングリコール
を用いた場合には、その分子量の違いはほとんど影響せ
ず、したがって、転相比率は用いるポリペプチドの種類
によってのみ決定される。ポリペプチドの種類による転
相比率の変動は、大きくはポリペプチドの分子量に起因
すると思われ、したがって、分子量6000以上のポリ
エチレングリコールを用いる場合の転相比率は、用いる
ポリペプチドの分子量によってある程度推測できる。す
なわち、ポリエチレングリコールとして、分子量600
0以上のものを用いた場合には、近似的にポリペプチド
の分子量(M)と転相比率(T)との間には次の関係式
T=102.7/M0.68が成り立ち、上記の式において、
用いるポリペプチドの分子量を代入することにより、転
相比率を求めることができる。
【0036】上記の如く、転相比率は用いるポリペプチ
ドの種類等により変動するが、平均粒子径が10μm以
下の微粒子が得られるような濃度比率をあえて例示する
とすれば、0.25以上、好ましくは0.5以上、より
好ましくは1以上である。
【0037】本発明に用いる有機溶媒としては、ポリペ
プチドは溶解しえないが、ポリエチレングリコールは溶
解しうるようなもの、例えば、20℃におけるポリペプ
チドの溶解度が1mg/ml以下であり、かつポリエチ
レングリコールの溶解度が1mg/ml以上であるよう
なものであれば特に制限されず、用いたポリペプチドの
種類に応じて適宜選択すればよい。このような有機溶媒
の具体例をあえて例示するとすれば、例えば、塩化メチ
レン、クロロホルム、四塩化炭素などのハロゲン化炭化
水素類、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチルなどの酢
酸エステル類、メタノール、エタノールなどの低級アル
コール類、ベンゼン、トルエン、キシレン、クメンなど
の芳香族炭化水素類、エチルエーテル、テトラヒドロフ
ランなどのエーテル類、アセトンなどのケトン類などの
他、ペンタン、アセトニトリル、ピリジンなどがあげら
れ、これらのうち、塩化メチレン、クロロホルム、アセ
トン、アセトニトリル、酢酸エチル、トルエン、メタノ
ール、エタノールが特に好ましく、これら有機溶媒は2
種以上混合して用いてもよい。
【0038】また、上記有機溶媒のうち、塩化メチレ
ン、クロロホルム、トルエン、酢酸エチルなど揮発性で
水への溶解度が低く、生体内分解性ポリマーが溶解する
ようなものを用いれば、本方法により得られたポリペプ
チド微粒子をマイクロスフェア製剤に用いる場合に、微
粒子調製工程とマイクロスフェア調製工程を連続的に行
うことも可能である。
【0039】本発明においては、凍結乾燥により得られ
た固形物の段階で既にポリペプチドが微粒子としてポリ
エチレングリコール中に分散した状態となっているた
め、ポリエチレングリコールを有機溶媒を用いて溶解さ
せるだけでポリペプチド微粒子が得られ、粉砕や超音波
照射などの微細化手段は必要としない。
【0040】得られたポリペプチド微粒子懸濁液は、必
要であれば、透析、遠心分離・洗浄、濾過・洗浄等の既
知の手段を用いて溶媒交換あるいは微粒子懸濁液中に溶
解しているポリエチレングリコールの除去を行うことも
できる。また、濾取あるいは遠心分離等の手段を用いて
溶媒を除去し、乾燥させることにより微粒子を粉体とし
て取出すことも可能である。
【0041】得られたポリペプチド微粒子は既知の手段
により、噴霧製剤、マイクロスフェア製剤等にすること
ができる。
【0042】噴霧製剤は、懸濁液から粉体として取出し
たポリペプチド微粒子単独で、もしくは、微粒子の分散
性向上のため界面活性剤を添加して調製される。界面活
性剤としては、例えば、ソルビタントリオレエート、大
豆レシチン、オレイルアルコール、硬化ヒマシ油誘導体
などがあげられ、その配合量はポリペプチド重量に対
し、0.001〜5%(w/w)の範囲であり、好まし
くは0.05〜2%(w/w)である。
【0043】また、必要に応じ、安定化剤、賦形剤など
が添加されていてもよい。安定化剤としては、人血清ア
ルブミン、ゼラチンなどがあげられ、その配合量はポリ
ペプチド重量の0.01〜200%(w/w)が好まし
い。賦形剤としては、ラクトース、マルトース、ソルビ
トース、トレハロース、キシロース、マンニトール、ソ
ルビトール、キシリトースなどの糖もしくは糖アルコー
ルがあげられ、その配合量は、ポリペプチド重量に対し
て0.01〜200%(w/w)の範囲内であり、好ま
しくは1〜50%(w/w)である。
【0044】さらには、本来生体に存在する浸透圧維持
に必要な鉱物イオン、例えば、カルシウムイオン、マグ
ネシウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、
クロルイオンなどが適宜配合されていてもよく、また、
生体に対する刺激性を抑えるために、肺胞由来の界面活
性剤も必要に応じ配合されていてもよい。
【0045】このように調製された噴霧製剤用ポリペプ
チド組成物は、そのまま、あるいは圧縮空気、圧縮炭酸
ガスなどを噴霧ガスとして、またあるいは適当なプロペ
ラント中に分散して、口腔内または鼻腔内を経由して咽
頭部あるいは肺内に吸入させる。使用可能なプロペラン
トとしては、クロロフルオロカーボン(フロン11、1
2、114など)、水素を含有したクロルフルオロカー
ボン(フロン123、124、141bなど)、塩素を
含まないフルオロカーボン(フロン125、134aな
ど)などがあげられる。
【0046】マイクロスフェア製剤とする場合は、生体
内分解性ポリマーが溶解している揮発性で水への溶解性
が低い有機溶媒中に、ポリペプチド微粒子が分散された
「油相」を調製し、該油相中の生体内分解性ポリマーを
固化させることにより調製すればよい。油相中に生体内
分解性ポリマーが2種以上存在する場合は、それらが互
いに相分離してO/O型エマルションを形成していても
よい。
【0047】油相は、ポリペプチド微粒子粉末に、ポリ
ペプチドは溶解しえず生体内分解性ポリマーを溶解しう
る揮発性で水への溶解性が低い有機溶媒および生体内分
解性ポリマーを添加するか、もしくはポリペプチドおよ
びポリエチレングリコールの混合水溶液を凍結乾燥して
得られた固形物に、ポリペプチドは溶解しえないがポリ
エチレングリコールおよび生体内分解性ポリマーは溶解
しうる揮発性で水への溶解性が低い有機溶媒を添加して
調製できる。前者の方法で油相を調製した場合、マイク
ロスフェア中にポリエチレングリコールが混入しないた
め、高含量のポリペプチドマイクロスフェアが得られ、
後者の方法で油相を調製した場合、ポリペプチド微粒子
を粉末として取出す操作が必要ないので製造上有利であ
る。
【0048】ポリペプチドは溶解しえず生体内分解性ポ
リマーを溶解しうる揮発性で水への溶解性が低い有機溶
媒の具体例としては、塩化メチレン、クロロホルム、酢
酸エチル、トルエンなどがあげられ、これらのうち、塩
化メチレン、クロロホルムが特に好ましく、これら有機
溶媒は2種以上を混合して用いてもよい。
【0049】ポリペプチドは溶解しえないがポリエチレ
ングリコールおよび生体内分解性ポリマーは溶解しうる
揮発性で水への溶解性が低い有機溶媒の具体例として
は、前述の塩化メチレン、クロロホルム、酢酸エチル、
トルエンなどがあげられ、これらのうち、塩化メチレ
ン、クロロホルムが特に好ましく、これら有機溶媒は2
種以上を混合して用いてもよい。
【0050】生体内分解性ポリマーとしては、生理活性
を持たず、生体内で分解・消失する性質を有するポリマ
ーであればなんでもよい。たとえば、乳酸、グリコール
酸、リンゴ酸およびヒドロキシ酪酸などのホモポリマ
ー、並びにこれらのコポリマーがあげられる。とくに平
均分子量が1000〜500000のポリ乳酸ならびに
乳酸グリコール酸コポリマーが好ましい。
【0051】生体内分解性ポリマーに対するポリペプチ
ドの含有量は、任意に選ぶことができ、ポリペプチドの
種類、目的とする薬理効果および放出時間によって異な
るが、約0.01〜約40%(w/w)、特に0.01
〜20%が好ましい。
【0052】油相中の生体内分解性ポリマーの濃度は、
生体内分解性ポリマーの分子量や有機溶媒の種類などに
よって異なるが、ふつう約0.01%(w/w)〜約8
0%(w/w)の範囲とすればよく、好ましくは約0.
1%(w/w)〜約70%(w/w)、とりわけ好まし
くは約1%(w/w)〜約60%(w/w)である。
【0053】油相中の生体内分解性ポリマーを固化させ
る手段としては、O/W型、O/O/W型の各種エマル
ションの液中乾燥法、相分離法、噴霧乾燥法などがあげ
られ、以下にこれらの方法について説明する。
【0054】(a)O/W型エマルション液中乾燥法:
本方法によりマイクロスフェアを調製するには、上記方
法で調製された油相を水相中に加え、乳化することによ
りO/W型エマルションを調製し、得られたエマルショ
ンを液中乾燥すればよい。
【0055】水相体積は、例えば油相体積の約1倍〜約
10000倍とすればよく、好ましくは、約2倍〜約5
000倍、とりわけ好ましくは約5倍〜約2000倍で
ある。
【0056】水相には、油相の合一や生成したマイクロ
スフェアの凝集を防ぐために凝集防止剤を加えることも
できる。凝集防止剤としては、一般に用いられるもので
あれば何でもよいが、たとえば、ポリビニルアルコー
ル、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、アラビ
アゴム、キトサン、ゼラチン、血清アルブミン、界面活
性剤などがあげられる。凝集防止剤の水相中の濃度は
0.01〜10%(w/v)、とくに0.1〜2%(w
/v)が好ましい。乳化安定剤の種類や添加濃度を変え
ることにより、マイクロスフェアの粒子径ならびに粒度
の分布をコントロールすることができる。
【0057】さらに水相中には、 pH調節剤(例えば、
酢酸、塩酸、水酸化ナトリウムなど)、保存剤(例え
ば、パラオキシ安息香酸類など)、浸透圧調整剤(例え
ば、塩化ナトリウムなどの塩類、マンニトールなどの糖
類、など)が添加されていてもよい。
【0058】乳化操作は、プロペラ式撹拌機、タービン
型の乳化機、超音波分散装置または高圧乳化機などによ
り容易に実施することができる。
【0059】液中乾燥は加熱法、減圧法等の常法により
実施することができ、例えば加熱法ではプロペラ型また
はタービン型撹拌機でエマルションを撹拌しながら昇温
し、溶媒の留去を行う。この撹拌速度は装置および仕込
量により若干変動するが、約10〜約25000rp
m、とくに好ましくは50〜10000rpmである。
温度は約0.5〜約4時間かけて上昇させればよい。初
めの温度は0〜25℃、上昇後の最高温度は25〜50
℃が好ましい。また減圧法では、エマルションをロータ
リーエバポレーターのような適当な減圧装置で徐々に減
圧して約0.1〜50mm/Hgとし、溶媒の留去を行
う。
【0060】得られるマイクロスフェアの粒子径は、平
均粒子径として0.01μm〜500μmであり、一般
的には、油相における有機溶媒量のポリマー量に対する
比率を上昇させることにより、得られるマイクロスフェ
アの粒子径は微細になる。
【0061】このようにして得られたマイクロスフェア
は、遠心分離あるいは濾過操作により分取した後、マイ
クロスフェア表面に付着する乳化安定剤などを蒸留水で
数回繰り返し洗浄除去し、再び蒸留水などに分散し、ま
た必要であればマンニトールなどの添加物を加えて凍結
乾燥する。その後、必要であれば、減圧下加温してマイ
クロスフェア中の水分および有機溶媒を除去してもよ
い。加温条件としては、例えばマイクロスフェアを、毎
分10〜20℃の昇温速度で示差走査熱量計で求めた生
体内適合性ポリマーの中間点ガラス転移温度よりも約5
℃以上高い温度まで加温し、マイクロスフェア自体が所
定の温度に達した後、1週間以内、好ましくは2、3日
以内、より好ましくは約1時間ないし24時間、同温度
で保持すればよい。
【0062】(b)O/O/W型エマルション液中乾燥
法:本方法によりマイクロスフェアを調製するには、2
種以上の生体内分解性ポリマーを用いて油相を調製し
(ここで2種類のポリマーは、有機溶媒中にそれぞれ溶
解してはいるが、それぞれの相は互いに相溶せず相分離
している)、これを乳化してO/O型エマルションと
し、このO/O型エマルションを、(a)と同様に水相
中に加え、乳化することによりO/O/W型エマルショ
ンを調製し、得られたエマルションを液中乾燥すればよ
い。
【0063】ここで用いる2種類のポリマーの組合せ
は、それぞれの有機溶液を混合するとそれぞれの相は相
溶せず、一方のポリマー(第一ポリマー)が他方のポリ
マー(第二ポリマー)中でアロイを形成する組合せであ
ればなんでもよく、たとえばポリ乳酸と乳酸グリコール
酸コポリマーの組合せがある。また、これら第一および
第二ポリマーは、各々が2種以上のポリマーの混合物の
形でも使用できる。
【0064】第一ポリマーと第二ポリマーは、一般的
に、使用重量の多いポリマーがO/O型エマルションに
おいて連続層を形成して第二ポリマーとなり、使用重量
の少ないポリマーが、O/O型エマルションの該連続層
中に分散し微小液滴を形成して第一ポリマーとなるの
で、これを指標として、選択することができる。使用す
る第一ポリマーと第二ポリマーの重量比は上記の指標に
もとづき決定すればよく、特に制限はないが、例えば第
一ポリマーが1に対して第二ポリマーが1〜10である
ものがあげられる。このうち、好ましい重量比として
は、第一ポリマーが1に対して第二ポリマーが2〜4の
ものがあげられる。例えば、ポリ乳酸と乳酸グリコール
酸コポリマーの組合せの場合において、分子量が共に同
じであり、重量比がポリ乳酸が2、乳酸グリコール酸コ
ポリマーが1のときは、乳酸グリコール酸コポリマーが
微小液滴を形成して第一ポリマーとなる。また上記組合
せの場合において、重量比が逆のときは、ポリ乳酸が微
小液滴を形成して第一ポリマーとなる。また、ポリペプ
チド微粒子は、第一または第二ポリマーに対する親和性
の違いにより、いずれかのポリマー溶液中に偏在する。
従って、本方法においては、上記の関係を利用して、微
小液滴を形成するポリマー中にポリペプチドを含有させ
徐放性に優れたマイクロスフェアを得ることができる。
例えば、ポリペプチド微粒子がO/O型エマルションに
おいて連続相(即ち、第二ポリマー)に偏在する場合に
は、ポリマーの重量比を変えることにより、微小液滴中
にポリペプチド微粒子を含有させることが可能となるの
で、容易にポリペプチドとポリマーの組合せを選択する
ことができる。また、一般的に粘度が上昇すると、粒子
間の合一が抑制されるためO/O型エマルションは安定
化し、内部の微小領域の粒子径が小さいマイクロスフェ
アを製することができ、2種の生体内分解性ポリマーの
内、一方のポリマーとして高分子量のものを採用するこ
とによっても、上記と同様に内部微小領域の粒子径が小
さいマイクロスフェアを製造することができる場合があ
り、マイクロスフェア内部における微小領域の粒子径を
コントロールできる。
【0065】したがって、本方法により得られたマイク
ロスフェア製剤は、2種以上の生体内分解性ポリマーよ
りなり、一方の生体内分解性ポリマー(第一ポリマー)
からなる微小領域が、他方の生体内分解性ポリマー(第
二ポリマー)からなる領域中に分散している内部構造を
有し、該微小領域中にポリペプチドを含有する多核マイ
クロスフェア製剤である。
【0066】本方法において第一ポリマーと第二ポリマ
ーの効果はそれぞれ下記の通りである。第一ポリマーは
ポリペプチドに対して第二ポリマーよりも親和性が高い
ため選択的にポリペプチドを保持することができる。第
二ポリマーは大きく二つの効果をもつ。第一に、本方法
により調製したO/O型エマルションをさらに水相中に
乳化してO/O/W型エマルションとする際、第一ポリ
マーに保持したポリペプチドを水相中に逃さない効果を
有する。このことにより、高い取り込み率が得られる。
第二にマイクロスフェアが体液と接した際、ポリペプチ
ドを保持した第一ポリマーよりなる内相のアロイが直接
水と接触することを防ぐ結果、初期のバースト的な溶出
の抑制などの放出制御の効果を有する。
【0067】得られたマイクロスフェアは、(a)と同
様にして洗浄を行い、次いで凍結乾燥すればよい。
【0068】(c)相分離法(コアセルベーション
法):本法によりマイクロカプセルを製造する場合に
は、油相にコアセルベーション剤を撹拌下徐々に加えて
マイクロスフェアを析出固化させればよい。
【0069】コアセルベーション剤は、油相体積の約
0.01倍〜約2,000倍の体積量が加えられ、好まし
くは約0.05倍〜約500倍であり、とりわけ好まし
くは約0.1倍〜約200倍の体積量である。またコア
セルベーション剤は、油相用いた有機溶媒と混和する高
分子、鉱物油または植物油等で、生体内分解性ポリマー
を溶解しない化合物であれば特に限定されない。具体的
には、例えばシリコン油、ゴマ油、大豆油、コーン油、
綿実油、ココナッツ油、アマニ油、鉱物油、n−ヘキサ
ン、n−ヘプタンなどが用いられる。これらは2種以上
混合して用いてもよい。
【0070】得られたマイクロスフェアは、遠心分離あ
るいは濾過操作により分取した後、ヘプタンなどで繰り
返し洗浄し、コアセルベーション剤を除去し、さらに
(a)と同様にして洗浄を行い、次いで凍結乾燥すれば
よい。
【0071】(d)噴霧乾燥法:本法によりマイクロス
フェアを製造する場合には、油相を、ノズルを用いてス
プレードライヤー(噴霧乾燥器)の乾燥室内へ噴霧し、
きわめて短時間に噴霧液滴内の有機溶媒を揮発させる。
【0072】ノズルとしては、例えば二流体ノズル型、
圧力ノズル型、回転ディスク型などがある。
【0073】得られたマイクロスフェアは、必要であれ
ば前記(a)と同様に減圧下加温してマイクロスフェア
中の水分および有機溶媒を除去すればよい。
【0074】(a)〜(d)の方法のうち、ポリペプチ
ドの取り込み率、初期バースト現象の抑制効率、回収率
などの面から、O/O/W型エマルションからの液中乾
燥法で調製することが最も好ましい。
【0075】得られたマイクロスフェアは、そのまま埋
込剤として生体に投与することができる。また、種々の
製剤を製造する際の原料としても用いることができる。
そのような製剤としては、例えば注射剤、経口投与剤、
経皮投与剤、坐剤、経鼻投与剤、口腔投与剤および眼内
投与剤などがあげられる。
【0076】以下、実施例により、更に本発明を詳細に
説明する。
【0077】
【実施例】実施例1 ウシ血清アルブミン(分子量67000、シグマ製)5
%(w/v)の水溶液、ポリエチレングリコール600
0(和光純薬製)5%(w/v)水溶液および精製水を
適宜混合し、ウシ血清アルブミン濃度10mg/ml、
ポリエチレングリコール濃度0〜30mg/mlの水溶
液(濃度比率0〜3)をそれぞれ1mlずつ調製した。
これら水溶液を−45℃で凍結させた後、凍結乾燥機
(KYOWA VAC RLE−52ES:共和真空技
術製)を用い凍結乾燥(真空度約0.02torr、−
20℃3時間、20℃約12時間)し、得られた固形物
に塩化メチレン2mlを添加してウシ血清アルブミン微
粒子懸濁液を得た。
【0078】レーザー回折式粒度分布測定装置(SAL
D−1100:島津製作所製)を用いて得られた微粒子
の平均粒子径を測定した結果を図1に示した。
【0079】濃度比率0.25以上においては、平均粒
子径が10μm以下の微粒子が得られた。
【0080】濃度比率0.5および0.1の場合に得ら
れた微粒子を顕微鏡で観察したところ、図2に示した通
り、濃度比率0.5の場合には球形の微粒子であるのに
対し、図3に示した通り、濃度比率0.1の場合には、
円形の穴の空いた不定形な形状の粒子であった。濃度比
率0.1で得られた粒子に観察された円形の穴は、相分
離の際に分散相となったポリエチレングリコール相の痕
跡であると思われる。
【0081】図1において、濃度比率0.2〜0.25
に明確な屈曲点が存在し、濃度比率がこの屈曲点の値以
上であれば平均粒子径10μm以下の微粒子が得られて
いるのに対し、この屈曲点の値以下の場合には得られる
粒子の粒子径が格段に大きくなっていることから、転相
比率はこの屈曲点すなわち0.2〜0.25であると推
定される。
【0082】実施例2 実施例1において、ポリエチレングリコール6000に
かえて、ポリエチレングリコール2000、同400
0、同20000(いずれも片山化学製)および同70
000(和光純薬製)を用いて、同様の実験を行い、各
分子量のポリエチレングリコールを用いた際の転相比率
を実施例1と同様に求め、ポリエチレングリコール分子
量と転相比率の関係を図4に示した。
【0083】ポリエチレングリコール20000、70
000を用いた際の転相比率は、ポリエチレングリコー
ル6000を用いた際の転相比率とほぼ同程度であり、
分子量6000以上のポリエチレングリコールを用いた
場合、その分子量の違いによる転相比率の変動は少ない
ものと思われる。
【0084】また、いずれの分子量のポリエチレングリ
コールを用いた場合においても濃度比率を転相比率以上
とすることにより、約10μm以下の微粒子が得られ
た。
【0085】実施例3 実施例1において、ウシ血清アルブミンにかえて、ゼラ
チンD(分子量3000、ニッピ製)、ゼラチンA(分
子量7000、ニッピ製)、ボウマンバークインヒビタ
ー(分子量8000、シグマ製)、ダイズトリプシンイ
ンヒビター(分子量20100、シグマ製)、スーパー
オキシドジスムターゼ(分子量32000、シグマ
製)、西洋ワサビペルオキシダーゼ(分子量4000
0、和光純薬製)を用いて同様の実験を行い、各ポリペ
プチドを用いた際の転相比率を実施例1と同様に求め、
ポリペプチド分子量と転相比率の関係を図5に示した。
【0086】図5から明らかなように、ポリペプチド分
子量の対数と転相比率の対数には直線関係がなりたち、
したがって、ポリペプチドの分子量(M)と転相比率
(T)との間には、近似的に式 LogT=−0.68LogM+2.7 の関係が成り立ち、したがって、転相比率(T)はポリ
ペプチド分子量(M)により T=102.7/M0.68 と表されることがわかった。
【0087】また、いずれのポリペプチドを用いた場合
においても濃度比率を転相比率以上とすることにより、
約10μm以下の微粒子が得られた。
【0088】実施例4 ウシ血清アルブミン(シグマ製)250mg、ポリエチ
レングリコール6000(和光純薬製)250mgを精
製水10mlに溶解し、混合水溶液を調製した。この水
溶液を−45℃で凍結させた後、凍結乾燥機(KYOW
A VAC RLE−52ES:共和真空技術製)を用
い凍結乾燥(真空度約0.02torr、−20℃3時
間、20℃約12時間)し、得られた固形物に塩化メチ
レン10mlを添加してウシ血清アルブミン微粒子懸濁
液を得た。この懸濁液からウシ血清アルブミン微粒子を
孔径0.22μmのメンブレンフィルター(ミリポア
製)を用いて濾取し、さらにこれを塩化メチレン10m
lずつで2回洗浄した。得られた微粒子を減圧下で一晩
乾燥させ、ウシ血清アルブミン微粒子を粉末として得
た。
【0089】レーザー回折式粒度分布測定装置(SAL
D−1100:島津製作所製)を用いてウシ血清アルブ
ミン微粒子の平均粒子径を測定したところ4.77μm
であった。
【0090】また、得られた微粒子のタンパク量を測定
し、微粒子中のウシ血清アルブミン含量を調べたとこ
ろ、99.2%であり、非常に高含量であった。
【0091】実施例5 西洋ワサビペルオキシダーゼ(和光純薬製)5mg、ポ
リエチレングリコール6000(和光純薬製)5%(w
/v)水溶液0.1ml、精製水0.9mlを混合し、
混合水溶液を調製した。この水溶液を−45℃で凍結さ
せた後、凍結乾燥機(KYOWA VAC RLE−5
2ES:共和真空技術製)を用い凍結乾燥(真空度約
0.02torr、−20℃3時間、20℃約12時
間)した。得られた固形物に塩化メチレン2mlを添加
して西洋ワサビペルオキシダーゼ微粒子懸濁液を得た。
【0092】レーザー回折式粒度分布測定装置(SAL
D−1100:島津製作所製)を用いて微粒子の平均粒
子径を測定したところ4.08μmであった。
【0093】また、得られた微粒子懸濁液より溶媒(塩
化メチレン)を留去し、残留物を精製水に溶解してその
ペルオキシダーゼ活性を測定したところ、本微粒子化工
程における酵素活性の失活は認められなかった。
【0094】実施例6 ウシ血清アルブミン(シグマ製)25mg、ポリエチレ
ングリコール6000(和光純薬製)15mg、精製水
1mlを混合し、混合水溶液を調製した。この水溶液を
−45℃で凍結させた後、凍結乾燥機(KYOWA V
AC RLE−52ES:共和真空技術製)を用い凍結
乾燥(真空度約0.02torr、−20℃3時間、2
0℃約12時間)し、得られた固形物に、PLGA50
20(乳酸グリコール酸コポリマー、分子量2000
0、乳酸とグリコール酸のモル比が50:50、和光純
薬製)184mg、PLA0020(ポリ乳酸、分子量
20000、和光純薬製)248.4mg、塩化メチレ
ン1.85gを添加し、固形物中のポリエチレングリコ
ール、PLGA5020、PLA0020を溶解させ、
ポリペプチド微粒子を分散させた後、PLA00110
(l体ポリ乳酸、分子量110000、ベーリンガーイ
ンゲルハイム製)27.6mgを添加、溶解させてO/
O型エマルションを調製した。このO/O型エマルショ
ンを、15℃の0.25%(w/w)メチルセルロース
水溶液4ml中に添加し、ポリトロンホモジナイザー
(8000rpm、5分、キネマティカ製)を用いて乳
化し、O/O/W型エマルションを調製し、これを15
℃、400mlの精製水中に移し、四枚羽付きパドル
(スリーワンモーター、新東科学製)にて400rpm
で攪拌しながら、3時間かけて15〜30℃まで昇温し
て液中乾燥を行い、マイクロスフェアを形成させた。得
られたマイクロスフェアの分散液を150μmのメッシ
ュで篩過した後、20μmのメッシュでマイクロスフェ
アを濾取し、凍結乾燥した。
【0095】得られたマイクロスフェア50mgを栓付
試験管に入れ、溶出液(0.02%(w/v)アジ化ナ
トリウム含有PBS)10mlを添加し、回転培養器
(25rpm、37℃)でインキュベーションした。経
時的に試験管を培養器から取出し、遠心分離(2000
rpm、5分)して上清9mlを取り除いた後、新たに
溶出液を添加してインキュベーションを継続した。採取
した上清のタンパク量を測定し、一定時間経過後のマイ
クロスフェアより放出されたウシ血清アルブミン量を求
めた。結果を図6に示す。
【0096】図6から明らかなように、得られたマイク
ロスフェアは、約21日間にわたって、ウシ血清アルブ
ミンを一定の速度で放出し、初期バースト率も非常に低
いものであった。
【0097】実施例7 ウシ血清アルブミン(シグマ製)500mg、ポリエチ
レングリコール6000(和光純薬製)500mgを精
製水20mlに溶解し、混合水溶液を調製した。この水
溶液を−45℃で凍結させた後、凍結乾燥機(KYOW
A VAC RLE−52ES:共和真空技術製)を用
い凍結乾燥(真空度約0.02torr、−20℃3時
間、20℃約12時間)し、得られた固形物に塩化メチ
レン20mlを添加してウシ血清アルブミン微粒子懸濁
液を得た。この懸濁液からウシ血清アルブミン微粒子を
孔径0.22μmのメンブレンフィルター(ミリポア
製)を用いて濾取し、さらにこれを塩化メチレン20m
lずつで2回洗浄した。得られた微粒子を減圧下で一晩
乾燥させ、ウシ血清アルブミン微粒子を粉末として得
た。
【0098】予め、PLGA5020(乳酸グリコール
酸コポリマー、分子量20000、乳酸とグリコール酸
のモル比が50:50、和光純薬製)190mg、PL
A0020(ポリ乳酸、分子量20000、和光純薬
製)256.5mgを塩化メチレン1.85gに溶解さ
せておき、これに上記ウシ血清アルブミン微粒子粉末2
5mgを分散させた後、PLA00110(l体ポリ乳
酸、分子量110000、ベーリンガーインゲルハイム
社製)28.5mgを添加し、これを溶解させてO/O
型エマルションを調製した。このO/O型エマルション
を、15℃の0.25%(w/w)メチルセルロース水
溶液4ml中に添加し、ポリトロンホモジナイザー(8
000rpm、5分)を用いて乳化し、O/O/W型エ
マルションを調製し、これを15℃、400mlの精製
水中に移し、四枚羽付きパドルにて400rpmで攪拌
しながら、3時間かけて15〜30℃まで昇温して液中
乾燥を行い、マイクロスフェアを形成させた。得られた
マイクロスフェアの分散液を150μmのメッシュで篩
過した後、20μmのメッシュでマイクロスフェアを濾
取し、凍結乾燥した。
【0099】得られたマイクロスフェア50mgを栓付
試験管に入れ、溶出液(0.02%(w/v)アジ化ナ
トリウム含有PBS)10mlを添加し、回転培養器
(25rpm、37℃)でインキュベーションした。経
時的に試験管を培養器から取出し、遠心分離(2000
rpm、5分)して上清9mlを取り除いた後、新たに
溶出液を添加してインキュベーションを継続した。採取
した上清のタンパク量を測定し、一定時間経過後のマイ
クロスフェアより放出されたウシ血清アルブミン量を求
めた。結果を図7に示す。
【0100】図7から明らかなように、得られたマイク
ロスフェアは、約21日間にわたって、ウシ血清アルブ
ミンを一定の速度で放出し、初期バースト率も非常に低
いものであった。
【0101】
【発明の効果】本発明によれば、熱や物理的衝突を伴わ
ず、また水溶液状態で有機溶媒と接触することもないの
で、ポリペプチドを変性を伴わずに微粒子化することが
でき、得られたポリペプチド微粒子は、非常に高純度で
あり、再分散性も良好である。
【0102】また、本発明によれば、微粒子回収時にほ
とんどロスが生じることはないので、回収率はほぼ10
0%である。
【0103】さらに、本発明により得られたポリペプチ
ド微粒子を用いれば、長期間にわたりポリペプチドを一
定の速度で放出でき、かつ初期バースト率の非常に低い
高含量マイクロスフェア製剤が容易に得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 ポリエチレングリコール6000、ウシ血清
アルブミン混合水溶液の濃度比率と、得られたウシ血清
アルブミン微粒子粒子径との関係を示すグラフ。
【図2】 濃度比率0.5のポリエチレングリコール6
000、ウシ血清アルブミン混合水溶液を用いて得られ
たウシ血清アルブミン微粒子の顕微鏡写真。
【図3】 濃度比率0.1のポリエチレングリコール6
000、ウシ血清アルブミン混合水溶液を用いて得られ
たウシ血清アルブミン粒子の顕微鏡写真。
【図4】 ポリエチレングリコールの分子量と転相比率
との関係を示すグラフ。
【図5】 ポリペプチドの分子量と転相比率との関係を
示すグラフ。
【図6】 実施例6で得られたウシ血清アルブミン含有
マイクロスフェアのインビトロ溶出試験結果を示すグラ
フ。
【図7】 実施例7で得られたウシ血清アルブミン含有
マイクロスフェアのインビトロ溶出試験結果を示すグラ
フ。

Claims (16)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリペプチドおよびポリエチレングリコ
    ールの混合水溶液を凍結乾燥し、得られた固形物に、ポ
    リペプチドは溶解しえないがポリエチレングリコールは
    溶解しうる有機溶媒を添加することを特徴とするポリペ
    プチドの微粒子化方法。
  2. 【請求項2】 混合水溶液のポリエチレングリコール/
    ポリペプチドの濃度比率が転相比率以上である請求項1
    記載のポリペプチドの微粒子化方法。
  3. 【請求項3】 混合水溶液のポリエチレングリコール/
    ポリペプチドの濃度比率が0.25以上である請求項1
    記載のポリペプチドの微粒子化方法。
  4. 【請求項4】 ポリペプチドの分子量が5000〜70
    000である請求項1、2又は3記載のポリペプチドの
    微粒子化方法。
  5. 【請求項5】 ポリエチレングリコールの分子量が40
    0〜500000である請求項1、2、3又は4記載の
    ポリペプチドの微粒子化方法。
  6. 【請求項6】 ポリエチレングリコールの分子量が20
    00〜100000である請求項1、2、3又は4記載
    のポリペプチドの微粒子化方法。
  7. 【請求項7】 ポリエチレングリコールの分子量が60
    00〜70000である請求項1、2、3又は4記載の
    ポリペプチドの微粒子化方法。
  8. 【請求項8】 ポリエチレングリコールの分子量が60
    00〜70000であり、かつ混合水溶液のポリエチレ
    ングリコール/ポリペプチドの濃度比率が102.7/M
    0.68(M:ポリペプチドの分子量)以上である請求項1
    又は4記載のポリペプチドの微粒子化方法。
  9. 【請求項9】 ポリペプチドは溶解しえないがポリエチ
    レングリコールは溶解しうる有機溶媒が塩化メチレン、
    クロロホルム、アセトン、アセトニトリル、酢酸エチ
    ル、トルエン、メタノールおよびエタノールからなる群
    より選択される1種または2種以上である請求項1〜8
    のいずれか1項記載のポリペプチドの微粒子化方法。
  10. 【請求項10】 請求項1〜9のいずれか1項記載の方
    法により得られるポリペプチド微粒子懸濁液。
  11. 【請求項11】 ポリペプチド微粒子の平均粒子径が1
    0μm以下である請求項10記載のポリペプチド微粒子
    懸濁液。
  12. 【請求項12】 請求項1〜9のいずれか1項記載の方
    法により得られるポリペプチド微粒子懸濁液から、ポリ
    エチレングリコールおよび有機溶媒を除去して得られる
    ポリペプチド微粒子粉末。
  13. 【請求項13】 請求項1〜9のいずれか1項記載の方
    法により得られるポリペプチド微粒子懸濁液から、ポリ
    エチレングリコールおよび有機溶媒を除去して得られる
    ポリペプチド微粒子粉末に、生体内分解性ポリマーを溶
    解しうる揮発性で水への溶解性が低い有機溶媒および生
    体内分解性ポリマーを添加して油相を調製し、該油相中
    の生体内分解性ポリマーを固化させることを特徴とする
    マイクロスフェア製剤の製法。
  14. 【請求項14】 ポリペプチドおよびポリエチレングリ
    コールの混合水溶液を凍結乾燥して得られた固形物に、
    ポリペプチドは溶解しえないがポリエチレングリコール
    および生体内分解性ポリマーは溶解しうる揮発性で水へ
    の溶解性が低い有機溶媒および生体内分解性ポリマーを
    添加して油相を調製し、該油相中の生体内分解性ポリマ
    ーを固化させることを特徴とするマイクロスフェア製剤
    の製法。
  15. 【請求項15】 生体内分解性ポリマーが2種以上であ
    り、油相がO/O型エマルションであり、かつ生体内分
    解性ポリマーの固化手段がO/O型エマルションを水中
    に分散してO/O/W型エマルションを調製し、ついで
    これを液中乾燥することを特徴とするO/O/W型エマ
    ルション液中乾燥法である請求項13又は14記載のマ
    イクロスフェア製剤の製法。
  16. 【請求項16】 請求項13、14又は15記載の方法
    により得られるマイクロスフェア製剤。
JP10527298A 1998-04-16 1998-04-16 ポリペプチドの微粒子化方法 Pending JPH11302156A (ja)

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