JPH11304666A - 試料ハンドリングツールおよびその使用方法 - Google Patents

試料ハンドリングツールおよびその使用方法

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JPH11304666A
JPH11304666A JP11461498A JP11461498A JPH11304666A JP H11304666 A JPH11304666 A JP H11304666A JP 11461498 A JP11461498 A JP 11461498A JP 11461498 A JP11461498 A JP 11461498A JP H11304666 A JPH11304666 A JP H11304666A
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Katsuji Murakawa
克二 村川
Kazunobu Okano
和宣 岡野
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Abstract

(57)【要約】 【課題】遺伝子解析や遺伝子診断等における多数の微量
液体試料あるいは微生物試料に対して、同時に簡便に定
量あるいは単離,搬送,保持,混合等の操作を行うこと
ができる試料ハンドリングツールを提供する。 【解決手段】面上に微小な親水性領域とその周囲に疎水
性領域を配置し、親水性領域への試料の親和性を利用し
て試料のハンドリングを行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、主として遺伝子解
析や遺伝子検査等における分子生物学的操作に使用する
微量液体および微生物試料用ハンドリングツールに関す
る。
【0002】
【従来の技術】分子生物学手法を用いた遺伝子解析や遺
伝子検査では、核酸の精製や酵素反応等の種々の試料調
製操作を行う必要がある。これらの試料調製を行う際に
は試料の量的な制約によって微量の試料を扱う必要があ
ることも多く、液体試料についてはマイクロリッター単
位の微小なスケールで取り扱うことがしばしば必要とな
る。また、近年の、種々の生物を対象としたゲノム解析
や、創薬を目的とした大規模なスクリーニングではより
多数の試料を扱う必要性が高まっている。このように、
多数の微量試料を扱う必要性が高まってきている。
【0003】このような試料調製操作に必要な液体試料
ハンドリングには、液体の定量,搬送,保持,混合,保
存等があり、それぞれの目的に適した種々の液体試料ハ
ンドリングツールが市販されている。液体の定量,搬送
を目的とする液体試料ハンドリングツールとしては、マ
イクロピペッターが広く普及している。これは、エアシ
リンダーの先にチップと呼ばれる多くはプラスチック製
である使い捨ての管を装着し、液体試料を吸引,吐出す
ることで試料の定量,搬送の操作を行うものである。ま
た、液体の保持,混合,保存の目的には、プラスチック
製のサンプルチューブや多穴プレートが広く普及してい
る。また、特に精製時の操作のためには、フィルターを
装備したカラム状の容器が普及している。以上のマイク
ロピペッターや、サンプルチューブ,多穴プレートには
用途に応じてさまざまな容量のものが市販されている。
【0004】また、一方、分子生物学的な試料調製操作
では、液体試料の他に、微生物試料の取り扱いが必要で
ある。微生物試料は、目視等の手段で個体を一個ずつ取
り扱うことは困難なので、微生物の懸濁液を液体試料と
して取り扱うことが多い。微生物個体の単離のために
は、微生物の懸濁液を希釈したうえで寒天培地上で数時
間から数週間培養し、培地上に目視可能な菌体のコロニ
ーを形成させ、このコロニーに対して継代培養等の操作
を行う。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従来の、液体の定量,
搬送を目的とするマイクロピペッターでは、管状のチッ
プを使用しているため、チップ内壁,外壁への液体の付
着や、液体の表面張力の問題でマイクロリッター単位以
下、特に100ナノリットル以下の体積の液体試料をハ
ンドリングするのは容易ではなかった。
【0006】また、試料の数が多い場合、多数のマイク
ロピペッターを同時に使用するか、少数のマイクロピペ
ッターを繰り返し使用する必要があり、前者の場合は、
同時に多数のチップを実装、動作するために、機構が複
雑になることや、多数の廃棄物が発生する等の問題があ
り、後者の場合、繰り返し使用に伴う、所要時間の増加
や試料間の汚染の問題があった。
【0007】また、従来のマイクロピペッターは、チッ
プをエアシリンダーからはずすと液体を保持できないの
で、液体の保持が必要な操作、たとえば保存等の操作に
は適しておらず、このためには他の容器に移しかえる必
要があった。以上のように、多数の微量液体試料を、同
時に定量,搬送,保持するために適当な液体試料ハンド
リングツールが、従来はなかった。
【0008】また、試料が微生物の場合、個体を目視に
よって一個ずつ取り扱うことは容易ではなく、微生物個
体の単離を行うには、培養操作によってコロニー化する
必要があった。これらの操作を通常の液体試料用のハン
ドリングツールで操作することは不可能であった。ま
た、細胞を取り扱う場合においても、微生物と同様の問
題点があった。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記の課題を
解決するために、多数の微量液体試料あるいは微生物試
料を、同時に定量,搬送,保持するために好適な試料ハ
ンドリングツールを考案したものである。課題を解決す
るための手段として、面上に微小な親水性領域とその周
囲に疎水性領域を配置し、親水性領域への試料の親和性
を利用して試料のハンドリングを行うものである。
【0010】すなわち、液体試料は親水性領域上に安定
に水滴を形成するが、疎水性領域上では安定に水滴を形
成できないので、液体試料を親水性領域のパターンにし
たがって配置することが可能である。ハンドリングする
液体試料の容量は、親水性領域の大きさと形状および数
で変化させることが可能である。親水性領域上に捉えら
れた試料は表面張力によって保持され、試料ハンドリン
グツールの傾きの影響が小さいので、搬送,反応や複数
の試料ハンドリングツールを使用した混合操作等が容易
に行える。
【0011】微生物試料に対しては、上記の親水性領域
を、微生物の大きさ、および形状に合わせた大きさと形
状にすることで、個々の微生物個体を親水性領域に捉え
ることが可能である。特に、目的微生物に特有に結合す
る物質、たとえば特定の菌の表面に特異的に結合する抗
体などを親水性領域に固定化した場合は、目的とする微
生物のみを親水性領域に捉えることが可能である。上記
の親水性領域の間隔は、用手法あるいは機械的手段によ
って微生物に個別にアクセス可能な間隔とすることで、
単離後の酵素反応、あるいは継代培養等の操作が容易に
行える。親水性領域の配置を、直線状,らせん状、ある
いは同心円状にすることにより、操作のための装置機構
が簡便化できる。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明の実施例1を図1を用いて
説明する。本実施例の液体試料用ハンドリングツール1
は同図(a)のように、平面上に親水性領域2のマトリ
クスとその周囲に疎水性領域3を設ける。液体試料用ハ
ンドリングツール1上の液体4は同図(b),(c)のよ
うに、疎水性領域3の上でははじかれ、親水性領域2に
のみ安定に保持される。親水性領域への試料の添加の方
法の代表的なものとしては、試料液の滴下による方法、
試料液への浸漬と引き上げによる方法があげられる。
【0013】そのほか、親水性領域への試料の添加の方
法としては、液体を噴霧した後に、超音波振動を与えて
液体を親水性領域に移動させる方法、液体クロマトグラ
フィーあるいはキャピラリー電気泳動等のカラムの末端
を接触させる方法などを用いることができる。電気泳動
と組み合わせて使用する場合は、親水性領域に金メッキ
する等の方法によって電極の機能を持たせ、電気的に試
料を移動させてもよい。親水性領域2の大きさは、液体
試料用ハンドリングツール1を傾斜させても試料が容易
に流れださずに保持されるような大きさであることが望
ましく、通常直径1mm以下とする。
【0014】親水性領域2の形状は、本実施例では円形
であるが、四角形等他の形状でもよい。1つの液体試料
用ハンドリングツールあたりの親水性領域2の数量は、
特に限定しないが、多サンプル処理のためには96個以
上あることが望ましく、また、DNA試料を扱う場合に
は4の倍数個あることが望ましい。液体試料用ハンドリ
ングツール1の基材の材質は特に限定しないが、ポリプ
ロピレン,ポリカーボネート等の耐熱性プラスチック,
ガラス,シリコン,金属等の耐熱性のある材料が、酵素
反応、特に耐熱性酵素を用いた100℃に近い温度での
反応を行う目的に適している。基材の材質が疎水性の場
合、表面の凹凸加工や酸化処理加工、あるいはガラス,
親水性樹脂等の親水性材料を配置することにより、親水
性領域を形成する。
【0015】一例としては、疎水性であるシリコン基板
上に、酸化により、親水性のSiO2薄膜を形成し、親水
性領域以外の部分のSiO2 薄膜をフッ酸で溶解除去
し、親水性領域と疎水性領域を作成する。基材の材質が
親水性の場合、フッ素系樹脂,シリコン系樹脂等の疎水
性材料を配置することで、疎水性領域を形成する。疎水
性領域中に存在する親水性領域間の間隔は任意である
が、親水性領域上の液体試料が互いに接触しない距離で
あればよい。通常は、親水性領域の大きさ以上が好まし
い。また、試料の混合等の操作の必要性に応じて親水性
領域間の距離を変化させてもよく、また、親水性領域間
の間隔は必ずしも均等である必要はない。
【0016】親水性領域上の試料の混合は、図2に示す
ように、液体試料用ハンドリングツールを接近させるこ
とによる単純な接触で可能である。すなわち、液体試料
用ハンドリングツール1上の液体4は互いに接触し、混
合液5になる。攪拌操作には、上記の方法の他、攪拌棒
を用いた混合、超音波による振動等の方法も利用可能で
ある。親水性領域間を短くした場合、隣接する親水性領
域上の液体試料が互いに接触しやすく、近接しているほ
ど先に接触による混合が起こるので、親水性領域間の距
離により混合攪拌する順番をコントロールすることが可
能である。酵素反応等を行う際には、液体試料用ハンド
リングツールを温調用のヒートブロック等の熱源に接触
させて使用する。
【0017】蒸発の影響があるような長時間の反応等の
操作を行う場合は、蒸発を抑えるために、液体試料用ハ
ンドリングツール全体を湿度をコントロールした雰囲気
の中に入れて操作を行う。本実施例の液体試料用ハンド
リングツールは、親水性領域の大きさと液体試料の表面
張力で決定される体積の液体試料を多数同時に容易に取
り扱うことができる。また、液体試料用ハンドリングツ
ール上で反応等の操作を行うことが可能である。
【0018】本発明の実施例2を図3を用いて説明す
る。本実施例は、微生物試料の単離を目的とするハンド
リングツールである。微生物試料用ハンドリングツール
6の基本的構成は液体試料用ハンドリングツール1と同
様に、親水性領域7を疎水性領域8中に設ける。親水性
領域7の大きさは対象とする微生物の大きさ以下で、通
常0.1 〜1ミクロン程度である。形状は、円形の他、
だ円形,四角形,線状等でよく、微生物の形状に合わせ
て選択する。
【0019】親水性領域7は、単離すべき微生物が吸着
しやすいように、あらかじめコーティング処理しておい
てもよく、特に、単離すべき微生物に特異的に結合する
抗体等の物質を固定化しておくことは望ましい。親水性
領域7の間隔は、菌の回収操作を行うために、用手法あ
るいは機械的手段で個別にアクセスできる間隔であれば
よく、通常、数ミリ以上あることが望ましい。疎水性領
域8の表面は微生物が凹凸に物理的に捉えられないよう
に特に平滑である必要があり、凹凸の高さは親水性領域
7の大きさに比べ十分小さい必要がある。
【0020】なお、図3(b)は説明のために模式的に
表現した斜視図であり、各部分の相対的サイズは実際と
異なる。微生物試料用ハンドリングツール6を、微生物
の希釈懸濁液に浸漬,引き上げ等の操作で接触させるこ
とにより微生物9は親水性領域7に付着する。これによ
り、微生物9を単離できる。単離した微生物を回収する
方法としては、微量の液体を微生物9に添加し、液体と
ともに回収する方法を用いることができる。
【0021】単離した微生物を回収する別の方法として
は、微生物9を捉えた状態の微生物試料用ハンドリング
ツール6を寒天培地上にスタンプして転写する方法を用
いることが可能である。本実施例の微生物試料用ハンド
リングツールを使用した場合、微生物を簡単に短時間で
単離できる。したがって、クローニングのための培養操
作や培養に必要な時間が不要となる。細胞試料に対して
も、微生物試料と同様の取り扱いが可能である。
【0022】本発明の実施例3を図4を用いて説明す
る。本実施例では、親水性領域は、図1と同様に平面上
に配置されるが、その親水性領域10,12を親水性の
多孔質材料で構成する。親水性のある多孔質の材料とし
ては、グラスフィルター,ガラスビーズ,親水性ポリマ
ーフィルター,親水性ポリマービーズ、あるいはセラミ
ックス等を用いることができる。疎水性領域11,13
の材質はポリプロピレン,ポリスチレン等のプラスチッ
クが好ましい。親水性領域は、図4(a)の親水性領域
10のように表面上に構成するか、あるいは図4(b)
の親水性領域12のように裏面まで貫通するように構成
する。
【0023】本実施例では、親水性領域の実効的な表面
積を大きくすることが可能である。これにより、安定に
多量の試料を保持することが可能であり、また、多孔質
への液体のしみこみによって、蒸発を抑えることが可能
である。さらに、多孔質の材質に特有の性質を利用した
精製等の操作が可能である。たとえば、多孔質にシリカ
製グラスフィルターを使用した場合、核酸が高塩濃度下
でシリカに吸着する性質を利用して精製操作を行うこと
が可能である。さらに、図4(b)のように親水性領域
12を裏面まで貫通するように構成した場合は、吸引あ
るいは加圧の操作によって、試料液の添加,除去等の操
作が容易に行える。
【0024】以上の実施例における、マトリクス状の親
水性領域と疎水性領域の配置は、これに限定するもので
ない。例えば、直線状に1次元的に配置してもよいし、
あるいは、図5のように円形ディスク14上に渦巻き状
に親水性領域15と疎水性領域16を配置してもよい。
同様に同心円状に配置してもよい。また、親水性領域と
疎水性領域の配置は、平面上に限定するものでない。
【0025】例えば、図6のようにスティック状の固体
17表面に親水性領域18と疎水性領域19を配置して
もよい。この場合は、スティックの上下動作による試料
の取り扱いが可能である。これらの配置は、特に自動化
装置による操作に適している。
【0026】本発明の実施例4を図7を用いて説明す
る。本実施例ではキャピラリー電気泳動の試料注入に用
いた例で説明する。試料はスルホローダミン101で蛍
光標識したDNA断片(125塩基長,237塩基長,
432塩基長のPCR産物)である。基板75の上には
疎水性領域79と親水性領域76が設けられており試料
77,78の様に試料水溶液が親水性領域の表面にそれ
ぞれ保持されている。基板75は伝導性の表面をもって
いる。具体的にはガラス表面上に金薄膜を蒸着で形成し
たもので、親水性領域76とは導通があるが各親水性領
域は疎水性領域79で電気的に絶縁されている。
【0027】親水性領域76は直径200マイクロメー
ターでここに添加される試料液量は100ナノリッター
以下と微量である。キャピラリー71はここではポリア
クリルアミドゲル(濃度4%,架橋度5%,7M尿素)
が充填されている物を用いたが、充填物に関しては対象
となる試料や測定時間により必要に応じて他のものを用
いることができる。一般に充填物としてはポリアクリル
アミドゲルのほか架橋していないポリアクリルアミドの
様な高分子,セルロースの誘導体、あるいは単に緩衝液
を満たしたもの等が挙げられる。
【0028】キャピラリー71は外壁を疎水性領域72
で覆われているので、試料溶液を保持した基板に接近す
ると各試料液77,78は各々のキャピラリー末端とだ
け連結され、試料溶液を介してキャピラリー充填物と基
盤が電気的に連結される。このとき基板75を正電位の
状態にしておくと各試料液中のDNAはキャピラリー内
に導入される。キャピラリー長は25cmである。注入側
とは逆の末端に594nmのレーザーを照射し、510
nmから540nmの間の蛍光をモニターすることで分
離したDNA断片を検出した。試料液77と78にはそ
れぞれ125塩基長,432塩基長の混合物と237塩
基長と432塩基長の混合物がそれぞれ含まれる。
【0029】本デバイスを利用してキャピラリー電気泳
動で試料を分析した結果を図8に示す。81は125塩
基長、82は237塩基長、83は432塩基長のPC
R産物で、試料77からは125塩基長と432塩基長
の電気泳動分離バンド,試料78からは237塩基長と
432塩基長の電気泳動分離バンドが検出できることが
わかる。ピーク84は過剰量存在する蛍光標識プライマ
ー由来のものである。
【0030】キャピラリーを用いた分析法は本来数10
ナノリッターの微量しか試料を必要としないが、従来は
このような極微量の溶液を取り扱う手法が確立されてい
なかった。本デバイスは100ナノリッター以下のサン
プルをキャピラリーに添加することができる利点があ
る。
【0031】本発明の実施例5を図9と図10を用いて
説明する。ここではキャピラリー電気泳動やマイクロ液
体クロマトグラフィー用等で分離したDNAの分取デバ
イスとその応用例について説明する。具体的には実施例
4と同様にゲル充填キャピラリー電気泳動からのDNA
分取の例を示す。
【0032】ゲル充填キャピラリーはキャピラリー91
の表面を疎水性領域92で覆っている。充填剤93はポ
リアクリルアミドゲル(濃度4%,架橋度5%,尿素は
含まず)である。分取用デバイス95は疎水性基板96
の上に親水性領域97をアレー状に配置した構造をして
いる。さらに図10(b)の101の電極が配置されて
いる電極101は白金を蒸着したもので、キャピラリー
91の軸上とは別の位置に配置してある。これは、電気
分解による気泡がキャピラリー端面を塞ぐことを防止す
る効果と、溶出されたDNAが電極反応で修飾されるこ
とを防ぐ効果を狙ったものである。
【0033】アレー状の親水性領域97はあらかじめ電
気泳動用緩衝液(一般的にTBEバッファーと呼ばれる
pH8.3 の電気泳動用緩衝液)98で表面が満たされ
ている。本デバイスでは基板96にシリコンウエハーを
用い、疎水領域はテフロン薄膜 (図示略)で形成し、親
水性領域97は表面をプラズマエッチングした後、シラ
ンカップリング処理を施し、表面に水酸基を固定したも
のにさらにアガロースを120℃で焼き付けたものを使
用した。電極部分も同様な親水処理を施している。10
2は電極用の配線で疎水性の表面処理が施されている。
【0034】図9(b)のように、キャピラリー91の
端面を緩衝液98に接触させると電極とキャピラリー充
填ゲルの間が連結され電界がかかり、特定のDNA分離
バンドが溶出する。図9(c)のように一定時間後キャ
ピラリーを矢印99のように親水性アレー部分の次の領
域に移動させる行程を繰り返すことにより、キャピラリ
ー電気泳動で分離したDNAバンドを親水性アレー領域
に順次分取することができる。
【0035】一般に内径が50から200マイクロメー
ターのキャピラリーを用いてDNAを分離したときの各
DNA分離バンドは数10nlから100nlの微量で
ある。本デバイスを用いた分取では親水性領域の面積を
1平方ミリメーター以下にすることができる。
【0036】緩衝液98の容量は疎水領域と親水領域の
処理方法にもよるが親水性アレーの各緩衝液98の液量
を一定とすることができる利点がある。本デバイスでは
親水性領域97には460nlの緩衝液98が保持され
ており分取したDNA断片を微量の緩衝液中に回収する
ことができる利点がある。
【0037】通常のフラクションコレクターでは10マ
イクロリッター以下の溶液の取り扱いは困難を伴うため
本デバイスは微量溶液のハンドリングに好適である。実
際に、実施例4で用いた125塩基長と237塩基長の
DNAの回収を試みた。泳動は電界強度100V/cmで
行った。あらかじめキャピラリーの端面に594nmの
レーザーを照射し、実施例4と同様に分離泳動プロファ
イルをとっておき、目的DNAバンドの溶出時間を計測
しておく。
【0038】分取には溶出予定時刻近傍の20秒間をウ
インドウに本デバイスに各DNAを回収した。分離され
るDNAは微量なため、分取後の各親水性アレー領域の
緩衝液をTaq DNA ポリメラーゼを用いてPCR増幅
して2%アガロースゲル電気泳動で検出したところ、実
際に125塩基長と237塩基長のDNAが別々の親水
性領域に回収できた。
【0039】本発明の実施例6を図11を用いて説明す
る。このデバイスは表面が疎水性領域112からなる円
盤111で、113から117のような形状の親水性領
域をもっている。複数の試料を同時に取り扱えるほか、
試料と反応液の混合が行えるように設計されている。こ
こではDNAの検出用デバイスとして利用する例を説明
する。
【0040】親水性領域117は標的DNAの固定領域
である。ストレプトアビジンが固定されている。試料は
ビオチンと2,4−ジニトロフェニルで2重標識したP
CR産物である。試料を117に添加するとビオチン/
アビジン会合反応によりPCR産物が117にトラップさ
れる。117にはビオチンが化学的に固定されているほ
かアルカリフォスファターゼ標識した抗2,4−ジニト
ロフェニル抗体がデキストランを安定化剤として乾燥保
持されている。このため、107に試料を添加するとP
CR産物を介して固相上にアルカリフォスファターゼ標
識した抗2,4−ジニトロフェニル抗体が捕捉される。
捕捉されるアルカリフォスファターゼ標識した抗2,4
−ジニトロフェニル抗体の量はPCR産物の量に依存す
る。
【0041】115にはアルカリフォスファターゼの基
質であるAMPPDが乾燥状態で保持されている。
【0042】キャリアー液を113に滴下し円盤111
を回転させると113に保持されていたキャリアー液は
115に保持されていたAMPPDを溶解し、117に
到達する。117表面は親水性であるために表面には一
定量のAMPPDの溶解したキャリアー液が保持され
る。キャリアー液の通り道には正しく115のAMPPD を
溶解し、117に到達するように親水性の導水路114お
よび116を設置してある。
【0043】導水路と親水性領域115,117は疎水
性領域で区切られているため、むやみに混ざりあうこと
はない。また、117上に試料とともに添加される不純
物はキャリアー液とともに流し去られる効果がある。測
定は117上に保持されたアルカリホスファターゼによ
りAMPPDが分解して生じる蛍光物質をレーザー共焦
点顕微鏡により蛍光強度を電気信号に変換し測定する。
【0044】本デバイスにより、測定に必要な試薬をあ
らかじめチップ上に保存した多検体同時計測用のデバイ
スが提供できる利点がある。
【0045】
【発明の効果】本発明では、遺伝子解析や遺伝子診断等
における多数の微量液体試料あるいは微生物試料に対し
て、同時に定量あるいは単離,搬送,保持,混合の操作
を行うことができる。ピペッター使用時に必要な繰り返
し操作や反応のための試料の移し替えの操作が省略でき
る。使い捨てチップ使用時に出る廃棄物が削減できる。
また、微生物を簡単に短時間で単離できる。したがっ
て、クローニングのための培養操作や培養に必要な時間
が不要となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1の試料ハンドリングツールの
正面図,断面図および斜視図。
【図2】実施例1の液体試料用ハンドリングツールを用
いた液体の混合の説明図。
【図3】本発明の実施例2の微生物試料ハンドリングツ
ールの断面図および斜視図。
【図4】本発明の実施例3の試料ハンドリングツールの
断面図。
【図5】親水性領域と疎水性領域の平面上配置の一例を
示す斜視図。
【図6】親水性領域と疎水性領域の平面以外への配置の
一例を示す斜視図。
【図7】本発明の実施例4の試料ハンドリングツールの
断面図。
【図8】実施例4を使用して採取した試料の分析結果の
スペクトル図。
【図9】本発明の実施例5の試料ハンドリングツールの
断面図。
【図10】本発明の実施例5の試料ハンドリングツール
の断面図および平面図。
【図11】本発明の実施例6の試料ハンドリングツール
の平面図。
【符号の説明】
1…液体試料用ハンドリングツール、2…親水性領域、
3…疎水性領域、4…液体、5…混合液、6…微生物試
料用ハンドリングツール、7…親水性領域、8…疎水性
領域、9…微生物、10…親水性領域、11…疎水性領
域、12…親水性領域、13…疎水性領域、14…円形
ディスク、15…親水性領域、16…疎水性領域、17
…スティック状固体、18…親水性領域、19…疎水性
領域、71,91…キャピラリー管。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI G01N 33/48 G01N 33/48 T

Claims (20)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】疎水性の面上に微小な親水性領域を配置し
    たことを特徴とする試料ハンドリングツール。
  2. 【請求項2】親水性領域の最大長が0.1 ないし1ミク
    ロンである、請求項1記載の試料ハンドリングツール。
  3. 【請求項3】親水性領域の配置が、直線状,2次元格子
    状,円周状,らせん状のいずれかであることを特徴とす
    る請求項1または2記載の試料ハンドリングツール。
  4. 【請求項4】親水性領域を、スティック状個体表面に形
    成したことを特徴とする請求項1記載の試料ハンドリン
    グツール。
  5. 【請求項5】親水性領域の表面に抗体,ビオチン,アビ
    ジンのいずれかを固定化したことを特徴とする請求項1
    から4のいずれか記載の試料ハンドリングツール。
  6. 【請求項6】親水性領域の少なくとも一部が、導電性物
    質から構成されていることを特徴とする請求項1記載の
    試料ハンドリングツール。
  7. 【請求項7】親水性領域が親水性多孔質で形成されてい
    ることを特徴とする請求項1記載の試料ハンドリングツ
    ール。
  8. 【請求項8】親水性領域が親水性多孔質で形成されてい
    て、かつ親水性の多孔質が裏面まで貫通していることを
    特徴とする請求項1記載の試料ハンドリングツール。
  9. 【請求項9】親水性多孔質の材質がシリカを含むことを
    特徴とする請求項1記載の試料ハンドリングツール。
  10. 【請求項10】少なくとも、温調装置と上記請求項1か
    ら9のいずれか記載の試料ハンドリングツールから構成
    される装置。
  11. 【請求項11】少なくとも、超音波振動子と上記請求項
    1から9のいずれか記載の試料ハンドリングツールから
    構成される装置。
  12. 【請求項12】少なくとも、電気泳動装置と上記請求項
    1から9のいずれか記載の試料ハンドリングツールから
    構成される装置。
  13. 【請求項13】少なくとも、液体クロマトグラフィーカ
    ラムと上記請求項1から9のいずれか記載の試料ハンド
    リングツールから構成される装置。
  14. 【請求項14】超音波振動によって、液体試料の液滴を
    親水性領域へ移動させる、上記請求項11記載の試料ハ
    ンドリングツールの使用方法。
  15. 【請求項15】電場によって、液体試料を親水性領域へ
    移動させる、上記請求項12記載の試料ハンドリングツ
    ールの使用方法。
  16. 【請求項16】液体試料の液滴を親水性領域上へ形成さ
    せることで液体試料を定量,保持,搬送、または混合を
    行う上記請求項1から9のいずれか記載の試料ハンドリ
    ングツールの使用方法。
  17. 【請求項17】親水性領域上へ形成した液体試料の液滴
    を、試料ハンドリングツールごと移動させて、別の試料
    ハンドリングツール上の液体試料の液滴と混合を行う、
    上記請求項1から9のいずれか記載の試料ハンドリング
    ツールの使用方法。
  18. 【請求項18】微生物または細胞の希釈懸濁液を表面に
    接触させて、微生物または細胞を親水性領域に捉える、
    上記請求項2記載の試料ハンドリングツールの使用方
    法。
  19. 【請求項19】疎水性基盤表面の放射方向に親水性領域
    を設け、回転による遠心力により放射方向の親水性領域
    間の試料の移動を行うことを特徴とする試料ハンドリン
    グツール。
  20. 【請求項20】放射方向の親水性領域の間の試料搬送の
    ための親水領域を設けたことを特徴とする請求項19記
    載の試料ハンドリングツール。
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