JPH11310845A - 高ヤング率低膨張鋳鉄およびその製造方法 - Google Patents
高ヤング率低膨張鋳鉄およびその製造方法Info
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- JPH11310845A JPH11310845A JP11761498A JP11761498A JPH11310845A JP H11310845 A JPH11310845 A JP H11310845A JP 11761498 A JP11761498 A JP 11761498A JP 11761498 A JP11761498 A JP 11761498A JP H11310845 A JPH11310845 A JP H11310845A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】低膨張性を維持しつつ、かつヤング率を向上さ
せた高ヤング率低膨張鋳鉄およびその製造方法を提供す
る。 【解決手段】重量%で、C:0.6〜2.0%、Ni:
25〜40%、Co:0.1〜12.0%、Ni+C
o:34〜40%、Si:1.0%以下、Mn:1.0
%以下およびTi、Zr、Hf、V、Nb、Ta、C
r、MoまたはWのなかから選ばれる一種または数種類
の金属元素を単独または複合して0.5〜6.0%含有
し、残部がFeおよび不可避的不純物からなり、かつ固
溶炭素分が0.4%以下であることを特徴とする。
せた高ヤング率低膨張鋳鉄およびその製造方法を提供す
る。 【解決手段】重量%で、C:0.6〜2.0%、Ni:
25〜40%、Co:0.1〜12.0%、Ni+C
o:34〜40%、Si:1.0%以下、Mn:1.0
%以下およびTi、Zr、Hf、V、Nb、Ta、C
r、MoまたはWのなかから選ばれる一種または数種類
の金属元素を単独または複合して0.5〜6.0%含有
し、残部がFeおよび不可避的不純物からなり、かつ固
溶炭素分が0.4%以下であることを特徴とする。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、室温付近の熱膨張
係数が低く、かつヤング率を向上させた高ヤング率低膨
張鋳鉄およびその製造方法に関するものである。
係数が低く、かつヤング率を向上させた高ヤング率低膨
張鋳鉄およびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】鋳鉄は、工業の基礎材料として広く使用
されているが、これは鋳鉄が、鋳造性に優れ、多種多様
な複雑形状でも成形でき、切削加工が容易であること、
材料の加工および溶解に要する費用が比較的安価で、小
規模な工場においても容易に製造できるなどの長所を有
するためである。
されているが、これは鋳鉄が、鋳造性に優れ、多種多様
な複雑形状でも成形でき、切削加工が容易であること、
材料の加工および溶解に要する費用が比較的安価で、小
規模な工場においても容易に製造できるなどの長所を有
するためである。
【0003】近年、エレクトロニクス産業の発達に伴
い、それに関連する工作機械や精密測定機器、成形用金
型、科学機器、その他の製造機械類には、より高精度で
機能が優れた材料が要求されるようになった。
い、それに関連する工作機械や精密測定機器、成形用金
型、科学機器、その他の製造機械類には、より高精度で
機能が優れた材料が要求されるようになった。
【0004】特に、半導体の製造装置などの構成部品に
おいて、その寸法精度の向上要求がますます高まってお
り、さらに熱変形に対する材料面の対策が重要となって
いる。それに対応するものとして、室温から300℃ま
での温度範囲で熱膨張係数が低い低膨張鋳鉄が広く使用
されつつある。低膨張性に優れた代表的な材料として、
インバー合金(35%Ni−Fe合金)が開発されてお
り、またNiの一部をCoで置き換えて低膨張性を改善
したスーパーインバー合金(31%Ni−5%Co−F
e合金)が開発されて、改良されている。
おいて、その寸法精度の向上要求がますます高まってお
り、さらに熱変形に対する材料面の対策が重要となって
いる。それに対応するものとして、室温から300℃ま
での温度範囲で熱膨張係数が低い低膨張鋳鉄が広く使用
されつつある。低膨張性に優れた代表的な材料として、
インバー合金(35%Ni−Fe合金)が開発されてお
り、またNiの一部をCoで置き換えて低膨張性を改善
したスーパーインバー合金(31%Ni−5%Co−F
e合金)が開発されて、改良されている。
【0005】具体的に、インバー合金は鉄中にニッケル
を34〜37%含有したものであり、常温付近(0〜2
00℃)における熱膨張係数が1.5×10−6/℃程
度と低い値である。このインバー合金の低膨張性の機構
は、一般に「インバー効果」と呼ばれる自発生体積磁歪
作用に基づくものである。
を34〜37%含有したものであり、常温付近(0〜2
00℃)における熱膨張係数が1.5×10−6/℃程
度と低い値である。このインバー合金の低膨張性の機構
は、一般に「インバー効果」と呼ばれる自発生体積磁歪
作用に基づくものである。
【0006】また、スーパーインバー合金は、鉄ニッケ
ル基質中に4〜6%のコバルトを合金化して調製された
ものであり、常温付近における熱膨張係数が0.5×1
0-6/℃とインバー合金よりさらに低く、低膨張性に優
れている。
ル基質中に4〜6%のコバルトを合金化して調製された
ものであり、常温付近における熱膨張係数が0.5×1
0-6/℃とインバー合金よりさらに低く、低膨張性に優
れている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これら
の低膨張鋳鉄は低膨張性に優れているものの、低膨張鋳
鉄は基地組織がオーステナイト鉄からなるため、物理的
特性および機械的特性はオーステナイト鉄に起因したも
のとなっており、高いヤング率を得ることができなかっ
た。
の低膨張鋳鉄は低膨張性に優れているものの、低膨張鋳
鉄は基地組織がオーステナイト鉄からなるため、物理的
特性および機械的特性はオーステナイト鉄に起因したも
のとなっており、高いヤング率を得ることができなかっ
た。
【0008】ヤング率は、物体に加えられた単純引っ張
り応力と、引張りに平行に生じるひずみに対する比であ
るが、Niを含有したオーステナイト鉄では、ヤング率
が特有の低い値を示しており、具体的には、110〜1
30GPaという値であった。
り応力と、引張りに平行に生じるひずみに対する比であ
るが、Niを含有したオーステナイト鉄では、ヤング率
が特有の低い値を示しており、具体的には、110〜1
30GPaという値であった。
【0009】このように従来の低膨張鋳鉄ではヤング率
が低いため、高い寸法精度を得るためには、部品の肉厚
を大きくする必要があったため、部品の軽量化要求に応
えるのが困難であり、機械重量の軽減化とコスト低減の
大きな阻害原因となっていた。
が低いため、高い寸法精度を得るためには、部品の肉厚
を大きくする必要があったため、部品の軽量化要求に応
えるのが困難であり、機械重量の軽減化とコスト低減の
大きな阻害原因となっていた。
【0010】また、低膨張鋳鉄を用いた部品は、高い寸
法精度が要求されているために熱変形のほかに、応力に
よる弾性変形も小さくすることが要求される。しかし、
低膨張鋳鉄は上述したように、ヤング率が低いために部
品が大肉厚となることから、鋳造部品における成分偏析
が生じてしまい、この成分偏析により熱膨張係数そのも
のへの悪影響が生じ、低膨張性を維持できないという問
題を有していた。
法精度が要求されているために熱変形のほかに、応力に
よる弾性変形も小さくすることが要求される。しかし、
低膨張鋳鉄は上述したように、ヤング率が低いために部
品が大肉厚となることから、鋳造部品における成分偏析
が生じてしまい、この成分偏析により熱膨張係数そのも
のへの悪影響が生じ、低膨張性を維持できないという問
題を有していた。
【0011】さらに、従来の低膨張鋳鉄では、低膨張性
を向上させるために、合金基地がインバー合金やスーパ
ーインバー合金の組成を大きく外れた合金組成とするこ
とに制限があった。このため優れた低膨張性を有する
が、比較的低いヤング率である低膨張鋳鉄しか得ること
ができなかった。
を向上させるために、合金基地がインバー合金やスーパ
ーインバー合金の組成を大きく外れた合金組成とするこ
とに制限があった。このため優れた低膨張性を有する
が、比較的低いヤング率である低膨張鋳鉄しか得ること
ができなかった。
【0012】本発明は、上記のような問題を解決するた
めになされたものであり、低膨張性を維持しつつ、かつ
ヤング率を向上させた低膨張鋳鉄およびその製造方法を
開発し、低膨張鋳鉄を用いた部品の軽量化およびコスト
の低減化を実現できる低膨張鋳鉄およびその製造方法を
提供することを目的とする。
めになされたものであり、低膨張性を維持しつつ、かつ
ヤング率を向上させた低膨張鋳鉄およびその製造方法を
開発し、低膨張鋳鉄を用いた部品の軽量化およびコスト
の低減化を実現できる低膨張鋳鉄およびその製造方法を
提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の高ヤング
率低膨張鋳鉄は、重量%で、C:0.6〜2.0%、N
i:25〜40%、Co:0.1〜12.0%、Ni+
Co:34〜40%、Si:1.0%以下、Mn:1.
0%以下およびTi、Zr、Hf、V、Nb、Ta、C
r、MoまたはWのなかから選ばれる一種または数種類
の金属元素を単独または複合して0.5〜6.0%含有
し、残部がFeおよび不可避的不純物からなり、かつ固
溶炭素分が0.4%以下であることを特徴とする。
率低膨張鋳鉄は、重量%で、C:0.6〜2.0%、N
i:25〜40%、Co:0.1〜12.0%、Ni+
Co:34〜40%、Si:1.0%以下、Mn:1.
0%以下およびTi、Zr、Hf、V、Nb、Ta、C
r、MoまたはWのなかから選ばれる一種または数種類
の金属元素を単独または複合して0.5〜6.0%含有
し、残部がFeおよび不可避的不純物からなり、かつ固
溶炭素分が0.4%以下であることを特徴とする。
【0014】請求項2記載の高ヤング率低膨張鋳鉄は、
重量%で、C:0.8〜1.5%、Ni:28〜37
%、Co:1.0〜7.0%、Ni+Co:34〜37
%、Si:0.3%以下、Mn:0.3%以下およびT
i、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、MoまたはW
のなかから選ばれる一種または数種類の金属元素を単独
または複合して1.0〜4.0%含有し、残部がFeお
よび不可避的不純物からなり、かつ固溶炭素分が0.4
%以下であることを特徴とする。
重量%で、C:0.8〜1.5%、Ni:28〜37
%、Co:1.0〜7.0%、Ni+Co:34〜37
%、Si:0.3%以下、Mn:0.3%以下およびT
i、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、MoまたはW
のなかから選ばれる一種または数種類の金属元素を単独
または複合して1.0〜4.0%含有し、残部がFeお
よび不可避的不純物からなり、かつ固溶炭素分が0.4
%以下であることを特徴とする。
【0015】請求項1および2記載の本発明において
は、まず、Ni(ニッケル)を25〜40%と多量に含
有させて、固溶炭素量(全炭素量Cの一部)およびSi
(ケイ素)の含有量を低減することにより低膨張性を実
現している。
は、まず、Ni(ニッケル)を25〜40%と多量に含
有させて、固溶炭素量(全炭素量Cの一部)およびSi
(ケイ素)の含有量を低減することにより低膨張性を実
現している。
【0016】Niは、インバー効果(自発磁歪効果によ
る低膨張化)を生出し、熱膨張係数の低減に寄与する成
分である。本発明において、Niの含有量を25〜40
%と規定したが、Niの含有量が規定範囲を外れると熱
膨張係数が増加してしまうためである。なおNiの含有
量を28〜37%とした場合には、より優れた特性を有
する低膨張鋳鉄を得ることができる。
る低膨張化)を生出し、熱膨張係数の低減に寄与する成
分である。本発明において、Niの含有量を25〜40
%と規定したが、Niの含有量が規定範囲を外れると熱
膨張係数が増加してしまうためである。なおNiの含有
量を28〜37%とした場合には、より優れた特性を有
する低膨張鋳鉄を得ることができる。
【0017】Co(コバルト)は、CoおよびNiの合
計量が34〜40%の範囲の場合にNiとの相乗効果に
より、鋳鉄の熱膨張係数をより一層低下させる元素であ
る。Coの含有量が12%を超えると、熱膨張係数は逆
に増加する。Coは必要とされる熱膨張係数に応じて添
加するものとし、その効果は1%以上添加することによ
って顕著となる。
計量が34〜40%の範囲の場合にNiとの相乗効果に
より、鋳鉄の熱膨張係数をより一層低下させる元素であ
る。Coの含有量が12%を超えると、熱膨張係数は逆
に増加する。Coは必要とされる熱膨張係数に応じて添
加するものとし、その効果は1%以上添加することによ
って顕著となる。
【0018】C(炭素)は、鋳鉄に鋳造性および切削加
工性を付与する成分であり、Cの含有量のうち基地中に
固溶する量が高い程、低膨張鋳鉄のヤング率を増大させ
る元素である。本発明において、Cの添加量を0.6〜
2.0%と規定したが、Cの含有量が0.6%未満であ
ると、切削加工性を改善する役目を担う黒鉛の析出(あ
るいは晶出量)を確保できなくなるとともにヤング率が
増大してしまうためである。またCの含有量が2.0%
を超えると、熱膨張係数が増加してしまうためである。
工性を付与する成分であり、Cの含有量のうち基地中に
固溶する量が高い程、低膨張鋳鉄のヤング率を増大させ
る元素である。本発明において、Cの添加量を0.6〜
2.0%と規定したが、Cの含有量が0.6%未満であ
ると、切削加工性を改善する役目を担う黒鉛の析出(あ
るいは晶出量)を確保できなくなるとともにヤング率が
増大してしまうためである。またCの含有量が2.0%
を超えると、熱膨張係数が増加してしまうためである。
【0019】Si(ケイ素)はCと同様に、鋳鉄に鋳造
性および切削加工性を付与する成分である。本発明にお
いてSiの添加量を1.0%以下と規定したが、Siの
含有量が1.0%を超えると、熱膨張係数が増加してし
まうためである。
性および切削加工性を付与する成分である。本発明にお
いてSiの添加量を1.0%以下と規定したが、Siの
含有量が1.0%を超えると、熱膨張係数が増加してし
まうためである。
【0020】Mn(マンガン)は、鋳鉄の基礎成分であ
り、機械的強度の向上の他に脱酸剤および耐食性向上成
分として機能する元素である。また、Mnは熱膨張係数
を増大させる効果が特に大きい元素であり、Mnの固溶
量が増大するとヤング率は多少大きくなるが、Mnの含
有量は1.0%を超えないようにする必要がある。
り、機械的強度の向上の他に脱酸剤および耐食性向上成
分として機能する元素である。また、Mnは熱膨張係数
を増大させる効果が特に大きい元素であり、Mnの固溶
量が増大するとヤング率は多少大きくなるが、Mnの含
有量は1.0%を超えないようにする必要がある。
【0021】本発明の高ヤング率低膨張鋳鉄において
は、上述したNi、Co、C、SiおよびMn以外の元
素の合金化により、ヤング率を増大させている。合金の
ヤング率は、ベースとなる元素で構成される結晶格子の
結合力が関係しており、安定な固溶体を形成するような
元素の添加量が大きいほどヤング率は増大する。
は、上述したNi、Co、C、SiおよびMn以外の元
素の合金化により、ヤング率を増大させている。合金の
ヤング率は、ベースとなる元素で構成される結晶格子の
結合力が関係しており、安定な固溶体を形成するような
元素の添加量が大きいほどヤング率は増大する。
【0022】本発明におけるFeおよびNiをベースと
した成分系の低膨張鋳鉄では、固溶化によりヤング率が
効率的に向上する元素として、IUPAC(国際純正応
用化学連合)無機化学命名法による周期表の4〜6族の
元素が適切であることを見い出した。つまり、具体的に
は、Ti(チタン)、Zr(ジルコニウム)、V(バナ
ジウム)、Nb(ニオブ)、Ta(タンタル)、Cr
(クロム)、Mo(モリブデン)およびW(タングステ
ン)であり、これらの元素は、鉄およびニッケルをベー
スとした結晶格子の原子と置換して結晶格子内に入り込
み、格子間結合力を増大させる元素である。これらの元
素は単独添加でも2種類以上の元素を組合わせて複合添
加の場合でも効果がみられ、特に、複合添加では各元素
のヤング率向上効果が相加的に働く。しかしながら、こ
れらの元素は多く固溶すると低膨張鋳鉄の熱膨張係数を
増大させてしまう。このため、室温から100℃までの
範囲の熱膨張係数を5.0×10−6/K以下とするた
めには、添加量の合計量を6.0%未満とする必要があ
る。また、添加量の合計量が0.5%未満の場合には、
上記効果を得られないため、0.5〜6.0%と添加量
を規定した。なお、添加量の合計量を1.0〜4.0%
とすれば、さらにヤング率を向上させることができる。
した成分系の低膨張鋳鉄では、固溶化によりヤング率が
効率的に向上する元素として、IUPAC(国際純正応
用化学連合)無機化学命名法による周期表の4〜6族の
元素が適切であることを見い出した。つまり、具体的に
は、Ti(チタン)、Zr(ジルコニウム)、V(バナ
ジウム)、Nb(ニオブ)、Ta(タンタル)、Cr
(クロム)、Mo(モリブデン)およびW(タングステ
ン)であり、これらの元素は、鉄およびニッケルをベー
スとした結晶格子の原子と置換して結晶格子内に入り込
み、格子間結合力を増大させる元素である。これらの元
素は単独添加でも2種類以上の元素を組合わせて複合添
加の場合でも効果がみられ、特に、複合添加では各元素
のヤング率向上効果が相加的に働く。しかしながら、こ
れらの元素は多く固溶すると低膨張鋳鉄の熱膨張係数を
増大させてしまう。このため、室温から100℃までの
範囲の熱膨張係数を5.0×10−6/K以下とするた
めには、添加量の合計量を6.0%未満とする必要があ
る。また、添加量の合計量が0.5%未満の場合には、
上記効果を得られないため、0.5〜6.0%と添加量
を規定した。なお、添加量の合計量を1.0〜4.0%
とすれば、さらにヤング率を向上させることができる。
【0023】請求項3記載の発明は、請求項1および2
記載の高ヤング率低膨張鋳鉄において、MgまたはCa
の少なくとも一方の残留量を0.02〜0.10%と
し、黒鉛を球状黒鉛としたことを特徴とする。
記載の高ヤング率低膨張鋳鉄において、MgまたはCa
の少なくとも一方の残留量を0.02〜0.10%と
し、黒鉛を球状黒鉛としたことを特徴とする。
【0024】本発明によれば、MgまたはCaの残留量
を0.02〜0.10%とすることにより、黒鉛として
球状化率80%以上の球状黒鉛を得ることができる。M
gまたはCaの残留量を0.02〜0.10%と規定し
たのは、残留量が0.02%未満の場合には、黒鉛の球
状化率が低下していまい、残留量が0.10%を超える
場合には、熱膨張係数を増大させるとともに、金属間化
合物を形成して切削性を阻害してしまうためである。ま
た、球状化率80%以上の球状黒鉛とするのは、黒鉛の
球状化率が低い場合および片状黒鉛の場合には、ヤング
率が急激に低下してしまうためである。
を0.02〜0.10%とすることにより、黒鉛として
球状化率80%以上の球状黒鉛を得ることができる。M
gまたはCaの残留量を0.02〜0.10%と規定し
たのは、残留量が0.02%未満の場合には、黒鉛の球
状化率が低下していまい、残留量が0.10%を超える
場合には、熱膨張係数を増大させるとともに、金属間化
合物を形成して切削性を阻害してしまうためである。ま
た、球状化率80%以上の球状黒鉛とするのは、黒鉛の
球状化率が低い場合および片状黒鉛の場合には、ヤング
率が急激に低下してしまうためである。
【0025】請求項4記載の発明は、請求項1から3ま
でのいずれかに記載の高ヤング率低膨張鋳鉄において、
黒鉛を除く炭化物の析出物の面積率が3%以下であるこ
とを特徴とする。
でのいずれかに記載の高ヤング率低膨張鋳鉄において、
黒鉛を除く炭化物の析出物の面積率が3%以下であるこ
とを特徴とする。
【0026】周期表4〜6族の元素であるTi、Zr、
V、Nb、Ta、Cr、MoおよびWは1.0%を超え
て添加すると、その一部が鋳造組織中に炭化物として析
出する。炭化物が粒界に多量に析出する場合には、ヤン
グ率が低下してしまうが、炭化物が粒内に分散して析出
する場合には、引張り強度および耐力を向上させる優れ
た特性を有する。しかしながら、炭化物を粒内に分散し
て析出した場合においても、ヤング率が改善される訳で
はない。
V、Nb、Ta、Cr、MoおよびWは1.0%を超え
て添加すると、その一部が鋳造組織中に炭化物として析
出する。炭化物が粒界に多量に析出する場合には、ヤン
グ率が低下してしまうが、炭化物が粒内に分散して析出
する場合には、引張り強度および耐力を向上させる優れ
た特性を有する。しかしながら、炭化物を粒内に分散し
て析出した場合においても、ヤング率が改善される訳で
はない。
【0027】このように、添加する周期表4〜6族の元
素は、固溶されて炭化物として消耗されてしまうため、
これらの元素をできるだけヤング率向上に寄与させるこ
とが望ましい。このため、後述する適正な熱処理を施す
ことにより、粒界および粒内の炭化物を分解することが
できる。実際には、本発明における低膨張鋳鉄では、9
00〜1200℃の温度で保持することにより、金属組
織中に残留する炭化物が面積率で3%以下とする処理時
間を設定することにより効果的にヤング率を増大させる
ことができる。
素は、固溶されて炭化物として消耗されてしまうため、
これらの元素をできるだけヤング率向上に寄与させるこ
とが望ましい。このため、後述する適正な熱処理を施す
ことにより、粒界および粒内の炭化物を分解することが
できる。実際には、本発明における低膨張鋳鉄では、9
00〜1200℃の温度で保持することにより、金属組
織中に残留する炭化物が面積率で3%以下とする処理時
間を設定することにより効果的にヤング率を増大させる
ことができる。
【0028】請求項5記載の高ヤング率低膨張鋳鉄の製
造方法は、C、Ni、Co、Si、MnおよびFeを含
有し、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo
またはWのなかから選ばれる一種または数種類の金属元
素を含有して構成される鋳鉄材料を溶融し、この溶融材
料を鋳型に注湯して鋳鉄を得た後、前記鋳鉄を900〜
1200℃の温度範囲に加熱する熱処理を施すことを特
徴とする。
造方法は、C、Ni、Co、Si、MnおよびFeを含
有し、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo
またはWのなかから選ばれる一種または数種類の金属元
素を含有して構成される鋳鉄材料を溶融し、この溶融材
料を鋳型に注湯して鋳鉄を得た後、前記鋳鉄を900〜
1200℃の温度範囲に加熱する熱処理を施すことを特
徴とする。
【0029】本発明によれば、900〜1200℃の温
度で熱処理を施すことにより、金属組織中に残留する炭
化物の析出物の面積率を3%以下とすることができ、ヤ
ング率を向上させた高ヤング率低膨張鋳鉄を得ることが
できる。
度で熱処理を施すことにより、金属組織中に残留する炭
化物の析出物の面積率を3%以下とすることができ、ヤ
ング率を向上させた高ヤング率低膨張鋳鉄を得ることが
できる。
【0030】請求項6記載の発明は、請求項5記載の高
ヤング率低膨張鋳鉄の製造方法において、熱処理後、6
00〜850℃の温度範囲に冷却して前記温度で鋳鉄を
保持した後、空冷以上の冷却速度で室温まで冷却する冷
却処理を施すことを特徴とする。
ヤング率低膨張鋳鉄の製造方法において、熱処理後、6
00〜850℃の温度範囲に冷却して前記温度で鋳鉄を
保持した後、空冷以上の冷却速度で室温まで冷却する冷
却処理を施すことを特徴とする。
【0031】炭素は、低膨張鋳鉄の基地の結晶格子の中
に侵入型に固溶して、格子歪みを増大させるために結合
力が低下し、ヤング率を低くする傾向がある。幸い、炭
素の固溶量を低下させることは熱膨張係数の低減にも効
果がある。そこで、炭素の固溶量を低減するためには、
600〜850℃の温度に保持して安定な黒鉛を析出さ
せることが有効である。本発明によれば、固溶している
炭素量は0.1〜0.4%に制御され、他の炭素はおお
むね黒鉛となり、一部炭化物として存在する。従って本
発明によれば、熱膨張係数が低減するとともに、かつヤ
ング率を向上させることができる。
に侵入型に固溶して、格子歪みを増大させるために結合
力が低下し、ヤング率を低くする傾向がある。幸い、炭
素の固溶量を低下させることは熱膨張係数の低減にも効
果がある。そこで、炭素の固溶量を低減するためには、
600〜850℃の温度に保持して安定な黒鉛を析出さ
せることが有効である。本発明によれば、固溶している
炭素量は0.1〜0.4%に制御され、他の炭素はおお
むね黒鉛となり、一部炭化物として存在する。従って本
発明によれば、熱膨張係数が低減するとともに、かつヤ
ング率を向上させることができる。
【0032】また、より高温において炭化物を分解する
熱処理と低温において黒鉛化する熱処理との両方を成立
させるためには、炭化物分解温度から連続して黒鉛化熱
処理温度に炉の中で低下させることが有効である。この
ことから本発明によれば、高濃度に基地中に固溶された
炭素が再び炭化物を形成する前に、炭化物を分解する処
理において、安定相である黒鉛とすることで固溶元素に
よるヤング率向上の効果を最大に得ることができる。
熱処理と低温において黒鉛化する熱処理との両方を成立
させるためには、炭化物分解温度から連続して黒鉛化熱
処理温度に炉の中で低下させることが有効である。この
ことから本発明によれば、高濃度に基地中に固溶された
炭素が再び炭化物を形成する前に、炭化物を分解する処
理において、安定相である黒鉛とすることで固溶元素に
よるヤング率向上の効果を最大に得ることができる。
【0033】請求項7記載の発明は、請求項6記載の高
ヤング率低膨張鋳鉄の製造方法において、冷却処理後、
100〜400℃の温度範囲で焼鈍することを特徴とす
る。
ヤング率低膨張鋳鉄の製造方法において、冷却処理後、
100〜400℃の温度範囲で焼鈍することを特徴とす
る。
【0034】低膨張鋳鉄に残留する歪みが存在すると、
経年的な寸法変化を生ずるとともにヤング率を低下させ
る。このため、本発明のように加工後に最終的な歪みを
取る焼鈍を施すことにより、残留する歪みを除去するこ
とができる。
経年的な寸法変化を生ずるとともにヤング率を低下させ
る。このため、本発明のように加工後に最終的な歪みを
取る焼鈍を施すことにより、残留する歪みを除去するこ
とができる。
【0035】本発明においては、100〜400℃の温
度範囲の加熱条件を規定したが、規定範囲以外の温度、
例えば、400〜650℃の温度で焼鈍すると、低膨張
鋳鉄の基地のNiが偏析を生じるために熱膨張係数が増
大してしまうためである。
度範囲の加熱条件を規定したが、規定範囲以外の温度、
例えば、400〜650℃の温度で焼鈍すると、低膨張
鋳鉄の基地のNiが偏析を生じるために熱膨張係数が増
大してしまうためである。
【0036】請求項8記載の発明は、請求項5記載の高
ヤング率低膨張鋳鉄の製造方法において、溶融材料を鋳
型に注湯する直前に、MgまたはCaの少なくとも一方
の元素を添加したことを特徴とする。
ヤング率低膨張鋳鉄の製造方法において、溶融材料を鋳
型に注湯する直前に、MgまたはCaの少なくとも一方
の元素を添加したことを特徴とする。
【0037】本発明によれば、溶融材料を鋳型に注湯す
る直前に、MgまたはCaの元素を注入することによ
り、MgまたはCaの残留量を0.02〜0.10%と
することが可能であり、球状化率80%以上の球状黒鉛
を得ることができる。なお、MgまたはCaの残留量を
0.02〜0.10%とするためには、添加するMgま
たはCaの添加量は、残留量である0.02〜0.10
%の20〜30倍が好ましい。
る直前に、MgまたはCaの元素を注入することによ
り、MgまたはCaの残留量を0.02〜0.10%と
することが可能であり、球状化率80%以上の球状黒鉛
を得ることができる。なお、MgまたはCaの残留量を
0.02〜0.10%とするためには、添加するMgま
たはCaの添加量は、残留量である0.02〜0.10
%の20〜30倍が好ましい。
【0038】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て、実施例および比較例を用いて説明する。
て、実施例および比較例を用いて説明する。
【0039】実施例1(表1〜表2;試料No.1〜N
o.12) 本実施例においては、IUPAC無機化学命名法による
周期表の4〜6族の元素として、CrおよびWを添加し
た場合について説明する。
o.12) 本実施例においては、IUPAC無機化学命名法による
周期表の4〜6族の元素として、CrおよびWを添加し
た場合について説明する。
【0040】本実施例では、表1に示す鋳鉄材料を用い
た。
た。
【0041】
【表1】
【0042】表1に示すように、試料No.1からN
o.12までの鋳鉄材料には、CrおよびWが添加され
ている。
o.12までの鋳鉄材料には、CrおよびWが添加され
ている。
【0043】試料No.1からNo.12までの各鋳鉄
材料を、各々25kg容量の高周波電気炉を用いて溶解
した後、フラン砂型の1インチYブロック鋳型に注湯し
て鋳鉄をそれぞれ作製し、各鋳放し材(as cast )を得
た。これらの各鋳放し材を大気中、1200℃の熱処理
炉で4時間の熱処理を施した後、炉冷で750℃まで下
げ、4時間保持した後空冷し熱処理材を得た。さらに、
この熱処理材に350℃で24時間の焼鈍を施し、焼鈍
材を得た。
材料を、各々25kg容量の高周波電気炉を用いて溶解
した後、フラン砂型の1インチYブロック鋳型に注湯し
て鋳鉄をそれぞれ作製し、各鋳放し材(as cast )を得
た。これらの各鋳放し材を大気中、1200℃の熱処理
炉で4時間の熱処理を施した後、炉冷で750℃まで下
げ、4時間保持した後空冷し熱処理材を得た。さらに、
この熱処理材に350℃で24時間の焼鈍を施し、焼鈍
材を得た。
【0044】このようにして得られた試料No.1から
No.12までの各鋳放し材、熱処理材および焼鈍材に
ついて、熱膨張係数およびヤング率を測定した。その測
定結果を表2に示す。
No.12までの各鋳放し材、熱処理材および焼鈍材に
ついて、熱膨張係数およびヤング率を測定した。その測
定結果を表2に示す。
【0045】なお、熱膨張係数の測定においては、直径
が5mmで長さが65mmの試験片を調製し、JIS G551
1 「鉄系低膨張鋳鉄品」に規定する熱膨張試験方法に準
拠して熱膨張試験を実施し、各鋳放し材、熱処理材およ
び焼鈍材としての鋳造合金の室温から100℃までの温
度範囲における平均熱膨張係数を測定した。
が5mmで長さが65mmの試験片を調製し、JIS G551
1 「鉄系低膨張鋳鉄品」に規定する熱膨張試験方法に準
拠して熱膨張試験を実施し、各鋳放し材、熱処理材およ
び焼鈍材としての鋳造合金の室温から100℃までの温
度範囲における平均熱膨張係数を測定した。
【0046】また、ヤング率の測定においては、試験片
に超音波パルスを伝搬させて、音速の測定および音響的
不連続部分を検出する超音波直接接触法(超音波パルス
法ともいう)を用いて測定した。
に超音波パルスを伝搬させて、音速の測定および音響的
不連続部分を検出する超音波直接接触法(超音波パルス
法ともいう)を用いて測定した。
【0047】
【表2】
【0048】従来用いられていたインバー合金およびス
ーパーインバー合金などのオーステナイト鉄のヤング率
は110〜130GPaという値であったが、表2に示
すように、試料No.1からNo.12までの各鋳放し
材(as cast )のヤング率は、いずれも140GPa以
上の値を示しており、CrおよびWを添加することによ
り、ヤング率を向上させることができる。また、Crお
よびWの添加により、熱膨張係数も大きく増大してい
る。
ーパーインバー合金などのオーステナイト鉄のヤング率
は110〜130GPaという値であったが、表2に示
すように、試料No.1からNo.12までの各鋳放し
材(as cast )のヤング率は、いずれも140GPa以
上の値を示しており、CrおよびWを添加することによ
り、ヤング率を向上させることができる。また、Crお
よびWの添加により、熱膨張係数も大きく増大してい
る。
【0049】さらに、鋳放し材を熱処理することによ
り、Cr炭化物およびW炭化物を分解すると同時に黒鉛
化により固溶炭素量を低減させることができることか
ら、ヤング率がいずれも150GPa以上の値を示し、
ヤング率が向上し、一方、熱膨張係数は低下した。
り、Cr炭化物およびW炭化物を分解すると同時に黒鉛
化により固溶炭素量を低減させることができることか
ら、ヤング率がいずれも150GPa以上の値を示し、
ヤング率が向上し、一方、熱膨張係数は低下した。
【0050】また、350℃での焼鈍により、残留応力
を解放することで、若干であるが、ヤング率が増大する
という傾向が観測された。
を解放することで、若干であるが、ヤング率が増大する
という傾向が観測された。
【0051】なお、本実施例では試験用Yブロックを用
いたために、熱処理および機械加工においてそれほど大
きな残留応力の発生はなかったようであるが、焼鈍の効
果は確認された。炭化物分解熱処理後の炭化物はおおよ
そ3%以下であった。
いたために、熱処理および機械加工においてそれほど大
きな残留応力の発生はなかったようであるが、焼鈍の効
果は確認された。炭化物分解熱処理後の炭化物はおおよ
そ3%以下であった。
【0052】実施例2(表3〜表4;試料No.13〜
No.22) 本実施例においては、ヤング率向上添加元素として、C
rおよびW以外の元素についても溶解実験を行い、それ
らの効果を確認した。
No.22) 本実施例においては、ヤング率向上添加元素として、C
rおよびW以外の元素についても溶解実験を行い、それ
らの効果を確認した。
【0053】表3の成分組成を示す各鋳鉄材料を用い
た。
た。
【0054】
【表3】
【0055】表3に示す成分組成を有する各鋳鉄材料を
用いて、実施例1と同様に試験を行った。その結果を、
表4に示す。
用いて、実施例1と同様に試験を行った。その結果を、
表4に示す。
【0056】
【表4】
【0057】表4に示すように、Ti、Zr、Hf、
V、Nb、TaおよびMoのいずれの元素を添加した場
合でもヤング率向上の効果が確認された。また、実施例
1におけるCrおよびWの複合添加の場合と同様に、元
素を複合添加する場合においても相加的な効果が確認さ
れた。
V、Nb、TaおよびMoのいずれの元素を添加した場
合でもヤング率向上の効果が確認された。また、実施例
1におけるCrおよびWの複合添加の場合と同様に、元
素を複合添加する場合においても相加的な効果が確認さ
れた。
【0058】比較例(表5〜表6;試料No.23〜N
o.29) 本比較例においては、Ti、Zr、Hf、V、Nb、T
a、Cr、MoおよびWの金属元素を本発明の範囲にお
いて添加していない鋳鉄材料を用いた場合について説明
する。
o.29) 本比較例においては、Ti、Zr、Hf、V、Nb、T
a、Cr、MoおよびWの金属元素を本発明の範囲にお
いて添加していない鋳鉄材料を用いた場合について説明
する。
【0059】本比較例では、表5に示す鋳鉄材料を用い
た。
た。
【0060】
【表5】
【0061】表5に示すように、試料No.23および
No.24では、本発明のヤング率を向上させる添加で
あるTi、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Moお
よびWの金属元素を添加しておらず、また、試料No.
26およびNo.27では、上記の金属元素を規定以上
に添加したものである。
No.24では、本発明のヤング率を向上させる添加で
あるTi、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Moお
よびWの金属元素を添加しておらず、また、試料No.
26およびNo.27では、上記の金属元素を規定以上
に添加したものである。
【0062】このような成分組成を示す各鋳鉄材料を用
いて、実施例1と同様に試験を行った。その結果を、表
6に示す。
いて、実施例1と同様に試験を行った。その結果を、表
6に示す。
【0063】
【表6】
【0064】表6に示すように、試料No.23からN
o.29までの成分組成である鋳鉄材料では、ヤング率
は130GPa以下と低い値を示している。
o.29までの成分組成である鋳鉄材料では、ヤング率
は130GPa以下と低い値を示している。
【0065】また、Wを7.0%まで多量に添加した試
料No.26の場合には高いヤング率を示すが、低膨張
係数が6.0×10−6/K以上に増大しまっており、
低膨張性を維持しながら、高いヤング率を得ることがで
きなかった。
料No.26の場合には高いヤング率を示すが、低膨張
係数が6.0×10−6/K以上に増大しまっており、
低膨張性を維持しながら、高いヤング率を得ることがで
きなかった。
【0066】試料No.27では、TiおよびCrの添
加量合計が8%であり、熱処理後のヤング率は164G
Paと高いが、熱膨張係数が7.0×10−6/K以上
に上昇している。このように、Ti、Zr、Hf、V、
Nb、Ta、Cr、MoおよびWの金属元素の添加は、
0.5%以上添加することによりヤング率を効果的に増
大させるが、合計添加量がおおよそ6%を超えると、熱
膨張係数が増大し、5.0×10−6/Kを超える結果
となってしまった。
加量合計が8%であり、熱処理後のヤング率は164G
Paと高いが、熱膨張係数が7.0×10−6/K以上
に上昇している。このように、Ti、Zr、Hf、V、
Nb、Ta、Cr、MoおよびWの金属元素の添加は、
0.5%以上添加することによりヤング率を効果的に増
大させるが、合計添加量がおおよそ6%を超えると、熱
膨張係数が増大し、5.0×10−6/Kを超える結果
となってしまった。
【0067】また、試料No.28は、Mgの残留量が
0.01%であるため、黒鉛が片状となった。そのた
め、ヤング率は110GPa程度に低い値となってい
る。試料No.25と試料No.29とは、それぞれS
iおよびNiとCoとの合計量が本発明の適正範囲を超
えているため、熱膨張係数が5.0×10−6/Kを超
える結果となった。
0.01%であるため、黒鉛が片状となった。そのた
め、ヤング率は110GPa程度に低い値となってい
る。試料No.25と試料No.29とは、それぞれS
iおよびNiとCoとの合計量が本発明の適正範囲を超
えているため、熱膨張係数が5.0×10−6/Kを超
える結果となった。
【0068】従って本実施形態によれば、実施例1、実
施例2および比較例からの比較結果からも明らかなよう
に、鋳鉄材料の組成を適正な範囲とし、かつ熱処理など
を施すことにより、低膨張性を維持しつつ、高いヤング
率を有する高ヤング率低膨張鋳鉄を得ることができる。
施例2および比較例からの比較結果からも明らかなよう
に、鋳鉄材料の組成を適正な範囲とし、かつ熱処理など
を施すことにより、低膨張性を維持しつつ、高いヤング
率を有する高ヤング率低膨張鋳鉄を得ることができる。
【0069】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の高ヤング
率低膨張鋳鉄の製造方法によれば、低膨張係数を5.0
×10−6/K以下に低く維持したうえで、ヤング率を
150GPa以上に向上させた高ヤング率低膨張鋳鉄を
得られることから、低熱膨張性が要求され、かつ肉厚を
低減して軽量化が要求される機械部品などに適した鋳鉄
を提供することが可能となる。
率低膨張鋳鉄の製造方法によれば、低膨張係数を5.0
×10−6/K以下に低く維持したうえで、ヤング率を
150GPa以上に向上させた高ヤング率低膨張鋳鉄を
得られることから、低熱膨張性が要求され、かつ肉厚を
低減して軽量化が要求される機械部品などに適した鋳鉄
を提供することが可能となる。
Claims (8)
- 【請求項1】 重量%で、C:0.6〜2.0%、N
i:25〜40%、Co:0.1〜12.0%、Ni+
Co:34〜40%、Si:1.0%以下、Mn:1.
0%以下およびTi、Zr、Hf、V、Nb、Ta、C
r、MoまたはWのなかから選ばれる一種または数種類
の金属元素を単独または複合して0.5〜6.0%含有
し、残部がFeおよび不可避的不純物からなり、かつ固
溶炭素分が0.4%以下であることを特徴とする高ヤン
グ率低膨張鋳鉄。 - 【請求項2】 重量%で、C:0.8〜1.5%、N
i:28〜37%、Co:1.0〜7.0%、Ni+C
o:34〜37%、Si:0.3%以下、Mn:0.3
%以下およびTi、Zr、Hf、V、Nb、Ta、C
r、MoまたはWのなかから選ばれる一種または数種類
の金属元素を単独または複合して1.0〜4.0%含有
し、残部がFeおよび不可避的不純物からなり、かつ固
溶炭素分が0.4%以下であることを特徴とする高ヤン
グ率低膨張鋳鉄。 - 【請求項3】 請求項1および2記載の高ヤング率低膨
張鋳鉄において、MgまたはCaの少なくとも一方の残
留量を0.02〜0.10%とし、黒鉛を球状黒鉛とし
たことを特徴とする高ヤング率低膨張鋳鉄。 - 【請求項4】 請求項1から3までのいずれかに記載の
高ヤング率低膨張鋳鉄において、黒鉛を除く炭化物の析
出物の面積率が3%以下であることを特徴とする高ヤン
グ率低膨張鋳鉄。 - 【請求項5】 C、Ni、Co、Si、MnおよびFe
を含有し、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、
MoまたはWのなかから選ばれる一種または数種類の金
属元素を含有して構成される鋳鉄材料を溶融し、この溶
融材料を鋳型に注湯して鋳鉄を得た後、前記鋳鉄を90
0〜1200℃の温度範囲に加熱する熱処理を施すこと
を特徴とする高ヤング率低膨張鋳鉄の製造方法。 - 【請求項6】 請求項5記載の高ヤング率低膨張鋳鉄の
製造方法において、熱処理後、600〜850℃の温度
範囲に冷却して前記温度で鋳鉄を保持した後、空冷以上
の冷却速度で室温まで冷却する冷却処理を施すことを特
徴とする高ヤング率低膨張鋳鉄の製造方法。 - 【請求項7】 請求項6記載の高ヤング率低膨張鋳鉄の
製造方法において、冷却処理後、100〜400℃の温
度範囲で焼鈍することを特徴とする高ヤング率低膨張鋳
鉄の製造方法。 - 【請求項8】 請求項5記載の高ヤング率低膨張鋳鉄の
製造方法において、溶融材料を鋳型に注湯する直前に、
MgまたはCaの少なくとも一方の元素を添加したこと
を特徴とする高ヤング率低膨張鋳鉄の製造方法。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP11761498A JPH11310845A (ja) | 1998-04-27 | 1998-04-27 | 高ヤング率低膨張鋳鉄およびその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP11761498A JPH11310845A (ja) | 1998-04-27 | 1998-04-27 | 高ヤング率低膨張鋳鉄およびその製造方法 |
Publications (1)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH11310845A true JPH11310845A (ja) | 1999-11-09 |
Family
ID=14716123
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP11761498A Pending JPH11310845A (ja) | 1998-04-27 | 1998-04-27 | 高ヤング率低膨張鋳鉄およびその製造方法 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JPH11310845A (ja) |
Cited By (1)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2002206143A (ja) * | 2001-01-05 | 2002-07-26 | Hitachi Metals Ltd | 高強度低熱膨張鋳物鋼及び高強度低熱膨張鋳物鋼からなるガスタービンの翼環用及びシールリング保持環用リング形状部品 |
-
1998
- 1998-04-27 JP JP11761498A patent/JPH11310845A/ja active Pending
Cited By (1)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2002206143A (ja) * | 2001-01-05 | 2002-07-26 | Hitachi Metals Ltd | 高強度低熱膨張鋳物鋼及び高強度低熱膨張鋳物鋼からなるガスタービンの翼環用及びシールリング保持環用リング形状部品 |
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