JPH11310965A - プレキャストコンクリート部材および該部材からなる構造体 - Google Patents

プレキャストコンクリート部材および該部材からなる構造体

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JPH11310965A
JPH11310965A JP11944598A JP11944598A JPH11310965A JP H11310965 A JPH11310965 A JP H11310965A JP 11944598 A JP11944598 A JP 11944598A JP 11944598 A JP11944598 A JP 11944598A JP H11310965 A JPH11310965 A JP H11310965A
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vertical
mating surface
precast concrete
joint groove
concrete member
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Kiichiro Narutani
喜一郎 成谷
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 建築現場における鉛直接合作業を簡易化する
とともに作業者の修練度に関わりなく安定した鉛直接合
強度の得られるプレキャストコンクリート部材およびそ
のような部材からなるコンクリート建築物を提供するこ
と。 【解決手段】 上記課題を解決する本発明のコンクリー
ト構造体1は、一方のPCa部材10の鉛直接合面10
aに露出したアーチ形状鉄筋8を、隣接する他方のPC
a部材20の鉛直接合面20aに設けられた内部の空隙
が開口部の幅よりも拡張するようにして形成されたジョ
イント溝21に挿入するとともに該ジョイント溝21内
を包含する鉛直接合面10a,20a間に充填材5を充
填することによって相互に鉛直接合されて構成される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、プレキャストコン
クリート部材の接合構造に関し、詳しくはプレキャスト
コンクリート部材の鉛直接合面の構造、当該接合面に用
いられる補助金具、ならびに、当該鉛直接合面を備えた
プレキャストコンクリート部材および当該プレキャスト
コンクリート部材を鉛直接合してなるコンクリート構造
体(コンクリート建築物を構成する構成材)に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、現場での鉄筋コンクリート工事の
工期を短縮し、現場作業の省力化を図る等の目的でいわ
ゆるプレキャストコンクリート製品を用いたプレハブ建
築工法(典型的には壁式プレキャスト工法やHPC工
法)が行われている。この工法では、工場であらかじめ
成型され、現場に移送された所定形状のプレキャストコ
ンクリート部材を相互に接合しつつ組み立てることで建
築物を構築するものであり、その際の部材間の水平接合
(即ち下階および上階の部材間に係る接合)では、一般
的には、各部材に埋設した鉄筋を相互に溶接するいわゆ
るドライジョイント方式が採用されている。他方、鉛直
接合(即ち隣接する壁材等の部材間に係る接合)では、
一般的には、各部材に埋設した鉄筋を溶接や継手等の手
段によって接合するとともにコンクリートやモルタル等
の充填材を当該接合部分に充填するいわゆるウェットジ
ョイント方式が採用されている。
【0003】例えば、ウェットジョイント方式の一典型
例として図14(平面図)に示すように、従来の壁式プ
レキャスト鉄筋コンクリート造においては、隣接するプ
レキャストコンクリート部材(壁材)101,102,
103の接合面には接合用鉄筋101a,101b,1
02a,102b,103a,103bがそれぞれ埋め
込まれており、それらをジョイント鉄筋104a,10
4bおよび継手(ここではスリーブ)101を介して連
結し、さらに当該連結部分を含む接合面に充填材100
を充填することによって部材101,102,103相
互の鉛直接合が行われていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、プレキ
ャストコンクリート部材間の鉛直接合において、上述の
溶接や継手等の手段に頼る従来の方法では、建築現場に
おいて煩雑な溶接作業や継手取付け作業等が要求される
ため、工期の短縮やコスト削減に限界があった。また、
溶接による接合では、溶接作業者の技能レベルや修練度
によって接合強度が左右されるため、当該溶接部の品質
管理に係る負担が大きかった。このため、工期の短縮や
経済性向上の観点および作業者の修練度に関わりなく安
定した接合強度の得られる鉛直接合手段が要望されてい
る。
【0005】本発明は、このような点に鑑みてなされた
ものであり、その目的とするところは、建築現場におけ
る鉛直接合作業を簡易化するとともに作業者の修練度に
関わりなく安定した鉛直接合強度の得られるプレキャス
トコンクリート部材およびそのような部材からなるコン
クリート建築物を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明は、(i).建築現場で組み立てられる際に鉛
直方向に接合される鉛直接合面を有するプレキャストコ
ンクリート部材であって、その鉛直接合面には当該コン
クリート部材内部に埋め込まれた鉄筋の一部分が露出し
ており、ここで、当該鉄筋の一部分は鉛直方向にアーチ
形状を形成するように曲げられて露出しているととも
に、当該鉛直接合面には当該アーチ状露出部分が鉛直方
向に複数配列されているプレキャストコンクリート部材
(以下「本発明の第一PCa部材」という。)と、(i
i).建築現場で組み立てられる際に本発明の第一PC
a部材の上記鉛直接合面に対応して鉛直方向に接合され
る鉛直接合面を有するプレキャストコンクリート部材で
あって、その鉛直接合面には、本発明の第一PCa部材
と接合した際に上記鉄筋のアーチ状露出部分を挿入し得
るジョイント溝が鉛直方向に設けられており、ここで、
当該ジョイント溝は、溝内に形成される空隙が当該溝の
開口部の幅よりも広くなるように設けられているプレキ
ャストコンクリート部材(以下「本発明の第二PCa部
材」という。)とを提供する。
【0007】而して、本発明は、上記本発明の第一PC
a部材と本発明の第二PCa部材とが、上記鉄筋のアー
チ状露出部分を上記ジョイント溝に挿入するとともに当
該ジョイント溝内を包含する鉛直接合面間に充填材を充
填することによって相互に鉛直接合されて構成されたコ
ンクリート構造体を提供する。本発明のコンクリート構
造体では、上記本発明の第一PCa部材の鉛直接合面に
露出しているアーチ形状の鉄筋露出部分を本発明の第二
PCa部材の鉛直接合面に設けられた上記ジョイント溝
に挿入しつつ当該二つのPCa部材の鉛直接合面間に充
填材を充填して接合が行われている。従って、本発明の
コンクリート構造体によれば、作業者の修練度によって
接合強度が左右される溶接等の接合手段に頼ることがな
いため、常に安定した接合強度が実現される。
【0008】また、上述のとおり、本発明の第一PCa
部材においては鉛直接合面に露出される鉄筋の形状を鉛
直方向に沿ってアーチ形状をとるように形成し、他方、
対応する本発明の第二PCa部材においては鉛直接合面
に設けられたジョイント溝の形状を開口部の幅よりも溝
内の空隙が拡張される形状に形成している。この結果、
当該ジョイント溝に上記アーチ形状に形成された鉄筋露
出部分を挿入しつつこれら鉛直接合面間(ジョイント溝
内を包含する)に充填材を充填することによって構成さ
れる鉛直接合部において、実用性に優れるせん断耐力を
確保し得るとともにPCa部材相互の分離を高レベルに
抑止することができる。このため、本発明の第一PCa
部材および第二PCa部材によれば、建築現場における
鉛直接合作業を簡易化するとともに作業者の修練度に関
わりなく高い鉛直接合強度を有するコンクリート構造体
およびそれらから構築される建築物を得ることができ
る。
【0009】また、本発明の第二PCa部材として特に
好ましいものは、上記ジョイント溝内の壁面に沿って補
助金具が配置されており、ここでその補助金具の一部は
当該ジョイント溝の開口部よりも外方に突き出た状態で
配置されているプレキャストコンクリート部材である。
上記補助金具を備えた本態様の第二PCa部材によれ
ば、上記ジョイント溝のせん断強度が特に開口部周縁で
向上し、結果、本発明の第一PCa部材との間で構成さ
れる鉛直接合部におけるジョイント溝近傍での亀裂や破
断の発生を高い次元で抑止することができる。従って、
本発明は、より好ましいコンクリート構造体として、上
記補助金具を備えた態様の第二PCa部材と本発明の第
一PCa部材とが、上記鉄筋のアーチ状露出部分を上記
補助金具を配置したジョイント溝に挿入するとともに当
該ジョイント溝内を包含する鉛直接合面間に充填材を充
填することによって相互に鉛直接合されて構成されたコ
ンクリート構造体を提供する。本態様のコンクリート構
造体では、鉛直接合部におけるジョイント溝近傍での亀
裂や破断の発生を高い次元で抑止することができる。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好適な実施形態を
図面を参照しつつ説明する。なお、図1は本実施形態に
係るコンクリート構造体1の部分平面図であり、図2は
本コンクリート構造体1の部分正面図である。また、図
3は本実施形態において本コンクリート構造体1を構成
する本発明の第一PCa部材10(以下「第一PCa板
10」と略称する。)を模式的に示す斜視図であり、図
4は当該第一PCa板10の鉛直接合面10aを模式的
に示す正面図である。また、図5は本実施形態において
本コンクリート構造体1を構成する本発明の第二PCa
部材20(以下「第二PCa板20」と略称する。)を
模式的に示す斜視図であり、図6は当該第二PCa板2
0の鉛直接合面20aを模式的に示す正面図である。
【0011】本実施形態に係るコンクリート構造体1
は、壁式プレキャスト鉄筋コンクリート造において建築
物の壁を構成する構造体である。すなわち、本コンクリ
ート構造体1は、図1に示すように、予め所定の壁板形
状に成型されたプレキャスト鉄筋コンクリート板である
第一PCa板10および第二PCa板20の鉛直接合面
が相互に接合されることによって構成されている。な
お、本発明は後述する鉛直接合部(鉛直接合面)の構造
によって特徴付けられるものであり、第一PCa板10
や第二PCa板20を製造するための方法や使用材料
(コンクリートを生成するのに使用する各種材料や埋設
する鉄筋の種類あるいはコンクリート部材成型方法、
等)自体は、従来の一般的なプレキャストコンクリート
部材を製造する場合と同様の当該分野における周知の方
法や材料(例えば、日本建築学会編集・発行の「建築工
事標準仕様書・同解説JASS10プレキャストコンク
リート工事」(発売元・丸善株式会社)が参考にな
る。)を適用すればよく、特に本発明を特徴付けるもの
でもないため詳細な説明は省略する。
【0012】先ず、第一PCa板10の形状について説
明する。図3および図4に示すように、本実施形態に係
る第一PCa板10は、所定のサイズの壁板形状(例え
ば、本実施形態においては長さ4000mm、高さ25
00mm、幅150mmのサイズの矩形状プレート)に
成型されたプレキャスト鉄筋コンクリート板である。而
して、図3および図4に示すように、この第一PCa板
10における鉛直接合面10aには凹凸が形成されてい
る。すなわち、図3および図4に示すように、フラット
な鉛直接合面10aのほぼ中央付近には、窪み(以下
「第1コッター形成部10b」という。)が鉛直方向に
上端部から下端部に至るまで形成されるとともにさらに
部分的且つほぼ等間隔により深く幅広な窪み(以下「第
2コッター形成部10c」という。)が本実施形態にお
いては計6箇所形成されている(図4参照)。なお、特
に限定するものではないが、本実施形態においては、上
述のサイズの第一PCa板10に対して、第1コッター
形成部10bについては横幅が概ね35mm〜40m
m、深さが概ね7mmとなるように形成し、第2コッタ
ー形成部10cについては横幅が概ね80mm〜90m
m、深さが概ね12mmとなるように形成している。ま
た、第2コッター形成部10cの長径を概ね200mm
とし、ほぼ200mm間隔に計6箇所の第2コッター形
成部10cを形成している。従って、上端部および下端
部の第1コッター形成部10bの長径はおよそ150m
mとなる(図4参照)。また、図3に示すように、これ
らコッター形成部10b,10cの底部はフラットであ
り、その周囲の壁面は当該底部に向けてテーパー状にや
や勾配をつけて形成されている。
【0013】これら第1および第2コッター形成部10
b,10cを鉛直接合面10aに設けた結果、後述する
第二PCa板20の鉛直接合面20aに設けられたコッ
ター形成部20b,20cと相俟ってせん断力の伝達向
上が図られ、接合部における高いせん断耐力を実現する
ことができる。
【0014】図3および図4に示すように、各第2コッ
ター形成部10cの中央部分には鉛直方向にアーチ形状
を形成する接合用鉄筋(接合筋)8が設けられている。
すなわち、この接合用鉄筋8は典型的には鉄筋コンクリ
ート用棒鋼(SR235、SD295A、等)をほぼコ
字状若しくはU字状に折り曲げられて形成された鋼材で
あって、図3および図1におけるVIII−VIII線矢視断面
図である図8に示すように、その両端部分が第一PCa
板10内に埋め込まれるとともに折り曲げられた部分が
鉛直接合面10aの上記第2コッター形成部10cから
露出して鉛直方向にアーチ形状を形成するようにして配
設されている。特に限定するものではないが、図8に示
すように、第一PCa板10内部に埋め込まれた部分と
露出した部分との比率が4:1〜5:1程度になるよう
に接合用鉄筋8を成型・配設するのが好ましい。これに
より、接合用鉄筋8の引張り強度を高めることができ
る。なお、本実施形態においては上述のサイズの第一P
Ca板10に対して直径9mmの接合用鉄筋8を使用
し、第一PCa板10内部に埋め込まれた部分の長さ
(いわゆるコンクリート定着長)が概ね400mmとな
り、当該鉄筋8のアーチ状露出部分の第2コッター形成
部10c底面からの高さが概ね80mm〜90mmとな
るように接合用鉄筋8を成型・配設し、鉛直方向に複数
(ここでは計6個)配列させている。
【0015】次に、第二PCa板20の形状について説
明する。図5および図6に示すように、本実施形態に係
る第二PCa板20は、所定のサイズの壁板形状(例え
ば、本実施形態においては上記第一PCa板10と同様
に長さ4000mm、高さ2500mm、幅150mm
のサイズの矩形状プレート)に成型されたプレキャスト
鉄筋コンクリート板である。而して、図5および図6に
示すように、この第二PCa板20における鉛直接合面
20aには凹凸が形成されている。すなわち、図5およ
び図6に示すように、フラットな鉛直接合面20aのほ
ぼ中央付近には、所定の深さの窪み(以下「第1コッタ
ー形成部20b」という。)が鉛直方向に上端部から下
端部に至るまで形成されるとともにさらに部分的且つほ
ぼ等間隔により幅広な形状とした窪み(以下「第2コッ
ター形成部20c」という。)が本実施形態においては
計6箇所形成されている(図6参照)。なお、これら第
1コッター形成部20bおよび第2コッター形成部20
cの形成される位置、サイズ、数等は上記第一PCa板
10における第1コッター形成部10bおよび第2コッ
ター形成部10cとほぼ対応させている。従って、これ
に限定されるものではないが本実施形態においては、上
述のサイズの第二PCa板20に対して、第1コッター
形成部20bについては横幅が概ね35mm〜40m
m、深さが概ね7mmとなるように形成し、第2コッタ
ー形成部20cについては横幅が概ね80mm〜90m
m、深さが概ね7mmとなるように形成している。ま
た、図5に示すように、これらコッター形成部20b,
20cの底部はフラットであり、その周囲の壁面は当該
底部に向けてテーパー状にやや勾配をつけて形成されて
いる。而して、上述のとおり、これら第1および第2コ
ッター形成部20b,20cを鉛直接合面10aに設け
た結果、上記第一PCa板10の鉛直接合面10aに設
けられた第1および第2コッター形成部10b,10c
と相俟ってせん断力の伝達向上が図られ、接合部におけ
る高いせん断耐力が実現され得る。
【0016】図5および図6に示すように、第二PCa
板20の各第2コッター形成部10cの中央部分には本
実施形態に係るジョイント溝21が上記接合用鉄筋8の
一部を挿入可能に形成されている。図5および図6に示
すように、このジョイント溝21は、第二PCa板20
の上面から下面に貫通するようにして設けられている。
さらに、図5および図1に示すように、このジョイント
溝21は、第二PCa板20の上方からみた場合に、卵
の尖った側の先端部をやや切断した形状さながらに、そ
の鉛直接合面20aにおける開口幅よりも当該ジョイン
ト溝21内の空隙部分のほうが次第に拡張する恰好で形
成されている。なお、特に限定されるものではないが、
本実施形態においては、上述のサイズの第二PCa板2
0および接合用鉄筋8に対して、ジョイント溝21の開
口幅が概ね18mm〜20mm、溝の深さが概ね45m
m〜50mm、溝内空隙部の最大幅が概ね40mmとな
るように形成している。
【0017】而して、図5に示すように、本実施形態に
係る第二PCa板20においては、ジョイント溝21内
の壁面に沿って補助金具6が配置されている。すなわ
ち、この補助金具6は、構造用鋼材(板)をジョイント
溝21の形状に対応するように倒卵形U字状に曲げられ
て成型されたものであり、図1および図5に示すように
その端部6aは折り曲げられて二重になっている。これ
により当該端部6aの強度を向上させている。而して、
図1および図5に示すように、本補助金具6は、ジョイ
ント溝21の開口部よりも外方に上記二重になっている
端部6aを突き出した状態で配置されている。これによ
り、本実施形態に係る第二PCa板20におけるジョイ
ント溝21の近傍、特に開口部周縁の補強が実現されて
いる。
【0018】次に、上述の第一PCa板10と第二PC
a板20とを鉛直接合して形成される本実施形態に係る
コンクリート構造体1の構成について説明する。本コン
クリート構造体1は典型的には建築現場における壁式プ
レキャスト工法に則って組み立てられるものであり、そ
の組み立て作業手順や使用する機材(組み立て用斜めサ
ポート具や吊り上げクレーン等)は従来の壁式プレキャ
スト工法と同様である。以下、本コンクリート構造体1
を特徴付ける鉛直接合部2について詳述する。
【0019】図1に示すように、上記第一PCa板10
と第二PCa板20とはそれらの鉛直接合面10a,2
0aが対向するようにして隣接して配置されている。特
に限定するものではないが、本実施形態においては上述
のサイズの二つのPCa板10,20の鉛直接合面10
a,20a間の距離がほぼ10mm〜20mm(好まし
くは15mm)となるように配置している。このように
配置する結果、上述のとおり、本実施形態においては第
一PCa板10における第1コッター形成部10bおよ
び第2コッター形成部10cが第二PCa板20におけ
る第1コッター形成部20bおよび第2コッター形成部
20cと向き合う恰好となる。このため、図1における
VII −VII 線矢視断面図である図7および図2における
IX−IX線矢視断面図である図9に示すように、本実施形
態における鉛直接合部2においては、後述する充填材5
が十分にかみ合い得る凹凸が設けられており、結果、せ
ん断力の効率的な伝達を実現し得るいわゆるシャーコッ
ターが形成される。而して、上述のように配置した結
果、図8およびその部分拡大図である図10ならびに図
9に示すように、第一PCa板10における計6本の接
合用鉄筋8の上記アーチ状露出部分は第二PCa板20
におけるジョイント溝21内に挿入された状態となる。
【0020】以下、本実施形態に係る接合法について説
明する。図1に示すように、本実施形態に係るコンクリ
ート構造体1は、一般的なウェットジョイントと同様、
鉛直接合面10a,20a間に充填材5を充填すること
によって接合される。すなわち、図1に示すように、上
記隣接する第一PCa板10と第二PCa板20との間
の接合面10a,20a間の間隙(すなわち鉛直接合部
2)に上方開口部より充填材5を注入し、当該間隙およ
び上記接合用鉄筋8の一部が挿入されているジョイント
溝21内を充填材5で密に充填する。なお、充填材5
は、設計基準強度(Fc)が210kgf/cm2 以上
のコンクリートやモルタル系等の種々の充填材が知られ
ているが、本実施形態において使用する充填材5は、6
00kgf/cm2 またはそれを上回る設計基準強度を
有するグラウト材(典型的にはメラミン樹脂等の合成樹
脂をベースとして調製されたグラウト材)である。これ
により、鉛直接合部の接合強度を向上させることができ
る。而して、図1に示すように、典型的にはポリウレタ
ンフォームやポリエチレンフォームから成るポール状の
バックアップ材4を鉛直接合部2の隙間に挿入するとと
もに当該鉛直接合部2にグラウト材を注入し、さらに鉛
直接合部2の防水のためにシーリング材3(典型的には
ウレタン系のシーリング材)を充填する。
【0021】以上のように鉛直接合された本実施形態に
係るコンクリート構造体1においては、図9および図1
0に示すように、第一PCa板10の鉛直接合面10a
に配列された上記接合用鉄筋8のアーチ状露出部分がジ
ョイント溝に挿入された状態のまま硬化した充填材5中
に包埋されることとなる。これにより、本発明のコンク
リート構造体1では、従来のプレキャストコンクリート
部材を相互に鉛直接合することによって得られたコンク
リート構造体では得られなかった鉛直接合部のせん断強
度を煩雑な溶接や機械的継手処理等を行うことなく実現
させている。
【0022】すなわち、本コンクリート構造体1では、
接合用鉄筋8の露出部分を鉛直方向へのアーチ形状(典
型的にはコ字状若しくはU字状弧形)とすることによ
り、コンクリート構造体1を構成する各PCa部材1
0,20の分離を高レベルに抑止することができる耐力
性能が付与される。また、本コンクリート構造体1で
は、ジョイント溝21がその開口幅よりも溝内の空隙部
が広がっていくように形成されている。このように入り
口を狭く内部空間を広く形成することによって、ジョイ
ント溝21内に充填される充填材5およびそれに埋設さ
れる接合用鉄筋8の鉛直接合部2に対する拘束の程度を
強化することができる。これにより、本コンクリート構
造体1に水平方向(鉛直接合面10a,20aに対して
垂直方向)に加わるせん断力に対する耐力性能が向上
し、コンクリート構造体1を構成する各PCa部材1
0,20の分離を高レベルに抑止することができる耐力
性能が付与される。また、本コンクリート構造体1で
は、端部6aを突き出した状態で補助金具6がジョイン
ト溝21の内壁面に沿って配備されている。これによ
り、ジョイント溝21の近傍(特に開口部周縁部)が補
強され、亀裂や破断の発生を高い次元で抑止することが
できる。
【0023】以上、説明したように、本発明のコンクリ
ート構造体およびそれを構成する第一PCa部材および
第二PCa部材によれば、建築現場における鉛直接合作
業を簡易化するとともに作業者の修練度に関わりなく安
定した鉛直接合強度を備えるコンクリート建築物が得ら
れる。例えば、本発明を壁式プレキャスト工法に適用す
ることで、図11に示すようなコンクリート構造体30
(建築物の一構成部)が得られる。なお、本図において
符号31,33,35,37,39,41,43,45
を付したプレキャストコンクリート部材は本コンクリー
ト構造体30を得るために組み立てられた本発明の第一
PCa部材(ここでは壁材)に相当し、符号32,3
4,36,38,40,42,44,46,47,48
を付したプレキャストコンクリート部材は本コンクリー
ト構造体30を得るために組み立てられた本発明の第二
PCa部材(ここでは壁材)に相当する。なお、図示し
ないが、これら部材には所定の扉や窓を設けるための開
口部が予め設けてある。
【0024】而して、図11におけるXII 部分の拡大図
である図12に端的に示すように、本コンクリート構造
体30を構成する各第一PCa部材31,45,43の
鉛直接合面には、上述の実施形態と同様にコッター形成
部(図示せず)およびアーチ状露出部分を形成した接合
用鉄筋50a,50b,50cが配設されている。一
方、対応する各第二PCa部材44の鉛直接合面には、
上述の実施形態と同様にコッター形成部(図示せず)お
よびジョイント溝44a,44b,44cが設けられて
おり、当該溝内には上述の実施形態と同様に補助金具5
1が配置されている。而して、上述の実施形態において
示したのと同様の充填材を用いてこれら部材31,3
3,35,37,39,41,43,45,32,3
4,36,38,40,42,44,46,47,48
は相互に鉛直接合される。なお、本発明では、接合に際
して従来の溶接や機械的継手のような煩雑で手間のかか
る作業を要しないため、例えば図12に示すように、三
方または四方に配置されるPCa部材44,31,4
3,45を相互に鉛直接合する場合であっても、せん断
力の影響を最も受けやすい交叉点部分(即ち図12にお
ける部材44の中心部)にあえて鉛直接合部を設ける必
要がない。充填材を充填する等のみでPCa部材44,
31,43,45相互の鉛直接合を行うことができるた
め、溶接や機械的継手手段におけるような作業効率化の
観点からの鉛直接合部の集約化(図14参照)を行う必
要がないからである。
【0025】また、本発明の実施にあたって、上記本発
明の第一PCa部材および/または第二PCa部材の鉛
直接合面を形成する部位を矩形プレート状部材の両端面
に限定する必要はない。例えば、図11におけるXIII部
分の拡大図である図13に示すように、矩形プレート状
PCa部材45(ここでは第一PCa部材)の化粧面の
一部に鉛直接合面および上述のものと同様のコッター形
成部を形成してもよい。その場合、図13に示すよう
に、上記接合用鉄筋53a,53bは、所定の方向へ折
り曲げつつ当該PCa部材45内に埋め込まれる。これ
により、一つの第一PCa部材45の両端面および両化
粧面の四面に、上述の実施形態と同様のコッター形成部
(図示せず)およびアーチ状露出部分を形成した接合用
鉄筋50b,50d,53a,53bが配設される。一
方、これらに対応させて配置した各第二PCa部材4
4,46,47,48の端面にある鉛直接合面には、上
述の実施形態と同様にコッター形成部(図示せず)およ
びジョイント溝44b,46a,47a,48aが設け
られており、当該溝内には上述の実施形態と同様に補助
金具51が配置されている。而して、上述の実施形態に
おいて示したのと同様の充填材を用いてこれらを相互に
鉛直接合する。このように、本発明によれば、種々の形
状のPCa部材を相互に簡便に鉛直接合することができ
る。なお、上述の実施形態では、本発明の第一PCa部
材と第二PCa部材とが別個独立の部材として調製され
ていたが、これに限定されない。例えば、二つの鉛直接
合面を有する壁材として調製されたプレキャストコンク
リート部材であって、一方の鉛直接合面が上記第一PC
a板10における鉛直接合面10aと同様に形成され、
他方の鉛直接合面が上記第二PCa板20における鉛直
接合面20aと同様に形成されたプレキャストコンクリ
ート部材も本発明の第一PCa部材かつ本発明の第二P
Ca部材として好ましい。かかるハイブリッド形態の本
発明の第一PCa部材および本発明の第二PCa部材を
相互に鉛直接合したものも好適に本発明のコンクリート
構造体を構成し得る。
【0026】
【発明の効果】本発明によれば、建築現場における鉛直
接合作業を簡易化するとともに作業者の修練度に関わり
なく安定した鉛直接合強度の得られるプレキャストコン
クリート部材およびそのような部材からなるコンクリー
ト構造体および建築物が提供される。
【0027】すなわち、本発明の第一PCa部材および
第二PCa部材によれば、作業者の修練度によって接合
強度が左右されずに常に安定した接合強度が実現され得
る本発明のコンクリート構造体を得ることができる。ま
た、本発明のコンクリート構造体によれば、建築現場に
おける鉛直接合作業が簡易化されるとともに作業者の修
練度に関わりなく高い鉛直接合強度を有するコンクリー
ト建築物を構築することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】一実施形態に係る本発明のコンクリート構造体
の鉛直接合部付近を示す平面図である。
【図2】一実施形態に係る本発明のコンクリート構造体
の鉛直接合部付近を示す正面図である。
【図3】一実施形態に係る本発明の第一PCa部材の鉛
直接合面付近を示す斜視図である。
【図4】一実施形態に係る本発明の第一PCa部材の鉛
直接合面を示す正面図である。
【図5】一実施形態に係る本発明の第二PCa部材の鉛
直接合面付近を示す斜視図である。
【図6】一実施形態に係る本発明の第二PCa部材の鉛
直接合面を示す正面図である。
【図7】図1におけるVII −VII 線矢視断面図である。
【図8】図1におけるVIII−VIII線矢視断面図である。
【図9】図2におけるIX−IX線矢視断面図である。
【図10】図8の部分拡大図である。
【図11】一実施形態に係る本発明のコンクリート構造
体を模式的に示す組立図である。
【図12】図11におけるXII 部分を詳細に示す拡大図
である。
【図13】図11におけるXIII部分を詳細に示す拡大図
である。
【図14】従来の鉛直接合部の一例を示す説明図であ
る。
【符号の説明】
1,30 コンクリート構造体 2 鉛直接合部 5,100 充填材 6,51 補助金具 8,50a,50b,50c,50d,53a,53
b,101a,101b,102a,102b,103
a,103b 接合用鉄筋 10 第一PCa部材(第一PCa板) 20 第二PCa部材(第二PCa板) 10a,20a 鉛直接合面 10b,20b 第1コッター形成部 10c,20c 第2コッター形成部 21,44a,44b,44c,46a,47a,48
a ジョイント溝 101,102,103 プレキャストコンクリート部
材

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 建築現場で組み立てられる際に鉛直方向
    に接合される鉛直接合面を有するプレキャストコンクリ
    ート部材であって、 その鉛直接合面には該コンクリート部材内部に埋め込ま
    れた鉄筋の一部分が露出しており、 ここで、該鉄筋の一部分は鉛直方向にアーチ形状を形成
    するように曲げられて露出しているとともに、該鉛直接
    合面には該アーチ状露出部分が鉛直方向に複数配列され
    ているプレキャストコンクリート部材。
  2. 【請求項2】 建築現場で組み立てられる際に鉛直方向
    に接合される鉛直接合面を有するプレキャストコンクリ
    ート部材であって、 その鉛直接合面には、請求項1に記載のプレキャストコ
    ンクリート部材と接合した際に前記鉄筋のアーチ状露出
    部分を挿入し得るジョイント溝が鉛直方向に設けられて
    おり、 ここで、該ジョイント溝は、溝内における空隙が該溝の
    開口幅よりも拡張されて形成されているプレキャストコ
    ンクリート部材。
  3. 【請求項3】 前記ジョイント溝内の壁面に沿って補助
    金具が配置されており、 ここで、該補助金具の一部は該ジョイント溝の開口部よ
    りも外方に突き出た状態で配置されている請求項2に記
    載のプレキャストコンクリート部材。
  4. 【請求項4】 以下の二つのプレキャストコンクリート
    部材: (a).建築現場で組み立てられる際に鉛直方向に接合
    される鉛直接合面を有するプレキャストコンクリート部
    材であって、その鉛直接合面にはコンクリート部材内部
    に埋め込まれた鉄筋の一部分が露出しており、ここで該
    鉄筋の一部分は鉛直方向にアーチ形状を形成するように
    曲げられて露出しているとともに該鉛直接合面には該ア
    ーチ状露出部分が鉛直方向に複数配列されているプレキ
    ャストコンクリート部材;と、 (b).建築現場で組み立てられる際に鉛直方向に接合
    される鉛直接合面を有するプレキャストコンクリート部
    材であって、その鉛直接合面には、前記(a)記載のプ
    レキャストコンクリート部材と接合した際に前記鉄筋の
    アーチ状露出部分を挿入し得るジョイント溝が該鉛直方
    向に設けられており、ここで該ジョイント溝は、溝内に
    おける空隙が該溝の開口幅よりも拡張されて形成されて
    いるプレキャストコンクリート部材;とが、前記鉄筋の
    アーチ状露出部分を前記ジョイント溝に挿入するととも
    に該ジョイント溝内を包含する鉛直接合面間に充填材を
    充填することによって相互に鉛直接合されて構成された
    コンクリート構造体。
  5. 【請求項5】 以下の二つのプレキャストコンクリート
    部材: (a).建築現場で組み立てられる際に鉛直方向に接合
    される鉛直接合面を有するプレキャストコンクリート部
    材であって、その鉛直接合面にはコンクリート部材内部
    に埋め込まれた鉄筋の一部分が露出しており、ここで該
    鉄筋の一部分は鉛直方向にアーチ形状を形成するように
    曲げられて露出しているとともに該鉛直接合面には該ア
    ーチ状露出部分が鉛直方向に複数配列されているプレキ
    ャストコンクリート部材;と、 (b).建築現場で組み立てられる際に鉛直方向に接合
    される鉛直接合面を有するプレキャストコンクリート部
    材であって、その鉛直接合面には、前記(a)記載のプ
    レキャストコンクリート部材と接合した際に前記鉄筋の
    アーチ状露出部分を挿入し得るジョイント溝が該鉛直方
    向に設けられており、ここで該ジョイント溝は、溝内に
    おける空隙が該溝の開口幅よりも拡張されて形成されて
    おり、そのジョイント溝内の壁面に沿って補助金具が配
    置されており、その補助金具の一部は該ジョイント溝の
    開口部よりも外方に突き出た状態で配置されているプレ
    キャストコンクリート部材;とが、前記鉄筋のアーチ状
    露出部分を前記ジョイント溝に挿入するとともに該ジョ
    イント溝内を包含する鉛直接合面間に充填材を充填する
    ことによって相互に鉛直接合されて構成されたコンクリ
    ート構造体。
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