JPH11313576A - キメラ動物およびその作製法 - Google Patents

キメラ動物およびその作製法

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JPH11313576A
JPH11313576A JP11078572A JP7857299A JPH11313576A JP H11313576 A JPH11313576 A JP H11313576A JP 11078572 A JP11078572 A JP 11078572A JP 7857299 A JP7857299 A JP 7857299A JP H11313576 A JPH11313576 A JP H11313576A
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chromosome
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fragment
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JP11078572A
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Kazuma Tomizuka
一磨 富塚
Hitoshi Yoshida
均 吉田
Kazunori Hanaoka
和則 花岡
Mitsuo Oshimura
光雄 押村
Isao Ishida
功 石田
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Kirin Brewery Co Ltd
Original Assignee
Kirin Brewery Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【解決手段】 単一または複数の外来染色体あるいはそ
の断片を含むミクロセルを作製し、該ミクロセルとの融
合により、分化多能性を保持する細胞へ前記単一または
複数の外来染色体あるいはその断片を移入させることを
特徴とする、キメラ非ヒト動物の作製法。前記の方法に
より作製することができるキメラ非ヒト動物およびその
子孫、それらに由来する組織および細胞、並びに、それ
らの利用方法。さらに、単一または複数の外来染色体あ
るいはその断片を含む分化多能性を保持する細胞、その
作製法および利用法も提供される。 【効果】 本発明により、これまで不可能であった巨大
DNA断片の個体における保持および発現が可能になっ
た。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、キメラ非ヒト動
物、その作製法およびその利用法に関する。本発明のキ
メラ非ヒト動物を用いれば、これまで不可能であった1M
b(百万塩基対)以上の外来巨大DNA断片を動物個体で保
持発現させることが可能になる。従って、これを利用す
ることにより、 ・生物学的に活性な物質をコードする遺伝子の全長、例
えば、ヒト抗体遺伝子全長を保持し、発現する動物個体
の作製が可能になる。この動物から得られる生物学的に
活性な物質、例えば、ヒト型抗体は医薬品としての利用
価値がある。 ・ヒト巨大遺伝子(組織適合性抗原、ジストロフィン
等)の動物個体における機能解析が可能になる。 ・ヒト優性遺伝病及び染色体異常症のモデル動物作製に
利用できる。
【0002】
【従来技術】外来遺伝子を動物個体において発現させる
技術、すなわちトランスジェニック動物作製技術は、そ
の遺伝子の生体内機能に関する情報を得るために有用な
ばかりでなく、遺伝子発現を制御するDNA配列の同定
(例えば、Magramら, Nature, 315:338, 1985)、ヒト
疾患モデル動物の開発(山村ら, マニュアル疾患モデル
マウス, 中山書店, 1994)、さらには家畜の育種(例え
ば、Mullerら, Experientia, 47:923, 1991)、それを
用いた有用物質の生産に利用されてきた(例えば、Vela
nderら, P.N.A.S., 89:12003, 1992)。遺伝子導入の対
象としてはこれまでマウスが最も多く用いられてきた。
実験動物として詳細に研究され、胚操作技術も確立され
ているマウスはこの目的に最も適した哺乳動物であると
いえる。
【0003】マウス個体への外来遺伝子導入法は大きく
分けて2つ知られている。1つは受精卵前核にDNAを注
入する方法(Gordonら, P.N.A.S., 77:7380, 1980)で
あり、もう一つは分化全能性を保持した胚幹細胞(以下
ES細胞、という)にDNAを導入し、キメラマウスを作製
する方法(Takahashiら, Development, 102:259, 198
8)である。後者の場合、キメラマウスにおいては、ES
細胞の貢献した細胞、組織においてのみ、ES細胞由来の
生殖細胞を経て得られる子孫においてはすべての細胞、
組織で導入遺伝子が保持される。これらの技術を利用し
て現在までに数多くのトランスジェニックマウスが作製
されてきた。
【0004】しかし、現状では導入可能なDNAの大きさ
に限界があり、それがこの技術の利用範囲を大きく制限
している。その限界はクローン化可能なDNAの大きさに
依存し、これまで最も大きなDNA断片を導入した例の一
つは、酵母人工染色体(YAC)にクローニングされた約6
70kbのDNA断片である(Jakobovitsら, Nature, 362:25
5, 1993)。この実験は、YACを保持する酵母とマウスES
細胞を融合することにより行なわれた。YACにおいて
は、約2Mbまでの外来DNAをクローニングできるとされて
いるが(Den Dunnenら, Hum. Mol.Genet., 1:19, 1992
)、出芽酵母細胞中では、相同DNA配列同士の組換え頻
度が高いことが知られており、反復配列を多く有するヒ
トDNA断片を完全な形で安定に保持することが困難な場
合がある。事実、ヒトゲノムDNAを含むYACライブラリー
では、その20〜40%が何らかの組換えを起こしている(G
reenら, Genomics, 11:584, 1991)。
【0005】もう1つの方法として、ヒト培養細胞から
得られる中期染色体を顕微切断し、その断片(10Mb以上
と推定される)をマウス受精卵に注入することが試みら
れた(Richaら, Science, 245:175, 1989)。この結果
得られたマウス個体においてヒト特異的DNA配列(Alu
配列)が検出されたが、ヒト遺伝子発現については確認
されていない。また、ここで用いられた染色体調製法で
は染色体をスライドグラスに固定する際、酢酸メタノー
ルを使用するために、DNA自体が小さく断片化してしま
うことが避けられず、注入したDNAが一続きのDNAとして
存在している可能性は低い。いずれにせよ、現在まで1M
b以上の一続きの外来DNA断片をマウス個体へ導入、発現
させた例はないといえる。
【0006】マウスに導入することが望まれる、有用か
つ興味深いヒト遺伝子:抗体(例えば、Cookら, Nature
Genetics, 7:162, 1994)、T細胞受容体(Hoodら, Col
d Spring Harbor Symposia on Quantitative Biology,
Vol. LVIII, 339, 1993)、組織適合性抗原(Carrolら,
P.N.A.S., 84:8535, 1987)、ジストロフィン(DenDun
nenら, 前記)等は、そのコード領域自体が1Mbを越える
大きさを持つことが知られている。とりわけ、ヒト型抗
体の医薬品としての重要性から、ヒトの免疫グロブリン
重鎖(〜1.5Mb、Cookら, 前記)、軽鎖κ(〜3Mb、Zach
au, Gene, 135:167, 1993)、軽鎖λ(〜1.5Mb、Frippia
tら, Hum. Mol. Genet., 4:983, 1995)の遺伝子全長を
保持し、発現するようなマウスの作製が望まれているが
それは現状の技術では不可能である(日経バイオテク,
1993.7.5.)。
【0007】また、ヒトの優性遺伝疾患、先天異常を引
き起こす染色体異常症(ダウン症等)の原因遺伝子の多
くはクローン化されておらず、染色体上の大まかな位置
情報のみ利用可能である。例えば、中期染色体をギムザ
染色することによって得られるGバンドは、通常数Mb〜1
0Mb以上の大きさを有している。従って、ある原因遺伝
子が特定のGバンド上に存在することが明らかとなって
も、これらの異常形質をマウスに導入するためには、原
因遺伝子周辺の染色体断片(数Mb以上)を導入すること
が必要であるが、これも現状の技術では不可能である。
ここに従来技術の限界である1Mbを越える外来DNAをマウ
ス個体に導入し、発現させる技術の開発が望まれてい
る。
【0008】動物培養細胞においては、従来技術により
上述の限界を越える大きさのDNAを導入することが可能
である。これは主に、染色体(ヒトの場合約50〜300Mb
の大きさを持つ)を媒体として行なわれる。細胞への染
色体移入法はいくつか報告されているが(例えば、McBr
ideら, P.N.A.S.,70:1258, 1973)、その中でも望みの
染色体を1本だけ導入する方法として最適と考えられて
いるのがミクロセル法である(Koiら, Jpn. J. Cancer
Res., 80:413, 1989)。ミクロセルと呼ばれる構造体は
1本〜数本の染色体が核膜、形質膜に包まれたものであ
る。ある種の細胞において紡垂体形成を阻害する薬剤に
より誘導されるミクロセルを分離し、受容細胞と融合す
ることにより、少数(多くの場合は1本)の染色体を導
入することが可能である。この方法により得られた、ヒ
ト染色体を1本だけ保持するモノクロモソーム雑種細胞
のライブラリーは既知遺伝子のマッピングや、未知の癌
抑制遺伝子、細胞老化遺伝子等の存在する染色体を特定
するために利用されてきた(例えば、Saxonら, EMBO
J., 5:3461, 1986 )。さらに、ミクロセルにガンマ線
を照射することにより、染色体を断片化しその一部を導
入することも可能である(Koiら, Science, 260:361, 1
993)。すなわち、ミクロセル法は、1Mb以上のDNAを動
物培養細胞に導入する方法として適していると考えられ
る。
【0009】培養細胞からマウス個体を作り出すことが
できないかという期待は、分化全能性を安定に保持する
ES細胞の発見(Evansら, Nature, 292:154, 1981)によ
り確実に現実のものとなった。このES細胞には外来遺伝
子、種々の突然変異、さらには、標的遺伝子組換えによ
る変異が導入可能となり、マウス個体レベルの遺伝的改
変が自在に行なえるようになった(例えば、Mansourら,
Nature, 336:348, 1988)。一方、巨大DNAの導入とい
う意味では前述のYACベクターにクローニング可能な外
来DNA断片の大きさが限界と考えられてきた。その大き
さを越えるDNAを培養細胞に導入可能な染色体移入とい
う従来技術がマウス個体レベルへの遺伝子導入に利用さ
れたことはなく、またその達成は困難であると考えられ
てきた(村松ら, トランスジェニックバイオロジー, 講
談社サイエンティフィク, p143-, 1989)。
【0010】理由としては、以下のようなものが挙げら
れる。 ・受容細胞を正常核型のマウスES細胞としてこれにヒト
染色体導入を行なう場合、それは染色体異常そのものを
導入することである。これまで、顕微鏡によって識別可
能な染色体レベルの大きな遺伝子異常はマウスの発生に
とって多くの場合致死的であると考えられてきた(Grop
pら, J.Exp.Zool., 228:253, 1983; 相沢慎一, バイオ
マニュアルシリーズ 8ジーンターゲティング, 羊土社,
1995)。
【0011】・我々が得ることのできるヒト染色体は通
常、有限増殖の正常繊維芽細胞、あるいは癌細胞等の分
化した体細胞のものであり、そのような体細胞由来の染
色体が未分化なES細胞に導入された場合、ES細胞を分化
させたり(Mullerら, Nature, 311:438, 1984)、老化
させてしまうのではないか(Sugawara, Science, 247:7
07, 1990)と考えられた。
【0012】・体細胞由来の染色体が初期胚に導入され
た場合、胚発生過程で生殖細胞由来のそれと同様に正し
く機能し、多様な組織、細胞における特異的遺伝子発現
を担うことができるかという問題についての研究は非常
に少ない。この2者における大きな違いの一つは染色体
DNAのメチル化状態と想像される。これは細胞の分化に
伴って変化し、組織特異的な遺伝子発現における重要な
役割が示唆されている(Ceder, Cell, 53:3, 1988)。
例えば、抗体遺伝子の活性化に不可欠な部位特異的DNA
組換え反応について、メチル化した基質をB細胞に導入
した場合、メチル化の状態は複製後も保持され、組換え
反応を阻害するという報告がある(Hsiehら, EMBO J.,
11:315, 1992)。また、株化された細胞中では生体内と
比較して、de novoのメチル化が起こりやすいとされて
いる(Antequeraら, Cell, 62:503, 1990)。よってこ
れまでの研究から、繊維芽細胞や、ヒト−マウス雑種細
胞のおそらく高度にメチル化されているであろう抗体遺
伝子がマウスのB細胞で正常に発現すると想像すること
は容易ではなかった。
【0013】ここで、関連するものとしてIllmenseeら
の2つの報告(P.N.A.S.,75;1914, 1978; P.N.A.S.,76:
879, 1979)に注目しなければならない。1つはヒト肉
腫細胞とマウスEC細胞、もう1つはラット肝癌細胞とマ
ウスEC細胞の全細胞融合により得られた融合株からキメ
ラマウスを作製したという報告である。これらの報告に
おいてはその実験結果に数多くの疑問点が指摘され、そ
の信憑性は低いと考えられている(野口ら, マウスのテ
ラトーマ, 理工学社, 5節, 1987)。また、1日も早
い追試が望まれていたにも関わらず、報告から17年を経
た現在までこの実験を再現できたという報告は存在しな
い。従って、これらの報告によっては、マウス個体にお
いて外来染色体を保持させ、該染色体上の遺伝子を発現
させ得たということはできないと考えられてきた。こう
した状況において、染色体断片ほどの巨大DNAをマウス
をはじめとする動物個体に導入し、発現させることは困
難とされ、実際この問題について検討がなされたことは
上記のIllmenseeらの報告以来ない。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明は、外
来染色体またはその断片を保持し、該染色体またはその
断片上の遺伝子を発現するキメラ非ヒト動物およびその
子孫、並びに前記のキメラ非ヒト動物の作製法を提供す
ることを目的とする。また、本発明は、前記のキメラ非
ヒト動物およびその子孫に由来する組織および細胞を提
供することを目的とする。
【0015】さらに、本発明は、前記のキメラ非ヒト動
物およびその子孫に由来する細胞とミエローマ細胞との
融合により作製されたハイブリドーマを提供することも
目的とする。さらにまた、本発明は、非ヒト動物の個
体、組織または細胞を用いて、外来染色体またはその断
片上の遺伝子の発現産物である生物学的に活性な物質を
製造する方法を提供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】発明者は前記課題を解決
するために鋭意研究を行なった結果、ヒト正常繊維芽細
胞由来染色体あるいはその部分断片をミクロセル法によ
りマウスES細胞に導入し、それを安定に保持する株を得
ることに成功した。さらにこのES細胞株から、その正常
組織においてヒト染色体を保持し、ヒト抗体重鎖遺伝子
を含む複数のヒト遺伝子を発現するキメラマウスを得
た。我々はこの一連の方法により、これまで不可能であ
った巨大DNA断片の個体における保持、及び該DNA 断片
上の遺伝子の発現を可能にした。
【0017】本発明の要旨は以下の通りである。 1.単一または複数の外来染色体あるいはその断片を含
むミクロセルを作製し、該ミクロセルとの融合により、
分化多能性を保持する細胞へ前記単一または複数の外来
染色体あるいはその断片を移入させることを特徴とす
る、キメラ非ヒト動物の作製法。
【0018】2.単一または複数の外来染色体あるいは
その断片を含むミクロセルを作製し、該ミクロセルとの
融合により、分化多能性を保持する細胞へ前記単一また
は複数の外来染色体あるいはその断片を移入させること
を特徴とする、単一または複数の外来染色体あるいはそ
の断片を含む分化多能性を保持する細胞の作製法。
【0019】3.前記1の方法により作製することがで
き、単一または複数の外来染色体あるいはその断片を保
持し、該染色体あるいはその断片上の遺伝子を発現する
キメラ非ヒト動物、および前記の単一または複数の外来
染色体あるいはその断片を保持し、該染色体あるいはそ
の断片上の遺伝子を発現するその子孫。 4.前記2の方法により作製することができ、単一また
は複数の外来染色体あるいはその断片を含む分化多能性
を保持する細胞。 5.キメラ非ヒト動物を作製するための前記4の分化多
能性を保持する細胞の使用。
【0020】6.前記3のキメラ非ヒト動物またはその
子孫の交配により得られる、単一または複数の外来染色
体あるいはその断片を保持し、該染色体あるいはその断
片上の遺伝子を発現する非ヒト動物およびその子孫。 7.前記3のキメラ非ヒト動物もしくはその子孫または
前記6の非ヒト動物もしくはその子孫に由来する組織。 8.前記3のキメラ非ヒト動物もしくはその子孫または
前記6の非ヒト動物もしくはその子孫に由来する細胞。 9.前記8の細胞とミエローマ細胞との融合により作製
されたハイブリドーマ。
【0021】10. 前記3のキメラ非ヒト動物もしくはそ
の子孫または前記6の非ヒト動物もしくはその子孫を、
前記の染色体あるいはその断片上の遺伝子と同じあるい
は相同の遺伝子が欠損している系統の非ヒト動物と交配
させることにより作製された非ヒト動物およびその子
孫。
【0022】11. 前記3のキメラ非ヒト動物もしくはそ
の子孫または前記6の非ヒト動物もしくはその子孫の個
体、組織または細胞において、単一または複数の外来染
色体あるいはその断片上の遺伝子を発現させ、その産物
としての生物学的に活性な物質を回収することを特徴と
する、生物学的に活性な物質の製造法。
【0023】12. 前記3のキメラ非ヒト動物もしくはそ
の子孫または前記6の非ヒト動物もしくはその子孫を、
前記の染色体あるいはその断片上の遺伝子と同じあるい
は相同の遺伝子が欠損している系統の非ヒト動物と交配
させ、誕生した子動物の個体、組織または細胞におい
て、前記の単一または複数の外来染色体あるいはその断
片上の遺伝子を発現させ、その産物としての生物学的に
活性な物質を回収することを特徴とする、生物学的に活
性な物質の製造法。
【0024】以下、本発明を詳細に説明する。ヒト染色
体またはその断片を保持し、該染色体またはその断片上
の遺伝子を発現するマウス個体は、 (1)標識されたヒト染色体またはその断片を保持する
染色体供与細胞の作製 (2)分化多能性を保持するマウス細胞へのミクロセル
法によるヒト染色体またはその断片の移入 (3)上記マウス細胞を用いたキメラマウスの作製 (4)キメラマウスにおけるヒト染色体保持及び、ヒト
遺伝子発現確認 の過程を経ることにより得ることができる。なお、ここ
では、ヒト染色体またはその断片を保持し、該染色体ま
たはその断片上の遺伝子を発現する非ヒト動物として、
マウスを例にとった(以下、このマウスを「ヒト染色体
導入マウス」と称する。)。
【0025】ここでヒト染色体とは、ヒト細胞由来の天
然のDNAと蛋白質の複合体のことを指す。正常なヒト染
色体は23種(雄は24種)46本存在し、それぞれ約50〜30
0Mbの長さのDNAを含むとされるが、本発明においては独
立染色体として安定に複製、分配が可能な部分断片、お
よびマウス染色体上に転座し、安定に保持されている部
分断片も含まれる。そのDNAの大きさは通常1Mb以上だ
が、それ以下の場合もある。本発明の特徴は大腸菌、酵
母等でのクローニングあるいは細胞からのDNA抽出処理
等を行なわず、染色体そのものを媒体としてマウス個体
でヒト遺伝子を保持、発現させることにある。
【0026】また、ヒト染色体導入マウスとは、その正
常体細胞の全てまたは一部において、単一あるいは複数
のヒト染色体あるいはその断片を保持するものを指す。
さらには、その正常体細胞の全てまたは一部において、
ヒト染色体上の単一あるいは複数のヒト遺伝子を発現し
ているものを指す。
【0027】(1)標識されたヒト染色体またはその断
片を保持する染色体供与細胞の作製 染色体供与細胞としては、1)受容細胞で選別可能なマ
ーカーで標識されたヒト染色体を保持し、2)それ以外
のヒト染色体を含まない、3)ミクロセル形成能が高い
細胞、が望ましい。ヒト染色体提供の材料としては、ヒ
ト由来のあらゆる細胞株、癌細胞、初代培養細胞を用い
ることが出来るが、染色体の欠失、増幅等の異常の可能
性が低く、また培養が容易な点を考慮すると正常繊維芽
細胞が適している。
【0028】まず1)について、ヒト細胞は薬剤(G41
8, ピューロマイシン,ハイグロマイシン, ブラストサイ
ジン)耐性等のマーカー遺伝子を発現するベクターによ
り形質転換することができる。ここで用いるマーカー発
現制御のためのプロモーターとしては、ヒト細胞のみな
らず、マウスES細胞のような受容細胞で効率よく働くも
のが望ましい。この目的にはSV40エンハンサーと単純ヘ
ルペスウイルスチミジンキナーゼプロモーターの連結し
たもの(Katohら, Cell Struct.Funct., 12:575, 198
7)、マウスPGK-1プロモーター(Sorianoら, Cell, 64:
693, 1991)等を用いることが出来る。エレクトロポレ
ーション(石田ら, 細胞工学実験操作入門, 講談社, 19
92)等による形質転換を実施し、選択することにより、
導入されたマーカー遺伝子が、23種46本あるヒト染色体
上にランダムに挿入されたようなヒト細胞形質転換体の
ライブラリーを得ることが出来る。
【0029】3)については、多くのヒト正常細胞がミ
クロセル形成能が非常に低いので、上記の形質転換体を
ミクロセル形成能の高い細胞例えば、マウスA9細胞(Os
himura,M.,Environ. Health Perspect., 93:57, 1991)
と全細胞融合することにより、形成能を付与することが
出来る。マウス−ヒト雑種細胞では、ヒト染色体が選択
的に消失することが知られているが、ここで得られた融
合株は、先述のマーカーで選択することにより、マーキ
ングされたヒト染色体を安定に保持することが出来る。
【0030】さらに、2)の条件を満たすために、この
細胞融合株からミクロセルを取得し、マウスA9細胞と再
度融合することが望ましい。この場合も、ヒト染色体上
のマーカーで選択することにより、得られるミクロセル
融合株の多くは、1)、2)、3)の条件を満たしたも
のであると考えられる。マーキングされたヒト染色体の
同定は、最終段階で得られるマウス−ヒトモノクロモソ
ーム雑種細胞において、PCR(ポリメラーゼチェインリ
アクション、Saikiら, Science, 239:487, 1988)、サ
ザンブロット解析(Ausubelら, Current protocols in
molecular biology, John Wiley & Sons, Inc., 199
4)、FISH(フルオレッセンスインサイチューハイブリ
ダイゼーション、Lawrenceら, Cell, 52:51, 1988)解
析等により調べることが出来る。ある特定の染色体導入
を望む場合には、多くのヒト細胞形質転換体クローンに
ついて、それぞれ上記の過程を繰り返して、目的染色体
がマーキングされたものを探す。あるいは、ヒト細胞形
質転換体クローンの混合物について上記の過程を実施
し、得られる多数のマウス−ヒトモノクロモソーム雑種
細胞についてヒト染色体の同定を行なうことが可能であ
る。さらに、導入を望む染色体上のDNA配列を標的とし
た相同組換え(Thomas ら, Cell, 51:503, 1987) によ
り、特定の部位にマーカー遺伝子を挿入することも可能
である。
【0031】マウス−ヒト雑種細胞から調製したミクロ
セルにガンマ線照射することにより、マーキングされた
ヒト染色体を断片化してマウスA9細胞に導入することも
出来る。また、ミクロセルにガンマ線照射しない場合で
も、ある割合で部分断片化したヒト染色体が移入される
ことがある。これらの場合、得られるミクロセル融合株
は、マーキングされたヒト染色体の部分断片を保持して
いる。これらは、受容細胞に染色体部分断片を導入した
い場合に用いることができる。
【0032】(2)分化多能性を保持するマウス細胞へ
のヒト染色体またはその断片の移入 これまでに、種々の系統のマウス由来の胚性癌腫細胞
(EC細胞、Hanaokaら, Differentiation, 48:83, 199
1)、胚性幹細胞(ES細胞、Evansら, Nature, 292:154,
1981 )、胚性生殖細胞(EG細胞、Matsuiら, Cell, 7
0:841, 1992)がマウス初期胚に注入あるいは共培養す
ることによりその正常体細胞に寄与する、すなわちキメ
ラマウス作製可能であることが報告されている。ES、EG
細胞はその能力が特に高く、多くの場合生殖細胞にも寄
与し、その細胞由来の子孫を作ることができる。EC細胞
は主に生殖細胞癌から、ES細胞は胚盤胞の内部細胞塊か
ら、EG細胞は発生初期に出現する始原生殖細胞から得ら
れる。本発明におけるヒト染色体移入の受容細胞として
はこれらの細胞株及びその変異株、さらにはマウス個体
において全て、あるいは一部の正常体細胞に分化可能な
あらゆる未分化細胞を用いることができる。
【0033】受容細胞へのヒト染色体移入の材料として
は(1)で得られたヒト染色体供与細胞から調製される
ミクロセルあるいはガンマ線照射したミクロセルを用い
ることができる。受容細胞への移入は<清水素行, 細胞
工学ハンドブック, 羊土社, 1992> 等に記された方法で
受容細胞とミクロセルを融合することにより行なう。ミ
クロセル供与細胞においてはあるヒト染色体またはその
断片が受容細胞において選別可能なマーカーを保持して
いる。この中から、(1)と同様PCR、サザンブロット
解析、FISH解析等により、導入を目的とする遺伝子ある
いは染色体あるいはその断片を保持する株を選択すれ
ば、あらゆるヒト染色体、あるいはその断片を導入する
ことが可能である。また、異なる選択マーカーを保持す
る複数の染色体、あるいはその断片を逐次導入すること
により、これらを同時に保持する受容細胞を得ることも
できる。さらに、すでにあるヒト染色体を導入した細胞
株の中から、導入染色体数が増加したものを選抜するこ
とも可能である。これは通常、培養液中に添加する選択
薬剤の濃度を高めることにより達成される。
【0034】ヒト染色体上のマーカー(G418耐性等)に
より選抜された受容細胞が、供与細胞の保持していたヒ
ト染色体の全部あるいは一部を保持していることは、以
下のようにして確認される。選抜された受容細胞から抽
出したゲノムDNAを用い、プローブとしてヒト特異的繰
り返し配列(L1、 Alu等、Korenbergら, Cell, 53:391,
1988)、ヒト遺伝子等を用いたサザン解析により検出
される。また、ヒト遺伝子特異的プライマーによるPCR
法、及びヒト染色体特異的プローブ(Lichterら, Human
Genetics, 80:224, 1988)を用いたフルオレッセンス
インサイチューハイブリダイゼーション(FISH)等の染
色体解析により確認することができる。
【0035】(3)ヒト染色体導入ES細胞からのキメラ
マウス作製 (2)で得られたES細胞株からのキメラマウス作製は、
< 相沢慎一, バイオマニュアルシリーズ8ジーンターゲ
ティング, 羊土社, 1995>等に記された方法で行なう。
効率的なキメラマウス作製を行なうための宿主胚の発生
時期、系統等の選択については、それぞれのES細胞株に
ついてすでに検討された条件を用いることが望ましい。
例えば、CBA×C57BL/6 F1由来のTT2細胞(野生色、Yagi
ら, Analytical Biochemistry, 214:70, 1993)につい
てはBalb/c(白色、日本クレア社)あるいはICR(白
色、日本クレア社)由来の8細胞期胚を宿主胚として用
いるのが望ましい。
【0036】(4)キメラマウスにおけるヒト染色体の
保持及びヒト遺伝子発現 ES細胞株を注入した胚から誕生したマウスにおけるES細
胞の貢献率は、その毛色によりおおまかに判定すること
ができる。但し、毛色に全く貢献が見られないからとい
って他の組織で貢献がないとは断定できない。より詳細
な、キメラマウス各組織におけるヒト染色体の保持は各
組織より抽出されたゲノムDNAを用いたサザン解析、PCR
等によって確認することができる。
【0037】導入ヒト染色体上の遺伝子発現は以下のよ
うにして確認される。ヒト染色体由来mRNAの発現は各組
織由来RNAを用いたRT-PCR法(Kawasakiら, P.N.A.S., 8
5:5698, 1988)、ノーザンブロット法(Ausubelら, 前
記)により検出される。蛋白質レベルの発現は、マウス
の相同蛋白質との交差反応性を最小にした抗ヒト蛋白質
抗体による酵素免疫測定法(ELISA、富山・安東, 単ク
ローン抗体実験マニュアル, 講談社サイエンティフィ
ク, 1987; 石川, 超高感度酵素免疫測定法, 学会出版セ
ンター, 1993)、ウエスタンブロット法(Ausubelら,
前記)あるいは、電気泳動度の違いを利用したアイソザ
イム分析(Koi ら,Jpn. J. Cancer Res.,80:413, 198
9)等により検出される。さらに、キメラマウス細胞中で
のヒト染色体の保持及び該染色体上の遺伝子の発現が、
キメラマウス由来初代培養細胞での薬剤耐性マーカー遺
伝子発現による耐性細胞の出現より確認できる。
【0038】例えば、ヒト免疫グロブリン重鎖の存在す
るヒト14番染色体を保持するES細胞から作製されたキメ
ラマウスについて、キメラマウス血清中のヒトIgM、Ig
G、IgA等をマウス抗体との交差反応性を最小にした抗ヒ
トIg抗体による酵素免疫測定法により検出することがで
きる。また、このキメラマウスをヒト由来抗原(例えば
ヒト血清アルブミン)により免疫し、その脾臓細胞とマ
ウスミエローマを融合することにより得られる、ハイブ
リドーマ(安東・千葉, 単クローン抗体実験操作入門,
講談社サイエンティフィク, 1991)をELISAによりスク
リーニングすることにより、ヒト免疫グロブリン重鎖を
産生するハイブリドーマを得ることができる。
【0039】以上、マウスを例にとり、ヒト染色体また
はその断片を保持し、該染色体またはその断片上の遺伝
子を発現するキメラ非ヒト動物の作製法を説明したが、
本発明において、キメラ非ヒト動物へ移入される染色体
またはその断片は、ヒト由来のものに限られず、広く外
来染色体またはその断片を移入し、該染色体またはその
断片上の遺伝子を発現させることが可能である。ここ
で、「外来染色体」とは、分化多能性を保持する細胞へ
移入され、キメラ非ヒト動物において、該染色体または
その断片上の遺伝子が発現することを特徴とするもので
あり、その由来ととする生物種は特に限定されるもので
はない。また、本発明の方法により、キメラマウスのみ
ならず、他のキメラ動物、例えば、ラット、ブタ等の哺
乳類その他のキメラ動物も作製することができる。マウ
ス以外の動物種におけるES細胞あるいはES様細胞の樹立
はラット(Iannacconeら, Dev. Biol., 163, 288-, 199
4)、ブタ(Wheeler ら, Reprod. Fertil. Dev., 6, 56
3-, 1994)、ウシ(Simsら,Proc. Natl. Acad. Sci. US
A, 91, 6143-6147, 1994)において報告され、さらにメ
ダカ、ニワトリ等でも試みられている(トランスジェニ
ック動物, 蛋白質核酸酵素, 1995年10月号増刊, 共立出
版)。また、ヒツジにおいてはES様細胞(ED細胞)さら
にはそれを10代以上継代して得られる上皮様細胞由来の
核を移植された未受精卵が正常に発生することが知られ
ている(Campbellら, Nature, 380, 64-, 1996)。これ
らESあるいはES様細胞を受容細胞とした外来染色体移入
によってマウスの場合と同様に外来染色体あるいはその
断片を保持し、該染色体またはその断片上の遺伝子を発
現するキメラ非ヒト動物が作製可能である。
【0040】また、本発明において、外来染色体あるい
はその断片が移入される、分化多能性を保持する細胞
は、前述のES細胞、EC細胞、EG細胞に限られるも
のではない。例えば、骨髄幹細胞に外来染色体あるいは
その断片を移入することが可能であり、該骨髄幹細胞の
生体への移植により、遺伝病等の治療を行うことが可能
である。キメラ非ヒト動物において、外来染色体を保持
するES細胞がその生殖細胞に分化した場合、生殖により
得られる子孫にも導入染色体または断片が認められ、そ
の子孫は導入された染色体または断片上の遺伝子を発現
する。
【0041】上記のようにして得られるキメラ非ヒト動
物またはその子孫を利用して、外来染色体またはその断
片上の遺伝子を発現させ、その産物を回収することによ
り、生物学的に活性な物質を製造することができる。具
体的には、キメラ非ヒト動物またはその子孫の個体を外
来染色体またはその断片上の遺伝子を発現しうる条件下
で飼育し、その後発現産物を動物の血液、腹水などから
回収することができる。あるいはまた、キメラ非ヒト動
物またはその子孫の組織、細胞あるいはそれを不死化し
たもの(例えば、ミエローマ細胞との融合により不死化
したハイブリドーマ)などを外来染色体またはその断片
上の遺伝子を発現しうる条件下で培養し、その後発現産
物を培養物から回収することができる。さらには、これ
らキメラ非ヒト動物またはその子孫の組織、細胞、ある
いはそれを不死化したものから抽出した外来染色体ある
いはその断片、または外来染色体またはその断片を構成
するDNA、さらにはまた、キメラ非ヒト動物またはそ
の子孫の組織、細胞、あるいはそれを不死化したものに
保持された外来染色体あるいはその断片に由来するcD
NAを動物細胞あるいは昆虫細胞(例えば、CHO細
胞、BHK細胞、肝ガン細胞、ミエローマ細胞、SF9
細胞等)に導入し、該細胞を外来染色体またはその断片
上の遺伝子を発現しうる条件下で培養し、その後発現産
物(例えば、特定の抗原特異的な抗体蛋白質等)を培養
物から回収することができる。発現産物は遠心分離など
の公知の方法に従って回収することができ、さらに、硫
安分画、分配クロマトグラフィー、ゲル濾過クロマトグ
ラフィー、吸着クロマトグラフィー、分取薄層クロマト
グラフィーなどの公知の方法に従って精製することがで
きる。生物学的に活性な物質は、外来染色体上にコード
されているあらゆる物質を含み、例えば、抗体、特にヒ
ト抗体などを挙げることができる。例えば、得られたキ
メラ動物の脾細胞あるいはそのハイブリドーマなどの不
死化細胞から該染色体上のヒト抗体遺伝子をクローニン
グし、チャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO)やミ
エローマ細胞に導入してヒト抗体を生産することができ
る(Lynetteら, Biotechnology, 10, 1121-, 1992; Beb
bingtonら, Biotechnology, 10, 169-, 1992)。
【0042】本発明により得られるヒト2番、14番、22
番染色体(断片)を保持するキメラマウス及びその子孫
は、ヒト抗体重鎖(14番染色体上)、軽鎖κ(2番染色
体上)、軽鎖λ(22番染色体上)それぞれの遺伝子の機
能的配列の大部分を保持し得る。すなわち、酵母人工染
色体等を用いてヒト抗体遺伝子の一部を導入した既知の
トランスジェニックマウス(Greenら, Nature Genetic
s, 7, 13-, 1994, Lonbergら, Nature, 368, 856-, 199
4等)と比較して、ヒトにおいて観察されるものにより
近い、非常に多様なヒト抗体レパートリーを発現するこ
とが可能である。また、本発明により得られる2番+14
番、22番+14番等の染色体(断片)を同時に保持するキ
メラマウス及びその子孫、並びに、それらを交配するこ
とにより得られる2番+14番+22番等の染色体(断片)を
同時に保持するマウス及びその子孫は、重鎖、軽鎖の両
者がヒト由来である完全なヒト抗体を産生することが可
能である。これらのマウスはヒト由来抗原に対してそれ
を異物とみなして免疫反応を起こし、抗原特異的ヒト抗
体を産生することができる。この性質は治療用のヒトモ
ノクローナル抗体、あるいはヒトポリクローナル抗体を
得るために非常に有用である(Greenら、前記、Lonberg
ら、前記)。一方、特定の抗原に対して親和性の高いヒ
ト抗体を得る効率を上げるためには、マウス抗体を産生
せず、ヒト抗体のみを産生するマウスを作成することが
望まれる(Greenら、前記、Lonbergら、前記)。本発明
において、これは典型的には既知の手法を用いて以下の
方法AあるいはBにより達成される。
【0043】方法A:マウス抗体欠損ES細胞およびマウ
ス抗体欠損キメラ宿主胚を用いる方法。 方法B:ヒト染色体導入キメラマウスよりヒト染色体を
保持する子孫を得てマウス抗体遺伝子を欠損するマウス
系統との交配を行う方法。 以下にA, Bそれぞれの方法の典型的な例について以下に
具体的に記す。
【0044】方法Aの具体的手順 1.マウスES細胞に2コピー存在するマウス抗体重鎖遺
伝子の一方を標的遺伝子相同組み換え法(Joynerら, Ge
ne Targeting, 1993, IRL PRESS)を用いて破壊する。
遺伝子破壊箇所には後に部位特異的組換えにより除去可
能な配列、例えばloxP配列(Creレコンビナーゼにより
組み換え、Sauerら、前記、他にFLPレコンビナーゼ-FRT
配列を用いたO'Gormanら, Science, 251, 1351-, 1991
の例がある)にはさまれたG418耐性遺伝子等のマーカー
遺伝子を挿入する。
【0045】2.一方の抗体重鎖遺伝子が破壊された上
記薬剤耐性マウスES細胞を高濃度の薬剤存在下で培養
し、高濃度薬剤耐性となった株を選抜する。これらの株
をスクリーニングすることにより両方の抗体重鎖遺伝子
が破壊された株が得られる(相沢慎一、前記)。3.
2.で得られた両方の抗体重鎖遺伝子が破壊されたマウ
スES細胞に1.で薬剤耐性遺伝子の両側に挿入した組換
え配列の間で部位特異的組み換え反応を起こす酵素遺伝
子、例えばCreレコンビナーゼ遺伝子(Sauerら、前記)
を一時的に導入し、loxP配列の間で組み換え反応が起こ
って両方の抗体重鎖遺伝子に挿入された薬剤耐性遺伝子
が除去された薬剤感受性株を選抜する(高津聖志ら、実
験医学別冊、免疫研究の基礎技術、p255-、1995、羊土
社)。
【0046】4.マウス抗体軽鎖κ遺伝子について上記
1〜3の過程を繰り返し、最終的に抗体重鎖及びκ鎖を
完全に欠損した薬剤感受性株を取得する。 5.4の株(抗体重鎖、κ鎖欠損マウスES細胞)を受容
細胞としたミクロセル融合により、薬剤耐性マーカー
(例えばG418耐性遺伝子)でマーキングされたヒト抗体
重鎖遺伝子を含むヒト14番染色体(断片)を導入する。 6.5で得られた株を受容細胞としたミクロセル融合に
より、5とは異なる薬剤耐性マーカー(例えばピューロ
マイシン耐性遺伝子)でマーキングされたヒト抗体軽鎖
遺伝子を含むヒト2番染色体(断片)あるいは22番染色
体(断片)またはその両者を導入する。
【0047】7.自らの抗体を産生することができない
マウス系統(例えばRAG-2ノックアウトマウス、Shinkai
ら, Cell, 68, 855-, 1992、膜型μ鎖ノックアウトマウ
ス、Kitamuraら, Nature, 350, 423-,1991)から得た胚
を宿主胚として6で得られたES細胞とのキメラマウスを
作成する。 8.得られるキメラマウスにおいてほとんどの機能的な
Bリンパ球はES細胞に由来する(高津聖志ら、実験医学
別冊、免疫研究の基礎技術、p234-、羊土社、1995)。
このBリンパ球においてはマウス重鎖、κ鎖が欠損して
いるため、主として導入染色体上の機能的なヒト抗体遺
伝子よりヒトの抗体のみが産生される。
【0048】方法Bの具体的手順 1.ヒト抗体重鎖、軽鎖κまたは軽鎖λを含むヒト染色
体あるいはその断片を保持するキメラマウスからそれら
を安定に保持する継代可能な子孫を得る。 2.1.で得られたヒト抗体重鎖または軽鎖を発現する
マウス系統あるいはそれらの交配により得られたヒト抗
体重鎖および軽鎖の両者を発現するマウス系統と自らの
抗体遺伝子が欠損しているマウス系統(例えば膜型μ鎖
ノックアウトマウス、前記、軽鎖κノックアウトマウ
ス、Chenら, EMBO J., 3, 821-, 1993)との交配によ
り、マウス抗体重鎖、及び軽鎖κの欠損についてホモ接
合体であり、なおかつヒト抗体重鎖(14番)+軽鎖κ
(2番)、抗体重鎖(14番)+軽鎖λ(22番)あるいは
ヒト抗体重鎖(14番)+軽鎖κ(2番)+軽鎖λ(22
番)を含むヒト染色体を保持するマウス系統を得る。こ
のマウス系統においてはマウス抗体重鎖、軽鎖κ遺伝子
が欠損しているため、主として導入染色体上の機能的な
ヒト抗体遺伝子よりヒトの抗体のみが産生される。な
お、上記のAおよびBの方法は、ヒト抗体のみならず、
外来染色体上に存在するあらゆる遺伝子の産物を効率的
に得るために、用いることができる。
【0049】
【発明の実施の形態】以下に実施例を示して具体的に説
明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるもので
ない。
【0050】
【実施例】(実施例1)G418耐性標識されたヒト染色体
(断片)を保持する染色体供与細胞の作製 G418耐性遺伝子を含むプラスミドpSTneoB(Katohら、Ce
ll Struct. Funct., 12:575, 1987; Japanese Collecti
on of Research Biologicals (JCRB), DepositNumber:
VE039)を制限酵素SalI(宝酒造)で線状化し、ヒト正
常繊維芽細胞HFL-1(RIKEN Cell Bankより入手、RCB025
1)へ導入した。HFL-1細胞をトリプシン処理し、5x106
/mlとなるようにダルベッコのリン酸バッファー(PB
S)に懸濁してから10μgDNA存在下でジーンパルサー
(バイオラッド)を用いてエレクトロポレーションを行
なった(石田ら, 細胞工学実験操作入門, 講談社, 199
2)。25μFの容量で1000Vの電圧を4mm長のエレクトロポ
レーションセル(165-2088、バイオラッド )を用いて室
温で印加した。エレクトロポレーションした細胞を15%
牛胎児血清(FBS)を添加したイーグルF12培地(以下F1
2、という)を含む100mm組織培養用プラスチックシャー
レ(コーニング)3〜6枚に播種した。1日後に200μg
/mlのG418(GENETICIN,シグマ)を含む15%FBSを添加し
たF12培地と置き換えた。2〜3週間後に生じたコロニ
ー100個程度を一つの集団として52グループにそれぞれ
まとめ、100 mmシャーレに再び播種し培養した。
【0051】マウスA9細胞(Oshimura, Environ.Health
Perspect.,93:57, 1991, JCRB0211)を10%牛胎児血清
(FBS)を添加したダルベッコ改変イーグル培地(以下D
MEM、という)中、 100 mm シャーレで培養した。52グ
ループのG418耐性HFL-1 細胞を15%牛胎児血清(FBS) と2
00μg/mlのG418を添加したF12中で、それぞれ100mmシャ
ーレで培養した。マウスA9細胞とHFL-1 細胞をトリプシ
ン処理後それぞれ四分の一から半分量ずつ混合し、100m
mシャーレに播種し10%牛胎児血清(FBS)を添加したDM
EMと15%牛胎児血清(FBS)を添加したF12との等量混合
物中で半日から一日培養した。細胞融合は(清水ら, 細
胞工学ハンドブック, 羊土社, p.127-,1992)に記述さ
れている方法に従った。DMEMで細胞表面を2回洗った
後、2ml のPEG(1:1.4)溶液で1分間処理し、さら
に、2mlのPEG(1:3)溶液に換え1分間処理した。PEG
溶液を吸い取り、無血清培地(DMEM)で3回洗った後、
通常の培地(10%FBS、DMEM)で1日間培養した。細胞
をトリプシン処理により分散し、ウワバイン(1x10-5M,
シグマ)およびG418(800μg/ml)を含む二重選択培地
(10%FBS、DMEM)に懸濁し、100mmシャーレ3枚に播種
した。約3週間培養した後、生じたコロニーをトリプシ
ン処理により細胞を分散しG418(800μg/ml)を含む選
択培地(10%FBS、DMEM)で培養した。
【0052】トリプシン処理により細胞を分散し2グル
ープを一つにまとめて、6本の25cm2遠心用フラスコ
(コースター、3025)にて細胞密度が70〜80%飽和程度
まで培養した。コルセミド(0.05μg/ml, デメコルシ
ン, 和光純薬)を含む培養液(20%FBS、DMEM)に交換
し、2日間培養しミクロセルを形成させた。培養液を除
去し、予め保温(37℃)しておいたサイトカラシンB
(10μg/ml, シグマ)溶液を遠心用フラスコに満たし、
アクリル製遠心容器に遠心用フラスコを挿入し、34℃、
8000rpm ,1時間の遠心を行なった。ミクロセルを無血清
培地に懸濁し、フィルターで濾過し精製した。マウスA9
細胞を80%飽和の状態まで培養した25cm2 フラスコに精
製した微小核を加えPEG溶液で融合させた。G418を含む
選択培地で培養しコロニーを単離した。各クローンが保
持するヒト染色体(2番、4番、14番、22番)は以下の
通り同定した。上記以外のすべての実験操作及び試薬等
は〈清水ら、細胞工学ハンドブック、羊土社、p.127-〉
に従った。
【0053】(1)PCR解析 単離した細胞を培養し、細胞からPuregene DNA Isolati
on kit(Gentra System社)を用いてゲノムDNAを抽出
し、このゲノムDNAを鋳型とし、ヒト染色体特異的なプ
ライマーを用いてPCR法で2、4、14、22番ヒト染色体
を保持するクローンを選抜した。PCR増幅は約0.1μgの
ゲノムDNAを使用し(Innisら, PCR実験マニュアル, HBJ
出版局, 1991, サーマルサイクラーはGeneAmp 9600, Pe
rkin-Elmer社を使用)に従い行なった。Taqポリメラー
ゼはPerkin-Elmer社製を用い、反応条件は、94℃5分を1
サイクル行なった後、変性94℃15秒、アニーリング54〜
57℃15秒(プライマーにより適宜変更)、伸長72℃20秒
を35サイクル行なった。プライマーは各染色体上に存在
する遺伝子(O'Brien, Genetic Maps,6th edition, Boo
k 5, Cold Spring Harbor Laboratory Press, 1993)及
び多型性マーカー(Polymorphic STS Primer Pair, BIO
S 社; Weissenbach ら, Nature 359:794, 1992; Walter
ら, Nature Genetics,7:22, 1994 等)を用いた。遺伝
子プライマーはGenBank、EMBL等のデータベースより入
手した塩基配列をもとに作製した。多型性プライマーの
名称及び、遺伝子プライマーの配列はそれぞれの染色体
について以下の実施例で示した(2番:実施例1、4
番:実施例6、14番:実施例9、22番:実施例2)。2
番染色体の同定には以下に示す遺伝子マーカー及び多型
性マーカー(Polymorphic STS Primer Pair, BIOS社: D
2S207, D2S177, D2S156, D2S159 BIOS社)を用いた。
【0054】Cκ(immunoglobulin kappa constant):
5'-TGGAAGGTGGATAACGCCCT (配列番号1), 5'-TCATTCTCC
TCCAACATTAGCA (配列番号2) FABP1(fatty acid binding protein-1 liver):5'-GC
AATCGGTCTGCCGGAAGA(配列番号3), 5'-TTGGATCACTTTGG
ACCCAG (配列番号4) Vk3-2 (immunoglobulin kappa variable):5'-CTCTCC
TGCAGGGCCAGTCA (配列番号5), 5'-TGCTGATGGTGAGAGTGA
ACTC (配列番号6) Vk1-2 (immunoglobulin kappa variable):5'-AGTCAG
GGCATTAGCAGTGC (配列番号7), 5'-GCTGCTGATGGTGAGAGT
GA(配列番号8)
【0055】(2)フルオレッセンスインサイチューハ
イブリダイゼーション(FISH) FISH解析は(松原ら, FISH実験プロトコール, 秀潤社,
1994)に記された方法に従い、ヒト2番、4番、14番、22
番染色体特異的プローブ(CHROMOSOME PAINTING SYSTE
M, Cambio社)を用いて行なった。
【0056】例えば、2番染色体を保持するクローンは2
6グループ(745クローン)中10グループに1個以上のクロ
ーンを得た。このうち用いた2番染色体特異的なプライ
マーすべてに陽性であったのは5クローンだった。これ
らのクローンをFISH解析した。FISH解析は(松原ら, FI
SH実験プロトコール、秀潤社、1994)に記された方法に
従い、ヒト2番染色体特異的プローブ(CHROMOSOME PAI
NTING SYSTEM,CANBIO社)を用いて行なった。すべての
プライマーに陽性な細胞ではヒト2番染色体がほぼ完全
な形で観察され、1部のプライマーのみ陽性なクローン
のうちいくつかのクローンではヒト2番染色体よりも小
さな独立染色体が観察され、あるいはヒト2番染色体以
外の染色体と融合しているような形の染色体を持つ細胞
も観察された(第1図)。第1図において、横列がクロ
ーン名、縦列はPCRに使用したプライマーを示す。●は
陽性を、×は陰性を示した。また、FISHにより観察され
たヒト2番染色体の存在形態を最下行に示した。記載の
ないものは実施していない。同様にして、ヒト4番、14
番、22番染色体を保持するA9細胞を得た。
【0057】(実施例2)マウスES細胞へのミクロセル
法によるヒト22番染色体導入 染色体供与細胞として、(実施例1)で得られたヒト22
番染色体を保持するマウスA9細胞株(以下A9/#22、とい
う)を用いた。染色体受容細胞としてはマウスES細胞株
E14(Martin L. Hooperより入手、Hooperら, Nature, 3
26 :292, 1987)を用いた。E14の培養法は<相沢慎一,
バイオマニュアルシリーズ 8, ジーンターゲティング,
羊土社, 1995>に記された方法に従い、栄養細胞として
は、マイトマイシンC(シグマ)処理したG418耐性STO細
胞株(大阪大学、近藤寿人教授より入手)を用いた。ま
ず清水ら(細胞工学ハンドブック、羊土社、1992)の報
告した方法に従い、約108個のA9/#22からミクロセルを
調製した。得られたミクロセルは全量を5mlのDMEMに懸
濁した。約107個のE14をトリプシンで分散させた後、DM
EMで3回洗浄し、5mlのDMEMに懸濁した後、ミクロセル
とあわせ、1250rpm、10分間遠心して上清を除いた。沈
殿をタッピングによりよくほぐし、1:1.4PEG溶液(5g P
EG1000,<和光純薬>, 1ml DMSO<シグマ>を6mlDMEMに溶
解)0.5mlを加えて室温で1分30秒静置した後、10mlのDM
EMをゆっくりと加えた。直ちに1250rpm、10分間遠心し
て上清を除き、沈殿を30mlのES細胞用培地に懸濁し、あ
らかじめ栄養細胞をまいた直径100mmの組織培養用プラ
スチックシャーレ(コーニング)3枚に播種した。24時
間後に300μg/mlのG418(GENETICIN,シグマ)を加えた
培地と交換し、その後毎日培地交換を行なった。1週間
〜10日後には薬剤耐性コロニーが出現する。その出現頻
度はE14細胞107個あたり0〜5個であった。そのコロニ
ーをピックアップし増殖させ、5×106個あたり1mlの保
存用培地(ES細胞用培地+10%DMSO<シグマ>)に懸濁
し、-80℃にて凍結保存した。同時に各薬剤耐性株につ
いて106〜107個の細胞からゲノムDNAをPuregene DNA Is
olation Kit(GentraSystem社)により調製した。
【0058】ヒト22番染色体の断片化はミクロセルにガ
ンマ線照射することにより行なった(Koiら, Science,
260:361, 1993)。約108個のA9/#22より取得したミクロ
セルを5mlのDMEMに懸濁し、ガンマセル40(カナダ原子
力公社製)により、氷上で60Gyのガンマ線を照射した
(1.2Gy/分×50分)。ガンマ線照射したミクロセルは未
照射ミクロセルと同様に融合、薬剤耐性株選抜を行なっ
た結果、薬剤耐性株の出現頻度はE14細胞107個あたり1
〜7個であった。薬剤耐性株については未照射の場合と
同様にして凍結保存、DNA取得を行なった。未照射ミク
ロセル薬剤耐性株E14/#22-9 、E14/#22-10、ガンマ線照
射ミクロセル薬剤耐性株E14/#22-14、E14/#22-25におけ
る導入染色体の保持は以下の(1)〜(3)により確認し
た。
【0059】(1)PCR解析(第2図) 薬剤耐性株ゲノムDNAを鋳型としてヒト22番染色体上に
存在する遺伝子(Genetic Maps, 前記)及び多型性マー
カー(Polymorphic STS Primer Pair, BIOS社:D22S31
5, D22S275, D22S278, D22S272, D22S274; Nature 359:
794, 1992)の存在をPCR法により検出した。GenBank、E
MBL等のデータベースより入手した塩基配列をもとに作
製した遺伝子プライマーオリゴヌクレオチドの配列を記
す。
【0060】PVALB(parvalbumin):5'-TGGTGGCTGAAAG
CTAAGAA (配列番号9), 5'-CCAGAAGAATGGTGTCATTA(配
列番号10) MB(myoglobin):5'-TCCAGGTTCTGCAGAGCAAG (配列番号
11), 5'-TGTAGTTGGAGGCCATGTCC(配列番号12) DIA1(cytochrome b-5 reductase):5'-CCCCACCCATGAT
CCAGTAC (配列番号13),5'-GCCCTCAGAAGACGAAGCAG(配列
番号14) Igλ(immunoglobulin lambda):5'-GAGAGTTGCAGAAGGG
GTGACT (配列番号15),5'-GGAGACCACCAAACCCTCCAAA (配
列番号16) ARSA(arylsulfatase A):5'-GGCTATGGGGACCTGGGCTG
(配列番号17), 5'-CAGAGACACAGGCACGTAGAAG(配列番号1
8)
【0061】約0.1μgのゲノムDNAを鋳型として上記の1
0種のプライマーについてPCR増幅(Innisら,前記)を行
なった。その結果、未照射の2株は全てのプライマー、
ガンマ線照射した2株については一部のプライマーにつ
いて期待される長さの増幅産物が検出された。以上の結
果を第2図に示す。第2図において、左側にヒト22番染
色体のGバンド像に基づく模式的な染色体地図、また、
位置が明らかになっているいくつかのマーカーについて
はどのバンドに位置するかを示した(O'Brien,GENETIC
MAPS, 6th edition, BOOK 5等)。遺伝子及び多型性マ
ーカーの並び方は、現在までに入手出来る情報(Scienc
e, HUMAN GENETIC MAP, 1994, Nature Genetics, 7:22,
1994, Nature 359:794, 1992等)を基に、大まかな位
置関係を示したもので、順序は必ずしも正確ではない。
4種のG418耐性E14細胞株について、PCRにより期待され
る増幅産物が検出されたマーカーは■で、検出されなか
ったマーカーを□で示した。下側にはFISH解析による観
察結果を示した。A9/#22は、染色体供与細胞である。
【0062】(2)サザンブロット解析 サザンブロット解析はヒト特異的な繰り返し配列である
L1配列(ハプロイドゲノム当たり104〜105コピー存在、
RIKEN DNA Bankより入手、Nucleic acids research,13;
7813, 1985, pUK19A由来1.4kb EcoRI-BamHI 断片)をプ
ローブとして、制限酵素(BglII、宝酒造製)処理を行
なった約2μgのゲノムDNAに対して<Ausubelら, Current
Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Son
s, Inc.,1994>に記された方法に従い行なった。その結
果、各薬剤耐性株DNAにおいてヒトL1配列とハイブリダ
イズするバンドが多数検出された。未照射の2株につい
てはそのパターン及び、各バンドの濃度から推定できる
ヒト染色体DNAのマウスゲノムDNAに対する量比はA9/#22
のそれと同等であった。ガンマ線照射株の全体のシグナ
ル強度はA9/#22と比較した場合、PCR解析で示された欠
失の程度と相関していた。
【0063】(3)フルオレッセンスインサイチューハ
イブリダイゼーション(FISH) FISH解析は(松原ら, FISH実験プロトコール, 秀潤社,
1994)に記された方法に従い、ヒト22番染色体特異的プ
ローブ(CHROMOSOME PAINTING SYSTEM, Cambio社)を用
いて行なった。その結果、観察した分裂像のほとんどに
おいて、E14/#22-9 はマウス染色体に転座した形で、他
の3株は独立した染色体としてヒト22番染色体が検出さ
れた。以上の実験により、得られたG418耐性株E14/#22-
9 、E14/#22-10はヒト22番染色体の全てあるいは大部分
を、E14/#22-14、E14/#22-25はその部分断片を保持する
ことが確かめられた。
【0064】(実施例3)ヒト22番染色体を保持するES
細胞からのキメラマウス作製 一般的なマウス胚取得、培養、ES細胞の胚への注入、仮
親子宮への移植等の手技については、<相沢慎一, バイ
オマニュアルシリーズ8,ジーンターゲティング,羊土社,
1995>に記された方法に従った。(実施例2)で得ら
れ、ヒト22番染色体を保持していることが確認されたG4
18耐性ES細胞株E14/#22-9を凍結ストックより立ち上
げ、C57BL/6×C3H F1雌マウス(日本クレア社)をC3H
雄マウス(日本クレア社)と交配することにより取得し
た胚盤胞期胚に胚あたり10〜15個注入した。偽妊娠処理
後2.5日の仮親ICRマウス(日本クレア社)の子宮に片側
の子宮あたり約10個のES細胞注入胚を移植した。その結
果を(第1表)に示す。
【0065】
【表1】
【0066】計166個の注入胚を移植した結果29匹の子
マウスが誕生した。キメラ個体は、毛色において宿主胚
由来の野生色(濃茶)の中にE14細胞由来の薄灰色が認
められるかどうかにより判定される。誕生した29匹のう
ち毛色に明らかに薄灰色の部分のある、すなわち、E14
細胞の貢献の認められる個体は16匹であった。また、最
高の貢献率はK22-22における約40%であった。この結果
より、ヒト22番染色体を保持するマウスES細胞株E14/#2
2-9はキメラ形成能、すなわちマウス個体の正常組織に
分化する能力を保持していることが確認された。
【0067】(実施例4)ヒト22番染色体を保持するES
細胞由来キメラマウス各組織におけるヒト染色体DNAの
保持確認 (実施例3)の毛色による判定に加えて、尻尾より調製
したゲノムDNAを鋳型としたPCR解析により、導入染色体
の保持を確認した。誕生後3週以上を経たキメラマウス
から<勝木元也, 発生工学実験マニュアル, 講談社サイ
エンティフィク, 1987> に記された方法に従い尻尾を取
得し、Puregene DNA Isolation Kitを用いてゲノムDNA
を抽出した。このゲノムDNAを鋳型として(実施例2)
で使用した多型性プライマーのうちPVALB、D22S278を用
いて増幅産物の確認を行なった。毛色に貢献の見られた
個体のうち10匹について解析を行った結果、全ての個体
において少なくともいずれかのプライマーによる増幅産
物が確認された。
【0068】サザン解析は(実施例2)と同様に、ヒト
L1配列をプローブとして用い、6個体のキメラマウス、
1個体の非キメラマウスの2μgの尻尾ゲノムDNAに対し
て行なった。その結果、全てのキメラ個体において多数
のヒトL1配列の存在が認められ、そのパターンはE14/#2
2-9と類似していた。マウスゲノムに対する量比は最も
多いもので10%程度であった(第3図)。第3図におい
て、各レーンとも、BglII消化した2μgのゲノムDNAを
使用した。32P標識ヒトL1配列をプローブとし、シグナ
ルはイメージアナライザーBAS2000(富士写真フイルム
社)により検出した。右より、キメラマウス(K22-6,7,
8,9,10,11,12 : 9は非キメラ)の尻尾由来ゲノムDNAお
よびコントロールDNA(C: Cは、E14/#22-9 と E14ゲノム
DNAを 1:9の重量比で混合したもの) のレーンである。
左側にDNA分子量、右側に各キメラ個体のキメラ率を示
した(- : 0%、+ : 〜10%、++ : 10〜30%)。
【0069】さらに、毛色に5%程度の貢献の見られたキ
メラ個体(K22-7)について脳、肝臓、筋肉、心臓、脾
臓、胸腺、卵巣、腎臓からISOGEN(ニッポンジーン社)
によりゲノムDNAを取得し、それぞれの組織について、
(実施例2)で使用した遺伝子プライマーのうちMB、DI
A1を用いてPCR解析を行なった。その結果2つのプライ
マーとも全ての組織において期待される増幅産物が確認
された。DIA1プライマーによる結果を(第4図)に示
す。PCR産物は2%アガロースゲルにて電気泳動した後、
臭化エチジウム染色して検出した。第4図の各レーンは
左からB:脳、L:肝臓、SM:骨格筋、H:心臓、Sp:
脾臓、Th:胸腺、Ov:卵巣、K:腎臓、nc:非キメラマ
ウス尻尾DNA(陰性コントロール)、pc:ヒト繊維芽細胞
(HFL-1)DNA(陽性コントロール)を示す。これらの結果
より、E14/#22-9はマウス個体において種々の正常組織
に貢献し、かつヒト22番染色体を保持していることが確
かめられた。
【0070】(実施例5)ヒト22番染色体を保持するES
細胞由来キメラマウスにおけるヒト遺伝子の発現 ヒト遺伝子発現確認のための試料としては、毛色に5%程
度の貢献の見られた個体(K22-7)の尻尾を液体窒素に
て凍結後粉砕したものを用いた。これは皮膚、骨、筋
肉、血液等の組織の混合したものである。これよりISOG
EN(ニッポンジーン)を使用して総RNAを抽出し、RT-PC
R法により、ヒト-ミオグロビン(MB)、ヒト-チトクロ
ーム b5 レダクターゼ(DIA1)のmRNAの検出を行なっ
た。RT-PCRは<Innisら, PCR実験マニュアル, HBJ出版
局, 1991>に記された方法に従って行なった。逆転写反
応用プライマーは、ランダムへキサマーオリゴヌクレオ
チド(終濃度100pmol、宝酒造製)を、逆転写酵素はBRL
社製(スーパースクリプト)を使用した。cDNAを鋳型と
した増幅に用いたプライマーを記す。 MB:5'-TTAAGGGTCACCCAGAGACT (配列番号19), 5'-TGTAG
TTGGAGGCCATGTCC (配列番号20) DIA1:5'-CAAAAAGTCCAACCCTATCA (配列番号21), 5'-GCC
CTCAGAAGACGAAGCAG (配列番号22)
【0071】その結果、両遺伝子のmRNAに特異的な増幅
産物が検出された(第5図)。RT-PCR産物は2%アガロー
スゲルにて電気泳動した後、臭化エチジウム染色して検
出した。第5図において、M はマーカー(HindIII消化
λDNA+HaeIII消化φX174DNA,宝酒造)、MBはヒトミオ
グロビン、DIA1はヒトチトクロームb5レダクターセ、WT
は野生型C3Hマウスを示す。
【0072】さらに同じ個体(K22-7) について、脳、心
臓、胸腺、肝臓、脾臓、腎臓、卵巣、骨格筋からISOGEN
を使用して総RNAを抽出し、上記の2種のプライマーによ
り各臓器のRT-PCRを行った。その結果、DIA1は全ての臓
器で、MBは心臓と骨格筋のみで期待される増幅産物が確
認された (第6図) 。ミオグロビンは筋細胞特異的に発
現することが知られており(Bassel-Dubyら, MCB, 12:50
24, 1992) 、この結果は導入したヒト染色体上の遺伝子
がマウス個体で正常な組織特異的発現制御を受け得るこ
とを示している。PCR産物は2%アガロースゲルにて電気
泳動した後、臭化エチジウム染色して検出した。第6図
において、各レーンは左からB:脳、H:心臓、Th:胸腺、
L:肝臓、Sp: 脾臓、K:腎臓、Ov: 卵巣、SM: 骨格筋、M:
マーカー(上記)を示す。MBの結果において観察される
下方のバンドは非特異的産物と考えられる。すなわち、
導入されたヒト22番染色体はキメラマウスの正常組織に
おいて機能し得ることが確かめられた。
【0073】(実施例6)ヒト4番染色体またはその部
分断片のES細胞への導入 染色体供与細胞として、(実施例1)で得られたヒト4
番染色体を保持するマウスA9細胞株(以下A9/#4、とい
う)を用いた。染色体受容細胞としてはマウスES細胞株
E14(実施例2と同様)を用いた。ミクロセル融合実験
およびG418耐性株の選択は(実施例2)と同様に行なっ
た。薬剤耐性株の出現頻度はE14細胞107個あたり1〜2
個であった。薬剤耐性株の凍結保存、ゲノムDNA取得は
(実施例2)と同様に行なった。薬剤耐性株E14/#4-4、E
14/#4-7、E14#4-11におけるヒト4番染色体またはその断
片の保持は以下の(1)〜(3)により確認した。
【0074】(1)PCR解析(第7図) 薬剤耐性株ゲノムDNAを鋳型としてヒト4番染色体上に存
在する遺伝子(O'Brien, Genetic Maps,6th edition, B
ook 5, Cold Spring Harbor Laboratory Press, 1993)
及び多型性マーカー(Polymorphic STS Primer Pair BI
OS社:D4S395,D4S412, D4S422, D4S413, D4S418, D4S42
6, F11; Nature 359:794, 1992 )の存在をPCR法により
検出した。GenBank、EMBL等のデータベースより入手し
た塩基配列をもとに作製した遺伝子プライマーオリゴヌ
クレオチドの配列を記す。
【0075】HD(huntington disease):5'-TCGTTCCTG
TCGAGGATGAA (配列番号23), 5'-TCACTCCGAAGCTGCCTTTC
(配列番号24) IL-2(interleukin-2):5'-ATGTACAGGATGCAACTCCTG
(配列番号25), 5'-TCATCTGTAAATCCAGCAGT (配列番号26) KIT(c-kit):5'-GATCCCATCGCAGCTACCGC (配列番号2
7), 5'-TTCGCCGAGTAGTCGCACGG (配列番号28) FABP2(fatty acid binding protein 2, intestina
l):5'-GATGAACTAGTCCAGGTGAGTT (配列番号29), 5'-CC
TTTTGGCTTCTACTCCTTCA (配列番号30)
【0076】上記の11種のプライマーについてPCR増幅
を行なった結果、3株共に、全て、あるいは一部のプラ
イマーについて期待される増幅産物が確認された。E14/
#4-4、E14/#4-7株のように一部領域に欠失がみられるも
のもあった。以上の結果を第7図に示す。第7図におい
て、左側にヒト4番染色体のGバンド像に基づく模式的な
染色体地図、また、位置が明らかになっているいくつか
のマーカーについてはどのバンドに位置するかを示した
(実施例2参照)。遺伝子及び多型性マーカーの並び方
は、現在までに入手出来る情報(実施例2参照)を基
に、大まかな位置関係を示したもので、順序は必ずしも
正確ではない。3種のG418耐性E14細胞株について、PCR
により期待される増幅産物が検出されたマーカーは■
で、検出されなかったマーカーを□で示した。下側には
FISH解析による観察結果を示した。A9/#4は染色体供与
細胞を示す。
【0077】(2)サザンブロット解析(第8図) サザンブロット解析は(実施例2)と同様に、E14/#4-
4、E14/#4-7より取得したゲノムDNAについてヒトL1配列
をプローブとして行なった。その結果、両株DNAにおい
てヒトL1配列とハイブリダイズするバンドが多数検出さ
れた。A9/#4と比較して、全体のシグナル強度はPCR解析
で示された欠失の程度と相関していた。第8図におい
て、各レーンとも、BglII消化した2μgのゲノムDNAを使
用した。32P標識ヒトL1配列をプローブとし、シグナル
はイメージアナライザーBAS2000(富士写真フイルム
社)により検出した。第8図において、各レーンは、左
から、1:A9/#4(染色体供与細胞)、2:A9/#4+A9(1:
2)、3:A9/#4+A9(1:9)、4:A9、5:E14/#4-7、6:E14/#4
-4を示す。2、3は2種のDNAを括弧内に示した比率で
混合したものである。左側にDNA分子量を示した。
【0078】(3)フルオレッセンスインサイチューハ
イブリダイゼーション(FISH) FISH解析は(実施例2)と同様に、ヒト4番染色体特異
的プローブ(CHROMOSOME PAINTING SYSTEM, Cambio社)
を用いて行なった。その結果、3株すべてのほとんどの
分裂像において、ヒト4番染色体あるいはその部分断片
が検出された。E14/#4-4はマウス染色体に転座した形
で、他の2株は独立した染色体として存在していた。観
察されるヒト染色体の相対的な大きさは、PCR解析の結
果から推測されるそれと一致していた。以上の実験によ
り、得られたG418耐性株はヒト4番染色体の全てあるい
はその部分断片を保持することが明かとなった。
【0079】(実施例7)ヒト4番染色体部分断片を保
持するES細胞からのキメラマウス作製 ヒト4番染色体部分断片を保持していることが確認され
たG418耐性ES細胞株E14/#4-4、E14/#4-7を凍結ストック
より立ち上げ、(実施例3)と同様にして取得した胚盤
胞期胚に胚あたり10〜15個注入した。偽妊娠処理後2.5
日の仮親ICRマウス(日本クレア社)の子宮に片側の子
宮あたり約10個のES細胞注入胚を移植した。その結果を
(第2表)に示す。
【0080】
【表2】
【0081】計240個の注入胚を移植した結果13匹の子
マウスが誕生した。キメラ個体は、毛色において宿主胚
由来の野生色(濃茶)の中にE14細胞由来の薄灰色が認
められるかどうかにより判定される。誕生した13匹のう
ち毛色に明らかに薄灰色の部分のある、すなわち、E14
細胞の貢献の認められる個体は7匹であった。また、最
高の貢献率はE14/#4-7由来の1個体において約15%であっ
た。この結果より、ヒト4番染色体部分断片を保持する
マウスES細胞株E14/#4-4、E14/#4-7はキメラ形成能を保
持している、すなわちマウス個体の正常組織に分化する
能力を保持していることが確認された。
【0082】(実施例8)ヒト4番染色体部分断片を保
持するES細胞由来キメラマウスにおけるヒト染色体DNA
の保持及び、G418耐性遺伝子の発現確認 (1)PCR解析 (実施例7)で得られたキメラマウスのうちE14/#4-7由
来の1個体(K#4-7-1:キメラ率約5%)、E14/#4-4由来
の1個体(K#4-4-41:キメラ率約5%)について(実施例
4)と同様に尻尾よりゲノムDNAを調製した。それを鋳
型とし、(実施例6)で示した4番染色体解析用プライ
マーのうちE14/#4-7、E14/#4-4で検出された多型性マー
カーF11についてPCR解析を行なった。その結果、2個体
とも期待される増幅産物が検出された。
【0083】(2)サザン解析(第9図) サザン解析は(実施例2)と同様、E14/#4-7由来の1個
体(K#4-7-1:キメラ率約5%)についてヒトL1配列をプ
ローブとして用い、2μgの尻尾由来ゲノムDNAに対して
行なった。その結果、多数のヒトL1配列の存在が認めら
れ、そのパターンはE14/#4-7と類似していた。マウスゲ
ノムに対する量比はE14/#4-7の約10%程度であった。第
9図において、各レーンとも、BglII消化した2μgの尻
尾由来ゲノムDNAを使用した。32P標識ヒトL1配列をプロ
ーブとし、シグナルはイメージアナライザーBAS2000
(富士写真フイルム社)により検出した。左側にDNA分
子量を示した。各レーンは左から1:K#4-7-1、2:ブ
ランク、3:E14/#4-7を示す。
【0084】(3)尻尾由来繊維芽細胞のG418耐性試験 キメラマウスのうち、E14/#4-7由来の1個体(K#4-7-
1:キメラ率約5%)、E14/#4-4由来の1個体(K#4-4-4
1:キメラ率約5%)について尻尾から以下のように繊維
芽細胞を調製した。DNA調製(実施例4)と同様にキメ
ラマウスの尻尾を5mm〜10mm切断し、PBS/1mM EDTAで数
回洗浄した後、メスで切れ込みをいれて表皮を除去し、
内部の組織をメスで細かく切り刻む。組織細片を5mlのP
BS/1mM EDTAをいれたチューブに移し、30分〜1時間室
温静置する。その後、1mlのPBS/EDTAを残して上清を取
り除き、1mlの0.25%トリプシン/PBSを加え、5〜10分間
室温でタッピングあるいはピペッティングしながら組織
をよくほぐす。1000rpm,10分間遠心し、沈殿を2mlのDME
M(10%FCS)に懸濁し、35mmシャーレに播種する。7〜1
0日の培養後、トリプシン処理により細胞をシャーレか
らはがし、シャーレあたり約104個の細胞を35mmシャー
レ2枚に播種し、うち1枚に終濃度400μg/mlのG418を
加え、5〜7日間培養し、それぞれのシャーレの生細胞
を観察する。この条件で、野生型ICRマウス由来の繊維
芽細胞は、G418存在下でほぼ100%死滅する。この結果、
2個体共G418耐性の繊維芽細胞の存在が認められた。こ
れらの結果より、E14/#4-7、E14/#4-4はマウス個体にお
いて種々の正常組織に貢献し、かつヒト4番染色体部分
断片を保持していることが確認された。
【0085】(実施例9)マウスES細胞へのヒト14番染
色体またはその断片の導入 染色体供与細胞として、(実施例1)で得られたヒト14
番染色体を保持するマウスA9細胞株(以下A9/#14、とい
う)を用いた。染色体受容細胞としてはマウスES細胞株
TT2(ライフテックオリエンタル社より購入、Yagiら,An
alytical Biochem., 214:70, 1993)を用いた。TT2の培
養法は<相沢慎一, バイオマニュアルシリーズ 8, ジー
ンターゲティング, 羊土社, 1995>に記された方法に従
い、栄養細胞はマイトマイシンC(シグマ)処理したG41
8耐性初代培養細胞(ライフテックオリエンタル社より
購入)を用いた。ミクロセル融合実験およびG418耐性株
の選択は(実施例2)と同様に行なった。薬剤耐性株の
出現頻度はTT2細胞107個あたり3〜6個であった。薬剤
耐性株の凍結保存、ゲノムDNA取得は(実施例2)と同様
に行なった。
【0086】ヒト14番染色体の断片化はミクロセルにガ
ンマ線照射することにより行なった(Koiら, Science,
260:361, 1993)。約108個のA9/#14より取得したミクロ
セルを5mlのDMEMに懸濁し、ガンマセル40(前記)によ
り、氷上で30Gyのガンマ線を照射した(1.2Gy/分×25
分)。ガンマ線照射したミクロセルを未照射ミクロセル
と同様に融合、薬剤耐性株選抜を行なった結果、薬剤耐
性株の出現頻度はTT2細胞107個あたり3個であった。薬
剤耐性株については(実施例2)と同様にして凍結保
存、DNA取得を行なった。ガンマ線未照射ミクロセル移
入によるG418耐性株1-4、1-5、ガンマ線(30Gy)照射ミ
クロセル移入によるG418耐性株3-1、3-2計4株における
ヒト14番染色体または部分断片の保持は以下の(1)、
(2)により確認した。
【0087】(1)PCR解析(第10図) 薬剤耐性株ゲノムDNAを鋳型としてヒト14番染色体上に
存在する遺伝子(O'Brien, Genetic Maps,6th edition,
Book 5, Cold Spring Harbor Laboratory Press, 1993
)及び多型性マーカー(Polymorphic STS Primer Pair
BIOS社:D14S43, D14S51, D14S62, D14S65, D14S66, D
14S67, D14S72, D14S75, D14S78, D14S81, PCI ;Nature
359:794, 1992; Nature Genetics, 7:22, 1994)の存
在をPCR法により検出した。GenBank、EMBL等のデータベ
ースより入手した塩基配列をもとに作製した遺伝子プラ
イマーオリゴヌクレオチドの配列を記す。
【0088】NP(nucleoside phosphorylase):5'-ATA
GAGGGTACCCACTCTGG (配列番号31),5'-AACCAGGTAGGTTGAT
ATGG (配列番号32) TCRA(T-cell receptor alpha):5'-AAGTTCCTGTGATGTC
AAGC (配列番号33), 5'-TCATGAGCAGATTAAACCCG (配列番
号34) MYH6(myosin heavy chain cardiac):5'-TGTGAAGGAGG
ACCAGGTGT (配列番号35), 5'-TGTAGGGGTTGACAGTGACA
(配列番号36) IGA2(immunoglobulin alpha-2 constant):5'-CTGAGA
GATGCCTCTGGTGC (配列番号37), 5'-GGCGGTTAGTGGGGTCTT
CA (配列番号38) IGG1(immunoglobulin gamma-1 constant):5'-GGTGTC
GTGGAACTCAGGCG (配列番号39), 5'-CTGGTGCAGGACGGTGAG
GA (配列番号40) IGM(immunoglobulin mu constant):5'-GCATCCTGACCG
TGTCCGAA (配列番号41), 5'-GGGTCAGTAGCAGGTGCCAG (配
列番号42) IGVH3(immunoglobulin heavy variable-3 ):5'-AGTG
AGATAAGCAGTGGATG (配列番号43), 5'-GTTGTGCTACTCCCAT
CACT (配列番号44)
【0089】薬剤耐性株4株のゲノムDNAを鋳型とし
て、上記の18種のプライマーについて(実施例2)同様
にPCR増幅を行なった結果、全て、あるいは一部のプラ
イマーについて期待される増幅産物が確認された。ガン
マ線照射したミクロセルを用いて得られた薬剤耐性株3-
1、3-2は、14番染色体の一部領域を欠失している傾向が
認められた。また、未照射ミクロセルを用いた場合でも
1-4株のごとく欠失がみられるものもあった。以上の結
果を第10図に示す。第10図において、左側にヒト14番染
色体のGバンド像に基づく模式的な染色体地図、また、
位置が明らかになっているいくつかのマーカーについて
はどのバンドに位置するかを示した(実施例2参照)。
遺伝子及び多型性マーカーの並び方は、現在までに入手
出来る情報(実施例2参照)を基に、大まかな位置関係
を示したもので、順序は必ずしも正確ではない。4種の
G418耐性TT2細胞株について、PCRにより期待される増幅
産物が検出されたマーカーは■で、検出されなかったマ
ーカーを□で示した。A9/#14 は染色体供与細胞であ
る。右端には実施例11(1)の結果が示されている。
【0090】(2)フルオレッセンスインサイチューハ
イブリダイゼーション(FISH) FISH解析は(松原ら, FISH実験プロトコール、秀潤社、
1994)に記された方法に従い、ヒト14番染色体特異的プ
ローブ(CHROMOSOME PAINTING SYSTEM, Cambio社)を用
いて行なった。その結果、4株すべてについてほとんど
の分裂像に、ヒト14番染色体あるいはその部分断片が、
独立した染色体として観察された。観察されるヒト染色
体の相対的な大きさは、PCR解析の結果から推測される
それと一致していた。以上の実験により、得られたG418
耐性株1-4、1-5、3-1、3-2はヒト14番染色体の全てある
いはその部分断片を保持することが確かめられた。
【0091】(実施例10)ヒト14番染色体断片を保持す
るES細胞からのキメラマウス作製 (実施例9)で得られ、ヒト14番染色体を保持している
ことが確認されたG418耐性ES細胞株4株(1-4、3-1、3-
2、1-5)を凍結ストックより立ち上げ、 ICRあるいはMC
H(ICR)(日本クレア社)雄雌マウスの交配により得られ
た8細胞期胚に胚あたり8〜10個注入した。ES培地
(実施例9)で一晩培養して胚盤胞に発生させた後、偽
妊娠処理後2.5日の仮親ICRマウス(日本クレア社)の子
宮に片側の子宮あたり約10個のインジェクション胚を移
植した。その結果を(第3表)に示す。
【0092】
【表3】
【0093】計494個の注入胚を移植した結果、64匹の
子マウスが誕生した。キメラ個体は、毛色において宿主
胚(ICR)由来の白色の中にTT2細胞由来の野生色(濃
茶)が認められるかどうかにより判定される。誕生した
64匹のうち毛色に明らかに野生色の部分のある、すなわ
ち、ES細胞の貢献の認められる個体は8匹であった。ま
た、最高の貢献率は1-4由来の1個体における約80%であ
った。この結果より、ヒト14番染色体またはその断片を
保持するG418耐性ES細胞株(1-4、1-5、3-1、3-2)はキ
メラ形成能を保持している、すなわちマウス個体の正常
組織に分化する能力を保持していることが確認された。
【0094】(実施例11)ヒト14番染色体断片を保持す
るES細胞由来キメラマウスにおけるヒト14番染色体断片
の保持確認 (実施例10)で得られたキメラマウスにおけるヒト14番
染色体部分断片の保持は以下の(1)〜(3)により確
認した。 (1)各種組織由来DNAを用いたPCR解析 キメラマウスのうち3-1由来の1個体(K3-1-1:キメラ
率約25%)について(実施例4)と同様に尻尾よりゲノム
DNAを調製した。それを鋳型とし、(実施例9)で示し
た14番染色体解析用プライマーのうち3-1で検出された1
4種全てについてPCR解析を行なった。その結果、14種す
べてについて期待される増幅産物が検出された(第10
図)。
【0095】さらに、同じ個体(K3-1-1)について脳、
腎臓、脾臓、心臓、肝臓、胸腺からPuregene DNA Isola
tion KitによりゲノムDNAを取得し、それぞれの組織に
ついて、IGMプライマー(実施例9)を用いたPCR解析を
行なった。その結果全ての組織において期待される増幅
産物が確認された(第11図)。PCR産物は2%アガロース
ゲルにて電気泳動した後、臭化エチジウム染色して検出
した。第11図において、各レーンは左からB:脳、K:腎
臓、Sp:脾臓、H:心臓、L:肝臓、Th:胸腺、pc:ヒト
繊維芽細胞(HFL-1)DNA (陽性コントロール) 、nc:非
キメラマウス尻尾DNA (陰性コントロール) 、M:マーカ
ー(HindIII消化λDNA+HaeIII消化φX174DNA,宝酒造)
を示す。
【0096】(2)尻尾由来繊維芽細胞のG418耐性試験 キメラマウスのうち、3-2由来の2個体(K3-2-1:キメラ
率約25%,K3-2-3:キメラ率約50%)、1-4由来の1個体(K
1-4-1:キメラ率約80%)について尻尾から以下のように
繊維芽細胞を調製した。DNA調製(実施例4)と同様に3
〜6週令のキメラマウスの尻尾を5mm〜10mm切断し、PBS/
1mM EDTAで数回洗浄した後、メスで切れ込みをいれて表
皮を除去し、内部の組織をメスで細かく切り刻む。組織
細片を5mlのPBS/1mM EDTAをいれたチューブに移し、30
分〜1時間室温静置する。その後、1mlのPBS/EDTAを残
して上清を取り除き、1mlの0.25%トリプシン/PBSを加
え、5〜10分間室温でタッピングあるいはピペッティン
グしながら組織をよくほぐす。1000rpm,10分間遠心し、
沈殿を2mlのDMEM(10%FCS)に懸濁し、35mmシャーレに
播種する。7〜10日の培養後、トリプシン処理により細
胞をシャーレからはがし、シャーレあたり約104個の細
胞を35mmシャーレ4枚に播種し、うち2枚に400μg/mlの
G418を加え、5〜7日間培養し、それぞれのシャーレの
生胞数をカウントする。この条件で、野生型ICRマウス
由来の繊維芽細胞は、G418存在下でほぼ100%死滅する。
非選択培地での生細胞数に対する選択培地での生細胞数
の割合は、G418耐性繊維芽細胞の増殖速度が2つの条件
で同等であると仮定すれば、G418耐性ES細胞株由来繊維
芽細胞の繊維芽細胞集団における貢献率を反映している
と考えられる。この結果、(第12図)に示した通り、3
個体共G418耐性の繊維芽細胞の存在が認められた。第1
2図において、耐性率はそれぞれの個体について2組の
選択/非選択35mmシャーレから得られた値を平均した。
ICR は野生型ICRマウスを示す。
【0097】(3)尻尾由来G418耐性繊維芽細胞のFISH
解析 (実施例2)と同様な方法で、上記(2)で得られたG418
耐性繊維芽細胞(K3-2-3,K1-4-1由来)のFISH解析を行
なった。プローブはHFL-1細胞(実施例1)より抽出した
ヒト全DNAをFITC標識した(松原ら, FISH実験プロトコ
ール, 秀潤社, 1994)ものを用いた。その結果、2個体
共、ほとんどの分裂像に独立したヒト染色部分断片が観
察された。これらの結果より、ヒト14番染色体部分断片
を保持したTT2細胞株はマウス個体において種々の正常
組織に貢献し、かつヒト14番染色体部分断片を保持して
いることが確かめられた。
【0098】(実施例12)ヒト2番染色体部分断片のES
細胞への導入 染色体供与細胞として、(実施例1)で得られたヒト2
番染色体部分断片を保持するマウスA9細胞W23(以下A9/
#2 W23、という)を用いた。染色体受容細胞としてはマ
ウスES細胞株TT2(実施例9)を用いた。ミクロセル融
合実験およびG418耐性株の選択は(実施例2)と同様に
行なった。薬剤耐性株の出現頻度はTT2細胞107個あた
り1〜3個であった。薬剤耐性株の凍結保存、ゲノムDN
A取得は(実施例2)と同様に行なった。薬剤耐性株5-
1、5-2、5-3におけるヒト2番染色体部分断片の保持は以
下の(1)、(2)により確認した。
【0099】(1)PCR解析 薬剤耐性株ゲノムDNAを鋳型としてヒト2番染色体上に存
在する遺伝子(Genetic Maps,前記)のうち、染色体供
与細胞A9/#2 W23において検出されたCκ、FABP1の存在
をPCR法により検出した。各プライマーについてPCR増幅
を行なった結果、3株共に、両方のプライマーについて
期待される増幅産物が確認された。
【0100】(2)フルオレッセンスin situハイブリ
ダイゼーション(FISH) FISH解析は(実施例2)と同様な方法で、ヒト2番染色
体特異的プローブ(CHROMOSOME PAINTING SYSTEM, Camb
io社)を用いて行なった。その結果、3株すべてのほと
んどの分裂像において、ヒト2番染色体部分断片が独立
した染色体として検出された。その大きさはA9/#2 W23
で観察されたものと同等であった。以上の実験により、
得られたG418耐性株はヒト2番染色体部分断片を保持す
ることが確かめられた。
【0101】(実施例13)ヒト2番染色体断片を保持す
るES細胞からのキメラマウス作製 (実施例12)で得られ、ヒト2番染色体部分断片を保持
していることが確認されたG418耐性ES細胞株5-1を凍結
ストックより立ち上げ、 ICRあるいはMCH(ICR)(日本ク
レア社)雄雌マウスの交配により得られた8細胞期胚に
胚あたり10〜12個注入した。ES培地(実施例9)で一
晩培養して胚盤胞に発生させた後、偽妊娠処理後2.5日
の仮親ICRマウス(日本クレア社)の子宮に片側の子宮
あたり約10個のインジェクション胚を移植した。キメラ
作製の結果を(第4表)に示す。
【0102】
【表4】
【0103】計264個の注入胚を移植した結果、51匹の
子マウスが誕生した。キメラ個体は、毛色において宿主
胚(ICR)由来の白色の中にTT2細胞由来の野生色(濃
茶)が認められるかどうかにより判定される。誕生した
51匹のうち毛色に明らかに野生色の部分のある、すなわ
ち、ES細胞の貢献の認められる個体は18匹であった。ま
た、最高の貢献率は約80%であった。この結果より、ヒ
ト2番染色体部分断片を保持するG418耐性ES細胞(5-
1)はキメラ形成能を保持している、すなわちマウス個
体の正常組織に分化する能力を保持していることが確認
された。
【0104】(実施例14)ヒト14番染色体断片導入キメ
ラマウス血清におけるヒト抗体重鎖の検出 血清中のヒト抗体濃度をエンザイムリンクドイムノソル
ベントアッセイ(ELISA)を用いて測定した。ELISA は以
下に記載されている方法に従った。富山・安東、単クロ
ーン抗体実験マニュアル、講談社、1987; 安東・千葉、
単クローン抗体実験操作入門、講談社、1991; 石川、超
高感度酵素免疫測定法、学会出版センター、1993; Ed
Harlow and David Lane, Antibodies A Laboratory Man
ual, Cold Spring Harbor Laboratory, 1988; A. Doyle
and J.B. Griffiths, Cell & Tissue Culture: Labora
tory Procedures, John Wiley & Sons Ltd., 1996 。こ
れらの文献に記載の方法を参考にして、測定系によって
は反応時間や温度を4 ℃で終夜行うなどの改良を行っ
た。測定しようとするヒト免疫グロブリンに対する抗体
あるいは抗原を、0.5 から10μg/ml程度に(100から5000
倍) に希釈し、ELISAプレートを4 ℃で一晩コーティン
グした。血清試料の測定では、ブロッキング、試料およ
び標識抗体の希釈に5%マウス血清 (シグマ、M5905)を添
加したPBSを、ハイブリドーマ培養上清の測定には1%牛
胎児血清を添加したPBSを用いた。20倍にキメラマウス
血清を希釈する場合にはPBSを用いて希釈した。コーテ
ィングしたプレートを洗浄した後、ブロッキングを1時
間以上行った。プレートを洗浄後、試料を加え30分以上
インキュベートした。プレート洗浄後100 から5000倍に
希釈した酵素標識抗ヒト免疫グロブリン抗体を加えて、
1時間以上インキュベートした後、プレートを洗浄し基
質液を加えて発色させた。また測定系によって、基本的
には同じ操作で、ビオチン標識した抗体を用い、プレー
ト洗浄後これにアビジン−酵素複合体を加えてインキュ
ベートした後洗浄し基質液を加えた。マイクロプレート
リーダー(バイオテック、EL312e) で吸光度を測定し
た。
【0105】生後29日から35日のキメラマウス(実施例
10、K3-1-2, K3-2-2, K3-2-3)より採血しELISAで解析
した。50mMの炭酸−炭酸水素バッファーpH9.6で希釈し
た抗ヒトIgMマウスモノクローナル抗体(シグマ,I638
5)を96穴マイクロタイタープレートにコーティング
し、マウス血清(シグマ、M5905)を加えたPBSで希釈し
た血清試料を加えた。次いでペルオキシダーゼ標識抗ヒ
トIgMヤギ抗体(Tago,2392)を加えてインキュベートし
た後、ABTS基質(Kirkegaard & Perry LaboratoriesIn
c., 506200)の添加により酵素活性を405nmの吸光度で
評価した。精製されたヒトIgM抗体(オルガノン・テク
ニカ, 6001-1590 )またはヒトIgG抗体 (シグマ, I450
6)を標準とした。標準はマウス血清を添加したPBSで段
階的に希釈した。またヒトIgG測定には抗ヒトIgGヤギ抗
体(シグマ, I3382)をプレートに固定し、ペルオキシ
ダーゼ標識抗ヒトIgGヤギ抗体(シグマ, A0170)で検出
した。その結果を(第5表)に示す。ヒトIgMとIgGは共
に検出された。
【0106】また生後27日、34日、41日の3回にわたり
ヒト14番染色体断片を保持したキメラマウス(実施例1
0、K3-1-1, K3-2-1)に、PBSに溶解したヒト血清アルブ
ミン(HSA,シグマ,A3782)2mlをアジュバント(MPL+TDM
Emulsion, RIBI ImmunochemReseach Inc.)と混合しそ
の0.25mg/ml を0.2 mlを免疫した。このキメラマウス血
清も同様にELISAによって解析した。その結果を(第13
図、第14図)に示す。結果は、HSAで免疫したキメラマ
ウス血清中のヒト抗体濃度は免疫後上昇し、個体K3-1-1
ではヒトIgM18μg/mlとIgG2.6μg/mlが免疫後17日目の
血清中に検出された。ヒト染色体を導入していないマウ
スの血清ではヒト抗体の力価は有意ではなかった。
【0107】
【表5】
【0108】(実施例15)ヒト14番染色体導入キメラマ
ウスからのヒト抗体重鎖産生ハイブリドーマ取得 (実施例14)においてヒトアルブミンで免疫したキメラ
マウス(K3-1-1, 実施例14) から生後44日目に脾臓を取
り出し、ミエローマ細胞と細胞融合し、ハイブリドーマ
を作製した。ハイブリドーマの作製法は〈安東、単クロ
ーン抗体実験操作入門、講談社サイエンティフィク, 19
91〉に記された方法に従い、ミエローマ細胞としては、
P3X63-Ag.8.653(大日本製薬より購入、05-565)を使用
した。96穴プレート10枚にまき込み、1週間培養後培養
上清をELISA法で解析した。ELISA法は抗ヒトIgMマウス
モノクローナル抗体(シグマ、I6385)をプレートに固
定化して実施例14と同様に行ない、陽性のクローンを6
個得た。またHSAを抗原とし50mMの炭酸−炭酸水素バッ
ファーpH9.6で濃度5μg/mlの溶液とし、ELISAプレート
の全ウエルに100μlづつ分注した。ペルオキシダーゼで
標識した抗ヒトIgA+IgG+IgMヤギ抗体(Kirkegaard & Pe
rry Laboratories Inc., 04-10-17)を用いて検出し
た。プレート10枚中陽性のクローンを1つ確認した。こ
のクローンは6個のヒトIgM陽性クローンのうちの1つ
であった。このクローン(H4B7)をさらに培養し、培養
上清を希釈しHSAを抗原として上述のようにペルオキシ
ダーゼ標識抗ヒトIgMヤギ抗体(Tago,2392)を用いてEL
ISAを行なったところ、培養上清の希釈率の増加にとも
なって吸光度の減少が認められた。一方ヒトIgM(オル
ガノン・テクニカ, 6001-1590)を培地によって2μg/ml
に希釈した試料では希釈率によらず吸光度は低かった。
これはハイブリドーマH4B7が生産する抗体がHSAに特異
性のある抗体であることを示唆するものである(第15
図)。第15図において、横軸は培養上清試料の希釈率を
縦軸は405nmにおける吸光度を示した。
【0109】(実施例16)G418耐性マーキングされたヒ
ト2番染色体断片のピューロマイシン耐性による再マー
キング G418耐性で標識されたヒト2番染色体断片を保持するA9
細胞(W23)( 実施例1、第1図参照) を100mmシャーレで
G418(800μg/ml)を含む選択培地(10%FBS、DMEM)で
培養した。ピューロマイシン耐性遺伝子を含むプラスミ
ドpPGKPuro(WHITEHEAD INSTITUTE,Dr.Peter W.Lairdか
ら分与)をトランスフェクション前に制限酵素SalI(宝
酒造)で線状化した。細胞をトリプシン処理し、5x106
個/mlとなるようにダルベッコのリン酸バッファー(PB
S)に懸濁してから10μgDNA存在下でジーンパルサー
(バイオラッド)を用いてエレクトロポレーション(実
施例1参照)を行なった。25μFの容量で1000Vの電圧を
4mm長のエレクトロポレーションセル (実施例1) を用
いて室温で印加した。エレクトロポレーションした細胞
を100mmシャーレ3〜6枚に播種した。1日後に10μg/m
lのピューロマイシン(シグマ,P-7255)およびG418(80
0μg/ml)を含む二重選択培地と置き換えた。2〜3週間
後に生じたコロニー200個程度を一つの集団としてまと
めた。この細胞を3つの集団についてそれぞれ25cm2フラ
スコ2〜3本中で培養し、ミクロセルを形成させ25cm2
フラスコで培養したマウスA9細胞と実施例1と同様に融
合した。100mmシャーレ2枚に移しG418とピューロマイシ
ンを含む上記の二重選択培地で培養し、3つの集団のう
ち1つの集団から2つの二重薬剤耐性クローンが得られ
た。このクローンではヒト2番染色体断片にピューロマ
イシン耐性マーカーが導入された可能性が高い。
【0110】(実施例17)ヒト染色体導入ES細胞におけ
る導入ヒト染色体倍加 G418耐性遺伝子でマーキングされたヒト14番染色体断片
を保持するES細胞株(E14/#14-36)を、高濃度のG418を
添加した培地中で培養することにより、ヒト染色体が倍
化したES細胞のクローンを取得した(バイオマニュアル
シリーズ8、ジーンターゲティング、羊土社、1995)。G
418耐性マウス初代細胞(ライフテックオリエンタルよ
り購入)をマイトマイシン処理することなく100mmシャ
ーレに播種し栄養細胞とした。この100mmシャーレにE14
/#14-36を播種し、半日後G418濃度16mg/mlの培地と交
換した。1〜2日毎に培地交換し1週間後にG418濃度を1
0mg/mlとして培養を続け、生じたコロニーの中から15
個を取り出し培養し、染色体をヒト14番特異的プローブ
(実施例9参照)を用いてFISH解析した。結果として8
クローンでヒト14番染色体断片が倍化していた。
【0111】(実施例18)ヒト2番染色体部分断片及び1
4番染色体部分断片を同時に保持するマウスES細胞株の
取得 (実施例16)において取得した二重薬剤耐性クローンの
うちPG1をミクロセル供与細胞、野性型A9細胞を受容細
胞としたミクロセル移入実験により、PG1が保持するヒ
ト2番染色体部分断片がさらにピューロマイシン耐性遺
伝子によりマーキングされていることを確認した。ミク
ロセル取得及びA9細胞との融合は(実施例1)と同様に
行なった。その結果、ミクロセル融合10日後に計59個の
G418耐性コロニーが出現した。これらのコロニーについ
て8μg/mlのピューロマイシンを含む培地に交換後、さ
らに3日間培養したところ、45個(76%)のコロニーが生
存した。ミクロセル法においては、1つの受容細胞に、
多くの場合1本あるいは少数の染色体のみが移入される
ことから、両耐性遺伝子が高率に同時に移入されること
は、すなわち、PG1が保持するG418耐性標識されたヒト2
番染色体部分断片がピューロマイシン耐性遺伝子により
マーキングされていることを示している。さらに、ヒト
2番染色体部分断片上の各マーカー遺伝子検出のため、A
9/#2 W23(G418耐性のみ:実施例16)についてはpSTneo
B(実施例1)、PG1についてはpPGKPuro(実施例16)を
プローブとしたFISH解析を行なった(松原ら, FISH実験
プロトコール, 秀潤社, 1994)。その結果、A9/#2 W23
では(実施例12)で確認されたヒト2番染色体部分断片
のそれぞれの姉妹染色分体上に1個づつ、計2個のシグナ
ルが観察された。これは、ヒト2番染色体部分断片上の1
箇所にpSTneoBが挿入されていることを示す。また、PG1
では同等の大きさの染色体断片上に計4個のシグナルが
観察された。pSTneoBとpPGKPuroはベクター部分で相同
の配列を持つので、pPGKPuroプローブではpSTneoBも検
出される。すなわち、PG1で観察された4個のシグナルの
うち、2個はpSTneoB、一方の2個はpPGKPuro由来のシグ
ナルと考えられる。この結果より、PG1が保持するヒト2
番染色体部分断片は、G418耐性、ピューロマイシン耐性
両者によりマーキングされていることが確認された。
【0112】ヒト2番染色体部分断片、14番染色体部分
断片を同時に保持するマウスES細胞取得のため、染色体
供与細胞としてこのPG1細胞株を用いた。染色体受容細
胞としてはすでにヒト14番染色体部分断片を保持してい
るG418耐性TT2細胞株1-4(実施例9)を用いた。ミクロ
セル融合実験およびピューロマイシン耐性株の選択は0.
75μg/mlのピューロマイシン濃度で他は(実施例9)のG
418耐性株選択の場合と同様に行なった。この結果出現
したピューロマイシン耐性株の出現頻度は1-4細胞107
あたり3〜7個であった。これらのピューロマイシン耐性
株は300μg/mlのG418存在下でも増殖することからG418
耐性も同時に保持していることが確認された。二重薬剤
耐性株の凍結保存、ゲノムDNA取得は(実施例2)と同様
に行なった。ヒト2番染色体部分断片及び、ヒト14番染
色体部分断片の保持は二重薬剤耐性株PG5、PG15、PG16
については以下の(1)により、PG15についてはさらに
(2)により確認した。
【0113】(1)PCR解析 二重薬剤耐性株ゲノムDNAを鋳型としてヒト2番、14番染
色体上に存在する遺伝子(Genetic Maps,前記)のう
ち、2番染色体については(実施例12;A9/#2 W23)、14
番染色体については(実施例9;TT2/#14 1-4)で存在が
確認されている各プライマーについてPCR増幅を行なっ
た結果、3株共に、全てのプライマーについて期待され
る増幅産物が確認された。
【0114】(2)フルオレッセンスin situハイブリダ
イゼーション(FISH) FISH解析は(実施例11)と同様に、ヒト全DNAをFITC標
識したものをプローブとして用いて行なった。その結
果、ほとんどの分裂像において、大小2つのヒト染色体
断片が確認された。大きい方は(実施例9;TT2/#14 1-
4)でヒト14番染色体特異的プローブにより確認された
部分断片と、小さい方は(実施例12;TT2/#25-1)でヒ
ト2番染色体特異的プローブにより確認された部分断片
と同等の大きさであった。(第16図)にその結果を示
す。図中輝度の低い染色体はマウス由来のもの、FITCの
蛍光により輝度の高い大小2つの染色体断片(矢印にて
指示)はヒト由来のものであり、それぞれヒト14番、2
番染色体部分断片と考えられる。以上の実験により、得
られた二重耐性ES細胞株はヒト2番染色体部分断片、14
番染色体部分断片を同時に保持することが確かめられ
た。
【0115】(実施例19)ヒト2番染色体部分断片及び1
4番染色体部分断片を同時に保持するマウスES細胞株か
らのキメラマウス作製 (実施例18)で得られ、ヒト2番染色体部分断片及び14
番染色体部分断片を保持していることが確認されたG41
8、ピューロマイシン二重耐性TT2細胞株PG5、PG15、PG1
6を凍結ストックより立ち上げ、 ICRまたはMCH(ICR)
(日本クレア社)雄雌マウスの交配により得られた8細
胞期胚に胚あたり10〜12個注入した。ES細胞用培地(実
施例9)で一晩培養して胚盤胞に発生させた後、偽妊娠
処理後2.5日の仮親ICRマウス(日本クレア社)の子宮に
片側の子宮あたり約10個のインジェクション胚を移植し
た。キメラ作製の結果を(第6表)に示す。
【0116】
【表6】
【0117】計551個の注入胚を移植した結果、73匹の
子マウスが誕生した。キメラ個体は、毛色において宿主
胚(ICR)由来の白色の中にTT2細胞由来の野生色(濃
茶)が認められるかどうかにより判定される。誕生した
73匹のうち毛色に明らかに野生色の部分のある、すなわ
ち、ES細胞の貢献の認められる個体は23匹であった。こ
の結果より、ヒト2番染色体部分断片及び14番染色体部
分断片を保持するES細胞株(PG5、PG15、PG16)はキメ
ラ形成能を保持している、すなわちマウス個体の正常組
織に分化する能力を保持していることが確認された。
【0118】(実施例20)ヒト2番染色体部分断片及び1
4番染色体部分断片を同時に保持するES細胞由来キメラ
マウス血清におけるヒト抗体の検出 (実施例19)で作製したキメラマウスのうち、KPG-15
(9週齢;PG5由来、キメラ率10%)、KPG-18(5週齢;PG
5由来、キメラ率10%)の2匹に対して、PBSに溶解したヒ
ト血清アルブミン(HSA、シグマ、A3782)とアジュバン
ト(MPL+TDM Emulsion、RIBI Immunochem Reseach In
c.)とを混合して0.25mg/mlのHSA溶液を調整し0.2mlを
免疫した。免疫直前、及び8日後のキメラマウスより採
血し、血清中のヒト抗体μ鎖およびヒト抗体κ鎖をELIS
A法を用いて検出した (実施例14参照)。50mMの炭酸ー炭
酸水素バッファーpH9.6で希釈した抗ヒト抗体κ鎖ヤギ
抗体(VECTOR LABORATORIES,INC.、AI-3060)を96穴マ
イクロタイタープレートにコーティングし、血清試料を
加え、次いでビオチン標識抗ヒト抗体κ鎖ヤギ抗体(VE
CTOR LABORATORIES,INC.、BA-3060)を加えてインキュ
ベートしさらにビオチン化ワサビペルオキシダーゼとア
ビジンDHの複合体(VECTOR LABORATORIES,INC.、Vectas
tain ABCキットPK4000)を加えてインキュベートした
後、ペルオキシダーゼ基質として3,3',5,5'-テトラメチ
ルベンチジン(TMBZ、住友ベークライト、ML-1120T)の
添加により酵素活性を450nmの吸光度で評価した。精製
されたκ鎖を持つ濃度既知のヒトIgG(シグマ、I-388
9)を標準としマウス血清を添加したPBSで段階的に希釈
した。μ鎖については50mMの炭酸−炭酸水素バッファー
pH9.6で希釈した抗ヒトμ鎖マウスモノクローナル抗体
(シグマ、I-6385)を96穴マイクロタイタープレートに
コーティングし、血清試料を加え、次いでペルオキシダ
ーゼ標識抗ヒトμ鎖マウス抗体(The Binding Site Lim
ited、 MP008)を加えてインキュベートした後、TMBZ
(住友ベークライト、ML-1120T)の添加により酵素活性
を450nmの吸光度で評価した。精製されたμ鎖を持つ濃
度既知のヒトIgM(オルガノン・テクニカ、6001-1590)
を標準としマウス血清(シグマ、M5905)を添加したPBS
で段階的に希釈した。その結果、2個体とも免疫前にお
いてヒト抗体μ鎖、κ鎖両者が検出され、その血清中濃
度は、免疫後上昇した(第7表、第8表)。
【0119】
【表7】
【0120】
【表8】
【0121】この結果より、ヒト2番染色体部分断片及
び14番染色体部分断片を保持するES細胞由来キメラマ
ウスにおいてヒト抗体重鎖、軽鎖遺伝子は機能すること
が確認された。
【0122】(実施例21)ヒト14番染色体断片導入キ
メラマウス血清における抗HSAヒト抗体γ鎖の検出 (実施例10)と同様にして作製したヒト14番染色体断片
を保持したキメラマウス(K9、K11;共にTT2細胞株3-2
由来、キメラ率はそれぞれ50%、30%)に対して、生後79
日、93日、107日、133日の4回(K9)、または生後74
日、88日、111日(K11)の3回にわたり(実施例20)と
同様にHSAを免疫した。このキメラマウス血清中のヒト
血清アルブミンに対するヒトγ鎖を含む抗体をELISA法
によって検出した (実施例14参照) 。50mMの炭酸ー炭酸
水素バッファーpH9.6で希釈したHSA(シグマ、A 3782)
を96穴マイクロタイタープレートにコーティングし、試
料を加え、次いでペルオキシダーゼ標識抗ヒトIgGマウ
ス抗体(ファーミンジェン、08007E)を加えてインキュ
ベートした後、ペルオキシダーゼ基質としてOーフェニ
レンジアミン(OPD、住友ベークライト、ML-1130O)の
添加により酵素活性を490nmの吸光度で評価した。HSAで
免疫したキメラマウス血清中の抗HSAヒトIgGの力価は免
疫後上昇した。対照ICRマウスでは、HSA免疫後の抗HSA
ヒトIgGの力価はバックグランドレベルであった。結果
を(第17図)に示した。第17図において横軸はキメラマ
ウスにHSAを免疫してからの日数を、縦軸は490nmにおけ
る吸光度を示した。この結果より、ヒト14番染色体部分
断片を保持するキメラマウスにおいて、HSA抗原刺激に
対して抗原特異的ヒトIgGの抗体価上昇が起こることが
確認された。
【0123】(実施例22)ヒト22番染色体断片導入キメ
ラマウス血清におけるヒト抗体λ鎖の検出 9ヶ月齢のキメラマウス(実施例3、K22-7;キメラ率10
%)より採血し、血清中のヒト抗体λ鎖をELISA法を用い
て検出した (実施例14参照) 。50mMの炭酸−炭酸水素バ
ッファーpH9.6で希釈した抗ヒト抗体λ鎖ヤギ抗体(VEC
TOR LABORATORIES,INC.、AI-3070)を96穴マイクロタイ
タープレートにコーティングし、血清試料を加え、次い
でビオチン標識抗ヒト抗体λ鎖ヤギ抗体(VECTOR LABOR
ATORIES,INC.、BA-3070)を加えてインキュベートしさ
らにビオチン化ワサビペルオキシダーゼとアビジンDHと
の複合体(VECTOR LABORATORIES,INC.、Vectastain ABC
キットPK4000)を加えてインキュベートした後、ペルオ
キシダーゼ基質としてTMBZ(住友ベークライト、ML-112
0T)の添加により酵素活性を450nmの吸光度で評価し
た。精製されたλ鎖を持つ濃度既知のヒトIgG(シグ
マ、I-4014)を標準としマウス血清を添加したPBSで段
階的に希釈した。180ng/mlのヒトIgGに相当する濃度の
ヒト抗体λ鎖がキメラマウス中に検出された。この結果
より、ヒト22番染色体を保持するキメラマウスにおいて
ヒト抗体λ鎖遺伝子が機能することが確認された。
【0124】(実施例23)ヒト2番染色体断片導入キメ
ラマウス血清におけるヒト抗体κ鎖の検出 5週齢のキメラマウス(実施例13、K2-8、キメラ率は70
%)および9週齢のキメラマウス(実施例13、K2-3、K2-
4、 K2-12、キメラ率はそれぞれ50%、20%、80%)より採
血し、血清中のヒト抗体κ鎖をELISA法を用いて検出し
た (実施例14)。50mMの炭酸ー炭酸水素バッファーpH9.6
で希釈した抗ヒト抗体κ鎖ヤギ抗体(VECTOR LABORATOR
IES,INC.、AI-3060)を96穴マイクロタイタープレート
にコーティングし、血清試料を加え、次いでビオチン標
識抗ヒト抗体κ鎖ヤギ抗体(VECTOR LABORATORIES,IN
C.、BA-3060)を加えてインキュベートしさらにビオチ
ン化ワサビペルオキシダーゼとアビジンDHの複合体(VE
CTOR LABORATORIES,INC.、Vectastain ABCキット)を加
えてインキュベートした後、TMBZ(住友ベークライト、
ML-1120T)の添加により酵素活性を450nmの吸光度で評
価した。精製されたκ鎖を持つ濃度既知のヒトIgG(シ
グマ、I-3889)を標準としマウス血清を添加したPBSで
段階的に希釈した。結果を(第9表)に示した。
【0125】
【表9】
【0126】またヒト2番染色体断片を保持したキメラ
マウス(実施例13、K2-3、およびK2-4)に生後66日、80
日、102日の3回にわたり(実施例20)と同様にHSAを免
疫した。またキメラマウス(K2-12)に生後63日、77
日、91日、116日の4回にわたり、このキメラマウス血清
中のHSAに対するヒト抗体κ鎖をELISA法によって検出し
た(実施例14参照) 。50mMの炭酸ー炭酸水素バッファーp
H9.6で希釈したHSA(シグマ、A 3782)を96穴マイクロ
タイタープレートにコーティングし、試料を加え、次い
でビオチン標識抗ヒト抗体κ鎖ヤギ抗体(VECTOR LABOR
ATORIES,INC.、BA-3060)を加えてインキュベートしさ
らにビオチン化ワサビペルオキシダーゼとアビジンDHの
複合体(VECTOR LABORATORIES,INC.、Vectastain ABCキ
ット)を加えてインキュベートした後、ペルオキシダー
ゼ基質としてOPD(住友ベークライト、ML-1130O)の添
加により酵素活性を490nmの吸光度で評価した。HSAで免
疫したキメラマウス血清中の抗HSAヒトκ鎖の力価は免
疫後上昇した。一方対照ICRマウスでは、HSA免疫後の抗
HSAヒト抗体κ鎖の力価はバックグランドレベルであっ
た。結果を(第18図)に示した。第18図において横軸は
キメラマウスにHSAを初めて免疫してからの日数を、縦
軸は490nmにおける吸光度を示した。これらの結果よ
り、ヒト2番染色体部分断片を保持するキメラマウスに
おいてヒト抗体κ鎖遺伝子が機能し、さらにはHSA抗原
刺激に対して抗原特異的ヒトIgκの抗体価上昇が起こる
ことが確認された。
【0127】(実施例24)ヒト14番染色体導入キメラマ
ウスからのヒト抗体重鎖(μ鎖もしくはγ鎖)産生ハイ
ブリドーマ取得 (実施例21)においてHSAで免疫したキメラマウスK9か
ら生後136日目に脾臓を取り出し、ミエローマ細胞と細
胞融合し、ハイブリドーマを作製した。ハイブリドーマ
の作製法は〈安東・千葉、単クローン抗体実験操作入
門、講談社サイエンティフィク, 1991〉に記された方法
に従い、ミエローマ細胞としては、Sp-2/O-Ag14(大日
本製薬、05-554)を使用した。培養液にORIGEN Hybrido
ma Cloning Factor(HCF、ボクスイ・ブラウン)を10%
添加し96穴プレート8枚にまき込み、3日後に培養液中に
G418を1mg/ml添加した。1〜3週間培養後の培養上清をEL
ISA法で解析した (実施例14参照) 。μ鎖は50mMの炭酸
ー炭酸水素バッファーpH9.6で希釈した抗ヒトμ鎖マウ
スモノクローナル抗体(シグマ、I-6385)を96穴マイク
ロタイタープレートにコーティングし、PBSで希釈した
試料を加え、次いでペルオキシダーゼ標識抗ヒトμ鎖マ
ウス抗体(The Binding Site Limited、MP008)を加え
てインキュベートした後、基質として2,2ーアジノジー
(3ーエチルベンズチアゾリン-6-スルホン酸)ジアンモ
ニウム塩(ABTS、Kirkegaard&Perry Laboratories In
c.、04-10-17)を用いて検出し7個の陽性ウェルを得
た。γ鎖については抗ヒトγ鎖マウスモノクローナル抗
体(シグマ、I-6260)を96穴マイクロタイタープレート
にコーティングし、PBSで希釈した試料を加え、次いで
ペルオキシダーゼ標識抗ヒトγ鎖マウス抗体(ファーミ
ンジェン、 08007E)を加えてインキュベートした後、A
BTS(Kirkegaard & Perry Laboratories Inc.、04-10-1
7)を用いて検出し2個のヒト抗体γ鎖陽性ウェルを得
た。
【0128】(実施例25)ヒト2 番染色体導入キメラマ
ウスからのヒト抗体軽鎖産生ハイブリドーマ取得 (実施例23)においてHSAで免疫したキメラマウスK2-3
から生後105日目に脾臓を取り出し、ミエローマ細胞と
細胞融合し、ハイブリドーマを作製した。ハイブリドー
マの作製法は〈安東・千葉、単クローン抗体実験操作入
門、講談社サイエンティフィク, 1991〉に記された方法
に従い、ミエローマ細胞としては、P3X63Ag8.653(大日
本製薬、05-565)を使用した。培養液にHCF(ボクスイ
・ブラウン)を10%添加し96穴プレート10枚にまき込
み、3日後培養液中にG418を1mg/ml添加し、1〜3週間培
養しコロニーが出現したウェルの培養上清をELISA法で
解析した。ELISA法は(実施例23)と同様に行ない、ヒ
ト抗体κ鎖陽性のクローンを2個得た。
【0129】(実施例26)G418耐性マーキングされたヒ
ト22番染色体のピューロマイシン耐性による再マーキン
グ G418耐性で標識されたヒト22番染色体を保持するA9細胞
(A9/#22γ2;実施例1で取得)について、(実施例16)
と同様な方法でヒト22番染色体のピューロマイシン耐性
による再マーキングを行った。γ2細胞にpPGKPuroをエ
レクトロポレーションして得られた二重薬剤耐性株コロ
ニー200個程度を一つの集団とし、3つの集団(P1、P2、
P3)を供与細胞として野生型マウスA9細胞へのミクロセ
ル移入を行なった。その結果、P1より6個、P2より1個、
P3より3個の二重薬剤耐性クローンが得られた。取得し
た二重薬剤耐性クローンのうちP3由来の6-1をミクロセ
ル供与細胞、野性型A9細胞を受容細胞としたミクロセル
移入実験により、ヒト22番染色体がさらにピューロマイ
シン耐性遺伝子によりマーキングされていることを確認
した(実施例18) 。ミクロセル取得及びA9細胞との融合
は(実施例1)と同様に行なった。その結果、ミクロセ
ル移入11日後に28個のG418耐性コロニーが出現した。こ
れらのコロニーについて8μg/mlのピューロマイシンを
含む培地に交換した後、さらに3日間培養したところ、2
1個(75%)のコロニーが生存した。ミクロセル法におい
ては、1つの供与細胞に、多くの場合1本あるいは少数の
染色体のみが移入されることから、両耐性遺伝子が高率
に同時に移入されることは、すなわち、6-1が保持するG
418耐性標識されたヒト22番染色体がさらにピューロマ
イシン耐性遺伝子によりマーキングされていることを示
している。
【0130】(実施例27)ヒト抗体重鎖を産生するハイ
ブリドーマからのヒト抗体重鎖可変領域cDNAの取得及び
塩基配列決定 (実施例15)において取得されたヒト抗体重鎖(IgM)
を産生するハイブリドーマのうち、H4B7(HSA特異的)
及びH8F9(非特異的)より、ISOGEN(ニッポンジーン)
を使用して、総RNAを取得した。cDNAの合成は、Ready-T
o-Go T-primed1st strandキット(Pharmacia社)を用い
各々5μgの総RNAを使用した。得られたcDNAについて下
記に示したプライマー(Larrickら, BIO/TECHNOLOGY,
7, 934-,1989、Wordら, Int. Immunol., 1, 296-, 1989
を参考に作製)によりPCRを行ない、ヒト抗体重鎖可変
領域を増幅した。
【0131】CM1(ヒトIgM定常領域):5'-TTGTATTTCCA
GGAGAAAGTG(配列番号45) CM2(同上):5'-GGAGACGAGGGGGAAAAGGG(配列番号4
6) HS1(ヒト重鎖可変領域):5'-ATGGACTGGACCTGGAGG(AG)
TC(CT)TCT(GT)C(配列番号47)(8種の混合物) HS2(同上):5'-ATGGAG(CT)TTGGGCTGA(GC)CTGG(GC)TTT
(CT)T(配列番号48)(16種の混合物) HS3(同上):5'-ATG(AG)A(AC)(AC)(AT)ACT(GT)TG(GT)
(AT)(GCT)C(AT)(CT)(GC)CT(CT)CTG(配列番号49)(6
144種の混合物) *( )はその位置の塩基が( )内のいずれかからなる混合
物であることを示す。
【0132】H4B7、H8F9共に、1回目のPCRはHS1×CM1、
HS2×CM1、HS3×CM1の3種のプライマーの組み合わせに
ついて行い(94℃ 1分、50℃ 2分、72℃ 3分、40サイク
ル、パーキンエルマー社、サーマルサイクラー140使
用)、そのPCR産物をそれぞれHS1×CM2、HS2×CM2、HS3
×CM2のプライマーで再度増幅した(温度条件は前記同
様、30サイクル)。増幅産物は1.5%アガロース電気泳動
後、臭化エチジウム染色することにより検出した。その
結果、H4B7についてはHS3×CM2のプライマーで約490bp
の増幅産物が確認された。また、H8F9については、HS3
×CM2プライマーで微かなバンドが同様の位置に確認さ
れたのでこのプライマーで再度増幅した(温度条件は前
記同様、30サイクル)。その結果、増幅産物は非常に強
いシグナルとして検出された。これらのPCR産物は、石
田ら(遺伝子発現実験マニュアル、講談社サイエンティ
フィク、1995)の方法に従い、pBlueScriptII SK+(Str
atagene社)ベクターのSmaI部位にクローニングした。
増幅産物の挿入されたプラスミドのうち#2、#3、#4(H4
B7)、#11、#13、#14(H8F9)について、自動蛍光シー
ケンサー(Applyed Bio System社)により、増幅産物の
塩基配列を決定した。得られた塩基配列及び予想される
アミノ酸配列をすでに報告されているヒト抗体VH領域
(Marksら、Eur. J. Immunol. 21, 985-, 1991)、JH領
域(Ravetchら, Cell,27, 583-, 1981)の配列と比較し
た結果、H4B7、H8F9共に、VH4ファミリー、JH2の組み合
わせからなることが判明した。この結果は、ヒト14番染
色体部分断片を保持するキメラマウスにおいて、完全な
機能的ヒト抗体重鎖蛋白質が産生されていることを示し
ている。
【0133】(実施例28)ヒト抗体κ鎖を発現するキメ
ラマウス脾臓からのヒト抗体κ鎖cDNAの取得と塩基配列
決定 (実施例13)において取得され、(実施例23)において
ヒト抗体κ鎖を発現することが確認されたキメラマウス
K2-8の脾臓より(実施例5)と同様な方法で合成したcDN
Aについて、下記のプライマー(Larrickら, BIO/TECHNO
LOGY, 7, 934-, 1989、Whitehurstら, Nucleic Acids R
es., 20, 4929-, 1992 を参考に作製)によりPCRを行な
い、ヒトκ鎖可変領域を増幅した。陰性コントロールと
してK2-8より取得した肝臓由来cDNA及び、(実施例10)
のTT2/#14 3-2由来キメラマウスK3-2-2より取得した脾
臓由来cDNAを用いた。
【0134】KC2(ヒトIgκ鎖定常領域):5'-CAGAGGCA
GTTCCAGATTTC(配列番号50) KC3(同上):5'-TGGGATAGAAGTTATTCAGC(配列番号5
1) KVMIX(ヒトIgκ鎖可変領域):5'-ATGGACATG(AG)(AG)
(AG)(AGT)(CT)CC(ACT)(ACG)G(CT)(GT)CA(CG)CTT(配列
番号52)(3456種の混合物) *( )はその位置の塩基が( )内のいずれかからなる混合
物であることを示す。
【0135】PCRはKVMIX×KC2、KVMIX×KC3プライマー
の組み合わせで94℃15秒、55℃15秒、72℃20秒、40サイ
クル(パーキンエルマー社、サーマルサイクラー9600使
用)の条件で行なった。増幅産物は1.5%アガロース電気
泳動後、臭化エチジウム染色することにより検出した。
その結果、両者の組み合わせ共に、期待される約420bps
(KC2)、約450bps(KC3)の長さの増幅産物が検出され
た。一方、2種の陰性コントロールでは特異的増幅産物
は検出されなかった。これらの増幅産物は、石田ら(遺
伝子発現実験マニュアル、講談社サイエンティフィク、
1995)の方法に従い、pBlueScriptII SK+(Stratagene
社)ベクターのSmaIあるいはEcoRV部位にクローニング
した。増幅産物の挿入されたプラスミドのうちKVMIX×K
C2由来のVK-#1クローン1種類について、自動蛍光シーケ
ンサー(Applyed Bio System社)により、増幅産物の塩
基配列を決定した。得られた塩基配列はヒトIgκ鎖の開
始コドンから定常領域に至るまで終始コドンを含まない
ので、クローニングされた増幅産物は機能的ヒトIgκ鎖
可変領域をコードしていると考えられる。また、すでに
報告されているヒト抗体Vκ領域(Kleinら, Eur. J. Im
munol., 23, 3248-, 1993)、Jκ領域(Whitehurstら,
前記)の塩基配列と比較した結果、Vκ3ファミリー、J
κ4の組み合わせからなることが判明した。この結果
は、ヒト2番染色体部分断片を保持するキメラマウスに
おいて、完全な機能的ヒト抗体κ鎖蛋白質が産生されて
いることを示している。
【0136】(実施例29)ヒト14番染色体断片を保持す
るキメラマウスの血清中のヒト抗体γ鎖サブクラスおよ
びμ鎖の検出、および定量 (実施例10)の生後11週齢のキメラマウス(K15Aおよび
K16A;1-4由来、キメラ率70、50%)より採血し、血清中
のヒト抗体γ鎖サブクラス濃度を(実施例14)に従いEL
ISA法を用いて検出した。
【0137】[ヒトIgG1の測定]抗ヒトIgG抗体(シグ
マ、I-6260)をPBSで希釈し、96穴マイクロタイタープ
レートをコーティングした。血清試料を加え、次いでペ
ルオキシダーゼ標識した抗ヒトIgG1抗体(ファーミンジ
ェン、08027E)を加えてインキュベートした後、TMBZ
(住友ベークライト、ML-1120T)の添加により酵素活性
を450nmの吸光度で評価した。精製された濃度既知のヒ
トIgG1(シグマ、I-3889)を標準としマウス血清を添加
したPBSで段階的に希釈した。
【0138】[ヒトIgG2の測定]抗ヒトIgG2抗体(シグ
マ、I-9513)をPBSで希釈し、96穴マイクロタイタープ
レートをコーティングした。血清試料を加え、次いでペ
ルオキシダーゼ標識した抗ヒトIgG抗体(シグマ、A-017
0)を加えてインキュベートした後、TMBZ(住友ベーク
ライト、ML-1120T)の添加により酵素活性を450nmの吸
光度で評価した。精製された濃度既知のヒトIgG2(シグ
マ、I-4139)を標準としマウス血清を添加したPBSで段
階的に希釈した。
【0139】[ヒトIgG3の測定]抗ヒトIgG3抗体(シグ
マ、I-7260)を100mMグリシン塩酸バッファーpH2.5で希
釈し5分間室温で放置した後、100mMリン酸バッファーpH
7.0で10倍に希釈し、96穴マイクロタイタープレートを
コーティングした。血清試料を加え、次いでペルオキシ
ダーゼ標識した抗ヒトIgG抗体(ファーミンジェン、080
07E)を加えてインキュベートした後、TMBZ(住友ベー
クライト、ML-1120T)の添加により酵素活性を450nmの
吸光度で評価した。精製された濃度既知のヒトIgG3(シ
グマ、I-4389)を標準としマウス血清を添加したPBSで
段階的に希釈した。
【0140】[ヒトIgG4の測定]抗ヒトIgG4抗体(シグ
マ、I-7635)を100mMグリシン塩酸バッファーpH2.5で希
釈し5分間室温で放置した後、100mMリン酸バッファーpH
7.0で10倍に希釈し、96穴マイクロタイタープレートを
コーティングした。血清試料を加え、次いでペルオキシ
ダーゼ標識した抗ヒトIgG抗体(ファーミンジェン、080
07E)を加えてインキュベートした後、TMBZ(住友ベー
クライト、ML-1120T)の添加により酵素活性を450nmの
吸光度で評価した。精製された濃度既知のヒトIgG4(シ
グマ、I-4639)を標準としマウス血清を添加したPBSで
段階的に希釈した。
【0141】[ヒトIgMの測定]μ鎖についてはPBSで希
釈した抗ヒトμ鎖マウスモノクローナル抗体(シグマ、
I-6385)を96穴マイクロタイタープレートにコーティン
グし、血清試料を加え、次いでペルオキシダーゼ標識抗
ヒトμ鎖マウス抗体(The Binding Site Limited、MP00
8)を加えてインキュベートした後、ペルオキシダーゼ
基質としてTMBZ(住友ベークライト、ML-1120T)の添加
により酵素活性を450nmの吸光度で評価し、精製された
μ鎖を持つ濃度既知のヒトIgM(オルガノン・テクニ
カ、6001-1590)を標準としマウス血清(シグマ、M590
5)を添加したPBSで段階的に希釈した。結果を表10に示
す。キメラマウスK15AとK16Aの2個体でIgG1,IgG2,IgG3,
IgG4のすべてのサブクラスおよびIgMが検出された。
【0142】
【表10】
【0143】(実施例30)ヒト22番染色体を保持するマ
ウスES細胞株(TT2)の取得 ヒト22番染色体を保持するマウスES細胞(TT2)取得の
ため、染色体供与細胞として(実施例26)で取得した6-
1(A9/#22, G418, ピューロマイシン耐性)細胞株を用
いた。染色体受容細胞としては野生型TT2細胞株(実施
例9)を用いた。ミクロセル融合実験およびピューロマ
イシン耐性株の選択は0.75μg/mlのピューロマイシン濃
度で他は(実施例9)のG418耐性株選択の場合と同様に
行なった。この結果出現したピューロマイシン耐性株の
出現頻度はTT2細胞107個あたり1〜2個であった。ピュー
ロマイシン耐性株の凍結保存、ゲノムDNA取得は(実施
例2)と同様に行なった。ヒト22番染色体の保持はピュ
ーロマイシン耐性株PG22-1について以下の(1)、
(2)により確認した。
【0144】(1)PCR解析 ピューロマイシン耐性株ゲノムDNAを鋳型としてヒト22
番染色体上に存在する遺伝子(Genetic Maps,前記)の
うち、(実施例2;A9/#22)で存在が確認されている10
種のプライマーについてPCR増幅を行なった結果、(実
施例2;A9/#22)に存在した全てのマーカーが検出され
た。
【0145】(2)サザンブロット解析(実施例2)で
示した方法に従い、ヒトL1配列をプローブとして用い、
陰性コントロール野生型TT2、染色体供与細胞6-1、ピュ
ーロマイシン耐性TT2細胞株PG22-1由来のゲノムDNAにつ
いて行った。その結果を(第19図)に示す。図中左側に
DNA分子量を示した。PG22-1におけるバンドパターンは6
-1のそれと一致し、シグナル強度も同程度であることか
ら、6-1細胞株中の22番染色体は確かにPG22-1に移入さ
れたことが確認された。以上の実験によりピューロマイ
シン耐性TT2細胞株PG22-1はヒト22番染色体の全てある
いは大部分を保持することが確認された。
【0146】(実施例31)ヒト22番染色体を保持するマ
ウスES細胞株(TT2)からのキメラマウス作製 (実施例30)で得られ、ヒト22番染色体を保持している
ことが確認されたピューロマイシン耐性TT2細胞株PG22-
1を凍結ストックより立ち上げ、 ICRまたはMCH(ICR)
(日本クレア社)雄雌マウスの交配により得られた8細
胞期胚に胚あたり10〜12個注入した。ES細胞用培地(実
施例9)で一晩培養して胚盤胞に発生させた後、偽妊娠
処理後2.5日の仮親ICRマウス(日本クレア社)の子宮に
片側の子宮あたり約10個のインジェクション胚を移植し
た。
【0147】キメラ作製の結果を(第11表)に示す。計
266個の注入胚を移植した結果、36匹の子マウスが誕生
した。キメラ個体は、毛色において宿主胚(ICR)由来
の白色の中にTT2細胞由来の野生色(濃茶)が認められ
るかどうかにより判定される。誕生した36匹のうち毛色
に明らかに野生色の部分のある、すなわち、ES細胞の貢
献の認められる個体は8匹であった。この結果より、ヒ
ト22番染色体を保持するES細胞株(TT2由来、PG22-1)
はキメラ形成能を保持している、すなわちマウス個体の
正常組織に分化する能力を保持していることが確認され
た。
【0148】
【表11】
【0149】(実施例32)ヒト22番染色体を保持するキ
メラマウスの血清中のヒト抗体λ鎖の検出、および定量 (実施例31)のキメラマウスKPG22-1〜3の血清中のヒト
抗体濃度を(実施例14)に従いELISA法を用いて定量し
た。生後2ヶ月のキメラマウスより採血し、血清中のヒ
ト抗体λ鎖をELISA法を用いて検出した。PBSで希釈した
抗ヒト免疫グロブリンλ鎖抗体(VECTOR LABORATORIES,
INC.、IA-3070)を96穴マイクロタイタープレートにコ
ーティングし、血清試料を加え、次いでビオチン標識し
た抗ヒト免疫グロブリンλ鎖抗体(VECTOR LABORATORIE
S,INC.、BA-3070)を加えてインキュベートしさらにビ
オチン化ワサビペルオキシダーゼとアビジンDHの複合体
(VECTOR LABORATORIES,INC.、Vectastain ABCキット)
を加えてインキュベートした後、TMBZ(住友ベークライ
ト,ML-1120T)の添加により酵素活性を450nmの吸光度で
評価し、精製されたλ鎖を持つ濃度既知のヒトIgM(大
日本製薬、U13200)を標準としマウス血清を添加したPB
Sで段階的に希釈した。結果を第12表に示す。この結果
より22番染色体を保持するキメラマウスにおいてヒト抗
体λ鎖遺伝子が機能することが確認された。
【0150】
【表12】
【0151】(実施例33)ヒト22番染色体導入キメラマ
ウス血清における抗ヒトHSAヒト体λ鎖の検出 キメラマウス(実施例31、KPG22-3)に生後79日、94
日、110日の3回にわたり(実施例20)と同様にHSAを免
疫した。血清中のヒト抗体λ鎖を(実施例14)に従いEL
ISA法を用いて検出した。50mMの炭酸ー炭酸水素バッフ
ァーpH9.6で5μg/mlに希釈したHSA(シグマ、A 3782)
を96穴マイクロタイタープレートにコーティングし、血
清試料を加え、次いでビオチン標識した抗ヒト免疫グロ
ブリンλ鎖抗体(VECTOR LABORATORIES,INC.、BA-307
0)を加えてインキュベートしさらにビオチン化ワサビ
ペルオキシダーゼとアビジンDHの複合体(VECTOR LABOR
ATORIES,INC.、Vectastain ABCキット)を加えてインキ
ュベートした後、TMBZ(住友ベークライト、ML-1120T)
の添加により酵素活性を450nmの吸光度で評価した。HSA
で免疫したキメラマウス血清中の抗HSAヒトλ鎖の力価
は免疫後上昇した。一方対照としたICRマウスでは、HSA
免疫後の抗HSAヒト抗体λ鎖の力価はバックグランドレ
ベルであった。結果を(第20図)に示す。第20図におい
て横軸はキメラマウスに初めてHSAを免疫してからの日
数を、縦軸は450nmにおける吸光度を示した。これらの
結果より、ヒト22番染色体を保持するキメラマウスにお
いてヒト抗体λ鎖遺伝子が機能し、さらにはHSA抗原刺
激に対して抗原特異的ヒトIgλの抗体価上昇が起こるこ
とが確認された。
【0152】(実施例34)ヒト22番染色体導入キメラマ
ウスからのヒト抗体軽鎖産生ハイブリドーマ取得 (実施例25)と同様に(実施例33)においてヒトアルブ
ミンで免疫したキメラマウスKPG22-3から生後113日目に
脾臓を取り出し、ミエローマ細胞と細胞融合し、ハイブ
リドーマを作製した。ハイブリドーマの作製法は〈安東
・千葉、単クローン抗体実験操作入門、講談社サイエン
ティフィク, 1991〉に記された方法に従い、ミエローマ
細胞としては、SP-2/O-Ag14(大日本製薬、05-554) を
使用した。培養液にHCF(エア・ブラウン)を10%添加し
96穴プレート5枚にまき込み、1〜3週間培養しコロニー
が出現したウェルの培養上清をELISA法で解析した。ELI
SA法は(実施例33)と同様に行ない、ヒト抗体λ鎖陽性
のクローンを4個得た。
【0153】(実施例35)ヒト22番染色体部分断片及
び、14番染色体部分断片を同時に保持するマウスES細胞
株の取得 ヒト22番染色体、14番染色体部分断片を同時に保持する
マウスES細胞取得のため、染色体供与細胞として(実施
例26)で取得した6-1(A9/#22, G418,ピューロマイシン
耐性)細胞株を用いた。染色体受容細胞としてはすでに
ヒト14番染色体部分断片を保持しているG418耐性TT2細
胞株1-4(実施例9)を用いた。ミクロセル融合実験およ
びピューロマイシン耐性株の選択は0.75μg/mlのピュー
ロマイシン濃度で他は(実施例9)のG418耐性株選択の
場合と同様に行なった。この結果出現したピューロマイ
シン耐性株の出現頻度は1-4細胞107個あたり1〜2個であ
った。これらのピューロマイシン耐性株は300μg/mlのG
418存在下でも増殖することからG418耐性も同時に保持
していることが確認された。二重薬剤耐性株の凍結保
存、ゲノムDNA取得は(実施例2)と同様に行なった。ヒ
ト22番染色体及び、ヒト14番染色体部分断片の保持は二
重薬剤耐性株PG22-5について以下のPCR解析により確認
した。二重薬剤耐性株ゲノムDNAを鋳型としてヒト22
番、14番染色体上に存在する遺伝子(Genetic Maps,前
記)のうち、22番染色体については(実施例;A9/#2
2)、14番染色体については(実施例9;TT2/#14 1-4)
で存在が確認されている各プライマーについてPCR増幅
を行なった結果、22番染色体については10種のうち3種
のマーカー(D22S275, D22S315, Igλ)、14番染色体に
ついてはTT2/#14 1-4に存在した全てのマーカーが検出
された。以上の実験により、得られた二重耐性TT2細胞
株はヒト22番染色体部分断片、14番染色体部分断片を同
時に保持することが確かめられた。
【0154】(実施例36)ヒト22番染色体部分断片及
び、14番染色体部分断片を同時に保持するマウスES細胞
株からのキメラマウス作製 (実施例35)で得られ、ヒト22番染色体部分断片及び14
番染色体部分断片を保持していることが確認されたG41
8、ピューロマイシン二重耐性TT2細胞株PG22-5を凍結ス
トックより立ち上げ、 ICRまたはMCH(ICR)(日本クレア
社)雄雌マウスの交配により得られた8細胞期胚に胚あ
たり10〜12個注入した。ES細胞用培地(実施例9)で一
晩培養して胚盤胞に発生させた後、偽妊娠処理後2.5日
の仮親ICRマウス(日本クレア社)の子宮に片側の子宮
あたり約10個のインジェクション胚を移植した。
【0155】キメラ作製の結果を(第13表)に示す。計
302個の注入胚を移植した結果、16匹の子マウスが誕生
した。キメラ個体は、毛色において宿主胚(ICR)由来
の白色の中にTT2細胞由来の野生色(濃茶)が認められ
るかどうかにより判定される。誕生した16匹のうち毛色
に明らかに野生色の部分のある、すなわち、ES細胞の貢
献の認められる個体は5匹であった。この結果より、ヒ
ト22番染色体部分断片及び14番染色体部分断片を保持す
るES細胞株(PG22-5)はキメラ形成能を保持している、
すなわちマウス個体の正常組織に分化する能力を保持し
ていることが確認された。
【0156】
【表13】
【0157】(実施例37)ヒト22番染色体部分断片及
び、14番染色体部分断片を同時に保持するES細胞由来キ
メラマウス血清中のヒト抗体λ鎖およびヒト抗体μ鎖の
検出・定量 (実施例36)のキメラマウス(KPG22-9、10、および1
2)に対して、HSAを免疫した。KPG22-9とKPG22-10には
生後11週齢で免疫し、その2週間後に採血した。KPG22-1
2には生後7週齢と9週齢の2度免疫し、2度目の免疫の2週
間後に採血した。血清中のヒト抗体μ鎖およびヒト抗体
λ鎖さらにヒトλ鎖かつヒトμ鎖を有する抗体を(実施
例14)に従いELISA法を用いて検出した。
【0158】完全ヒト抗体の検出にはPBSで希釈した抗
ヒト免疫グロブリンλ鎖抗体(Kirkegaard & Perry Lab
oratories Inc.、01-10-11)を96穴マイクロタイタープ
レートにコーティングし、血清試料を加え、次いでペル
オキシダーゼ標識抗ヒト免疫グロブリンμ鎖抗体(The
Binding Site Limited、 MP008)を加えてインキュベー
トした後、ペルオキシダーゼ基質としてTMBZ(住友ベー
クライト、ML-1120T)の添加により酵素活性を450nmの
吸光度で評価し、精製されたλ鎖を持つ濃度既知のヒト
IgM(大日本製薬、U13200)をマウス血清を添加したPBS
で段階的に希釈したものと比較し血清中のヒト抗体濃度
を求めた。ヒト抗体μ鎖およびヒト抗体λ鎖をELISA法
を用いて(実施例29)および(実施例32)と同様に検出
・定量した。結果を第14表に示す。キメラマウスではλ
鎖とμ鎖がともに検出された。ヒト抗体μ鎖かつλ鎖を
持つ抗体も検出された。この結果より、ヒト22番染色体
部分断片及び14番染色体部分断片を保持するES細胞由来
キメラマウスにおいてヒト抗体λ鎖遺伝子とヒト抗体μ
鎖遺伝子は同時に機能し、一部のB細胞では重鎖と軽鎖
がともにヒトである完全抗体が産生されることが確認さ
れた。
【0159】また対照として測定したヒト14番染色体の
みを保持する(実施例10)のキメラマウス(K9)、ヒト
22番染色体のみを保持する(実施例31)のキメラマウス
(KPG22-2)の血清中のヒト抗体λ鎖かつμ鎖を持つ抗
体濃度はバックグランドレベルであり、ここでの検出系
はヒトλ鎖かつμ鎖を持つ完全抗体のみを検出している
ことが確認された。
【0160】
【表14】
【0161】(実施例38)ヒト2番染色体部分断片及
び、14番染色体部分断片を同時に保持するES細胞由来キ
メラマウス血清におけるヒト抗体の検出(ヒトκ鎖かつ
ヒトμ鎖を有する抗体) (実施例19)で作製したキメラマウスKPG-15(TT2ES ク
ローンPG5由来、キメラ率10%)に対して、生後2から3ヶ
月齢の間に、PBSに溶解したヒト血清アルブミン(HSA、
シグマ、A3782)とアジュバント(MPL+TDM Emulsion, R
IBI Immunochem Reseach Inc.)とを混合して0.25mg/ml
のHSA溶液を調整し0.2mlを3回免疫し、採血した。また
生後6週齢の(実施例19)のキメラマウスKPG-26(TT2ES
クローンPG6由来、キメラ率40%)から採血した。血清
中の完全ヒト抗体濃度を(実施例14)に従いELISA法で
検出した。PBSで希釈した抗ヒト免疫グロブリンκ鎖抗
体(Kirkegaard & Perry Laboratories Inc.、01-10-1
0)を96穴マイクロタイタープレートにコーティング
し、マウス血清(シグマ、M5905)を加えたPBSで希釈し
た血清試料を加え、次いでペルオキシダーゼ標識抗ヒト
免疫グロブリンμ鎖抗体(The Binding Site Limited、
MP008)を加えてインキュベートした後、ペルオキシダ
ーゼ基質としてTMBZ(住友ベークライト、ML-1120T)の
添加により酵素活性を450nmの吸光度で評価し、精製さ
れたκ鎖を持つ濃度既知のヒトIgM(オルガノン・テク
ニカ、6001-1590)を標準としマウス血清を添加したPBS
で段階的に希釈した。κ鎖、μ鎖については(実施例2
0)と同様にして濃度を求めた。結果を第15表に示す。
ヒト抗体μ鎖かつκ鎖を持つ抗体が検出された。また対
照としたヒト14番染色体のみを保持する(実施例10)の
キメラマウス(K9)、ヒト2番染色体のみを保持する
(実施例13)のキメラマウス(K2-9)血清中のヒト抗体
でκ鎖かつμ鎖を持つ抗体濃度は0.002mg/ml以下でバッ
クグランドレベルであった。この結果より、ヒト2番染
色体部分断片及び14番染色体部分断片を保持するES細胞
由来キメラマウスにおいてヒト抗体κ鎖遺伝子とヒト抗
体μ鎖遺伝子は同時に機能し、一部のB細胞では重鎖と
軽鎖がともにヒトである完全抗体が産生されることが確
認された。
【0162】
【表15】
【0163】(実施例39)ヒト2番染色体部分断片を保
持するマウスES細胞株(TT2F, XO)の取得 ヒト2番染色体部分断片を保持するマウスES細胞(XO)
取得のため、染色体供与細胞として(実施例16)で取得
したPG1細胞株を用いた。染色体受容細胞としては(39,
XO)の染色体構成を持ち、キメラマウスにおいて効率
よく卵細胞に分化することが報告されている(相沢慎
一、バイオマニュアルシリーズ8,ジーンターゲティン
グ, 羊土社, 1995)TT2F細胞株(ライフテックオリエン
タル社より購入)を用いた。ミクロセル融合実験および
ピューロマイシン耐性株の選択は0.75μg/mlの
ピューロマイシン濃度で他は(実施例9)のG418耐性株
選択の場合と同様に行なった。この結果出現したピュー
ロマイシン耐性株の出現頻度はTT2F細胞107個あたり5個
であった。これらのピューロマイシン耐性株の凍結保
存、ゲノムDNA取得は(実施例2)と同様に行なった。ヒ
ト2番染色体部分断片の保持は薬剤耐性株P-20, P-21に
ついて以下のPCR解析により確認した。薬剤耐性株ゲノ
ムDNAを鋳型としてヒト2番染色体上に存在する遺伝子
(Genetic Maps,前記)のうち、(実施例1;A9/#2 w2
3)で存在が確認されているプライマーCκ、FABP1、Vκ
1-2の3種についてPCR増幅を行なった結果、2株共に、3
種全てのプライマーについて期待される増幅産物が確認
された。以上の実験により、得られたピューロマイシン
耐性ES細胞株(TT2F, XO)はヒト2番染色体部分断片を
保持することが確かめられた。
【0164】(実施例40)ヒト2番染色体部分断片を保
持するマウスES細胞株(TT2F, XO)からのキメラマウス
作製 (実施例39)で得られ、ヒト2番染色体部分断片を保持
していることが確認されたピューロマイシン耐性TT2F細
胞株P-21を凍結ストックより立ち上げ、 ICRまたはMCH
(ICR)(日本クレア社)雄雌マウスの交配により得られ
た8細胞期胚に胚あたり10〜12個注入した。ES細胞用培
地(実施例9)で一晩培養して胚盤胞に発生させた後、
偽妊娠処理後2.5日の仮親ICRマウス(日本クレア社)の
子宮に片側の子宮あたり約10個のインジェクション胚を
移植した。
【0165】計141個の注入胚を移植した結果、20匹の
子マウスが誕生した。キメラ個体は、毛色において宿主
胚(ICR)由来の白色の中にTT2細胞由来の野生色(濃
茶)が認められるかどうかにより判定される。キメラ作
製の結果を(第16表)に示す。誕生した20匹のうち毛色
に明らかに野生色の部分のある、すなわち、ES細胞の貢
献の認められる個体は9匹であった。うち4個体は毛色が
完全に野生色の(ES細胞に由来する)キメラマウスであ
った。この結果より、ヒト2番染色体部分断片を保持す
るES細胞株(P-21)はキメラ形成能を保持している、す
なわちマウス個体の正常組織に分化する能力を保持して
いることが確認された。
【0166】
【表16】
【0167】(実施例41)ヒト2番染色体部分断片を保
持するTT2F由来キメラマウスの血清中のヒト抗体κ鎖の
検出、および定量 (実施例40)の生後約1ヶ月齢のキメラマウス(P-21由
来、キメラ率100%、K2-1F〜4F)より採血し血清中のヒ
ト抗体κ鎖濃度を(実施例20)と同様にELISA法を用い
て定量した。結果を第17表に示す。使用するES細胞をTT
2Fとしてもヒト抗体κ鎖遺伝子がキメラマウス中で機能
することが確認された。
【0168】
【表17】
【0169】(実施例42)ヒト2番染色体部分断片を保
持するマウスES細胞(TT2F, XO)由来キメラマウスの子
孫におけるヒト染色体保持の検出 (実施例40)で得られた雌キメラマウスのうちK2-1F, K
2-4F(共に毛色のキメラ率100%)について雄ICRマウス
との交配によりES細胞由来の子孫が誕生するかを検討し
た。この交配においてICR雄マウス(アルビノ、劣性)
由来精子により受精したキメラマウス中のTT2F細胞(野
生色:優性)由来の卵子からは野生色、ICR由来卵子か
らは白色の子マウスが誕生する。それぞれ1回の交配に
よって得られた生存可能な子マウス(K2-1F:10匹、K2-
4F:5匹)のすべてがES細胞由来の毛色である野生色を
示した。これらの子マウスの尻尾より調製したゲノムDN
Aについてヒト染色体断片の保持をPCR法により検討し
た。P-21(実施例39)で存在が確認されている3種のプ
ライマーについてPCR増幅を行なった結果、10匹中4匹
(K2-1F)、5匹中2匹(K2-4F)においてP-21で検出され
た3種のマーカーの存在が確認された。15匹の子マウス
のPCRの結果を(第21図)に示す。図中右側にマーカー
(φX174, HaeIII断片, ニッポンジーン)および主なバ
ンドのDNA分子量を、左側にそれぞれのプライマーによ
って期待される増幅産物の長さを矢印で示した。右側に
陽性コントロールとして親キメラK2-1F、K2-4Fの尻尾由
来DNAを用いた結果も示す。これらの結果は、ヒト2番染
色体部分断片を保持するTT2F細胞株P-21がキメラマウス
中で機能的な卵子に分化し、その卵子由来の子孫にヒト
2番染色体部分断片が伝達されたことを示している。
【0170】(実施例43)ヒト2番染色体部分断片を保
持するマウスES細胞(TT2, XY)由来キメラマウスの子
孫におけるヒト染色体保持の検出 (実施例13)で得られたキメラマウスのうちK2-18
(雄、キメラ率70%)とK2-19(雌、キメラ率60%)及び
同腹の非キメラ雌を混合して交配し、ES細胞由来の子孫
が誕生するかを検討した。TT2細胞は(40, XY)の染色
体構成を持つので雄キメラK2-18において機能的な精子
に分化している可能性がある。その場合キメラマウス中
のTT2細胞(野生色、優性)由来精子により受精したICR
(白色:劣性)由来の卵子からは野生色の子マウスが誕
生する。交配によって得られた生存可能な子マウス計11
0匹のうち10匹がES細胞由来の毛色である野生色を示し
た。これらの野生色子マウス10匹のうち7匹の尻尾より
調製したゲノムDNAについてヒト染色体断片の保持をPCR
法により検討した。5-1株(TT2/#2fg.,実施例12)で存
在が確認されている2種のプライマー(Cκ、FABP1)及
び、(実施例1)で示したVκ1-2 プライマーについてPC
R増幅を行なった結果、7匹中2匹において3種のマーカー
全ての存在が確認された。この結果は、ヒト2番染色体
部分断片を保持するTT2細胞株5-1がキメラマウス中で機
能的な精子に分化し、その精子由来の子孫にヒト2番染
色体部分断片が伝達されたことを示している。
【0171】(実施例44)キメラマウス子孫の血清中の
ヒト抗体κ鎖の検出、および定量 (実施例42)のキメラマウス子孫K2-1F-1〜10およびK2-
4F-1〜5の血清中のヒト抗体κ鎖濃度をELISA法を用いて
定量した。生後約4〜6週齢のマウスより採血し、血清中
のヒト抗体κ鎖を(実施例20)と同様にELISA法を用い
て検出した。結果を(実施例42)で得られた染色体保持
の結果と共に第18表に示す。キメラマウスから生まれた
子孫においてもヒト抗体κ鎖遺伝子が機能することが確
認された。
【0172】
【表18】
【0173】(実施例45)ヒト14番染色体部分断片導入
キメラマウス脾臓細胞の解析 フローサイトメトリーによる解析は下記の文献に記載の
方法に従った。日本生化学会編、新生化学実験講座12分
子免疫学I−免疫細胞・サイトカイン−1989、東京化学
同人;東京大学医科学研究所 制癌研究部編、細胞工学
別冊8 新細胞工学実験プロトコール、1991、秀潤社;
A. Doyle and J.B.Griffiths, “Cell &Tissue Cultur
e: Laboratory Procedures", published by John Wiley
& SonsLtd., 1996。(実施例19)の生後6ヶ月齢のキメ
ラマウス(KPG06;PG16由来、キメラ率30%)から脾臓を
とりだし、塩化アンモニウム水溶液で処理した後ラット
血清を1%含むPBS中で、フルオレッセインイソチオシア
ネート(FITC)標識抗マウスCD45R(B220)抗体(ファー
ミンジェン、01124A)で細胞を染色した。洗浄後5%マ
ウス血清を含むPBS中でビオチン標識抗ヒトIgM 抗体
(ファーミンジェン、08072D)または対照としてビオ
チン標識抗ヒトλ鎖抗体(ファーミンジェン、08152
D)と反応させた後、ストレプトアビジンフィコエリス
リン(ファーミンジェン、13025D)で染色し、フローサ
イトメトリー(ベクトンデッキンソン、FACSort)で解
析した。また対照としてヒト染色体を保持しないICRマ
ウスも同様に解析した。第22図に結果を示す。図中横軸
はヒトIgM 、縦軸はCD45R(B220) を示す。B細胞マーカ
ーCD45R陽性(FITC)でかつヒトIgM陽性(PE)である細
胞集団が4%増加しており、これによってキメラマウス
ではヒト抗体μ鎖を細胞表面に発現している細胞の存在
が確認された。
【0174】(実施例46)ヒト抗体重鎖、κ鎖、λ鎖を
それぞれ発現するキメラマウス脾臓由来cDNAからのヒト
抗体遺伝子可変領域クローニングと塩基配列決定 (実施例29)、(実施例23)、(実施例32)においてヒ
ト抗体重鎖、κ鎖、λ鎖をそれぞれ発現することが確認
されたキメラマウスK15A(1-4株由来、実施例10に示し
た方法で作製)、K2-8(実施例13で作製)、KPG22-2(実
施例31で作製)の脾臓由来RNAより(実施例5)と同様な
方法で合成したcDNAについて、下記のプライマーにより
PCRを行ない、それぞれのヒト抗体遺伝子可変領域を増
幅した。陰性コントロールとして非キメラマウスICRよ
り取得した脾臓由来cDNAを用いた。参考文献の記載のな
いプライマーはGenbank等のデータベースより入手した
塩基配列をもとに作製した。
【0175】 ・K15A(重鎖) 定常領域用:HIGMEX1-2:5'-CCAAGCTTCAGGAGAAAGTGATGGAGTC (配列番号53) HIGMEX1-1:5'-CCAAGCTTAGGCAGCCAACGGCCACGCT(VH3BACKの2ndPCR に使用) (配列番号54) 可変領域用:VH1/5BACK(59℃, 35cycles, Marksら, Eur. J. Immnol., 21, 98 5-, 1991), VH4BACK(59℃, 35cycles, Marksら, 前記), VH3BACK(1stPCR:59 ℃, 35cycles, 2ndPCR:59℃, 35cycles, Marksら, 前記)
【0176】・K2-8(軽鎖κ) 定常領域用:KC2H:5'-CCAAGCTTCAGAGGCAGTTCCAGATTTC
(配列番号55) 可変領域用:Vk1/4BACK(55℃,40cycles, Marksら, Eu
r. J. Immnol., 21, 985-, 1991), Vk2BACK(55℃, 40
cycles, Marksら, 前記), Vk3BACK (55℃, 40cycles,
Marksら, 前記)
【0177】・KPG22-2(軽鎖λ) 定常領域用:CλMIX(以下の3種のプライマーを等モル
比で混合したもの) IGL1-CR:5'-GGGAATTCGGGTAGAAGTCACTGATCAG (配列番
号56) IGL2-CR :5'-GGGAATTCGGGTAGAAGTCACTTATGAG (配列番
号57) IGL7-CR :5'-GGGAATTCGGGTAGAAGTCACTTACGAG (配列番
号58) 可変領域用:Vλ1LEA1(55℃, 40cycles, Williamsら,
Eur. J. Immunol., 23,1456-, 1993), Vλ2MIX(55℃,
40cycles,前記のWilliamsらの報告にあるVλ2LEA1, V
λ2JLEADを等モル比で混合したもの), Vλ3MIX(55℃,
40 cycles,前記のWilliamsらの報告にあるVλ3LEA1, V
λ3JLEAD, Vλ3BACK4を等モル比で混合したもの)
【0178】それぞれ定常領域用×可変領域用(重鎖3
種、κ鎖3種、λ鎖3種)の組み合わせで94℃15秒、それ
ぞれの可変領域プライマーに示したアニーリング温度15
秒、72℃20秒、それぞれの可変領域プライマーに示した
サイクル数(パーキンエルマー社、サーマルサイクラー
9600使用)の条件で行なった。VH3BACKにおける2ndPCR
は1stPCRの増幅産物を(HIGMEX1-1×VH3BACK)のプライ
マーの組み合わせで再度増幅した。全ての増幅産物は1.
5%アガロース電気泳動後、臭化エチジウム染色すること
により検出した。その結果、全て組み合わせにおいて、
期待される長さ(重鎖:470bp付近、軽鎖κ:400bp付
近、軽鎖λ:510bp付近)の増幅産物が検出された。一
方、陰性コントロールでは全てにおいて同じ位置に特異
的増幅産物は検出されなかった。これらの増幅産物は、
アガロースゲルよりprep.A.gene(バイオラッド)によ
り抽出した後、制限酵素処理(重鎖:HindIII-PstI、軽
鎖κ:HindIII-PvuII、軽鎖λ:HindIII-EcoRI)し、pU
C119(宝酒造)ベクターのHindIII, PstI 部位(重
鎖)、HindIII, HincII部位(κ鎖)、HindIII, EcoRI
部位(λ鎖)にクローニングした。増幅産物の挿入され
たプラスミドのうち以下のもの(右側に示したクローン
数)について、自動蛍光シーケンサー(Applyed Bio Sy
stem社)により、増幅産物の塩基配列を決定した。
【0179】・HIGMEX1-2×VH1/5BACK:10クローン、 ・HIGMEX1-2×VH4BACK:8クローン、 ・HIGMEX1-2(2nd PCR, HIGMEX1-1)×VH3BACK:5クロー
ン ・KC2H×Vκ1/4BACK:6クローン、 ・KC2H×Vκ2BACK:7クローン、 ・KC2H×Vκ3BACK :4 クローン、 ・CλMIX×Vλ1LEA1:5クローン、 ・CλMIX×Vλ2MIX:6クローン、 ・CλMIX×Vλ3MIX:5クローン
【0180】得られた塩基配列をDNASIS(Hitachi Softw
are Engneering) により解析した結果、全てがヒト由来
配列であり、κ鎖、λ鎖の全て、重鎖の計23種中21種が
開始コドンから定常領域に至るまで終始コドンを含まな
い機能的配列であった。決定された配列からお互いに同
一なものを除くと重鎖17種、κ鎖11種、λ鎖12種のそれ
ぞれ異なる可変領域配列が同定された。
【0181】(実施例47)ヒト抗体重鎖、κ鎖、λ鎖を
それぞれ発現するキメラマウス脾臓由来cDNAからのヒト
抗体遺伝子可変領域塩基配列の解析 (実施例46)において決定された塩基配列(重鎖17クロ
ーン、κ鎖11クローン、λ鎖12クローン)について以下
の点について解析を行った。 1.各可変領域配列において使用されている既知の生殖
系列V遺伝子断片を特定 2.各可変領域配列において使用されている既知の生殖
系列J遺伝子断片を特定 3.重鎖可変領域において使用されている既知の生殖系
列D断片を特定 4.1、2、3の結果をもとにした重鎖可変領域におけ
るN領域の付加の同定 5.各可変領域塩基配列から導かれるアミノ酸配列の決
【0182】その結果を(第19表)に示す。1、2につ
いてはGenbankに登録されている生殖系列V及びJ断片と
のホモロジー検索をDNASISにより行い特定した。VH断片
は(Cookら, Nature gentics, 7, 162-, 1994)、Vκ断
片は(Kleinら, Eur. J. Immunol, 23, 3248-, 199
3)、Vλ断片は(Williamsら, 前記)の表記法に従い、
各V断片ファミリー名と共に表中に記した。3について
は(Ichiharaら, The EMBOJ., 7, 13, 4141-, 1988)の
報告に記された生殖系列D断片とのホモロジー検索をDNA
SISにより行い、連続して8bp以上一致することを指標と
して決定し表中に記した。DN*については(Greenら, Na
ture Genetics, 7, 13-, 1994)で報告された新しいDN
ファミリー断片と考えられる。4については1(V)、
2(J)、3(D)の結果をもとに、いずれの生殖系列断
片にも見いだされない塩基配列をN領域とみなした。そ
の結果、D領域の特定された13種中11種にN領域が観察さ
れ、その平均の長さは8.7bpであった。5については各
塩基配列をDNASISを使用して1文字表記のアミノ酸配列
に変換した。表中にはCDR3領域のみ示した。表中右側に
各可変領域のクローニングに使用したプライマー名及び
各クローン名を記した。
【0183】
【表19】
【0184】(実施例48)TT2(またはTT2F)ES細胞の抗
体遺伝子(重鎖、軽鎖κ)ノックアウト用のターゲッテ
ィングベクターの作製 マウス抗体遺伝子(重鎖、軽鎖κ)が破壊されたTT2(ま
たはTT2F)細胞へG418耐性遺伝子でマーキングされたヒ
ト14番染色体断片(実施例9)およびピューロマイシン
耐性遺伝子でマーキングされたヒト2番(実施例18)ま
たは22番染色体(実施例35)を導入することが可能とな
る。このようなヒト14番+2番またはヒト14番+22番染色
体を導入したマウス抗体遺伝子(重鎖、軽鎖κ)遺伝子
破壊TT2(またはTT2F)ES細胞を用いて、(重鎖+κ鎖:
実施例19、重鎖+λ鎖:実施例36)の方法によって作成
されたキメラマウスでは、主に重鎖と軽鎖がヒト由来の
抗体が産生されることが期待される。以下に示す第23図
〜第27図における制限酵素の略称等は、以下のとおりで
ある。
【0185】制限酵素:Kp: KpnI、B: BamHI、RI: EcoR
I 、RV: EcoRV 、N: NotI 、SII: ScaII、Sca: ScaI 、
Sfi: SfiI 、Sm: SmaI、X: XhoI 、SI: SalI、dKp: del
etionof KpnI 、(X): ラムダベクター由来のXhoI切断
部位。 点線部分:pBluescript SKII(+) プラスミドDNA
【0186】
【0187】1.G418耐性遺伝子の両側にLoxP配列を入
れたLoxP-pstNEOプラスミドの作製 TT2(またはTT2F)細胞の抗体遺伝子をノックアウトした
後、G418耐性遺伝子を除去するためにG418耐性遺伝子
(実施例1)の両端にCreリコンビネース(Sauerら, Pro
c. Natl. Acad. Sci. USA, 85, 5166-, 1988 )の認識
配列であるLoxP配列(Sauerら、前記)を同じ向きに入
れる必要がある。pSTneoBプラスミドDNA(実施例1)よ
り制限酵素XhoIでpstNEO遺伝子を切り出し、アガロース
ゲル電気泳動によりDNA断片を精製したのちT4DNAポリメ
ラーゼ(Takara社製Blunting endキット)により両端を
平滑化した。LoxP配列が入ったプラスミドDNA pBS246
(Plasmid pBS246, loxP2 Cassette Vector, U.S. Pate
nt 4959317)は、GIBCO BRL社より購入した。このプラ
スミドのEcoRI及びSpeI切断部位へXhoIリンカーDNAを挿
入することによってXhoI認識配列に変更したものを使用
した。この改変pBS246のEcoRV切断部位へ上記pstNEO DN
A断片を挿入してプラスミドLoxP-pstNEOを得た(第23
図)。
【0188】2.C57BL/6由来抗体重鎖Cμ(IgM定常領
域)、軽鎖Jκ-Cκ(Igκ連結領域および定常領域)を
含むゲノムDNAクローンの単離 TT2(またはTT2F)細胞は、C57BL/6マウスとCBAマウスのF
1マウス由来であることから、C57BL/6マウス由来のゲ
ノムDNAクローンを用いて抗体遺伝子ノックアウト用ベ
クターを作製することにした。ゲノムDNAライブラリー
は、Clontech社adult C57BL/6N male liver由来ラムダD
NAライブラリーを使用した。スクリーニングのためにプ
ローブとしては、以下の合成DNA配列(60 mer)を用い
た。
【0189】重鎖Cμプローブ:5'-ACC TTC ATC GTC CT
C TTC CTC CTG AGC CTC TTC TAC AGCACC ACC GTC ACC C
TG TTC AAG-3'(配列番号59) 軽鎖κプローブ:5'-TGA TGC TGC ACC AAC TGT ATC CAT
CTT CCC ACC ATC CAG TGA GCA GTT AAC ATC TGG AGG-
3'(配列番号60) 単離されたラムダクローンを解析して、重鎖Cμまたは
軽鎖Jκ-Cκを含むDNA断片をpBluescript SKII(+) プラ
スミド(Stratagene社)ヘサブクローニングした(重鎖
Cμ:第24図;軽鎖Jκ-Cκ:第25図)。これらのDNA断
片を用いて、以下のようにTT2(またはTT2F)ES細胞中の
マウス抗体遺伝子破壊のためのターゲッティングベクタ
ーを作製した。
【0190】3.マウス抗体重鎖遺伝子破壊用ベクター
プラスミドの作製 2で調製したマウス抗体重鎖定常領域を含むゲノムDNA
のCμをコードする領域の内で、第2〜第4エクソンが
含まれるDNA断片(BamHI〜XhoI)を1で作製したLoxP-p
stNEO遺伝子と置き換えた(第26図)。pstNEOの転写方
向は、抗体遺伝子の転写方向とは逆向きとなっている。
このプラスミドDNAは、大腸菌JM109を用いて増幅し、セ
シウムクロライド平衡遠心により精製した(細胞工学実
験操作入門、1992年講談社刊)。精製したプラスミドDN
Aは、制限酵素SacIIにより、一箇所切断してTT2(または
TT2F) ES細胞へのトランスフェクションに使用した。形
質転換体TT2(またはTT2F)ES細胞の中から抗体重鎖部分
がターゲッティングベクターと相同組換えが起こったク
ローンを検出するための形質転換体ゲノムDNAサザンブ
ロット用のプローブとして、Cμの上流に存在するスイ
ッチ領域のDNA断片(約500塩基対)を用いた。このDNA
断片は以下の条件で129マウスゲノムDNAをPCR増幅して
得た。
【0191】センスプライマー:5'-CTG GGG TGA GCC G
GA TGT TTT G-3'(配列番号61) アンチセンスプライマー:5'-CCA ACC CAG CTC AGC CCA
GTT C-3'(配列番号62) テンプレートDNA:EcoRI消化129マウスゲノムDNA 1μg 反応バッファー、デオキシヌクレオチドミックス、TaqD
NAポリメラーゼは、Takara社製のものを使用。 反応条件:94度C,3分,1回 → 94度C, 1分;55度C,2
分;72度C,2分;3回→ 94度C, 45秒;55度C, 1分;72
度C, 1分;36回
【0192】増幅されたDNAがGenbankのデータベースに
あるとおり、制限酵素HindIIIで一箇所切断されえるこ
とを確認して、pBluescriptプラスミドのEcoRV切断部位
へサブクローニングした。このプラスミドDNA(S8)を
制限酵素BamHIとXhoIで切断して、アガロースゲル電気
泳動でPCR断片(約550塩基対)を精製したものをプロー
ブとした。ターゲッティングベクターで形質転換したTT
2(またはTT2F)ES細胞のゲノムDNAを制限酵素EcoRIとXho
Iで消化し、アガロースゲル電気泳動で分離後サザンブ
ロットを行ない、上記プローブで検出する。
【0193】4.マウス抗体遺伝子軽鎖k破壊用ベクタ
ーの作製 2で調製したマウス抗体軽鎖κJ領域および定常領域を
含むゲノムDNAのJ領域(J1〜J5)が含まれるDNA断片
(EcoRI〜SacII)を1で作製したLoxP-pstNEO遺伝子と
置き換えた(第27図)。pstNEOの転写方向は、抗体遺伝
子の転写方向と同じ向きとなっている。このプラスミド
DNAは、大腸菌JM109を用いて増幅し、セシウムクロライ
ド平衡遠心により精製した。精製したプラスミドDNA
は、制限酵素KpnIにより、一箇所切断してTT2(またはTT
2F) ES細胞へのトランスフェクションに使用した。形質
転換体TT2(またはTT2F)ES細胞の中から抗体重鎖部分が
ターゲッティングベクターと相同組換えが起こったクロ
ーンを検出するための形質転換体ゲノムDNAサザンブロ
ット用のプローブとして、軽鎖Jκ-CκゲノムDNA(第25
図参照)の3'端のDNA断片(XhoI〜EcoRI;約1.4k塩基
対)を用いた。ターゲッティングベクターで形質転換し
たTT2(またはTT2F)ES細胞のゲノムDNAを制限酵素EcoRI
とNotIで消化し、アガロースゲル電気泳動で分離後サザ
ンブロットを行ない、上記プローブで検出する。
【0194】(実施例49)マウスES細胞抗体重鎖遺伝子
破壊株の取得 抗体重鎖遺伝子相同組換え体取得の為、(実施例48)-3
で作成した抗体重鎖ターゲッティングベクターを制限酵
素SacII(宝酒造)で線状化し、(相沢慎一、バイオマ
ニュアルシリーズ8,ジーンターゲティング, 羊土社, 19
95)の方法に従いマウスES細胞TT2Fへ導入した。TT2F細
胞をトリプシン処理し、2.5x107個/mlとなるようにHBS
に懸濁してから5μgDNAを加え、ジーンパルサー(バイ
オラッド、抵抗器ユニット接続せず)を用いてエレクト
ロポレーションを行なった。960μFの容量で250Vの電圧
を4mm長のエレクトロポレーションセルを用いて室温で
印加した。エレクトロポレーションした細胞を20mlのES
培地に懸濁し、あらかじめフィーダー細胞をまいた100m
m組織培養用プラスチックシャーレ(コーニング)2枚に
播種した。同様に10, 15μgDNAを用いた実験も行った。
1日後に300μg/mlのG418(GENETICIN,シグマ)を含む
培地と置き換えた。7〜9日後に生じたコロニー計176個
をピックアップし、それぞれを12穴プレートでコンフル
ーエントになるまで増殖させ、その4/5を0.2mlの保存用
培地(ES培地+10%DMSO<シグマ>)に懸濁し、-80℃にて
凍結保存した。残りの1/5は12穴ゼラチンコートプレー
トに播種し、2日間培養して(実施例2)に示した方法で
ゲノムDNAを取得した。これらのG418耐性TT2F細胞ゲノ
ムDNAを制限酵素EcoRIとXhoI(宝酒造)で消化し、アガ
ロースゲル電気泳動で分離後サザンブロットを行ない、
(実施例48)-3に示したプローブで相同組換え体を検出
した。その結果176株中3株が相同組換え体であるという
結果を得た。野生型TT2F細胞及び相同組換え体#131、#1
41のサザンブロット解析の結果を(第28図)左側3レー
ンに示す。野生型TT2F細胞ではEcoRI、XhoI消化により2
本のバンド(a、b)が検出される。相同組換え体におい
ては、これらのいずれかのバンドが消失し、新たに下部
にバンド(c)が現われることが予想される。図中#131,
#141においてaのバンドが消失し、新たにcのバンドが
出現している。図中左側にはDNAの大きさを示した。す
なわちこれらのクローンは抗体重鎖遺伝子の片方のアレ
ルが相同組換えにより破壊されたものである。
【0195】(実施例50)抗体重鎖相同組換え体ES細胞
からのキメラマウス作成 (実施例49)で得られた抗体重鎖相同組換え体TT2F細胞
株#131を凍結ストックより立ち上げ、 ICRまたはMCH(IC
R)(日本クレア社)雄雌マウスの交配により得られた8
細胞期胚に胚あたり10〜12個注入した。ES細胞用培地
(実施例9)で一晩培養して胚盤胞に発生させた後、偽
妊娠処理後2.5日の仮親ICRマウス(日本クレア社)の子
宮に片側の子宮あたり約10個のインジェクション胚を移
植した。計94個の注入胚を移植した結果、22匹の子マウ
スが誕生した。キメラ個体は、毛色において宿主胚(IC
R)由来の白色の中にTT2F細胞由来の野生色(濃茶)が
認められるかどうかにより判定される。誕生した22匹の
うち毛色に明らかに野生色の部分のある、すなわち、ES
細胞の貢献の認められる個体は18匹であった。うち16個
体は毛色の80%以上が野生色の(ES細胞に由来する)雌
キメラマウスであった。この結果より、抗体重鎖相同組
換え体ES細胞株#131はキメラ形成能を保持していること
が確認された。得られたキメラマウスのうち多くの個体
は非常に高い貢献率を示す雌であるので、ES細胞が機能
的な生殖細胞(卵子)に分化している可能性が高い。キ
メラマウスのうち100%の貢献率を示す雌キメラ2個体をM
CH(ICR)雄マウスと交配した結果、生まれた子マウスは
すべて野性色を示した。これらの子マウスは#131由来で
あり (実施例42参照)、2匹に1匹の割合で破壊された抗
体重鎖アレルが伝達していると考えられる。
【0196】(実施例51)抗体重鎖相同組換え体からの
2重破壊株の取得 片側アレルがG418耐性遺伝子の挿入により破壊されたES
細胞株において、培養液中のG418濃度を上げて培養する
ことにより得られる高濃度G418耐性株をスクリーニング
すれば両側アレル共に破壊された株を取得することが可
能なことが報告されている(相沢慎一ら、バイオマニュ
アルシリーズ8,ジーンターゲティング,羊土社, 199
5)。これに基づき、我々はTT2F抗体重鎖相同組換え体#
131, #141について両側アレルの破壊株取得の為、以下
の実験を行った。まず、#131, #141両株について致死G4
18濃度検定のため35mmシャーレ各10枚(この実施例にお
いては栄養細胞はマイトマイシン処理をしていないG418
耐性初代培養細胞を使用した。実施例9参照)に1枚あた
り約100個の細胞を播種し、0, 0.5, 1, 2, 3, 5, 8, 1
0, 15, 20 mg/ml のG418(GENETICIN、シグマ)をそれ
ぞれ含むES培地中で10日間培養した。その結果3mg/mlの
濃度までは明らかなコロニーが認められたが、5mg/mlで
はコロニー形成は認められなかった。この結果をもとに
最小致死濃度を5mg/mlと決定し、4, 5, 6, 7, 8mg/mlの
各濃度で高濃度G418耐性株の選抜を行った。#131, #141
それぞれについて100mmシャーレ計10枚に1枚当たり約10
6個の細胞を播種し、上記の各濃度のG418を含むES培地
(5段階、各濃度シャーレ2枚づつ)により培養した。培
養開始12日後に7mg, 8mg/mlのシャーレにおいて明らか
なコロニー(#131:12株、#141:10株)をピックアップ
し、(実施例49)と同様に凍結保存、DNA取得を行っ
た。これらの高濃度G418耐性株ゲノムDNAを制限酵素Eco
RIとXhoI(宝酒造)で消化し、アガロースゲル電気泳動
で分離後サザンブロットを行ない、(実施例48)-3に示
したプローブで両側アレルの破壊された株を検出した。
その結果#131株由来の1株(#131-3)が両側アレル破壊
株であるという結果を得た。#131由来の6株についての
サザンブロット解析の結果を(第28図)に示す。野生型
TT2F細胞ではEcoRI、XhoI消化により2本の野生型バンド
(a、b)が検出される。片側アレル相同組換え体(#13
1, #141)においては、上部のバンドaが消失し、新たに
バンドcが現われる(実施例49)。さらに両側アレルが
破壊されることにより、もう一方の野生型バンドbが消
失し、破壊型バンドcのみとなることが予想される。図
中3(#131-3)のクローンにおいてこのバンドパターン
が観察された。すなわちこのクローンは抗体重鎖遺伝子
の両方のアレルが破壊されたものである。
【0197】(実施例52)抗体重鎖欠損ホモ接合体TT2F
細胞株からのG418耐性マーカー遺伝子の除去 (実施例51)で取得された抗体重鎖両側アレル破壊株
(高濃度G418耐性株#131-3)のG418耐性マーカー遺伝子
を以下の手順により除去した。G418耐性マーカー遺伝子
の両側に挿入したloxP配列(実施例48-1)の間で部位特
異的組換えを起こすCreレコンビナーゼ遺伝子を含む発
現ベクターpBS185(BRL)を(相沢慎一、バイオマニュ
アルシリーズ8,ジーンターゲティング, 羊土社, 1995、
及び高津聖志ら、実験医学別冊、免疫研究の基礎技術、
p255-、1995、羊土社)の方法に従い#131-3株へ導入し
た。#131-3細胞をトリプシン処理し、2.5x107個/mlと
なるようにHBSに懸濁してから30μgのpBS185DNAを加
え、ジーンパルサー(バイオラッド、抵抗器ユニット接
続せず)を用いてエレクトロポレーションを行なった。
960μFの容量で250Vの電圧を4mm長のエレクトロポレー
ションセル(実施例1)を用いて印加した。エレクトロ
ポレーションした細胞を5mlのES培地に懸濁し、あらか
じめフィーダー細胞をまいた60mm組織培養用プラスチッ
クシャーレ(コーニング)1枚に播種した。2日後に細胞
をトリプシン処理し、フィーダー細胞をまいた100mmシ
ャーレ3枚にそれぞれシャーレ1枚当たり100、200、300
細胞となるように再度播種した。ジーンパルサーの設定
(抵抗器ユニット接続、抵抗値無限大)のみ変更した条
件でも同様に行った。7日後に生じたコロニー計96個を
ピックアップし、トリプシン処理した後2つに分け、フ
ィーダー細胞をまいた48穴プレート及びゼラチンコート
処理のみを行った48穴プレート2枚にそれぞれ播種し
た。後者は300μ/mlのG418(GENETICIN、シグマ)を含
む培地で3日間培養し、その生存率でG418耐性を判定し
た。その結果6クローンがG418存在下で死滅した。これ
らのG418感受性株を35mmシャーレでコンフルーエントに
なるまで増殖させ、その4/5を0.5mlの保存用培地(ES培
地+10%DMSO<シグマ>)に懸濁し、-80℃にて凍結保存し
た。残りの1/5は12穴ゼラチンコートプレートに播種
し、2日間培養して(実施例2)に示した方法でゲノムDN
Aを取得した。これらのG418感受性TT2F細胞株ゲノムDNA
を制限酵素EcoRI(宝酒造)で消化し、アガロースゲル
電気泳動で分離後サザンブロットを行ない、G418耐性遺
伝子を含むpSTneoB由来3.2kb XhoI断片 (プローブA)
でG418耐性遺伝子の除去を確認した。その結果、#131-3
において観察される、プローブAとハイブリダイズする
バンドが、感受性株においては全く検出されなかった。
これらの結果より、取得されたG418感受性株において確
かにG418耐性マーカー遺伝子が除去されていることが確
認された。さらに上記と同様な方法でpBS185DNAをEcoRI
消化したプローブBを用いてサザン解析を行った結果、
これらG418感受性株にプローブBとハイブリダイズする
特異的なバンドは検出されなかったことから、Creレコ
ンビナーゼを含むpBS185は感受性株染色体に挿入されて
いないと考えられる。すなわち、これらの感受性株は実
施例48-4に示した抗体軽鎖ノックアウトベクター (G418
耐性遺伝子の両側にloxP配列が存在する) による形質転
換を行うことができる。
【0198】(実施例53)抗体重鎖欠損ES細胞株へのヒ
ト14番染色体(抗体重鎖)の導入 (実施例52)で得られた、内在性の抗体重鎖を欠損する
マウスES細胞株(TT2F由来、G418感受性)に(実施例
9)で示した通りにG418耐性遺伝子によりマーキングさ
れたヒト14番染色体(抗体重鎖遺伝子を含む)をミクロ
セル法により導入する。得られるG418耐性株においてPC
R解析等(実施例9)によりヒト抗体重鎖遺伝子を含むヒ
ト14番染色体(断片)の保持が確認される。
【0199】(実施例54)ヒト14番染色体(断片)を保
持する抗体重鎖欠損ES細胞株へのヒト2番染色体断片あ
るいは22番染色体の導入 (実施例53)で得られた、ヒト14番染色体断片を保持す
る抗体重鎖欠損マウスES細胞株(G418耐性)に(実施例
18、35)で示した通りにピューロマイシン耐性遺伝子に
よりマーキングされたヒト2番染色体断片(抗体軽鎖κ
遺伝子を含む)あるいはヒト22番染色体(抗体軽鎖λ遺
伝子を含む)をミクロセル法により導入する。得られる
ピューロマイシン、G418二重薬剤耐性株においてPCR解
析等(実施例18、35)によりヒト14番染色体(断片)及
び2番染色体断片あるいは22番染色体(断片)の保持が
確認される。
【0200】(実施例55)ヒト抗体重鎖遺伝子を含む14
番染色体(断片)を保持する内在性抗体重鎖欠損マウス
ES細胞からのキメラマウス作成 (実施例53)で取得されるヒト抗体重鎖遺伝子を含む14
番染色体(断片)を保持する内在性抗体重鎖遺伝子欠損
マウスES細胞株からのキメラマウス作成は(実施例10)
で示した方法により行う。ここで得られるキメラマウス
においては、ES細胞株由来のB細胞で産生されるヒト抗
体重鎖が(実施例14)で示した方法により検出される。
また、このES細胞由来のB細胞において機能的な抗体重
鎖遺伝子は導入染色体上のヒト由来のもののみであるの
で、ES細胞株由来B細胞の多くはヒト抗体重鎖を産生す
る。
【0201】(実施例56)ヒト14番+2番、14番+22番
染色体(断片)を保持する内在性抗体重鎖欠損マウスES
細胞からのキメラマウス作成 (実施例54)で取得されるヒト14番+2番、14番+22番
染色体(断片)を保持する内在性抗体重鎖遺伝子欠損マ
ウスES細胞株からのキメラマウス作成は(実施例19、3
6)等で示した方法により行う。ここで得られるキメラ
マウスにおいては、ES細胞株由来のB細胞でヒト抗体重
鎖及び軽鎖κあるいは軽鎖λが(実施例14、23、32)で
示した方法により検出される。また、(実施例55)と同
様にこのES細胞由来のB細胞において機能的な抗体重鎖
遺伝子は導入染色体上のヒト由来のもののみであるの
で、ES細胞由来B細胞の多くはヒト抗体重鎖を産生す
る。さらに、(実施例37、38)で示したように重鎖、軽
鎖が共にヒト由来である完全なヒト抗体分子が検出され
る。
【0202】(実施例57)ヒト14番+2番、14番+22番
染色体(断片)を保持する内在性抗体重鎖欠損マウスES
細胞由来キメラマウスからのヒト抗体産生ハイブリドー
マ取得 (実施例15、25、34)と同様に(実施例56)で作成され
るキメラマウスに目的とする抗原で免疫し、脾臓を取り
出し、ミエローマ細胞と細胞融合し、ハイブリドーマを
作成する。1〜3週間培養し培養上清をELISA法で解析す
る。ELISA法は(実施例14、15、21、24、25、33、34、3
7、38)に示した方法で行ない、ヒト抗体陽性及びヒト
抗体陽性かつ免疫した抗原特異的クローンを得る。
【0203】(実施例58)抗体重鎖欠損ホモ接合体マウ
スES細胞からの抗体軽鎖遺伝子破壊株の取得 (実施例52)で取得した抗体重鎖欠損ホモ接合体TT2F細
胞株(G418感受性)においてさらに抗体軽鎖遺伝子を破
壊した相同組換え体を以下の手順で取得する。(実施例
48-4)で作成した抗体軽鎖ターゲッティングベクターを
制限酵素KpnI(宝酒造)で線状化し、(相沢慎一、バイ
オマニュアルシリーズ8,ジーンターゲティング, 羊土
社, 1995)の方法に従い上記TT2F細胞株(G418感受性)
へ導入する。7〜9日後に生じたコロニーをピックアップ
し、(実施例49)に示した方法で凍結保存、ゲノムDNA
を取得する。G418耐性株ゲノムDNAを制限酵素EcoRIとNo
tI(宝酒造)で消化し、アガロースゲル電気泳動で分離
後サザンブロット解析を行ない、(実施例48-4)に示し
たプローブで相同組換え体を検出する。
【0204】(実施例59)抗体軽鎖相同組換え体からの
2重破壊株の取得 (実施例58)で得られたTT2F抗体軽鎖相同組換え体(か
つ抗体重鎖欠損ホモ接合体)について軽鎖両側アレルの
破壊株を以下の手順により取得する。(実施例51)と同
様な方法で高濃度G418耐性株を取得し、凍結保存、DNA
取得を行なう。高濃度G418耐性株ゲノムDNAを制限酵素E
coRIとNotI(宝酒造)で消化し、アガロースゲル電気泳
動で分離後サザンブロットを行ない、(実施例48-4)に
示したプローブで両側アレルの破壊された株を検出す
る。
【0205】(実施例60)抗体軽鎖欠損ホモ接合体(か
つ抗体重鎖欠損ホモ接合体)TT2F細胞株からのG418耐性
マーカー遺伝子の除去 (実施例59)で取得された抗体軽鎖両側アレル破壊株
(高濃度G418耐性株)のG418耐性マーカー遺伝子を(実
施例52)で示した手順により除去する。G418耐性マーカ
ー遺伝子の両側に挿入したloxP配列(実施例48-1)の間
で部位特異的組換えを起こすCreレコンビナーゼ遺伝子
を含む発現ベクターpBS185(BRL)を(実施例52)の方
法に従い上記の株へ導入する。(実施例52)と同様に得
られるG418感受性株を35mmシャーレでコンフルーエント
になるまで増殖させ、その4/5を0.5mlの保存用培地(ES
培地+10%DMSO<シグマ>)に懸濁し、-80℃にて凍結保存
する。残りの1/5は12穴ゼラチンコートプレートに播種
し、2日間培養して(実施例2)に示した方法でゲノムDN
Aを取得する。これらのG418感受性TT2F細胞ゲノムDNAを
制限酵素EcoRI(宝酒造)で消化し、アガロースゲル電
気泳動で分離後サザンブロットを行ない、G418耐性遺伝
子を含むpSTneoB由来3.2kbXhoI断片をプローブとし、G4
18耐性遺伝子の除去を確認する。
【0206】(実施例61)抗体重鎖、軽鎖欠損ES細胞株
へのヒト14番染色体(抗体重鎖)の導入 (実施例60)で得られた、内在性の抗体重鎖及び軽鎖の
両者を欠損するマウスES細胞株(TT2F由来、G418感受
性)に(実施例9)で示した通りにG418耐性遺伝子によ
りマーキングされたヒト14番染色体(ヒト抗体重鎖遺伝
子を含む)をミクロセル法により導入する。得られるG4
18耐性株においてPCR解析等(実施例9)によりヒト抗体
重鎖遺伝子を含むヒト14番染色体(断片)の保持が確認
される。
【0207】(実施例62)抗体重鎖、軽鎖欠損かつヒト
14番染色体(抗体重鎖)を保持するES細胞株へのヒト2
番染色体(軽鎖κ)の導入 (実施例61)で得られた、内在性抗体重鎖及び軽鎖欠損
かつヒト14番染色体を保持するマウスES細胞株(TT2F由
来、G418耐性)に(実施例18)で示した通りにピューロ
マイシン耐性遺伝子でマーキングされたヒト2番染色体
(ヒト抗体軽鎖κ遺伝子を含む)部分断片をミクロセル
法により導入する。得られるピューロマイシン、G418二
重薬剤耐性株においてPCR解析等(実施例18)によりヒ
ト14番染色体(断片)及び2番染色体断片の保持が確認
される。
【0208】(実施例63)抗体重鎖、軽鎖欠損かつヒト
14番染色体(抗体重鎖)を保持するES細胞株へのヒト22
番染色体(軽鎖λ)の導入 (実施例61)で得られた、内在性抗体重鎖及び軽鎖欠損
かつヒト14番染色体を保持するマウスES細胞株(TT2F由
来、G418耐性)に(実施例35)で示した通りにピューロ
マイシン耐性遺伝子でマーキングされたヒト22番染色体
(ヒト抗体軽鎖λ遺伝子を含む)をミクロセル法により
導入する。得られるピューロマイシン、G418二重耐性株
においてPCR解析等(実施例35)によりヒト14番染色体
(断片)及び22番染色体 (断片) の保持が確認される。
【0209】(実施例64)ヒト2番(抗体軽鎖κ)、14
番(抗体重鎖)、22番(抗体λ鎖)染色体あるいはその
部分断片を同時に保持する内在性抗体重鎖、軽鎖欠損マ
ウスES細胞の取得 3種のヒト染色体を同時に保持するマウスES細胞を得る
ために、ヒト2番あるいは22番染色体をブラストサイジ
ン耐性(Izumiら、Exp. Cell. Res., 197, 229,199
1)、ハイグロマイシン耐性(Windら、Cell, 82, 321-,
1995)等のマーカー遺伝子の挿入によりマーキングす
る。これは(実施例16、26)に示した方法により行う。
(実施例62)で得られた、内在性抗体重鎖及び軽鎖欠損
でありかつヒト14番染色体(断片)及び2番染色体部分
断片を保持するマウスES細胞株(TT2F由来、G418耐性、
ピューロマイシン耐性)に(実施例9)で示した方法と
同様にブラストサイジン耐性あるいはハイグロマイシン
耐性等でマーキングされたヒト22番染色体(ヒト抗体軽
鎖λ遺伝子を含む)を導入する。ES細胞培養用のフィー
ダー細胞はそれぞれの選択マーカーに適したものを使用
する。ハイグロマイシン耐性マーカーを使用する場合
は、そのマーカーを保持し、発現するトランスジェニッ
クマウス系統より得た初代培養繊維芽細胞(Johnson
ら、Nucleic Acids Research, vol. 23, No. 7, 1273-,
1995)を使用する。得られるG418、ピューロマイシ
ン、ハイグロマイシン(あるいはブラストサイジン)三
重耐性株は上記3種のヒト染色体(断片)を保持してい
ることがPCR解析等(実施例9、18、35)により確認され
る。(実施例63)で得られた内在性抗体重鎖及び軽鎖欠
損でありかつヒト14番染色体(断片)及び22番染色体部
分断片を保持するマウスES細胞株(TT2F由来、G418耐
性、ピューロマイシン耐性)へのハイグロマイシンある
いはブラストサイジン耐性遺伝子でマーキングされたヒ
ト2番染色体断片の導入も同様に行う。
【0210】(実施例65)ヒト抗体遺伝子 (重鎖+軽
鎖)を含む染色体(断片)を保持する内在性抗体重鎖、
軽鎖遺伝子欠損マウスES細胞からのキメラマウス作成 (実施例61、62、63、64)で取得されるヒト抗体遺伝子
を含む染色体(断片)を保持する内在性抗体重鎖、軽鎖
遺伝子欠損マウスES細胞株からのキメラマウス作成は
(実施例10)等で示した方法により行う。ここで得られ
るキメラマウスにおいては、宿主胚由来のB細胞で産生
されるマウス抗体とES細胞株由来のB細胞で主に産生さ
れるヒト抗体が(実施例14、23、32)で示した方法によ
り検出される。また、このES細胞由来のB細胞において
機能的な抗体重鎖及び軽鎖κ遺伝子は導入染色体上のヒ
ト由来のもののみであるので、ES細胞由来のB細胞の多
くはヒト抗体重鎖及び軽鎖κを産生する( Lonbergら,
Nature, 368, 856-, 1994)。さらに、(実施例37、3
8)で示した方法により重鎖、軽鎖が共にヒト由来であ
る完全なヒト抗体分子が検出される。
【0211】(実施例66)ヒト抗体遺伝子(重鎖+軽
鎖)を含む染色体(断片)を保持する内在性抗体重鎖、
軽鎖遺伝子欠損マウスES細胞由来キメラマウスからのヒ
ト抗体産生ハイブリドーマ取得 (実施例25)と同様に(実施例65)で得られるキメラマ
ウスに目的とする抗原で免疫し、脾臓を取り出し、ミエ
ローマ細胞と細胞融合し、ハイブリドーマを作成する。
1〜3週間培養し培養上清をELISA法で解析する。ELISA法
は(実施例14、15、21、22、23、24、25、33、34、37、
38)に示した方法で行ない、ヒト抗体陽性及びヒト抗体
陽性かつ免疫した抗原特異的クローンを得る。
【0212】(実施例67)重鎖遺伝子欠損宿主胚とのキ
メラマウス作成 (実施例49)で作成した内在性抗体重鎖片側アレル欠損
TT2F細胞株由来キメラマウスの子孫のうち野性色を示す
ものについてサザン解析あるいはPCR(実施例49)等
により欠損アレルを保持する個体を選抜する(期待され
る確率は1/2である)。これらの抗体重鎖欠損ヘテロ接
合体の雌雄個体の交配により生まれる子マウスについて
サザン解析(実施例49参照)、リンパ球表面でのμ鎖発
現(Kitamuraら, Nature, 350, 423-,1991)等の解析を
行い、両側アレルが欠損し、自身の機能的な抗体をほと
んど産生できない抗体重鎖欠損ホモ接合体を得ることが
できる(期待される確率は1/4である、膜型μ鎖欠損マ
ウスにおける結果:Kitamuraら, Nature, 350, 423-,19
91参照)。清浄な環境で飼育したホモ接合体雌雄個体の
交配により得られる胚をキメラマウス作成の際の宿主と
して利用できる。この場合キメラマウスにおいて機能的
なB細胞はほとんど注入したES細胞に由来する。RAG-2欠
損マウス(Shinkaiら, Cell, 68, 855-, 1992)等、機
能的なB細胞を自ら作ることができない他のマウス系統
もこの目的に同様に利用できる。このシステムにおいて
(実施例62、63、64)で得られる内在性抗体重鎖及び軽
鎖欠損かつヒト14番+2番あるいは14番+22番あるいは1
4番+2番+22番染色体(断片)を保持するマウスES細胞
株を使用し(実施例10)等に示した方法でキメラマウス
を作成する。得られるキメラマウスではES細胞由来のB
細胞において機能的なヒト抗体重鎖(14番染色体上)、
軽鎖κ(2番染色体上)、軽鎖λ(22番染色体上)遺伝
子より主にヒト重鎖及びヒト軽鎖からなる抗体を生産す
る。
【0213】(実施例68)ヒト14番染色体(断片)導入
ES細胞由来キメラマウス子孫におけるヒト染色体の保持 (実施例9)と同様な方法及び、(実施例9)のマウスES
細胞をTT2F(39、XO、実施例39)に置き換えた方法を利
用して得られるヒト14番染色体(断片)を保持するキメ
ラマウスと野生型ICRマウス(アルビノ、日本クレア
社)を混合して交配する。誕生する野生色の子マウスの
尻尾より調製したゲノムDNAについてヒト14番染色体断
片の保持をPCR法により検討する(実施例9、42、43参
照)。ヒト14番染色体(断片)を保持するマウスES細胞
株は(実施例42)及び(実施例43)で示した通りにキメ
ラマウス中で機能的な卵子あるいは精子に分化し、それ
由来の子孫にヒト14番染色体(断片)が伝達可能であ
る。すなわちヒト抗体重鎖遺伝子を含む14番染色体(断
片)を保持する継代可能なマウス系統を確立することが
できる。本実施例及び以下の実施例69〜74において、ヒ
ト14番染色体 (断片) はヒト抗体重鎖遺伝子、ヒト2番
染色体 (断片) はヒト抗体κ鎖遺伝子を、ヒト22番染色
体 (断片) はヒト抗体λ鎖遺伝子を、それぞれ含むもの
を指す。
【0214】(実施例69)ヒト22番染色体(断片)導入
ES細胞由来キメラマウス子孫におけるヒト染色体の保持 (実施例30)と同様な方法及び、(実施例30)のマウス
ES細胞をTT2F(39、XO)に置き換えた方法を利用して得
られるヒト22番染色体(断片)を保持するキメラマウス
とICRマウスを混合して交配する。誕生する野生色の子
マウスの尻尾より調製したゲノムDNAについてヒト22番
染色体断片の保持をPCR法により検討する(実施例30、4
2、43参照)。ヒト22番染色体あるいはその部分断片を
保持するマウスES細胞株は(実施例42)及び(実施例4
3)で示した通りにキメラマウス中で機能的な卵子ある
いは精子に分化し、それ由来の子孫にヒト22番染色体
(断片)が伝達可能である。すなわちヒト抗体軽鎖λ遺
伝子を含む22番染色体(断片)を保持する継代可能なマ
ウス系統を確立することができる。
【0215】(実施例70)ヒト2番染色体断片及び14番
染色体(断片)を同時に保持するマウス個体の交配によ
る作成 (実施例42)あるいは(実施例43)で得られたヒト2番
染色体断片を保持するマウス系統と(実施例68)で得ら
れるヒト14番染色体(断片)を保持するマウス系統を交
配することにより生まれる子マウスの尻尾より調製した
ゲノムDNAをPCR法等(実施例9、42、43)により解析し
て、ヒト2番染色体部分断片及びヒト14番染色体(断
片)を同時に保持する個体を得る。
【0216】(実施例71)ヒト22番染色体(断片)及び
14番染色体(断片)を同時に保持するマウス個体の交配
による作成 (実施例69)で得られるヒト22番染色体(断片)を保持
するマウス系統と(実施例68)で得られるヒト14番染色
体(断片)を保持するマウス系統を交配することにより
生まれる子マウスの尻尾より調製したゲノムDNAをPCR法
等(実施例30、42、43)により解析して、ヒト22番染色
体(断片)及びヒト14番染色体(断片)を同時に保持す
る個体を得る。
【0217】(実施例72)ヒト2番染色体断片、14番染
色体(断片)及び22番染色体(断片)を同時に保持する
マウス個体の交配による作成 (実施例71)で得られるヒト22番染色体(断片)及びヒ
ト14番染色体(断片)を保持するマウス系統を(実施例
42、43)で得られたヒト2番染色体断片を保持するマウ
ス系統と交配することにより生まれる子マウスの尻尾よ
り調製したゲノムDNAをPCR法等(実施例9、30、42、4
3)により解析して、ヒト22番染色体(断片)及びヒト1
4番染色体(断片)及びヒト2番染色体部分断片の3種の
ヒト染色体を同時に保持する個体を得る。あるいは(実
施例70)で得られるヒト2番染色体(断片)及びヒト14
番染色体(断片)を保持するマウス系統と(実施例69)
で得られるヒト22番染色体断片を保持するマウス系統と
交配することによっても同様に3種のヒト染色体を同時
に保持するマウス個体を得る。
【0218】(実施例73)完全なヒト抗体を主として産
生するマウス系統の交配による作成 ヒト2番+14番(実施例70)、14番+22番(実施例7
1)、2番+14番+22番(実施例72)染色体を保持するマ
ウス系統を内在性抗体重鎖 (実施例67; Kitamuraら, Na
ture, 350, 423-, 1991)、軽鎖κ (Zouら, EMBO J., 1
2, 811-, 1993; Chenら, EMBO J., 12, 821-, 1993)遺
伝子を欠損しているマウス系統と交配を繰り返し、ヒト
2番+14番、14番+22番、または2番+14番+22番染色体
を保持するマウスをPCR解析等(実施例9、30、42、43)
により選抜し、主に完全なヒトを産生するマウス系統を
確立する(Greenら, Nature Genetics, 7, 13-, 1994,
Lonbergら, Nature, 368, 856-, 1994)。
【0219】(実施例74)交配により得られるヒト抗体
遺伝子を含むヒト染色体を保持するマウス系統からのヒ
ト抗体産生ハイブリドーマ取得 (実施例25)と同様に(実施例42、43、68、69、70、7
1、72、73)で得られるヒト抗体遺伝子を含むヒト染色
体を保持するマウス個体に目的とする抗原で免疫し、脾
臓を取り出し、ミエローマ細胞と細胞融合し、ハイブリ
ドーマを作成する。1〜3週間培養し培養上清をELISA法
で解析する。ELISA法は(実施例14、15、21、22、25、3
3、34、37、38)に示した方法で行ない、ヒト抗体陽性
及びヒト抗体陽性かつ免疫した抗原特異的クローンを得
る。
【0220】(実施例75) マウス抗体重鎖両側アレル破
壊TT2F細胞株由来キメラマウスの血清中のマウスIgMの
検出および定量 (実施例51) で取得されたマウス抗体重鎖両側アレル破
壊TT2F細胞株(#131−3)より (実施例40) に示
した方法で誕生した子マウスのうちキメラ率がそれぞれ
0%、50% 、99% の3個体について血清中のマウスIgMの検
出および定量を行った。生後約2週齢のキメラマウスよ
り採血し血清中のマウスIgM濃度を (実施例14) のELISA
法を用いて定量した。PBSで希釈した抗マウスIgM抗体
(Kirkegaard & PerryLaboratories Inc., 01-18-03)を
固定し、次いで5%FBSを添加したPBSで希釈した血清試料
を加えた。ペルオキシダーゼ標識抗マウスIgM抗体(Kirk
egaard & PerryLaboratories Inc., 074-1803)を加え、
TMBZを基質とし、450 nmの吸光度を測定した。精製され
たマウスIgM(ファーミンジェン、03081D) を標準とし段
階的にFBS添加のPBSで希釈した。結果を第20表に示す。
マウス抗体重鎖の両側アレルが破壊されたTT2F細胞由来
のキメラマウスのうち、キメラ率が99% のものはマウス
IgM濃度が低く、ES細胞のマウス重鎖遺伝子がほとんど
機能しないことが確認された。
【0221】
【表20】
【0222】
【発明の効果】本発明により、単一または複数の外来染
色体またはその断片を保持し、該染色体またはその断片
上の遺伝子を発現するキメラ非ヒト動物が提供された。
本発明のキメラ非ヒト動物を利用して、生物学的に活性
な物質を製造することができる。 本発明により、単一
または複数の外来染色体またはその断片を保持し、該染
色体またはその断片上の遺伝子を発現する分化多能性を
持つ細胞が提供された。該細胞を利用して、骨髄移植等
による遺伝病治療を行うことができる。
【0223】
【配列表】 SEQUENCE LISTING <110> KIRIN BEER KABUSHIKI KAISHA <120> CHIMERIC ANIMAL AND METHOD FOR PRODUCING THE SAME <130> P99-0160 <140> <141> <150> JP 7-242340 <151> 1995-08-29 <150> JP 8-027940 <151> 1996-02-15 <160> 62 <170> PatentIn Ver. 2.0 <210> 1 <211> 20 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:synthetic DNA <400> 1 tggaaggtgg ataacgccct 20 <210> 2 <211> 22 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:synthetic DNA <400> 2 tcattctcct ccaacattag ca 22 <210> 3 <211> 21 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:synthetic DNA <400> 3 tgtaggggac ctggagcctt g 21 <210> 4 <211> 21 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:synthetic DNA <400> 4 ttgacaactc acctggacta g 21 <210> 5 <211> 20 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:synthetic DNA <400> 5 ctctcctgca gggccagtca 20 <210> 6 <211> 22 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:synthetic DNA <400> 6 tgctgatggt gagagtgaac tc 22 <210> 7 <211> 20 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:synthetic DNA <400> 7 agtcagggca ttagcagtgc 20 <210> 8 <211> 20 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:synthetic DNA <400> 8 gctgctgatg gtgagagtga 20 <210> 9 <211> 20 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:synthetic DNA <400> 9 tggtggctga aagctaagaa 20 <210> 10 <211> 20 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:synthetic DNA <400> 10 ccagaagaat ggtgtcatta 20 <210> 11 <211> 20 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:synthetic DNA <400> 11 tccaggttct gcagagcaag 20 <210> 12 <211> 20 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:synthetic DNA <400> 12 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Description of Artificial Sequence:synthetic DNA <400> 19 ttaagggtca cccagagact 20 <210> 20 <211> 20 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:synthetic DNA <400> 20 tgtagttgga ggccatgtcc 20 <210> 21 <211> 20 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:synthetic DNA <400> 21 caaaaagtcc aaccctatca 20 <210> 22 <211> 20 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:synthetic DNA <400> 22 gccctcagaa gacgaagcag 20 <210> 23 <211> 20 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:synthetic DNA <400> 23 tcgttcctgt cgaggatgaa 20 <210> 24 <211> 20 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:synthetic DNA <400> 24 tcactccgaa gctgcctttc 20 <210> 25 <211> 21 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:synthetic DNA <400> 25 atgtacagga tgcaactcct g 21 <210> 26 <211> 20 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:synthetic DNA <400> 26 tcatctgtaa atccagcagt 20 <210> 27 <211> 20 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:synthetic DNA <400> 27 gatcccatcg cagctaccgc 20 <210> 28 <211> 20 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:synthetic DNA <400> 28 ttcgccgagt agtcgcacgg 20 <210> 29 <211> 22 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:synthetic DNA <400> 29 gatgaactag tccaggtgag tt 22 <210> 30 <211> 22 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:synthetic DNA <400> 30 ccttttggct tctactcctt ca 22 <210> 31 <211> 20 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:synthetic DNA <400> 31 atagagggta cccactctgg 20 <210> 32 <211> 20 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:synthetic DNA <400> 32 aaccaggtag gttgatatgg 20 <210> 33 <211> 20 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:synthetic DNA <400> 33 aagttcctgt gatgtcaagc 20 <210> 34 <211> 20 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:synthetic DNA <400> 34 tcatgagcag attaaacccg 20 <210> 35 <211> 20 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:synthetic DNA <400> 35 tgtgaaggag gaccaggtgt 20 <210> 36 <211> 20 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:synthetic DNA <400> 36 tgtaggggtt gacagtgaca 20 <210> 37 <211> 20 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:synthetic DNA <400> 37 ctgagagatg cctctggtgc 20 <210> 38 <211> 20 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:synthetic DNA <400> 38 ggcggttagt ggggtcttca 20 <210> 39 <211> 20 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:synthetic DNA <400> 39 ggtgtcgtgg aactcaggcg 20 <210> 40 <211> 20 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:synthetic DNA <400> 40 ctggtgcagg acggtgagga 20 <210> 41 <211> 20 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:synthetic DNA <400> 41 gcatcctgac cgtgtccgaa 20 <210> 42 <211> 20 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:synthetic DNA <400> 42 gggtcagtag caggtgccag 20 <210> 43 <211> 20 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:synthetic DNA <400> 43 agtgagataa gcagtggatg 20 <210> 44 <211> 20 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:synthetic DNA <400> 44 gttgtgctac tcccatcact 20 <210> 45 <211> 21 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:synthetic DNA <400> 45 ttgtatttcc aggagaaagt g 21 <210> 46 <211> 20 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Sequence:synthetic DNA <400> 52 atggacatgr rrdycchvgy kcasctt 27 <210> 53 <211> 28 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:synthetic DNA <400> 53 ccaagcttca ggagaaagtg atggagtc 28 <210> 54 <211> 28 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:synthetic DNA <400> 54 ccaagcttag gcagccaacg gccacgct 28 <210> 55 <211> 28 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:synthetic DNA <400> 55 ccaagcttca gaggcagttc cagatttc 28 <210> 56 <211> 28 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:synthetic DNA <400> 56 gggaattcgg gtagaagtca ctgatcag 28 <210> 57 <211> 28 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:synthetic DNA <400> 57 gggaattcgg gtagaagtca cttatgag 28 <210> 58 <211> 28 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:synthetic DNA <400> 58 gggaattcgg gtagaagtca 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【0224】
【配列表フリーテキスト】配列番号1〜62の配列は合
成DNAのヌクレオチド配列である。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1図は、ヒト2番染色体(断片)を保持するA
9細胞の解析(PCR解析)の結果が示されている。
【図2】第2図は、E14耐性株においてヒト22番染色体
(断片)が保持されていることが示されている(PCR解
析)。
【図3】第3図は、22番染色体導入ES細胞由来キメラマ
ウスにおいてヒトL1配列が保持されていることを示す電
気泳動写真である(サザン解析)。
【図4】第4図は、ヒト22番染色体導入キメラマウス臓
器におけるヒト染色体の保持の様子を示す電気泳動写真
である(PCR解析)。
【図5】第5図は、ヒト22番染色体導入キメラマウスに
おけるヒト遺伝子発現(RT-PCR)の結果を示す電気泳動
写真である。
【図6】第6図は、ヒト22番染色体導入キメラマウス臓
器におけるヒト遺伝子発現(RT-PCR)の結果を示す電気
泳動写真である。
【図7】第7図は、E14耐性株においてヒト4番染色体
(断片)が保持されていることが示されている(PCR解
析)。
【図8】第8図は、ヒト4番染色体導入E14細胞株におけ
るヒトL1配列の検出(サザン解析)の結果を示す電気泳
動写真である。
【図9】第9図は、ヒト4番染色体導入ES細胞由来キメ
ラマウスにおいてヒトL1配列が保持されていることを示
す電気泳動写真である(サザン解析)。
【図10】第10図は、TT2耐性株においてヒト14番染色
体(断片)が保持されていることが示されている(PCR
解析)。
【図11】第11図は、ヒト14番染色体導入ES細胞由来キ
メラマウス臓器におけるヒト染色体の保持の様子を示す
電気泳動写真である(PCR解析)。
【図12】第12図は、尻尾由来繊維芽細胞G418耐性テス
トの結果が示されている。
【図13】第13図は、ヒト血清アルブミン免疫キメラマ
ウス血清中のヒト抗体IgM濃度(ELISA)が示されてい
る。
【図14】第14図は、ヒト血清アルブミン免疫キメラマ
ウス血清中のヒト抗体IgG濃度(ELISA)が示されてい
る。
【図15】第15図は、ヒトIgM産生ハイブリドーマクロ
ーンH4B7の解析(ELISA)の結果が示されている。
【図16】第16図は、ヒト2番染色体部分断片及び14番
染色体部分断片を保持するマウスES細胞株(TT2細胞株P
G15)のFISH解析の結果を示す染色体の形態の写真であ
る。
【図17】第17図は、ヒト血清アルブミン免疫キメラマ
ウス血清中の抗ヒト血清アルブミンヒトIgG抗体価の増
加が示されている。
【図18】第18図は、ヒト血清アルブミン免疫キメラマ
ウス血清中の抗ヒト血清アルブミンヒトIgκ抗体価の増
加が示されている。
【図19】第19図は、ヒト22番染色体導入TT2細胞株に
おけるヒトL1配列の検出(サザン解析)の結果を示す電
気泳動写真である。
【図20】第20図は、ヒト血清アルブミン免疫キメラマ
ウス血清中の抗ヒト血清アルブミンヒトIgλ抗体価の増
加が示されている。
【図21】第21図は、ヒト2番染色体部分断片導入キメ
ラマウスの子孫においてヒト2番染色体部分断片が保持
されていることが示されている(PCR解析)。
【図22】第22図は、ヒト14番染色体導入キメラマウス
脾臓において細胞表面にヒトμ鎖が発現している細胞の
存在を示している(フローサイトメトリー解析)。
【図23】第23図は、LoxP-pstNEOプラスミドDNA の構
造を示している。
【図24】第24図は、マウス抗体重鎖CμのゲノムDNAの
構造を示している。
【図25】第25図は、マウス抗体軽鎖κのゲノムDNAの
構造を示している。
【図26】第26図は、マウス抗体重鎖ターゲッティング
ベクター及び、サザンブロット用プローブの構造と相同
組換え体で検出されるべきDNA断片について示してい
る。
【図27】第27図は、マウス抗体軽鎖κターゲッティン
グベクター及び、サザンブロット用プローブの構造と相
同組換え体で検出されるべきDNA断片について示してい
る。
【図28】第28図は、マウス抗体重鎖相同組換え体及び
相同組換え体由来高濃度G418耐性株のサザン解析の結果
を示す電気泳動写真である。
フロントページの続き (72)発明者 押村 光雄 鳥取県米子市西町86 鳥取大学医学部生命 科学科内 (72)発明者 石田 功 群馬県高崎市宮原町3番地 麒麟麦酒株式 会社医薬探索研究所内

Claims (45)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 単一または複数の外来染色体あるいはそ
    の断片を含むミクロセルを作製し、該ミクロセルとの融
    合により、分化多能性を保持する細胞へ前記単一または
    複数の外来染色体あるいはその断片を移入させることを
    特徴とする、キメラ非ヒト動物の作製法。
  2. 【請求項2】 単一または複数の外来染色体あるいはそ
    の断片を含むミクロセルを作製し、該ミクロセルとの融
    合により、分化多能性を保持する細胞へ前記単一または
    複数の外来染色体あるいはその断片を移入させることを
    特徴とする、単一または複数の外来染色体あるいはその
    断片を含む分化多能性を保持する細胞の作製方法。
  3. 【請求項3】 単一または複数の外来染色体あるいはそ
    の断片が670kbを越える大きさを有するものである
    請求項1または2に記載の方法。
  4. 【請求項4】 単一または複数の外来染色体あるいはそ
    の断片の大きさが1Mb(百万塩基対)以上である請求
    項3記載の方法。
  5. 【請求項5】 外来染色体あるいはその断片が抗体をコ
    ードする領域を含むものである請求項1または2に記載
    の方法。
  6. 【請求項6】 単一または複数の外来染色体あるいはそ
    の断片を含むミクロセルが、単一または複数の外来染色
    体あるいはその断片を含む細胞とミクロセル形成能の高
    い細胞とを融合させて作製されたハイブリッド細胞から
    誘導されたものである請求項1または2に記載の方法。
  7. 【請求項7】 単一または複数の外来染色体あるいはそ
    の断片を含むミクロセルが、前記ハイブリッド細胞から
    誘導されたミクロセルをさらにミクロセル形成能の高い
    細胞と融合させて作製された細胞から誘導されたもので
    ある請求項6記載の方法。
  8. 【請求項8】 単一または複数の外来染色体あるいはそ
    の断片を含む細胞がヒト正常2倍体細胞である請求項6
    記載の方法。
  9. 【請求項9】 ミクロセル形成能の高い細胞がマウスA
    9細胞である請求項6〜8のいずれか一項に記載の方
    法。
  10. 【請求項10】 分化多能性を保持する細胞がES細胞
    である請求項1または2に記載の方法。
  11. 【請求項11】 外来染色体あるいはその断片が目的の
    遺伝子を含むものであり、分化多能性を保持する細胞が
    その外来染色体あるいはその断片上の該目的の遺伝子と
    同じあるいは相同の遺伝子が破壊されているものである
    請求項1または2に記載の方法。
  12. 【請求項12】 その外来染色体あるいはその断片上の
    前記の目的の遺伝子と同じあるいは相同の遺伝子が破壊
    されている分化多能性を保持する細胞に、該目的の遺伝
    子と同じあるいは相同の遺伝子を含む外来染色体あるい
    はその断片を移入した後、該細胞と前記目的の遺伝子と
    同じあるいは相同の遺伝子が欠損している系統の非ヒト
    動物の胚とのキメラを作製する請求項1記載の方法。
  13. 【請求項13】 前記目的の遺伝子と同じあるいは相同
    の遺伝子が欠損している系統の非ヒト動物が標的遺伝子
    相同組み換え法により作製されたものである請求項12記
    載の方法。
  14. 【請求項14】 キメラ非ヒト動物が、単一または複数
    の外来染色体あるいはその断片を保持し、該外来染色体
    あるいはその断片上の遺伝子を発現し、該外来染色体あ
    るいはその断片を子孫に伝達可能なものである請求項1
    記載の方法。
  15. 【請求項15】 キメラ非ヒト動物が哺乳動物である請
    求項1記載の方法。
  16. 【請求項16】 哺乳動物がマウスである請求項15記載
    の方法。
  17. 【請求項17】 単一または複数の外来染色体あるいは
    その断片を含む分化多能性を保持する細胞。
  18. 【請求項18】 単一または複数の外来染色体あるいは
    その断片が670kbを越える大きさを有するものであ
    る請求項17記載の細胞。
  19. 【請求項19】 キメラ非ヒト動物を作製するための請
    求項17または18に記載の細胞の使用。
  20. 【請求項20】 単一または複数の外来染色体あるいは
    その断片を保持し、該外来染色体あるいはその断片上の
    遺伝子を発現するキメラ非ヒト動物、または、前記の単
    一もしくは複数の外来染色体あるいはその断片を保持
    し、該外来染色体あるいはその断片上の遺伝子を発現す
    るその子孫。
  21. 【請求項21】 単一または複数の外来染色体あるいは
    その断片が670kbを越える大きさを有するものであ
    る請求項20記載のキメラ非ヒト動物またはその子孫。
  22. 【請求項22】 請求項20記載のキメラ非ヒト動物また
    はその子孫の交配により得られる単一または複数の外来
    染色体あるいはその断片を保持し、該外来染色体あるい
    はその断片上の遺伝子を発現する非ヒト動物、または、
    単一もしくは複数の外来染色体あるいはその断片を保持
    し、該外来染色体あるいはその断片上の遺伝子を発現す
    るその子孫。
  23. 【請求項23】 請求項20記載のキメラ非ヒト動物もし
    くはその子孫または請求項22記載の非ヒト動物もしくは
    その子孫に由来する組織。
  24. 【請求項24】 請求項20記載のキメラ非ヒト動物もし
    くはその子孫または請求項22記載の非ヒト動物もしくは
    その子孫に由来する細胞。
  25. 【請求項25】 B細胞である請求項24記載の細胞。
  26. 【請求項26】 請求項24記載の細胞とミエローマ細胞
    との融合により作製されたハイブリドーマ。
  27. 【請求項27】 単一または複数の外来染色体あるいは
    その断片を保持し、該外来染色体あるいはその断片上の
    遺伝子を発現する請求項20記載のキメラ非ヒト動物もし
    くはその子孫または請求項22記載の非ヒト動物もしくは
    その子孫を、該遺伝子と同じあるいは相同の遺伝子が欠
    損している系統の非ヒト動物と交配させることにより作
    製された非ヒト動物、または、前記の単一もしくは複数
    の外来染色体あるいはその断片を保持し、該外来染色体
    あるいはその断片上の遺伝子を発現するその子孫。
  28. 【請求項28】 請求項20記載のキメラ非ヒト動物もし
    くはその子孫または請求項22記載の非ヒト動物もしくは
    その子孫の個体、組織または細胞において、単一または
    複数の外来染色体あるいはその断片上の遺伝子を発現さ
    せ、その産物としての生物学的に活性な物質を回収する
    ことを特徴とする、生物学的に活性な物質の製造法。
  29. 【請求項29】 キメラ非ヒト動物の細胞がB細胞であ
    る請求項28記載の方法。
  30. 【請求項30】 B細胞がミエローマ細胞と融合して、
    不死化されている請求項29記載の方法。
  31. 【請求項31】 生物学的に活性な物質が抗体である請
    求項28〜30のいずれか一項に記載の方法。
  32. 【請求項32】 抗体が哺乳動物の抗体である請求項31
    記載の方法。
  33. 【請求項33】 哺乳動物の抗体がヒト抗体である請求
    項32記載の方法。
  34. 【請求項34】 単一または複数の外来染色体あるいは
    その断片を保持し、該外来染色体あるいはその断片上の
    遺伝子を発現する請求項20記載のキメラ非ヒト動物もし
    くはその子孫または請求項22記載の非ヒト動物もしくは
    その子孫を、該遺伝子と同じあるいは相同の遺伝子が欠
    損している系統の非ヒト動物と交配させ、誕生した子動
    物の個体、組織または細胞において、前記の単一または
    複数の外来染色体あるいはその断片上の遺伝子を発現さ
    せ、その産物としての生物学的に活性な物質を回収する
    ことを特徴とする、生物学的に活性な物質の製造法。
  35. 【請求項35】 大きさが670kbを越えるヒト抗体
    遺伝子の少なくとも一つを保持し、発現する非ヒト動
    物。
  36. 【請求項36】 大きさが1Mb以上のヒト抗体遺伝子
    の少なくとも一つを保持し、発現する請求項35記載の非
    ヒト動物。
  37. 【請求項37】 ヒト抗体遺伝子が、ヒト重鎖遺伝子、
    ヒト軽鎖κ遺伝子、ヒト軽鎖λ遺伝子およびそれらの組
    み合わせから成る群より選択される請求項35記載の非ヒ
    ト動物。
  38. 【請求項38】 そのヒト抗体遺伝子と同じあるいは相
    同の非ヒト動物抗体遺伝子が欠損している請求項35〜37
    のいずれか一項に記載の非ヒト動物。
  39. 【請求項39】 そのヒト抗体遺伝子と同じあるいは相
    同の非ヒト動物抗体遺伝子の欠損が、遺伝子相同組換え
    による該非ヒト動物抗体遺伝子の破壊によるものである
    請求項38記載の非ヒト動物。
  40. 【請求項40】 請求項35〜39のいずれか一項に記載の
    非ヒト動物の脾臓細胞とミエローマ細胞との融合により
    得られるハイブリドーマ。
  41. 【請求項41】 ヒト抗体の少なくとも一つのクラスま
    たはサブクラスを発現する非ヒト動物。
  42. 【請求項42】 ヒト抗体のクラスまたはサブクラス
    が、IgM、IgG、IgE、IgA、IgDおよびそ
    れらのサブクラス、ならびにそれらの組み合わせから選
    択される請求項41記載の非ヒト動物。
  43. 【請求項43】 総塩基長が670kbを越える単一ま
    たは複数の外来DNAを保持し、該外来DNA上の遺伝
    子を発現する非ヒト動物、または、前記の単一または複
    数の外来DNAを保持し、該DNA上の遺伝子を発現す
    るその子孫。
  44. 【請求項44】 総塩基長が1Mb以上の単一または複
    数の外来DNAを保持し、該外来DNA上の遺伝子を発
    現する請求項43記載の非ヒト動物またはその子孫。
  45. 【請求項45】 単一または複数の外来染色体あるいは
    その断片を含むミクロセルを作製し、該ミクロセルとの
    融合により、前記単一または複数の外来染色体あるいは
    その断片を胚盤胞に由来する培養細胞へ移入し、該細胞
    の核を除核した未受精卵に移植することを特徴とする、
    トランスジェニック非ヒト動物の作製法。
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