JPH11318344A - 飼料用原料 - Google Patents

飼料用原料

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JPH11318344A
JPH11318344A JP10153953A JP15395398A JPH11318344A JP H11318344 A JPH11318344 A JP H11318344A JP 10153953 A JP10153953 A JP 10153953A JP 15395398 A JP15395398 A JP 15395398A JP H11318344 A JPH11318344 A JP H11318344A
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Japan
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wheat bran
fermented
lactic acid
feed
fermented wheat
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JP10153953A
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English (en)
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Toshiyuki Kaneko
俊之 金子
Shinichi Ueno
慎一 上野
Takanobu Kawamoto
高伸 河本
Aki Suzuki
亜紀 鈴木
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Showa Sangyo Co Ltd
Original Assignee
Showa Sangyo Co Ltd
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    • Y02P60/00Technologies relating to agriculture, livestock or agroalimentary industries
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 栄養的評価が低いことなどによって、飼料用
の原材料としての利用が制限されていた小麦ふすまに、
新しい価値を付与して有効な活用を図る。 【解決手段】 小麦ふすま発酵物が、pH4.5以下、
且つ酸度7.0以上の発酵状態に調製された小麦ふすま
の乳酸発酵物であることを特徴とする小麦ふすま発酵物
から成る飼料用原料並びに該原料を含む飼料。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、小麦ふすまを乳酸
菌により発酵させて得られる小麦ふすま発酵物からなる
飼料用原料、並びにそれを含む飼料に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】小麦ふすまは、日本標準飼料成分表(農
林水産省農林水産技術会議事務局編、発行所:(社)中央
畜産会)においてヌカ類に分類され、飼料の原材料とし
て広く利用されている。
【0003】しかし、小麦ふすまは一般組成として粗繊
維が多くしかもその消化率があまり高くないことから、
動物飼料の栄養源としての評価は低い。従って、適度な
繊維質を必要とする牛などの反芻動物は別として、反芻
動物ではない豚などの単胃動物および鶏などの家禽に対
する飼料の原材料としては積極的に利用されることはな
かった。
【0004】一方、小麦ふすまは工業的に食用小麦粉を
得る製粉工程の副産物として得られ、天然物としては比
較的成分組成が安定で、大量かつ比較的安価に入手でき
ることから、発酵用培地の原材料としてアミノ酸の発酵
生産、工業用酵素あるいは抗生物質といった生理活性物
質の発酵生産、キノコの菌床栽培用の培地などにも利用
されている。
【0005】こうした事実は、小麦ふすまには微生物の
発酵培地としての適性があることを示しており、微生物
培地として小麦ふすまを最適状態に加工する工夫も報告
されている(特開平9-173052)。
【0006】また、牧草類や飼料作物をサイロなどに貯
蔵して微生物で発酵させたいわゆるサイレージは、乳酸
発酵により保存性を向上させることを主たる目的とする
保存飼料もしくは保存飼料用原料であり、発酵により乳
酸を蓄積してpHを低く保つことによって有害微生物の
生育を抑えて長期保存を可能にしている(乳酸菌研究集
談会編「乳酸菌の科学と技術」、15頁、260頁、1996
年、学会出版センター)。
【0007】サイレージは、単に保存性を向上するばか
りでなく、動物の飼料に対する嗜好性や生育を向上させ
ると言われている。
【0008】さらに、飼料作物などからなる混合物に微
生物を接種して発酵させて得られる発酵飼料を、動物の
生育向上、排泄物の消臭、消化性や嗜好性の改善などの
目的で利用することが知られている(特開平5‐19208
7、特開平9-28307、特開平9-70260、特開平9-14033
4)。
【0009】なお、穀物混合物に酵母発酵液を接種して
培養したものが、生育や飼料効率を向上させる飼料用原
料としてイーストカルチュアー(ダイアモンドVミルズ
社;USA)の商品名で販売されている。
【0010】以上のように、乳酸菌などの微生物により
飼料作物を発酵させて利用すること、小麦ふすまを微生
物の培地や発酵飼料の原材料として利用することは、従
来から知られていた。しかしながら、こうした利用にお
いて、小麦ふすまは飽くまでも原材料の一部に過ぎず、
小麦ふすまをほぼ単独の主原材料として発酵させて得ら
れる小麦ふすま発酵物を飼料用原材料として積極的に利
用することは知られていなかった。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、栄養的評価
が低いことなどによって、飼料の原材料として利用され
ないか或いは利用に制限のあった小麦ふすまを乳酸菌に
よって発酵させることにより、得られる小麦ふすま発酵
物に栄養的あるいは機能的に全く新しい価値を付与し
て、飼料用原料として提供しようとするものである。
【0012】さらに、その小麦ふすま発酵物を配合した
飼料を提供しようとするものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題を解決するために鋭意研究を重ねたところ、小麦ふす
まを乳酸菌により発酵させ、得られる小麦ふすま発酵物
の発酵状態をpH4.5以下でかつ酸度7.0以上に至
らしめることによって、栄養的あるいは機能的に全く新
しい価値、すなわち、栄養的評価が低いことなどの理由
で、飼料用の原材料として利用されないか或いは利用に
制限のあった小麦ふすまが、乳酸菌で発酵させることに
よって、動物の飼料に対する嗜好性を向上させる、動物
の生育を向上させる、動物の排泄物臭を軽減するなどの
全く新しい価値を付与できることを見出し、さらに研究
を進めて本発明を完成するに至った。
【0014】すなわち、本発明は、以下の通りである。
【0015】1)小麦ふすま発酵物が、小麦ふすまの乳
酸発酵物であることを特徴とする小麦ふすま発酵物から
成る飼料用原料。
【0016】2)小麦ふすま発酵物が、pH4.5以
下、且つ酸度7.0以上の発酵状態に調製された小麦ふ
すまの乳酸発酵物である上記1記載の小麦ふすま発酵物
から成る飼料用原料。
【0017】3)小麦ふすま発酵物が、嗜好性向上作用
を有する小麦ふすまの乳酸発酵物である上記1又は2記
載の小麦ふすま発酵物から成る飼料用原料。
【0018】4)小麦ふすま発酵物が、生育向上作用を
有する小麦ふすまの乳酸発酵物である上記1又は2記載
の小麦ふすま発酵物から成る飼料用原料。
【0019】5)小麦ふすま発酵物が、排泄物からの臭
気発生の軽減作用を有する小麦ふすまの乳酸発酵物であ
る上記1又は2記載の小麦ふすま発酵物から成る飼料用
原料。
【0020】6)上記1、2、3、4又は5の小麦ふす
ま発酵物から成る飼料用原料を含む飼料。
【0021】7)飼料が、豚用である請求項6記載の飼
料。
【0022】上述したように、小麦ふすまは、栄養的評
価が低いことなどの理由で、飼料の原材料として利用さ
れないか或いは利用が制限され、さらに発酵飼料の原材
料として利用されているものの、飽くまでも原材料の一
部としてしか使われていなかった。
【0023】これに対して、本発明では、小麦ふすまを
ほぼ単独の状態で用いて乳酸菌により発酵させ、その発
酵状態を一低水準以上に到達せしめることにより、得ら
れる小麦ふすま発酵物に栄養的あるいは機能的に著しく
優れた新たな価値の付与を図ったものである。
【0024】以下、本発明について、更に、詳細に説明
する。
【0025】(1)小麦ふすま 小麦ふすまとしては、工業的に食用小麦粉を得る製粉工
程の副産物として一般的に得られるものを用いることが
できる。
【0026】一般に、小麦ふすまの粒子形状は薄片状で
あるが、これを適宜粉砕して粒子を細かくして用いるこ
とも、造粒して粒子の塊を形成させてから用いることも
可能である。
【0027】なお、小麦ふすまは製粉工程から得られる
そのままを用いても、蒸煮処理などにより付着菌を殺菌
するなどの処理をしてから用いてもかまわない。
【0028】(2)乳酸菌 本発明の乳酸菌としては、乳酸菌、乳酸菌を含む混合菌
もしくは乳酸菌製剤の何れをも使用することができる。
【0029】乳酸菌は、一般概念として乳酸を作る細菌
で、分類学的には以下に示される特定の性質を持ち合わ
せた一群の細菌と定義される(小崎道雄監修「乳酸菌実
験マニュアル」、1-5頁、1992年、朝倉書店)。具体的
には、Lactobacillus属、Streptococcus属、Leuconosto
c属、Pediococcus属の細菌が該当するが、本願発明に
は、上述の定義で乳酸菌とされる細菌であれば、単独で
もまたは複数種の併用でも広く用いることができる。
【0030】(菌的性質) グラム染色:陽性 細胞形態:桿菌または球菌 カタラーゼ:陰性 酸素要求性:なし、または極微量要求(通性嫌気性) 運動性:なし 内性胞子:なし ブドウ糖の代謝:50%以上乳酸に転換する 栄養:従属栄養 乳酸菌を含む混合菌もしくは乳酸菌製剤としては、市販
されている各種の生菌ヨーグルト、サイレージ調製用乳
酸菌製剤などを用いることができる。
【0031】さらに、各種の微生物資材の中から乳酸菌
を主体とするもの、例えば、自然界から選んだ5科10
属80余種の嫌気性ならびに好気性の微生物を共存させ
ているとされる有効微生物群(Effective Microorganis
ms)、通称EM菌(比嘉照夫監修「EM環境革命」、20
-29頁、1994年、発行:綜合ユニコム)を用いることが
できる。
【0032】また、コーンスターチ製造において湿式粉
砕工程の副産物として得られるコーンの浸漬液であるコ
ーンスティープウォーター(CSW)又はその濃縮液で
あるコーンスティープリカー(CSL)は、そのもの自
体が乳酸発酵していて乳酸菌を多く含んでいるので、こ
れらを用いることもできる。
【0033】(3)乳酸発酵 小麦ふすま発酵物の調製は、次の手順で行う。
【0034】(i)原料の調製 先ず、小麦ふすまと、乳酸菌、乳酸菌を含む混合菌もし
くは乳酸菌製剤、ならびに水の3種類の原材料を均一に
混ぜた原材料混合物を調製する。
【0035】この時、乳酸菌、乳酸菌を含む混合菌もし
くは乳酸菌製剤の配合量は、混合時の乳酸菌が原材料混
合物中1g当りに生菌として102〜106個となるよう
に調整する。接種する乳酸菌の生菌数はこの範囲より少
なくても多くても、乳酸菌の生育が悪くなって発酵が十
分に進まない。
【0036】水の配合量は、原材料混合物として水分が
25〜55%となるように調整する。水分はこの範囲よ
り少なくても多くても、乳酸菌の生育が悪くなって発酵
が十分に進まない。
【0037】原材料の混合には、各種の撹拌機を用いる
ことができるが、加水された原材料混合物の撹拌には負
荷がかかるので、撹拌による摩擦熱や撹拌装置の発熱が
伝導して原材料が加熱されないようにする。多くの乳酸
菌は熱に弱いので、撹拌時の熱によって原材料混合物中
の生菌数が減少することを避ける必要がある。従って、
低速の撹拌機か冷却機能付きの撹拌機を用いることが望
ましい。
【0038】さらに、原材料に微生物にとって利用し易
い炭素源として少量の糖を配合すると、発酵が促進され
る。配合する糖としては、単糖類や少糖類を比較的多く
含むものであればよく、製糖工業や澱粉糖化工業の副産
物として得られる糖蜜が安価であることから利用し易
い。
【0039】(ii)発酵方法 次に、調製した原材料混合物を発酵させる。
【0040】発酵は、原材料混合物を気密性の袋や容器
に入れて行う。発酵に使用する袋や容器は、気密性があ
って、酸素の透過性がなく、酸に対する耐腐食性があっ
て、微生物の発酵活動を阻害しない材質のものであれば
特に限定はされない。発酵に伴ってガスが発生するの
で、これらの袋や容器には、ガス抜きが容易な開閉口や
減圧弁などを備えておくことが必要である。
【0041】発酵させる温度は使用する乳酸菌の適性に
よるが、一般に20〜45℃の範囲が適している。この
範囲より低くても高くても乳酸菌の生育が悪くなって発
酵が十分に進まない。安定した発酵状態を得るために
は、温度制御された恒温室内で発酵させるか、原材料混
合物を入れる発酵用容器に温度制御機能を備えることが
望ましい。
【0042】発酵状態の判断は、pHと酸度を指標とす
る。試料のpHと酸度は以下の条件で測定する。
【0043】ビーカーに試料5gを精秤し、蒸留水10
0mlを加えて、スターラーなどの撹拌機を用いて定速
で撹拌しながら、校正したpH電極を被験溶液に浸し、
表示値が安定するのを待ってpHを読み取る。この被験
溶液に、定速での撹拌を続けながらビューレットに入れ
た0.1規定の水酸化ナトリウムをゆっくり滴下して、
pH7.9に達するまでの滴下量を求める。
【0044】V:pH7.9に到達するのに必要な0.
1規定水酸化ナトリウム溶液の容積(ml); F:
0.1規定水酸化ナトリウム溶液の規定度ファクター;
W:試料の採取量(g);M:試料の水分含量(試料
2gを精秤して、130℃で1時間乾燥させ、デシケー
ターで室温まで放熱冷却後、秤量して計量した重量の減
量分:%)とすると、 酸度=V・F/W・{(100−M)/100} 滴定の終点とするpH7.9は、小麦ふすま発酵物をア
ルカリ滴定して得られる滴定曲線の変極点であり、ここ
に到達させるのに必要なアルカリの量は発酵小麦ふすま
内に蓄積された酸の総量の目安となる。これを酸度とし
て数値化することにより、乳酸菌の発酵活動の強度を測
る指標として用いることができる。
【0045】本発明の対象となる小麦ふすま発酵物は、
上記の測定方法にしたがって、pHが4.5以下で、か
つ酸度が7.0以上のものである。pHおよび/または
酸度がこの範囲外の発酵状態では、飼料用原料として用
いた場合に動物の嗜好性、生育、排泄物臭気の軽減など
において十分な効果が得られない。
【0046】本発明の小麦ふすま発酵物を得るための発
酵時間は、発酵温度によって異なる。
【0047】上述した適正温度20〜45℃の範囲で、
適正な発酵状態に達するまでの時間は、温度が低ければ
長くなるし、温度が高ければ早くなる。さらに、使用す
る乳酸菌の温度適性や発酵性によっても適正な発酵状態
に達するまでの時間は異なるので、諸条件の組合せに応
じて発酵状態を確認して発酵時間を決めればよい。
【0048】ちなみに、市販の乳酸菌を含む混合菌を用
いて原材料混合物1g中の乳酸菌生菌数5×103個か
つ水分35%となるように調整し、発酵温度を30℃と
すると、小麦ふすま発酵物がpH4.5以下、酸度7.
0以上の状態に達するのにかかる時間は2週間程度であ
る。小麦ふすま発酵物をさらに継続して発酵させてもp
Hと酸度の変化は僅かで、徐々に変化して発酵1ヶ月半
でpH3.9、酸度9.2に達して、発酵3ヶ月後もそ
の状態は変わらなかった。
【0049】小麦ふすま発酵物は、pHが4.5以下で
かつ酸度が7.0以上の発酵状態に到達していれば、も
たらされる動物の嗜好性、生育、排泄物臭気の軽減など
の効果に差はないので、適正な発酵状態に達した小麦ふ
すま発酵物を直ちに用いることも、適正な発酵状態に達
してからさらに長時間そのまま置いた小麦ふすま発酵物
を用いることもできる。
【0050】さらに、小麦ふすま発酵物は乾燥させて用
いることもできる。
【0051】小麦ふすま発酵物は、水分およそ45%以
下であれば比較的流動性もよいので、粉体あるいは粒体
に近い扱いが可能である。さらに、pHが4.5以下と
低いのに加えて乳酸などの有機酸をかなり含んでいるこ
とに起因すると考えられるが、水分が55%程度あって
も雑菌汚染による腐敗は生じ難い。しかしながら、小麦
ふすま発酵物を常温にそのまま置くと、水分に起因する
と考えられるが、経時的に色が褐変する。
【0052】このような変化は、小麦ふすま発酵物の飼
料用原料としての機能効果に基本的には影響しない。し
かし、ハンドリングや色合いの安定性などを重視する場
合は、乾燥して用いる。乾燥の手段に特段の限定はない
が、乾燥させた小麦ふすま発酵物においてもpHが4.
5以下でかつ酸度が7.0以上であることが必要であ
る。この範囲外の状態では、飼料用原料として用いた場
合に、動物の嗜好性、生育、排泄物臭気の軽減などにお
いて十分な効果が得られない。
【0053】従って、小麦ふすま発酵物の乾燥は、乳酸
などの有機酸成分が揮発しないように、低温で行うなど
の配慮が必要である。また、乾燥と共にこれら有機酸成
分が揮発してしまうのは避けられないので、不用意に乾
燥させ過ぎないことが必要である。
【0054】(iii)適用等 以上のようにして得られた小麦ふすま発酵物、並びにそ
の乾燥品は、動物の飼料に加えると、動物の飼料に対す
る嗜好性が向上し、動物の生育が向上し、動物の排泄物
から発生する臭気が軽減される。
【0055】動物の飼料に加える方法に特段の制限はな
い。例えば、動物に飼料を与える現場で小麦ふすま発酵
物を添加してもよいし、予め配合飼料の原材料として小
麦ふすま発酵物を配合しておいてもよい。
【0056】また、飼料への添加量もしくは配合量に特
段の制限はない。動物の種類、週齢や発育ステージなど
によっても異なるが、動物飼料に対して0.1〜30%
程度の使用が目安である。通常、添加もしくは配合の量
に見合う効果が期待できるが、加える量が多い場合に
は、飼料や他の原材料との兼ね合いで、飼料全体として
栄養面のバランスなどにも配慮する必要がある。
【0057】本発明において小麦ふすま発酵物がもたら
す様々の有用な効果は、単一の作用機作によって説明付
けられるものではないと考えられる。
【0058】即ち、乳酸菌によって発酵生産される乳酸
などの有機酸、主にエステル臭と推測される特有の甘酸
っぱいフレーバー成分、さらには乳酸菌の発酵代謝活動
により発酵小麦ふすま中に蓄積されるアミノ酸類、ペプ
チド類、蛋白質類、ヌクレオチド類、ビタミン類、酵素
類、キレート化されて吸収性のよくなったミネラル類、
複合多糖類などの菌体成分、その他の多種多様な生理活
性成分によって複合的にもたらされる効果であると考え
られる。
【0059】何れにしても、驚くべきことに、本発明で
は、小麦ふすまを乳酸菌により発酵させ、得られる小麦
ふすま発酵物の発酵状態をpH4.5以下でかつ酸度
7.0以上に至らしめることによって、栄養的評価が低
いことなどを理由として、飼料の原材料としての利用が
控えられていたか或いは制限されていた小麦ふすまに、
栄養的あるいは機能的に全く新しい価値を付与すること
ができたのである。
【0060】
【発明の実施の形態】以下、本発明を実施例によりさら
に詳細に説明する。本発明はこれらの実施例によって限
定されるものではない。
【0061】(分析方法)実施例で使用する分析項目の
試験方法について説明する。
【0062】1.水分 試料2gをアルミ製のシャーレに精秤する(Ag)。1
30℃の恒温乾燥器で1時間乾燥させ、デシケーターで
室温まで放冷後、精秤する(Bg)。乾燥前後の重量減
量分を水分とする。
【0063】 水分(%)={(A−B)/A}×100 原材料混合物の水分調整は、原材料の水分を個別に測定
して、計算により必要な加水量を求めて行う。さらに念
のため、調製した原材料混合物の水分を測定して確認す
る。
【0064】2.pH ビーカーに試料5gを精秤する。蒸留水100mlを加
えて、スターラーバーを入れてスターラー上にて定速で
撹拌しながら、予め校正しておいたpH電極を試料溶液
に浸す。pHメーターの表示値が安定するのを待ってp
Hを読み取る。
【0065】3.酸度 pHを測定した試料溶液に、定速での撹拌を続けなが
ら、ビューレットに入れた0.1規定の水酸化ナトリウ
ム溶液をゆっくりと滴下する。試料溶液のpHが7.9
に到達するまでの滴下量を求める。
【0066】V:pH7.9に到達するのに必要な0.
1規定水酸化ナトリウム溶液の容積(ml); F:
0.1規定水酸化ナトリウム溶液の規定度ファクター;
W:試料の採取量(g)、M:試料の水分含量とする
と、 酸度=V・F/W・{(100−M)/100} 4.生菌数 微生物検査法の常法に従って、滅菌水を用いて試料を抽
出および/または適宜希釈して、微生物検査用の希釈液
を調製する。
【0067】以下に示す市販の細菌検査用選択培地(栄
研化学)20mlに希釈液1mlを混釈してプレート状の培
地を調製し、インキュベーターにて一般生菌は35℃で
48時間、乳酸菌は35℃で72時間培養する。プレー
ト2枚のコロニー数を平均して、希釈率を換算して試料
1g当りの生菌数を求める。
【0068】一般生菌数測定用「パールコア標準寒天培
地」 乳酸菌測定用「BCP加プレートカウント寒天培地」 5.有機酸 試料を精秤して蒸留水で抽出し、メスフラスコに移して
定量的に希釈して試料溶液を調製する。
【0069】市販の一般、食品分析酵素試薬(ベーリン
ガー・マンハイム)を用いて、乳酸(F−キット:D−
/L−乳酸)と酢酸(F−キット:酢酸)を定量した。
【0070】
【実施例1】以下に示した乳酸菌を含む混合菌もしくは
乳酸菌製剤とされる製品について、構成する生菌を調べ
た。
【0071】市販のサイレージ調製用乳酸菌製剤 「スノーラクト−Lスプレー」(雪印種苗) 市販のヨーグルト 「明治ブルガリアヨーグルトLB81プレーン」(明
治乳業) 「ビヒダスプレーンヨーグルト」(森永乳業) 「雪印ナチュレライブプレーンヨーグルト」(雪印乳
業) 市販の有効微生物群菌液(通称:EM菌) 「EMR」(イーエムリサイクル) 「救世EM1号」(自然農法国際研究開発センター) 「サイオン1号」(サン興産業) 「バイオメンター4号」(砂研) コーンスターチ製造工程で得られる副産物であるコーン
スティープリカー 「CSL」(昭和産業)
【表1】 表1の結果より、これら混合菌もしくは製剤は全て乳酸
菌が主体のものであり、これらは乳酸菌を含む混合菌も
しくは乳酸菌製剤として使用できることが確認された。
【0072】
【実施例2】実施例1の乳酸菌を含む混合菌もしくは乳
酸菌製剤(〜)を用いて、発酵小麦ふすまを調製し
た。
【0073】水分13.4%の小麦ふすま(昭和産業)
1kgに対して、については1g、〜については
5g、〜については10mlをイオン交換水332
mlに溶解もしくは混合したものを降注ぎ、十分に混合
して原材料混合物を調製した。この原材料混合物の水分
は35〜36%であった。
【0074】これら原材料混合物をガスバリヤー性の
「パウチKON袋」(三菱ガス化学)に詰めて、手で押
える程度で気相を抜いて開口部をヒートシールして密閉
した。これらの袋を恒温槽で20日間35℃に保持し
た。途中ガスが発生して袋が膨らむので、適宜袋の隅を
切り取ってガス抜きをして、直ちに開口部をヒートシー
ルした。
【0075】20日後の発酵物について、微生物生菌の
構成、pH、酸度、乳酸と酢酸の含有量を測定した。
【0076】
【表2】
【表3】 表2の結果より、乳酸菌を含む混合菌もしくは乳酸菌製
剤を用いて発酵させて調製した小麦ふすま発酵物は、何
れも乳酸菌が108〜109個/gで生菌を占有した状態
であった。
【0077】表3の結果より、乳酸菌を含む混合菌もし
くは乳酸菌製剤を用いて発酵させて調製した小麦ふすま
発酵物は、何れもpHが4.5以下でかつ酸度が7.0
以上であった。なお、表中NDは検出限界0.05%で
不検出を意味する。何れも乳酸と酢酸を併せて3〜5%
を含有しており、相対的に乳酸含量が高かった。これら
の有機酸が、小麦ふすま発酵物のpHを下げ、酸度を高
めていると考えられる。
【0078】
【実施例3】実施例2の乳酸菌を含む混合菌もしくは乳
酸菌製剤で得られた発酵物の中で、 (市販のサイレージ調製用乳酸菌製剤)、(市販の
ヨーグルト)、(市販の有効微生物群菌液)、(コ
ーンスティープリカー)で調製した発酵小麦ふすまを配
合した飼料を調製して、子豚を用いて飼料に対する嗜好
性を比較した。
【0079】子豚人工乳後期用飼料「ファインパワー
B」(昭和産業)に小麦ふすまを3%配合した飼料を対
照として、、、ならびにの発酵小麦ふすまを3
%配合した飼料を5頭口不断給餌器によるフリーチョイ
ス方式で摂食させた(試験I〜IV)。各々の試験には生
後47〜53日齢の子豚を1群8匹ずつ割付け、8日間
の摂食量を比較した。
【0080】
【表4】 表4の結果より、小麦ふすま発酵物を3%配合した飼料
は何れの条件で調製したものも、小麦ふすまを3%配合
した飼料と比較して著しく高い嗜好性を示した。発酵に
用いた混合菌もしくは製剤の違いによって、嗜好性の程
度に違いが見られるが、これは混合菌もしくは製剤の違
いによって発酵小麦ふすまの風味が微妙に異なることが
影響している可能性が考えられる。
【0081】
【実施例4】小麦ふすま(昭和産業)1kgに、市販の
有効微生物群菌液「EMR」(イーエムリサイクル)1
0mlを接種して、表5に示した水分、温度、日数の条
件(試験V〜X)で発酵させた。得られた小麦ふすま発
酵物の水分、温度、時間、pHならびに酸度を測定し
た。さらに、配合量を5%として実施例3と同様の方法
で対照と比べて摂食比率を比較した。
【0082】
【表5】 表5の結果より、小麦ふすま発酵物の発酵状態がpH
4.5以下かつ酸度7.0以上(試験V、VI、VIIなら
びにX)の条件を満たしていれば、飼料に対する嗜好性
を明らかに向上させる。これに対して、発酵状態が上述
の範囲外(試験VIII〜IX)だと、嗜好性を向上させる効
果は殆ど認められない。
【0083】
【実施例5】小麦ふすま(昭和産業)30kg、市販の
有効微生物群菌液「EMR」(イーエムリサイクル)3
00ml、糖蜜300mlの割合で、最終の水分が45
%となるように加水を調整して原材料混合物を調製し
た。調製した原材料混合物を容積100リットルの樹脂
製機密性容器に入れて、40℃の温度条件で途中ガス抜
きをしながら1週間発酵させた。
【0084】得られた小麦ふすま発酵物を60℃の送風
乾燥器で乾燥させて、水分14.3%、pH4.2、酸
度7.8の乾燥小麦ふすま発酵物を調製した。
【0085】子豚人工乳後期用飼料「ファインパワー
B」(昭和産業)に、小麦ふすま10%を配合した飼料
(対照区)、乾燥小麦ふすま発酵物5%と小麦ふすま5
%を配合した飼料(5%区)、乾燥小麦ふすま発酵物1
0%を配合した飼料(10%区)の3種類を調製した。
【0086】生後29〜32日齢の子豚を8匹ずつを各
区に割り付け、5頭不断給餌器を用いて28日間飼育し
た。飼育期間中の体重と摂食量を測定して、期間内の増
体重、摂食量、飼料要求率などを求めた。
【0087】
【表6】 表6の結果より、小麦ふすま発酵物は、配合量に応じて
子豚の摂食量を増加させ、それに見合って増体重を増加
させた。さらに、飼料要求率を改善する傾向が見られる
など生育成績を全体的に向上させた。
【0088】
【実施例6】実施例5と同じ乾燥小麦ふすま発酵物を用
いた。
【0089】肉豚飼料「ベーシック肉豚」(昭和産業)
に小麦ふすま15%を配合した飼料(対照区)、乾燥小
麦ふすま発酵物15%を配合した飼料(15%区)の2
種類を調製した。
【0090】生後127日齢の出荷約1ヶ月前に相当す
る肉豚を6匹ずつ各区に割り付け、実施例5と同じ方法
で生育試験を行った。
【0091】
【表7】 表7の結果より、小麦ふすま発酵物は肉豚の体重を増加
させた。この時、摂食量に差はみられるものの、それ以
上に飼料要求率を向上させているなど生育成績を全体的
に向上させた。
【0092】さらに、解体して枝肉の評価を行ったした
ところ、対照区での上物評価は6頭中3頭、15%区で
の上物評価は6頭の全部であった。このことから、小麦
ふすま発酵物は生育の向上ばかりでなく、肉質を向上さ
せる可能性がある。
【0093】
【実施例7】実施例5の飼育試験において、排泄物から
発生する臭気を測定した。
【0094】飼育21日目に個々の被験豚の肛門から糞
便を直接採取した。採取した個々の糞10gをプラスチ
ック製のシャーレに秤取り、体重180kgの母豚から
採取した尿を10mlづつ加えてよく混合した。
【0095】糞尿を入れたシャーレを255mm×36
8mmのサイズのガスバリヤー性「パウチKON袋」
(三菱ガス化学)に蓋をせずに入れ、端の一部を残して
開口部をヒートシールした。残した開口部からエアーコ
ンプレッサーで空気を充填し、体積約3.5リットルに
膨らませ、残した開口部をヒートシールした。
【0096】この袋を二昼夜30℃で保持した。
【0097】各袋を30℃に保持したまま、袋のヘッド
スペース部分に注射針(テルモ注射針20G×1)を刺
して、刺し口をビニールテープで固定した。注射針にシ
リコンチューブを接続してその先にガス検知管とガス採
取器(何れもガステック)を装着した。アンモニア、メ
チルメルカプタン、硫化水素、酢酸を測定対象として、
それぞれのガス検知管を用いて、吸引量は100mlも
しくは200mlとした。
【0098】各ガス検知管の変色域の目盛りを読み取っ
て、吸引量に応じて補正をした上で袋のヘッドスペース
中の臭気成分量を定量した。
【0099】
【表8】 表8の結果より、小麦ふすま発酵物の配合量に応じて、
袋のヘッドスペース中のアンモニア、メチルメルカプタ
ンならびに硫化水素の含量が減少した。これとは逆に酢
酸の含量は増加した。
【0100】以上の結果は、小麦ふすま発酵物を摂食さ
せることによって、排泄物から発生する臭気成分の構成
や含量が変わる可能性を示している。後者の酢酸は有臭
成分ではあるが、特に希薄であれば悪臭とは言えない。
これに対して、前者のアンモニア、メチルメルカプタ
ン、硫化水素は腐敗臭の代表的なものである。
【0101】以上のことから、小麦ふすま発酵物を飼料
用原料として用いると、動物の排泄物から発生する臭気
を軽減する効果があると考えられる。
【0102】
【発明の効果】1)本発明によって、小麦ふすまを乳酸
菌により発酵させて得られるpHが4.5以下でかつ酸
度が7.0以上の小麦ふすま発酵物は、動物の飼料原料
として用いることによって、動物の飼料に対する嗜好
性を向上させ、摂食量の増加と飼料要求率の向上によ
り動物の生育を向上させ、さらに動物の排泄物から臭
気発生を軽減するという格別の効果を奏する。
【0103】2)本発明は、これまで栄養的評価が低い
ことなどの理由でもって、飼料用の原材料として利用さ
れないか或いは利用に制限が設けられていた小麦ふすま
が、乳酸菌で発酵させるという簡単な処理によって、上
記のような栄養的あるいは機能的に優れた価値が付与さ
れるという点で価値が高い。
【0104】3)上記のことは、また、小麦から小麦粉
という食料を工業生産する際に発生する副産物を有効に
活用することにより、畜産業の生産性を向上させ、地球
上の資源を無駄にしないという観点からみて、大いに意
義がある。
【0105】4)本発明の動物の排泄物から臭気発生を
軽減するという効果は、畜産従事者の作業環境を改善す
るだけでなく、住宅地域と都市型畜産業の共存共栄とい
う点において、大いに期待される。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 鈴木 亜紀 千葉県船橋市日の出2丁目20番2号 昭和 産業株式会社総合研究所内

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 小麦ふすま発酵物が、小麦ふすまの乳酸
    発酵物であることを特徴とする小麦ふすま発酵物から成
    る飼料用原料。
  2. 【請求項2】 小麦ふすま発酵物が、pH4.5以下、
    且つ酸度7.0以上の発酵状態に調製された小麦ふすま
    の乳酸発酵物である請求項1記載の小麦ふすま発酵物か
    ら成る飼料用原料。
  3. 【請求項3】 小麦ふすま発酵物が、嗜好性向上作用を
    有する小麦ふすまの乳酸発酵物である請求項1又は2記
    載の小麦ふすま発酵物から成る飼料用原料。
  4. 【請求項4】 小麦ふすま発酵物が、生育向上作用を有
    する小麦ふすまの乳酸発酵物である請求項1又は2記載
    の小麦ふすま発酵物から成る飼料用原料。
  5. 【請求項5】 小麦ふすま発酵物が、排泄物からの臭気
    発生の軽減作用を有する小麦ふすまの乳酸発酵物である
    請求項1又は2記載の小麦ふすま発酵物から成る飼料用
    原料。
  6. 【請求項6】 請求項1、2、3、4又は5の小麦ふす
    ま発酵物から成る飼料用原料を含む飼料。
  7. 【請求項7】 飼料が、豚用である請求項6記載の飼
    料。
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