JPH11320096A - 高Crフェライト鋼の溶接方法とそれを用いた溶接構造 - Google Patents
高Crフェライト鋼の溶接方法とそれを用いた溶接構造Info
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- JPH11320096A JPH11320096A JP12580798A JP12580798A JPH11320096A JP H11320096 A JPH11320096 A JP H11320096A JP 12580798 A JP12580798 A JP 12580798A JP 12580798 A JP12580798 A JP 12580798A JP H11320096 A JPH11320096 A JP H11320096A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】Cr含有量が10〜13重量%の高Crフェラ
イト系高強度耐熱鋼において、溶接金属の靭性が高く、
脆性破壊を抑制して、溶接部の機械的強度の信頼性が高
い高Crフェライト鋼の溶接方法とそれを用いた溶接構
造を提供する。 【解決手段】Crを10〜13重量%含有する高Crフ
ェライト系耐熱鋼同士、もしくは高Crフェライト系耐
熱鋼とは組成の異なる他の接合金物とを溶接した溶接構
造において、Niを65重量%以上含有するNi基溶接
材料を用い、アーク溶接法のうちから選択される少なく
とも一つの溶接法を用いて接合し、溶着部に靭性の高い
Ni基溶接金属を形成させる。溶接後の熱処理が不要と
なる。
イト系高強度耐熱鋼において、溶接金属の靭性が高く、
脆性破壊を抑制して、溶接部の機械的強度の信頼性が高
い高Crフェライト鋼の溶接方法とそれを用いた溶接構
造を提供する。 【解決手段】Crを10〜13重量%含有する高Crフ
ェライト系耐熱鋼同士、もしくは高Crフェライト系耐
熱鋼とは組成の異なる他の接合金物とを溶接した溶接構
造において、Niを65重量%以上含有するNi基溶接
材料を用い、アーク溶接法のうちから選択される少なく
とも一つの溶接法を用いて接合し、溶着部に靭性の高い
Ni基溶接金属を形成させる。溶接後の熱処理が不要と
なる。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は高Cr(クロム)フ
ェライト鋼の溶接方法およびそれを用いた溶接継手構造
に係り、特に、ボイラ、化学プラント等の耐圧部に多用
されるCr含有量10〜13重量%の高Crフェライト
系高強度耐熱鋼の接合に好適な溶接方法およびそれを用
いて作製した高Crフェライト鋼の溶接継手構造に関す
る。
ェライト鋼の溶接方法およびそれを用いた溶接継手構造
に係り、特に、ボイラ、化学プラント等の耐圧部に多用
されるCr含有量10〜13重量%の高Crフェライト
系高強度耐熱鋼の接合に好適な溶接方法およびそれを用
いて作製した高Crフェライト鋼の溶接継手構造に関す
る。
【0002】
【従来の技術】発電用ボイラや各種熱交換器等において
は、高温、高圧の条件下で多数の伝熱管類が使用されて
いる。近年、特に大容量の発電用ボイラにおいては、発
電効率向上のために蒸気温度と圧力をさらに上昇するこ
とが計画されており、従来の2.25%Cr(クロム)
1%Mo(モリブデン)鋼、 あるいは9%Cr1%M
oNb(ニオブ)V(バナジウム)鋼に代わる高温強度
の高い8.5〜13%Crのフェライト系耐熱鋼が、上
記した蒸気条件用の伝熱管として新しく開発されてい
る。これらのフェライト系耐熱鋼は、Cr、Mo、N
b、V、N(窒素)に加えて、さらにW(タングステ
ン)、Cu(銅)あるいはCo(コバルト)等を添加
し、焼ならし−焼戻し熱処理等によって、焼戻しマルテ
ンサイト組織となるように成分設計されたもので、従来
の溶接材料に比べて格段に優れた高温強度を保有してい
る。このような高強度フェライト鋼を溶接接合するため
の溶接材料は、従来技術では母材と同一成分系の溶接材
料を用いるのが原則であり、各々の高強度フェライト鋼
に適合した溶接材料が開発されている。
は、高温、高圧の条件下で多数の伝熱管類が使用されて
いる。近年、特に大容量の発電用ボイラにおいては、発
電効率向上のために蒸気温度と圧力をさらに上昇するこ
とが計画されており、従来の2.25%Cr(クロム)
1%Mo(モリブデン)鋼、 あるいは9%Cr1%M
oNb(ニオブ)V(バナジウム)鋼に代わる高温強度
の高い8.5〜13%Crのフェライト系耐熱鋼が、上
記した蒸気条件用の伝熱管として新しく開発されてい
る。これらのフェライト系耐熱鋼は、Cr、Mo、N
b、V、N(窒素)に加えて、さらにW(タングステ
ン)、Cu(銅)あるいはCo(コバルト)等を添加
し、焼ならし−焼戻し熱処理等によって、焼戻しマルテ
ンサイト組織となるように成分設計されたもので、従来
の溶接材料に比べて格段に優れた高温強度を保有してい
る。このような高強度フェライト鋼を溶接接合するため
の溶接材料は、従来技術では母材と同一成分系の溶接材
料を用いるのが原則であり、各々の高強度フェライト鋼
に適合した溶接材料が開発されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、Cr等
の合金元素が多くなるほど、溶接金属の靭性は低下する
傾向にある。特に、被覆アーク溶接法あるいはサブマー
ジアーク溶接法を用いて、Cr含有量が10%を超える
高Crフェライト鋼を溶接した場合には、溶接金属の靭
性が著しく低下する。溶接部は形状的には応力集中部と
なるため、溶接金属の靭性が低いと、水圧試験時におけ
る溶接部の脆性破壊に対する危険性が高くなる。このた
め10%Cr以上の高Cr鋼を被覆アーク溶接法あるい
はサブマージアーク溶接法で接合する場合には、介在物
やブローホール等の溶接欠陥が生じないように、溶接施
工において細心の注意を払う必要があった。また、高品
質の溶接が可能であるTIG溶接を採用した場合でも、
溶接終了後に740〜750℃程度の比較的高温の溶接
後の熱処理を行わなければならず、溶接金属の靭性は低
く、特に、高Crフェライト鋼を溶接する場合には溶接
後の熱処理を必ず実施して溶接金属の靭性を高め、脆性
破壊を防止する必要があった。
の合金元素が多くなるほど、溶接金属の靭性は低下する
傾向にある。特に、被覆アーク溶接法あるいはサブマー
ジアーク溶接法を用いて、Cr含有量が10%を超える
高Crフェライト鋼を溶接した場合には、溶接金属の靭
性が著しく低下する。溶接部は形状的には応力集中部と
なるため、溶接金属の靭性が低いと、水圧試験時におけ
る溶接部の脆性破壊に対する危険性が高くなる。このた
め10%Cr以上の高Cr鋼を被覆アーク溶接法あるい
はサブマージアーク溶接法で接合する場合には、介在物
やブローホール等の溶接欠陥が生じないように、溶接施
工において細心の注意を払う必要があった。また、高品
質の溶接が可能であるTIG溶接を採用した場合でも、
溶接終了後に740〜750℃程度の比較的高温の溶接
後の熱処理を行わなければならず、溶接金属の靭性は低
く、特に、高Crフェライト鋼を溶接する場合には溶接
後の熱処理を必ず実施して溶接金属の靭性を高め、脆性
破壊を防止する必要があった。
【0004】本発明の目的は、上記従来技術における問
題点を解消し、Cr含有量が重量%で10〜13%の高
Crフェライト系高強度耐熱鋼において、溶接金属の靭
性が高く、脆性破壊を抑制して、溶接部の信頼性の高い
高Crフェライト鋼の溶接方法とそれを用いた溶接構造
を提供することにある。
題点を解消し、Cr含有量が重量%で10〜13%の高
Crフェライト系高強度耐熱鋼において、溶接金属の靭
性が高く、脆性破壊を抑制して、溶接部の信頼性の高い
高Crフェライト鋼の溶接方法とそれを用いた溶接構造
を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、基本的に、高
温での強度と靭性が良好なオーステナイト系溶接材料の
中でも、特に線膨張係数がフェライト系鋼に近いNi基
の溶接材料を用いて溶接接合するものである。本発明
は、上記目的を達成するために、特許請求の範囲に記載
のような構成とするものである。すなわち、請求項1に
記載のように、Cr(クロム)を10〜13重量%含有
する高Crフェライト系耐熱鋼同士を溶接する方法であ
って、Ni(ニッケル)を65重量%以上含有するNi
基溶接材料を用い、イナートガスアーク溶接法、例え
ば、TIG(イナートガスタングステンアーク)溶接法
等の非溶極式溶接法や、イナートガスメタルアーク(M
IG)溶接法、炭酸ガスメタルアーク溶接法、被覆剤を
塗布した溶接棒を用いた被覆アーク溶接法、およびサブ
マージドアーク溶接法等の溶極式溶接法のうちから選択
される少なくとも一つのアーク溶接法を用いて接合する
高Crフェライト鋼の溶接方法とするものである。ま
た、請求項2に記載のように、請求項1に記載の高Cr
フェライト鋼の溶接方法を用いて、溶着部に靭性の高い
Ni基溶接金属を形成した高Crフェライト鋼の溶接構
造とするものである。また、請求項3に記載のように、
Crを10〜13重量%含有する高Crフェライト系耐
熱鋼と、該耐熱鋼とは組成の異なる接合金物とを溶接し
た溶接構造であって、Niを65重量%以上含有するN
i基溶接材料を用い、イナートガスアーク溶接法、例え
ば、TIG(イナートガスタングステンアーク)溶接法
等の非溶極式溶接法や、イナートガスメタルアーク(M
IG)溶接法、炭酸ガスメタルアーク溶接法、被覆剤を
塗布した溶接棒を用いた被覆アーク溶接法、およびサブ
マージドアーク溶接法等の溶極式溶接法のうちから選択
される少なくとも一つのアーク溶接法を用いて接合し、
溶着部に靭性の高いNi基溶接金属を形成した高Crフ
ェライト鋼の溶接構造とするものである。また、請求項
4に記載のように、請求項2または請求項3に記載の溶
接構造において、溶接後の熱処理を省略した溶接構造と
するものである。本発明は、請求項1ないし請求項4の
それぞれ1項に記載されているように、溶着部に、Ni
を65重量%以上含有するNi基溶接材料を用いた靭性
の高いNi基溶接金属を形成することにより、従来技術
における溶接金属の靭性が低いという問題点を解消し
て、脆性破壊に対する溶接部の信頼性を大きく改善する
ことができ、かつ、従来の約740〜750℃で行われ
ている溶接後の熱処理を省略することが可能となり、高
強度のCrフェライト系耐熱鋼の用途を拡大できる効果
がある。また、Niを65重量%以上含有するNi基溶
接材料を用い、イナートガスアーク溶接法、例えば、T
IG(イナートガスタングステンアーク)溶接法等の非
溶極式溶接法、イナートガスメタルアーク(MIG)溶
接法、炭酸ガスメタルアーク溶接法、被覆剤を塗布した
溶接棒を用いた被覆アーク溶接法、およびサブマージド
アーク溶接法等の溶極式溶接法のうちから選択されるア
ーク溶接法を用いて溶接により形成された溶接金属は、
室温での機械的強度は低く、室温付近の温度域での引張
り強さは、高Crフェライト鋼母材よりも低くなるが、
約600℃以上の使用温度域では、Ni基の溶接材料に
よリ形成される溶接金属の引張り強さの方が高くなり、
高温度の使用領域では十分な引張り強度特性を示すもの
である。さらに、Ni基の溶接材料により形成される溶
接金属の靭性は高く、万一、溶接部に亀裂が発生したと
しても脆性破壊の危険性は大幅に低減できる効果があ
る。
温での強度と靭性が良好なオーステナイト系溶接材料の
中でも、特に線膨張係数がフェライト系鋼に近いNi基
の溶接材料を用いて溶接接合するものである。本発明
は、上記目的を達成するために、特許請求の範囲に記載
のような構成とするものである。すなわち、請求項1に
記載のように、Cr(クロム)を10〜13重量%含有
する高Crフェライト系耐熱鋼同士を溶接する方法であ
って、Ni(ニッケル)を65重量%以上含有するNi
基溶接材料を用い、イナートガスアーク溶接法、例え
ば、TIG(イナートガスタングステンアーク)溶接法
等の非溶極式溶接法や、イナートガスメタルアーク(M
IG)溶接法、炭酸ガスメタルアーク溶接法、被覆剤を
塗布した溶接棒を用いた被覆アーク溶接法、およびサブ
マージドアーク溶接法等の溶極式溶接法のうちから選択
される少なくとも一つのアーク溶接法を用いて接合する
高Crフェライト鋼の溶接方法とするものである。ま
た、請求項2に記載のように、請求項1に記載の高Cr
フェライト鋼の溶接方法を用いて、溶着部に靭性の高い
Ni基溶接金属を形成した高Crフェライト鋼の溶接構
造とするものである。また、請求項3に記載のように、
Crを10〜13重量%含有する高Crフェライト系耐
熱鋼と、該耐熱鋼とは組成の異なる接合金物とを溶接し
た溶接構造であって、Niを65重量%以上含有するN
i基溶接材料を用い、イナートガスアーク溶接法、例え
ば、TIG(イナートガスタングステンアーク)溶接法
等の非溶極式溶接法や、イナートガスメタルアーク(M
IG)溶接法、炭酸ガスメタルアーク溶接法、被覆剤を
塗布した溶接棒を用いた被覆アーク溶接法、およびサブ
マージドアーク溶接法等の溶極式溶接法のうちから選択
される少なくとも一つのアーク溶接法を用いて接合し、
溶着部に靭性の高いNi基溶接金属を形成した高Crフ
ェライト鋼の溶接構造とするものである。また、請求項
4に記載のように、請求項2または請求項3に記載の溶
接構造において、溶接後の熱処理を省略した溶接構造と
するものである。本発明は、請求項1ないし請求項4の
それぞれ1項に記載されているように、溶着部に、Ni
を65重量%以上含有するNi基溶接材料を用いた靭性
の高いNi基溶接金属を形成することにより、従来技術
における溶接金属の靭性が低いという問題点を解消し
て、脆性破壊に対する溶接部の信頼性を大きく改善する
ことができ、かつ、従来の約740〜750℃で行われ
ている溶接後の熱処理を省略することが可能となり、高
強度のCrフェライト系耐熱鋼の用途を拡大できる効果
がある。また、Niを65重量%以上含有するNi基溶
接材料を用い、イナートガスアーク溶接法、例えば、T
IG(イナートガスタングステンアーク)溶接法等の非
溶極式溶接法、イナートガスメタルアーク(MIG)溶
接法、炭酸ガスメタルアーク溶接法、被覆剤を塗布した
溶接棒を用いた被覆アーク溶接法、およびサブマージド
アーク溶接法等の溶極式溶接法のうちから選択されるア
ーク溶接法を用いて溶接により形成された溶接金属は、
室温での機械的強度は低く、室温付近の温度域での引張
り強さは、高Crフェライト鋼母材よりも低くなるが、
約600℃以上の使用温度域では、Ni基の溶接材料に
よリ形成される溶接金属の引張り強さの方が高くなり、
高温度の使用領域では十分な引張り強度特性を示すもの
である。さらに、Ni基の溶接材料により形成される溶
接金属の靭性は高く、万一、溶接部に亀裂が発生したと
しても脆性破壊の危険性は大幅に低減できる効果があ
る。
【0006】
【発明の実施の形態】〈実施の形態1〉以下に本発明の
実施の形態を挙げ、本発明の溶接構造の基本的な作製手
順について説明する。母材として用いたのは、Crを1
0.83重量%含み、焼ならし、焼戻し処理を施した高
強度フェライト鋼管(A鋼、外径45mm肉厚10m
m)で、溶接材料として用いたのは、Niを重量%で7
1.8%含むNi基溶接材料(A)であり、これらの化
学組成を表1に示す。 なお、表1には、比較例として
用いた高Crフェライト鋼と同成分系の溶接材料(F)
の化学組成を併せて示す。溶接開先は、図1に示す突合
わせ溶接開先とした。
実施の形態を挙げ、本発明の溶接構造の基本的な作製手
順について説明する。母材として用いたのは、Crを1
0.83重量%含み、焼ならし、焼戻し処理を施した高
強度フェライト鋼管(A鋼、外径45mm肉厚10m
m)で、溶接材料として用いたのは、Niを重量%で7
1.8%含むNi基溶接材料(A)であり、これらの化
学組成を表1に示す。 なお、表1には、比較例として
用いた高Crフェライト鋼と同成分系の溶接材料(F)
の化学組成を併せて示す。溶接開先は、図1に示す突合
わせ溶接開先とした。
【0007】
【表1】
【0008】本実施の形態における溶接部の断面を図2
に示す。まず、溶接材料(A)を用いて、初層2をTI
G(タングステン イナート ガス)溶接法で積層し、2
層目以降も溶接材料(A)を用いて、被覆アーク溶接法
により、最終層まで順次積層して、Ni基溶接金属3を
形成した。なお、4は溶接熱影響部を示す。また、比較
例として、表1に示す溶接材料(F)を用い、初層をT
IG溶接で積層し、2層目以降を、被覆アーク溶接法に
より積層して溶接部を作製した。溶接終了後、約745
℃にて、約4.5時間の溶接後熱処理(PWHT)を行
った。これらの溶接継手構造の溶接金属の中央部から、
図3および図4に示すように、JIS4号シャルピー衝
撃試験片5を切削加工により採取し、それぞれ衝撃試験
を行った。その結果を、図5に示すが、本発明の溶接部
のNi基溶接金属3は、比較例の溶接部の溶接金属より
も吸収エネルギが高く、明らかに靭性が向上しているこ
とが分かる。また、本発明の溶接部の溶接継手構造の引
張り試験も実施したが、高Crフェライト鋼母材と同等
の強度が得られ、実用上問題のない溶接部であることを
確認できた。本実施の形態では、2層目以降の積層を被
覆アーク溶接法で施工する方法を示したが、2層目以降
の積層をTIG溶接法により施工しても同様の効果が得
られることを確認している。本発明の溶接構造では、N
i基溶接金属3の靭性向上によって脆性破壊に対する信
頼性が向上するのはもちろんのこと、溶接金属のCr含
有量が母材よりも多く、また、酸化されるFeの含有量
が少なくなるので母材に比べて耐食性が向上する効果が
ある。さらに、溶接終了後の熱処理を省略した、いわゆ
る溶接のままの溶接金属と、溶接熱影響部の衝撃試験結
果を図6に示す。溶接金属、溶接熱影響部共に、その衝
撃値〔吸収エネルギー(J)〕は、0℃で80J以上あ
る。この値は、十分に脆性破壊を防止できることを示す
ものであり、溶接後の熱処理の省略が可能であることを
示唆すものである。
に示す。まず、溶接材料(A)を用いて、初層2をTI
G(タングステン イナート ガス)溶接法で積層し、2
層目以降も溶接材料(A)を用いて、被覆アーク溶接法
により、最終層まで順次積層して、Ni基溶接金属3を
形成した。なお、4は溶接熱影響部を示す。また、比較
例として、表1に示す溶接材料(F)を用い、初層をT
IG溶接で積層し、2層目以降を、被覆アーク溶接法に
より積層して溶接部を作製した。溶接終了後、約745
℃にて、約4.5時間の溶接後熱処理(PWHT)を行
った。これらの溶接継手構造の溶接金属の中央部から、
図3および図4に示すように、JIS4号シャルピー衝
撃試験片5を切削加工により採取し、それぞれ衝撃試験
を行った。その結果を、図5に示すが、本発明の溶接部
のNi基溶接金属3は、比較例の溶接部の溶接金属より
も吸収エネルギが高く、明らかに靭性が向上しているこ
とが分かる。また、本発明の溶接部の溶接継手構造の引
張り試験も実施したが、高Crフェライト鋼母材と同等
の強度が得られ、実用上問題のない溶接部であることを
確認できた。本実施の形態では、2層目以降の積層を被
覆アーク溶接法で施工する方法を示したが、2層目以降
の積層をTIG溶接法により施工しても同様の効果が得
られることを確認している。本発明の溶接構造では、N
i基溶接金属3の靭性向上によって脆性破壊に対する信
頼性が向上するのはもちろんのこと、溶接金属のCr含
有量が母材よりも多く、また、酸化されるFeの含有量
が少なくなるので母材に比べて耐食性が向上する効果が
ある。さらに、溶接終了後の熱処理を省略した、いわゆ
る溶接のままの溶接金属と、溶接熱影響部の衝撃試験結
果を図6に示す。溶接金属、溶接熱影響部共に、その衝
撃値〔吸収エネルギー(J)〕は、0℃で80J以上あ
る。この値は、十分に脆性破壊を防止できることを示す
ものであり、溶接後の熱処理の省略が可能であることを
示唆すものである。
【0009】〈実施の形態2〉図7は、本発明の他の実
施の形態である溶接構造の断面を示す。本実施の形態
は、高Crフェライト鋼母材1に、オーステナイト系鋼
よりなる付着金物6を溶接した溶接構造を示す。溶接方
法は、表1に示す溶接材料(A)を用い、被覆アーク溶
接法により接合した。本実施の形態で作製した溶接構造
は、使用温度領域である600℃付近での機械的強度
は、実施の形態1と同様に、Ni基溶接金属3の方が高
く、溶接部の強度特性は良好であった。また、Ni基溶
接金属3、高Crフェライト鋼母材1の溶接熱影響部の
衝撃特性も高く、脆性破壊に対する危険性も低い結果が
得られた。このような特性は、溶接後の熱処理を施さな
い溶接のままの状態においても同様であり、本実施の形
態においても溶接後の熱処理の省略が可能であることが
分かった。上記実施の形態では、溶接方法として、TI
G(非溶極式)溶接法および被覆アーク溶接法(溶極
式)を用いる例を挙げたが、その他のイナートガスメタ
ルアーク(MIG)溶接法、炭酸ガスメタルアーク溶接
法およびサブマージドアーク溶接法等のアーク溶接法を
用いた場合においても同様の効果が得られることを確認
している。
施の形態である溶接構造の断面を示す。本実施の形態
は、高Crフェライト鋼母材1に、オーステナイト系鋼
よりなる付着金物6を溶接した溶接構造を示す。溶接方
法は、表1に示す溶接材料(A)を用い、被覆アーク溶
接法により接合した。本実施の形態で作製した溶接構造
は、使用温度領域である600℃付近での機械的強度
は、実施の形態1と同様に、Ni基溶接金属3の方が高
く、溶接部の強度特性は良好であった。また、Ni基溶
接金属3、高Crフェライト鋼母材1の溶接熱影響部の
衝撃特性も高く、脆性破壊に対する危険性も低い結果が
得られた。このような特性は、溶接後の熱処理を施さな
い溶接のままの状態においても同様であり、本実施の形
態においても溶接後の熱処理の省略が可能であることが
分かった。上記実施の形態では、溶接方法として、TI
G(非溶極式)溶接法および被覆アーク溶接法(溶極
式)を用いる例を挙げたが、その他のイナートガスメタ
ルアーク(MIG)溶接法、炭酸ガスメタルアーク溶接
法およびサブマージドアーク溶接法等のアーク溶接法を
用いた場合においても同様の効果が得られることを確認
している。
【0010】
【発明の効果】本発明の高Crフェライト鋼の溶接方法
とそれを用いた溶接構造によれば、高強度の10〜13
重量%含むCrフェライト系耐熱鋼の溶接部に形成され
るNi基溶接金属は、従来の溶接金属の靭性が低いとい
う問題点を解消して、脆性破壊に対する溶接部の信頼性
を大きく改善できた。また、約740〜750℃で実施
されている従来の溶接後の熱処理を省略することがで
き、新しい高強度のCrフェライト系耐熱鋼高強度鋼の
用途を拡大できることが可能で、工業的利用価値が大き
いという効果がある。
とそれを用いた溶接構造によれば、高強度の10〜13
重量%含むCrフェライト系耐熱鋼の溶接部に形成され
るNi基溶接金属は、従来の溶接金属の靭性が低いとい
う問題点を解消して、脆性破壊に対する溶接部の信頼性
を大きく改善できた。また、約740〜750℃で実施
されている従来の溶接後の熱処理を省略することがで
き、新しい高強度のCrフェライト系耐熱鋼高強度鋼の
用途を拡大できることが可能で、工業的利用価値が大き
いという効果がある。
【図1】本発明の実施の形態1で例示した溶接開先形状
を示す模式図。
を示す模式図。
【図2】本発明の実施の形態1で例示した溶接部の断面
構造を示す模式図。
構造を示す模式図。
【図3】本発明の実施の形態1で例示した溶接部の衝撃
試験片の採取位置を示す模式図。
試験片の採取位置を示す模式図。
【図4】本発明の実施の形態1で例示した溶接部の衝撃
試験片の採取位置を示す模式図。
試験片の採取位置を示す模式図。
【図5】本発明の実施の形態1で例示した溶接後に熱処
理を施した場合の溶接金属の衝撃試験結果を示す説明
図。
理を施した場合の溶接金属の衝撃試験結果を示す説明
図。
【図6】本発明の実施の形態1で例示した溶接のままの
状態の溶接金属の衝撃試験結果を示す説明図。
状態の溶接金属の衝撃試験結果を示す説明図。
【図7】本発明の実施の形態2で例示した溶接部の断面
構造を示す模式図。
構造を示す模式図。
1…高Crフェライト鋼母材 2…溶接開先 3…Ni基溶接金属 4…溶接熱影響部(HAZ) 5…衝撃試験片 6…付着金物 7…初層
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C22C 38/18 C22C 38/18
Claims (4)
- 【請求項1】Crを10〜13重量%含有する高Crフ
ェライト系耐熱鋼同士を溶接する方法であって、Niを
65重量%以上含有するNi基溶接材料を用い、アーク
溶接法のうちから選択される少なくとも一つの溶接法を
用いて接合することを特徴とする高Crフェライト鋼の
溶接方法。 - 【請求項2】請求項1に記載の高Crフェライト鋼の溶
接方法を用いて、溶着部に靭性の高いNi基溶接金属を
形成してなることを特徴とする高Crフェライト鋼の溶
接構造。 - 【請求項3】Crを10〜13重量%含有する高Crフ
ェライト系耐熱鋼と、該耐熱鋼とは組成の異なる接合金
物とを溶接した溶接構造であって、Niを65重量%以
上含有するNi基溶接材料を用い、アーク溶接法のうち
から選択される少なくとも一つの溶接法を用いて接合
し、溶着部に靭性の高いNi基溶接金属を形成してなる
ことを特徴とする高Crフェライト鋼の溶接構造。 - 【請求項4】請求項2または請求項3に記載の溶接構造
において、溶接後の熱処理を省略してなることを特徴と
する溶接構造。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP12580798A JPH11320096A (ja) | 1998-05-08 | 1998-05-08 | 高Crフェライト鋼の溶接方法とそれを用いた溶接構造 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP12580798A JPH11320096A (ja) | 1998-05-08 | 1998-05-08 | 高Crフェライト鋼の溶接方法とそれを用いた溶接構造 |
Publications (1)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH11320096A true JPH11320096A (ja) | 1999-11-24 |
Family
ID=14919409
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP12580798A Pending JPH11320096A (ja) | 1998-05-08 | 1998-05-08 | 高Crフェライト鋼の溶接方法とそれを用いた溶接構造 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JPH11320096A (ja) |
Cited By (3)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| CN101862924A (zh) * | 2010-06-30 | 2010-10-20 | 郑州机械研究所 | 超临界钢用气保护焊丝材料 |
| WO2020116588A1 (ja) * | 2018-12-05 | 2020-06-11 | 日本製鉄株式会社 | フェライト系耐熱鋼溶接継手の製造方法 |
| CN116329715A (zh) * | 2022-12-23 | 2023-06-27 | 钢铁研究总院有限公司 | 一种适用于高强钢结构的奥氏体焊丝及焊接方法 |
-
1998
- 1998-05-08 JP JP12580798A patent/JPH11320096A/ja active Pending
Cited By (7)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| CN101862924A (zh) * | 2010-06-30 | 2010-10-20 | 郑州机械研究所 | 超临界钢用气保护焊丝材料 |
| WO2020116588A1 (ja) * | 2018-12-05 | 2020-06-11 | 日本製鉄株式会社 | フェライト系耐熱鋼溶接継手の製造方法 |
| CN113165098A (zh) * | 2018-12-05 | 2021-07-23 | 日本制铁株式会社 | 铁素体系耐热钢焊接接头的制造方法 |
| JPWO2020116588A1 (ja) * | 2018-12-05 | 2021-10-14 | 日本製鉄株式会社 | フェライト系耐熱鋼溶接継手の製造方法 |
| CN113165098B (zh) * | 2018-12-05 | 2023-01-06 | 日本制铁株式会社 | 铁素体系耐热钢焊接接头的制造方法 |
| US11834731B2 (en) | 2018-12-05 | 2023-12-05 | Nippon Steel Corporation | Method of producing ferritic heat-resistant steel welded joint |
| CN116329715A (zh) * | 2022-12-23 | 2023-06-27 | 钢铁研究总院有限公司 | 一种适用于高强钢结构的奥氏体焊丝及焊接方法 |
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